JP2000142038A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JP2000142038A
JP2000142038A JP10324276A JP32427698A JP2000142038A JP 2000142038 A JP2000142038 A JP 2000142038A JP 10324276 A JP10324276 A JP 10324276A JP 32427698 A JP32427698 A JP 32427698A JP 2000142038 A JP2000142038 A JP 2000142038A
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weight
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short fiber
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JP10324276A
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Hiroyuki Teratani
裕之 寺谷
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Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤの操縦安定性の向上と、振動乗心地性
の向上とを両立させ、しかも転がり抵抗の低減を図った
空気入りラジアルタイヤを提供する。 【解決手段】(a)第1のジエン系エラストマーと、
(b)ポリオレフィンと、(c)ポリアミドとからな
り、(a)成分の連続相100重量部中に、100重量
部未満の(b)成分が分散したマトリックスを構成し、
該マトリックス中に(c)成分が微細な繊維として分散
している(A)短繊維補強ゴム組成物を、(B)第2の
ジエン系エラストマーと混練りしてなる短繊維補強ゴム
組成物であって、(a)第1のジエン系エラストマーと
(B)第2のジエン系エラストマーとの合計量100重
量部に対し、(c)成分が5〜30重量部である(C)
短繊維補強ゴム組成物よりなるゴムシートが、前記カー
カス層の折り返し端と少なくとも0.5mm以上の重ね
しろを持ち、前記サイドウォールと前記カーカス層の間
のタイヤサイド部領域に挿入されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイド剛性を高め
ることで操縦安定性能を改善しながら、相反する振動乗
心地性との両立を実現するとともに、低燃費性能を高め
た空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】乗用車用、二輪車用などの小型の一般の
ラジアルタイヤでは、カーカス部が各種タイプのベルト
構造と厚いトレッドゴムで補強されたタイヤ踏面部に比
較して、ラジアル方向に配列されたカーカスコードと薄
いサイドウォールゴムを主構成要素とするサイド部で
は、特にサイドウォール面内の曲げ剛性が小さく、この
ためタイヤのサイド剛性に左右されるタイヤの操縦安定
性能を、乗心地性能や耐久性能などの他のタイヤ特性を
犠牲にすることなく改良することが困難であった。
【0003】タイヤサイド部の剛性を直接的に高めるた
めに、サイド部のカーカス層に隣接して従来の撚り糸簾
織り構造の繊維補強部材を貼着する対策が提案された
が、この場合は、該繊維補強部材が成形、加硫工程での
サイド部の大伸張変形に追従し得ず、従来の製法では製
造が困難であることと、製品タイヤにおいてサイドウォ
ールの柔軟性が極度に失われ、ラジアルタイヤ本来の特
質が失われる可能性が大きいことから、このような対策
は実用化されていなかった。
【0004】従って従来は、前記問題に対する対策とし
て、カーカスコードに高弾性率、低熱収縮性のコードを
利用して、タイヤサイド部の剛性を高めると共に、加硫
時の熱収縮を小さくしてサイド形状の安定化を図る種々
の提案が数多くなされてきた。また最近では、乗用車用
ラジアルタイヤにおいて一般的なスチールコードベルト
層に、各種の有機繊維補強ベルト層を組み合わせたり、
更には、これらの層を補強する被覆ゴムの物性を変更し
て操縦安定性を改良する試みが提案されてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来技術のよう
にカーカスコードに高弾性率、低熱収縮性のコードを利
用することは、コードの高弾性率化によってコード方向
と一致するタイヤラジアル方向の引張り剛性を効果的に
高めることはできても、サイドウォールの面内の曲げ剛
性やラジアル方向に直交するタイヤ周方向剛性を直接高
めることはできず、有効な対策となり得ず、また低熱収
縮性のコードによって確かに加硫後のタイヤの熱収縮変
形は減少するが、製造時のコード打込み本数(一定幅当
たりのコード配列本数)のバラツキやサイド部材の肉厚
のバラツキに起因する内圧時のタイヤサイド凹凸を抑制
することができず、いずれにしても十分な効果を得るこ
とができなかった。更に、スチールコードベルト層にナ
イロン、ポリエステル等の有機繊維コードを用いた有機
繊維補強ベルト層を併用組み合わせたり、これらのベル
ト補強層の被覆ゴムの物性を変更する前記従来の対策の
場合では、踏面部の接地面内の摩擦力に起因するタイヤ
の操縦安定性を向上することは可能であるが、スラロー
ム走行など車両走行中にタイヤサイドを強制的に直接変
形させる様な入力を受けた場合には操縦安定性の向上効
果を得ることはできなかった。
【0006】更にまた近年では、車両の低燃費化の要求
からタイヤの転がり抵抗の低減が進められており、タイ
