JP4274443B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイド剛性を高めることで操縦安定性能を改善しながら、相反する振動乗心地性との両立を実現するとともに、低燃費性能を高めた空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車用、二輪車用などの小型の一般のラジアルタイヤでは、カーカス部が各種タイプのベルト構造と厚いトレッドゴムで補強されたタイヤ踏面部に比較して、ラジアル方向に配列されたカーカスコードと薄いサイドウォールゴムを主構成要素とするサイド部では、特にサイドウォール面内の曲げ剛性が小さく、このためタイヤのサイド剛性に左右されるタイヤの操縦安定性能を、乗心地性能や耐久性能などの他のタイヤ特性を犠牲にすることなく改良することが困難であった。
【0003】
タイヤサイド部の剛性を直接的に高めるために、サイド部のカーカス層に隣接して従来の撚り糸簾織り構造の繊維補強部材を貼着する対策が提案されたが、この場合は、該繊維補強部材が成形、加硫工程でのサイド部の大伸張変形に追従し得ず、従来の製法では製造が困難であることと、製品タイヤにおいてサイドウォールの柔軟性が極度に失われ、ラジアルタイヤ本来の特質が失われる可能性が大きいことから、このような対策は実用化されていなかった。
【0004】
従って従来は、前記問題に対する対策として、カーカスコードに高弾性率、低熱収縮性のコードを利用して、タイヤサイド部の剛性を高めると共に、加硫時の熱収縮を小さくしてサイド形状の安定化を図る種々の提案が数多くなされてきた。また最近では、乗用車用ラジアルタイヤにおいて一般的なスチールコードベルト層に、各種の有機繊維補強ベルト層を組み合わせたり、更には、これらの層を補強する被覆ゴムの物性を変更して操縦安定性を改良する試みが提案されてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術のようにカーカスコードに高弾性率、低熱収縮性のコードを利用することは、コードの高弾性率化によってコード方向と一致するタイヤラジアル方向の引張り剛性を効果的に高めることはできても、サイドウォールの面内の曲げ剛性やラジアル方向に直交するタイヤ周方向剛性を直接高めることはできず、有効な対策となり得ず、また低熱収縮性のコードによって確かに加硫後のタイヤの熱収縮変形は減少するが、製造時のコード打込み本数(一定幅当たりのコード配列本数)のバラツキやサイド部材の肉厚のバラツキに起因する内圧時のタイヤサイド凹凸を抑制することができず、いずれにしても十分な効果を得ることができなかった。更に、スチールコードベルト層にナイロン、ポリエステル等の有機繊維コードを用いた有機繊維補強ベルト層を併用組み合わせたり、これらのベルト補強層の被覆ゴムの物性を変更する前記従来の対策の場合では、踏面部の接地面内の摩擦力に起因するタイヤの操縦安定性を向上することは可能であるが、スラローム走行など車両走行中にタイヤサイドを強制的に直接変形させる様な入力を受けた場合には操縦安定性の向上効果を得ることはできなかった。
【0006】
更にまた近年では、車両の低燃費化の要求からタイヤの転がり抵抗の低減が進められており、タイヤ重量軽減のためにタイヤカーカス層の薄肉化が益々指向され、従来の対策のみでは対応が難しくなってきていた。
【0007】
そこで本発明の目的は、上述の事情に鑑み、乗心地性能や耐久性やラジアルタイヤ本来の特質を損なうことなく、また製法を複雑化することなく、タイヤサイドウォール部の剛性を高め、タイヤの操縦安定性の向上と、振動乗心地性の向上とを両立させ、しかも転がり抵抗の低減を図った空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく、特にタイヤサイドウォール部とタイヤ性能との関係について鋭意検討した結果、以下の構成とすることにより、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビード部に設けられたビードコアと、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、該ビードコアに巻回されてビード部に係留されたカーカス層と、該カーカス層のクラウン部ラジアル方向外側に配置されたベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置されたトレッドと、該トレッドの左右に配置された一対のサイドウォールとを備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、
(a)第1のジエン系エラストマーと、(b)100〜150℃の融点を持つポリオレフィンと、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーとからなり、(a)成分の連続相100重量部中に、100重量部未満の(b)成分が分散したマトリックスを構成し、該マトリックス中に(c)成分が、平均径(D)が0.05〜1.0μmで、平均長さ(L)と平均径(D)との比(L/D)が10〜2000である微細な繊維として分散している(A)短繊維補強ゴム組成物を、
(B)第2のジエン系エラストマーと混練りしてなる短繊維補強ゴム組成物であって、(a)第1のジエン系エラストマーと(B)第2のジエン系エラストマーとの合計量100重量部に対し、(c)成分が5〜30重量部である(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゲージ0.5〜2.0mmのゴムシートが、短繊維の配向方向がタイヤ周方向に対し0度±45度の範囲に設定されて前記カーカス層とインナーライナー層との間で、かつタイヤ最大幅近傍領域に挿入され、
