JP3865160B2 - 回線インタフェース回路及び発信者通知の検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話機やファクシミリ装置と回線との間に設けられ、交換接続器との間の信号処理を行う回線インタフェース回路及び発信者通知の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
公衆網等の通信回線に接続された電話機やファクシミリ装置は、所定の発呼処理や着呼処理を経て送受信端末間の通信が可能となる。こうした発呼処理や着呼処理の際には、所定の制御信号が送受信される。これらの信号を交換機から受け入れ、電話機やファクシミリ装置に送り込むために、回線インタフェース回路が設けられる。従って、回線インタフェース回路は、通信のための信号送受信のみならず、着信検出や回線の極性反転検出等、様々な機能を備える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の回線インタフェース回路には次のような解決すべき課題があった。
回線インタフェース回路の持つ機能の1つに直流ループの形成機能がある。発呼端末が被呼端末の電話番号を送出すると、交換網はその発呼要求に対応して被呼端末に着信信号を送出する。被呼端末はこの着信信号を検出し直流ループを形成することによって交換網に対し応答を行う。交換網はその被呼端末の応答に対して発呼端末に接続されている回線の極性を反転する。発呼端末はこの極性反転を検出することにより回線が捕捉されたことを知ることができる。このように、被呼端末の直流ループ形成動作は、端末間の接続完了に至るまでの重要な手順の1つとされている。
【0004】
一方、利用者サービスの向上を図るために、発信者番号を受信側に伝える発信者番号通知サービスが開始された。このサービスを行う場合には、直流ループを形成する前に、一旦、回線の極性反転を行う。この場合、従来の回線インタフェース回路に設けられた極性反転を検出するための回路をそのまま動作させることはできない。これらを動作させると、直流ループが形成されて、交換網が、それをオフフック動作と誤認するおそれがあるからである。従って、直流ループが形成されないようにして極性反転を検出するための新たな回路が必要となる。
【0005】
また、回線インタフェース回路は、このように直流ループを形成することによって、交換機側に端末の回線捕捉を認識させる機能を持つ。ところが、ヨーロッパ等の回線規格においては、回線捕捉前に回線に所定の直流電圧が供給されているかどうかを検出する機能を持つ要求がある。こうした要求を満たすためには、直流ループを形成せずに回線に供給される直流電圧を検出する必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
被呼側端末で発信者通知を検出すると回線に対し直流ループを開放する回線インタフェース回路であって、上記回線に相互に逆極性で並列に接続され、上記回線に流れる回線電流の極性に応じてそれぞれ検出信号を出力する第1及び第2の検出素子と、該第1及び第2の各検出素子と上記回線との間を接離するための第1及び第2のスイッチ手段と、電源が投入されると上記第1のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御し、上記第1の検出素子が検出信号を出力すると上記第1のスイッチ手段を開制御すると共に上記第2のスイッチ手段を反転判定のために閉制御する第1のスイッチ制御部と、上記第1のスイッチ制御部が上記第1のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御したときに上記第1の検出素子が検出信号を出力しないと上記閉制御された第1のスイッチ手段を開制御して上記第2のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御し、第2の検出素子が検出信号を出力すると上記第2のスイッチ手段を開制御すると共に上記第1のスイッチ手段を反転判定のために閉制御する第2のスイッチ制御部と、上記第1及び第2のスイッチ制御部が極性を検知するために閉制御したときに上記第1及び第2の検出素子がいずれも検出信号を出力しないと上記回線が未接続と判定して警告制御する警告制御部と、上記検出信号の出力時に上記第1のスイッチ制御部により上記第2のスイッチ手段が上記反転判定のために閉制御され又は上記第2のスイッチ制御部により上記第1のスイッチ手段が上記反転判定のために閉制御されると動作を開始し、上記第1又は第2の検出素子が検出信号を出力すると上記回線の極性が反転したと判定する極性判定部とを含み、上記極性判定部が上記極性の反転を判定すると、上記発信者通知を受けるための直流ループを形成することを特徴とする回線インタフェース回路。
