JP3861668B2 - 電子写真感光体とその塗布方法及びチャック装置 - Google Patents

電子写真感光体とその塗布方法及びチャック装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等として用いられる画像形成装置に装填される電子写真感光体(単に感光体ということあり)、その導電性基体上に光導電性材料等の塗布液を浸漬塗布する塗布方法、及び塗布時に用いるチャック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真感光体の製造方法として、浸漬塗布方法は広く実施されており、その方法は、基本的に塗布液槽の中に、被塗布物である導電性基体を下降させていき、塗布したいところまで基体を浸漬させた後、上昇させることによる。この浸漬塗布方法は、円筒状(ドラム状)の感光体の製造方法として、生産性、膜厚の均一性などにおいて優れた方法である。
【0003】
しかしながら、塗布工程においては、様々な問題を有している。例えば、塗布液に対して基体の温度が高すぎる場合は、基体上での塗布液粘度が低下し液ダレを起こすことにより、均一な塗膜を得ることができない。また、塗布液に対して基体の温度が低すぎる場合は、基体上での塗布液粘度が部分的に上昇し一部が厚膜化する為、均一な塗膜を得ることができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、浸漬塗布方法により、電子写真感光体用の塗布液を均一に導電性基体に塗布する方法、複数本の同時塗布方法及びチャック装置、或いはそれにより造られた電子写真感光体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、上記の問題が生ずる原因が塗布後の導電性基体或いは上層の塗布膜各部の温度差に起因することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
このような各々の基体の各部位や複数本の塗布の場合に基体の温度差が生ずる問題は、特に、溶媒の蒸発速度によって差が生じることが知られており、浸漬塗布後、温度差を小さくする手段が必要である。通常、冷風の吹きつけなどによって強制冷却を行うが、それによる個々の基体への冷却風の吹きつけ条件や、熱容量の差異並びに熱伝導の差異のため、個々の基体間でさらに温度差が生じやすくなると考えられる。また、自然冷却によっても熱伝導の差異による温度差が生じることは明らかである。
【0007】
本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることにより達成される。
〔1〕 円筒状基体を、チャック装置の下端に設けたチャック部のチャック部材によって把持し、塗布液中に浸漬して塗布する電子写真感光体の塗布方法において、該基体に接触するチャック部材の前記基体に対する把持長が、前記円筒状基体全長の0.3〜5%(把持長率)であり、前記チャック部材を除くチャック部の材質が熱伝導性の低いポリマー物質よりなることを特徴とする電子写真感光体の塗布方法。
【0011】
〕 前記ポリマーが導電性ナイロンであることを特徴とする〔1〕記載の電子写真感光体の塗布方法。
【0012】
〕 塗布直後のチャックに把持された部分の導電性基体の表面温度と把持されていない表面温度との温度差Mが2.0℃以内であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の電子写真感光体の塗布方法。
【0013】
〕 円筒状導電性基体を、チャック装置の下端に設けたチャック部のチャック部材によって把持し、電子写真感光体用の塗布液中に浸漬して塗布する方法に用いるチャック装置において、該基体に接触するチャック部材の前記基体に対する把持長が、円筒状基体全長の0.3〜5%(把持長率)であり、前記チャック部材を除くチャック部の材質が熱伝導性の低いポリマー物質よりなることを特徴とするチャック装置。
【0014】
〕 〔1〕〜〔〕の何れか1項記載の塗布方法で作製されたことを特徴とする電子写真感光体。
【0015】
即ち、特開平10−186689号公報には塗布前の感光体の基体の温度を規定しているが、詳細に検討した結果、塗布前の温度差よりも塗布後の温度差を制御する方が重要であることが判明した。
【0016】
塗布前に温度差がある導電性基体(単に基体ということがある)を塗布液にほぼ全体を浸漬させると、通常熱伝導性の優れたアルミニウムドラムの導電性基体を使用している為、ほぼ瞬時に同一表面温度に保持される。ところが引き上げて塗膜を形成していく段階では、溶媒の蒸発熱、乾燥風、ドラムの内面に接触している部材や把持部材の接触面積(把持長に相当する)の影響を受け、温度差が出てくることが解ってきた。
【0017】
この温度差の為、塗布ムラや塗布スジが発生する。特に把持部の接触面積が小さかったり、ドラム内面に接触する部材がポリマーやゴム等の熱伝導性の悪い材料の場合、温度差が生じ易くなることが判明した。この理由については次のように考えられる。即ち、チャック部としてチャック部材のOリング近傍に金属例えばアルミニウムを使用した場合、把持時、Oリングは変形し、アルミニウムの一部はドラムに接触し、ドラムの部分的な熱容量を変えてしまう結果、この接触箇所の温度低下が大きくなる。
