JPH11334323A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

空気入りタイヤ及びその製造方法

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JPH11334323A
JPH11334323A JP10142587A JP14258798A JPH11334323A JP H11334323 A JPH11334323 A JP H11334323A JP 10142587 A JP10142587 A JP 10142587A JP 14258798 A JP14258798 A JP 14258798A JP H11334323 A JPH11334323 A JP H11334323A
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short fibers
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大輔 金成
Zenichiro Shinoda
全一郎 信田
Shinya Harikae
紳也 張替
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤに生じる剪断歪みに対して優れた補強
効果を発揮し、乗心地性を損なうことなく操縦安定性を
向上することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも1種類のゴムに短繊維を配合
し、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモ
ジュラスaとの比b/aを1.5以上にしたゴム補強層
7を、タイヤショルダー部5aからビード部1の少なく
とも一部に、短繊維配向方向が互いに交差するように2
層以上設け、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+
25°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイ
ヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短繊維を配合した
ゴム補強層を設けた空気入りタイヤ及びその製造方法に
関し、さらに詳しくは、乗心地性を損なうことなく操縦
安定性を向上することを可能にした空気入りタイヤ及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】空気入りタイヤにおいて、操縦安定性を
高める手段として、ビードフィラーゴムを硬くしたり、
ビード部にスチールコード又はテキスタイルコードから
なる補強材を挿入することが一般に行われている。とこ
ろが、ビードフィラーゴムを硬くしたり、上述のような
補強材を挿入すると、操縦安定性は向上するものの、乗
心地性を損なってしまうという問題があった。
【0003】このように二律背反関係にある操縦安定性
と乗心地性とを両立するにはタイヤの縦バネを変えずに
周バネを上げることが有効である。そこで、ビードフィ
ラーに短繊維を配合したり、短繊維を配合したゴムシー
トを補強材としてビード部近傍に挿入し、その短繊維を
一方向に配向させることにより、特定方向だけを補強す
る技術が提案されている。しかしながら、このように短
繊維を一方向に配向させただけでは、タイヤに生じる剪
断歪みに対して効果的な補強を行うことができなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、タイ
ヤに生じる剪断歪みに対して優れた補強効果を発揮し、
乗心地性を損なうことなく操縦安定性を向上することを
可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の空気入りタイヤは、少なくとも1種類のゴム
に短繊維を配合し、短繊維配向方向のモジュラスbとそ
の直角方向のモジュラスaとの比b/aを1.5以上に
したゴム補強層を、タイヤショルダー部からビード部の
少なくとも一部に、前記短繊維配向方向が互いに交差す
るように2層以上設け、略半量の短繊維をタイヤ周方向
に対して+25°〜+65°の角度で配置し、残りの短
繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度
で配置したことを特徴とするものである。
【0006】本発明はタイヤに生じる剪断歪みと短繊維
配合による補強効果との関係を鋭意研究した結果に基づ
いて得られたものである。即ち、タイヤが接地すると、
タイヤには主に周方向とラジアル方向との間の剪断歪み
が加わる。この剪断歪みに対して効果のある短繊維の配
向方向を検討したところ、短繊維をタイヤ周方向又はラ
ジアル方向に配向させた場合、タイヤ構成部材が斜めに
倒れ込むように変形可能であるため短繊維による補強効
果が殆ど得られないことが判った。また、短繊維をタイ
ヤ周方向に対して斜めに一方向に配向させた場合、前述
のようにタイヤ周方向又はラジアル方向に配向させた場
合よりも一方向については高い補強効果が得られるもの
の、短繊維に対して圧縮歪みが加わる方向の剪断力には
効果が殆ど無いことが判った。
【0007】そこで、本発明ではタイヤショルダー部か
らビード部の少なくとも一部に、短繊維により異方性を
持たせたゴム補強層を短繊維配向方向が互いに交差する
ように2層以上設け、略半量(40〜60%)の短繊維
をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配
置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜
−65°の角度で配置することにより、タイヤに生じる
剪断歪みに対して高い補強効果を発揮するようにし、そ
の結果として乗心地性を損なうことなく操縦安定性を効
果的に向上することを可能にしたのである。
【0008】上記ゴム補強層はタイヤ断面高さSHの2
5%以上の範囲に配置し、該ゴム補強層のタイヤ側面か
らの投影面積の70%以上の領域でゴム補強層を2層以
上に重複させることが好ましい。また、ゴム補強層の1
層当たりの厚さは0.3〜2.0mmすることが好まし
い。更に、ビードフィラー、カーカス層、サイドウォー
ルなどのタイヤ構成部材がゴム補強層を兼用した構造に
することも可能である。
【0009】本発明において、モジュラス比b/aは2
0℃における20%伸長時のモジュラス(以下、20%
モジュラスという)から求めたものである。タイヤは通
