JP2003181328A - 流体吐出方法及び吐出装置 - Google Patents

流体吐出方法及び吐出装置

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JP2003181328A
JP2003181328A JP2001385805A JP2001385805A JP2003181328A JP 2003181328 A JP2003181328 A JP 2003181328A JP 2001385805 A JP2001385805 A JP 2001385805A JP 2001385805 A JP2001385805 A JP 2001385805A JP 2003181328 A JP2003181328 A JP 2003181328A
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fluid
sleeve
pressure
discharge
housing
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JP2001385805A
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English (en)
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Teruo Maruyama
照雄 丸山
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子部品、家電製品などの分野における生産
工程において、接着剤、クリーンハンダ、蛍光体、グリ
ース、ペイント、ホットメルト、薬品、食品などの各種
粉流体を、粉体の圧搾・破壊なく、高速で間欠吐出がで
きる。 【解決手段】 スリーブを軸方向移動させて、スリーブ
の端面間のポンプ室の隙間を変えることにより発生する
圧力を利用して間欠塗布を行なうと共に、塗布待機時
は、ポンプ室よりも下流側にもうけられたラジアル動圧
シールにより、流体の吐出を遮断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子部品、家電製品
などの分野における生産工程に用いることができ、接着
剤、クリームハンダ、蛍光体、電極材料、グリース、ペ
イント、ホットメルト、薬品、食品などの各種液体を定
量に吐出するための流体制御装置および制御方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】機械加工における加工精度はミクロンか
らサブミクロンのオーダーに入りつつある。半導体・電
子部品の分野では、サブミクロン加工は普通であるが、
メカトロニクスと共に進歩している機械加工の分野で
も、超精密加工に対する需要が急増している。近年、超
精密加工技術の導入と共に、超磁歪素子、圧電素子で代
表される電磁歪素子がマイクロ・アクチュエータとして
適用されるようになっている。
【0003】この電磁歪素子を流体圧力の発生源として
利用することにより、微少量の液滴を高速で噴射させる
噴射装置が様々な分野で用いられている。
【0004】図8は、インクジェット記録装置における
ヘッド部の従来例(特開平11-10866号公報)を示すもの
で、401は基台、402は振動板、403は積層型圧
電素子、404はインク室、405は共通インク室、4
06はインク流路、407はノズルプレート、408は
吐出ノズルである。
【0005】圧力印加手段である圧電素子403に電圧
を加えると、圧電素子403は振動板402を厚み方向
に変形させ、インク室404の容積が減少する。
【0006】流体が圧縮されてインク室の圧力が上昇す
るため、流体の一部はインク通路を通過して共通インク
室405側に逆流するが、残り分はノズル408から大
気に放出される。
【0007】超磁歪素子を用いて、任意の1個の液滴を
噴射する方法が、たとえば特開2000-167467号公報に開
示されている。
【0008】図9において、502はガラスパイプ、ス