【0007】
〈構成2〉
被呼側端末で発信者通知を検出すると回線に対し直流ループを開放する発信者通知の検出方法であって、上記回線に相互に逆極性で並列に接続され、上記回線に流れる回線電流の極性に応じてそれぞれ検出信号を出力する第1及び第2の検出素子と、該第1及び第2の各検出素子と上記回線との間を接離するための第1及び第2のスイッチ手段とを設け、電源が投入されると上記第1のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御し、上記第1の検出素子が検出信号を出力すると上記第1のスイッチ手段を開制御すると共に上記第2のスイッチ手段を反転判定のために閉制御するステップと、上記第1のスイッチ手段が極性を検知するために閉制御されたとき上記第1の検出素子が検出信号を出力しないと上記閉制御された第1のスイッチ手段を開制御して上記第2のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御し、上記第2の検出素子が検出信号を出力すると上記第2のスイッチ手段を開制御すると共に上記第1のスイッチ手段を反転判定のために閉制御するステップと、上記第1及び第2のスイッチ手段が極性を検知するために閉制御されたとき上記第1及び第2の検出素子がいずれも検出信号を出力しないと上記回線が未接続と判定して警告制御するステップと、上記第1又は第2のスイッチ手段が上記反転判定のために閉制御されると動作を開始し、上記第1又は第2の検出素子が検出信号を出力すると上記極性が反転したと判定し、上記発信者通知を受けるための上記直流ループを形成するステップと、を含むことを特徴とする発信者通知の検出方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
〈具体例1〉
図1は、具体例1による回線インタフェース回路の結線図である。
図において、回線L1,L2は、トランスTR1を介して図示しないファクシミリ装置のモデム回路等に接続されている。なお、L1,L2は、1回線を構成する1対のケーブルを示すが、ここでは、以後、これらを回線L1,L2と呼ぶことにする。この回線L1,L2は、リレーにより動作するスイッチSW1,SW2によって、外付け電話回路T1,T2に分岐接続されている。抵抗器R1、コンデンサC1、検出素子D1及びプルアップ抵抗R2は、図示しない外付け電話機のオンフックを検出し、着信検出ビットをファクシミリ装置へ送り込むための回路を構成している。
【0013】
回線L1に直列に挿入されたコンデンサC2の両端には、検出素子D2,D3がそれぞれ逆極性に並列接続されている。検出素子D2,D3は、いずれも入力電流によって発光する発光ダイオードと、その光を検出する受光素子とを組み合わせたフォトカプラである。従って、各検出素子D2,D3は、所定の電圧が入力側に印加されて発光ダイオードに順電流が流れると、出力側が導通してスイッチオンの状態となる。プルアップ抵抗R4,R5は、各検出素子D2,D3の出力側を論理レベルで“1”の状態に引き上げている。従って、無入力状態では、出力を“1”のレベルに保持し、これがファクシミリ装置のCPU入力ポートへ入力するように構成されている。
【0014】
一方、入力側に順電流が流れると、出力側が導通するため、出力レベルが0レベルとなる。これによって、CPUは、検出素子D2あるいはD3による所定の電圧印加を検出できる。検出素子D2とD3とは入力側の発光ダイオードの極性が逆極性になるように並列接続されているため、一方に順電流が流れれば、必ず他方に逆電圧が加わり、他方は動作しない。これによって、コンデンサC2の両端に加わる電圧の極性を判別することが可能になる。
【0015】
検出素子D4,D5は、検出素子D2,D3と全く同様の組み合わせで構成され、その出力側には検出素子D2,D3と同様、プルアップ抵抗R6,R7が接続されている。なお、検出素子D4,D5は、それぞれその端子を回線L1,L2に直接並列接続している。また、この回路には、回線電流制限抵抗器R3が直列に挿入されている。
【0016】