常50%以下の歪み域で使用されるため、20%モジュ
ラスに基づく低伸長時のゴム特性はタイヤ性能と相関し
やすく、この20%モジュラスを増大させることにより
タイヤを効果的に補強することができる。
【0010】20%モジュラスは、JIS K6301
に規定される低伸長応力試験法によって測定することが
可能である。この低伸長応力試験法では、幅5mm、長
さ100mm、厚さ2mm、標線間40mmの試験片を
用い、予備荷加として試験しようとする伸長率(20
%)の1.5倍の伸長を2回、45±15mm/分の速
度で行った後、本試験を予備荷加と同一速度で20%伸
長させて停止し、30秒後に荷重を測定する。20%伸
長応力(モジュラス)は以下の式により求めることがで
きる。なお、測定は通常4回行い、その平均値を用い
る。
【0011】σ20=F20/S σ20:20%伸長応力(MPa) F20:20%伸長時の荷重(N) S :試験片の断面積
【0012】ゴム補強層としては、天然ゴム、ポリイソ
プレンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香族
ビニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類のゴ
ムに、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造
をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)
をゴム100重量部に対して1〜15重量部配合したも
のを使用することが好ましい。このフィブリル化した短
繊維(A’)は、低伸長時のモジュラスを飛躍的に増大
させることが可能であるので補強繊維として有効であ
る。
【0013】また、上記ゴムにフィブリル化した短繊維
(A’)と、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマー
からなる短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィン
からなるマトリックス中に分散して結合した組成物と
を、それぞれゴム100重量部に対して前記短繊維
(A’)が1〜10重量部、前記短繊維(B)が1〜1
5重量部となるように配合したものを使用してもよい。
このように短繊維(A’)と短繊維(B)とのハイブリ
ッド配合にした場合、低伸長時のモジュラスを飛躍的に
増大させると共に、短繊維(B)の存在により耐亀裂成
長性を高めることができる。
【0014】一方、本発明の空気入りタイヤの製造方法
は、少なくとも1種類のゴム中に短繊維を一方向に配向
させたシート材を、短繊維配向方向に対して斜めに切断
して複数枚のストリップ材を形成し、これら複数枚のス
トリップ材を前記短繊維配向方向が互いに交差するよう
に重ね合わせて積層構造のゴム補強層を形成し、該積層
構造のゴム補強層をタイヤショルダー部からビード部の
少なくとも一部に挿入することを特徴とするものであ
る。
【0015】また、本発明の空気入りタイヤの製造方法
は、少なくとも1種類のゴム中に短繊維を一方向に配向
させたシート材を、短繊維配向方向に対して斜めに折り
返して積層構造のゴム補強層を形成し、該積層構造のゴ
ム補強層をタイヤショルダー部からビード部の少なくと
も一部に挿入することを特徴とするものである。更に、
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、少なくとも1種
類のゴム中に短繊維を一方向に配向させたシート材を、
短繊維配向方向が中心軸に対して傾斜するように螺旋状
に巻回して筒状材を形成し、該筒状材を平面的に潰して
積層構造のゴム補強層を形成し、該積層構造のゴム補強
層をタイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部
に挿入することを特徴とするものである。
【0016】更にまた、本発明の空気入りタイヤの製造
方法は、少なくとも1種類のゴム中に短繊維を一方向に
配向させたシート材を、短繊維配向方向に対して斜めに
切断してストリップ材を形成し、該ストリップ材からな
るゴム補強層を成形ドラム上でビードコアとカーカス層
との間に配置し、該ゴム補強層をカーカス層と共にビー
ドコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げることを
特徴とするものである。
【0017】上記各製造方法によれば、本発明の空気入
りタイヤを容易に製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施
形態からなる空気入りタイヤを例示するものである。図
において、左右一対のビード部1,1間には複数本の補
強コードをラジアル方向に配列させたカーカス層2が装
架されており、このカーカス層2のタイヤ幅方向両端部
がそれぞれビードコア3の廻りにタイヤ内側から外側へ
巻き上げられている。ビードコア3の外周側にはビード
フィラー4が配置されており、このビードフィラー4が
カーカス層2の巻き上げ部によって包み込まれている。
また、トレッド部5におけるカーカス層2の外側にはそ
れぞれ複数本のスチールコードからなる2層のベルト層
6,6が設けられている。これらベルト層6,6は、そ
の補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜し、かつ層間
で補強コードが互いに交差するように配置されている。
なお、図において5aはショルダー部である。
【0019】上記空気入りタイヤにおいて、ショルダー
部5aからビード部1の少なくとも一部には2層以上の
ゴム補強層7,7が挿入されている。これらゴム補強層
7,7は少なくとも1種類のゴムに短繊維を配合するこ
とにより、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方
向のモジュラスaとの比b/aが1.5以上になるよう
に構成されている。図2に示すように、ゴム補強層7,
7は短繊維配向方向を層間で互いに交差させることによ
り、略半量(40〜60%)の短繊維をタイヤ周方向に
対して+25°〜+65°、より好ましくは+35°〜
+55°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向
に対して−25°〜−65°、より好ましくは−35°
〜−55°の角度で配置している。なお、上記角度のプ
ラス値とマイナス値はタイヤ周方向に対する傾斜方向が
互いに反対になることを意味する。
【0020】このように短繊維を配合したゴム補強層
