JP3858585B2 - 流体供給方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子部品、家電製品などの分野における生産工程において、接着剤、クリームハンダ、蛍光体、グリース、ペイント、ホットメルト、薬品、食品などの各種液体を定量に吐出・吐出するための、あるいは、CRT、PDPなどのディスプレイ面の蛍光体を均一に塗布するための流体吐出装置および吐出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体吐出装置(ディスペンサー)は従来から様々な分野で用いられているが、近年の電子部品の小形化・高記録密度化のニーズにともない、微少量の流体材料を高精度でかつ安定して吐出制御する技術が要請される様になっている。
【0003】
また、CRT、PDPなどのディスプレイ面の蛍光体を均一に塗布するための流体吐出方法の要望も大きい。
【0004】
たとえば表面実装(SMT)の分野を例にとれば、実装の高速化、微小化、高密度化、高品位化、無人化のトレンドの中で、ディスペンサーの課題を要約すれば、
▲1▼ 塗布量の高精度化
▲2▼ 吐出時間の短縮
▲3▼ 1回の塗布量の微小化
である。従来、液体吐出装置として、図6に示す様なエアパルス方式によるディスペンサーが広く用いられており、例えば「自動化技術′93.25巻7号」等にその技術が紹介されている。この方式によるディスペンサーは、定圧源から供給される定量の空気を容器150(シリンダ)内にパルス的に印加させ、シリンダ150内の圧力の上昇分に対応する一定量の液体をノズル151から吐出させるものである。
【0005】
また、微少流量の流体を吐出することを目的として、圧電素子を利用したマイクロポンプが開発されている。例えば「超音波TECHNO,6月号,′59」には次の様な内容が紹介されている。図6は原理図、図7はその具体構造を示している。積層圧電アクチュエータ200に電圧を印加すると機械的伸びが発生し、この伸びは変位拡大機構201の働きで拡大される。更に突き上げ棒202を介してダイヤフラム203は図中上方に押し上げられ、ポンプ室204の容積は減少する。この時吸入口205の逆止弁206は閉じ、吐出口207の逆止弁208が開き、ポンプ室204内流体は吐出される。次に印加電圧を減少させると、電圧の減少と共に機械的伸びは縮少する。ダイヤフラム203はコイルバネ209(戻し作用)により下方に引き戻され、ポンプ室204内容積が増大し、ポンプ室204内圧力は負圧になる。この負圧により吸入口逆止弁206が開き、流体がポンプ室204内に満たされる。この時吐出口逆止弁208は閉ざされている。なおコイルバネ209はダイヤフラム203を引き戻す作用の他に、変位拡大機構201を介して積層圧電アクチュエータ200に機械的予圧を加えるという重要な役割を果たしている。以下この繰り返し動作となる。
【0006】
上記圧電アクチュエータを用いた構成により、小型で流量精度の優れた微少流量のポンプが実現可能と思われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来先行例のうち、エアーパルスの方式のディスペンサーは次の問題点があった。
【0008】
(1) 吐出圧脈動による吐出量のばらつき
(2) 水頭差による吐出量のばらつき
(3) 液体の粘度変化による吐出量変化
上記(1)の現象は、タクトが短く吐出時間が短い程顕著に表れる。そのため、エアーパルスの高さを均一化するための安定化回路を施すなどの工夫がなされている。
【0009】
上記(2)は、シリンダ内の空隙部152の容積が液体残量Hによって異なるため、一定量の高圧エアーを吐出した場合、空隙部152内の圧力変化の度合上記Hによって大きく変化してしまうというのがその理由である。液体残量が低下すれば、塗布量が例えば最大値と比べて50〜60%程度減少してしまうという問題点があった。そのために、吐出毎に液体残量Hを検知し、吐出量が均一になる様にパルスの時間幅を調整する等の方策がなされている。