【0018】
逆にチャック部としてチャック部材のOリング近傍に樹脂、例えばナイロン樹脂を使用した場合、把持時にOリングは変形し、ナイロン樹脂の一部はドラムに接触するが、もともと熱伝導性が悪いのでこの接触部の温度への影響は少なく温度差Mは小さい。多数本の場合も同様に考えられるが、多数本を均一に乾燥させる乾燥風の流れの強さと、その制御は、1本のドラムを塗布する場合と異なり更に困難な為に、この温度差Mが大きくなる傾向にある。
【0019】
しかし、この温度差を小さくすることにより、▲1▼塗布ムラ、膜厚ムラが発生しない、又、▲2▼多数本同時塗布の場合でもドラム間の塗布ムラ、膜厚ムラが無い、ことになり好ましい。
【0020】
表面温度は公知の方法、例えば熱電対温度計等の接触型温度計や非接触型の温度計等を用いて行うことが出来る。測定個所は基体内側の接触部に対応する基体のA表面地点と、ドラム長の半分のB地点である。従って本発明でいう温度差MとはA地点とB地点の温度差を意味する(図1参照)。
【0021】
図1は、本発明に係わる浸漬塗布装置のチャック装置10とそれに把持された導電性基体1の概要断面図である。
【0022】
図1(イ)は、Oリングにより感光体の導電性基体ドラムを把持するタイプである。
【0023】
導電性基体1が、チャック部材のOリング3により把持されていて、図示していないがチャック装置を塗布液に向けて下げていき、導電性基体1はほぼ全長が塗布液中に浸漬されることになる。5が把持する支持装置、6がチャック部である。チャック部6に圧搾空気が注入されると、Oリング3の径がやや広げられて、導電性基体1の内壁に密着し、基体をしっかりと把持することが出来る。
【0024】
同様に、図1(ロ)は、風船チャック4により感光体の導電性基体を把持するタイプである。チャック部材としては内部に空気を送り込むと膨張するゴム状の風船チャック4を用い、導電性基体1をその内部に接触させて把持することが出来る。
【0025】
導電性基体の把持長は、基体全長の0.1〜25%(把持長率)であり、好ましくは0.1〜10%、更には0.3〜5%が好ましい。0.1%以下だと把持が不安定となり、25%を越えると把持長が増す為、却って温度ムラが発生しやすい。
【0026】
把持長率とは、図1に示す如くに、導電性基体ドラム長をLとして、ドラムに接触しているチャック部材長をdとすると、把持しているドラム長Lに対する割合であり、把持長率は(d/L)×100で計算される。
【0027】
チャック部6は熱伝導性が悪い物質が良い。熱伝導性が悪い部材とは、熱伝導率が2×10W・m-1・K-1以下を意味する。即ち樹脂、ゴム等のポリマー類が良く、この中ポリマーに導電性を付与した樹脂、例えば導電性ナイロン樹脂は基体にほこりを寄せ付けないこと、また静電火災を防止できるので好ましい。
【0028】
なお、チャック部材としては、前記したとおりOリング、風船チャック等があり、本発明はその何れでも良い。
【0029】
又、図2は、やはり本発明に係わる多数本の浸漬塗布装置のチャック装置10とそれにOリング3で把持された導電性基体1の概要斜視図である。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真感光体の製造方法は、機能分離型の積層型感光体をはじめとして、何れの塗布層にも用いることが可能である。例えば、電子写真感光体が、導電性基体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を積層してなるものである場合、塗布液層は電荷発生層であっても、電荷輸送層であってもよく、また、電子写真感光体が、導電性基体上に少なくとも中間層(下引き層)、電荷発生層、電荷輸送層を積層してなるものである場合、塗布液層は、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層の何れであってもよい。
【0031】
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性基体としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等あるいは導電性付与剤を塗布、または、含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0032】
さらに必要に応じて導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の酸化処理や薬品処理、及び、着色処理等または、砂目立てなどの乱反射処理等を行うことができる。
【0033】
以下に、各塗布液層について説明する。下引き層に用いる結着樹脂はポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらの結着樹脂に酸化チタンや酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物を分散させても良い。
【0034】