前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシートが、ビードコア底部のベースラインとカーカスラインのセンター位置とでなすカーカス高さHに対し95%以下の高さ領域に挿入されたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、前記(c)成分が、前記(a)および(b)両成分と化学的に結合している。
【0011】
また、前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシートは、ビードコア底部のベースラインとカーカスラインのセンター位置とでなすカーカス高さHに対し、好ましくは80%以下の高さ領域に挿入し、また、かかるゴムシートのタイヤ半径方向内側端(以下「ゴムシートの下端」と称する)は、好ましくはビードフィラー上端部近傍に、より好ましくはビードフィラー上端部と下端部の中間部に位置するようにする。また、前記ゴムシートは、タイヤ半径方向の長さとして、好ましくは前記Hに対し10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは40%以上の領域にわたり配設する。
【0012】
さらに、前記(A)短繊維補強ゴム組成物中の(a)成分連続相100重量部中に占める(b)成分の量は、好ましくは85重量部未満、より好ましくは65重量部未満、さらにより好ましくは45重量部未満である。
【0013】
さらにまた、前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシート中の短繊維の配向方向は、好ましくはタイヤ周方向に対し0度±15度の範囲内である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物において好適に使用し得る(a)第1のジエン系エラストマーおよび(B)第2のジエン系エラストマー成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)などが挙げられ、これらのゴムを単独もしくは2種以上併用することができる。
【0015】
また、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー(以下、「ポリアミド」と称する)としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6/66の共重合体を含むポリアミド、及びこれらの2種以上の混合ポリアミド等を挙げることができる。使用するポリアミドの分子量は8000以上が好ましく、マスターバッチを作る時の混練りの温度との兼ね合いから、その融点は170〜240℃の範囲にあるものが好ましい。
【0016】
(c)ポリアミドの配合量は、(a)第1のジエン系エラストマーと(B)第2のエラストマーとの合計量100重量部に対し、5〜30重量部である。この配合量が5重量部未満では、本発明の効果を発揮させることができず、一方、30重量部超過では、作業性が著しく低下し、加工が困難となる。また、(A)短繊維補強ゴム組成物中の(a)成分連続相100重量部中に占める(c)成分の量は、好ましくは50重量部以上、110重量部未満、より好ましくは50重量部以上、100重量部未満である。この量が50重量部未満であると同様に本発明の効果を発揮させることが困難となり、一方、110重量部以上では、(A)マスターバッチの作業性が低下し、加工が困難となる。
【0017】
かかる(c)ポリアミドの配合量にて、(a)成分の連続相に(b)成分が分散したマトリックス中に(c)成分が微細な繊維として分散し、かつ(c)成分が(a)、(b)両成分と化学的に良好に結合状態を維持することが可能となる。
【0018】
微細な(c)ポリアミドの短繊維は、その断面が円形またはそれに類する形であり、平均径(D)は、0.05〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.8μmであり、さらに好ましくは、その90重量%以上が1.0μm以下である。平均径(D)が0.05μm未満では、混練り中の切断が起こり易くなり、一方1.0μmを超えると繊維端部にて発生する応力集中により、疲労耐久性の低下を招来することになる。また、その平均長さLは、10μm以上で、かつその90重量%以上が1000μm以下のものが好ましい。これは、長さ(L)が10μm未満では、(L/D)の比が小さいために、配向性が低下するからである。
【0019】
(c)ポリアミドの平均長さ(L)と平均径(D)の比(L/D)は、10〜2000である。この比が大きい程配向し易くなり、異方性を高める効果があるが、2000を超過すると、ゴム中での分散性を確保することが難しくなる。一方、10未満では、良好な異方性を得ることができなくなる。(c)ポリアミドの理想的な特性としては、径を小さくして、比(L/D)を大きくすることが好ましい。なお、本発明で用いる(c)ポリアミドは、ゴム中にて溶融延伸するため、きわめて、ミクロな繊維となり、大幅な疲労耐久性の向上が実現できる。
【0020】
かかる形態の(c)ポリアミドは、(A)短繊維補強ゴム組成物中において、(a)、(b)両成分と化学的に結合状態を形成している。この結合は、例えば、カップリング剤による一次結合やグラフト結合等の化学的結合が望ましい。
