JP3866601B2 - 化粧シート用原紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系基材(合板、パーティクルボード、MDF等)に貼り合わせ、ドア、窓枠等の家具・建材分野で使用される化粧シート用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧シート用原紙には、用途・目的により薄葉紙、強化紙、含浸紙等がある。このうち含浸紙は、アクリル樹脂等が含浸されているため、強度特性に優れている。
この含浸紙は主として家具・建材分野に用いられているが、近年、要求される特性として、平面に使われる割合が多いことから、表面強度が重要視されてきている。これは耐セロハンテープ性、すなわち化粧シート表面にセロハンテープを貼り、後に剥がした際の表面の剥がれにくさで一般に判定されている。
また、化粧シートは木質系基材に貼り合わされるため、基材部が透けないようにシート自体の遮蔽性も欠かせないものとなってきている。
【0003】
この遮蔽性を向上させる方法としては、填料の内添比率を上げる方法が考えられるが、比率を上げると含浸性が低下し、内部強度の低下を招くと同時に、耐セロハンテープ性も悪化する。
一方、含浸加工後に填料バインダーを含む塗料を塗工することにより、遮蔽性を上げる方法(特開平07−04297号公報)も報告されており、填料100部に対して約10〜30部のバインダーが用いられる。該方法によると、遮蔽性は向上するものの塗工層界面で剥離が発生しやすく耐セロハンテープ性が悪化するという欠点があった。また、塗工を行うために工程が増え煩雑となる。
【0004】
本発明者らは、先に、特定の紙力剤を用いることにより、耐セロハンテープ性を改善した化粧シート用原紙を報告した(特願2000−298446号)。しかしながら、使用方法によっては遮蔽性が不十分な場合もあった。
このように従来の方法では、耐セロハンテープ性と遮蔽性を両立するものは存在しなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐セロハンテープ性を維持しつつ、遮蔽性を効率良く上げた化粧シート用原紙を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決しようとする手段】
本発明者らは、含浸液に填料を添加し遮蔽性を付与できることに着目し、特定の含浸液を用いることにより、原紙填料比率を上げずに、内部強度も損なうことなく耐セロハンテープ性や遮蔽性に優れた化粧シート用原紙が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)填料および乾燥紙力剤内添抄造原紙に、熱可塑性樹脂50〜70重量%と填料50〜30重量%から成る含浸液を含浸する、化粧シート用原紙の製造方法、
(2)含浸量が抄造原紙に対して15〜25重量%である、上記(1)記載の化粧シート用原紙の製造方法、
(3)熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョンである上記(1)又は(2)に記載の化粧シート用原紙の製造方法、
(4)乾燥紙力剤が、両性ポリアクリルアミド系紙力剤である上記(1)、(2)又は(3)に記載の化粧シート用原紙の製造方法、
を提供するものである。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される抄造原紙はパルプを主体とするもので、パルプとしては広葉樹晒しパルプ(LBKP)、あるいはLBKPと針葉樹晒しパルプ(NBKP)の混合されたものが使用され、叩解度は300〜500 mlCSFが好ましい。
【0008】
抄造原紙には、乾燥紙力剤、填料が添加される。
乾燥紙力剤は通常抄紙に用いられるものであればいずれでも良いが、抄紙で使用される填料の定着性、耐セロハンテープ性等から、両性ポリアクリルアミド(PAM)系紙力剤が好ましい。かかる両性PAM系紙力剤としては、アクリルアミドを主鎖として両性のものであればいずれでも良く、例えば荒川化学製ポリストロン等を例示することができる。
乾燥紙力剤の内添量は、1.0〜2.0重量%が好ましい。1.0重量%未満では耐セロハンテープ性が不十分である。一方、2.0重量%を超えると地合が悪化するために好ましくない。
使用される填料は、遮蔽性の観点から酸化チタンが好ましく、10〜15重量%内添される。用いられる酸化チタンとしては、耐光性を考慮したルチル型であればいずれでも良い。
【0009】
本発明で使用される抄造原紙には、他に通常用いられる湿潤紙力剤(ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂)、カルボキシメチルセルロース(CMC)系紙力剤、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を添加することができ、長網式抄紙機等で抄造される。
【0010】
抄造原紙は、熱可塑性樹脂50〜70重量%と填料50〜30重量%で構成される含浸液が含浸される。