テンレスパイプ等の非磁性材質からなるシリンダであ
る。このシリンダ502の端部に液体の貯留部503と
微細な噴射口を有した噴射ノズル504が形成されてい
る。
【0009】シリンダ502の内部には、棒状を成した
超磁歪材料からなるアクチュエータ505が移動可能に
収納されている。噴射ノズル504に向くアクチュエー
タ505の端部にピストン506が離接可能に設けられ
ている。
【0010】アクチュエータ505の他端部と端部のス
トッパ507の間には、スプリング508を介在させて
アクチュエータ505をスプリング508により前進す
るように付勢されている。また、シリンダ502の外周
部のピストンに近い位置に、コイル509が巻成されて
いる。
【0011】上記構成からなる噴射装置において、該コ
イル509に電流を瞬間的に流すことにより、前記超磁
歪材料に瞬間磁界を作用させて超磁歪材料の軸端部に弾
性波による瞬時の過渡的変位を発生させる。その作用に
より、シリンダ内に充填した液体を微少な1個の液滴と
してノズルから噴射できる、としている。
【0012】従来、液体吐出装置として、図10に示す
様なエアパルス方式によるディスペンサーが広く用いら
れており、例えば「自動化技術′93.25巻7号」等
にその技術が紹介されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この方式によるディス
ペンサーは、定圧源から供給される定量の空気を容器6
00(シリンダ)の内部601にパルス的に印加させ、
シリンダ600内の圧力の上昇分に対応する一定量の液
体をノズル602から吐出させるものである。
【0014】近年益々高精度化、超微細化していく回路
形成の分野、あるいはPDP,CRTなどの映像管の電
極とリブ、蛍光面形成、液晶、光ディスクなどの製造行
程の分野において、微細塗布すべき流体のほとんどは高
粘度の粉流体である。
【0015】この微細な微粒子を含む粉流体を、高速・
高精度で、流路の目詰まりなく、高い信頼性のもとで、
対象の基板上にいかにして塗布できるかが最大の課題で
ある。
【0016】たとえばPDP,CRTなどの映像管の蛍
光体塗布の場合、微粒子の粒径は通常7〜9μmであ
り、その比重量は4.0〜5.0kg/m3程度であ
る。
【0017】この蛍光体を、従来から回路実装などの分
野で用いられるエアーノズル式のディスペンサーを用い
て、映像管に塗布する試みが従来からなされている。エ
アーノズル式の場合、高粘度流体を高速で連続塗布させ
るのは困難なため、微粒子は低粘度の流体で希釈して塗
布される。しかしこの場合、粒子単体の重さゆえに、流
体の流動が止まると微粒子はたちまち流路内部で堆積し
てしまうという問題点があった。
【0018】また、前述した圧電材料、超磁歪材料を駆
動源とする吐出装置は、元来低粘度で粉体を含まない流
体の塗布を対象としており、高粘度流体・粉流体の塗布
プロセスに係る上記課題に応えることは困難であった。
【0019】微少流量塗布に係る近年の様々な要求に応
えるために、本発明者は、ピストンとシリンダの間に相
対的な直線運動と回転運動を与えると共に、回転運動に
より流体の輸送手段を与え、直線運動を用いて固定側と
回転側の相対的なスラスト面のギャップを変化させ、吐
出量を制御する塗布方法を提案し、「流体供給装置及び
流体供給方法」として出願中(特願2000-188899号)で
ある。
【0020】本発明は上記提案をさらに改良を図るもの
で、粉流体の粒子の粒径が十分に大きな場合でも、流路
内部で堆積、目詰まりなどが発生せず、高精度で粉流体
を塗布できる方法を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の流体吐出方法
は、スリーブとこのスリーブを収納するハウジングで形
成される予備室内に流体を吸入し、前記スリ−ブとその
対向面の間隙を増大させてその間隙部に前記予備室から
流体を充填後、前記間隙を減少させることにより発生す
る圧力を利用して、流体を吐出する流体吐出方法におい
て、吐出待機時は前記予備室よりも吐出口側に設けられ
たラジアル動圧シールによるシール圧力と、前記予備室
