JP2014148289A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】デントの発生を抑えつつ、操縦安定性及び乗り心地の両立が達成された空気入りタイヤ36の提供。
【解決手段】このタイヤ36は、トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤ36は、トレッド38と、一対のサイドウォール40とを備える。トレッド38は、ベース層62と、このベース層62の半径方向外側に位置するキャップ層64とを備える。ベース層62は、第一ゴム組成物が架橋されたものからなる。第一ゴム組成物は、基材ゴム及び短繊維を含む。ベース層62は、本体76と、それぞれがこの本体76から半径方向略内向きに延びる一対の突出部78とを備える。突出部78は、サイドウォール40の内側に位置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
タイヤの製造方法では、フォーマーのドラム上で、トレッド、サイドウォール等の部材を多数組み合わせて、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。このローカバーの成形工程では、ドラムが拡径され、ローカバーの形状が整えられる。
この製造方法では、ローカバーはモールドに投入される。このとき、ブラダーはローカバーの内側に位置している。ブラダーにガスが充填されると、ブラダーは膨張する。これにより、ローカバーは変形する。モールドが締められ、ブラダーの内圧が高められる。ローカバーは、モールドとブラダーとに挟まれ加圧される。ローカバーは、ブラダー及びモールドからの熱伝導により、加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物は流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。
タイヤの性能は、これを構成する部材の特性を調整することにより制御される。操縦安定性の向上の観点から、タイヤの構成部材として、短繊維を含む部材を採用することがある。
上記短繊維を含む部材の採用例が、特開2003−146028公報に開示されている。この公報に記載のタイヤでは、短繊維を含む部材として短繊維補強ゴム層が用いられている。
図8には、従来タイヤ2の一例としてランフラットタイヤが示されている。このタイヤ2は、トレッド4、ウィング6、サイドウォール8、クリンチ10、ビード12、カーカス14、荷重支持層16、ベルト18、バンド20、インナーライナー22及びチェーファー24を備えている。
このタイヤ2では、トレッド4は、ベース層26及びキャップ層28を備えている。図8中、符号Pbで示されているのは、ベース層26の内側端である。ビード12は、コア30と、このコア30から半径方向外向きに延びるエイペックス32とを備えている。コア30はリング状であり、複数本の非伸縮性ワイヤーを含む。エイペックス32は、半径方向外向きに先細りなテーパ状である。エイペックス32は、高硬度な架橋ゴムからなる。カーカス14をなすカーカスプライ34は、両側のビード12の間に架け渡されている。カーカスプライ34は、トレッド4及びサイドウォール8の内側に沿っている。カーカスプライ34は、コア30の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。カーカスプライ34の端34eは、トレッド4の近傍にまで至っている。このカーカス14の構造は、超ハイターンアップ構造と称される。荷重支持層16は、サイドウォール8の軸方向内側に位置している。荷重支持層16は、三日月に類似の形状である。荷重支持層16は、高硬度な架橋ゴムからなる。
このタイヤ2では、パンクによってその内圧が低下した場合、荷重支持層16が車重を支える。この荷重支持層16により、内圧が低い場合でも、タイヤ2はある程度の距離を走行しうる。
特開2003−146028公報
上記図8に示されたタイヤ2では、大きな厚みを有する荷重支持層16を採用することがある。これにより、パンクによってタイヤ2の内圧が低下した場合における、耐久性(ランフラット耐久性とも称されている。)の向上が図られる。しかしこの荷重支持層16は、質量の増加を招く恐れがある。しかもこの荷重支持層16は、剛性に影響する。この荷重支持層16は、乗り心地を低下させる恐れもある。
前述の、短繊維を含む部材によれば、質量の増加を抑えつつ、タイヤ2の剛性を調整できる。つまり、この部材によれば、操縦安定性及び乗り心地の両立を達成できる可能性がある。しかし、短繊維を多く含む部材の伸びは小さい。このため、タイヤ2の加硫工程において、ブラダーが膨張しローカバーが変形するとき、この部材がこの変形に追随できないことがある。ローカバーの変形を伴う製造方法では、短繊維を多く含む部材は採用できないという問題がある。この製造方法では、操縦安定性及び乗り心地の両立を図るには限界がある。
このタイヤ2のカーカスプライ34は、例えば、並列された多数のコードを含むテープを複数準備し、これらを順次接合して形成される。接合のとき、一のテープの縁が他のテープの縁に重ね合わされる。このため、接合部分は他の部分に比べて厚い。テープの縁の部分にもコードが存在しているため、接合部分におけるコード密度は他の部分におけるコード密度に比して高い。このようなカーカスプライ34を有するタイヤ2に空気を充填すると、このタイヤ2の側面の上記接合部分に対応する位置に、凹みが生じることがある。この凹みは、デントとも称されている。デントは、タイヤ2の外観及びユニフォミティに影響する。
本発明の目的は、デントの発生を抑えつつ、操縦安定性及び乗り心地の両立が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成されている。このタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドから半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えている。上記トレッドは、ベース層と、このベース層の半径方向外側に位置するキャップ層とを備えている。上記ベース層は、第一ゴム組成物が架橋されたものからなる。この第一ゴム組成物は、基材ゴム及び短繊維を含んでいる。上記ベース層は、上記キャップ層が積層された本体と、それぞれがこの本体から上記カーカスに沿って半径方向略内向きに延びる一対の突出部とを備えている。それぞれの突出部は、上記サイドウォールの内側に位置している。
好ましくは、この空気入りタイヤは一対の荷重支持層をさらに備えている。それぞれの荷重支持層は、上記カーカスよりも軸方向内側に位置している。この荷重支持層は、第二ゴム組成物が架橋されたものからなる。この第二ゴム組成物は、基材ゴム及び短繊維を含んでいる。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第二ゴム組成物における上記短繊維の配合量は上記基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記短繊維の配合量は上記基材ゴム100質量部に対して30質量部以上である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記荷重支持層における上記短繊維は周方向に配向している。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記荷重支持層は上記第二ゴム組成物からなる第二ストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより形成されている。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ベース層の硬さは50以上80以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、ビードベースラインから上記突出部の半径方向内側端までの半径方向高さの、このタイヤの断面高さに対する比は、0.70以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、半径方向において、上記突出部の半径方向内側端は上記断面高さの半分の高さに相当する基準位置と一致している、又は、この突出部の半径方向内側端はこの基準位置よりも半径方向内側に位置している。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記基準位置における、上記突出部の厚さは0.3mm以上1.9mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第一ゴム組成物における上記短繊維の配合量は上記基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ベース層における上記短繊維は周方向に配向している。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ベース層は上記第一ゴム組成物からなる第一ストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより形成されている。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、