通常、回線L1,L2には、例えば交換機から48ボルトの直流電圧が常に供給されている。検出素子D4,D5はこの回線L1,L2に並列接続されているため、これらに常に直流電流が流れる。この電流は、外付け電話機やスイッチSW1及びSW2によって直流ループが形成された場合と比較して、十分に小さな電流でなければ誤動作の原因になる。そこで、抵抗器R3は、例えば1Mオーム以上の高抵抗に選定されている。
【0017】
検出素子D4,D5は、互いに逆極性に回線L1,L2に並列接続されているため、常にいずれか一方がオンすることによって、回線に所定の直流電圧が印加されているかどうか及びその電圧の極性を検出することができる。こうした目的から、検出素子D4,D5は、いずれも微小な電流に動作する高CTR品を使用する。
以上が本発明の具体例1による回線インタフェース回路の構成であって、従来の回路に、電流制限抵抗器R3及び検出素子D4,D5を含む回路が新たに設けられている。
【0018】
図2には、発信者番号通知サービス手順の説明図を示す。
上記のような回線インタフェース回路によれば、この図に示したような発信者番号通知サービスにおける直流ループ形成前の極性反転を検出し、応答することが可能になる。この図には、発呼側端末1と、回線交換網2と、被呼側端末3との間の通信内容が示されている。縦軸は時間の経過を示す。発呼側端末1にも被呼側端末3にも上記のような回線インタフェース回路が組み込まれる。
【0019】
初めにステップS1において、発呼側端末1は、フックアップ等によって直流ループを形成する。次に、ステップS2において、回線交換網2が直流ループを検出すると、ダイアルトーンを発呼側端末1に向けて送出する。発呼側端末1はこのダイアルトーンを検出すると、被呼側端末の電話番号を送出することによって発呼する(ステップS3)。回線交換網2はこの発呼要求に対応して、被呼側端末3に接続されている回線の極性を反転する(ステップS4)。
【0020】
このとき、図1に示す検出素子D4とD5がその出力信号を変化させてCPUに通知する。即ち、例えば当初検出素子D4に順電流が流れ、検出素子D5に逆電圧が印加されていたような場合、検出素子D4の出力は“0”、検出素子D5の出力は“1”となっている。ここで、回線交換網によって極性反転が行われると、検出素子D4の出力が“0”から“1”に切り換わり、検出素子D5の出力が“1”から“0”に切り換わる。CPUは、この出力を監視することによって極性反転を検出し、スイッチSW1及びSW2をb側に接続することにより直流ループを形成し、一次応答を行う(図2ステップS5)。
【0021】
なお、直流ループが形成される前は、コンデンサC2の両端には直流電圧が加わらない。従って、検出素子D2,D3は、いずれも信号が入力しない状態、即ち出力がいずれも“1”の状態となっている。このため、従来から設けられている極性反転検出回路は、この段階では全く動作していない。
【0022】
図2において、回線交換網2がステップS5で被呼側端末3による一次応答を検出すると、被呼側端末3に対し発信者番号の通知を行う(ステップS6)。被呼側端末3は発信者番号を検出した後、スイッチSW1及びSW2をc側に接続することにより直流ループを開放することで一次応答を解除する(ステップS7)。回線交換網2は一次応答の解除を検出すると、着信信号を送出する(ステップS8)。被呼側端末3はこの着信信号を検出すると、フックアップによって外付電話機を接続するか、あるいはスイッチSW1及びSW2をb側に接続することにより再び直流ループを形成する。
【0023】
ここで、回線交換網2は、発呼側端末1の極性を反転する。発呼側端末1にも図1に示すものと同様の回線インタフェース回路が接続されている。そして、その検出素子D2,D3が動作し、極性反転を検出する。これによって、ステップS11において、発呼側端末1と被呼側端末3との回線捕捉が終了し、端末間の通信が可能になる。
【0024】
〈具体例1の効果〉
以上の構成によれば、回線ループを形成する前に、回線に並列に接続された検出素子を用いて電流制限抵抗器を介して微小な電流を流し、回線の極性反転を検出することができるため、直流ループ形成前の極性反転動作を利用した特殊なサービスに対する対応が可能となる。
【0025】
〈具体例2〉
図3には、具体例2による回線インタフェース回路の結線図を示す。
この回路は、具体例1の回路と基本的な部分は全く同一である。この回路には、具体例1の回路に加えて、検出素子D4,D5の部分に回路電流をオンオフするスイッチSW4,SW5を挿入している。
【0026】