側の圧力を均衡させることにより流体の遮断状態を保つ
ようにした流体吐出方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を電子部品の表面実
装用ディスペンサーに適用した第一の実施例について、
図1を用いて説明する。
【0023】図1に示すディスペンサーの構造は、大き
く分けて2つのアクチュエータとポンプ部により構成さ
れる。
【0024】第1のアクチュエータは、超磁歪素子によ
り構成され可動スリーブを軸方向に駆動する。さらに非
接触で電力供給できる超磁歪素子の特徴を利用して、第
2のアクチュエータであるモータを用いて、この可動ス
リーブにさらに回転の機能を持たせている。さらに、実
施例のポンプ部は、 ねじ溝が形成された可動スリーブの回転により、流体
にポンピング圧力を与えて吐出側に輸送させる機能 ラジアル動圧シールにより、流体の待機状態における
遮断ができる機能 可動スリーブの直線運動を用いて、高圧のスクイーズ
圧力を発生させて高速で間欠塗布できる機能 上記〜を併せ持つ構造となっている。
【0025】以下、まず2つのアクチュエータについて
説明する。第1のアクチュエータ1は超磁歪素子による
直動型アクチュエータである。2は超磁歪アクチュエー
タによって駆動される可動スリーブ、3は回転スリー
ブ、4は前記アクチュエータ1を収納するハウジングで
ある。5は超磁歪材料から構成される円筒形状の超磁歪
ロッドである。この超磁歪ロッド5はバイアス永久磁石
(A)6、(B)7を上下に挟んだ形で、上部回転スリ
ーブ8とヨーク材を兼ねた可動スリーブ2の間に固定さ
れている。
【0026】9は超磁歪ロッド5の長手方向に磁界を与
えるための磁界コイル、10は円筒形状のヨークであり
ハウジング4に収納されている。
【0027】前記バイアス永久磁石A、Bは、超磁歪ロ
ッド5に予めに磁界をかけて磁界の動作点を高めるもの
で、7→5→6→8→10→2→7により、超磁歪ロッ
ド9の伸縮を制御する閉ループ磁気回路を形成してい
る。すなわち、部材2,と5〜10により、磁界コイル
に与える電流で超磁歪ロッドの軸方向の伸縮を制御でき
る超磁歪アクチュエータ1(第1のアクチュエータ)を
構成している。
【0028】超磁歪材料は希土類元素と鉄の合金であ
り、たとえば、bFe2,DyFe2,SmFe2などが知られおり、近
年急速に実用化が進められている。可動スリーブ2と回
転スリーブ3の間には、超磁歪ロッド5に機械的な軸方
向与圧を与えるバイアスバネ11が設けられている。上
記構成により、超磁歪素子の電磁コイル9に電流を印加
すると、超磁歪ロッド5は印加電流の大きさに比例して
伸縮する。
【0029】12は中心軸(主軸)であり、その外周部
は超磁歪ロッド5、バイアス永久磁石(A)6、(B)
7、と可動スリーブ2の内部に収納されている。また中
心軸12は上方にも伸びており、その外周部にモータの
ロータを装着している。この中心軸12はモータの回転
動力を伝達する機能を兼ねている。13は中心軸11を
可動スリーブ2側に延長して形成された回転伝達部であ
る。
【0030】14は中心軸12に回転運動を与えるモー
タ(第2のアクチュエータ)である。15はモータロー
タであり、ピストン12の外表面に固定されている。1
6はモータステータ、17はこのモータステータ16を
収納する上部ハウジング,18は上部蓋、19は中心軸
12を支持する軸受である。
【0031】モータロータ15に発生する回転トルク
は、中心軸12と可動スリーブ2の間に形成された回転
伝達部13を経て、可動スリーブ2に伝達される。
【0032】すなわち回転伝達部13の形状を、たとえ
ば角型断面とすることにより、中心軸12は可動スリー
ブ2に対して回転のみを伝達し、相対的な直線運動はフ
リーとなっている(図示せず)。
【0033】またモータ14から与えられた駆動トルク
は、回転伝達部13のみに伝わるために、超磁歪ロッド
5には捻り応力は発生しない。また超磁歪ロッド5の内
周面と中心軸12の外周面間の隙間は充分に小さく、超
磁歪ロッド5は回転時にも常に回転中心を保つ構成とな
っている。これらの工夫により、引っ張り応力に対して