(1)トロイダル状の中子の外面において、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えており、上記トレッドがベース層とこのベース層の半径方向外側に位置するキャップ層とを備えており、上記ベース層が上記キャップ層が積層された本体とそれぞれがこの本体から上記カーカスに沿って半径方向略内向きに延在する一対の突出部とを備えており、このベース層が基材ゴム及び短繊維を含む第一ゴム組成物からなる、ローカバーが組み立てられる工程と、
(2)このローカバーがモールドに投入される工程と、
及び
(3)このローカバーがこのモールドと上記中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱される工程
を含む。
本発明に係る空気入りタイヤでは、ベース層は短繊維を含んでいる。このタイヤは、トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このため、このタイヤでは、従来の製造方法では採用できなかった、多くの短繊維を含むベース層の採用が可能である。このベース層によれば、質量の増加を抑えつつ、タイヤの剛性を調整できる。つまり、このベース層は、操縦安定性及び乗り心地の両立に寄与しうる。
このタイヤでは、ベース層は、キャップ層が積層された本体と、それぞれがこの本体からカーカスに沿って半径方向略内向きに延在する一対の突出部とを備えている。この突出部は、カーカスとサイドウォールとの間に位置している。この突出部は、デントの発生を抑えうる。前述したように、短繊維を含むベース層は操縦安定性及び乗り心地の両立に寄与しうる。本発明によれば、デントの発生を抑えつつ、操縦安定性及び乗り心地の両立が達成された空気入りタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤのサイドウォールの部分が示された拡大断面図である。 図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、図3のベース層の短繊維が示された模式図である。 図5は、ベース層のためのストリップの一部が示された斜視図である。 図6は、図1のタイヤの製造の様子が示された模式図である。 図7は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図8は、従来のタイヤの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ36が示されている。図1において、上下方向がタイヤ36の半径方向であり、左右方向がタイヤ36の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ36の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ36の赤道面を表わす。このタイヤ36の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
図1において、実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインは、タイヤ36が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA参照)を規定する線である。このビードベースラインは、軸方向に延びる。両矢印Hは、ビードベースラインからタイヤ36の赤道までの半径方向高さを表している。この高さHは、このタイヤ36の断面高さである。符号Phは、ビードベースラインからの半径方向高さ(図中の両矢印Hh)が断面高さHの半分となる、このタイヤ36の外面上の位置を表している。このタイヤ36では、この位置Phが断面高さHの半分の高さに相当する基準位置である。
このタイヤ36では、例えば、ユニフォミティ特性を表す、タイヤハイポイントマーク、タイヤライトポイントマーク等のようなマークを、側面の一部に付すことがある。マークを付す領域は、マーキング領域とも称されている。
図1には、このタイヤ36のマーキング領域が両矢印mで示されている。このタイヤ36では、側面における、符号P1で示される位置から符号P2で示される位置に至るまでの範囲がマーキング領域mである。通常、位置P1は、ビードベースラインからの半径方向高さ(図中の両矢印H1)が断面高さHの0.6倍以上0.8倍以下となる位置にある。通常、位置P2は、ビードベースラインからの半径方向高さ(図中の両矢印H2)が断面高さHの0.2倍以上0.4倍以下となる位置にある。
このタイヤ36は、トレッド38、サイドウォール40、クリンチ42、ビード44、カーカス46、ベルト48、バンド50、インナーライナー52、チェーファー54及び荷重支持層56を備えている。このタイヤ36は、チューブレスタイプである。このタイヤ36は、乗用車に装着される。
トレッド38は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド38の外面は、路面と接地するトレッド面58を形成する。トレッド面58には、溝60が刻まれている。この溝60により、トレッドパターンが形成されている。
このタイヤ36のトレッド38は、ベース層62とキャップ層64とを備えている。キャップ層64は、ベース層62の半径方向外側に位置している。ベース層62は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。キャップ層64は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール40は、トレッド38から半径方向略内向きに延びている。詳細には、サイドウォール40はキャップ層64の端64eの部分から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール40は、軸方向においてカーカス46よりも外側に位置している。このサイドウォール40は、その半径方向外側端において、キャップ層64と接合されている。このサイドウォール40は、その半径方向内側端において、クリンチ42と接合されている。サイドウォール40は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。前述のマーキング領域mは、このサイドウォール40の外面に形成されている。
クリンチ42は、サイドウォール40よりも半径方向略内側に位置している。クリンチ42は、軸方向において、ビード44及びカーカス46よりも外側に位置している。クリンチ42は、リム(図示されず)のフランジと当接する。クリンチ42は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。
ビード44は、クリンチ42よりも軸方向内側に位置している。このタイヤ36では、ビード44は、第一コア66aと、第二コア66bと、エイペックス68とを備えている。より詳細には、このビード44は、第一コア66a、第二コア66b及びエイペックス68から構成されている。
第一コア66aは、カーカス46よりも軸方向内側に位置している。第一コア66aは、リング状である。第一コア66aは、巻回された非伸縮性の第一ワイヤー70aを含む。このタイヤ36の第一コア66aは、第一ワイヤー70aを周方向に沿って渦巻き状に巻き回すことにより形成されている。第一ワイヤー70aの典型的な材質は、スチールである。
