JP3863305B2 - パワーウィンドウ制御装置及びパワーウィンドウ制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の各ドアに配置された正逆回転駆動可能な電動機の駆動によりウインドウガラスを昇降制御するパワーウィンドウ制御装置及びパワーウィンドウ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用のパワーウィンドウ制御装置においては、図6のように、それぞれの窓部に設置された個々のパワーウィンドウスイッチ(図示せず)の他に、運転席付近に窓開閉動作ロック用の主操作スイッチSWを設け、これらのスイッチ操作により運転席、助手席、後席用のモータ正転・反転制御部2a〜2cを通じてモータ1a〜1cを駆動制御し、各窓の開閉動作を行うようになっている。主操作スイッチSWの近傍には、特に助手席及び後席の開閉操作を一度にロックするためのロック用リレー3が備わっている。これは、助手席や後席に例えば児童が搭乗する際に、その児童が助手席や後席付近に設置されたパワーウィンドウスイッチで窓を開閉するのを防ぐためなどの目的で使用される。
【0003】
ここで、運転席用モータ正転・反転制御部2aは、他の助手席、後席用のモータ正転・反転制御部2b,2cと異なり、主操作スイッチSW及びロック用リレー3の操作とは別系統となっている。また、ロック用リレー3の励磁コイル3aは、主操作スイッチSWに対して直列に接続されている。これにより、主操作スイッチSWがオフのときはロック用リレー3がオフとなるため、運転席近くの窓だけが開閉操作可能となるが、助手席及び後席は窓の開閉操作ができないようになっている。尚、主操作スイッチSWをオンにすると、ロック用リレー3がオンとなってすべての窓の開閉操作が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、パワーウインドウを具備した自動車が事故などにより水没した場合等においては、すべての窓を早急に開放し、一刻も早く車内から脱出しなければならない。
【0005】
しかしながら、図6のような回路構成の場合、自動車の水没後に主操作スイッチSWを素早くオンに切り替えれば、ロック用リレー3がオンとなって、すべての窓の開操作が可能状態となるものの、かかるスイッチ操作は運転席でしかできないため、水没時に運転者が動揺して主操作スイッチSWを正しく操作できないときは、その間は助手席や後席の乗員が脱出不可能となってしまう。
【0006】
また、早急に窓の開操作を行わないと、時間の経過と共に自動車内に水が浸入してくる。そして、水の浸入が電気系統にまで達すると、各電気部材間または電気配線間等で短絡が発生し、その結果、電気系統が正常に作動しないことがあり、ウインドウガラスを開操作できなくなるおそれがあることから、助手席や後席の窓のロックを素早く解除しなければならない。
【0007】
尚、パワーウィンドウに関するすべての電気系統を完全防水して、時間が経過しても助手席や後席の窓のロック解除できるようにする方法や、あるいは、本出願人が特願平10−1774号において提案しているように、電気系統のすべてを完全防水しないまでも、いわゆる水入り検知センサを用いて回路上の誤動作を防ぐ方法も考えられる。
【0008】
しかしながら、単に電気系統の故障を防止するだけでなく、素早くロックを解除して窓の開放を可能とすることはいずれの場合でも必要である。
【0009】