弱い脆性材料である超磁歪ロッドの信頼性・耐久性が確
保できる。
【0034】可動スリーブ2の軸方向の端面位置は、中
間ハウジング20の内部に設けられた変位センサー21
(2点鎖線で表示)により検出される。22はスラスト
玉軸受であり、バイアスバネ11により与えられたスラ
スト荷重は、回転スリーブ3を介して、このスラスト玉
軸受22により支持される。
【0035】なを可動スリーブ2及び上部回転スリーブ
8の一部には非磁性材料(詳細図略)を用いて、超磁歪
ロッド5の伸縮を制御する閉ループ磁気回路には影響を
与えないようにした。上記構成により、可動スリーブ2
は回転運動と微少変位の直線運動の制御を同時に、かつ
独立して行うことができる。
【0036】この可動スリーブ2を貫通して設けられた
中心軸12は、その上端部は軸受19によってラジアル
方向、スラスト方向共支持されている。したがって、ピ
ストン12は可動スリーブに回転を伝達するが、可動ス
リーブ2の軸方向運動とは完全に独立している。すなわ
ち、可動スリーブ2が回転運動と直線運動を同時に行な
うのに対して、中心軸12は回転運動だけを行なう。
【0037】実施例では、直動型アクチュエータ(第1
のアクチュエータ1)に超磁歪素子を用いたために、超
磁歪ロッド5(及び可動スリーブ2)を直線運動させる
ための動力を、外部から非接触で与えることができる。
すなわち、本構成のアクチュエータでは、モータを回転
させたままで、数メガヘルツの周波数特性を持つ電磁歪
素子の特徴を活かし、高いレスポンスで可動スリーブ2
を軸方向に移動させることができる。実施例では、第1
のアクチュエータ1の上部に第2のアクチュエータ14
(モータ)を設けたが、2つのアクチュエータに配置は
逆でもよい。
【0038】以下、ポンプ部22について図1及び図2
〜図4を用いて説明する。
【0039】実施例では第2のアクチュエータであるモ
ータにより、可動スリーブとシリンダ及び、中心軸とシ
リンダを相対的に回転させることにより、ねじ溝ポンプ
とラジアル動圧シールを構成している。
【0040】23はポンプ側可動スリーブであり、ボル
ト24により上部の可動スリーブ2の吐出側端面に締結
される。25はこのポンプ側可動スリーブ23と一体で
形成されたスラスト円盤である。このスラスト円盤25
と変位センサー21の間のギャップから、ポンプ側可動
スリーブ23の軸方向絶対位置を検出できる。ポンプ側
可動スリーブ23はシリンダ26に収納されている。ま
たポンプ側可動スリーブ23の外表面とシリンダ26の
内面の相対移動面には、流体を吐出側に圧送するための
ラジアル溝27(ねじ溝)が形成されている。このポン
プ側可動スリーブ23とシリンダ26の間で、両部材の
相対的な回転によってポンピング作用を得るための流体
輸送室28(予備室)を形成している。またシリンダ2
6には、ポンプ室28と連絡する吸入孔29が形成され
ている。30はシリンダの下端部に装着された吐出部、
31は吐出ノズル、32は吐出流通路である。
【0041】33はシリンダ26の吐出側端部に設けら
れた吐出部である。中心軸12は可動スリーブ23から
突出して吐出側に伸びており、その端部は吐出部33に
収納されている。34は中心軸12の吐出側端部と吐出
部33の相対移動面に形成されたラジアル動圧シールの
溝である。35は可動スリーブ23の吐出側端部と、シ
リンダ26、及び吐出部33で形成されるポンプ室、3
6はラジアル動圧シールが形成された中心軸端部とその
対向面間の隙間部である。
【0042】上記実施例では、超磁歪素子で駆動される
可動スリーブ2(ポンプ側可動スリーブ23)の軸方向
高速位置決め機能を用いて、一定の回転状態を保ったま
まで、紛流体の超高速間欠塗布ができる。また塗布の待
機時も、ラジアル動圧シールにより、吸入口から吐出ノ
ズルに至るいかなる流路も機械的な遮蔽なく、吐出の遮
断状態を保つことができる。
【0043】さて本発明者は、既に特願2000-188899号
「流体供給装置及び流体供給方法」で、可動スリーブの
吐出側端面にスラスト動圧シールを形成することによ
り、粉流体を非接触で開放・遮断する方法を提案してい
る。