第二コア66bは、第一コア66aよりも軸方向外側に位置している。第二コア66bは、カーカス46よりも軸方向外側に位置している。第二コア66bは、リング状である。第二コア66bは、巻回された非伸縮性の第二ワイヤー70bを含む。このタイヤ36の第二コア66bは、第二ワイヤー70bを周方向に沿って渦巻き状に巻き回すことにより形成されている。第二ワイヤー70bの典型的な材質は、スチールである。このタイヤ36では、第一ワイヤー70aと同等のワイヤーが第二ワイヤー70bとして用いられている。
エイペックス68は、高硬度な架橋ゴムからなる。エイペックス68は、カーカス46よりも軸方向外側に位置している。図から明らかなように、エイペックス68は、第二コア66bを覆い、かつ、この第二コア66bから半径方向略外向きに延在している。このタイヤ36では、エイペックス68の外側端68eは、クリンチ42の外側端42eよりも半径方向内側に位置している。
このタイヤ36では、エイペックス68は十分な大きさを有している。このエイペックス68を含むビード44は、タイヤ36をリムに十分に締め付ける。このビード44には、カーカス46よりも軸方向内側に位置する別のエイペックスは不要である。このビード44は、タイヤ36を構成する部品数の低減に寄与しうる。しかもカーカス46の軸方向外側にのみエイペックス68を設ければよいので、このビード44の製造は容易である。このビード44は、生産性の向上に寄与しうる。
カーカス46は、カーカスプライ72を備えている。このタイヤ36のカーカス46は、一枚のカーカスプライ72からなる。このカーカス46が2枚以上のカーカスプライ72から形成されてもよい。カーカスプライ72は、両側のビード44の間に架け渡されている。カーカスプライ72は、トレッド38及びサイドウォール40の内側に沿っている。このタイヤ36では、カーカスプライ72の端の部分はビード44の第一コア66aとその第二コア66bとの間に挟まれている。
このタイヤ36では、カーカス46の形成に際し、従来のタイヤ2のように、カーカスプライ72を折り返す必要はない。このタイヤ36では、カーカス46の形成は容易である。このカーカス46は、生産性の向上に寄与しうる。
図示されていないが、カーカスプライ72は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス46はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト48は、カーカス46の半径方向外側に位置している。ベルト48は、カーカス46と積層されている。ベルト48は、カーカス46を補強する。ベルト48は、内側層74a及び外側層74bからなる。図から明らかなように、軸方向において、内側層74aの幅は外側層74bの幅よりも若干大きい。このタイヤ36では、内側層74aの端74aeがベルト48の端である。ベルト48の軸方向幅は、タイヤ36の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト48が、3以上の層74を備えてもよい。
図示されていないが、内側層74a及び外側層74bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層74aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層74bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
バンド50は、ベルト48の半径方向外側に位置している。このタイヤ36では、バンド50の軸方向幅はベルト48の軸方向幅よりも若干大きい。図示されていないが、バンド50はコードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド50は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト48が拘束されるので、ベルト48のリフティングが抑制される。ベルト48が効果的に拘束されるとの観点から、バンド50の軸方向幅はベルト48の軸方向幅の0.9倍以上1.1倍以下が好ましい。このタイヤ36では、バンド50のコードは有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー52は、カーカス46の内側に位置している。このインナーライナー52は、タイヤ36の内面を形成している。インナーライナー52は、架橋ゴムからなる。インナーライナー52には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー52の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー52は、タイヤ36の内圧を保持する。
チェーファー54は、ビード44の近傍に位置している。タイヤ36がリムに組み込まれると、チェーファー54はリムと当接する。この当接により、ビード44の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー54は布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー54がクリンチ42と一体とされてもよい。この場合は、チェーファー54の材質はクリンチ42の材質と同じとされる。
荷重支持層56は、架橋ゴムからなる。荷重支持層56は、サイドウォール40よりも軸方向内側に位置している。荷重支持層56は、カーカス46よりも軸方向内側に位置している。荷重支持層56は、インナーライナー52よりも軸方向外側に位置している。荷重支持層56の半径方向内側部分は、ビード44の第一コア66aを覆う。この荷重支持層56は、この第一コア66aから半径方向略外向きに延在している。荷重支持層56の半径方向外側部分は、先細りな形状を呈している。荷重支持層56の半径方向外側端56eは、軸方向において、ベルト48の外側層74bの端74beよりも内側に位置している。
荷重支持層56は、タイヤ36の剛性に寄与しうる。このタイヤ36では、サイドウォール40の軸方向内側において、カーカス46とインナーライナー52との間に、荷重支持層56が位置している。このタイヤ36では、パンクによってその内圧が低下した場合、荷重支持層56が車重を支える。これにより、内圧が低い場合でも、このタイヤ36はある程度の距離を走行しうる。このタイヤ36は、ランフラットタイヤである。このタイヤ36は、サイド補強型である。
前述したように、このタイヤ36のトレッド38は、ベース層62とキャップ層64とを備えている。詳細には、このトレッド38は、ベース層62及びキャップ層64からなる。図から明らかなように、ベース層62の端62eはキャップ層64の端64eとは一致していない。ベース層62は、キャップ層64から突出している。この突出している部分は、カーカス46に沿って半径方向略内向きに延在している。このタイヤ36のベース層62は、キャップ層64が積層された本体76と、この本体76からカーカス46に沿って半径方向略内向きに延在する突出部78とを備えている。
このタイヤのベース層62は、第一ゴム組成物が架橋されたものからなる。この第一ゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。接着性の観点から、この基材ゴムとしては天然ゴムが好ましい。2種以上のゴムが併用されてもよい。
ベース層62の第一ゴム組成物は、短繊維をさらに含む。短繊維は、ベース層62の強度に寄与しうる。この短繊維としては、有機繊維が例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。質量の軽量化及び低コスト化の観点から、この短繊維として、クラフト紙及び新聞古紙からなる原料紙が細片化されて叩解されることにより得られる紙繊維が用いられてもよい。
このタイヤ36では、ベース層62の第一ゴム組成物における短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下が好ましい。この短繊維の配合量が5質量部以上に設定されることにより、ベース層62が適度な強度を有する。このベース層62は、タイヤ36の剛性に寄与しうる。この観点から、この短繊維の配合量は、10質量部以上がより好ましい。この短繊維の配合量が60質量部以下に設定されることにより、ベース層62の接着性が適切に維持される。このベース層62は、キャップ層64、サイドウォール40、バンド50及びカーカス46というような部材と十分に接合しうる。このタイヤ36は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は55質量部以下がより好ましい。