そこで、この発明の課題は、車両水没時に運転者が動揺して適切にロック用リレーをオンできないような場合でも、助手席や後席の搭乗員が各々の席で窓開操作することが可能となるパワーウィンドウ制御装置及びパワーウィンドウ制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、自動車の各座席付近の窓開閉用のパワーウィンドウ制御装置であって、運転席でのスイッチ操作により運転席窓の開閉制御を行う運転席用窓開閉制御部と、助手席及び後席でのスイッチ操作により助手席窓及び後席窓の開閉をそれぞれ個別に行う複数の助手席・後席用窓開閉制御部と、作動状態ですべての前記助手席・後席用窓開閉制御部におけるスイッチ操作をロックして当該助手席・後席用窓開閉制御部の機能を停止させるロック用リレーと、運転席付近に設置され、前記ロック用リレーの作動状態を切り替えて前記助手席・後席用窓開閉制御部のスイッチ操作をロックまたはロック解除するように指示する主操作スイッチと、自動車の所定の位置に配設されて当該自動車の水没を検出し、水没の検出時にすべての前記助手席・後席用窓開閉制御部を動作可能に切り替える水入り検知センサとを備え、前記水入り検知センサと前記主操作スイッチとは互いに並列に接続されて前記ロック用リレーに共通に接続され、前記水入り検知センサと前記主操作スイッチの論理和により前記ロック用リレーの解除制御が行われるものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、運転席でのスイッチ操作により運転席窓の開閉制御を行うとともに、助手席及び後席でのスイッチ操作により助手席窓及び後席窓の開閉をそれぞれ個別に行うことで、自動車の各座席付近の窓を開閉するパワーウィンドウ制御方法であって、助手席窓及び後席窓の開閉をそれぞれ個別に行う助手席・後席用窓開閉制御部について、作動状態で当該各助手席・後席用窓開閉制御部におけるスイッチ操作をロックして当該助手席・後席用窓開閉制御部の機能を停止させるロック用リレーを設け、運転席付近に設置された主操作スイッチにより、前記ロック用リレーの作動状態を切り替えて前記助手席・後席用窓開閉制御部のスイッチ操作をロックまたはロック解除するように指示するとともに、自動車の所定の位置に配設された水入り検知センサで自動車の水没を検出したときに、すべての前記助手席・後席用窓開閉制御部を動作可能に切り替えるようにし、前記水入り検知センサと前記主操作スイッチとは互いに並列に接続されて前記ロック用リレーに共通に接続され、前記水入り検知センサと前記主操作スイッチの論理和により前記ロック用リレーの解除制御が行われるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
{第1の実施の形態}
図1はこの発明の第1の実施の形態に係るパワーウィンドウ制御装置を示す図である。なお、図1では図6に示した従来例と同様の機能を有する要素については同一符号を付している。
【0014】
このパワーウィンドウ制御装置は、図1の如く、運転席窓の昇降用モータ1aを駆動制御する運転席用モータ正転・反転制御部2a(運転席用窓開閉制御部)と、その他の窓の昇降用モータ1b,1cを駆動制御する助手席・後席用モータ正転・反転制御部2b,2c(助手席・後席用窓開閉制御部)とが設けられている。もっとも、後席用モータ正転・反転制御部2cは通常左右座席用に2個設けられるが、ここでは説明の便宜上1個の制御部で代表して説明する。上記のうち、運転席用モータ正転・反転制御部2aは、バッテリ電源(+B)からの電力供給を受け且つ接地側が単独でグランド接続されている。これに対して、その他のモータ正転・反転制御部2b,2cについては、これらが互いに並列に接続されてなる並列回路11を形成し、この並列回路11ごと、バッテリ電源(+B)からの電力供給を受けると共に、並列回路11ごとロック用リレー3の開閉接点3bを介して接地させている。即ち、運転席用モータ正転・反転制御部2aとその他のモータ正転・反転制御部2b,2cとでは、電源として共通のバッテリ電源(+B)を使用しながらも、それ以外は電気的に別系統の回路構成とされており、並列回路11の駆動はロック用リレー3の開閉接点3bによってオンオフ切り替えされるようになっている。
【0015】
また、ロック用リレー3の励磁コイル3aとバッテリ電源(+B)との間には主操作スイッチSWが介装されており、この主操作スイッチSWが閉成したときに励磁コイル3aの通電が行われ、ロック用リレー3の開閉接点3bが閉成するようになっている。