【0044】上記方法を用いて、紛流体の粒子径の大き
な材料、たとえば半田材料を塗布する場合は、粒子径の
平均値はd≒50μm程度であり、シール時のスラスト隙間
は余裕をみて、hs>100μmとして設定する必要がある。
【0045】しかし、スラスト動圧シールの発生圧力は
スラスト隙間に大きく依存する。動圧シールの発生圧力
Psとスラスト隙間hsの関係は非線形であり、たとえば隙
間hsが10〜15μmを超えると、発生圧力Psは大きく
降下してしまう。したがって、紛流体を機械的に圧搾
・破損しない、紛流体の粒子径以上の隙間で、供給源
圧力を超えるシール圧力を発生させる、上記を両立
させる構成条件を見出すのは困難であった。
【0046】図2〜図4は、本発明の実施例において、
吸入行程、待機状態、吐出行程を示すものである。中心
軸12と可動スリーブ23は全行程中、常に一定回転数
で回転している。
【0047】図2は吸入行程を示す。ポンプ側可動スリ
ーブ23の急上昇によって、ポンプ室35内の圧力は急
降下する。圧力が急降下する理由は、可動スリーブ23
が急上昇してもスラスト端面とその対向面で形成される
空隙部のギャップはまだ十分に狭く、空隙部の外周部か
ら中心部の間で、求心方向の流体抵抗があるからであ
る。この流体抵抗により、容易には外周部から流体は補
給されず、圧力は降下する。理論的には、流体軸受の動
圧効果の一種である逆スクイーズ作用とも言うべき効果
による。その結果、流体が流体輸送室28から矢印のご
とくポンプ室35に流入する。ラジアル動圧シールが形
成された隙間部36からもポンプ室35に流体は流入す
るが、隙間部36の下流側である吐出ノズル31の流体
抵抗が高いため流入量は少ない。1実施例の実測の結
果、この流入量は吐出ノズル先端に有る流体塊が吐出ノ
ズル先端に吸引される程度(凸状態から凹状態に瞬時に
変わる)の大きさであった。
【0048】可動スリーブ23が上昇を停止すると、ポ
ンプ室35内にはすみやかに流体が充填される。この行
程中は、吐出ノズル31からの流体の流出は無い。
【0049】図3は吐出前の待機状態を示す。可動スリ
ーブ23の軸方向移動に伴う圧力発生がないため、ポン
プ室35の圧力はねじ溝ポンプによるポンピング圧力の
みとなる。同一回転数の条件下で、ねじ溝ポンプの発生
圧力はラジアル動圧シールが発生するシール圧力よりも
若干小さめになるように、ねじ溝とラジアル動圧シール
の各パラメータを設定している。図5において、グラフ
(イ)は軸方向に沿った発生圧力を示す。中心軸12の
軸端面37から吐出ノズル32の大気側開口部38に至
る流路は負圧になるために、吐出は遮断される。
【0050】図4は吐出行程を示す。可動スリーブ23
を急峻に下降させることにより、図5のグラフ(ロ)で
示すように、ポンプ室35には大きなスクイーズ圧力が
発生する。この理由は、スラスト端面とその対向面で形
成される空隙部の中心部から外周部の間で、遠心方向の
スラスト流体抵抗があるからである。このスラスト流体
抵抗により、ポンプ室35内に充填されていた流体は容
易には外周部に流出できず、圧力は急上昇する。
【0051】このスクイーズ圧力は、ラジアル動圧シー
ルが発生するシール圧力よりもはるかに大きいために、
ポンプ室35の流体はラジアル動圧シールの隙間部36
を経由して吐出ノズル32から流出する。
【0052】実際の基板上への間欠塗布は、上記吸入行
程→吐出行程のステップは間をおくことなく、高速で連
打する場合が多い。吸入行程において、吐出ノズル先端
に有る流体塊が吐出ノズル先端に吸引される前述した効
果に加えて、その直後の吐出行程における衝撃的なピー
クを伴うスクイーズ圧力により、本実施例のディスペン
サーは、極めて切れ味の良い超高速間欠塗布が実現でき
るのである。
【0053】既に説明したラジアル溝27とラジアル動
圧シール34は共にスパイラルグルーブ動圧軸受として
知られている公知のものであり、またねじ溝ポンプとし
ても利用されている。ねじ溝ポンプの発生するポンピン
グ圧力は、回転角速度、軸の外径、溝深さ、溝角度、グ
ルーブ幅とリッジ幅などで決定される。下記表1に、実
施例で用いたねじ溝ポンプの仕様を示す。以下、実施例