好ましくは、ベース層62の第一ゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、ベース層62の第一ゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
ベース層62の第一ゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。ベース層62の強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。ベース層62の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
ベース層62の第一ゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。ベース層62の軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。ベース層62の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
ベース層62の第一ゴム組成物には、前述の成分以外に、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ、さらに添加される。
図2には、図1のタイヤ36の一部が示されている。この図2には、ベース層62の突出部78の設けられている部分が拡大して示されている。この図2において、上下方向がタイヤ36の半径方向であり、左右方向がタイヤ36の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ36の周方向である。図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。この図3には、ベース層62の一部が示されている。この図3において、上下方向がタイヤ36の半径方向であり、左右方向がタイヤ36の周方向である。
図示されているように、ベース層62は、多数の短繊維80と、マトリクス82とで構成されている。換言すれば、このベース層62は繊維補強ゴム(FRR)からなる。これら短繊維80は、マトリクス82に分散している。これら短繊維80の長手方向は、略周方向に沿っている。このベース層62において、短繊維80は周方向に配向している。短繊維80は、ベース層62の強度に効果的に寄与しうる。
図4は、図3のベース層62の短繊維80が示された模式図である。図4において、左右方向が周方向である。矢印θで示されているのは、短繊維80の角度である。角度θは、直線X1と直線X2とのなす角度の絶対値である。直線X1は、周方向に延びている。直線X2は、短繊維80の一端84a及び他端84bを通過している。この角度θは、短繊維80の長手方向が周方向に対してなす角度である。角度θは、0°以上90°以下である。なお、図4中、両矢印Lで示されているのが繊維長である。この繊維長Lは、一端84aから他端84bまでの長さが計測されることにより得られる。
ベース層62がタイヤ36の剛性に効果的に寄与しうるとの観点から、角度θが20°以下である短繊維80の数の、短繊維80の総数に対する比率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。比率の算出においては、ベース層62の、周方向に沿った断面に露出した短繊維80の角度が、測定される。無作為に抽出された100本の短繊維80について、角度の測定がなされる。なお、角度θが20°以下である短繊維80の数の、短繊維80の総数に対する比率が90%以上である場合が、ベース層62における短繊維80が周方向に配向している状態である。
このタイヤ36では、短繊維80がベース層62の強度を効果的に高めている。このベース層62は、タイヤ36の剛性に寄与しうる。このベース層62を備えるタイヤ36は、操縦安定性に優れる。
このタイヤ36では、ベース層62の突出部78はサイドウォール40の内側において略半径方向に延在している。この突出部78は、タイヤ36の剛性を効果的に高めうる。この突出部78は、タイヤ36の操縦安定性に寄与しうる。
このタイヤ36では、ベース層62に含まれる短繊維80が質量に与える影響は小さい。このタイヤ36では、ベース層62に突出部78が設けられているにもかかわらず、質量の増加が抑えられている。
前述したように、このタイヤ36では、ベース層62に含まれる短繊維80は周方向に配向している。このタイヤ36では、ベース層62による撓みへの影響が抑えられている。このタイヤ36では、乗り心地が適切に維持される。
このタイヤ36では、短繊維80が効果的にベース層62の強度を高めるとの観点から、短繊維80の平均長さL(図4参照)は、20μm以上が好ましい。平均長さLが20μm以上である短繊維80により、ベース層62が十分に補強される。マトリクス82への分散性の観点から、平均長さLは5000μm以下が好ましい。
短繊維80の平均直径Dは、0.04μm以上が好ましい。平均直径Dが0.04μm以上である短繊維80により、ベース層62の強度が十分に高められる。マトリクス82への分散性の観点から、平均直径Dは500μm以下が好ましい。
短繊維80のアスペクト比(L/D)は、10以上が好ましい。アスペクト比(L/D)が10以上である短繊維80により、ベース層62の強度が十分に高められる。マトリクス82への分散性の観点から、アスペクト比(L/D)は500以下が好ましい。
前述したように、荷重支持層56は架橋ゴムからなる。言い換えれば、このタイヤ36では、荷重支持層56は第二ゴム組成物が架橋されたものからなる。この第二ゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
好ましくは、荷重支持層56の第二ゴム組成物は短繊維をさらに含む。短繊維は、荷重支持層56の強度に寄与しうる。この短繊維には、ベース層62に関して前述された短繊維80が好適に用いられる。
好ましくは、荷重支持層56の第二ゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、荷重支持層56の第二ゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
荷重支持層56の第二ゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。荷重支持層56の強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。荷重支持層56の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
荷重支持層56の第二ゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。荷重支持層56の軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。荷重支持層56の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
荷重支持層56の第二ゴム組成物には、前述の成分以外に、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ、さらに添加される。
前述したように、荷重支持層56の第二ゴム組成物は短繊維を含むことができる。この場合、短繊維が荷重支持層56の強度を効果的に高める。このタイヤ36では、パンクによってその内圧が低下した場合、荷重支持層56が車重の支持に効果的に寄与しうる。このタイヤ36は、パンクによって内圧が低下した場合における耐久性(ランフラット耐久性とも称されている。)に優れる。
前述したように、荷重支持層56が短繊維を含むとき、短繊維が荷重支持層56の強度を効果的に高める。このため、このタイヤ36では、荷重支持層56の厚さを小さくすることができる。薄い荷重支持層56は、タイヤの軽量化に寄与しうる。しかもこの短繊維がタイヤ36の質量に与える影響は小さい。このタイヤ36では、質量の増加が抑えられる。