具体例1に示す回路の場合、検出素子D4,D5は常に回線L1,L2に並列接続され、いずれか一方が回線電流を検出し、常時その状態をCPUに通知するよう動作していた。従って、微小電流によって動作する検出素子を必要とした。しかしながら、こうした高感度の素子は、比較的高価で、より安価な回路素子の採用が要求される端末装置には適さない。そこで、この具体例では、検出素子D4,D5が検出素子D2,D3と同程度の汎用品でも動作するように工夫を行った。
【0027】
即ち、まずファクシミリ装置等を回線に接続して電源を投入した際に、検出素子D4,D5を利用して、回線の極性を検出する。即ち、この場合には、スイッチSW4,SW5を閉じた状態で検出素子D4,D5を共に回線L1,L2に接続する。これによって、いずれか一方の検出素子出力が“1”となり、他方の出力が“0”となることから、極性を検出できる。こうして極性を検出すると、順電流が流れている検出素子例えば検出素子D4の入力側のスイッチSW4をオフにする。こうすれば、これまで順電流が流れていた検出素子D4には電流は流れない。また、検出素子D5は逆極性であるため、スイッチSW5がオンしたとしていても電流はわずかしか流れない。
【0028】
この状態で回線L1,L2の監視を続け、回線L1,L2に逆極性の電圧が印加されると、今度は検出素子D5が順電流を検出する。CPUは検出素子D5の出力のみを監視すればよいため、この出力が“1”から“0”に切り換わったとき極性反転がされたと判断する。また、極性反転と同時に検出素子D5が回線L1,L2を短絡するから、回線に直流ループが形成される。
【0029】
以上の動作のため、抵抗器R8は、図1に示した電流制限抵抗器R3よりも比較的低い抵抗値でよく、回路保護のための十分な対策が施されていれば、この抵抗器R8を省略しても差し支えない。
【0030】
図4を用いて、具体例2による極性反転検出動作の説明を行う。
まず、ステップS1において、ファクシミリ装置等が回線に接続されると、初めにCPUはリレーを用いてスイッチSW4,SW5を開放し、検出素子D4,D5の入力電圧を“0”にして、極性反転検出用のポートが初期化されていることを確認する。次に、ステップS2において、CPUは、リレーによりスイッチSW4を閉じ、検出素子D4に順方向の電圧が印加されているかどうかの判断を行う。順方向の電圧が印加されていれば、検出素子D4の出力は“0”となる。この状態をループ検出ポートがオンになったと表現すると、ステップS3において、ループ検出ポートcがオンになるとステップS4に進む。
【0031】
ここで、CPUは、回線L1,L2の極性を記憶し、今度はリレーによりスイッチSW5を閉じて、極性反転を監視する状態に移る。また、リレーによりスイッチSW4を開放する(ステップS6)。一方、ステップS3において、ループ検出ポートcがオンになるのを検出できなかった場合には、検出素子D4に逆方向の電圧が加わっていると判断されるため、ステップS7において、リレーを用いてスイッチSW4を開放し、ステップS8において、リレーを用いてスイッチSW5を閉じる。このとき、検出素子D5のループ検出ポートdがオンにならなかった場合には、回線が回線交換網2側と接続されていないと判断されるため、ステップS22に進み、警告表示が行われる。
【0032】
ループ検出ポートdがオンになった場合にはステップS10に進み、極性を記憶して、リレーを用いてスイッチSW4を閉じる(ステップS11)。更に、ステップS12において、リレーを用いてスイッチSW5を開放する。こうして、検出素子D4による回線の極性反転検出動作に移る。なお、ステップS1〜S12の極性反転検出前処理は電源を投入したときにだけ、接続確認のために実行すればよい。
【0033】
ステップS14から極性反転検出処理を開始すると、ステップS15において、ループ検出ポートcまたはdがオンになっているかどうかを継続的に監視する。スイッチSW4がオンされていれば検出素子D4、スイッチSW5がオンされていれば検出素子D5のポートのみを監視することになる。いずれかのポートがオンした場合にはステップS16に進み、一次応答ガードタイマをセットする。即ち、極性反転検出と同時に検出素子D4あるいはD5の動作によって直流ループが形成される。この直流ループ形成後に発信者番号通知があるまでの時間は所定の時間を超えない。従って、これにより極性反転の誤検出を防止している。
【0034】