に適用したねじ溝ポンプ27と、ラジアル動圧シール3
4の仕様の一例を表1、表2に示す。適用した塗布材料
(半田)の粘度はμ=10万cps、可動スリーブと中心軸
の回転数はN=50rpmであり、半田の平均粒径は、d≒50μ
mであった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】表1,2から、ラジアル溝27部の隙間δ
r=0.2 mm、ラジアル動圧シール34の隙間δs=0.1 mm
であり、半田の平均粒径は、d≒50μmに対して十分な余
裕を持っている。
【0057】上記条件下でのラジアル溝部(ねじ溝ポン
プ)とラジアル動圧シールの「流量と圧力の関係」の解
析結果を図6に示す。同図において、(イ)はねじ溝ポ
ンプ、(ロ)はラジアル動圧シールの特性である。実施
例に適用したラジアル動圧シール34は、ねじ溝の角度
が異なる2つのねじ溝を上下に組み合わせたヘリングボ
ーン(通称魚の骨)型である。2つのねじ溝は流体を流
動させる方向が逆であるため、シール性能を求める上で
の有効ポンプ長さBs=L1- L2である。ラジアル動圧シー
ルをヘリングボーン型にすることにより、流体のメニス
カス(界面)の位置が必要以上にポンプ室35側に移動
するのを防止できる。
【0058】図5から、ねじ溝ポンプの最大発生圧力は
流量Q=0のときであり、Prmax=0.12MPa、同様にラジアル
動圧シールの最大発生圧力Psmax=0.15MPaである。Psmax
>Prmaxであるため、スクイーズ圧力の発生の無い待機
状態では、流体の吐出はラジアル動圧シールにより遮断
される。
【0059】既定案のスラスト動圧シール方式との違い
は、同方式が発生シール圧に限界があったのに対して、
本発明のシール方法では、シール圧を任意の大きさに設
定できるという点である。たとえば、必要とするシール
圧Prmax(供給圧)が高ければ、シール部の長さ(表2
におけるポンプ部長さ:Bs)を長くすれば良い。シール
部の長さBsを長くしても、ディスペンサーとしての機能
に大きな影響は与えない。
【0060】図7は、本発明の第2の実施例を示すもの
で、ポンプ室内に流体を充填させる手段に外部に設置し
た圧力源(たとえばエアー圧)を用いて、かつ動圧シー
ルを形成する中心軸のみを回転させたものである。
【0061】101は第2アクチェータであるモータ、
102は第1のアクチェータである積層型の圧電素子、
103はこの第1アクチェータの自由端側に固定された
可動スリーブ、104は前記第1のアクチェータの回転
軸である主軸である。
【0062】105は前記アクチェータ102、可動ス
リーブ103を収納するハウジングであり、106は前
記第1のアクチェータ102を構成する圧電素子の固定
部である。107は可動スリーブ103とハウジング1
05間に装着された接触型のシール部、108は吸入口
である。
【0063】109は第1のアクチェータ102に軸方
向バイアス荷重を与えるためのバイアスバネであり、可
動スリーブ103とハウジング105間に装着されてい
る。110はハウジング105に固定された下部プレー
ト、111はこの下部プレート110の中心部で主軸1
04の吐出側端部を収納する吐出部である。112はこ
の吐出部に形成された吐出ノズルである。
【0064】113は可動スリーブ103とハウジング
105で形成される空間を利用した流体予備室であり、
外部に配置された流体供給源(図示せず)と、吸入口1
08を介して繋がっている。114は主軸104と可動
スリーブ103の間に設けられた接触型のシール、11
5は、可動スリーブ103、主軸104、下部プレート
110で形成される空間であるポンプ室である。116
は、主軸104と吐出部111の相対移動面に形成され
るラジアル動圧シールの溝である。
【0065】117はハウジング105の内面に固定さ
れた差動トランス式変位センサーのステータ部、118
は可動スリーブ103側に固定されたロータ部である。
【0066】差動トランスは電気マイクロメータなどに
用いられているもので、可動スリーブ103の軸方向位
置を検出する。