このタイヤ36では、荷重支持層56の第二ゴム組成物における短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下が好ましい。この短繊維の配合量が5質量部以上に設定されることにより、短繊維が荷重支持層56の強度に効果的に寄与しうる。このタイヤ36は、ランフラット耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上ががさらに好ましく、30質量部以上が特に好ましい。この短繊維の配合量が60質量部以下に設定されることにより、荷重支持層56がインナーライナー52及びカーカス46のそれぞれと十分に接合しうる。このタイヤ36は、耐久性に優れる。
このタイヤ36では、荷重支持層56が短繊維を含むとき、この荷重支持層56における短繊維は周方向に配向しているのが好ましい。これにより、荷重支持層56による撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ36では、乗り心地が適切に維持される。なお、この荷重支持層56における短繊維の配向状態は、前述されたベース層62における短繊維80の配向状態と同様にして確認される。
このタイヤ36では、前述されたベース層62の突出部78は荷重支持層56に沿って略半径方向に延在している。このタイヤ36では、荷重支持層56以外に、この突出部78も車重の支持に寄与しうる。このタイヤ36は、ランフラット耐久性に優れる。
以上説明されたタイヤ36は、次のようにして製造される。この製造方法では、ベース層62の第一ゴム組成物が押し出され、図5に示された第一ストリップが形成される。図5中、矢印Aで示された方向はこの第一ストリップ86の長さ方向である。この長さ方向は、第一ストリップ86の押出方向でもある。
この製造方法では、第一ストリップ86はその断面形状が矩形状を呈するように成形される。前述したように、ベース層62の第一ゴム組成物は短繊維80を含んでいる。したがって、この第一ストリップ86も短繊維80を含んでいる。第一ストリップ86は第一ゴム組成物を押し出して成形されるので、短繊維80は、この第一ストリップ86において、その押出方向、言い換えれば、その長さ方向に配向している。ここで「長さ方向に配向」とは、長手方向が第一ストリップ86の長さ方向に対してなす角度が20°以下である短繊維80の数の、短繊維80の総数に対する比率が90%以上である場合を意味している。この第一ストリップ86における短繊維80の長手方向が第一ストリップ86の長さ方向に対してなす角度は、前述の、ベース層62における角度θの計測方法と同様の方法で計測される。なお、比率の算出においては、第一ストリップ86の表面に露出した短繊維80の角度が、測定される。
図5において、両矢印TTはベース層62の形成に用いる第一ストリップ86の厚みを表している。両矢印WTは、この第一ストリップ86の幅を表している。
この製造方法では、厚みTTは0.3mm以上2.0mm以下が好ましい。この厚みTTが0.3mm以上に設定されることにより、第一ストリップ86の強度が適切に維持される。しかもこの第一ストリップ86により形成されるベース層62が、タイヤ36の剛性に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚みTTは0.5mm以上がより好ましい。この厚みTTが2.0mm以下に設定されることにより、この厚みTTに起因する段差の形成が防止される。この観点から、この厚みTTは1.0mm以下がより好ましい。
この製造方法では、幅WTは3mm以上25mm以下が好ましい。この幅WTが3mm以上に設定されることにより、このタイヤ36の生産性が適切に維持されうる。この観点から、この幅WTは5mm以上が好ましい。この幅WTが25mm以下に設定されることにより、この第一ストリップ86の巻き始めと巻き終わりにおける剛性差が適切に維持される。この第一ストリップ86によれば、適正な形状を有するベース層62が得られる。この観点から、この幅WTは15mm以下がより好ましい。
この製造方法では、荷重支持層56の第二ゴム組成物が押し出され、第二ストリップが形成される。図示されていないが、第二ストリップは、図5に示された第一ストリップ86の形態と同様の形態を有している。
この製造方法では、中子が準備される。図示されていないが、この中子はトロイダル状の外面を備えている。この外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ36の内面形状に近似されている。
この製造方法では、中子の外面にインナーライナー52が巻かれる。このインナーライナー52上に、前述された第二ストリップが周方向に螺旋状に巻回される。これにより、荷重支持層56が形成される。
荷重支持層56が形成されると、この荷重支持層56にビード44の第一コア66aが組み合わされる。インナーライナー52に、荷重支持層56及び第一コア66aが組み合わされたものの外側に、カーカスプライ72が形成される。
この製造方法では、カーカスプライ72の形成のために、並列された多数のコードを含むテープ(図示されず)が複数準備される。これらテープを順次接合して、カーカスプライ72が形成される。
この製造方法では、カーカスプライ72の端の部分に、ビード44の第二コア66bが組み合わされる。そして、ベルト48、バンド50、エイペックス68及びクリンチ42が形成される。
この製造方法では、左右のクリンチ42が形成されると、一方のクリンチ42の側から他方のクリンチ42の側に向かって、第一ストリップ86が周方向に螺旋状に巻回される。これにより、ベース層62が形成される。
この製造方法では、キャップ層64及びサイドウォール40がさらに組み合わされ、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。この製造方法では、ローカバーが組み立てられる工程は成形工程と称されている。
この製造方法では、中子の外面においてベース層62をはじめとする多数の要素が組み合わされ、ローカバーが得られる。言い換えれば、ローカバーは中子の外面において組み立てられる。前述したように、中子の外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ36の内面形状に近似されている。この製造方法では、従来の製造方法のようなローカバーのシェーピングは不要である。この製造方法では、成形工程においてローカバーは引き延ばされない。
ローカバーは、開かれたモールドに投入される。この製造方法では、ローカバーは中子に組み合わされた状態でモールドに投入される。したがって、モールドに投入されたローカバーの内側には、中子が位置している。
この製造方法では、図6に示されているように、モールド(図中の符号M)が締められると、ローカバー(図中の符号R)はモールドMのキャビティ面88と中子(図中の符号N)の外面90とに挟まれて加圧される。ローカバーRは、中子N及びモールドMからの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバーRのゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ36が得られる。このタイヤ36は、ローカバーRをモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより形成される。この製造方法では、ローカバーRが加圧及び加熱される工程は架橋工程と称される。
前述したように、この製造方法では、ローカバーRは中子Nに組み合わされた状態でモールドMに投入され、モールドMのキャビティ面88と中子Nの外面90とに挟まれて加圧及び加熱される。この製造方法では、従来の製造方法で使用されるブラダーは不要である。この製造方法では、架橋工程においてローカバーRは引き延ばされない。
このタイヤ36のベース層62は、短繊維80を含む第一ゴム組成物からなる要素をモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより形成される。前述したように、この製造方法では、成形工程においてローカバーRは引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーRは引き延ばされない。このため、この製造方法では、ベース層62のための第一ストリップ86が、作業者が指で摘んで引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維を含んでいても、この第一ストリップ86からベース層62が形成され、ローカバーRが得られる。そして、このローカバーRからタイヤ36が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維80を含有するベース層62を備えたタイヤ36が高品質にしかも安定に生産されうる。
