JPH11222012A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JPH11222012A
JPH11222012A JP10027215A JP2721598A JPH11222012A JP H11222012 A JPH11222012 A JP H11222012A JP 10027215 A JP10027215 A JP 10027215A JP 2721598 A JP2721598 A JP 2721598A JP H11222012 A JPH11222012 A JP H11222012A
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short fibers
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンダートレッドにエネルギー損失が小さい
ゴムを使用してタイヤの転動抵抗を低減するに際し、未
加硫時のゴム流れによるゲージの不均一性を改善すると
共に、操縦安定性を向上することを可能にした空気入り
タイヤを提供する。 【解決手段】 トレッド部4をキャップトレッド4aと
アンダートレッド4bとを含む少なくとも2層構造にし
た空気入りタイヤにおいて、アンダートレッド4bを構
成するゴム中に、少なくとも2種類のポリマーが横断面
で海島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊
維(A’)をゴム100重量部に対して1〜15重量部
配合し、短繊維(A’)をタイヤ周方向に配向させて、
アンダートレッド4bのタイヤ幅方向のモジュラスaに
対するタイヤ周方向のモジュラスbの比b/aを1.5
以上にする。更に必要に応じて、主鎖にアミド基を有す
る熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)がゴム及び/
又はポリオレフィンからなるマトリックス中に分散して
結合した組成物を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短繊維の配合によ
り異方性を持たせたアンダートレッドをトレッド部に設
けた空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、アンダー
トレッドにエネルギー損失が小さいゴムを使用してタイ
ヤの転動抵抗を低減するに際し、未加硫時のゴム流れに
よるゲージの不均一性を改善すると共に、操縦安定性を
向上することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の車両の低燃費化要求に対し、タイ
ヤの転動抵抗を低減するために種々の試みがされてお
り、その中でも低燃費化とウェット路面上での走行性能
(ウェット性能)を両立させる技術として、トレッド部
をキャップトレッドとアンダートレッドとの2層構造に
し、エネルギー損失が大きいキャップトレッドの体積を
減らすことが行われている。つまり、キャップトレッド
にはウェット性能に優れたゴムを使い、アンダートレッ
ドにはエネルギー損失が小さいゴムを使う手法が用いら
れている。
【0003】しかしながら、アンダートレッドのエネル
ギー損失を小さくしようとして、アンダートレッドにお
けるカーボンブラックの配合量を減少させると、加硫後
のゴムが柔らかくなることにより操縦安定性が低下し、
またアンダートレッドに反発弾性に優れたブタジエンゴ
ムなどを配合すると、未加硫時の粘度が低くなるためタ
イヤ加硫成形時にモールド内面の溝成形骨がトレッドに
押し付けられる際にゴムが容易に流れてしまい、アンダ
ートレッドのゲージが溝下部分では薄く、ブロック下で
は厚くなって、摩耗末期にアンダートレッドが露出して
グリップ性能が悪化するという問題があった。
【0004】また、アンダートレッドを硬くすれば操縦
安定性が良くなることが知られており、発熱性を抑えた
ままアンダートレッドの硬度を高めるために、ナイロン
やアラミドなどの短繊維を配合する技術が多数開示され
ている(特開昭54-132904 号、特開昭57-41201号、特開
昭59-204637 号、特開平8-3369号など)。しかしなが
ら、上記短繊維のうちナイロン短繊維は小さい変形時の
補強性に劣るため多量に配合する必要があるので、未加
硫粘度が著しく上昇して加工性を悪化させてしまい、そ
の他の短繊維も補強性が不十分だったり、ゴムとの混練
中に絡まって分散性に劣るなどの欠点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アン
ダートレッドにエネルギー損失が小さいゴムを使用して
タイヤの転動抵抗を低減するに際し、タイヤ加硫成形時
のゴム流れによるゲージの不均一性を改善すると共に、
操縦安定性を向上することを可能にした空気入りタイヤ
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の空気入りタイヤは、トレッド部をキャップト
レッドとアンダートレッドとを含む少なくとも2層構造
にした空気入りタイヤにおいて、前記アンダートレッド
を構成するゴム中に、少なくとも2種類のポリマーが横
断面で海島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した
短繊維(A’)をゴム100重量部に対して1〜15重
量部配合し、前記短繊維(A’)をタイヤ周方向に配向
させて、前記アンダートレッドのタイヤ幅方向のモジュ
ラスaに対するタイヤ周方向のモジュラスbの比b/a
を1.5以上にしたことを特徴とするものである。
【0007】また、上記目的を達成するための本発明の
他の空気入りタイヤは、トレッド部をキャップトレッド
とアンダートレッドとを含む少なくとも2層構造にした
