JP3861230B2 - 変形シャス編網 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は編網に係り、特に、パレットや梱（ベイル）の農作物の荷を包装する際に使用されるような編網に関する。また、特に、本発明は、編網が網の横縮みを最小にするように設計されている包装用編網に関する。
【０００２】
【従来の技術】
緯糸リボン１２と縦糸リボン１４とを有するラッシェル編網１０は、図１に示されており、更に、ライバー等に発行された米国特許第５，１０４，７１４号に記載されている。編網の三角形模様のために、全てのラッシェル網は長手方向に引張ると幅が狭くなる。例えば、パレットを従来のラッシェル網で包装すると、網が約６０％延びれば、網は５０ｃｍ乃至約２５ｃｍの幅が変化する。編網に縦方向の力が加わると縦糸は長くなる。縦糸が長くなればなるほど緯糸は同一の網寸法を維持できなければならない。しかし、ある程度まで延びると、緯糸は延びることはない。これは、緯糸が延びるよりまっすぐになる傾向があるからである。緯糸がまっすぐになればなるほど縦糸間の距離は小さくなり、また、網は幅が狭くなり、編網は横縮みすることになる。
【０００３】
横縮みは、かかる編網の製造機が現れて以来ずっと、ラッシェル編網に固有のものであった。ラッシェル編機に編まれている間でさえ従来のラッシェル網の幅が狭くなることは周知である。例えば、１．２２メートルのラッシェル編網が必要であれば、網は編物領域と巻取領域間で約０．０５メートルだけ幅が狭くなるため、約１．２７メートルの網が編まれる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
一定の網幅が必要であれば、編機で緯糸テンションを変更することによって幅調節をすることができる。編網機の製造者は、網幅を調節するためにマシンに材料の種類、温度、リボン寸法、編テンション及び編模様を含む多くの要素に依存する設備を与えている。編機製造者は網縮みがラッシェル編網に固有のものであることに気がついている。かかる製造者は、緯糸へのテンションを増やせばより狭い網を作ることになり、緯糸へのテンションを減らせばある程度幅が狭くなることを防止することも気がついている。しかし、緯糸テンションの変更は、編網において横縮みを完全に除去するには不十分である。
【０００５】
従来技術の中には、押し出し網に関するバン・ジンホーベンに発行された米国特許第４，７８１，２９１号がある。バン・ジンホーベンはラッシェル編網の問題は、「それが長手方向に引張られたときに幅全体が縮むことである」ということを認識している（第１コラム第１９行目）。従って、バン・ジンホーベンはラッシェル編網が、編網の幾何学的模様により長手方向に引張られると縮むことを理解している。バン・ジンホーベンは、ラッシェルの三角形の代わりに四角形の開口を持つ網を提案することによって本問題に着目し、これを解決しようとした。縦方向の素線に垂直に横方向の素線を配列することにより、三角形の代わりに長方形の開口を形成し、横縮みを除去している。
【０００６】
このように、当業界には製造プロセス中に全く縮まない編網の需要がある。更に、当業界には、製造中にその完全な幅を維持してその完全な製造幅よりも拡げることができる編網の需要がある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記事項を考慮して、本発明の変形緯糸編網は、従来の編網の緯糸に対して「変形した」緯糸を提供している。変形緯糸とは所望の長さを有する緯糸で、編機が許容する最大限までだけ緩められた緯糸を有する従来の編網より長くかつ区別されている。
【０００８】