【0021】
次に、本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物に好適に使用できる(b)100〜150℃の融点を持つポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(L−PE)、高密度ポリエチレン(H−PE)、ポリプロピレン(PP)等を挙げることができる。好ましくは、融点が100〜140℃のポリエチレンを使用する。
【0022】
この(b)ポリオレフィンの融点を100〜150℃の範囲内に規定するのは、融点が100℃未満であると、(c)ポリアミドの短繊維への融着性が低下してしまい、一方、融点が150℃を超えると、加工性が悪化し、ゴム練り時に溶融させることができなくなるためである。好ましくは100〜140℃である。
【0023】
また、(b)ポリオレフィンの十分な分散を実現するために、当該(b)ポリオレフィンの混練時の温度、すなわち、加硫剤、加硫促進剤を含まない練りステージにおける最終練り温度が、(b)ポリオレフィンの融点より3℃以上高いことが好ましい。
【0024】
(b)ポリオレフィンの配合量は、(a)第1のジエン系エラストマー成分の連続相100重量部中に、100重量部未満、好ましくは85重量部未満、より好ましくは65重量部未満、さらにより好ましくは45重量部未満である。(b)ポリオレフィンの配合量を、このように(a)第1のジエン系エラストマー成分よりも常に少なくすることにより、ジエン系エラストマー連続相のマスターバッチを得ることができ、(b)ポリオレフィンの配合量を(a)第1のジエン系エラストマー成分と同等か若しくは多くすると、ポリオレフィン相を連続相とするマスターバッチとなり、耐久性が大幅に低下してしまうことになる。
【0025】
本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物を作製する場合、あらかじめ(a)第1のジエン系エラストマーをベースにし(b)ポリオレフィンと(c)ポリアミド繊維とで強化されたマスターバッチを作製し、それを(B)第2のジエン系エラストマーとさらに混練りする。以下に、その製造例を示す。なお、配合量については上述の通りである。
【0026】
(1)(a)第1のジエン系エラストマー成分およびアミン系老化防止剤を1〜3分間程度混練する。
(2)これに、(c)ポリアミドおよび(b)ポリオレフィンを投入して混練し、(c)ポリアミド及び(b)ポリオレフィンの融点以上まで温度を上昇し、両者を溶融させる。
(3)必要に応じてフェノール樹脂オリゴマー等のカップリング剤、シランカップリング剤等を添加し、さらに混練して(A)のマスターバッチを得る。
(4)このマスターバッチを押出し機にて押出し、延伸して、(c)ポリアミド繊維と(b)ポリオレフィンとで強化されたゴム組成物を得る。
すなわち、ゴム成分(ジエン系エラストマー)は、グラフト結合や、カップリング剤による一次結合により(c)ポリアミド及び(b)ポリオレフィンで補強された状態になる。
【0027】
(5)得られた(A)のマスターバッチに対し、(B)第2のジエン系エラストマーを適宜添加して、配合物中の(c)ポリアミド及び(b)ポリオレフィンを所望の配合量(割合)に調節し、さらに、これに、加硫剤、加硫促進剤および加硫促進助剤を除いて、ゴム工業で通常使用されている配合材料を配合し、バンバリーミキサー、ニーダー等により混練する。かかる配合材料としては、有機不飽和脂肪酸(必要に応じて)、カーボンブラックやシリカ等の充填剤、亜鉛華、老化防止剤、ステアリン酸、プロセスオイル等を挙げることができる。この工程は、「最終練り温度」が(b)ポリオレフィンの融点より3℃以上高い温度となるようにして30秒〜10分で混練する。これは、(b)ポリオレフィンと(c)ポリアミドの融着混合物の分散を確保するためである。
(6)最後に、加硫剤、加硫促進剤および加硫促進助剤を投入して、各ゴム薬品が十分に分散するまで混練し、目的のゴム組成物を得る。
【0028】
上記有機不飽和脂肪酸の好ましい例としては、脱水ひまし油脂肪酸が挙げられる。この脱水ひまし油脂肪酸は、ひまし油を脱水反応して得られる。
この脱水ひまし油脂肪酸の場合、共役ジエン系酸としては、9,11−オクタデカジエン酸が主であり、その他の有機不飽和脂肪酸には非共役のオクタデカジエン酸が主として含まれる。他の非共役の不飽和脂肪酸としては、リノール酸、リノレイン酸なども挙げられる。
【0029】
有機不飽和脂肪酸は、加工性及び異方性を大幅に向上させる効果があるため、ゴム成分100重量部に対して0.5〜10重量部配合することが好ましい。更に、本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物には、前記有機不飽和脂肪酸に加えて、ステアリン酸に代表される従来より使用されている脂肪酸類を併用すると一層効果的である。
【0030】
本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物は、(a)ジエン系ゴムと(c)ポリアミドとが化学的に結合すると共に、該(c)ポリアミドには(b)ポリオレフィンが融着された状態となり、該(c)ポリアミドの特性である耐破断性、耐疲労性の向上及び(b)ポリオレフィンの特性である異方性向上が複合化されることにより異方性を大幅に向上せしめることができ、有機不飽和脂肪酸をも配合した場合には、前記のとおり、異方性をより高めることができる。