ステップS17においては、図3に示すスイッチSW1,SW2をb側に接続し、回線L1とL2とトランスTR1の一次側を接続する。これによって、モデムによる発信者番号通知信号の検出を可能にする。また、ステップS17において、スイッチSW4またはSW5のうち閉じている方のスイッチを開放することにより、発信者番号通知信号の検出中及びそれ以降の通信中は検出素子D4及びD5には電流を流さないようにする。上記タイマによる監視時間内に発信者番号の通知があれば、ステップS18からステップS19に進む。そして、これを検出した後ステップS20に進み、リレーによってスイッチSW1,SW2を開放する。こうして、交換網からの着信信号検出のための待機動作に移る。着信信号検出後通信を終了した後は、SW4またはSW5をオンし、ステップS14からの極性反転検出処理に移行する。
【0035】
着信信号検出後通信を終了した後は、スイッチSW4またはSW5をオンし、ステップS14からの極性反転検出処理に移行する。つまり、ステップS15でループ検出ポートcのオンを検出した場合は、ステップS17でスイッチSW4を開放し、発信番号通知信号の検出、着信信号の検出、通信の終了を待ってスイッチSW5をオンしてステップS15のループ検出ポートdの監視に移行する。また、ステップS15でループ検出ポートdのオンを検出した場合は、ステップS17でスイッチSW5を開放し、発信番号通知信号の検出、着信信号の検出、通信の終了を待ってスイッチSW4をオンしてステップS15のループ検出ポートcの監視に移行する。
【0036】
一方、タイマによる監視時間を超えても発信者番号の通知がない場合には、ステップS18からステップS21に進み、リレーによってスイッチSW1,SW2を開放すると共に、極性反転エラー処理に進む。即ち、誤って極性反転を検出したものと判断し、SW4またはSW5をオン後、ステップS14からの極性反転検出処理に移行する。
【0037】
〈具体例2の効果〉
以上説明した具体例2によれば、スイッチSW4あるいはSW5を設けることによって、回線を監視している状態では、逆極性の検出素子のみを回線に接続するため、常時順電流を流している場合に比べて検出素子の耐久性を向上させることができる。また、検出素子にあまり高感度のものを利用する必要がないため、コストダウンが可能となる。更に、極性反転によって監視中の検出素子に順電流が流れ、これによって直流ループが自動的に形成されるようにすれば、直流ループ形成のための制御を簡略化できる。
【0038】
〈具体例3〉
上記の具体例は、いずれも回線捕捉の際の直流ループ形成前に極性反転を検出する機能を持つものであった。一方、ヨーロッパの回線規格においては、回線からリング信号が到着した際に、回線捕捉前に直流電圧が供給されているかどうかを検出することが要求されるものがある。この場合、これまでの具体例の回路で十分に対応が可能であるが、必ずしも極性反転まで検出する必要はない。即ち、回線に電圧が印加されているかどうかだけを監視すればよい。そこで、この具体例のような回路によってその機能を実現することが可能になる。
【0039】
なお、この場合においても、回線電圧検出のために直流ループ形成時と同様の回線電流を流してしまうと、交換網側においてフックアップが行われたものと見なし、交換網がリング信号の送出をやめてしまう恐れがある。そこで、こうした電流の制限のための回路構成が採用される。
【0040】
図5には、具体例3による回線インタフェース回路の結線図を示す。
図において、回線L1,L2には、スイッチCML1を介して外付け電話機20とファクシミリ通信回路6とが並列に接続されている。スイッチCML1の切り換えによって電話機による通話あるいはファクシミリによる通信のいずれか一方が選択される。また、スイッチCML1とファクシミリ通信回路6との間には並列に直流保持回路5が接続されている。なお、この回路にはスイッチDP3が挿入されている。
【0041】
一方、スイッチCML1の回線側には、リング信号検出回路4がコンデンサCC1を介して並列に接続されている。また、回線L1,L2には、双方向性の高導電率のフォトカプラから構成された検出素子D6がスイッチDCDET2と抵抗器RD1を介して接続されている。RD1は検出素子D6に流れる電流を制限する図1に示した電流制限抵抗器R3と同様の役割を果たすものである。検出素子D6の出力側には、出力電流に応じた電圧を比較器8に向けて供給する抵抗器RD2が接続されている。比較器8の出力は、CPU等が設けられた信号制御部7に入力する。信号制御部7にはリング信号検出回路4の出力も入力する。また、信号制御部7はファクシミリ通信回路6やブザー10を制御し、更にリレー駆動部9を制御する構成となっている。リレー駆動部9は、スイッチCMLやDCDETあるいはDPを制御するためのものである。
【0042】
図6に、具体例3による回路の動作フローチャートを示す。