本発明によれば、編網は縦方向ポリオレフィンリボンと当該縦方向ポリオレフィンリボンに編まれた横方向ポリオレフィンリボンとを含んで編網を形成している。編網の横方向ポリオレフィンリボンは、編網の予定緯糸長の１１０％以上の現実の緯糸長を有している。
【０００９】
また、本発明の別の側面によれば、梱包された農作物は、円筒梱の農作物と、編網形成用の縦方向ポリオレフィンリボンと当該縦方向ポリオレフィンに編まれた横方向ポリオレフィンとを有する編網を含んでいる。編網の横方向ポリオレフィンリボンは編網の予定緯糸長の１１０％以上の現実の緯糸長を有している。編網は、円筒体の周囲に縁を超えて延びることもでき、作物を収納して内部に保持する。
【００１０】
ここで参照され出願の一部を担う添付図面は本発明の好ましい実施例を示しており、また、その説明と共に本発明の原理を説明している。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図２は、従来の編網の緯糸に対して「変形された」緯糸１８を提供する本発明のラッシェル編網１６を示している。変形緯糸は、編機が許容する最大限まで緩められると得られる緯糸長よりも長い。例えば、編機が与える従来の緯糸よりも約３０％長い変形緯糸を含む編網は、包装中編網を６０％延ばすと約１２％幅が狭くなり、変形緯糸がない同様の網は６０％延ばすと約５０％幅が狭くなる。
【００１２】
緯糸は、編まれる網が編機において縦方向に移動しながら、緯糸リボンを２本の針の間で移動することによって形成される。２方向移動により、縦糸２０が三角形の底辺を形成する間、緯糸１８は三角形の底辺以外の辺を形成する。緯糸テンションは調節可能であるが制限され、縦方向速度で２本の針の間で緯糸リボンを移動して形成される三角形の底辺以外の辺の予定長の１１０％以下の現実の長さを有する緯糸を形成することができるにとどまる。
【００１３】
緯糸長の好ましい延長量は特定の網のアプリケーションに依存する。弾性パレット包装では、好ましい現実の緯糸長は網の予定緯糸長の約１３５％である。約２０％のブレークで延長する従来の包装網では、かかる網が通常の使用では約１乃至３％しか伸びず横縮みを示さないため、変形緯糸は不要である。
【００１４】
本発明の変形緯糸編網の特徴は、所与の網長の現実の緯糸長を予定緯糸長と比較することによって理解することができる。変形緯糸編網は、予定緯糸長の１１０％以上の現実の緯糸長を有している。現実の緯糸長を予定緯糸長に比較する提案された手順を図３乃至図５に示し、以下に説明する。
（１） 図３に示すように一巻の編網の２つの両端縦糸間の長さ（Ｌ）を測定する。（巻物の全長はＯで示されている）。
（２） ２つの縦糸（Ｈ）間の平均距離を画定するために縦糸数から１を引いたもので長さ（Ｌ）を割る。
（３） 編網のいくらかの巻きを解いて１０のかかる距離（１０Ａ）間の長さを測定し、図４に示すように２つの三角形の底辺以外の辺の間の平均の長さ（Ａ）を画定するために、それらを１０で割る。この測定は約５０ｇを緯糸が測定される縦糸に印加しながら行う。
（４） 図５に示すように、２つの三角形の底辺以外の辺の間の緯糸（Ｓ）長を以下のように計算する。
Ｓ＝２｛（Ａ／２）^２＋Ｈ^２｝^１／２
（５） 編網のいくらかの巻きを解いて縦糸と緯糸を横に切断することによって、距離１０Ａに対する現実の緯糸長を決定する。２つの縦糸間の緯糸を取り、現実の緯糸長（ＡＳＬ）を決定するために平板に緯糸を平らにしながら、緯糸長を測定する。
（６） 変形緯糸編網では、ＡＳＬは１０％以上１０Ｓよりも長い。
【００１５】
現存するラッシェル編機は変形緯糸を与える設備を持たない。これらのマシンで編まれることができる最大緩み緯糸はせいぜい少しだけ網を広げることができるが、そうしても網は狭まる傾向にある。
【００１６】