【0031】
前記製造例で示すマスターバッチの、より具体的な製造例を以下に示す。かかるマスターバッチは、
(1)(a)ゴム成分と、(c)ポリアミドと、(b)ポリオレフィンとの3成分において、(a)成分と(b)成分からなるマトリックスを調製する工程、
(2)(c)成分を接合剤と反応させる工程、
(3)上記マトリックスと、結合剤と反応させた(c)成分とを溶融、混練する工程、
(4)得られた混練物を、(c)成分の融点以上の温度で押出し、次いで(c)成分の融点より低い温度で延伸及び/又は圧延する工程、
により製造することができるが、これら(1)〜(4)の工程について以下に夫々説明する。
【0032】
先ず、(1)工程における(a)成分と(b)成分からなるマトリックスを調製する工程について説明する。
(a)成分と(b)成分からなるマトリックスを調製するには、例えば(b)成分を先に結合剤とともに溶融混練して反応させ、これと(a)成分とを溶融・混練すればよい。また、(a)成分と(b)成分とを結合剤とともに溶融、混練してもよい。溶融、混練は、樹脂やゴムの混練に通常用いられている装置で行うことができる。このような装置としては、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オープンロール、一軸混練機、二軸混練機等が挙げられる。
【0033】
結合剤の量は、(b)成分100重量部に対し0.1〜2.0重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.2〜1.0重量部の範囲である。結合剤の量が0.1重量部よりも少ないと、強度の高い組成物が得られず、2.0重量部よりも多いとモジュラスに優れた組成物が得られない。
【0034】
結合剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ノボラック型アルキルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型アルキルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、ノボラック型フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、不飽和カルボン酸及びその誘導体、有機過酸化物等、高分子のカップリング剤として通常用いられているものを用いることができる。これらの結合剤のうち、(a)成分や(b)成分をゲル化させることが少なく、且つこれらの成分の界面に強固な結合を形成し得る点で、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−〔N−(β−メタクリロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム(クロライド)〕プロピルメトキシシラン、及びスチリルジアミノシラン等、ビニル基、及びアルコキシ基等の、他から水素原子を奪って脱離し易い基及び/又は極性基を有するシランカップリング剤が好ましく用いられる。
【0035】
結合剤としてシランカップリング剤を用いる際は、有機過酸化物を併用することができる。有機過酸化物としては、1分半減期温度が、(b)成分の融点あるいは(a)成分の融点のいずれか高い方と同じ温度ないしこの温度より30℃ほど高い温度の範囲であるものが好ましく用いられる。具体的には1分半減期温度が110〜200℃程度のものが好ましく用いられる。かかる有機過酸化物としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリル酸n−ブチルエステル、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン)プロピル、パーオキシネオデカン酸2,2,4−トリメチルペンチル、パーオキシネオデカン酸t−ブチル、パーオキシ酢酸t−ブチル、パーオキシラウリル酸t−ブチル、パーオキシ安息香酸t−ブチル、パーオキシイソフタル酸t−ブチル等が挙げられる。
【0036】
有機過酸化物の使用量は、(b)成分100重量部に対し0.01〜1.0重量部の範囲が好ましい。
【0037】
但し、(a)成分と(b)成分とをシランカップリング剤とともに溶融、混練してシラン変性する場合において、(a)成分に天然ゴムやポリイソプレン、あるいはイソプレン系共重合体を用いるときは、有機過酸化物を用いなくてもよい。これは、イソプレン構造を持つゴムは、混練時にメカノケミカル反応によって主鎖の切断が起こり、主鎖末端に−COO・基を有する一種の過酸化物が生成し、これが上記の有機過酸化物とほぼ同様の作用をすると考えられるからである。
【0038】
次に、(c)成分を上記マトリックスと混練する工程について説明する。
(c)成分は、予め結合剤と溶融混練して反応させてから上記マトリックスと溶融混練してもよいし、結合剤の存在下で上記マトリックスと溶融混練してもよい。溶融混練は、樹脂やゴムの混練に通常用いられている装置、例えば、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オープンロール、一軸混練機、二軸混練機等で行うことができることは、上記マトリックス調製の場合と同様である。
【0039】
(c)成分に対する結合剤の割合は、(c)成分と結合剤の合計量を100重量%としたとき、0.1〜5.5重量%の範囲が好ましく、0.2〜5.5重量%の範囲が特に好ましく、0.2〜3重量%の範囲が最も好ましい。