まず、ステップS1において、図5に示す回路にリング信号が入力すると、このリング信号は交流のため、コンデンサCC1を通じてリング信号検出回路4に検出される(ステップS2)。リング信号検出回路4は、信号制御部7に対しリング信号を検出したことを通知し、これを受けた信号制御部7はその出力を監視する(ステップS3)。
【0043】
そして、信号制御部7がリング信号検出回路4の出力が消滅したことを検出すると(ステップS4)、ステップS5に進み、リレー駆動部9を制御する。そして、スイッチDCDET2をオンさせるように命令する。このスイッチDCDET2を設けた理由は、リング信号が検出素子D6に検出されて直流供給検出動作を誤るのを防止するためである。スイッチDCDET2がオンになると、抵抗RD1と検出素子D6の入力側によって回線に直流ループが形成される(ステップS6)。
【0044】
なお、通常、直流ループが形成されると交換機は端末がフックアップしたものと見なすが、抵抗RD1によってその直流電流が十分に低くなるように設定されているため、交換機はフックアップとは見なさない。なお、こうした電流値でも検出素子D6がオンになるように高感度のものを使用する。回線に所定の電圧が印加されていると、検出素子D6の入力側に該当する電流が流れ、出力側がオンとなる。従って、抵抗RD2の両端に所定の検出電圧が形成される。
【0045】
比較器8は、予め検出素子D6がオンの場合とオフの場合の中間に相当する閾値により入力電圧を監視しており、入力電圧がその閾値以上になったと判断すると、出力をハイレベルにする。また、それ以下の場合には出力をロウレベルにする。これによって、信号制御部7に、例えばTTLレベルの信号が供給され、信号制御部7は回線に所定の電圧が供給されていることを検出する(ステップS7)。
【0046】
そして、ステップS8において、比較器の出力がハイレベルであると判断すると、通常の受信動作へ移行する。また、ステップS8において、回線から所定の電圧が供給されていないと判断するとブザー10を鳴らし、利用者に警告を与える。この場合、利用者は例えばファクシミリの回線接続用モジュラーケーブルの接続を確認したり、ファクシミリが正常に動作しているかどうかの判断を行うことになる。
【0047】
〈具体例3の効果〉
以上の構成によれば、回線に直流ループ形成前に所定の電圧が供給されているかどうかを判断し、その結果を通知する機能を回線インタフェース回路に付与することができる。
【0048】
〈具体例4〉
図7は、具体例4による回線インタフェース回路の結線図を示す。
この回路は、具体例3による回線インタフェース回路に対し、更に回線に所定の電圧が供給されているかどうかの判断結果を表示する機構を設けたものである。即ち、図7の信号制御部7には、LCD制御部12と、メモリ13及びLCD表示部11が設けられている。メモリ13には、LCD(液晶表示装置)表示部11に表示すべき文字等のデータが格納されている。また、LCD制御部12はメモリ13に格納されたデータを読み出して、LCD表示部11に表示する制御を行う部分である。これらの機能や回路構成は、従来各種の表示装置に使用されるものと全く同様のため、説明を省略する。
【0049】
図8には、具体例4による回路の動作フローチャートを示す。
このフローチャートを用いて、図4の回路の動作を説明する。
図8のステップS1〜ステップS8までの動作は、図6の装置と全く同一である。従って、ここまでの説明は省略し、ステップS9以降の説明を行う。まず、比較器の出力がステップS8において、正常と即ちハイレベルと判断されると、回線に所定の直流電圧が供給されていると判断し、受信動作へ移る。
【0050】
一方、直流電圧が供給されていないと判断するとステップS9に進み、図7に示す信号制御部7からLCD制御部12に対し直流未検出信号即ち利用者に何らかの警告を表示すべき旨の信号を出力する。ステップS10では、LCD制御部12がメモり13から予め記憶されているメッセージデータを読み取る。このメッセージデータには、例えば「回線の接続を確認して下さい」といった内容の文書が含まれているものとする。
【0051】
ステップS11では、これを利用してLCD表示部11に対しエラーメッセージを表示させる。更に、信号制御部7はブザー10を駆動してブザーを鳴らす。これによって、所有者に対する警告表示の読取りを要求する。
【0052】
〈具体例4の効果〉
以上のような方法によって、所有者にエラーの内容を通知し、速やかに回線接続等の対応を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】具体例1による回線インタフェース回路の結線図である。