前述したように、このタイヤ36では、荷重支持層56が短繊維を含むことがある。この製造方法では、成形工程においても、架橋工程においても、ローカバーRは引き延ばされない。このため、この製造方法では、荷重支持層56のための第二ストリップが、作業者が指で摘んで引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維を含んでいても、この第二ストリップから荷重支持層56が形成され、ローカバーRが得られる。そして、このローカバーRからタイヤ36が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有する荷重支持層56を備えたタイヤ36が高品質にしかも安定に生産されうる。
このタイヤ36では、ベース層62は第一ストリップ86を周方向に螺旋状に巻回して形成される。このベース層62には、一枚のシートを用いて形成された従来のベース層のように、シートを巻き回して、このシートの一端とその他端とを継ぎ合わせることにより形成される、継ぎ目はない。このベース層62の形態は、特異でない。しかもローカバーRを引き延ばすことなくタイヤ36が得られるので、このタイヤ36の製造方法では、ベース層62の形態変化が効果的に抑えられる。このベース層62は、周方向において一様な形態を有する。このベース層62は、タイヤのユニフォミティの向上に寄与しうる。
このタイヤ36では、荷重支持層56は第二ストリップを周方向に螺旋状に巻回して形成される。この荷重支持層56には、一枚のシートを用いて形成された従来の荷重支持層のように、シートを巻き回して、このシートの一端とその他端とを継ぎ合わせることにより形成される、継ぎ目はない。この荷重支持層56の形態は、特異でない。しかもローカバーRを引き延ばすことなくタイヤ36が得られるので、このタイヤ36の製造方法では、荷重支持層56の形態変化が効果的に抑えられる。この荷重支持層56は、周方向において一様な形態を有する。この荷重支持層56は、ランフラット耐久性の向上に寄与しうる。
前述したように、カーカスプライ72は複数のテープを順次接合して形成される。このカーカスプライ72には、接合部分が複数存在している。これら接合部分は、周方向に略等間隔で配置している。このタイヤ36では、突出部78の半径方向内側端62eは位置P1よりも半径方向内側に位置している。言い換えれば、マーキング領域mの内側において、この突出部78はカーカスプライ72と積層されている。この突出部78は、カーカスプライ64の接合部分に起因するデントの発生を抑えうる。この観点から、この内側端62eは、半径方向においてこの基準位置Phと一致するように配置されるのがより好ましい。この内側端62eは、基準位置Phよりも半径方向内側に位置するのがさらに好ましい。この内側端62eがエイペックス68の半径方向外側端68eに近接すると、剛性が過大となり、乗り心地が悪化する恐れがある。この観点から、この内側端62eは、このエイペックス68の外側端68eよりも半径方向外側に位置するのが好ましい。
このタイヤ36では、ベース層62の硬さは50以上85以下が好ましい。この硬さが50以上に設定されることにより、このベース層62がタイヤ36の剛性に寄与しうる。このタイヤ36は、操縦安定性に優れる。しかもパンクによってこのタイヤ36の内圧が低下した場合、このベース層62が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この硬さは60以上がより好ましい。この硬さが80以下に設定されることにより、ベース層62による撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ36では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬さは70以下がより好ましい。
本願において、硬さはJIS−A硬さである。この硬さは、「JIS−K6253」の規定に準拠して、23℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定される。より詳細には、硬さは、図1に示された断面にタイプAのデュロメータが押し付けられることで測定される。
このタイヤ36では、荷重支持層56の硬さは60以上85以下が好ましい。この硬さが60以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ36の内圧が低下した場合、この荷重支持層56が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この硬さは65以上がより好ましい。この硬さが85以下に設定されることにより、荷重支持層56による撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ36では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬さは80以下がより好ましい。
このタイヤ36では、サイドウォール40の硬さは40以上75以下が好ましい。この硬さが40以上に設定されることにより、サイドウォール40がタイヤ36の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ36は、操縦安定性に優れる。この観点から、この硬さは45以上がより好ましい。この硬さが75以下に設定されることにより、このタイヤ36の剛性過大が効果的に抑えられる。このタイヤ36では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬さは65以下がより好ましい。
図7において、両矢印tは位置Phにおけるベース層62の厚さを表している。両矢印eは、位置Phにおける荷重支持層56の厚さを表している。両矢印Eは、位置Phにおけるサイドウォール40の厚さを表している。両矢印Hbは、ビードベースラインからベース層62の内側端62eまでの半径方向高さを表している。
このタイヤ36では、ベース層62の厚さtは0.3mm以上1.8mm以下が好ましい。この厚さtが0.3mm以上に設定されることにより、ベース層62がタイヤ36の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ36は、操縦安定性に優れる。この観点から、この厚さtは0.8mm以上がより好ましい。この厚さtが1.8mm以下に設定されることにより、ベース層62による撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ36では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この厚みtは1.3mm以下がより好ましい。
このタイヤ36では、荷重支持層56の厚さeは1mm以上15mm以下が好ましい。この厚さeが1mm以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ36の内圧が低下した場合、この荷重支持層56が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚さeは3mm以上がより好ましい。この厚さeが15mm以下に設定されることにより、荷重支持層56による撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ36では、乗り心地が適切に維持される。しかもこの厚みeが過大でないので、タイヤ36の質量が適切に維持される。この観点から、この厚みeは12mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
このタイヤ36では、サイドウォール40の厚さEは1mm以上10mm以下が好ましい。この厚さEが1mm以上に設定されることにより、サイドウォール40がカーカス46の保護に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚さEは2mm以上がより好ましい。この厚さEが10mm以下に設定されることにより、サイドウォール40による撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ36では、乗り心地が適切に維持される。しかもこの厚みEが過大でないので、タイヤ36の質量が適切に維持される。この観点から、この厚みEは7mm以下がより好ましい。