7,7をその短繊維配向方向が互いに交差するようにシ
ョルダー部5aからビード部1の少なくとも一部に挿入
することにより、タイヤの縦バネを維持しながら周バネ
だけを高めることができ、タイヤに生じる剪断歪みに対
して高い補強効果を発揮することが可能になるので、乗
心地性を損なうことなく操縦安定性を効果的に向上する
ことができる。
【0021】本発明において、ゴム補強層7の短繊維配
向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaの
比b/aは1.5以上、より好ましくは2.0以上にす
る。この比b/aが1.5未満であると操縦安定性と乗
心地性とを両立させることが困難になる。また、比b/
aはゴムの硬さ、短繊維の配合量及びシートの押出方法
等によって決まるものであり、その上限値を10とする
ことが好ましい。更に、短繊維はタイヤ周方向に対して
+25°〜+65°又は−25°〜−65°の角度で配
置する必要がある。この短繊維の配向角度が上記範囲か
ら外れると補強効果が不十分になる。
【0022】ゴム補強層7を配置する高さ範囲Rはタイ
ヤ断面高さSHの25%以上にすることが好ましい。こ
の高さ範囲Rがタイヤ断面高さSHの25%未満である
と補強効果が不十分になる。また、ゴム補強層7をタイ
ヤ側面から投影したとき、その投影面積の70%以上の
領域でゴム補強層7を2層以上に重複させることが好ま
しい。この重複面積が70%未満であると剪断歪みに対
する補強効果がタイヤ回転方向によって大きく異なって
しまう。
【0023】ゴム補強層7の1層当たりの厚さは0.3
〜2.0mmとすることが好ましい。ゴム補強層7の厚
さが0.3mm未満であると加工が困難になり、逆に
2.0mmを超えると補強層端部で段差が大きくなり、
その部分のゴム流れが多くなるので、タイヤの寸法安定
性を低下させたり、エア溜まり故障を生じさせる原因と
なる。
【0024】ゴム補強層7のタイヤ厚さ方向の配置位置
は特に限定されることはなく、図3(a)〜(e)に示
すようにカーカス層2の内側又は外側の任意の位置に挿
入することが可能である。また、ゴム補強層7は必要に
応じて3層以上挿入することも可能であり、この場合は
更に多数の配置形態が可能である。更に、図4に示すよ
うに、ゴム補強層7をビードコア3及びビードフィラー
4に沿わせて一体的に構成することも可能である。
【0025】また、本発明ではビードフィラー、カーカ
ス層、サイドウォール等のタイヤ構成部材の少なくとも
一部をゴム補強層に兼用してもよい。例えば、図5
(a),(b)においては、ビードフィラー4を構成す
るゴムに短繊維を配合し、短繊維配向方向のモジュラス
bとその直角方向のモジュラスaとの比b/aを1.5
以上にし、その短繊維をタイヤ周方向に対して+25°
〜+65°の角度で配置する一方で、上記ゴム補強層7
を短繊維配向方向がビードフィラー4に対して交差する
ように挿入し、その短繊維をタイヤ周方向に対して−2
5°〜−65°の角度で配置するようにすればよい。同
様にして、カーカス層のコートゴムやサイドウォールゴ
ムに短繊維を配合することにより、その部分をゴム補強
層として兼用することが可能である。
【0026】上記ゴム補強層として、少なくとも1種類
のゴムに、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島
構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維
(A’)を配合し、また必要に応じて、主鎖にアミド基
を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)を配合
し、短繊維(A’)又はハイブリッド配合した短繊維
(A’)と短繊維(B)を一方向に配向させることによ
り、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモ
ジュラスaとの比b/aを1.5以上にすることができ
る。
【0027】ゴム補強層を構成するゴムは、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ジエン系ゴム及びその水
添物〔例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム
(IR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−
ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴ
ム(高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NB
R)、水素化NBR、水素化SBR〕、各種エラストマ
ー、例えば、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロ
ピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチ
レンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(II
R)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマ
ー共重合体〕、含ハロゲン系ゴム〔例えば、臭素化ブチ
ルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−I
IR)、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭
素化物(Br−IPMS)、クロロスルホン化ポリエチ
レン(CMS)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイ
ン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)〕、熱可塑性
エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレ
フィン系エラストマー、エステル系エラストマー〕等を
挙げることができる。これらのうち、天然ゴム、ポリイ
ソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香
族ビニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類を
使用することが好ましい。
【0028】一方、短繊維(A)を構成するポリマーは
特に限定されるものではないが、少なくとも2種類のポ
リマーが相溶することなく繊維横断面で海島構造を形成