【0067】上記実施例では、可動スリーブ103の軸
方向位置は、差動トランスによる変位センサーにより、
正確に検出できる。そのため、第1アクチェータ102
で駆動される可動スリーブ103の正確な位置決めと、
速度制御が可能になる。その結果、吐出流量の高精度化
が図れる。
【0068】また、実施例で示したように、可動スリー
ブの位置検出に中空の検出用ロータ118と検出用ステ
ータ117から構成される変位センサーを用いることに
より、円筒形状のハウジング105が細径のままで、デ
ィスペンサ−全体を構成できる。
【0069】実施例では、2つのアクチェータ、センサ
ー、主軸、吐出ノズルをいずれも軸方向に軸対称配置し
た構成となっている。たとえば、超磁歪素子、圧電素子
は、周知のようにその外径を数ミリ以下の小型化が可能
である。
【0070】したがって、本発明を用いれば、高粘度流
体を正確に塗布できる「ペンシルサイズ」の超小型容積
型ディスペンサーが実現できる。
【0071】本実施例では、予備室に流体を供給する手
段は外部に設置された圧力源を利用しているため、この
圧力源の最大圧力以上になるように動圧シールの発生圧
力を設定すればよい。モータ101の回転数に比例して
動圧シールの発生圧力は変化するために、適用するプロ
セスの条件に合わせて、回転数を調節するか、あるい
は、圧力源の圧力を設定すればよい。
【0072】なを、第1、第2実施例共通であるが、間
欠塗布の周波数とステージの送り速度の関係を選べば、
間欠塗布は擬似的に連続塗布にできる。間欠塗布の周波
数が高い程、早いステージ速度でも擬似連続化し易い。
この点で電磁歪素子を用いた本実施例は、その応答性の
良さゆえに高い周波数の間欠塗布が可能であり、生産タ
クトの面で有利となる。
【0073】本発明の流体吐出装置を微少流量ディスペ
ンサーあるいはポンプとして用いる場合は、第1のアク
チェータに圧電素子あるいは超磁歪素子のような電磁歪
型を用いれば、数MHz以上の高い応答性を持つという
点で好ましい効果が得られる。
【0074】また、高粘度流体を高速で吐出させる場
合、前記第1のアクチュエータには高い流体圧に抗する
大きな推力が要求される。この場合、数百〜数千Nの力
が容易に出せる電磁歪型アクチュエータが有利である。
また位置検出をしてフィードバック制御をすれば、1μ
m以下の高い位置決め精度が得られる。なお本明細文で
は、圧電素子あるいは超磁歪素子を電磁歪素子と呼ぶこ
とにする。
【0075】実施例で示したような微少流量を扱うポン
プでは、ピストンの軸方向変位は数μm〜数10μmの
微少変位でよい。この微量変位で良いことを利用すれ
ば、圧電素子、超磁歪素子のストロークの限界は問題と
ならない。
【0076】圧電素子あるいは超磁歪素子を第1のアク
チュエータとして用いた場合、素子の入力電圧(超磁歪
素子の場合は電流)と変位は比例するため、変位センサ
ーなしのオープンループ制御でも前記ピストンと前記可
動スリーブのストローク制御は可能である。しかし本実
施例のような位置検出手段を設けてフィードバック制御
をすれば、より高い精度の流量制御ができる。
【0077】電磁ソレノイド等のアクチェータも本発明
に適用可能であり、電磁歪素子と比べて応答性は一桁程
悪くなるが、ストロークの制約は大幅に緩和される。
【0078】また可動スリーブの内部にラジアル動圧シ
ールが形成された主軸を収納する構成ではなく、たとえ
ば、スクイーズ圧力の発生源と、ラジアル動圧シールの
部分は別離した構造でもよい。要は吸入口から吐出口に
繋がる流路において、隙間を変化させることによる圧力
の発生源の下流側にラジアル動圧シールが設けられてい
れば良い。
【0079】実施例では、可動スリーブとハウジングで
構成される流体予備室に塗布流体を供給する圧力源とし
てねじ溝ポンプを用いているが、ねじ溝式以外のポンプ
でも本発明を適用することができる。たとえば、ツイン
・スクリュー式、トロコイド式、モーノ式、ギヤ式、ピ
ストン式などの種類のポンプを適用できる。あるいは、
高圧エアーを塗布流体に印加するエアー式でもよい。こ
れらの流体加圧源の最大圧力以上の圧力を発生するラジ