空気入りタイヤにおいて、前記アンダートレッドを構成
するゴム中に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で
海島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維
(A’)と、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマー
からなる短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィン
からなるマトリックス中に分散して結合した組成物と
を、それぞれゴム100重量部に対して前記短繊維
(A’)が1〜12重量部、前記短繊維(B)が1〜1
0重量部となるように配合し、これら短繊維(A’)及
び短繊維(B)をタイヤ周方向に配向させて、前記アン
ダートレッドのタイヤ幅方向のモジュラスaに対するタ
イヤ周方向のモジュラスbの比b/aを1.5以上にし
たことを特徴とするものである。
【0008】このようにアンダートレッドを構成するゴ
ム中に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構
造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維
(A’)を特定量配合し、その短繊維(A’)をタイヤ
周方向に配向させて、アンダートレッドのタイヤ幅方向
のモジュラスaに対するタイヤ周方向のモジュラスbの
比b/aを1.5以上にすることにより、アンダートレ
ッドにエネルギー損失が小さいゴムを使用してタイヤの
転動抵抗を低減する場合であっても、タイヤ加硫成形時
のゴム流れを抑制してゲージの不均一性を改善すること
ができ、しかも加硫後はフィブリル化した短繊維
(A’)がタイヤ周方向に配向しながら強大な補強効果
を発揮するので操縦安定性を向上することができる。
【0009】上記フィブリル化した短繊維(A’)は従
来のナイロン短繊維やカーボンブラックに比べて優れた
特長を有している。即ち、アンダートレッドを硬くする
ためにカーボンブラックの配合量を増加させると硬度の
上昇に伴ってtanδも大きくなってしまうが、短繊維
(A’)の配合量を増加させてアンダートレッドの硬度
を高めてもtanδの上昇が少ない。また、従来のナイ
ロン短繊維は配合量を増加させると未加硫時の粘度が増
大して混練時や押出時における加工性が低下してしまう
が、フィブリル化した短繊維(A’)は配合量を増加さ
せても未加硫時の粘度が高くならず、列理方向(繊維配
向方向)ばかりでなく反列理方向(繊維配向と垂直方
向)のグリーンモジュラスを高めることができる。従っ
て、フィブリル化した短繊維(A’)をアンダートレッ
ドに配合することにより、硬くしても発熱性が少ないア
ンダートレッドを構成し、従来のナイロン短繊維と比較
して加工性が良好であるにも拘らず、グリーンタイヤの
強度が高いため加硫時のゴム流れを抑制することがで
き、更にはコンパウンド貯蔵時のコールドフローも抑え
ることができる。
【0010】本発明において、加硫済タイヤにおけるモ
ジュラスは20℃における20%伸長時のモジュラス
(以下、20%モジュラスという)を意味する。タイヤ
は通常50%以下の歪み域で使用されるため、20%モ
ジュラスに基づく低伸長時のゴム特性はタイヤ性能と相
関しやすく、この20%モジュラスについて異方性を持
たせることによりタイヤを効果的に補強することができ
る。
【0011】20%モジュラスは、JIS K6301
に規定される低伸長応力試験法によって測定することが
可能である。この低伸長応力試験法では、幅5mm、長
さ100mm、厚さ2mm、標線間40mmの試験片を
用い、予備荷加として試験しようとする伸長率(20
%)の1.5倍の伸長を2回、45±15mm/分の速
度で行った後、本試験を予備荷加と同一速度で20%伸
長させて停止し、30秒後に荷重を測定する。20%伸
長応力(モジュラス)は以下の式により求めることがで
きる。なお、測定は通常4回行い、その平均値を用い
る。
【0012】σ20=F20/S σ20:20%伸長応力(MPa) F20:20%伸長時の荷重(N) S :試験片の断面積 上記フィブリル化した短繊維(A’)は、アンダートレ
ッドの20%モジュラスを飛躍的に増大させることが可
能である。また、フィブリル化した短繊維(A’)に加
えて、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからな
る短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィンからな
るマトリックス中に分散して結合したゴム組成物を特定
量配合し、これら短繊維(A’)及び短繊維(B)をタ
イヤ周方向に配向させるようにしたハイブリッド配合で
あってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施
形態からなる空気入りタイヤを例示するものである。図
において、左右一対のビード部1,1間には複数本の補
強コードをラジアル方向に配列させたカーカス層2が装
架されており、このカーカス層2のタイヤ幅方向両端部
がそれぞれビードコア3の廻りにタイヤ内側から外側へ
巻き上げられている。トレッド部4におけるカーカス層
2の外側には、それぞれ複数本の補強コードからなる2
層のベルト層5,5が設けられている。これらベルト層
5,5は、その補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜
し、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置
されている。
【0014】トレッド部4はタイヤ外側に配置したキャ