【0010】
上記(3)は、例えば多量の溶剤を含んだ材料が時間とともに粘度が変化した場合に発生する。そのための対策として、時間軸に対する粘度変化の傾向をあらかじめコンピュータにプログラミングしておき、粘度変化の影響を補正する様に例えばパルス幅を調節する等の方策がなされていた。
【0011】
上記課題に対するいずれの方策も、コンピュータを含む制御系が繁雑化し、また不規則な環境条件(温度等)の変化に対する対応は困難であり、抜本的な解決案にはならなかった。
【0012】
また、前述した図7、8に示す積層圧電アクチュエータを用いたピエゾポンプを表面実装等の分野で用いられる高粘度流体の高速間欠塗布に用いようとした場合、次の様な問題点が予想される。
【0013】
表面実装の分野では、近年例えば0.1mg以下の接着剤(粘度10万〜100万CPS)を0.1秒以下で瞬時に塗布するディスペンサーが要望されている。そのため、ポンプ室204内は、高い流体圧を発生させる必要があり、またこのポンプ室204と連絡する吸入弁206と吐出弁208には高い応答性が必要であることが予想される。しかし、受動的な吐出弁、吸入弁を伴う上記ポンプでは、極めて流動性の悪い高粘度のレオロジー流体を、高い流量精度でかつ高速で間欠吐出させることは極めて困難である。
【0014】
上述したエアーパルス方式あるいは積層圧電アクチュエータを用いたピエゾ方式等の欠点を解消するために、本発明者によって、以下に示す微少流量ポンプが既に提案(特開平10−128217号)されている。
【0015】
これは、ピストンとシリンダの間に相対的な直線と回転運動をそれぞれ独立したアクチュエータにより与えると共に、各アクチュエータの運転を電気的に同期制御することにより、ポンプの吸入作用あるいは吐出作用を得るものである。
【0016】
図9において、301は積層型の圧電素子により構成される第1のアクチュエータである。302は第1のアクチュエータ1によって駆動されるピストンであり、ポンプの直動部分に相当する。このピストン302と下部ハウジング303の間で、ピストン302の軸方向の移動によって容量が変化するポンプ室304を形成している。また下部ハウジング303には、ポンプ室304と連絡する吸入孔305と吐出孔306a,306bが形成されている。
【0017】
307は第2のアクチュエータであり、ピストン302と下部ハウジング303の間に相対的な回転・揺動を与えるもので、パルスモータ、DCサーボモータなどから構成される。308は前記第2のアクチュエータ307を構成するモータロータ、309はステータである。
【0018】
回転部材310は、ピストン302と円盤形状の板バネ311を介して連結されている。また第1のアクチュエータ301である圧電素子の軸方向の伸縮を、ピストン302に伝えるため、板バネ311は軸方向に弾性変形しやすい形状になっている。回転部材310の回転は板バネ311を介してピストン302に伝達される。この構成により、ポンプのピストン302は回転運動と直線運動を同時に、かつ独立して行うことができる。
【0019】
312は回転運動をする第1のアクチュエータ301に、外部から電力を吐出するためのカップリング・ジョイントである。
【0020】
下部ハウジング303の下端部には、先端に吐出ノズル313を有する吐出用スリーブ314が装着されている。この吐出用スリーブ314の内面に、吐出孔306a,306bと吐出ノズル313を連絡する流通路315が形成されている。下部ハウジング303とピストン302の相対移動面には、この2つの部材の相対的な回転運動により、ポンプ室304と吸入孔305及びポンプ室304と吐出孔306a,306bが交互に繋がるような流通溝316b,317bが形成されている。これらの流通溝は、通常のポンプの吸入弁・吐出弁の役割を担っている。
【0021】
318は変位センサー、319はピストン302に固定された回転円盤である。この変位センサー318、回転円盤319によりピストン302の軸方向位置を検出する。