し、機械的剪断力によって海成分と島成分とが少なくと
も部分的にバラバラに分離してフィブリル化可能な特性
を持っていることが必要である。短繊維(A)を構成す
るポリマーとしては、ポリエステル、ポリビニルアルコ
ール、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セル
ロース、ポリブタジエン、芳香族ポリアミド、レーヨ
ン、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンズビスオ
キサゾール、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール
等を挙げることができる。
【0029】上述のようにフィブリル化可能な短繊維
(A)を用いることにより、繊維添加時には短繊維のア
スペクト比(繊維長を繊維断面積相当の円の直径で割っ
た値)を低くし、繊維の絡み合いを抑制してゴムへの分
散性を良好にし、その後に機械的剪断力を与えて短繊維
の海成分と島成分とをバラバラに分離させてフィブリル
化し、そのフィブリル化後の短繊維(A’)とゴムとの
接触面積を増大させることにより、ゴム補強層の補強効
果を向上することができる。なお、短繊維(A)はフィ
ブリル化によって全断面で分割・細径化していてもよ
く、或いは幹部を残して周囲や両端部だけが細径化して
いてもよい。
【0030】短繊維(A)の平均長は1〜5000μm
であることが好ましい。短繊維(A)の平均長が1μm
未満であるとゴムの異方性が十分に得られず、逆に50
00μmを超えると混練時及び押出時における加工性が
著しく低下する。また、フィブリル化した短繊維
(A’)の平均直径は0.05〜5.0μm、より好ま
しくは0.1〜2μmにすることが好ましい。フィブリ
ル化した短繊維(A’)の平均直径を0.05μm未満
にすると混練時間が長くなり、それ以上に細径化しても
補強効果の向上は得られなくなり、逆に5.0μmを超
えた状態にするとフィブリル化が不十分であるためゴム
との親和性が不十分になり、ゴム補強層に亀裂を生じや
すくなる。
【0031】本発明に使用される短繊維(A)の好まし
い一例として、少なくともポリビニルアルコール系ポリ
マー(X)と水不溶性ポリマー(Y)からなり、重量比
X/Yを90/10〜20/80として、いずれか一方
が島成分、他方が海成分となる海島構造を形成する短繊
維を使用することができる。この短繊維は、水溶性ポリ
マーであるポリビニルアルコール系ポリマー(X)と、
酢酸セルロースや澱粉等のように常温水中に浸漬しても
溶解しない水不溶性ポリマー(Y)との組み合わせによ
って海島構造を形成するものである。ポリビニルアルコ
ール系ポリマーは高強度であると共に、ゴムとの親和性
が優れている。上記短繊維においてポリビニルアルコー
ル系ポリマー(X)が90重量%を超えるとゴム混練に
よって機械的剪断力を与えても繊維が分割せず、逆に2
0重量%未満であると繊維補強効果が得られない。
【0032】本発明において、フィブリル化した短繊維
(A’)を単独で使用する場合、ゴム100重量部に対
して1〜15重量部、より好ましくは3〜15重量部配
合するようにする。短繊維(A’)の配合量が1重量部
未満であるとゴム補強層のモジュラス比b/aを1.5
以上にすることが困難になり、逆に15重量部を超える
と混練時及び押出時における加工性が著しく低下してし
まう。なお、短繊維(A)の配合量はフィブリル化した
短繊維(A’)の配合量と実質的に同一である。
【0033】短繊維(A)をゴムに配合する際、繊維の
収束性を高めてゴムへの分散を促進するために、短繊維
(A)の表面に、例えばゴムラテックス、液状ゴム、液
状樹脂、水溶性樹脂、熱可塑性樹脂などで適当な浸漬処
理を施しても良い。また、短繊維(A)とゴムとの加硫
接着性を向上するために、ゴムにフェノール系化合物と
メチレン供与体のような接着性化合物を配合しても良
い。
【0034】フェノール系化合物としては、レゾルシ
ン、β−ナフトール、レゾルシンとアルデヒド類との縮
合物(レゾルシン樹脂)、m−クレゾールとアルデヒド
類との縮合物(m−クレゾール樹脂)、フェノールとア
ルデヒド類との縮合物(フェノール樹脂)、その他フェ
ノール性有機化合物とアルデヒド類との縮合物が挙げら
れる。一方、メチレン供与体としては、ヘキサメチレン
テトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、パラ
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドアンモニア、α−
ポリオキシメチレン、多価メチロールアセチレン尿素及
びそれらの誘導体が挙げられる。
【0035】フィブリル化した短繊維(A’)は、ゴム
との親和性に優れるため、これらを配合しなくても問題
とはならないが、配合する場合はフェノール性化合物を
ゴム100重量部に対して10重量部以下、好ましくは
6重量部以下とし、メチレン供与体をゴム100重量部
に対して10重量部以下、好ましくは5重量部以下とす
ることが好ましい。これら配合量を超えると加工性が低
下したり、破断伸びが著しく低下するので好ましくな
い。これら配合剤のほか、シランカップリング剤、チタ
ネートカップリング剤、不飽和カルボン酸及びその誘導
体、エポキシ樹脂、エポシキ基変性液状オリゴマー又は
ポリマー、無水マレイン酸変性液状オリゴマー又はポリ
マー、ブロックイソシアネートなどの接着性化合物を配
合するようにしても良い。
【0036】また、上記フィブリル化した短繊維
(A’)は特に低伸長時におけるモジュラスを増大させ
る作用は大きいが、高伸長時におけるモジュラスを増大
させる作用は小さい。そのため、フィブリル化した短繊
維(A’)に加えて、主鎖にアミド基を有する熱可塑性
ポリマーからなる短繊維(B)を配合することが好まし
い。この短繊維(B)は高伸長時におけるモジュラスを
増大させる作用が大きいため、短繊維(A’)と短繊維
(B)とのハイブリッド配合にすることにより、低伸長
時と高伸長時におけるモジュラスを同時に増大させるこ
とが可能になる。高伸長時におけるモジュラスを増大さ
せることにより、屈曲疲労に対する亀裂の発生及び亀裂
成長を抑制することが可能になるので、耐亀裂成長性を
向上することができる。
【0037】このようにハイブリッド配合とした場合、
フィブリル化した短繊維(A’)の配合量をゴム100
重量部に対して1〜10重量部にすると共に、主鎖にア
ミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)