【0016】
そして、主操作スイッチSWと励磁コイル3aの接続点には、反転回路(NOT回路)12を介して水入り検知センサ13が接続されており、その結果として、主操作スイッチSWからの信号と水入り検知センサ13の反転信号との論理和によりロック用リレー3の閉切り替え制御(ロック解除)が行われる。即ち、主操作スイッチSWの開閉状態に拘わらず、水入り検知センサ13からロー出力があったときに反転回路12から励磁コイル3aに強制的にハイ信号が与えられ、ロック用リレー3の開閉接点3bが閉成するようになっている。尚、水入り検知センサ13は、自動車ボディ底部等の所定の位置に配置され、水没していないときにはハイ信号を出力し続ける一方、水没を検出したときにロー信号を出力するようになっている。
【0017】
ここで、水入り検知センサ13は、例えば本願出願人が特願平10−1774号出願において提案しているように、図2のような所定厚み寸法の合成樹脂板13aの表面に一対の導電性のランド部13b,13cが露出して対向配置するよう形成したもので、ランド部13b,13cの外部引出用リード13d,13eは絶縁レジスト被層膜13fにより被覆されている。そして、一対のランド部13b,13c間に水Wが介在されると、両ランド部13b,13c間が電気的に導通し、自動車内への水の浸入を検知できるようになっている。
【0018】
尚、図1の例では水入り検知センサ13、反転回路12及び主操作スイッチSWは、すべて同一のユニットUn内の要素として図示しているが、個別のユニット構成に分離して構成しても良いことは勿論である。尚、図1では、運転席用モータ正転・反転制御部2aとユニットUnとは別々のユニット構成とされた例を示している。
【0019】
また、各モータ正転・反転制御部2a〜2cには、それぞれ個別にモータ正転・反転制御部2a〜2cを操作指示するための昇降スイッチ(パワーウィンドウスイッチ)14a〜14cが設置されており、特に運転席用モータ正転・反転制御部2a内の昇降スイッチ14aは常に単独で昇降用モータ1aの駆動指示が有効に働くのに対して、運転席以外のモータ正転・反転制御部2b,2c内の昇降スイッチ14b,14cについては、ロック用リレー3の開閉接点3bが閉成しているときにのみ有効に働くようになっている。
【0020】
尚、図3は運転席以外のモータ正転・反転制御部2b,2cの内部構成を示したブロック図の例を示している。モータ正転・反転制御部2b,2cは、例えば図3のように、上述の昇降スイッチ14b,14cと、昇降用モータ1b,1cを上昇側(窓閉側)に駆動するよう電力供給する上昇駆動リレー15と、昇降用モータ1b,1cを下降側(窓開側)に駆動するよう電力供給する下降駆動リレー16と、これらの駆動リレー15,16のオンオフを切り替えるスイッチング素子17,18と、これらのスイッチング素子17,18の切り替え制御を行う制御部19とを備えて構成される。
【0021】
上記構成のパワーウィンドウ制御装置の動作を説明する。
【0022】
通常時には、主操作スイッチSWが閉成(オン)状態に維持されてロック用リレー3の励磁コイル3aに通電が行われ、その結果、開閉接点3bは閉成(オン)状態になっている。このときには、運転席用モータ正転・反転制御部2aだけでなく、並列回路11内の各モータ正転・反転制御部2b,2cの接地側もグランド接続されるため、各搭乗員は、その座席が運転席であるか否かに拘わらず、それぞれの窓部に設置された昇降スイッチ14a〜14cを操作して各モータ正転・反転制御部2a〜2cに指示を与え、それぞれ対応する昇降用モータ1a〜1cを駆動して窓の開閉を行うことが可能である。
【0023】