本発明の変形緯糸を形成し、かかる編機制約を除去するために、波形トリック板を、図６に示すように、編機に結合することができる。従来のトリック板の使用は、例えば、コールに発行された米国特許第３，６４６，７８２号に示されている。波形トリック板は、従来の編機で緯糸が横切る距離よりも長い距離を横切るように、編成工程において緯糸に力を加える波形２４を与える平板２２を含んでいる。それにより従来の編機におけるよりも緯糸が編機の針の長い距離の間を移動する。緯糸は直線移動ができず、波形トリック板の曲部に追従しなければならない。従って、編網が波形トリック板を離れると緯糸長は本来の長さよりも長くなる。平板上の針間波形が厚くなればなるほど形成される緯糸は長くなる。
【００１７】
等量緯糸変形が完全な網幅に必要の場合、波形板が図６に関して説明されたように使用されることができる。変形緯糸が特定の緯糸にのみ必要な場合、波形のない平板（図示せず）が特定針間の厚い領域を形成するのに使用することができる。これは、ねじ又はほかの適当な固定具により半円片を平板に取り付けることによって達成することができる。半円片２６を図７に示す。
【００１８】
変形緯糸編網があれば、従来の編網において行われたように緯糸テンションを増加することによって網幅を調節することができる。変形緯糸で編むと幅はいつも同一になり、針数とそれらの距離の関数になる。編みプロセス中には縮みはない。変形緯糸編網の幅は針間距離に等しい量で異なるのみである。
【００１９】
本発明には多数の独特な特長が存在することが理解される。単半円片の挿入又は除去は単純である。網に亘り異なる量の緯糸変形が異なる位置で必要な場合、異なる厚さの単半円片が使用されれば、適材を適所に配置することは単純化される。同一量の緯糸変形が網幅で必要な場合、一の波形トリック板を（図６に示されるように）使用すればよいことは重要である。
【００２０】
完全な網幅に形成される緯糸変形量は緯糸テンションを調節することによってある程度変更することができる。これは緯糸テンションを調節することによって現存のマシンで行なわれる。異なる量の変形緯糸が網幅に亘って必要な場合にのみ（その異なる厚さで区別され得る）異なる単半円片が使用されるだろう。
【００２１】
当業者は、本発明の変形緯糸編網が、従来の編網に対して多くの予期しない長所を有することが理解できるであろう。特に、変形緯糸編網は幾分強度が高い。これは、おそらく緯糸が従来の編網にあるように縦糸に放射圧力を形成しないからである。図８と図９を比較すると、変形緯糸編網が形成する伸張曲線の傾斜は、緯糸変形量の関数であることが理解できる。ごく少量の収縮は、縦方向の力が印加される時のモーメントで、常に変形緯糸編網に生じる。
【００２２】
図１０と図１１を比較すると、梱よりも広い変形緯糸編網により丸い干草を梱包する場合、相当量の縁越えの覆いが干草梱の外側の縦糸数を考慮して達成される。（なお、図面中、Ｄ１＝Ｄ２、Ｌ１＝Ｌ２、Ｄ３＞Ｄ２とする。）干草の縁越え梱包は、梱の両側の覆いを増加するという長所を与える。縦糸長は先端の小径で減少するので、網が縁に広がると幾つかの折りやひだが生じることが期待される。しかし、縁越え覆い量は、包装中の網の伸張と変形緯糸量の関数になることが判明した。例えば、最後の縦糸の周囲の長さがｘ％短くて梱包がｘ＋１％の伸びで行われれば、最後の縦糸は１％伸びる。この場合、短い縦糸がたとえ１％しか伸びなくても、緯糸は変形緯糸長に関して最大長まで拡がる。従って、この場合に２つの縦糸間の距離はマシンの２本の針の距離よりも大きい。（縦糸間距離は狭まらずにほぼ一定を保ち）梱包時に網幅は縮まないが、緯糸を最大変形長まで広げる形成される放射力のために梱の両側では縦糸間距離は針間距離よりも大きくなる。バン・デン・ウィルデンバーグに発行された米国特許第４，９１７，００８号では、縁越えの覆いは対向する縦方向縁の弾性素子により達成される。かかる弾性素子は、新しい網特性により、本発明を使用すれば不要である。
【００２３】