ップトレッド4aとタイヤ内側に配置したアンダートレ
ッド4bとを含む少なくとも2層構造になっており、キ
ャップトレッド4aにはウェット性能に優れたゴムを使
い、アンダートレッド4bには転動抵抗を低減するため
にエネルギー損失が小さいゴムを使うようになってい
る。アンダートレッド4bのエネルギー損失を小さくす
るには、カーボンブラックの配合量を減少させたり、反
発弾性に優れたゴム配合にすればよい。
【0015】アンダートレッド4bを構成するゴム中に
は、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造を
なす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)を
配合し、また必要に応じて、主鎖にアミド基を有する熱
可塑性ポリマーからなる短繊維(B)を配合し、短繊維
(A’)又はハイブリッド配合した短繊維(A’)と短
繊維(B)をタイヤ周方向に配向させることにより、ア
ンダートレッド4bのタイヤ幅方向のモジュラスaに対
するタイヤ周方向のモジュラスbの比b/aが1.5以
上になるように設定されている。
【0016】このようにアンダートレッド4bを構成す
るゴム中に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海
島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維
(A’)を特定量配合することにより、アンダートレッ
ド4bにエネルギー損失が小さいゴムを使用してタイヤ
の転動抵抗を低減する場合であっても、タイヤ加硫成形
時のゴム流れを抑制してゲージの不均一性を改善するこ
とができる。また、短繊維(A’)をタイヤ周方向に配
向させることにより、加硫後はフィブリル化した短繊維
(A’)が強大な補強効果を発揮するので操縦安定性を
向上することができる。
【0017】アンダートレッド4bのタイヤ幅方向のモ
ジュラスaに対するタイヤ周方向のモジュラスbの比b
/aは1.5以上、好ましくは2.0以上にする必要が
ある。この比b/aが1.5未満であるとタイヤ周方向
のタガ効果が不十分になり、操縦安定性の向上効果が得
られなくなる。また、比b/aはゴムの硬さ、短繊維の
配合量及びシートの押出方法等によって決まるものであ
り、その上限は10程度である。
【0018】また、本発明ではタイヤ加硫成形時にゴム
流れを生じにくいので、アンダートレッド4bの厚さを
従来に比べて厚くすることができ、それによって転がり
抵抗を更に低減することができる。トレッド部4におけ
るアンダートレッド4bの体積比は25〜40%にする
ことが好ましい。このアンダートレッド4bの体積比が
25%未満では転がり抵抗の低減効果が不十分になり、
逆に40%を超えるとトレッドの溝深さとりもキャップ
コンパウンドの厚さが薄くなってしまい、摩耗末期にア
ンダートレッドが露出してしまう。ここでアンダートレ
ッドの体積比は、(キャップトレッド+アンダートレッ
ド)の全体積に占めるアンダートレッド体積の比率とし
て定められる。
【0019】本発明において、アンダートレッド4bは
少なくとも1種のゴムから構成されている。このゴムと
しては特に限定されるものではないが、例えば、ジエン
系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、ポ
リイソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム(EN
R)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、
ポリブタジエンゴム(高シスBR及び低シスBR)、ニ
トリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SB
R〕、各種エラストマー、例えば、オレフィン系ゴム
〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EP
M)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−E
PM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族
ビニル又はジエン系モノマー共重合体〕、含ハロゲン系
ゴム〔例えば、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩
素化ブチルゴム(Cl−IIR)、イソブチレンパラメ
チルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、
クロロスルホン化ポリエチレン(CMS)、塩素化ポリ
エチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン
(M−CM)〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチ
レン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エス
テル系エラストマー〕等を挙げることができる。特に、
アンダートレッド4bを構成するゴムとして、エネルギ
ー損失が小さい天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブ
タジエンゴム、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ゴム
から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0020】また、アンダートレッド4bを構成するゴ
ム中には、ヨウ素吸着量が30〜60mg/gであるカ