電荷発生層は電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結合剤、可塑剤、増感剤を用いることができる。電荷発生物質としては、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、キノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、アズレニウム塩、三晶方型セレンなどが挙げられる。結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、これらの電荷発生物質は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の公知の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0035】
電荷輸送層は、電荷輸送物質を適当な結着樹脂中に含有させて形成される。電荷輸送物質としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N.N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジエチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアミン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1’−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリルキナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2’−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、「ジャーナル オブ イメージング サイエンス(Journal of Imaging Science)」29巻、7〜10頁(1985)に記載されているエナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾールエチルグルタメートおよびその誘導体、さらにはピレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビフェニルアントラセン、ピレン/ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール/ホルムアルデヒド樹脂等の公知の電荷輸送物質を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送物質は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0036】
さらに電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどの公知の樹脂を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0037】
中間層、電荷発生層および電荷輸送層の塗布液作製に用いる溶剤には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン( MEK)、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロルメタン、メチルクロリド(塩化メチル)、ジクロルエタン、エチクロリド(塩化エチル)、四塩化炭素、トリクロルエチルなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族類等の一般に電子写真感光体の塗布液の作製に用いられる公知の有機溶媒を用いることができる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0038】
本発明の場合、塗布液を占める全溶媒組成に対して、50質量%より多くを占める溶媒の比蒸発速度が、200以上(n−酢酸ブチルを基準)である塗布液の場合効果が顕著である。
【0039】
比蒸発速度が200以上(n−酢酸ブチルを基準)である溶媒は、例えばメチルエチルケトン、メチルクロライド、エチルクロライド、メタノール、イソプロパノール等がある。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、無論、本発明の態様はこれら実施例に限定されるものではない。
【0041】
又、実施例において導電性基体としては、直径30mmのアルミニウムドラムを使用した。又、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0042】
実施例1
(中間層(UCL)の塗布)
下記中間層塗布液を調製し、図1(イ)のチャック部(Oリングがバイトン製で、チャック部は導電性ナイロン樹脂)を有する浸漬塗布方法にて、アルミニウム基体上に塗布した。乾燥膜厚約2μmの良好な塗膜が得られた。把持長率は0.3%であった。
【0043】
〈中間層(UCL)塗布液〉
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製のリジメッシュフィルター、公称濾過精度:5ミクロン、圧力;5N/cm2)し、中間層塗布液を作製した。
【0044】
中間層分散液の作製
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1.0部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製;表面処理は、シリカ処理、