アル動圧シールを、主軸とその対向面に形成すればよ
い。
【0080】
【発明の効果】本発明を用いた流体吐出方法及び塗布装
置により、含有する粒子径が大きな高粘度粉流体でも、
流路内部での粉体の堆積、目詰まりなどのトラブルな
く、高精度・高速で塗布ができる。また通常のニュート
ン流体、プラズマ流体、混相流体、バイオ流体など、流
体の種類に関係無く、高精度で流量制御ができる。その
効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるディスペンサーを
示す正面断面図
【図2】上記実施例の吸入行程を示す図
【図3】上記実施例の塗布待機時を示す図
【図4】上記実施例の吐出行程を示す図
【図5】上記実施例の圧力分布を示す図
【図6】上記実施例の流量と圧力の関係の解析結果のグ
ラフ
【図7】本発明の第2の実施例によるディスペンサーを
示す正面断面図
【図8】従来例のインクジェット方式を示す図
【図9】従来例の超磁歪方式を示す図
【図10】従来例のエアーパルス方式を示す図
【符号の説明】
23 スリーブ 26 ハウジング 27 ラジアル動圧シール 28 予備室
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04B 15/02 F04B 15/02 Z F04C 13/00 F04C 13/00 B Fターム(参考) 3H075 AA17 BB01 BB30 CC11 CC16 CC36 DA01 DA04 DB02 DB22 DB49 4D075 AC06 AC09 AC84 CA47 DA06 DC18 DC21 DC24 EA02 EA31 EA35 EA37 4F033 AA01 BA03 BA05 BA06 CA04 DA01 EA01 GA10 LA10 NA01 4F041 AA05 AB02 AB05 BA02 BA10 BA12 BA17 BA36 BA53

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スリーブとこのスリーブを収納するハウ
    ジングで形成される予備室内に流体を吸入し、前記スリ
    −ブとその対向面の間隙を増大させてその間隙部に前記
    予備室から流体を充填後、前記間隙を減少させることに
    より発生する圧力を利用して、流体を吐出する流体吐出
    方法において、吐出待機時は前記予備室よりも吐出口側
    に設けられたラジアル動圧シールによるシール圧力と、
    前記予備室側の圧力を均衡させることにより流体の遮断
    状態を保つことを特徴とする流体吐出方法。
  2. 【請求項2】 前記スリーブを貫通して設けられた主軸
    と、この主軸を収納するハウジングの相対移動面にラジ
    アル動圧シールの溝が形成されていることを特徴とする
    請求項1記載の流体吐出方法。
  3. 【請求項3】 前記間隙を減少させることにより発生す
    る圧力はスクイーズ圧力であることを特徴とする請求項
    1記載の流体吐出方法。
  4. 【請求項4】 スリーブとハウジングを相対的に軸方向
    移動させる第1のアクチェータと、主軸と前記ハウジン
    グを相対的に回転させる第2のアクチェータと、前記ス
    リーブ及び前記主軸の少なくとも一部を収納し軸方向に
    貫通した空間を有するハウジングと、スリーブとハウジ
    ングで形成され吸入口と連絡する流体の予備室と、この
    予備室よりも吐出口側で前記主軸と前記ハウジングの相
    対移動面に形成されたラジアル動圧シール部と、前記第
    1、第2のアクチュエータをそれぞれ駆動する駆動部か
    ら構成されることを特徴とする流体吐出装置。
  5. 【請求項5】 前記主軸は前記スリーブ内に相対的に回
    転可能に収容されていることを特徴とする請求項4記載
    の流体吐出装置。
  6. 【請求項6】 第1のアクチュエータは電磁歪素子であ
    ることを特徴とする請求項4記載の流体吐出装置。
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