【0022】
前述した図9に示すディスペンサーの場合、直動運動には圧電型アクチュエータ、回転運動には、モータが用いられる。
【0023】
この場合、回転運動する圧電素子の電極には、伝導ブラシ(カップリングジョイント)を介在して電気・機械エネルギ変換のための電力を与える必要がある。圧電素子の駆動には、通常数百〜千ボルトの高い電圧を必要とするため、大径のカップリングジョイントが必要であり、部品点数も多く、装置が煩雑化する問題点があった。また伝導ブラシは機械的摺動を伴うため、回転数アップの大きな制約となる。
【0024】
上記ディスペンサーの特許明細文の中で、伝導ブラシを省略するために、圧電素子を固定側に配置し、ピストン側のみを回転させ、圧電素子の軸方向変位をピボット軸受を介在してピストン側に伝達する方法が提案されている。
【0025】
しかしこの場合、ピボット部の磨耗による軸方向位置の経年変化が大きな課題となる。
【0026】
さて本発明者は既に、微少流量ディスペンサーに係る従来実施例及び考案例の欠点を大幅に改良する、流体吐出装置を提案し出願中(特願2000-061471号)である。
【0027】
上記提案は、ピストンとシリンダの間に相対的な直線運動と回転あるいは揺動運動をそれぞれ独立したアクチュエータにより与えると共に、非接触の電気・機械変換手段を用いて、固定側から運動側に電力を吐出することにより、ポンプの吸入作用あるいは吐出作用を得るものである。
【0028】
上記発明により、例えば流動性の悪い超微少量の高粘度流体を、極めて高い信頼性のもとで、高精度かつ高速に、かつ必要ならば間欠的に吐出・塗布できる小径・コンパクトな流体吐出装置を得ることができる。
【0029】
本発明は上記提案をさらに改良するもので、直線運動と回転運動の組み合わせから構成される容積式ポンプにおいて、吐出行程時に形成される密閉空間だけを圧縮するようにポンプ部を構成することにより、吐出量の高精度化を図るものである。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の流体供給方法は、溝が形成されたピストンを収納し、かつ吸入孔,吐出孔,吸入溝及び吐出溝が形成されたシリンダを備え、前記ピストンを貫通し、かつ前記吐出孔の近傍に配置された溝を有する軸に回転駆動のみを行わせ、前記ピストン,前記シリンダ及び前記軸とで形成される空間の流体を吐出する流体供給方法であって、前記ピストンは、前記軸の外側に配置された第1のアクチュエータによって上下駆動され、前記ピストン及び前記軸は、前記軸の外側に配置されかつ前記第1のアクチュエータと直列に設けられた第2のアクチュエータによって前記シリンダとの間で相対的な回転運動が与えられ、前記ピストン及び前記軸と、前記シリンダとを相対的に回転させ、(ア)前記ピストンに形成された溝とシリンダに形成された吸入溝とを連通にすると共に、前記軸に形成された溝と前記シリンダに形成された吐出溝とを非連通にし、前記吸入孔から前記空間に流体を流入させ、(イ)前記ピストンに形成された溝とシリンダに形成された吸入溝とを非連通にすると共に、前記軸に形成された溝と前記シリンダに形成された吐出溝とを連通させた後、前記ピストンを下降させ、前記空間の流体を吐出することを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。
【0033】
図1は、本発明を電子部品の表面実装用ディスペンサーに適用した実施形態を示し、図1において1は第1のアクチュエータであり、超磁歪素子等による電磁歪型のアクチュエータ、静電型アクチュエータあるいは電磁ソレノイド等より構成される。
【0034】
実施例では、高粘度流体を高速で間欠的に微少量かつ高精度に吐出するために、高い位置決め精度が得られ、高い応答性を持つと共に大きな発生荷重が得られる超磁歪素子を用いた。
【0035】