ヤ重量軽減のためにタイヤカーカス層の薄肉化が益々指
向され、従来の対策のみでは対応が難しくなってきてい
た。
【0007】そこで本発明の目的は、上述の事情に鑑
み、乗心地性能や耐久性やラジアルタイヤ本来の特質を
損なうことなく、また製法を複雑化することなく、タイ
ヤサイドウォール部の剛性を高め、タイヤの操縦安定性
の向上と、振動乗心地性の向上とを両立させ、しかも転
がり抵抗の低減を図った空気入りラジアルタイヤを提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく、特にタイヤサイドウォール部とタイヤ性能
との関係について鋭意検討した結果、以下の構成とする
ことにより、前記目的を達成し得ることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の空気入りラジアルタイ
ヤは、左右一対のビード部に設けられたビードコアと、
クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、該
ビードコアに巻回されてビード部に係留されたカーカス
層と、該カーカス層のクラウン部ラジアル方向外側に配
置されたベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配
置されたトレッドと、該トレッドの左右に配置された一
対のサイドウォールとを備えた空気入りラジアルタイヤ
において、(a)第1のジエン系エラストマーと、
(b)100〜150℃の融点を持つポリオレフィン
と、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー
とからなり、(a)成分の連続相100重量部中に、1
00重量部未満の(b)成分が分散したマトリックスを
構成し、該マトリックス中に(c)成分が、平均径
(D)が0.05〜1.0μmで、平均長さ(L)と平
均径(D)との比(L/D)が10〜2000である微
細な繊維として分散している(A)短繊維補強ゴム組成
物を、(B)第2のジエン系エラストマーと混練りして
なる短繊維補強ゴム組成物であって、(a)第1のジエ
ン系エラストマーと(B)第2のジエン系エラストマー
との合計量100重量部に対し、(c)成分が5〜30
重量部である(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゲー
ジ0.5〜2.0mmのゴムシートが、前記カーカス層
の折り返し端と少なくとも0.5mm以上の重ねしろを
持ち、かつ短繊維の配向方向がタイヤ周方向に対し0度
±45度の範囲に設定されて前記サイドウォールと前記
カーカス層の間のタイヤサイド部領域に挿入されている
ことを特徴とするものである。
【0010】本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて
は、前記(c)成分が、前記(a)および(b)両成分
と化学的に結合している。
【0011】また、前記(C)短繊維補強ゴム組成物よ
りなるゴムシートは、ビードコア底部のベースラインと
カーカスラインのセンター位置とでなすカーカス高さH
に対し、好ましくは95%以下、より好ましくは80%
以下の高さ領域に挿入し、また、かかるゴムシートのタ
イヤ半径方向内側端は、ビードフィラー上端部より前記
カーカス高さHに対し5%以上上方に位置することが好
ましい。また、前記ゴムシートは、タイヤ半径方向の長
さとして、好ましくは前記Hに対し10%以上、より好
ましくは20%以上、さらに好ましくは35%以上の領
域にわたり配設する。
【0012】さらに、前記(A)短繊維補強ゴム組成物
中の(a)成分連続相100重量部中に占める(b)成
分の量は、好ましくは85重量部未満、より好ましくは
65重量部未満、さらにより好ましくは45重量部未満
である。
【0013】さらにまた、前記(C)短繊維補強ゴム組
成物よりなるゴムシート中の短繊維の配向方向は、好ま
しくはタイヤ周方向に対し0度±15度の範囲内であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る(C)短繊維補強ゴ
ム組成物において好適に使用し得る(a)第1のジエン
系エラストマーおよび(B)第2のジエン系エラストマ
ー成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、合成ポリ
イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合
体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチ
ルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化
ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br
−IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)な
どが挙げられ、これらのゴムを単独もしくは2種以上併
用することができる。
【0015】また、(c)主鎖中にアミド基を有する熱
可塑性ポリマー(以下、「ポリアミド」と称する)とし
ては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン4
6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナ
イロン611、ナイロン612、ナイロン6/66の共
重合体を含むポリアミド、及びこれらの2種以上の混合
ポリアミド等を挙げることができる。使用するポリアミ
ドの分子量は8000以上が好ましく、マスターバッチ
を作る時の混練りの温度との兼ね合いから、その融点は