上述の特性に加えて、縦方向の力が網に印加される場合でさえ、新しい網はその本来の幅以上に広がることができる。かかる現象は上述したように梱の周辺部で形成される。
【００２４】
本発明はその好ましい実施例に説明されているが、使用されている用語は説明用であり限定的意味を持たず、より広い側面において本発明の真の範囲と要旨から逸脱せずに、添付のクレームの範囲内で変形することができる。
【００２５】
例えば、新しい発明は、縦方向縦糸と横方向緯糸を含む全種類の網に適用することができる。象限開口を形成する水平緯糸を有する網においてさえ、それが変形緯糸で編まれれば、長所が存在する。かかる網は通常長手方向に縮まないが、変形緯糸がなければ本来の幅以上には拡がらない。更に、本発明は素線、テープ、モノフィラメント、マルチフィラメントなど特定の材料又は種類に限定されない。更に、両側に又は網幅に沿ったどの位置においても幾つかの緩い緯糸のみを有する編網を形成でき、包装された荷などどの所定領域においても網を包装プロセス中に広げることができることが理解できるであろう。
【００２６】
編網は異なる量の緯糸変形で形成することもできる。所与の縦糸数が縁にあれば、それらの縦糸のより高い緯糸変形を使用して、梱の両側に高い覆いを形成するだろう。
【００２７】
【発明の効果】
本発明の変形緯糸編網は、製造プロセス中に縮まずに製造中に完全な幅を維持することができると共に完全な製造幅以上に広げることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 従来のラッシェル編網を示している。
【図２】 本発明のラッシェル編網を示している。
【図３】 一巻の編網を示している。
【図４】 部分的に巻かれていない一巻の編網を示している。
【図５】 編網のシャス長の計算を示している。
【図６】 編機に使用される波形トリック板を示している。
【図７】 波形トリック板に使用される一半円片を示している。
【図８】 従来の編網の伸縮曲線を示している。
【図９】 本発明の編網の伸縮曲線を示している。
【図１０】 従来の編網で梱包された干草を示している。
【図１１】 本発明の編網で梱包された干草を示している。
【符号の説明】
１６ ラッシェル編網
１８ シャス
２０ フランゼ
２２ 平板
２４ 波形
２６ 半円片

Claims (5)

1. 編機における編網作成方法であって、
   横方向ポリオレフィンリボンを供給し、
   縦方向ポリオレフィンリボンを供給し、
   前記横方向ポリオレフィンリボンの少なくとも一つを前記編機で調節し、
   前記編網を形成するために前記縦方向ポリオレフィンリボンに前記横方向ポリオレフィンリボンを編む工程を有し、
   前記調節工程は、波形面又は曲面を有するトリック板上の前記波形面又は曲面に前記横方向ポリオレフィンリボンを通過させ、これにより、前記波形面又は曲面を有するトリック板を通過した前記横方向ポリオレフィンリボンは、前記トリック板を使用しないで作成された前記横方向ポリオレフィンリボンよりも１０％以上長さが長くなった変形緯糸を形成することを特徴とする編網作成方法。
2. 前記調節工程は、前記トリック板上の前記波形面又は曲面に前記横方向ポリオレフィンリボンを通過させ、これにより、前記波形面又は曲面を有するトリック板を通過した前記横方向ポリオレフィンリボンは、前記トリック板を使用しないで作成された前記横方向ポリオレフィンリボンよりも３０％以上長さが長くなった変形緯糸を形成することを特徴とする請求項１記載の編網作成方法。
3. 請求項１又は２記載の編網作成方法によって作成されたことを特徴とする編網。
4. 前記変形緯糸を、前記編網の外縁部の緯糸に有することを特徴とする請求項３記載の編網。
5. 前記変形緯糸を、前記編網の全ての緯糸に有することを特徴とする請求項３記載の編網。

Images