の配合量をゴム100重量部に対して1〜15重量部に
する。短繊維(A’)と短繊維(B)の配合量の和が2
重量部未満であるとゴム補強層のモジュラス比b/aを
1.5以上にすることが困難になり、逆に25重量部を
超えると混練時及び押出時における加工性が著しく低下
してしまう。
【0038】上述の短繊維(B)は主鎖にアミド基を有
する熱可塑性ポリマーから構成されている。短繊維
(B)の平均直径は0.05〜5.0μmの範囲にする
ことが好ましい。この短繊維(B)をゴム補強層のゴム
中に配合するに当たって、短繊維(B)がゴム及び/又
はポリオレフィンからなるマトリックス中に分散してお
り、かつ短繊維(B)がマトリックスと結合している組
成物を作製し、この組成物をゴム補強層のゴム中に配合
するようにする。短繊維(B)を含む組成物の例として
は、下記の(i)、(ii) 、(iii) を挙げることができ
る。
【0039】(i)加硫可能なゴム100重量部にポリ
マーの分子中アミド基を有する熱可塑性ポリマーの微細
な短繊維1〜100重量部が埋封されており、かつ該繊
維の界面において前記ポリマーと加硫可能なゴムとがノ
ボラック型フェノールホルムアルデヒド系樹脂の初期縮
合物を介してグラフトしている強化ゴム組成物(特開昭
59−43041号公報参照)。
【0040】ノボラック型フェノールホルムアルデヒド
系樹脂の初期縮合物は、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、
シュウ酸などの酸を触媒として、フェノール、ビスフェ
ノール類などのフェノール類とホルムアルデヒド(パラ
ホルムアルデヒドでもよい)とを縮合反応させることよ
って得られる可溶可融の樹脂およびその変形物(変性
物)である。
【0041】(ii) ポリオレフィンとエラストマーから
なるマトリックス中に、熱可塑性ポリアミドが微細繊維
状に分散しており、該微細繊維がシランカップリング剤
を介してマトリックスと結合している繊維強化熱可塑性
組成物(特開平7−278360号公報参照)。
【0042】シランカップリング剤としては、具体的に
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等
のビニルアルコキシシラン、ビニルトリアセチルシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−〔N−(β−メタクリロキシエチル)−N,N−ジ
メチルアンモニウム(クロライド)〕プロピルメトキシ
シラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、及びスチリルジアミノシラン、γ−
ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることが
できる。
【0043】(iii)加硫可能なゴム100重量部に平均
径0.05〜0.8μmのナイロンの微細な繊維1〜7
0重量部が埋封されており、かつ該繊維の界面において
ナイロンと加硫可能なゴムとがレゾール型アルキルフェ
ノールホルムアルデヒド系樹脂の初期縮合物を介してグ
ラフト結合している強化ゴム組成物(特開昭58−79
037号公報参照)。
【0044】レゾール型アルキルフェノールホルムアル
デヒド系樹脂の初期縮合物は、例えば、クレゾールのよ
うなアルキルフェノールとホルムアルデヒドあるいはア
セトアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下に反応させて
得られるレゾール型初期縮合物およびその変性物が挙げ
られる。特に、アルキルフェノールホルムアルデヒド系
樹脂として、分子中にメチロール基を2個以上有するも
のが好適に使用できる。
【0045】上記(i)、(iii) における加硫可能なゴ
ム、上記(ii) におけるエラストマーは、それぞれゴム
補強層を構成するゴムと同様なものである。また、上記
(i)におけるアミド基を有する熱可塑性ポリマー、上
記(ii)における熱可塑性ポリアミドとしては、熱可塑
性ポリアミド及び尿素樹脂が挙げられる。これらのうち
好ましいものとしては、融点が135℃から350℃の
ものが挙げられ、特に好ましいものとして融点が150
℃から300℃の熱可塑性ポリアミドが挙げられる。
【0046】熱可塑性ポリアミドとしては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合
体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、キシ
リレンジアミンとアジピン酸との重縮合体、キシリレン
ジアミンとピメリン酸との重縮合体、キシリレンジアミ
ンとスペリン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとア
ゼライン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとセバシ
ン酸との重縮合体、テトラメチレンジアミンとテレフタ
ル酸の重縮合体、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル
酸の重縮合体、オクタメチレンジアミンとテレフタル酸
の重縮合体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレ
フタル酸の重縮合体、デカメチレンジアミンとテレフタ
ル酸の重縮合体ウンデカメチレンジアミンとテレフタル
酸の重縮合体、ドデカメチレンジアミンとテレフタル酸
の重縮合体、テトラメチレンジアミンとイソフタル酸の
重縮合体ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮
合体、オクタメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合
体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸
の重縮合体、デカメチレンジアミンとイソフタル酸の重
縮合体、ウンデカメチレンジアミンとイソフタル酸の重
縮合体、及びドデカメチレンジアミンとイソフタル酸の
重縮合体等が挙げられる。
【0047】これらの熱可塑性ポリアミドのうち、特に
好ましいものとしては、融点160〜265℃の熱可塑
性ポリアミドが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合体、ナイロ
ン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン1