尚、各運転席以外のモータ正転・反転制御部2b,2cでは、各席の付近に設置された昇降スイッチ14b,14cによって駆動リレー15,16のオンオフが切り替えられ、昇降用モータ1b,1cが駆動されるとともに、運転席近くの中央操作スイッチ(図示しない)によって制御部19に指示信号が与えられたときにも、この制御部19によってスイッチング素子17,18の切り替え制御が行われ、駆動リレー15,16のオンオフが切り替えられて昇降用モータ1b,1cが駆動される。
【0024】
ところが、通常の自動車走行時に助手席や後席に例えば児童が搭乗する際、その児童が助手席や後席付近に設置された昇降スイッチ14b,14cで勝手に窓を開閉すると危険な状態が発生するおそれがある。かかる危険を防ぐため、運転者は、主操作スイッチSWを操作してこれを開成し、ロック用リレー3の励磁コイル3aへの通電を停止させて、開閉接点3bを開成(オフ)し、並列回路11の接地側をグランド接続から遮断する。そうすると、並列回路11内の各モータ正転・反転制御部2b,2cがそれぞれの機能を停止し、昇降スイッチ14b,14cを操作しても昇降用モータ1b,1cは駆動されず、助手席及び後席の窓の開閉操作ができないようになる。即ち、運転席近くの窓だけが開閉操作可能となる。尚、かかる動作は、自動車が水没しておらず、故に水入り検知センサ13からの出力がハイ出力であることを前提としている。
【0025】
次に、自動車が沼地等に進入したりして、水入り検知センサ13が自動車の水没を検出した場合、この水入り検知センサ13からロー信号が出力され、反転回路12を通じてロック用リレー3の励磁コイル3aにハイ信号が出力される。この出力は、主操作スイッチSWの開閉状態に拘わらず行われる。そうすると、主操作スイッチSWが例え開成状態であっても、反転回路12からのハイ信号によりロック用リレー3の励磁コイル3aに通電が行われ、開閉接点3bが閉成(オン)し、並列回路11の接地側がグランド接続される。したがって、各モータ正転・反転制御部2b,2cは主操作スイッチSWの状態に拘わらず有効に機能することになり、運転席以外の各搭乗員はそれぞれ単独で昇降スイッチ14b,14cを操作して窓の開閉を操作できるようになる。
【0026】
即ち、車両水没時に運転者が動揺して適切にロック用リレー3を閉成(オン)できないような場合でも、水入り検知センサ13によりリレー3を強制的に閉成(オン)できるため、助手席・後席搭乗員が各々の席で窓開操作が可能となり、車両から脱出可能となる。
【0027】
また、水入りによって主操作スイッチSWの接点が導通不良となるような場合でも、水入り検知センサ13によりリレー3が閉成(オン)駆動されて助手席・後席の窓の開閉操作を行うことができるため、主操作スイッチSWと水入り検知センサ13のどちらかが故障した場合でも、相互のバックアップによりリレー3のオン制御が確実となる。
【0028】
{第2の実施の形態}
図4はこの発明の第2の実施の形態に係るパワーウィンドウ制御装置を示す図である。なお、図4では従来例及び第1の実施の形態と同様の機能を有する要素については同一符号を付している。
【0029】
図4の如く、この実施形態のパワーウィンドウ制御装置は、運転席用モータ正転・反転制御部2aと主操作スイッチSWとが一体のユニット構成とされた場合について示すものである。従来より、運転席用モータ正転・反転制御部2a内に水入り検知センサ13が設置されたものがあったが、この実施の形態のパワーウィンドウ制御装置では、当該水入り検知センサ13をそのまま利用して、ロック用リレー3の閉成制御を行うものである。
【0030】
運転席用モータ正転・反転制御部2a内には、運転席窓の開閉(昇降)を操作指示する昇降スイッチ14aと、この昇降スイッチ14aからの指示を受けて昇降用モータ1aの駆動制御を行うモータ駆動回路21とを備える。
【0031】
昇降スイッチ14aは、窓の閉塞(上昇)を操作指示するパワーウィンドウ閉塞スイッチ14aaと、窓の開放(下降)を操作指示するパワーウィンドウ開放スイッチ14abからなり、これらはいずれも例えば自律復帰型の押しボタンスイッチ等が適用され、両スイッチ14aa,14abとも、操作指示を行わないときにはハイ状態に固定される一方、操作指示時にはロー状態に切り替えるようスイッチ切り替えする。