【0040】
結合剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ノボラック型アルキルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型アルキルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、ノボラック型フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、不飽和カルボン酸及びその誘導体、有機過酸化物等、高分子のカップリング剤として通常用いられているものを用いることができる。これらの結合剤のうち、(c)成分をゲル化させることが少なく、且つマトリックスとの界面に強固な結合を形成し得る点で、シランカップリング剤が最も好ましい。シランカップリング剤としては、アルコキシ基、ビニル基等、脱水反応や脱アルコール反応等により(c)成分の−NHCO−結合の窒素原子と結合を形成し得る基を有するものが挙げられる。かかるシランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−〔N−(β−メタクリロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム(クロライド)〕プロピルメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びスチリルジアミノシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0041】
この工程において、マトリックスと(c)成分とを溶融、混練する温度は、(c)成分の融点以上である必要がある。(c)成分の融点よりも低い温度で溶融、混練を行っても、混練物は、マトリックス中に(c)成分の微細な粒子が分散した構造にはならず、従って、かかる混練物を紡糸、延伸しても、(c)成分は微細な繊維にはなり得ないからである。また、混練温度は、(b)成分のポリオレフィンの融点またはビカット軟化点以上の温度であることが好ましい。
【0042】
上記工程で得られた混練物を、紡糸口金或いはインフレーション用ダイ又はTダイから押出し、次いでこれを延伸又は圧延する。
【0043】
この工程においては、紡糸又は押出によって、混練物中の(c)成分の微粒子が繊維に変形する。この繊維は、それに引き続く延伸又は圧延によって延伸処理され、より強固な繊維となる。従って、紡糸及び押出は(c)成分の融点以上の温度で実施する必要があり、延伸及び圧延は(c)成分の融点よりも低い温度で実施する必要がある。
【0044】
紡糸又は押出、及びこれに引き続く延伸或いは圧延は、例えば、混練物を紡糸口金から押出して紐状乃至糸状に紡糸し、これをドラフトを掛けつつボビン等に巻き取る等の方法で実施できる。ここでドラフトを掛けるとは、紡糸速度よりも巻取速度を高くとることをいう。巻取速度/紡糸速度の比(ドラフト比)は1.5〜100の範囲とすることが好ましく、2〜50の範囲とすることが特に好ましい。最も好ましいドラフト比の範囲は3〜30である。
【0045】
この工程は、この他、紡糸した混練物を圧延ロール等で連続的に圧延することによっても実施できる。更に、混練物をインフレーション用ダイやTダイから押出しつつ、これをドラフトを掛けつつロール等に巻き取ることによっても実施できる。また、ドラフトを掛けつつロールに巻き取る代わりに圧延ロール等で圧延してもよい。
【0046】
延伸或いは圧延後のマスターバッチはペレットとすることが好ましい。これは、ペレットとすることによって追加の(B)ジエン系ゴムと均一に混練できるからである。
【0047】
上述のようにして得られる本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物においては、(A)短繊維補強ゴム組成物においてジエン系エラストマー連続相のマスターバッチが得られるため、即ち(a)第1のジエン系エラストマーの中に(b)100〜150℃の融点を持つポリオレフィンと、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーとが存在する形態となるため、化学的には、混練り時、(A)マスターバッチとブレンドする(B)第2のジエン系エラストマーとの親和性が大幅に高まる。また、力学的には、以下で述べるポリオレフィン相を連続相とするものに比べ、(A)マスターバッチ自身の粘度が低くなる。この化学的および力学的効果は、以下の点に大きく貢献する。
【0048】
先ず、(A)マスターバッチと、(B)第2のジエン系エラストマーと、適宜選択した配合剤とによる(C)短繊維補強ゴム組成物の作製のための混練りにおいて、混練り初期(練り始め)からロータースリップが少なく、シェアが効率的にかかるため、理想的な温度上昇カーブが得られる。かかる適切な温度上昇により、早期に練りゴム温度が(b)ポリオレフィンの融点に到達し、ポリオレフィン相が溶融する。これにより(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー繊維は極めてミクロに分散する。
【0049】