1、及びナイロン12等が挙げられる。上記(ii)におけ
るポリオレフィンは、80〜250℃の融点を有するも
のである。また、50℃以上の軟化点、特に50〜20
0℃軟化点をもつものも好ましく用いられる。このよう
なポリオレフィンとしては、C2 〜C8 のオレフィンの
単独重合体や共重合体、及び、C2 〜C8 のオレフィン
とスチレンやクロロスチレン、α−メチルスチレン等の
芳香族ビニル化合物との共重合体、C2 〜C8 のオレフ
ィンと酢酸ビニルとの共重合体、C2 〜C8 のオレフィ
ンとアクリル酸或いはそのエステルとの共重合体、C2
〜C8 のオレフィンのオレフィンとメタアクリル酸或い
はそのエステルとの共重合体、及びC2 〜C8 のオレフ
ィンとビニルシラン化合物との共重合体が好ましく用い
られるものとして挙げられる。
【0048】具体的には、例えば、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・
プロピレンブロック共重合体、エチレンプロピレンラン
ダム共重合体、線状低密度ポリエチレン、ポリ4−メチ
ルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、
エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸
共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチ
レン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル
酸プロピル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重
合体、エチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合
体、エチレン・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、
エチレン・ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレ
ンビニルトリエトキシシラン共重合体、エチレン・ビニ
ルシラン共重合体、エチレン・スチレン共重合体、及び
プロピレン・スチレン共重合体、等がある。また、塩素
化ポリエチレンや臭素化ポリエチレン、クロロスルホン
化ポリエチレン等のハロゲン化ポリオレフィンも好まし
く用いられる。これらのポリオレフィンは1種のみ用い
てもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0049】次に、本発明におけるゴム補強層の成形方
法について説明する。先ず、ゴム中にカーボンブラッ
ク、加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル等を配合した
ゴム組成物に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で
海島構造をなす短繊維(A)を所定量配合し、更に必要
に応じて、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーか
らなる短繊維(B)がマトリックス中に分散して結合し
た組成物を所定量配合し、これをバンバリーで素練りす
ることにより、ゴム中に短繊維(A)及び短繊維(B)
を均一に分散させる。
【0050】次に、素練りした組成物を更に一対のオー
プンロール間で機械的剪断力を与えながら混練すること
により短繊維(A)をフィブリル化し、フィブリル化後
における短繊維(A’)の平均径を0.05〜5.0μ
mにする。このようにして得た組成物を押出機等を使用
して押出成形することにより、短繊維(A’)及び短繊
維(B)を一方向に配向させたシート材を形成する。そ
して、このシート材を使用して図6〜図9の如く空気入
りタイヤを製造することができる。
【0051】図6では、ゴム中に短繊維を一方向に配向
させたシート材8を、短繊維配向方向に対して斜めに切
断して複数枚のストリップ材9を形成し、これら複数枚
のストリップ材9を短繊維配向方向が互いに交差するよ
うに重ね合わせて積層構造のゴム補強層7を形成し、こ
の積層構造のゴム補強層7をタイヤショルダー部からビ
ード部の少なくとも一部に挿入するようにする。ストリ
ップ材9の重ね合わせはタイヤ成形時に成形ドラム上で
行ってもよい。また、ストリップ材9はシート材8の幅
と切断角度に基づいてタイヤ周長と略一致する長さに設
計することが可能であるが、その他の方法として複数枚
のストリップ材9を長さ方向に連結した連続テープを形
成し、タイヤ成形時にタイヤ周長分だけ切断するように
してもよい。
【0052】図7では、ゴム中に短繊維を一方向に配向
させたシート材8を、短繊維配向方向に対して斜めにジ
グザグ状に折り返して積層構造のゴム補強層7を形成
し、この積層構造のゴム補強層7をタイヤショルダー部
からビード部の少なくとも一部に挿入するようにする。
図8では、ゴム中に短繊維を一方向に配向させたシート
材8を、短繊維配向方向が中心軸に対して傾斜するよう
に螺旋状に巻回して筒状材10を形成し、筒状材10を
ローラ等により平面的に潰して積層構造のゴム補強層7
を形成し、この積層構造のゴム補強層7をタイヤショル
ダー部からビード部の少なくとも一部に挿入するように
する。なお、筒状材10を形成するに当たって螺旋中心
軸としてマンドレルMを挿入するとよい。
【0053】図9(a)〜(c)では、ゴム中に短繊維
を一方向に配向させたシート材8を、短繊維配向方向に
対して斜めに切断してストリップ材9を形成し、このス
トリップ材9からなるゴム補強層7を成形ドラムD上で
ビードコア3とカーカス層2との間に配置し、ゴム補強
層7をカーカス層2と共にビードコア3の廻りにタイヤ
内側から外側へ巻き上げるようにする。この場合、カー
カス層2に対して予めストリップ材9を圧着しておけば
成形作業を迅速に行うことが可能になる。
【0054】これら図6〜図9のタイヤ製造方法によれ
ば、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜
+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向
に対して−25°〜−65°の角度で配置するように短
繊維配向方向を互いに交差させた2層以上のゴム補強層
7を、タイヤショルダー部からビード部にかけて容易に
埋設することができる。
【0055】
【実施例】タイヤサイズを195/50R15とし、タ
イヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に短繊
維配合のゴム補強層を設けた実施例1〜12及び比較例
1〜4と、短繊維配合のゴム補強層を設けていない従来
例とをそれぞれ製作した。なお、ゴム補強層にはポリビ
ニルアルコールと酢酸セルロースからなる横断面で海島
構造の短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)
を配合し、更に必要に応じて主鎖にアミド基を有するナ
イロン6からなる短繊維(B)がゴムマトリックス中に
分散して結合した組成物を配合した。
【0056】実施例1〜12及び比較例1〜4におい
て、短繊維(A)及び短繊維(B)の配合量をゴム10
0重量部に対して種々異ならせた。また、ゴム補強層に
おける短繊維配向角度はタイヤ周方向に対する角度であ
る。これら試験タイヤについて、下記試験方法によりゴ
ム補強層の押し出し加工性、ムーニー粘度、タイヤ周剛
性を評価すると共に、タイヤとしての乗心地性、操縦安
定性、耐亀裂成長性を評価し、その結果を表1に示し
た。
【0057】押し出し加工性:ゴム補強層の押出成形時
の加工性を評価した。評価結果は、加工性が極めて良好
であるものを「◎」で示し、良好であるものを「○」で
示し、良好ではないが許容できるものを「△」で示し、
悪いものを「×」で示した。
【0058】ムーニー粘度:ゴム補強層の100℃にお
けるムーニー粘度を測定した。評価結果は短繊維未配合
ゴムを100とする指数で示した。この指数値が大きい
ほど粘度が低く加工し易いことを意味する。
【0059】タイヤ周剛性:各試験タイヤのタイヤ周剛
性を正方向及び逆方向に測定した。評価結果は従来例を
100とする指数で示した。この指数値が大きいほどタ
イヤ周剛性が高いことを意味する。
【0060】乗心地性:各試験タイヤを空気圧200k
Paとして排気量1600ccの乗用車に装着し、5人
のテストドライバーによるフィーリングテストを行って
乗心地性を5段階評価した。この評価値が大きいほど乗
心地性が優れている。
【0061】操縦安定性:各試験タイヤを空気圧200
kPaとして排気量1600ccの乗用車に装着し、5
人のテストドライバーによるフィーリングテストを行っ
て操縦安定性を5段階評価した。この評価値が大きいほ
ど操縦安定性が優れている。
【0062】耐亀裂成長性:各試験タイヤのサイドウォ
ール表面に長さ5mm、深さ1.5mmの大きさでラジ
アル方向に対して45°の角度でメスカットを入れ、そ
の試験タイヤをホイールに組付けて直径が1707mm
で表面が平滑な鋼製のドラム試験機に装着し、空気圧1
80kPa、荷重3.74kN、速度81km/hの条
件にて5000km走行させた後、亀裂成長したメスカ
ットの長さを測定した。評価結果は、メスカットの最大
長さが10mm以内である場合を「○」で示し、8mm
以内である場合を「◎」で示した。
【0063】
【表1】
【0064】この表1から明らかなように、本発明の実
施例1〜12はいずれも乗心地性を悪化させることなく
従来タイヤに比べて操縦安定性が向上していた。特に、
ゴム補強層に短繊維(A)と短繊維(B)とをハイブリ
ッド配合した実施例7〜8では耐亀裂成長性が向上して
いた。
【0065】一方、比較例1〜2は短繊維をタイヤ周方
向又はラジアル方向に配向させているため、補強効果が
不十分で操縦安定性の向上効果が得られなかった。比較
例3は短繊維をタイヤ周方向に対して45°で一方向に
配向させているため、タイヤ周剛性が回転方向で相違し
ており、操縦安定性の向上効果が得られなかった。ま
た、比較例4はゴム補強層への短繊維配合量が少なく、
そのモジュラス比b/aが小さ過ぎるため、補強効果が
不十分で操縦安定性の向上効果が得られなかった。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、少
なくとも1種類のゴムに短繊維を配合し、短繊維配向方
向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaとの比
b/aを1.5以上にしたゴム補強層を、タイヤショル
ダー部からビード部の少なくとも一部に、前記短繊維配
向方向が互いに交差するように2層以上設け、略半量の
短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角
度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−2
5°〜−65°の角度で配置したことにより、タイヤに
生じる剪断歪みに対して優れた補強効果を発揮すること
が可能になるので、乗心地性を損なうことなく操縦安定
性を向上することができる。
【0067】また、本発明の空気入りタイヤの製造方法
によれば、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+2
5°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ
周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置するよ
うに短繊維配向方向を互いに交差させた2層以上のゴム
補強層7を、タイヤショルダー部からビード部にかけて
容易に埋設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態からなる空気入りタイヤ
を示す子午線半断面図である。
【図2】図1の空気入りタイヤのサイド部を拡大して示
す斜視透視図である。
【図3】本発明におけるゴム補強層の配置例を示す断面
図である。
【図4】本発明の第2実施形態からなる空気入りタイヤ
を示す子午線半断面図である。
【図5】(a)は本発明の第3実施形態からなる空気入
りタイヤを示す子午線半断面図であり、(b)はその側
面透視図である。
【図6】本発明の第1実施形態からなる空気入りタイヤ
の製造方法を示す平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態からなる空気入りタイヤ
の製造方法を示す平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態からなる空気入りタイヤ
の製造方法を示す平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態からなる空気入りタイヤ
の製造方法を示す平面図である。
【図10】第1比較例からなる空気入りタイヤを示す斜
視透視図である。
【図11】第2比較例からなる空気入りタイヤを示す斜
視透視図である。