【0032】
モータ駆動回路21は、第1の実施の形態で説明したものと同様の水入り検知センサ13と、運転席用モータ1aの正逆駆動用制御部20と、パワーウィンドウ開放スイッチ14abからの操作指示信号を増幅する出力プリアンプ回路22と、水入り検知センサ13及び出力プリアンプ回路22の論理積をとる論理積回路23と、この論理和回路23及びパワーウィンドウ閉塞スイッチ14aaの少なくともいずれか一方からの信号がロー状態であるときに運転席用モータ1aに駆動電力を供給して昇降(開閉)駆動するモータ駆動リレー部24とを備える。
【0033】
水入り検知センサ13は、水没していないときにはハイ信号を別のユニットUm内の反転回路12及び論理和回路23に出力し続ける一方、水没を検出したときにロー信号を反転回路12及び論理和回路23に出力するようになっている。
【0034】
正逆駆動用制御部20は、図5の如く、昇降用モータ1aを上昇側(窓閉側)に駆動するよう電力供給する上昇駆動リレー31と、昇降用モータ1aを下降側(窓開側)に駆動するよう電力供給する下降駆動リレー32と、これらの駆動リレー31,32のオンオフをそれぞれ切り替えるスイッチング素子33,34と、これらのスイッチング素子33,34の切り替え制御を行う制御部35とを備えている。そして、制御部35は、パワーウィンドウ閉塞スイッチ14aaからの操作指示信号に基づいて、スイッチング素子33をオンにして上昇駆動リレー31をオン切り替えするとともに、スイッチング素子34をオフにし、下降駆動リレー32をオフ切り替えして、昇降用モータ1aを上昇駆動させる。また、逆に、パワーウィンドウ開放スイッチ14abからの操作指示信号に基づいて、スイッチング素子34をオンにし、下降駆動リレー32をオン切り替えするとともに、スイッチング素子33をオフにして上昇駆動リレー31をオフ切り替えし、昇降用モータ1aを下降駆動させる。
【0035】
論理和回路23は、パワーウィンドウ開放スイッチ14abからハイ信号が出力プリアンプ回路22を通じて入力され(即ちパワーウィンドウ開放スイッチ14abでの操作指示がない場合)、且つ水入り検知センサ13からハイ信号が入力されたとき(即ち水没していない場合)にのみ、モータ駆動リレー部24にハイ信号を出力する。
【0036】
モータ駆動リレー部24は、論理積回路23及びパワーウィンドウ閉塞スイッチ14aaの少なくとも一方がロー状態の時は、正逆駆動用制御部20をバッテリ(+B)に接続して電力供給を行うようになっている。
【0037】
尚、運転席以外の各モータ正転・反転制御部2b,2cの内部構成は図3に示した第1の実施の形態のものと同様である。また、並列回路11やロック用リレー3の内部構成も第1の実施の形態のもの(図1参照)と同様である。
【0038】
上記構成のパワーウィンドウ制御装置において、通常時には、主操作スイッチSWが閉成(オン)状態に維持されてロック用リレー3の励磁コイル3aに通電が行われ、その結果、開閉接点3bは閉成(オン)状態になっている。このときには、運転席以外の並列回路11内の各モータ正転・反転制御部2b,2c(図3参照)の接地側がグランド接続されるため、各搭乗員は、その座席が運転席でなくても、それぞれの窓部に設置された昇降スイッチ14b,14cを操作して各モータ正転・反転制御部2b,2cに指示を与え、それぞれ対応する昇降用モータ1b,1cを駆動して窓の開閉を行うことが可能である。
【0039】
また、運転者がパワーウィンドウ閉塞スイッチ14aaを操作したときは、論理積回路23からの出力のハイ/ローに拘わらず、パワーウィンドウ閉塞スイッチ14aaがローになる(接地される)ことによりモータ駆動リレー部24の励磁コイル24aに通電は行われず、よって正逆駆動用制御部20がバッテリ(+B)からの電力供給を受ける。そして、パワーウィンドウ閉塞スイッチ14aaからの操作指示信号に基づいて昇降用モータ1aを上昇側(窓閉塞側)に駆動させる。