アルミナ処理、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理)3.0部
メタノール 10部
上記の液を分散機としてサンドミルで10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液を作製した。
【0045】
実施例2
(電荷発生層(CGL)の塗布)
下記電荷発生層塗布液を調製し、図1(ロ)のチャック部を有する浸漬塗布法にて、アルミニウム基体上に塗布した。乾燥膜厚約0.2μmの良好な塗膜が得られた。把持長率は4.8%であった。
【0046】
〈電荷発生層(CGL)塗布液〉
Y型オキシチタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折の
最大ピーク角度が2θで27.3度) 20g
ポリビニルブチラール(#6000−C、電気化学工業社製) 10g
酢酸t−ブチル 700g
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300g
上記液を10時間サンドミルを用いて分散した。
【0047】
参考例
(電荷輸送層(CTL)の塗布)
下記電荷輸送層塗布液を調製し、図1(イ)のチャック部を有する浸漬塗布法にて、アルミニウム基体上に塗布した。乾燥膜厚25μmの良好な塗膜が得られた。把持長率は0.1%であった。
【0048】
〈電荷輸送層(CTL)塗布液〉
電荷輸送物質 75g
ポリカーボネート樹脂「ユーピロン−Z300」(三菱ガス化学社製)100g
塩化メチル 750g
比較例1
実施例1のチャック部を導電性ナイロン樹脂からアルミニウムに変更した以外は実施例1と同様に塗布した。
【0049】
比較例2
実施例1の把持長率を0.3%から0.05%に変更した以外は実施例1と同様に塗布した。
【0050】
比較例3
実施例2の把持長率を4.8%から27.1%に変更した以外は実施例2と同様に塗布した。
【0051】
【表1】
Figure 0003861668
【0052】
実施例4
上記塗布液を用い、実施例1の把持条件(チャック部材は把持長率0.3%でバイトン製Oリング使用、チャック部は導電性ナイロンを使用)で、アルミニウム円筒状基体に実施例1の中間層液を5μm、実施例2の電荷発生層液を0.2μm、実施例3の電荷輸送層液を25μm重層塗布した。
【0053】
各層の塗布直後の感光体表面の温度を非接触型温度計により測定した。いずれも温度差M2.0℃以内であった。またその時の電子写真感光体表面の塗布性を観察、何れの層も良好であった。更に実写し、画像を観察、塗布ムラ、膜厚ムラに起因する画像欠陥は無く良好であった。
【0054】
実施例5
図2の多数本用浸漬塗布装置で実施例4に従って塗布、温度差Mを測定したところ、すべてのドラムは2.0℃以内であり、塗布性は良好であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、浸漬塗布方法により、電子写真感光体用の塗布液を均一に導電性基体に塗布する方法、複数本の同時塗布方法及びチャック装置、或いはそれにより造られた電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】浸漬塗布装置のチャック装置とそれに把持された導電性基体の概要断面図。
【図2】多数本の浸漬塗布装置のチャック装置とそれに把持された導電性基体の概要斜視図。
【符号の説明】
1 導電性基体
3 Oリング
4 風船チャック
5 支持装置
6 チャック部
10 チャック装置

Claims (5)

  1. 円筒状基体を、チャック装置の下端に設けたチャック部のチャック部材によって把持し、塗布液中に浸漬して塗布する電子写真感光体の塗布方法において、該基体に接触するチャック部材の前記基体に対する把持長が、前記円筒状基体全長の0.3〜5%(把持長率)であり、前記チャック部材を除くチャック部の材質が熱伝導性の低いポリマー物質よりなることを特徴とする電子写真感光体の塗布方法。
  2. 前記ポリマーが導電性ナイロンであることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の塗布方法。
  3. 塗布直後のチャックに把持された部分の導電性基体の表面温度と把持されていない表面温度との温度差Mが2.0℃以内であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体の塗布方法。
  4. 円筒状導電性基体を、チャック装置の下端に設けたチャック部のチャック部材によって把持し、電子写真感光体用の塗布液中に浸漬して塗布する方法に用いるチャック装置において、該基体に接触するチャック部材の前記基体に対する把持長が、円筒状基体全長の0.3〜5%(把持長率)であり、前記チャック部材を除くチャック部の材質が熱伝導性の低いポリマー物質よりなることを特徴とするチャック装置。
  5. 請求項1〜3の何れか1項記載の塗布方法で作製されたことを特徴とする電子写真感光体。
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