これに対し、特開平7−278360号公報に開示されているように、(A)マスターバッチがポリオレフィン相を連続相とすると、ポリオレフィン相中に(a)ジエン系エラストマー相と(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー繊維とが存在する形態となるため、化学的に(B)第2のジエン系エラストマーに対する親和性が低く、また、力学的には大変剛直で変形しづらく、ポリオレフィンの融点(通常100〜140℃)に到達するまで、その形態を保ち続けてしまうことになる。その結果、(A)マスターバッチを(B)第2のジエン系エラストマーと混練りすると、親和性が低く、剛直なために、混練り初期(通常60℃〜100℃の領域)には両者がなじむことがない状態が続くことになる。
【0050】
通常のゴム練りにおける温度上昇の構成要素は、▲1▼各材料同士の親和性が高く、▲2▼粘性を持っていることである。混練りにより▲1▼および▲2▼の要素を満たしている場合、効率的にシェアがかかり続け、配合材料の自己発熱をもって温度上昇が達せられる。よって、上述のように材料同士がなじまない状態が続く場合は、混練り初期の温度上昇をつかさどる大切な領域でロータースリップが誘発され、シェアがかかりにくいために、練り時間に対して良好な温度上昇は望めなくなる。即ち、長時間のロータースリップを経て温度がゆっくりと上昇しはじめ、練り温度が(b)ポリオレフィン融点に達して初めて、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー繊維が剛直な形態からときほぐされ、分散しはじめることになる。
【0051】
実験室レベルでの容量の小さなミキサー(50〜5000cc)では、ローターのクリアランスが極めて小さいため、シェアがかかり易く、なおかつ容量が小さいために温度コントロールが容易で、温度分布も均一化でき、よって(A)マスターバッチがポリオレフィン連続相でも分散レベル的に均一な組成物を得ることはできる。しかしながら、工業的な大容量ミキサー(50〜500リットル)では、シェアのかかり方が不均一となり、温度コントロールも粗いため、練りゴム中の温度分布が極めて不均一となる。そのため、(b)ポリオレフィンの連続相のマスターバッチでは、(b)ポリオレフィンの融点に達した領域は該(b)ポリオレフィンの溶融によって、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー繊維が分散し得るが、温度上昇が不十分だった領域は該(b)ポリオレフィンの溶融が不十分なために、(a)/(b)/(c)の三成分が夫々の形態のまま存在するといった極めて不均一な組成物となってしまうことが分かった。この非分散物は、大きな破壊核となり、加硫ゴム組成物の耐久性を大幅に低下する主要因となる。
【0052】
上述のように本発明においては、ポリオレフィン連続相のマスターバッチではなく、ジエン系エラストマー連続相のマスターバッチとすることで、工業的な大容量規模であってもロータースリップが誘発されず、作業性が良好であり、得られる短繊維補強ゴム組成物も分散性が良好で、耐久性および異方性に優れた効果を奏することになる。その結果、これを空気入りラジアルタイヤの所定のサイド部領域に適用した場合には、操縦安定性の向上と振動乗心地性の向上とを両立させ、しかも転がり抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0053】
本発明においては、かかる(C)短繊維補強ゴム組成物からなるゴムシートをゲージ0.5〜2.0mmの範囲内にて空気入りラジアルタイヤに適用する。このゲージが0.5mm未満であるとゴムシートを挿入した効果が得られず、一方2.0mmを超えるとゲージ増による性能向上効果が得られないばかりか、タイヤ重量増に伴う転がり抵抗の悪化をまねくためである。
【0054】
また、本発明においては、このゴムシートをカーカス層とインナーライナー層との間で、かつタイヤ最大幅近傍領域に挿入する。かかる領域に挿入することで、良好な補強効果を発揮させることができる。より十分な補強効果を得る上で、好ましくはゴムシートの下端をビードフィラー上端部近傍に、より好ましくはビードフィラー上端部と下端部の中間部に位置させる。
【0055】
さらに、かかるゴムシート中の短繊維の配向方向をタイヤ周方向に対し0度±45度、好ましくは0度±15度の範囲の範囲に設定する。このように設定することで、選択的入力に対して高弾性率化することができる。さらに好ましくは、かかる角度設定をタイヤの左右で対称となるようにする。
なお、かかるゴムシートのゴムマトリックスの材料は、カーカスプライのコーティングゴム等に応じて適宜選定すればよい。
【0056】
(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシートを、ビードコア底部のベースラインとカーカスラインのセンター位置とでなすカーカス高さH(図1)に対し、好ましくは95%以下、より好ましくは80%以下の高さ領域に挿入するのは、95%を超えると転がり抵抗が大幅に高くなるためである。また、前記ゴムシートは、良好な補強効果を得るためにタイヤ半径方向の長さとして、好ましくは前記Hに対し10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは40%以上の領域にわたり配設する。
【0057】