【0040】
一方、運転者がパワーウィンドウ開放スイッチ14abを操作したときは、このスイッチ14abからロー信号が論理積回路23に入力される。そうすると、水入り検知センサ13からの出力のハイ/ローに拘わらず、論理積回路23はロー信号を出力し、故にモータ駆動リレー部24の励磁コイル24aに通電は行われず、正逆駆動用制御部20がバッテリ(+B)からの電力供給を受ける。そして、パワーウィンドウ開放スイッチ14abからの操作指示信号に基づいて昇降用モータ1aを下降側(窓開放側)に駆動させる。
【0041】
ここで、助手席や後席に例えば児童が搭乗する際に、運転者が、主操作スイッチSWを操作してこれを開成すれば、ロック用リレー3の励磁コイル3aへの通電を停止させて、開閉接点3bを開成(オフ)し、並列回路11の接地側をグランド接続から遮断する。そうすると、並列回路11内の各モータ正転・反転制御部2b,2cがそれぞれの機能を停止し、昇降スイッチ14b,14cを操作しても昇降用モータ1b,1cは駆動されず、助手席及び後席の窓の開閉操作ができないようになる。即ち、運転席近くの窓だけが開閉操作可能となる。尚、かかる動作は、自動車が水没しておらず、故に水入り検知センサ13からの出力がハイ出力であることを前提としている。
【0042】
次に、自動車が沼地等に進入したりして、水入り検知センサ13が自動車の水没を検出した場合、この水入り検知センサ13からロー信号が出力され、反転回路12を通じてロック用リレー3の励磁コイル3aにハイ信号が出力される。この出力は、主操作スイッチSWの開閉状態に拘わらず行われる。そうすると、主操作スイッチSWが例え開成状態であっても、反転回路12からのハイ信号によりロック用リレー3の励磁コイル3aに通電が行われ、開閉接点3bが閉成(オン)し、並列回路11の接地側がグランド接続される。したがって、各モータ正転・反転制御部2b,2cは、主操作スイッチSWの状態に拘わらず有効に機能することになり、運転席以外の各搭乗員はそれぞれ単独で昇降スイッチ14b,14cを操作して窓の開閉を操作できるようになる。
【0043】
即ち、車両水没時に運転者が動揺して適切にロック用リレー3を閉成(オン)できないような場合でも、水入り検知センサ13によりリレー3を強制的に閉成(オン)できるため、助手席・後席搭乗員が各々の席で窓開操作が可能となり、車両から脱出可能となる。
【0044】
また、水入りによって主操作スイッチSWの接点が導通不良となるような場合でも、水入り検知センサ13によりリレー3が閉成(オン)駆動されて助手席・後席の窓の開閉操作を行うことができるため、主操作スイッチSWと水入り検知センサ13のどちらかが故障した場合でも、相互のバックアップによりリレー3のオン制御が確実となる。
【0045】
このように、既存の水入り検知センサ13を使用するだけで、運転席以外の各モータ正転・反転制御部2b,2cを強制的にオン切り替えできるので、部品点数の増大を防止できるという利点がある。
【0046】
【発明の効果】
請求項1または請求項2に記載の発明によれば、運転席付近の主操作スイッチの操作によりロック用リレーを切り替えて、すべての助手席・後席用窓開閉制御部におけるスイッチ操作をロックして当該助手席・後席用窓開閉制御部の機能を停止させるようにした状態で自動車が水没しても、水入り検知センサによって自動車の水没が検出されて、すべての前記助手席・後席用窓開閉制御部が動作可能に切り替えられるため、車両水没時に運転者が動揺して適切にロック用リレーのロックを解除できないような場合でも、助手席・後席搭乗員が各々の席で窓開操作が可能となり、車両から脱出可能となる。
【0047】
また、水入りによって主操作スイッチの接点が導通不良となるような場合でも、水入り検知センサにより自動的にロック用リレーのロック解除のため制御を行うことができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るパワーウィンドウ制御装置を示す回路ブロック図である。