170〜240℃の範囲にあるものが好ましい。
【0016】(c)ポリアミドの配合量は、(a)第1
のジエン系エラストマーと(B)第2のエラストマーと
の合計量100重量部に対し、5〜30重量部である。
この配合量が5重量部未満では、本発明の効果を発揮さ
せることができず、一方、30重量部超過では、作業性
が著しく低下し、加工が困難となる。また、(A)短繊
維補強ゴム組成物中の(a)成分連続相100重量部中
に占める(c)成分の量は、好ましくは50重量部以
上、110重量部未満、より好ましくは50重量部以
上、100重量部未満である。この量が50重量部未満
であると同様に本発明の効果を発揮させることが困難と
なり、一方、110重量部以上では、(A)マスターバ
ッチの作業性が低下し、加工が困難となる。
【0017】かかる(c)ポリアミドの配合量にて、
(a)成分の連続相に(b)成分が分散したマトリック
ス中に(c)成分が微細な繊維として分散し、かつ
(c)成分が(a)、(b)両成分と化学的に良好に結
合状態を維持することが可能となる。
【0018】微細な(c)ポリアミドの短繊維は、その
断面が円形またはそれに類する形であり、平均径(D)
は、0.05〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.8
μmであり、より好ましくは、その90重量%以上が
1.0μm以下である。平均径(D)が0.05μm未
満では、混練り中の切断が起こり易くなり、一方1.0
μmを超えると繊維端部にて発生する応力集中により、
疲労耐久性の低下を招来することになる。また、その平
均長さLは、10μm以上で、かつその90重量%以上
が1000μm以下のものが好ましい。これは、長さ
(L)が10μm未満では、(L/D)の比が小さいた
めに、配向性が低下するからである。
【0019】(c)ポリアミドの平均長さ(L)と平均
径(D)の比(L/D)は、10〜2000である。こ
の比が大きい程配向し易くなり、異方性を高める効果が
あるが、2000を超過すると、ゴム中での分散性を確
保することが難しくなる。一方、10未満では、良好な
異方性を得ることができなくなる。(c)ポリアミドの
理想的な特性としては、径を小さくして、比(L/D)
を大きくすることが好ましい。なお、本発明で用いる
(c)ポリアミドは、ゴム中にて溶融延伸するため、き
わめて、ミクロな繊維となり、大幅な疲労耐久性の向上
が実現できる。
【0020】かかる形態の(c)ポリアミドは、(A)
短繊維補強ゴム組成物中において、(a)、(b)両成
分と化学的に結合状態を形成している。この結合は、例
えば、カップリング剤による一次結合やグラフト結合等
の化学的結合が望ましい。
【0021】次に、本発明に係る(C)短繊維補強ゴム
組成物に好適に使用できる(b)100〜150℃の融
点を持つポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン
(L−PE)、高密度ポリエチレン(H−PE)、ポリ
プロピレン(PP)等を挙げることができる。好ましく
は、融点が100〜140℃のポリエチレンを使用す
る。
【0022】この(b)ポリオレフィンの融点を100
〜150℃の範囲内に規定するのは、融点が100℃未
満であると、(c)ポリアミドの短繊維への融着性が低
下してしまい、一方、融点が150℃を超えると、加工
性が悪化し、ゴム練り時に溶融させることができなくな
るためである。好ましくは100〜140℃である。
【0023】また、(b)ポリオレフィンの十分な分散
を実現するために、当該(b)ポリオレフィンの混練時
の温度、すなわち、加硫剤、加硫促進剤を含まない練り
ステージにおける最終練り温度が、(b)ポリオレフィ
ンの融点より3℃以上高いことが好ましい。
【0024】(b)ポリオレフィンの配合量は、(a)
第1のジエン系エラストマー成分の連続相100重量部
中に、100重量部未満、好ましくは85重量部未満、
より好ましくは65重量部未満、さらにより好ましくは
45重量部未満である。(b)ポリオレフィンの配合量
を、このように(a)第1のジエン系エラストマー成分
よりも常に少なくすることにより、ジエン系エラストマ
ー連続相のマスターバッチを得ることができ、(b)ポ
リオレフィンの配合量を(a)第1のジエン系エラスト
マー成分と同等か若しくは多くすると、ポリオレフィン
相を連続相とするマスターバッチとなり、耐久性が大幅
に低下してしまうことになる。
【0025】本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物
を作製する場合、あらかじめ(a)第1のジエン系エラ
ストマーをベースにし(b)ポリオレフィンと(c)ポ
リアミド繊維とで強化されたマスターバッチを作製し、
それを(B)第2のジエン系エラストマーとさらに混練
りする。以下に、その製造例を示す。なお、配合量につ
いては上述の通りである。
【0026】(1)(a)第1のジエン系エラストマー
成分およびアミン系老化防止剤を1〜3分間程度混練す
る。 (2)これに、(c)ポリアミドおよび(b)ポリオレ
フィンを投入して混練し、(c)ポリアミド及び(b)
ポリオレフィンの融点以上まで温度を上昇し、両者を溶
融させる。 (3)必要に応じてフェノール樹脂オリゴマー等のカッ
プリング剤、シランカップリング剤等を添加し、さらに
混練して(A)のマスターバッチを得る。 (4)このマスターバッチを押出し機にて押出し、延伸
して、(c)ポリアミド繊維と(b)ポリオレフィンと
で強化されたゴム組成物を得る。すなわち、ゴム成分
(ジエン系エラストマー)は、グラフト結合や、カップ
リング剤による一次結合により(c)ポリアミド及び
(b)ポリオレフィンで補強された状態になる。