このタイヤ36では、ランフラット耐久性の観点から、厚さeは、サイドウォール40の厚さE及びエイペックス68の厚さtの和(E+t)、言い換えれば、カーカス46から外側部分の厚さよりも厚くされるのが好ましい。これにより、パンクによってこのタイヤ36の内圧が低下した場合、荷重支持層56が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、和(E+t)に対する厚さeの比は1よりも大きくされるのが好ましい。荷重支持層56による質量及び乗り心地への影響が抑えられるとの観点から、この比は3よりも小さくされるのが好ましい。
このタイヤでは、好ましくは、ベース層62の厚さtはサイドウォール40の厚さEよりも小さい。言い換えれば、位置Phにおいて、ベース層62はサイドウォール40の厚さEよりも小さな厚さtを有している。このタイヤ36では、ベース層62による剛性への影響が効果的に制御されている。このタイヤ36では、ベース層62は乗り心地を損なうことなく、操縦安定性の向上に寄与しうる。この観点から、この厚さtの厚さEに対する比は0.08以上がより好ましく、0.81以下がより好ましい。
このタイヤ36では、断面高さHに対する高さHbの比は0.7以下が好ましい。これにより、ベース層62の突出部78が操縦安定性及びデントの抑制に寄与しうる。この観点から、この比は0.5以下がより好ましく、0.5未満がさらに好ましく、0.47以下が特に好ましい。突出部78による剛性への影響が抑えられるとの観点から、この比は0.3以上が好ましい。
本発明では、タイヤ36の各部材の寸法及び角度は、タイヤ36が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ36に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ36には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ36が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ36が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ36の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
中子の外面にローカバーを成形し、この中子と組み合わせたままこのローカバーをモールドに投入した。このローカバーをモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより、図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤ(サイズ:245/40R18)を得た。このタイヤは、ランフラットタイヤである。このタイヤが中子工法で製造されたことが、この表において「A」で表されている。
ベース層の形成には、短繊維の配合量が30質量部とされた第一ゴム組成物からなる第一ストリップが用いられた。この第一ストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより、ベース層が形成された。このストリップの幅WTは10mmとされ、その厚さTTは0.8mmとされた。なお、この第一ストリップを指で摘んでその長さ方向に引っ張ると、この第一ストリップは直ぐに破断した。このことが、この表において、「B」で表されている。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。ベース層の硬さは、65とされた。
荷重支持層の形成には、短繊維の配合量が40質量部とされた第二ゴム組成物からなる第二ストリップが用いられた。この第二ストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより、荷重支持層が形成された。この第二ストリップの幅は10mmとされ、その厚さは0.8mmとされた。なお、この第二ストリップを指で摘んでその長さ方向に引っ張ると、この第二ストリップは直ぐに破断した。このことが、この表において、「B」で表されている。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。荷重支持層の硬さは、75とされた。
この実施例1では、ベース層は、キャップ層が積層された本体76と、この本体76から半径方向略内向きに延びる一対の突出部78を備えている。このことが、この表の「突出部78」の欄に、「Y」で表されている。ビードベースラインからベース層の内側端までの半径方向高さHbのタイヤ断面高さHに対する比(Hb/H)は、0.43とされた。このタイヤの断面高さの、半分の高さに相当する基準位置における、荷重支持層の厚さeは10mmとされた。この基準位置におけるエイペックスの厚さtは、0.9mmとされた。この基準位置におけるサイドウォールの厚さEは、3.1mmとされた。サイドウォールの硬さは、60とされた。
[実施例2−10]
荷重支持層における短繊維の配合量を下記の表2及び3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−10のタイヤを得た。実施例2−5では、第二ストリップを指で摘んで長さ方向に引っ張ると、この第二ストリップは僅かに伸長した(伸長率で約3%)。このことが、この表において、「S」で表されている。これら以外では、第二ストリップを指で摘んで長さ方向に引っ張ると直ぐにこの第二ストリップは破断した。
[実施例11−19]
ベース層における短繊維の配合量を下記の表4及び5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例11−19のタイヤを得た。実施例11−14では、第一ストリップを指で摘んで長さ方向に引っ張ると、このストリップは僅かに伸長した(伸長率で約3%)。これら以外では、第一ストリップを指で摘んで長さ方向に引っ張ると直ぐにこの第一ストリップは破断した。
[実施例20−28]
厚さt及び厚さEを下記の表6及び7の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例20−28のタイヤを得た。
[実施例29−37]
ベース層の硬さを下記の表8及び9の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例29−37のタイヤを得た。
[実施例38−45]
比(Hb/H)を下記の表10及び11の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例38−45のタイヤを得た。
[比較例4]
ベース層に突出部78を設けなかった他は実施例1と同様にして、比較例4のタイヤを得た。この比較例4では、ベース層に短繊維は配合されていない。
[比較例1]
従来の製造方法により、図8に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた比較例1の空気入りタイヤ(サイズ:245/40R18)を得た。このタイヤは、従来のランフラットタイヤである。このタイヤでは、荷重支持層はシートを用いて形成された。したがって、この荷重支持層には継ぎ目がある。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。このように従来の製造方法によりこのタイヤが製造されたことが、この表において「C」で表されている。
この比較例1のトレッドには、ベース層が設けられているが、実施例1のように突出部78は設けられていない。ビードベースラインからこのベース層の内側端Pbまでの半径方向高さHbのタイヤ断面高さHに対する比(Hb/H)は、0.73であった。このベース層の硬さは、65とされた。このベース層には、短繊維は配合されていない。
この比較例1の荷重支持層には、短繊維は含まれていない。荷重支持層の硬さは、75とされた。サイドウォールの硬さは、60とされた。このタイヤの断面高さHの半分の高さHhに相当する位置おける、荷重支持層の厚さeは12mmとされた。この断面高さHの半分の高さHhに相当する位置における、サイドウォールの厚さEは4mmとされた。
[比較例2−3]