【図2】発信者番号通知サービス手順を示すシーケンスチャートである。
【図3】具体例2による回線インタフェース回路の結線図である。
【図4】極性反転検出動作のフローチャートである。
【図5】具体例3による回線インタフェース回路の結線図である。
【図6】具体例3による回路の動作フローチャートである。
【図7】具体例4による回線インタフェース回路の結線図である。
【図8】具体例4による回路の動作フローチャートである。
【符号の説明】
C1,C2 コンデンサ
D2〜D5 検出素子
L1,L2 回線
R1,R2 抵抗器
R3 電流制限抵抗器
R4〜R7 抵抗器
SW1〜SW3 スイッチ
TR1 トランス
Claims (2)
- 被呼側端末で発信者通知を検出すると回線に対し直流ループを開放する回線インタフェース回路であって、
前記回線に相互に逆極性で並列に接続され、前記回線に流れる回線電流の極性に応じてそれぞれ検出信号を出力する第1及び第2の検出素子と、
該第1及び第2の各検出素子と前記回線との間を接離するための第1及び第2のスイッチ手段と、
電源が投入されると前記第1のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御し、前記第1の検出素子が検出信号を出力すると前記第1のスイッチ手段を開制御すると共に前記第2のスイッチ手段を反転判定のために閉制御する第1のスイッチ制御部と、
前記第1のスイッチ制御部が前記第1のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御したときに前記第1の検出素子が検出信号を出力しないと前記閉制御された第1のスイッチ手段を開制御して前記第2のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御し、第2の検出素子が検出信号を出力すると前記第2のスイッチ手段を開制御すると共に前記第1のスイッチ手段を反転判定のために閉制御する第2のスイッチ制御部と、
前記第1及び第2のスイッチ制御部が極性を検知するために閉制御したときに前記第1及び第2の検出素子がいずれも検出信号を出力しないと前記回線が未接続と判定して警告制御する警告制御部と、
前記検出信号の出力時に前記第1のスイッチ制御部により前記第2のスイッチ手段が前記反転判定のために閉制御され又は前記第2のスイッチ制御部により前記第1のスイッチ手段が前記反転判定のために閉制御されると動作を開始し、前記第1又は第2の検出素子が検出信号を出力すると前記回線の極性が反転したと判定する極性判定部とを含み、
前記極性判定部が前記極性の反転を判定すると、前記発信者通知を受けるための直流ループを形成することを特徴とする回線インタフェース回路。 - 被呼側端末で発信者通知を検出すると回線に対し直流ループを開放する発信者通知の検出方法であって、
前記回線に相互に逆極性で並列に接続され、前記回線に流れる回線電流の極性に応じてそれぞれ検出信号を出力する第1及び第2の検出素子と、該第1及び第2の各検出素子と前記回線との間を接離するための第1及び第2のスイッチ手段とを設け、
電源が投入されると前記第1のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御し、前記第1の検出素子が検出信号を出力すると前記第1のスイッチ手段を開制御すると共に前記第2のスイッチ手段を反転判定のために閉制御するステップと、
前記第1のスイッチ手段が極性を検知するために閉制御されたとき前記第1の検出素子が検出信号を出力しないと前記閉制御された第1のスイッチ手段を開制御して前記第2のスイッチ手段を極性を検知するために閉制御し、前記第2の検出素子が検出信号を出力すると前記第2のスイッチ手段を開制御すると共に前記第1のスイッチ手段を反転判定のために閉制御するステップと、
前記第1及び第2のスイッチ手段が極性を検知するために閉制御されたとき前記第1及び第2の検出素子がいずれも検出信号を出力しないと前記回線が未接続と判定して警告制御するステップと、
前記第1又は第2のスイッチ手段が前記反転判定のために閉制御されると動作を開始し、前記第1又は第2の検出素子が検出信号を出力すると前記極性が反転したと判定し、前記発信者通知を受けるための前記直流ループを形成するステップと、
を含むことを特徴とする発信者通知の検出方法。
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