【0027】(5)得られた(A)のマスターバッチに
対し、(B)第2のジエン系エラストマーを適宜添加し
て、配合物中の(c)ポリアミド及び(b)ポリオレフ
ィンを所望の配合量(割合)に調節し、さらに、これ
に、加硫剤、加硫促進剤および加硫促進助剤を除いて、
ゴム工業で通常使用されている配合材料を配合し、バン
バリーミキサー、ニーダー等により混練する。かかる配
合材料としては、有機不飽和脂肪酸(必要に応じて)、
カーボンブラックやシリカ等の充填剤、亜鉛華、老化防
止剤、ステアリン酸、プロセスオイル等を挙げることが
できる。この工程は、「最終練り温度」が(b)ポリオ
レフィンの融点より3℃以上高い温度となるようにして
30秒〜10分で混練する。これは、(b)ポリオレフ
ィンと(c)ポリアミドの融着混合物の分散を確保する
ためである。 (6)最後に、加硫剤、加硫促進剤および加硫促進助剤
を投入して、各ゴム薬品が十分に分散するまで混練し、
目的のゴム組成物を得る。
【0028】上記有機不飽和脂肪酸の好ましい例として
は、脱水ひまし油脂肪酸が挙げられる。この脱水ひまし
油脂肪酸は、ひまし油を脱水反応して得られる。この脱
水ひまし油脂肪酸の場合、共役ジエン系酸としては、
9,11−オクタデカジエン酸が主であり、その他の有
機不飽和脂肪酸には非共役のオクタデカジエン酸が主と
して含まれる。他の非共役の不飽和脂肪酸としては、リ
ノール酸、リノレイン酸なども挙げられる。
【0029】有機不飽和脂肪酸は、加工性及び異方性を
大幅に向上させる効果があるため、ゴム成分100重量
部に対して0.5〜10重量部配合することが好まし
い。更に、本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物に
は、前記有機不飽和脂肪酸に加えて、ステアリン酸に代
表される従来より使用されている脂肪酸類を併用すると
一層効果的である。
【0030】本発明に係る(C)短繊維補強ゴム組成物
は、(a)ジエン系ゴムと(c)ポリアミドとが化学的
に結合すると共に、該(c)ポリアミドには(b)ポリ
オレフィンが融着された状態となり、該(c)ポリアミ
ドの特性である耐破断性、耐疲労性の向上及び(b)ポ
リオレフィンの特性である異方性向上が複合化されるこ
とにより異方性を大幅に向上せしめることができ、有機
不飽和脂肪酸をも配合した場合には、前記のとおり、異
方性をより高めることができる。
【0031】前記製造例で示すマスターバッチの、より
具体的な製造例を以下に示す。かかるマスターバッチ
は、(1)(a)ゴム成分と、(c)ポリアミドと、
(b)ポリオレフィンとの3成分において、(a)成分
と(b)成分からなるマトリックスを調製する工程、
(2)(c)成分を接合剤と反応させる工程、(3)上
記マトリックスと、結合剤と反応させた(c)成分とを
溶融、混練する工程、(4)得られた混練物を、(c)
成分の融点以上の温度で押出し、次いで(c)成分の融
点より低い温度で延伸及び/又は圧延する工程、により
製造することができるが、これら(1)〜(4)の工程
について以下に夫々説明する。
【0032】先ず、(1)工程における(a)成分と
(b)成分からなるマトリックスを調製する工程につい
て説明する。(a)成分と(b)成分からなるマトリッ
クスを調製するには、例えば(b)成分を先に結合剤と
ともに溶融混練して反応させ、これと(a)成分とを溶
融・混練すればよい。また、(a)成分と(b)成分と
を結合剤とともに溶融、混練してもよい。溶融、混練
は、樹脂やゴムの混練に通常用いられている装置で行う
ことができる。このような装置としては、バンバリー型
ミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オー
プンロール、一軸混練機、二軸混練機等が挙げられる。
【0033】結合剤の量は、(b)成分100重量部に
対し0.1〜2.0重量部の範囲が好ましく、特に好ま
しくは0.2〜1.0重量部の範囲である。結合剤の量
が0.1重量部よりも少ないと、強度の高い組成物が得
られず、2.0重量部よりも多いとモジュラスに優れた
組成物が得られない。
【0034】結合剤としては、シランカップリング剤、
チタネートカップリング剤、ノボラック型アルキルフェ
ノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型アルキ
ルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、ノボラック
型フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型
フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、不飽和カルボ
ン酸及びその誘導体、有機過酸化物等、高分子のカップ
リング剤として通常用いられているものを用いることが
できる。これらの結合剤のうち、(a)成分や(b)成
分をゲル化させることが少なく、且つこれらの成分の界
面に強固な結合を形成し得る点で、シランカップリング
剤が好ましい。シランカップリング剤としては、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリ
アセチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−〔N−(β−メタクリロキシエチル)
−N,N−ジメチルアンモニウム(クロライド)〕プロ
ピルメトキシシラン、及びスチリルジアミノシラン等、
ビニル基、及びアルコキシ基等の、他から水素原子を奪
って脱離し易い基及び/又は極性基を有するシランカッ
プリング剤が好ましく用いられる。
【0035】結合剤としてシランカップリング剤を用い
る際は、有機過酸化物を併用することができる。有機過