荷重支持層にアラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)を配合し、その配合量を下記の表1の通りとした他は比較例1と同様にして、比較例2−3のタイヤを得た。
[タイヤ質量]
タイヤの質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から11に示されている。数値が小さいほど質量が小さいことが示されている。
[耐久性(ランフラット)]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、7.5kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤの内圧を常圧としてパンク状態を再現し、このタイヤを80km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤが破壊するまでの走行距離を、測定した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から11に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
[操縦安定性及び乗り心地]
タイヤを18×8.5Jのリムに組み込み、標準内圧となるようにタイヤに空気を充填した。これを、排気量が3.0リットルであり、前側エンジン後輪駆動の乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、操縦安定性及び乗り心地を評価させた。この結果が、満点が10点とされた指数として下記の表1から11に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[デントレベル]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。タイヤの外観を目視で観察し、デントの発生状況を確認した。この結果が、満点が10点とされた指数として下記の表1から11に示されている。数値が大きいほどデントの発生が抑えられている。
[生産性]
1本のタイヤの生産に要する時間を計測した。その結果(計測された時間)が、下記の表1から11に、比較例1を100とした指数値で示されている。この数値が小さいほど、評価が高い。
Figure 2014148289
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表1から11に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。なお、比較例3では、シェーピング中にストリップが破断したため、ローカバーを成形することができなかった。したがって、この比較例3のタイヤは製造できなかった。
以上説明された方法は、様々なタイヤの製造にも適用されうる。
2、36・・・タイヤ
4、38・・・トレッド
8、40・・・サイドウォール
10、42・・・クリンチ
12、44・・・ビード
14、46・・・カーカス
16、56・・・荷重支持層
26、62・・・ベース層
28、64・・・キャップ層
30、66a、66b・・・コア
32、68・・・エイペックス
34、72・・・カーカスプライ
58・・・トレッド面
76・・・本体
78・・・突出部
80・・・短繊維
82・・・マトリクス
84a、84b・・・端
86・・・ストリップ

Claims (14)

  1. トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成されており、
    その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドから半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えており、
    上記トレッドが、ベース層と、このベース層の半径方向外側に位置するキャップ層とを備えており、
    上記ベース層が第一ゴム組成物が架橋されたものからなり、
    この第一ゴム組成物が基材ゴム及び短繊維を含んでおり、
    上記ベース層が、上記キャップ層が積層された本体と、それぞれがこの本体から上記カーカスに沿って半径方向略内向きに延びる一対の突出部とを備えており、
    それぞれの突出部が上記サイドウォールの内側に位置している、空気入りタイヤ。
  2. 一対の荷重支持層をさらに備えており、
    それぞれの荷重支持層が上記カーカスよりも軸方向内側に位置しており、
    この荷重支持層が第二ゴム組成物が架橋されたものからなり、
    この第二ゴム組成物が基材ゴム及び短繊維を含んでいる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記第二ゴム組成物における上記短繊維の配合量が上記基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下である、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記短繊維の配合量が上記基材ゴム100質量部に対して30質量部以上である、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記荷重支持層における上記短繊維が周方向に配向している、請求項2から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記荷重支持層が上記第二ゴム組成物からなる第二ストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより形成されている、請求項2から5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 上記ベース層の硬さが50以上80以下である、請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. ビードベースラインから上記突出部の半径方向内側端までの半径方向高さの、このタイヤの断面高さに対する比が、0.70以下である、請求項1から7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 半径方向において、上記突出部の半径方向内側端が上記断面高さの半分の高さに相当する基準位置と一致している、
    又は、
    この突出部の半径方向内側端がこの基準位置よりも半径方向内側に位置している、請求項8に記載の空気入りタイヤ。
  10. 上記基準位置における、上記突出部の厚さが0.3mm以上1.9mm以下である、請求項9に記載の空気入りタイヤ。
  11. 上記第一ゴム組成物における上記短繊維の配合量が上記基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下である、請求項1から10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  12. 上記ベース層における上記短繊維が周方向に配向している、請求項1から11のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  13. 上記ベース層が上記第一ゴム組成物からなる第一ストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより形成されている、請求項1から12に記載の空気入りタイヤ。
  14. トロイダル状の中子の外面において、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えており、上記トレッドがベース層とこのベース層の半径方向外側に位置するキャップ層とを備えており、上記ベース層が上記キャップ層が積層された本体とそれぞれがこの本体から上記カーカスに沿って半径方向略内向きに延在する一対の突出部とを備えており、このベース層が基材ゴム及び短繊維を含む第一ゴム組成物からなる、ローカバーが組み立てられる工程と、
    このローカバーが、モールドに投入される工程と、
    このローカバーが、このモールドと上記中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱される工程と
    を含む、空気入りタイヤの製造方法。
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