ーボンブラックをゴム100重量部に対して25〜60
重量部配合することが好ましい。このように粗いカーボ
ンブラックを上記配合量で使用することによりtanδ
の上昇を抑制することができる。また、ゴム中に短繊
維、カーボンブラック及び他の添加剤等を配合した状態
でのムーニー粘度は80以下にすることが好ましい。こ
のムーニー粘度を80以下にすることにより良好な加工
性を確保することができる。
【0021】一方、短繊維(A)を構成するポリマーは
特に限定されるものではないが、少なくとも2種類のポ
リマーが相溶することなく繊維横断面で海島構造を形成
し、機械的剪断力によって海成分と島成分とが少なくと
も部分的にバラバラに分離してフィブリル化可能な特性
を持っていることが必要である。短繊維(A)を構成す
るポリマーとしては、ポリエステル、ポリビニルアルコ
ール、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セル
ロース、ポリブタジエン、芳香族ポリアミド、レーヨ
ン、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンズビスオ
キサゾール、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール
等を挙げることができる。
【0022】上述のようにフィブリル化可能な短繊維
(A)を用いることにより、繊維添加時には短繊維のア
スペクト比(繊維長を繊維断面積相当の円の直径で割っ
た値)を低くし、繊維の絡み合いを抑制してゴムへの分
散性を良好にし、その後に機械的剪断力を与えて短繊維
の海成分と島成分とをバラバラに分離させてフィブリル
化し、そのフィブリル化後の短繊維(A’)とゴムとの
接触面積を増大させることにより、アンダートレッド4
bの補強効果を向上することができる。なお、短繊維
(A)はフィブリル化によって全断面で分割・細径化し
ていてもよく、或いは幹部を残して周囲や両端部だけが
細径化していてもよい。
【0023】短繊維(A)の平均長は1〜5000μm
であることが好ましい。短繊維(A)の平均長が1μm
未満であるとゴムの異方性が十分に得られず、逆に50
00μmを超えると混練時及び押出時における加工性が
著しく低下する。また、フィブリル化した短繊維
(A’)の平均直径は0.05〜5.0μm、より好ま
しくは0.1〜2μmにすることが好ましい。フィブリ
ル化した短繊維(A’)の平均直径を0.05μm未満
にすると混練時間が長くなり、それ以上に細径化しても
補強効果の向上は得られなくなり、逆に5.0μmを超
えた状態にするとフィブリル化が不十分であるためゴム
との親和性が不十分になり、アンダートレッド4bに亀
裂を生じやすくなる。
【0024】本発明に使用される短繊維(A)の好まし
い一例として、少なくともポリビニルアルコール系ポリ
マー(X)と水不溶性ポリマー(Y)からなり、重量比
X/Yを90/10〜20/80として、いずれか一方
が島成分、他方が海成分となる海島構造を形成する短繊
維を使用することができる。この短繊維は、水溶性ポリ
マーであるポリビニルアルコール系ポリマー(X)と、
酢酸セルロースや澱粉等のように常温水中に浸漬しても
溶解しない水不溶性ポリマー(Y)との組み合わせによ
って海島構造を形成するものである。ポリビニルアルコ
ール系ポリマーは高強度であると共に、ゴムとの親和性
が優れている。上記短繊維においてポリビニルアルコー
ル系ポリマー(X)が90重量%を超えるとゴム混練に
よって機械的剪断力を与えても繊維が分割せず、逆に2
0重量%未満であると繊維補強効果が得られない。
【0025】また、上記ポリビニルアルコール系ポリマ
ー(X)と共に、水不溶性ポリマー(Y)としてアクリ
ロニトリル系ポリマーを用いてもよい。このようなポリ
ビニルアルコール系ポリマーとアクリロニトリル系ポリ
マーの組み合わせは、繊維の分割・細径化や高強度の点
で好ましく、さらにポリビニルアルコール系繊維の製造
方法として湿式紡糸方法で代表される溶剤紡糸方法が用
いられるが、その際の紡糸原液の溶媒としてジメチルス
ルホキシド(DMSO)が用いられる場合には、アクリ
ロニトリル系ポリマーもDMSOに可溶性であるため、
製造の点からもポリビニルアルコール系ポリマーとアク
リロニトリル系ポリマーの組み合わせが好ましい。
【0026】ポリビニルアルコール系ポリマーとして
は、完全ケン化されたものであっても、部分ケン化され
たものであっても、さらに他のモノマーを共重合したも
のであってもよい。一方、アクリロニトリル系ポリマー
としては、アクリロニトリルを70モル%以上含有して
いればよく、例えばメチルアクリレート、エチルアクリ
レート、メチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル
酸エステル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルなどのビニルエ
ステル類、塩化ビニルなどのビニル化合物類、アクリル
酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボ
ン酸類、スルホン酸含有ビニル化合物などのモノマー
や、ブタジエン、イソプレンなどのゴムと共加硫し得る
モノマーなどで共重合されていてもよい。また、原液溶
媒に対する溶解性を向上させるためには、PANホモポ
リマーよりも、他のモノマーを0.5〜10モル%、さ
らに好ましくは2〜8モル%共重合させたアクリロニト
リル系ポリマーが好ましい。
【0027】本発明において、アンダートレッド4bを
構成するゴムに対して、フィブリル化した短繊維
(A’)を単独で使用する場合、ゴム100重量部に対
して1〜15重量部配合するようにする。短繊維
(A’)の配合量が1重量部未満であるとアンダートレ