酸化物としては、1分半減期温度が、(b)成分の融点
あるいは(a)成分の融点のいずれか高い方と同じ温度
ないしこの温度より30℃ほど高い温度の範囲であるも
のが好ましく用いられる。具体的には1分半減期温度が
110〜200℃程度のものが好ましく用いられる。か
かる有機過酸化物としては、1,1−ジ−t−ブチルパ
ーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、
2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ
−t−ブチルパーオキシバレリル酸n−ブチルエステ
ル、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ
シクロヘキサン)プロピル、パーオキシネオデカン酸
2,2,4−トリメチルペンチル、パーオキシネオデカ
ン酸t−ブチル、パーオキシ酢酸t−ブチル、パーオキ
シラウリル酸t−ブチル、パーオキシ安息香酸t−ブチ
ル、パーオキシイソフタル酸t−ブチル等が挙げられ
る。
【0036】有機過酸化物の使用量は、(b)成分10
0重量部に対し0.01〜1.0重量部の範囲が好まし
い。
【0037】但し、(a)成分と(b)成分とをシラン
カップリング剤とともに溶融、混練してシラン変性する
場合において、(a)成分に天然ゴムやポリイソプレ
ン、あるいはイソプレン系共重合体を用いるときは、有
機過酸化物を用いなくてもよい。これは、イソプレン構
造を持つゴムは、混練時にメカノケミカル反応によって
主鎖の切断が起こり、主鎖末端に−COO・基を有する
一種の過酸化物が生成し、これが上記の有機過酸化物と
ほぼ同様の作用をすると考えられるからである。
【0038】次に、(c)成分を上記マトリックスと混
練する工程について説明する。(c)成分は、予め結合
剤と溶融混練して反応させてから上記マトリックスと溶
融混練してもよいし、結合剤の存在下で上記マトリック
スと溶融混練してもよい。溶融混練は、樹脂やゴムの混
練に通常用いられている装置、例えば、バンバリー型ミ
キサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オープ
ンロール、一軸混練機、二軸混練機等で行うことができ
ることは、上記マトリックス調製の場合と同様である。
【0039】(c)成分に対する結合剤の割合は、
(c)成分と結合剤の合計量を100重量%としたと
き、0.1〜5.5重量%の範囲が好ましく、0.2〜
5.5重量%の範囲が特に好ましく、0.2〜3重量%
の範囲が最も好ましい。
【0040】結合剤としては、シランカップリング剤、
チタネートカップリング剤、ノボラック型アルキルフェ
ノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型アルキ
ルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、ノボラック
型フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型
フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、不飽和カルボ
ン酸及びその誘導体、有機過酸化物等、高分子のカップ
リング剤として通常用いられているものを用いることが
できる。これらの結合剤のうち、(c)成分をゲル化さ
せることが少なく、且つマトリックスとの界面に強固な
結合を形成し得る点で、シランカップリング剤が最も好
ましい。シランカップリング剤としては、アルコキシ
基、ビニル基等、脱水反応や脱アルコール反応等により
(c)成分の−NHCO−結合の窒素原子と結合を形成
し得る基を有するものが挙げられる。かかるシランカッ
プリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β
−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセチルシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−〔N−(β−メタクリロキシエチル)−N,N−ジ
メチルアンモニウム(クロライド)〕プロピルメトキシ
シラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、及びスチリルジアミノシラン、γ−
ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0041】この工程において、マトリックスと(c)
成分とを溶融、混練する温度は、(c)成分の融点以上
である必要がある。(c)成分の融点よりも低い温度で
溶融、混練を行っても、混練物は、マトリックス中に
(c)成分の微細な粒子が分散した構造にはならず、従
って、かかる混練物を紡糸、延伸しても、(c)成分は
微細な繊維にはなり得ないからである。また、混練温度
は、(b)成分のポリオレフィンの融点またはビカット
軟化点以上の温度であることが好ましい。
【0042】上記工程で得られた混練物を、紡糸口金或
いはインフレーション用ダイ又はTダイから押出し、次
いでこれを延伸又は圧延する。
【0043】この工程においては、紡糸又は押出によっ
て、混練物中の(c)成分の微粒子が繊維に変形する。
この繊維は、それに引き続く延伸又は圧延によって延伸
処理され、より強固な繊維となる。従って、紡糸及び押
出は(c)成分の融点以上の温度で実施する必要があ
り、延伸及び圧延は(c)成分の融点よりも低い温度で
実施する必要がある。
【0044】紡糸又は押出、及びこれに引き続く延伸或
いは圧延は、例えば、混練物を紡糸口金から押出して紐
状乃至糸状に紡糸し、これをドラフトを掛けつつボビン