2は第1のアクチュエータ1によって駆動されるピストンであり、レシプロ式(直動式)のポンプの直動部分に相当する。前記第1のアクチュエータは、ハウジング3に収納されており、このハウジングの下端部に、ピストン2を収納するシリンダ4が装着されている。このピストン2とシリンダ4の間で、ピストン2の軸方向の移動によって容量が変化するポンプ室5を形成している。またシリンダ4には、ポンプ室5と連絡する吸入孔6と吐出孔7が形成されている。8はシリンダの下端部に装着された吐出ノズルである。
【0036】
9は第2のアクチュエータであり、ピストン2とシリンダ4の間に相対的な回転運動を与えるもので、パルスモータ、DCサーボモータ、あるいはレゾナントスキャナなどから構成される。
【0037】
実施例では、第2のアクチュエータは揺動型モータを用いており、この揺動運動の応答性を高めるために、図2(図1のAA断面図)に示すような扁平形状の永久磁石を有する慣性モーメントの小さなロータ10と、固定側電磁石11から構成される公知のスキャニングモータを用いた。
【0038】
なお本明細文では、回転運動とは一方向の回転、回転の方向が変化する揺動運動のいずれも含むことにする。
【0039】
ロータ10は揺動軸12に固着され、またステータ11はハウジング13に収納されている。この揺動軸12は上部スリーブ29に固定され、この上部スリーブ29は玉軸受14に回転自在に支持されている。また、この玉軸受14の外輪側はハウジング15に収納されている。
【0040】
16は超磁歪素子から構成される超磁歪ロッド、17は超磁歪ロッド16の長手方向に磁界を与えるための磁界コイル、18a,18bはバイアス磁界を与えるための永久磁石であり、上下で超磁歪ロッド16を矜持する形で配置されている。
【0041】
この永久磁石18a,18bは、超磁歪ロッド16に予めに磁界をかけて磁界の動作点を高めるもので、この磁気バイアスにより磁界の強さに対する超磁歪の線形性が改善できる。19は円筒形状のヨーク材、20は薄いスラスト円盤21を有する下部ヨークであり、ピストン2と一体化した構造になっている。
【0042】
16→18a→24→19→20→18b→16により、超磁歪ロッド16の伸縮を制御する閉ループ磁気回路を形成している。
【0043】
すなわち、部材16〜24により、磁界コイルに与える電流で超磁歪ロッドの軸方向の伸縮を制御できる超磁歪アクチュエータ1を構成している。
【0044】
超磁歪材料は希土類元素と鉄の合金であり、たとえば、TbFe2,DyFe2,SmFe2などが知られおり、近年急速に実用化が進められている。
【0045】
22は超磁歪ロッド16、ピストン2を貫通して設けられた中心軸であり、23はこの中心軸の細径部である。この中心軸22は上端で上部ヨーク24と固定され、この上部ヨーク24は上部スリーブ29とボルト(図示せず)で締結されている。
【0046】
超磁歪ロッド16の内面と中心軸22の外周部は十分な大きさの隙間が設けられている。超磁歪ロッド16は伸縮と共に回転するが、中心軸22は回転運動だけなので、この隙間により両者の摺動を防止する。
【0047】
この中心軸22は、吐出側でピストン2よりも下方に伸びており、後述するように吐出弁の役割を担っている。
【0048】
25は玉軸受26の内輪側に圧入されたスリーブである。ピストン2はスリーブ25に相対的に回転自在、かつ軸方向に移動可能に支持されている。このスリーブ25はまた玉軸受26に回転自在に支持され、この玉軸受26の外輪側はハウジング3に収納されている。
【0049】
27はスリーブ26と下部ヨーク20の間に装着されたバイアスバネである。
【0050】
このバイアスバネ27によって、超磁歪ロッド16には常に軸方向(図1の上部方向)に圧縮応力が加わるため、繰り返し応力が発生した場合に、引っ張り応力に弱い超磁歪素子の欠点が解消される。
【0051】
モータ9によって与えられた回転動力は、揺動軸12から中心軸22を経て、連結部30を介してピストン2に伝達される。
【0052】
図3はその連結部の断面形状を示し、中心軸22とピストン2の間は相対的に軸方向移動は可能だが、回転運動は伝達できる構造になっている。