ッド4bのタイヤ幅方向のモジュラスaに対するタイヤ
周方向のモジュラスbの比b/aを1.5以上にするこ
とが困難になり、逆に15重量部を超えると混練時及び
押出時における加工性が著しく低下してしまう。なお、
短繊維(A)の配合量はフィブリル化した短繊維
(A’)の配合量と実質的に同一である。
【0028】短繊維(A)をゴムに配合する際、繊維の
収束性を高めてゴムへの分散を促進するために、短繊維
(A)の表面に、例えばゴムラテックス、液状ゴム、液
状樹脂、水溶性樹脂、熱可塑性樹脂などで適当な浸漬処
理を施しても良い。また、短繊維(A)とゴムとの加硫
接着性を向上するために、ゴムにフェノール系化合物と
メチレン供与体のような接着性化合物を配合しても良
い。
【0029】フェノール系化合物としては、レゾルシ
ン、β−ナフトール、レゾルシンとアルデヒド類との縮
合物(レゾルシン樹脂)、m−クレゾールとアルデヒド
類との縮合物(m−クレゾール樹脂)、フェノールとア
ルデヒド類との縮合物(フェノール樹脂)、その他フェ
ノール性有機化合物とアルデヒド類との縮合物が挙げら
れる。一方、メチレン供与体としては、ヘキサメチレン
テトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、パラ
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドアンモニア、α−
ポリオキシメチレン、多価メチロールアセチレン尿素及
びそれらの誘導体が挙げられる。
【0030】フィブリル化した短繊維(A’)は、ゴム
との親和性に優れるため、これらを配合しなくても問題
とはならないが、配合する場合はフェノール性化合物を
ゴム100重量部に対して10重量部以下、好ましくは
6重量部以下とし、メチレン供与体をゴム100重量部
に対して10重量部以下、好ましくは5重量部以下とす
ることが好ましい。これら配合量を超えると加工性が低
下したり、破断伸びが著しく低下するので好ましくな
い。これら配合剤のほか、シランカップリング剤、チタ
ネートカップリング剤、不飽和カルボン酸及びその誘導
体、エポキシ樹脂、エポシキ基変性液状オリゴマー又は
ポリマー、無水マレイン酸変性液状オリゴマー又はポリ
マー、ブロックイソシアネートなどの接着性化合物を配
合するようにしても良い。
【0031】また、上記フィブリル化した短繊維
(A’)は特に低伸長時におけるモジュラスを増大させ
る作用は大きいが、高伸長時におけるモジュラスを増大
させる作用は小さい。そのため、フィブリル化した短繊
維(A’)に加えて、主鎖にアミド基を有する熱可塑性
ポリマーからなる短繊維(B)を配合することが好まし
い。この短繊維(B)は高伸長時におけるモジュラスを
増大させる作用が大きいため、短繊維(A’)と短繊維
(B)とのハイブリッド配合にすることにより、低伸長
時と高伸長時におけるモジュラスを同時に増大させるこ
とが可能になる。高伸長時におけるモジュラスを増大さ
せることにより、屈曲疲労に対する亀裂の発生及び亀裂
成長を抑制することが可能になるので、耐亀裂成長性を
向上することができる。
【0032】このようにハイブリッド配合とした場合、
フィブリル化した短繊維(A’)の配合量をゴム100
重量部に対して1〜12重量部にすると共に、主鎖にア
ミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)
の配合量をゴム100重量部に対して1〜10重量部に
する。短繊維(A’)と短繊維(B)の配合量の和が2
重量部未満であるとアンダートレッド4bのタイヤ幅方
向のモジュラスaに対するタイヤ周方向のモジュラスb
の比b/aを1.5以上にすることが困難になり、逆に
22重量部を超えると混練時及び押出時における加工性
が著しく低下してしまう。
【0033】上述の短繊維(B)は主鎖にアミド基を有
する熱可塑性ポリマーから構成されている。短繊維
(B)の平均直径は0.05〜5.0μmの範囲にする
ことが好ましい。この短繊維(B)をアンダートレッド
4bのゴム中に配合するに当たって、短繊維(B)がゴ
ム及び/又はポリオレフィンからなるマトリックス中に
分散しており、かつ短繊維(B)がマトリックスと結合
している組成物を作製し、この組成物をアンダートレッ
ド4bのゴム中に配合するようにする。短繊維(B)を
含む組成物の例としては、下記の(i)、(ii) 、(ii
i) を挙げることができる。
【0034】(i)加硫可能なゴム100重量部にポリ
マーの分子中アミド基を有する熱可塑性ポリマーの微細
な短繊維1〜100重量部が埋封されており、かつ該繊
維の界面において前記ポリマーと加硫可能なゴムとがノ
ボラック型フェノールホルムアルデヒド系樹脂の初期縮
合物を介してグラフトしている強化ゴム組成物(特開昭
59−43041号公報参照)。
【0035】ノボラック型フェノールホルムアルデヒド
系樹脂の初期縮合物は、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、
シュウ酸などの酸を触媒として、フェノール、ビスフェ
ノール類などのフェノール類とホルムアルデヒド(パラ
ホルムアルデヒドでもよい)とを縮合反応させることよ
って得られる可溶可融の樹脂およびその変形物(変性
物)である。
【0036】(ii) ポリオレフィンとエラストマーから
なるマトリックス中に、熱可塑性ポリアミドが微細繊維
状に分散しており、該微細繊維がシランカップリング剤
を介してマトリックスと結合している繊維強化熱可塑性
組成物(特開平7−278360号公報参照)。シラン
カップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス
(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルアルコキシ
シラン、ビニルトリアセチルシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−〔N−(β−メタ
クリロキシエチル)−N、N−ジメチルアンモニウム
(クロライド)〕プロピルメトキシシラン、N−β(ア
ミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
及びスチリルジアミノシラン、γ−ウレイドプロピルト
リエトキシシラン等を挙げることができる。
【0037】(iii)加硫可能なゴム100重量部に平均
径0.05〜0.8μmのナイロンの微細な繊維1〜7
0重量部が埋封されており、かつ該繊維の界面において
ナイロンと加硫可能なゴムとがレゾール型アルキルフェ
ノールホルムアルデヒド系樹脂の初期縮合物を介してグ
ラフト結合している強化ゴム組成物(特開昭58−79
037号公報参照)。
【0038】レゾール型アルキルフェノールホルムアル
デヒド系樹脂の初期縮合物は、例えば、クレゾールのよ
うなアルキルフェノールとホルムアルデヒドあるいはア
トセアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下に反応させて
得られるレゾール型初期縮合物およびその変性物が挙げ
られる。特に、アルキルフェノールホルムアルデヒド系
樹脂として、分子中にメチロール基を2個以上有するも
のが好適に使用できる。
【0039】上記(i)、(iii) における加硫可能なゴ
ム、上記(ii) におけるエラストマーは、それぞれアン
ダートレッド4bを構成するゴムと同様なものである。
また、上記(i)におけるアミド基を有する熱可塑性ポ
リマー、上記(ii)における熱可塑性ポリアミドとして
は、熱可塑性ポリアミド及び尿素樹脂が挙げられる。こ
れらのうち好ましいものとしては、融点が135℃から
350℃のものが挙げられ、特に好ましいものとして融
点が150℃から300℃の熱可塑性ポリアミドが挙げ
られる。
【0040】熱可塑性ポリアミドとしては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合
体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、キシ
リレンジアミンとアジピン酸との重縮合体、キシリレン
ジアミンとピメリン酸との重縮合体、キシリレンジアミ
ンとスペリン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとア
ゼライン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとセバシ
ン酸との重縮合体、テトラメチレンジアミンとテレフタ
ル酸の重縮合体、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル
酸の重縮合体、オクタメチレンジアミンとテレフタル酸
の重縮合体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレ
フタル酸の重縮合体、デカメチレンジアミンとテレフタ
ル酸の重縮合体ウンデカメチレンジアミンとテレフタル
酸の重縮合体、ドデカメチレンジアミンとテレフタル酸
の重縮合体、テトラメチレンジアミンとイソフタル酸の
重縮合体ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮
合体、オクタメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合
体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸
の重縮合体、デカメチレンジアミンとイソフタル酸の重
縮合体、ウンデカメチレンジアミンとイソフタル酸の重
縮合体、及びドデカメチレンジアミンとイソフタル酸の
重縮合体等が挙げられる。
【0041】これらの熱可塑性ポリアミドのうち、特に
好ましいものとしては、融点160〜265℃の熱可塑
性ポリアミドが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合体、ナイロ
ン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン1
1、及びナイロン12等が挙げられる。上記(ii)におけ
るポリオレフィンは、80〜250℃の融点を有するも
のである。また、50℃以上の軟化点、特に50〜20
0℃軟化点をもつものも好ましく用いられる。このよう
なポリオレフィンとしては、C2 〜C8 のオレフィンの
単独重合体や共重合体、及び、C2 〜C8 のオレフィン
とスチレンやクロロスチレン、α−メチルスチレン等の
芳香族ビニル化合物との共重合体、C2 〜C8 のオレフ
ィンと酢酸ビニルとの共重合体、C2 〜C8 のオレフィ
ンとアクリル酸或いはそのエステルとの共重合体、C2
〜C8 のオレフィンとメタアクリル酸或いはそのエステ
ルとの共重合体、及びC2 〜C8 のオレフィンとビニル
シラン化合物との共重合体が好ましく用いられるものと
して挙げられる。
【0042】具体的には、例えば、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・
プロピレンブロック共重合体、エチレンプロピレンラン
ダム共重合体、線状低密度ポリエチレン、ポリ4−メチ
ルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、
エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸
共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチ
レン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル
酸プロピル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重
合体、エチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合
体、エチレン・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、
エチレン・ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレ
ンビニルトリエトキシシラン共重合体、エチレン・ビニ
ルシラン共重合体、エチレン・スチレン共重合体、及び
プロピレン・スチレン共重合体等がある。また、塩素化
ポリエチレンや臭素化ポリエチレン、クロロスルホン化
ポリエチレン等のハロゲン化ポリオレフィンも好ましく
用いられる。これらのポリオレフィンは1種のみ用いて
もよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0043】次に、本発明におけるアンダートレッドの
成形方法について説明する。先ず、ゴム中にカーボンブ
ラック、加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル等を配合
したゴム組成物に、少なくとも2種類のポリマーが横断
面で海島構造をなす短繊維(A)を所定量配合し、更に
必要に応じて、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマ
ーからなる短繊維(B)がマトリックス中に分散して結
合した組成物を所定量配合し、これをバンバリーで素練
りすることにより、ゴム中に短繊維(A)及び短繊維
(B)を均一に分散させる。
【0044】次に、素練りした組成物を更に一対のオー
プンロール間で機械的剪断力を与えながら混練すること
により短繊維(A)をフィブリル化し、フィブリル化後
における短繊維(A’)の平均径を0.05〜5.0μ
mにする。このようにして得た組成物を押出機等を使用
してタイヤ周方向に押し出してシート状に成形すること
により、短繊維(A’)及び短繊維(B)をタイヤ周方
向に配向させて、アンダートレッドのタイヤ幅方向のモ
ジュラスaに対するタイヤ周方向のモジュラスbの比b
/aを1.5以上にすることができる。
【0045】
【実施例】タイヤサイズを185/65R14 86H
とし、トレッド部をキャップトレッドとアンダートレッ
ドとの2層構造にした空気入りタイヤにおいて、アンダ
ートレッドを構成するゴム中に、ポリビニルアルコール
と酢酸セルロースからなる横断面で海島構造の短繊維
(A)がフィブリル化した短繊維(A’)を配合し、更
に必要に応じて、主鎖にアミド基を有するナイロン6か
らなる短繊維(B)がゴムマトリックス中に分散して結
合した組成物を配合し、短繊維(A’)及び短繊維
(B)をタイヤ周方向に配向させて、アンダートレッド
のタイヤ幅方向のモジュラスaに対するタイヤ周方向の
モジュラスbの比b/aを種々異ならせた実施例1〜5
と、短繊維未配合の従来例及び比較例1〜3と、短繊維
を配合した比較例4〜6とを製作した。実施例1〜5及
び比較例4〜6において、短繊維(A)及び短繊維
(B)の配合量をゴム100重量部に対して種々異なら
せた。
【0046】これら試験タイヤについて、下記試験方法
により転がり抵抗、操縦安定性、高速耐久性を評価し、
その結果を表1に示した。また、アンダートレッドのよ
り具体的な配合を表2に示した。なお、表1において、
短繊維(B)の配合量のかっこ内の数値はナイロンの量
を示す。 転がり抵抗:各試験タイヤをリムサイズ14×5・1/
2JJのホイールに組付けて空気圧210kPaとして
ドラム試験機に装着し、ロードセルにより転がり抵抗を
測定した。評価結果は、従来例を100とする指数で示
した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいこと
を示す。
【0047】操縦安定性:各試験タイヤをリムサイズ1
4×5・1/2JJのホイールに組付けて空気圧210
kPaとして排気量1800ccの乗用車に装着し、5
人のテストドライバーによるフィーリングテストを行っ
て操縦安定性を評価した。評価結果は5段階評価により
示した。この評価値が大きいほど操縦安定性が優れてい
る。
【0048】高速耐久性:各試験タイヤをリムサイズ1
4×5・1/2JJのホイールに組付けて空気圧210
kPaとしてドラム試験機に装着し、JIS D423
0に準拠して高速耐久性試験を行った。なお、表1にお
いて、「◎」は優、「○」は良、「△」は可、「×」は
不可を意味する。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表1から明らかなように、比較例1では、
従来例に比べてカーボンを減らしたため操縦安定性が悪
くなり、ゴム流れの悪化でゲージのバラツキが大きくな
った。比較例2では、反発弾性が大きいブタジエンゴム
を使用したため転がり抵抗が低下したものの、ゴム流れ
と操縦安定性が悪くなった。比較例3では、カーボンを
増やしたため操縦安定性が向上したものの、転がり抵抗
が増加し、高速耐久性が悪くなった。
【0052】実施例1では、短繊維(A)を配合したた
めゴム流れが改善され、操縦安定性を維持しながら転が
り抵抗を減らすことができた。実施例2及び実施例3で
は、短繊維(A)の配合を増やしたためゴム流れがさら
に改善され、操縦安定性がさらに向上した。また、比較
例4では、ナイロン短繊維(B)だけを配合しているの
で、操縦安定性が低下していた。比較例5では、ナイロ
ン短繊維(B)の配合量を多量にしたためムーニー粘度