【図2】水入り検知センサを示す一部破断斜視図である。
【図3】各モータ正転・反転制御部の内部構成を示す回路ブロック図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態に係るパワーウィンドウ制御装置を示す回路ブロック図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態における正逆駆動用制御部の内部構成を示す回路ブロック図である。
【図6】従来例のパワーウィンドウ制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1a〜1c 昇降用モータ
2a〜2c モータ正転・反転制御部
3 ロック用リレー
11 並列回路
12 反転回路
13 水入り検知センサ
14a〜14c 昇降スイッチ
20 正逆駆動用制御部
21 モータ駆動回路
22 出力プリアンプ回路
23 論理積回路
24 モータ駆動リレー部
SW 主操作スイッチ
Claims (2)
- 自動車の各座席付近の窓開閉用のパワーウィンドウ制御装置であって、
運転席でのスイッチ操作により運転席窓の開閉制御を行う運転席用窓開閉制御部と、
助手席及び後席でのスイッチ操作により助手席窓及び後席窓の開閉をそれぞれ個別に行う複数の助手席・後席用窓開閉制御部と、
作動状態ですべての前記助手席・後席用窓開閉制御部におけるスイッチ操作をロックして当該助手席・後席用窓開閉制御部の機能を停止させるロック用リレーと、
運転席付近に設置され、前記ロック用リレーの作動状態を切り替えて前記助手席・後席用窓開閉制御部のスイッチ操作をロックまたはロック解除するように指示する主操作スイッチと、
自動車の所定の位置に配設されて当該自動車の水没を検出し、水没の検出時にすべての前記助手席・後席用窓開閉制御部を動作可能に切り替える水入り検知センサとを備え、
前記水入り検知センサと前記主操作スイッチとは互いに並列に接続されて前記ロック用リレーに共通に接続され、前記水入り検知センサと前記主操作スイッチの論理和により前記ロック用リレーの解除制御が行われることを特徴とするパワーウィンドウ制御装置。 - 運転席でのスイッチ操作により運転席窓の開閉制御を行うとともに、助手席及び後席でのスイッチ操作により助手席窓及び後席窓の開閉をそれぞれ個別に行うことで、自動車の各座席付近の窓を開閉するパワーウィンドウ制御方法であって、
助手席窓及び後席窓の開閉をそれぞれ個別に行う助手席・後席用窓開閉制御部について、作動状態で当該各助手席・後席用窓開閉制御部におけるスイッチ操作をロックして当該助手席・後席用窓開閉制御部の機能を停止させるロック用リレーを設け、運転席付近に設置された主操作スイッチにより、前記ロック用リレーの作動状態を切り替えて前記助手席・後席用窓開閉制御部のスイッチ操作をロックまたはロック解除するように指示するとともに、
自動車の所定の位置に配設された水入り検知センサで自動車の水没を検出したときに、すべての前記助手席・後席用窓開閉制御部を動作可能に切り替えるようにし、
前記水入り検知センサと前記主操作スイッチとは互いに並列に接続されて前記ロック用リレーに共通に接続され、前記水入り検知センサと前記主操作スイッチの論理和により前記ロック用リレーの解除制御が行われることを特徴とするパワーウィンドウ制御方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP30225898A JP3863305B2 (ja) | 1998-10-23 | 1998-10-23 | パワーウィンドウ制御装置及びパワーウィンドウ制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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