等に巻き取る等の方法で実施できる。ここでドラフトを
掛けるとは、紡糸速度よりも巻取速度を高くとることを
いう。巻取速度/紡糸速度の比(ドラフト比)は1.5
〜100の範囲とすることが好ましく、2〜50の範囲
とすることが特に好ましい。最も好ましいドラフト比の
範囲は3〜30である。
【0045】この工程は、この他、紡糸した混練物を圧
延ロール等で連続的に圧延することによっても実施でき
る。更に、混練物をインフレーション用ダイやTダイか
ら押出しつつ、これをドラフトを掛けつつロール等に巻
き取ることによっても実施できる。また、ドラフトを掛
けつつロールに巻き取る代わりに圧延ロール等で圧延し
てもよい。
【0046】延伸或いは圧延後のマスターバッチはペレ
ットとすることが好ましい。これは、ペレットとするこ
とによって追加の(B)ジエン系ゴムと均一に混練でき
るからである。
【0047】上述のようにして得られる本発明に係る
(C)短繊維補強ゴム組成物においては、(A)短繊維
補強ゴム組成物においてジエン系エラストマー連続相の
マスターバッチが得られるため、即ち(a)第1のジエ
ン系エラストマーの中に(b)100〜150℃の融点
を持つポリオレフィンと、(c)主鎖中にアミド基を有
する熱可塑性ポリマーとが存在する形態となるため、化
学的には、混練り時、(A)マスターバッチとブレンド
する(B)第2のジエン系エラストマーとの親和性が大
幅に高まる。また、力学的には、以下で述べるポリオレ
フィン相を連続相とするものに比べ、(A)マスターバ
ッチ自身の粘度が低くなる。この化学的および力学的効
果は、以下の点に大きく貢献する。
【0048】先ず、(A)マスターバッチと、(B)第
2のジエン系エラストマーと、適宜選択した配合剤とに
よる(C)短繊維補強ゴム組成物の作製のための混練り
において、混練り初期(練り始め)からロータースリッ
プが少なく、シェアが効率的にかかるため、理想的な温
度上昇カーブが得られる。かかる適切な温度上昇によ
り、早期に練りゴム温度が(b)ポリオレフィンの融点
に到達し、ポリオレフィン相が溶融する。これにより
(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー繊維
は極めてミクロに分散する。
【0049】これに対し、特開平7−278360号公
報に開示されているように、(A)マスターバッチがポ
リオレフィン相を連続相とすると、ポリオレフィン相中
に(a)ジエン系エラストマー相と(c)主鎖中にアミ
ド基を有する熱可塑性ポリマー繊維とが存在する形態と
なるため、化学的に(B)第2のジエン系エラストマー
に対する親和性が低く、また、力学的には大変剛直で変
形しづらく、ポリオレフィンの融点(通常100〜14
0℃)に到達するまで、その形態を保ち続けてしまうこ
とになる。その結果、(A)マスターバッチを(B)第
2のジエン系エラストマーと混練りすると、親和性が低
く、剛直なために、混練り初期(通常60℃〜100℃
の領域)には両者がなじむことがない状態が続くことに
なる。
【0050】通常のゴム練りにおける温度上昇の構成要
素は、各材料同士の親和性が高く、粘性を持ってい
ることである。混練りによりおよびの要素を満たし
ている場合、効率的にシェアがかかり続け、配合材料の
自己発熱をもって温度上昇が達せられる。よって、上述
のように材料同士がなじまない状態が続く場合は、混練
り初期の温度上昇をつかさどる大切な領域でロータース
リップが誘発され、シェアがかかりにくいために、練り
時間に対して良好な温度上昇は望めなくなる。即ち、長
時間のロータースリップを経て温度がゆっくりと上昇し
はじめ、練り温度が(b)ポリオレフィン融点に達して
初めて、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリ
マー繊維が剛直な形態からときほぐされ、分散しはじめ
ることになる。
【0051】実験室レベルでの容量の小さなミキサー
(50〜5000cc)では、ローターのクリアランス
が極めて小さいため、シェアがかかり易く、なおかつ容
量が小さいために温度コントロールが容易で、温度分布
も均一化でき、よって(A)マスターバッチがポリオレ
フィン連続相でも分散レベル的に均一な組成物を得るこ
とはできる。しかしながら、工業的な大容量ミキサー
(50〜500リットル)では、シェアのかかり方が不
均一となり、温度コントロールも粗いため、練りゴム中
の温度分布が極めて不均一となる。そのため、(b)ポ
リオレフィンの連続相のマスターバッチでは、(b)ポ
リオレフィンの融点に達した領域は該(b)ポリオレフ
ィンの溶融によって、(c)主鎖中にアミド基を有する
熱可塑性ポリマー繊維が分散し得るが、温度上昇が不十
分だった領域は該(b)ポリオレフィンの溶融が不十分
なために、(a)/(b)/(c)の三成分が夫々の形
態のまま存在するといった極めて不均一な組成物となっ
てしまうことが分かった。この非分散物は、大きな破壊
核となり、加硫ゴム組成物の耐久性を大幅に低下する主
要因となる。
【0052】上述のように本発明においては、ポリオレ
フィン連続相のマスターバッチではなく、ジエン系エラ
ストマー連続相のマスターバッチとすることで、工業的
な大容量規模であってもロータースリップが誘発され
ず、作業性が良好であり、得られる短繊維補強ゴム組成
物も分散性が良好で、耐久性および異方性に優れた効果
を奏することになる。その結果、これを空気入りラジア
ルタイヤの所定のサイド部領域に適用した場合には、操
縦安定性の向上と振動乗心地性の向上とを両立させ、し
かも転がり抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0053】本発明においては、かかる(C)短繊維補
強ゴム組成物からなるゴムシートをゲージ0.5〜2.