本発明の一実施の形態に係る空気入りラジアルタイヤの左横断面を図1に示すと、コード方向がタイヤ1のラジアル方向に向く一層のカーカス層2の両端末が左右一対のビードコア3の回りに巻回されて折り返され、該カーカス層2のタイヤ半径方向の上部に2層のベルト4がリング状に配置され、更にその上部のタイヤ踏面部にはトレッドゴム5が配置されている。また、トレッドゴム5の両サイドのカーカス層の上には、サイドウォールゴム6が貼着されている。さらに、(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシート8が、カーカス層2とインナーライナー層9との間で、かつタイヤサイド部領域に挿入されている。ゴムシート8の下端は、図示する例ではビードフィラー7の上端部と下端部の中間に位置している。かかるゴムシート8のゲージ、ゴムシート8とビードフィラー7との重ねしろの長さ、ゴムシート8のサイド部への挿入領域、およびゴムシート8中の短繊維の配向方向は、上述の範囲から適宜選定される。
【0058】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明する。
先ず、実施例及び比較例の空気入りタイヤに用いた(C)短繊維補強ゴム組成物のマスターバッチの調製について説明する。
〔マスターバッチ1〜4の調製〕
(a)成分として天然ゴム(NR、SMR−L)を用い、(b)成分として高密度ポリエチレン(PE)(三菱化学(株)製三菱ポリエチHJ560、融点135℃)を、また(c)成分としてナイロン6(PA)(宇部興産株式会社製、宇部ナイロン1030B、融点215〜220℃、分子量30,000)を用いた。(b)成分は、当該(b)成分100重量部に対し0.5重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及び0.1重量部の4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリン酸n−ブチルエステルと溶融混練して変性させた。(c)成分は、当該(c)成分100重量部に対し1.0重量部のN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランと溶融混練して変性させた。
【0059】
これら変性した成分(b)、(c)と成分(a)とを次のような順で加工し、マスターバッチを得た。先ず、上記のように変性した(b)成分を(a)成分と、下記の表1に示す配合割合でバンバリー型ミキサーで混練してマトリックスを調製し、170℃でダンプ後ペレット化した。次いで、このマトリックスと(c)成分を、下記の表1に示す配合割合で240℃に加温した二軸混練機で混練し、混練物をペレット化した。得られた混練物を245℃にセットした一軸押出機で紐状に押出し、ドラフト比10で引き取りつつペレタイザーでペレット化した。得られたマスターバッチ1乃至3は天然ゴムが連続層を構成したが、マスターバッチ4は高密度ポリエチレンが連続層であった。得られたペレットをo−ジクロロベンセンとキシレンの混合溶媒中で還流して、ポリオレフィン及びNRを除去し、残った繊維の形状や直径を電子顕微鏡で観察したところ、下記の表1に示す平均繊維径であることが確認できた。
【0060】
【表1】
Figure 0004274443
【0061】
次に、前記各種マスターバッチを用いて、さらに下記の表2〜表8に示す配合内容にて、240リットルの量産型バンバリーミキサーを用いて調製した繊維補強ゴム組成物からなるシートを、同表に示す条件に従いカーカス層の周辺に配置して、サイズ205/65R15の空気入りラジアルタイヤを製造した。なお、カーカス層は、2本撚り1500デニールのポリエチレンテレフタレート(PET)コードから成るカーカス層が一層で構成されているものおよび2層で構成されているものを使用した。また、比較例として、繊維補強ゴム組成物を用いない従来の空気入りラジアルタイヤ(比較例1)も製造した。
【0062】
製造された空気入りラジアルタイヤについて、タイヤドラム試験、操縦安定性、振動乗心地性および転がり抵抗(RR)の評価を夫々以下のようにして行なった。
(タイヤドラム試験)
製造されたタイヤについて、JIS−D4230の5.3.1の方法でリム組みを行い、同じく5.3.2の試験装置を用い、同じく5.3.3の試験方法において、第3段階修了後も連続して、24時間ごとに荷重を5%ずつ増加させ、タイヤが破壊するまでの走行距離を測定し、コントロールを100として指数表示した。尚、表2〜8の全てについて、比較例1をコントロールとした。
(操縦安定性)
試験タイヤを車輌(国産FF2000cc)に装着し、速度40〜120km/hrs、直進、レーンチェンジの条件にて実車走行を行ない、ドライバーのフィーリングにより操縦安定性を評価した。評価は10点を満点として行なった。なお、「+」とは、その点よりも良いが、次の点には達してないことを意味する。
【0063】
(振動乗心地性)
操縦安定性のときと同様の車輛にて、速度40〜80km/hrsで良路、継ぎ目路および悪路の実車走行を行ない、ドライバーのフィーリングにより乗心地性を評価した。評価は10点を満点として行なった。「+」は上記と同様の意味である。
【0064】
(転がり抵抗(RR))
試作タイヤを内圧2.0kg、荷重440kg、リム6JJの条件下、外形1.7mのドラムの上に接触させてドラムを回転させ、速度120km/時まで上昇後、ドラムを惰行させて速度80km/時のときの慣性モーメントより算出した値から、下記式によって評価した。表5、7では比較例1を、表6では実施例3を、表8では実施例5をコントロールとし、数値はコントロールを100として指数で表し、大きい程好ましい。
指数値=[(コントロールのタイヤの慣性モーメント)/(供試タイヤの慣性モーメント)]×100
得られた結果を下記の表2〜表8に併記する。
【0065】
【表2】
Figure 0004274443