【図12】第3比較例からなる空気入りタイヤを示す斜
視透視図である。
【符号の説明】
1 ビード部 2 カーカス層 3 ビードコア 4 ビードフィラー 5 トレッド部 5a ショルダー部 6 ベルト層 7 ゴム補強層 8 シート材 9 ストリップ材 10 筒状材

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種類のゴムに短繊維を配合
    し、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモ
    ジュラスaとの比b/aを1.5以上にしたゴム補強層
    を、タイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部
    に、前記短繊維配向方向が互いに交差するように2層以
    上設け、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+25
    °〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周
    方向に対して−25°〜−65°の角度で配置した空気
    入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記ゴム補強層をタイヤ断面高さSHの
    25%以上の範囲に配置し、該ゴム補強層のタイヤ側面
    からの投影面積の70%以上の領域でゴム補強層を2層
    以上に重複させた請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記ゴム補強層の1層当たりの厚さを
    0.3〜2.0mmにした請求項1又は請求項2に記載
    の空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】 ビードフィラー、カーカス層、サイドウ
    ォールから選ばれた少なくとも1種類のタイヤ構成部材
    の少なくとも一部を前記ゴム補強層に兼用した請求項1
    又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記ゴム補強層は天然ゴム、ポリイソプ
    レンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香族ビ
    ニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類のゴム
    に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造を
    なす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)を
    ゴム100重量部に対して1〜15重量部配合したもの
    である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空
    気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記ゴム補強層は天然ゴム、ポリイソプ
    レンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香族ビ
    ニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類のゴム
    に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造を
    なす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)
    と、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる
    短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィンからなる
    マトリックス中に分散して結合した組成物とを、それぞ
    れゴム100重量部に対して前記短繊維(A’)が1〜
    10重量部、前記短繊維(B)が1〜15重量部となる
    ように配合したものである請求項1乃至請求項4のいず
    れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 【請求項7】 少なくとも1種類のゴム中に短繊維を一
    方向に配向させたシート材を、短繊維配向方向に対して
    斜めに切断して複数枚のストリップ材を形成し、これら
    複数枚のストリップ材を前記短繊維配向方向が互いに交
    差するように重ね合わせて積層構造のゴム補強層を形成
    し、該積層構造のゴム補強層をタイヤショルダー部から
    ビード部の少なくとも一部に挿入するようにした空気入
    りタイヤの製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも1種類のゴム中に短繊維を一
    方向に配向させたシート材を、短繊維配向方向に対して
    斜めに折り返して積層構造のゴム補強層を形成し、該積
    層構造のゴム補強層をタイヤショルダー部からビード部
    の少なくとも一部に挿入するようにした空気入りタイヤ
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも1種類のゴム中に短繊維を一
    方向に配向させたシート材を、短繊維配向方向が中心軸
    に対して傾斜するように螺旋状に巻回して筒状材を形成
    し、該筒状材を平面的に潰して積層構造のゴム補強層を
    形成し、該積層構造のゴム補強層をタイヤショルダー部
    からビード部の少なくとも一部に挿入するようにした空
    気入りタイヤの製造方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも1種類のゴム中に短繊維を
    一方向に配向させたシート材を、短繊維配向方向に対し
    て斜めに切断してストリップ材を形成し、該ストリップ
    材からなるゴム補強層を成形ドラム上でビードコアとカ
    ーカス層との間に配置し、該ゴム補強層をカーカス層と
    共にビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げ
    るようにした空気入りタイヤの製造方法。
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