が高くなり押し出し加工性が低下した。
【0053】実施例4及び実施例5では、短繊維(A)
の添加によりムーニー粘度が低くなるので、ナイロン短
繊維(B)とハイブリッド配合することが可能になり、
高速耐久性を向上することができた。また、比較例6で
は、短繊維(A)の配合量が多すぎることにより押出し
加工性が低下した。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ト
レッド部をキャップトレッドとアンダートレッドとを含
む少なくとも2層構造にした空気入りタイヤにおいて、
前記アンダートレッドを構成するゴム中に、少なくとも
2種類のポリマーが横断面で海島構造をなす短繊維
(A)がフィブリル化した短繊維(A’)を特定量配合
し、更に必要に応じて、主鎖にアミド基を有する熱可塑
性ポリマーからなる短繊維(B)がゴム及び/又はポリ
オレフィンからなるマトリックス中に分散して結合した
組成物を特定量配合し、前記短繊維(A’)と短繊維
(B)をタイヤ周方向に配向させて、アンダートレッド
のタイヤ幅方向のモジュラスaに対するタイヤ周方向の
モジュラスbの比b/aを1.5以上にしたことによ
り、アンダートレッドにエネルギー損失が小さいゴムを
使用してタイヤの転動抵抗を低減するに際し、タイヤ加
硫成形時のゴム流れによるゲージの不均一性を改善する
と共に、操縦安定性を向上することができる。
【0055】また、上記フィブリル化した短繊維
(A’)を用いれば、硬くしても発熱性が少ないアンダ
ートレッドを構成することができ、しかも加工性や分散
性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示
す子午線半断面図である。
【符号の説明】
1 ビード部 2 カーカス層 3 ビードコア 4 トレッド部 4a キャップトレッド 4b アンダートレッド 5 ベルト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 29:04) (C08L 21/00 33:20) (C08L 21/00 29:04 77:00) (C08L 21/00 33:20 77:00)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレッド部をキャップトレッドとアンダ
    ートレッドとを含む少なくとも2層構造にした空気入り
    タイヤにおいて、前記アンダートレッドを構成するゴム
    中に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造
    をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)
    をゴム100重量部に対して1〜15重量部配合し、前
    記短繊維(A’)をタイヤ周方向に配向させて、前記ア
    ンダートレッドのタイヤ幅方向のモジュラスaに対する
    タイヤ周方向のモジュラスbの比b/aを1.5以上に
    した空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 トレッド部をキャップトレッドとアンダ
    ートレッドとを含む少なくとも2層構造にした空気入り
    タイヤにおいて、前記アンダートレッドを構成するゴム
    中に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造
    をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)
    と、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる
    短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィンからなる
    マトリックス中に分散して結合した組成物とを、それぞ
    れゴム100重量部に対して前記短繊維(A’)が1〜
    12重量部、前記短繊維(B)が1〜10重量部となる
    ように配合し、これら短繊維(A’)及び短繊維(B)
    をタイヤ周方向に配向させて、前記アンダートレッドの
    タイヤ幅方向のモジュラスaに対するタイヤ周方向のモ
    ジュラスbの比b/aを1.5以上にした空気入りタイ
    ヤ。
  3. 【請求項3】 前記アンダートレッドを構成するゴムが
    天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、
    共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ゴムから選ばれた少
    なくとも1種である請求項1又は2に記載の空気入りタ
    イヤ。
  4. 【請求項4】 前記短繊維(A’)がポリビニルアルコ
    ール系ポリマーを含む請求項1乃至3のいずれか1項に
    記載の空気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記トレッド部における前記アンダート
    レッドの体積比を25〜40%にした請求項1乃至4の
    いずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記アンダートレッドを構成するゴム中
    に、ヨウ素吸着量が30〜60mg/gであるカーボン
    ブラックをゴム100重量部に対して25〜60重量部
    配合した請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入り
    タイヤ。
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