【0053】
上記構成により、本発明の流体回転装置では、ポンプのピストン2は回転運動と微少変位の直線運動の制御を同時に、かつ独立して行うことができる。
【0054】
またピストン2を貫通して設けられた中心軸22は、回転運動はするが軸方向には移動しない構成となっている。
【0055】
また実施例では、第1のアクチュエータに超磁歪素子を用いたために、超磁
歪ロッド16(及びピストン2)を直線運動させるための動力を、外部から非接触で与えることができる。
【0056】
31はハウジング3に装着された変位センサーであり、この変位センサー31と下部ヨーク20に設けられたスラスト円盤21により、ピストン2の軸方向の絶対位置を検出する。32は揺動軸12の上を部に配置された、軸の回転角度を検出するエンコーダである。
【0057】
超磁歪素子を第1のアクチュエータ1とした場合、素子の入力電圧と変位は比例するため、変位センサーなしのオープンループ制御でも前記ピストン2のストローク制御(流量制御)は可能である。しかし本実施例のような位置検出手段を設けてフィードバック制御をすれば、より高い精度の流量制御ができる。
【0058】
また、微少流量を扱うポンプでは、ピストンの軸方向変位は数μm〜数10μmの微少変位でよい。この微量変位で良いことを利用すれば、超磁歪素子のストロークの限界は問題とならない。
【0059】
また、高粘度流体を高速で吐出させる場合、第1のアクチュエータ1には高い流体圧に抗する大きな推力が要求される。この場合、数百〜数千Nの力が容易に出せる電磁歪型アクチュエータが好ましい。
【0060】
さて流体を吸入し、定量吐出するためのポンプ作用を理想的に行うためには、▲1▼吸入時には吐出通路を遮断する、▲2▼吐出時には吸入通路を遮断する、の2つの操作ができることが望ましい。
【0061】
図4及び図5は、本発明の第1の実施形態の図1のポンプ部の詳細図であり、またディスペンサーとしての吸入行程(図4)、吐出行程(図5)を示すものである。33a,33bはピストン2に形成された上部流通溝、34a,34bはシリンダ4側に形成された上部流通溝、35a,35bは中心軸細径部23の下端面に形成された下部流通溝、36a,36bはシリンダ4側に形成された下部流通溝である。また、37は流体が流動するポンプ室5の上流側間隙部、38は吐出ノズル8の開口部、39はシール部材である。
【0062】
図4の吸入行程において、ピストン2とシリンダ4の相対的な角度を一定に保ちながら、ピストン2を矢印(図4(a))の方向に上昇させる。ポンプ室5に着目すると、図4(c)に示すごとくポンプ室5の出口側は密閉状態となり、入口側は図4(b)に示すごとく開放状態となるため、流体は図4(a)の矢印の様にポンプ室5に流入する。
【0063】
吸入行程が終了した状態で、ピストン2を回転すると、吐出行程開始直後の状態となる。なを上述したピストン2の回転位置と軸方向位置及び両位置のタイミングは、エンコーダ32と変位センサー31からの出力をもとに、外部制御装(図示せず)により制御される。
【0064】
図5の吐出行程において、ピストンを図5(a)のごとく下降させる。
【0065】
ポンプ室5の入口側は図5(b)で示すように遮断されており、逆に出口側は開放[図5(c)]されている。したがって、ポンプ室5に封じ込められていた流体は、ピストン2の下降量に比例した分だけ、吐出ノズル8側へ流出する。
【0066】
さて本発明の流体回転装置では、回転運動と直線運動の制御が独立してなされるピストン2と、回転運動はするが軸方向には移動しない中心軸22の二つの動作の組み合わせにより、次のような効果が得られる。
【0067】
▲1▼吸入行程時、ポンプ室からみて吸入側は開放されるが、吐出側は遮断される。その結果、吸入行程時のポンプ室5の容積増大によりポンプ室5の圧力が大気圧以下に低下しても、吐出ノズルを経由して流体がポンプ室5に逆流することはない。
【0068】