熱可塑性樹脂が50重量%未満では耐セロハンテープ性が不十分であり、70%を超えると遮蔽性が不十分である。
【0011】
用いられる熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではなく、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、合成ゴム系ラテックス等から選択される。これらは単独もしくは混合して使用することができる。
一方、熱可塑性樹脂に添加される填料としては酸化チタン、耐光性を考慮してルチル型チタン、を使用するのが好ましい。
【0012】
含浸液の含浸量は、求められる遮蔽性に応じて適宜選択されるが、通常、抄造原紙に対して15〜25重量%程度が好ましい。
【0013】
含浸方式は、サイズプレス方式またはスクイズ方式のどちらでも良い。
【0014】
含浸後、ハードキャレンダー、ソフトキャレンダー、スーパーキャレンダー等を用いて平滑化処理が施される。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、実施例、比較例における測定・評価方法は以下の通りである。
(1)層間剥離強度:JIS P−8139B法に準じて測定した(T型剥離)。
(2)耐セロハンテープ性:試験片(250mm×100mm)をグラビア印刷機(三正精機製:PROOF MASTER)を用いてベタ印刷を施した。これを接着剤を用いてパーティクルボードに貼り合わせ、セロハンテープ(積水化学製:セキスイセロテープ、24mm×35m)を試験片表面に貼った。試験体を40℃の乾燥機で48時間処理した後、ボードに対して垂直方向へ一定の力でセロハンテープを剥がし、試験片の剥げ具合を目視評価した。
評価は、全く剥げないものを5点とし、テープ接着部が全面剥がれたものを1点とした。点数付けは試験片剥げ部とテープ部の面積比による相対評価で実施し、3点が合格水準である。
(3)不透明度:JIS P−8138法に準じて測定した。遮蔽性の強弱を示す指標の一つであり、不透明度90%以上のものは優れた遮蔽を持つ。
【0016】
実施例1
叩解度400mlCSFに叩解された広葉樹晒しパルプ(LBKP)100部に、酸化チタン15部、両性PAM系乾燥紙力剤(荒川化学工業製:ポリストロン851)1.5部、湿潤紙力剤(ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂)1部、硫酸アルミニウム2部、アルミン酸ナトリウム0.5部を添加し調成した紙料を抄造した。
この抄造原紙に、アクリル酸エステル系エマルジョン(大日本インキ化学工業製:ボンコートAN−730)と酸化チタン入り白色顔料(大日精化工業製:TB−68 White)を固形分比で50/50で混合したものを15重量%含浸した。
その後、この含浸紙をキャレンダーで平滑処理を行い、化粧シート用原紙を得た。
【0017】
実施例2
実施例1と同様にして抄造原紙を得た後、実施例1で用いたアクリル酸エステル系エマルジョンと酸化チタン入り白色顔料を固形分比で70/30で混合したものを15重量%含浸し、その後、キャレンダーで平滑処理を行い、化粧シート用原紙を得た。
【0018】
比較例1
実施例1と同様にして抄造原紙を得た後、実施例1で用いたアクリル酸エステル系エマルジョンと酸化チタン入り白色顔料を固形分比で20/80で混合したものを15重量%含浸し、その後、キャレンダーで平滑処理を行い、化粧シート用原紙を得た。
【0019】
比較例2
実施例1と同様にして抄造原紙を得た後、アクリル酸エステル系エマルジョンを15重量%含浸し、その後、キャレンダーで平滑処理を行い、化粧シート用原紙を得た。
【0020】
比較例3
実施例1において、酸化チタン添加量を25部に変更して抄造原紙を得た以外は比較例2と同様に実施し、化粧シート用原紙を得た。
【0021】
実施例1、2および比較例1〜3で得られた化粧シート用原紙の評価結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明によると、原紙填料比率を上げることなく、含浸液に填料を添加し効率的に遮蔽性を付与でき、かつ耐セロハンテープ性の低下がない優れた化粧シート用原紙が提供される。
Claims (4)
- 填料および乾燥紙力剤内添抄造原紙に、熱可塑性樹脂50〜70重量%と填料50〜30重量%から成る含浸液を含浸する、化粧シート用原紙の製造方法。
- 含浸量が抄造原紙に対して15〜25重量%である、請求項1記載の化粧シート用原紙の製造方法。
- 熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョンである請求項1又は2に記載の化粧シート用原紙の製造方法。
- 乾燥紙力剤が、両性ポリアクリルアミド系紙力剤である請求項1、2又は3に記載の化粧シート用原紙の製造方法。
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