【0066】
【表3】
Figure 0004274443
【0067】
【表4】
Figure 0004274443
【0068】
【表5】
Figure 0004274443
【0069】
【表6】
Figure 0004274443
【0070】
【表7】
Figure 0004274443
【0071】
【表8】
Figure 0004274443
* N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
【0072】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシートがタイヤサイド部の特定領域に挿入されたことにより、耐久性やラジアルタイヤ本来の特質を損なうことなく、また製法を複雑化することなく、タイヤサイドウォール部の剛性が高まり、タイヤの操縦安定性の向上と、振動乗心地性の向上とを両立させることができ、しかも転がり抵抗の低減を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例空気入りラジアルタイヤの左断面図である。
【符号の説明】
1 空気入りラジアルタイヤ
2 カーカス層
3 ビードコア
4 ベルト
5 トレッドゴム
6 サイドウォールゴム
7 ビードフィラー
8 ゴムシート
9 インナーライナー層

Claims (8)

  1. 左右一対のビード部に設けられたビードコアと、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、該ビードコアに巻回されてビード部に係留されたカーカス層と、該カーカス層のクラウン部ラジアル方向外側に配置されたベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置されたトレッドと、該トレッドの左右に配置された一対のサイドウォールとを備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、
    (a)第1のジエン系エラストマーと、(b)100〜150℃の融点を持つポリオレフィンと、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーとからなり、(a)成分の連続相100重量部中に、100重量部未満の(b)成分が分散したマトリックスを構成し、該マトリックス中に(c)成分が、平均径(D)が0.05〜1.0μmで、平均長さ(L)と平均径(D)との比(L/D)が10〜2000である微細な繊維として分散している(A)短繊維補強ゴム組成物を、
    (B)第2のジエン系エラストマーと混練りしてなる短繊維補強ゴム組成物であって、(a)第1のジエン系エラストマーと(B)第2のジエン系エラストマーとの合計量100重量部に対し、(c)成分が5〜30重量部である(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゲージ0.5〜2.0mmのゴムシートが、短繊維の配向方向がタイヤ周方向に対し0度±45度の範囲に設定されて前記カーカス層とインナーライナー層との間で、かつタイヤ最大幅近傍領域に挿入され
    前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシートが、ビードコア底部のベースラインとカーカスラインのセンター位置とでなすカーカス高さHに対し95%以下の高さ領域に挿入されたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記(c)成分が、前記(a)および(b)両成分と化学的に結合してなる請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシートが、ビード底部のベースラインとカーカスラインのセンター位置とでなすカーカス高さHに対し80%以下の高さ領域に挿入された請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシートのタイヤ半径方向内側端が、ビードフィラー上端部近傍に位置する請求項1〜のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記(A)短繊維補強ゴム組成物中の(a)成分連続相100重量部中に占める(b)成分の量が85重量部未満である請求項1〜のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記(A)短繊維補強ゴム組成物中の(a)成分連続相100重量部中に占める(b)成分の量が65重量部未満である請求項1〜のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記(A)短繊維補強ゴム組成物中の(a)成分連続相100重量部中に占める(b)成分の量が45重量部未満である請求項1〜のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  8. 前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシート中の短繊維の配向方向が、タイヤ周方向に対し0度±15度の範囲に設定された請求項1〜のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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