▲2▼吐出行程時、ポンプ室5からみて吸入側は遮断され、吐出側は開放される。このときピストン2のみが下降し、ポンプ室5の容積は減少する。ピストン2の変位をΔL、ピストン2の断面積をSとすれば、ポンプ室5の容積の減少量:ΔV=S×ΔLである。したがって吐出量をΔQとすれば、本実施例の構成では、ピストン2が下降することによるポンプ室の容積の減少量ΔVだけ、流体は確実に吐出するため、ΔV=ΔQとなる。
【0069】
もし、ピストン2が本発明のような2重構造ではなく、ピストン2と中心軸22が一体で作られている場合を考える。
吐出行程時、ピストン2が下降することによってポンプ室の容積がΔVだけ減少する点は変わりがないが、中心軸も同様に下降するために、吐出ノズル8内部の流体も大気側に押し出されることになる。したがって、この場合はΔV<ΔQとなる。
本発明ではピストン2のストロークさえ制御すれば、所定の吐出量が確実に得られるのに対して、本発明を適用しない場合は、吐出量に誤差要因を含むことになる。
【0070】
さて、以上の実施例では、第1のアクチュエータ(直線運動)と第2のアクチュエータ(回転運動)は同時に動作させるのではなく、直線運動→回転運動→直線運動のように、各アクチュエータを順次切り換えて作動させる場合について説明した。しかし、吐出スピードアップを図るために、第2のアクチュエータ(モータ)を常に回転させながら、第1のアクチュエータの直線運動を行うことも可能である。この場合、回転運動は実施例で示したような揺動運動でもいいが、一方向回転でもよい。そのためには、ピストン、中心軸、シリンダに形成する流通溝は円周方向に長めに形成すればよい(図示せず)。
【0071】
またモータの回転速度は一定速でなくてもよく、プロセスの条件に合わせて回転速度を任意に可変してもよい。
【0072】
ピストン2とシリンダ4内面の相対移動面の吸入口6上部に、浅いねじ溝を形成しておけば、流体を輸送する効果と、外部への流体の漏洩防止の効果の両方を兼ねることができる(図示せず)。
【0073】
また、たとえば、吐出行程が終了した段階で、ピストンを若干量上昇させれば、負圧発生の効果により、液ダレ防止もできる(図示せず)。
【0074】
また吐出開始直前の状態で吐出流通路を密閉状態のままピストンを若干量下降させ、流体を圧縮させた状態で吐出通路を開放すれば、吐出流体を大きく飛翔させることができる(図示せず)。
【0075】
実施例では、第1のアクチュエータ(超電磁歪素子)の上部に第2のアクチュエータ(モータ)を配置したが、この逆の配置の構成でもよい。あるいは、第2のアクチュエータの内側に第1のアクチュエータが収納されるような構成でもよい。
【0076】
ポンプの形態は容積型に限るものではなく、たとえばピストンとシリンダ間の相対的な回転を利用してねじ溝ポンプ(粘性ポンプ)を構成し、ピストンの上下運動により、吸入弁と吐出弁の作用を得る構成でもよい。この場合、第1と第2アクチュエータの役割は実施例とは逆になる(図示せず)。
【0077】
本発明を用いれば、従来提案(特願08−289543)と比べて、稼動部の慣性モーメントを極力小さくできる。本発明を微少流量ポンプとして適用すれば、ピストンを小径にできるため、ピストンがポンプ側から受ける軸方向と回転方向の負荷抵抗も小さくできる。また伝導ブラシも省略できることから、モータ(第2のアクチュエータ)の負荷が軽減でき、回転のためのレスポンスを充分高めることができる。電磁歪素子は、数MHz以上の充分に高い応答性を持っているため、直線運動、回転運動共に高い応答性を持つことになる。その結果、従来いかなる手段でも不可能だった、高粘度流体を高速で間欠吐出できる高精度ディスペンサーが実現できる。
【0078】
モータはポリゴンミラーなどに用いられるスキャニングモータを用いれば、モータロータの慣性モーメントをさらに小さくできる。スキャニングモータとして、たとえば、ムービングコイル型を適用すれば、慣性モーメントは一層小さくできるため、モータの回転負荷を軽減できる(図示せず)。
【0079】