0mmの範囲内にて空気入りラジアルタイヤに適用す
る。このゲージが0.5mm未満であるとゴムシートを
挿入した効果が得られず、一方2.0mmを超えるとゲ
ージ増に伴った効果が得られないばかりか、不必要なタ
イヤ重量増につながり、転がり抵抗を悪化させるデメリ
ットとなるためである。
【0054】また、本発明においては、このゴムシート
をカーカス層の折り返し端と0.5mm以上、好ましく
は1.0mm以上の重ねしろを持たせる必要がある。こ
のように重ねしろを設けることで、タイヤ加硫時にゴム
シートとカーカス層の折り返し端とを共加硫させること
ができ、補強効果を高めることができる。なお、カーカ
ス層が複数プライからなる場合には、最外層の折り返し
端に対し上述の重ねしろを持たせるようにする。
【0055】さらに、かかるゴムシート中の短繊維の配
向方向をタイヤ周方向に対し0度±45度、好ましくは
0度±15度の範囲の範囲に設定する。このように設定
することで、選択的入力に対して高弾性率化することが
できる。さらに好ましくは、かかる角度設定をタイヤの
左右で対称となるようにする。なお、かかるゴムシート
のゴムマトリックスの材料は、カーカスプライのコーテ
ィングゴム等に応じて適宜選定すればよい。
【0056】(C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゴム
シートを、ビードコア底部のベースラインとカーカスラ
インのセンター位置とでなすカーカス高さH(図1)に
対し、好ましくは95%以下、より好ましくは80%以
下の高さ領域に挿入するのは、95%を超えると転がり
抵抗が大幅に高くなるためである。また、好ましくは、
ゴムシートのタイヤ半径方向内側端を、ビードフィラー
上端部より前記カーカス高さHに対し5%以上上方に配
置する。また、前記ゴムシートは、良好な補強効果を得
るためにタイヤ半径方向の長さとして、好ましくは前記
Hに対し10%以上、より好ましくは20%以上、さら
に好ましくは35%以上の領域にわたり配設する。
【0057】本発明の一実施の形態に係る空気入りラジ
アルタイヤの左横断面を図1に示すと、コード方向がタ
イヤ1のラジアル方向に向く一層のカーカス層2の両端
末が左右一対のビードコア3の回りに巻回されて折り返
され、該カーカス層2のタイヤ半径方向の上部に2層の
ベルト4がリング状に配置され、更にその上部のタイヤ
踏面部にはトレッドゴム5が配置されている。また、ト
レッドゴム5の両サイドのカーカス層の上には、サイド
ウォールゴム6が貼着されている。さらに、(C)短繊
維補強ゴム組成物よりなるゴムシート8が、カーカス層
2の折り返し端と重ねしろを持って、サイドウォールゴ
ム6とカーカス層2の間のタイヤサイド部領域に挿入さ
れている。ゴムシート8のタイヤ半径方向内側端は、ビ
ードフィラー7の上端部より上方に位置している。かか
るゴムシート8のゲージ、ゴムシート8とカーカス層2
の折り返し端との重ねしろの長さs、ゴムシート8のサ
イド部への挿入領域、およびゴムシート8中の短繊維の
配向方向は、上述の範囲から適宜選定される。
【0058】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して、本発明に
ついて具体的に説明する。先ず、実施例及び比較例の空
気入りタイヤに用いた(C)短繊維補強ゴム組成物のマ
スターバッチの調製について説明する。 〔マスターバッチ1〜4の調製〕(a)成分として天然
ゴム(NR、SMR−L)を用い、(b)成分として高
密度ポリエチレン(PE)(三菱化学(株)製三菱ポリ
エチHJ560、融点135℃)を、また(c)成分と
してナイロン6(PA)(宇部興産株式会社製、宇部ナ
イロン1030B、融点215〜220℃、分子量3
0,000)を用いた。(b)成分は、当該(b)成分
100重量部に対し0.5重量部のγ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、及び0.1重量部の4,
4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリン酸n−ブチルエ
ステルと溶融混練して変性させた。(c)成分は、当該
(c)成分100重量部に対し1.0重量部のN−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ンと溶融混練して変性させた。
【0059】これら変性した成分(b)、(c)と成分
(a)とを次のような順で加工し、マスターバッチを得
た。先ず、上記のように変性した(b)成分を(a)成
分と、下記の表1に示す配合割合でバンバリー型ミキサ
ーで混練してマトリックスを調製し、170℃でダンプ
後ペレット化した。次いで、このマトリックスと(c)
成分を、下記の表1に示す配合割合で240℃に加温し
た二軸混練機で混練し、混練物をペレット化した。得ら
れた混練物を245℃にセットした一軸押出機で紐状に
押出し、ドラフト比10で引き取りつつペレタイザーで
ペレット化した。得られたマスターバッチ1乃至3は天
然ゴムが連続層を構成したが、マスターバッチ4は高密
度ポリエチレンが連続層であった。得られたペレットを
o−ジクロロベンセンとキシレンの混合溶媒中で還流し
て、ポリオレフィン及びNRを除去し、残った繊維の形
状や直径を電子顕微鏡で観察したところ、下記の表1に
示す平均繊維径であることが確認できた。
【0060】
【表1】
【0061】次に、前記各種マスターバッチを用いて、
さらに下記の表2〜表8に示す配合内容にて、240リ
ットルの量産型バンバリーミキサーを用いて調製した繊
維補強ゴム組成物からなるシートを、同表に示す条件に
従いカーカス層の周辺に配置して、サイズ205/65
R15の空気入りラジアルタイヤを製造した。なお、カ
ーカス層は、2本撚り1500デニールのポリエチレン
テレフタレート(PET)コードから成るカーカス層が
一層で構成されているものおよび2層で構成されている
ものを使用した。また、比較例として、繊維補強ゴム組
成物を用いない従来の空気入りラジアルタイヤ(比較例
1)も製造した。
【0062】製造された空気入りラジアルタイヤについ
て、タイヤドラム試験、操縦安定性、振動乗心地性およ
び転がり抵抗(RR)の評価を夫々以下のようにして行
なった。 (タイヤドラム試験)製造されたタイヤについて、JI
S−D4230の5.3.1の方法でリム組みを行い、
同じく5.3.2の試験装置を用い、同じく5.3.3
の試験方法において、第3段階修了後も連続して、24
時間ごとに荷重を5%ずつ増加させ、タイヤが破壊する
までの走行距離を測定し、コントロールを100として
指数表示した。尚、表2および3については比較例1
を、表4については実施例5を、表5については比較例
1を、表6については実施例3を、また表7および8に
ついては比較例1を夫々コントロールとした。 (操縦安定性)試験タイヤを車輌(国産FF2000c
c)に装着し、速度40〜120km/hrs、直進、
レーンチェンジの条件にて実車走行を行ない、ドライバ
ーのフィーリングにより操縦安定性を評価した。評価は
10点を満点として行なった。なお、「+」とは、その
点よりも良いが、次の点には達していないことを意味す
る。