本発明からなる複数本のディスペンサーを並列配置すれば、たとえば平板上に蛍光体材料等を塗布させるプロセスにも適用できる。この場合、塗布材料の吸入側吐出通路は共通でよいが、吐出流量(及びON,OFF)は各ディスペンサーを個別に制御できるため、自由度の高い平板面の塗布が可能となる。
【0080】
あるいは、共通のハウジングに複数本のディスペンサーの中身を収納するように構成すれば、よりシンプルな構成のマルチノズルを有する塗布装置(図示せず)ができる。
【0081】
さらに、本発明の原理を適用し、一定容積に対して発生荷重の大きな静電アクチュエータを第1と第2のアクチュエータ双方あるいはいずれかに用いれば、本体を大幅に小型化できる。すなわち、マイクロマシーン、ミニマシーンの領域で初めて容積型のマイクロポンプが実現可能である。
【0082】
【発明の効果】
本発明を用いた流体回転装置により、次の効果が得られる。
1.極めて小径・小型の微少量・定量・高精度ディスペンサーが実現できる。
2.摺動磨耗等による性能劣化がなく、高い信頼性を持つ。
3.超高速の間欠塗布ができる。稼動部の慣性モーメントを小さくできるためにポンプ部の機械的レスポンスを高くできる。例えば1Dotあたり0.1秒程度が限界だった従来エアーパルス方式と比較し、その一桁から二桁以下(0.01〜0.001秒オーダー)の間欠塗布ができる。
4.さらに以下示す特徴を、本発明のポンプは合わせ持つことができる。
【0083】
▲1▼高粘度流体の高速塗布ができる。
【0084】
▲2▼ストローク制御により吐出量が可変である。また液ダレ防止等も容易にできる。
【0085】
▲3▼容量制御式のため、環境温度の変化(粘度の変化)、あるいはノズルと吐布面間のギャップに吐出量が依存しない。
【0086】
▲4▼ピストン部分は非接触なため、微少な微粒子が混合した粉粒体にも対応できる。
【0087】
本発明を例えば表面実装のディスペンサー、PDP,CRTディスプレイの蛍光体塗布等に用いれば、その長所をいかんなく発揮でき、効果は絶大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるディスペンサーを示す正面断面図
【図2】上記実施例のモータ部のAA断面図
【図3】上記実施例のピストンの締結部を示す図
【図4】上記実施例のポンプ部の吸入行程を示す図
【図5】上記実施例のポンプ部の吐出行程を示す図
【図6】従来のエアーパルス方式のディスペンサーを示す図
【図7】従来のピエゾポンプの原理図
【図8】図6の従来ピエゾポンプの正面断面図
【図9】従来の微少流量ポンプの断面図
【符号の説明】
1 第1のアクチュエータ
2 ピストン
4 シリンダ
6 吸入孔
7 吐出孔
9 第2のアクチュエータ
Claims (1)
- 溝が形成されたピストンを収納し、かつ吸入孔,吐出孔,吸入溝及び吐出溝が形成されたシリンダを備え、前記ピストンを貫通し、かつ前記吐出孔の近傍に配置された溝を有する軸に回転駆動のみを行わせ、前記ピストン,前記シリンダ及び前記軸とで形成される空間の流体を吐出する流体供給方法であって、
前記ピストンは、前記軸の外側に配置された第1のアクチュエータによって上下駆動され、前記ピストン及び前記軸は、前記軸の外側に配置されかつ前記第1のアクチュエータと直列に設けられた第2のアクチュエータによって前記シリンダとの間で相対的な回転運動が与えられ、
前記ピストン及び前記軸と、前記シリンダとを相対的に回転させ、
(ア)前記ピストンに形成された溝とシリンダに形成された吸入溝とを連通にすると共に、前記軸に形成された溝と前記シリンダに形成された吐出溝とを非連通にし、前記吸入孔から前記空間に流体を流入させ、
(イ)前記ピストンに形成された溝とシリンダに形成された吸入溝とを非連通にすると共に、前記軸に形成された溝と前記シリンダに形成された吐出溝とを連通させた後、前記ピストンを下降させ、前記空間の流体を吐出すること
を特徴とする流体供給方法。
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