【0063】(振動乗心地性)操縦安定性のときと同様
の車輛にて、速度40〜80km/hrsで良路、継ぎ
目路および悪路の実車走行を行ない、ドライバーのフィ
ーリングにより乗心地性を評価した。評価は10点を満
点として行なった。「+」は上記と同様の意味である。
【0064】(転がり抵抗(RR))試作タイヤを内圧
2.0kg、荷重440kg、リム6JJの条件下、外
形1.7mのドラムの上に接触させてドラムを回転さ
せ、速度120km/時まで上昇後、ドラムを惰行させ
て速度80km/時のときの慣性モーメントより算出し
た値から、下記式によって評価した。数値はコントロー
ルを100として指数で表し、大きい程好ましい。 指数値=[(コントロールのタイヤの慣性モーメント)
/(供試タイヤの慣性モーメント)]×100 尚、コントロールはタイヤドラム試験の場合と同様であ
る。得られた結果を下記の表2〜表8に併記する。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】 * N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスル
フェンアミド
【0072】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の空気
入りラジアルタイヤにおいては、(C)短繊維補強ゴム
組成物よりなるゴムシートがタイヤサイド部の特定領域
に挿入されたことにより、耐久性やラジアルタイヤ本来
の特質を損なうことなく、また製法を複雑化することな
く、タイヤサイドウォール部の剛性が高まり、タイヤの
操縦安定性の向上と、振動乗心地性の向上とを両立させ
ることができ、しかも転がり抵抗の低減を図ることがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例空気入りラジアルタイヤの左断面
図である。
【符号の説明】
1 空気入りラジアルタイヤ 2 カーカス層 3 ビードコア 4 ベルト 5 トレッドゴム 6 サイドウォールゴム 7 ビードフィラー 8 ゴムシート

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右一対のビード部に設けられたビード
    コアと、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に
    延び、該ビードコアに巻回されてビード部に係留された
    カーカス層と、該カーカス層のクラウン部ラジアル方向
    外側に配置されたベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向
    外側に配置されたトレッドと、該トレッドの左右に配置
    された一対のサイドウォールとを備えた空気入りラジア
    ルタイヤにおいて、 (a)第1のジエン系エラストマーと、(b)100〜
    150℃の融点を持つポリオレフィンと、(c)主鎖中
    にアミド基を有する熱可塑性ポリマーとからなり、
    (a)成分の連続相100重量部中に、100重量部未
    満の(b)成分が分散したマトリックスを構成し、該マ
    トリックス中に(c)成分が、平均径(D)が0.05
    〜1.0μmで、平均長さ(L)と平均径(D)との比
    (L/D)が10〜2000である微細な繊維として分
    散している(A)短繊維補強ゴム組成物を、(B)第2
    のジエン系エラストマーと混練りしてなる短繊維補強ゴ
    ム組成物であって、(a)第1のジエン系エラストマー
    と(B)第2のジエン系エラストマーとの合計量100
    重量部に対し、(c)成分が5〜30重量部である
    (C)短繊維補強ゴム組成物よりなるゲージ0.5〜
    2.0mmのゴムシートが、前記カーカス層の折り返し
    端と少なくとも0.5mm以上の重ねしろを持ち、かつ
    短繊維の配向方向がタイヤ周方向に対し0度±45度の
    範囲に設定されて前記サイドウォールと前記カーカス層
    の間のタイヤサイド部領域に挿入されていることを特徴
    とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記(c)成分が、前記(a)および
    (b)両成分と化学的に結合してなる請求項1記載の空
    気入りラジアルタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりな
    るゴムシートが、ビードコア底部のベースラインとカー
    カスラインのセンター位置とでなすカーカス高さHに対
    し95%以下の高さ領域に挿入された請求項1または2
    記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりな
    るゴムシートが、ビード底部のベースラインとカーカス
    ラインのセンター位置とでなすカーカス高さHに対し8
    0%以下の高さ領域に挿入された請求項1または2記載
    の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりな
    るゴムシートのタイヤ半径方向内側端が、ビードフィラ
    ー上端部より前記カーカス高さHに対し5%以上上方に
    位置する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入
    りラジアルタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記(A)短繊維補強ゴム組成物中の
    (a)成分連続相100重量部中に占める(b)成分の
    量が85重量部未満である請求項1〜5のうちいずれか
    一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 【請求項7】 前記(A)短繊維補強ゴム組成物中の
    (a)成分連続相100重量部中に占める(b)成分の
    量が65重量部未満である請求項1〜5のうちいずれか
    一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  8. 【請求項8】 前記(A)短繊維補強ゴム組成物中の
    (a)成分連続相100重量部中に占める(b)成分の
    量が45重量部未満である請求項1〜5のうちいずれか
    一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  9. 【請求項9】 前記(C)短繊維補強ゴム組成物よりな
    るゴムシート中の短繊維の配向方向が、タイヤ周方向に
    対し0度±15度の範囲に設定された請求項1〜8のう
    ちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009144157A (ja) * 2007-12-15 2009-07-02 Goodyear Tire & Rubber Co:The 高分子ナノ繊維を含む部品を有するタイヤ

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