JP2004105799A - 流体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品、家電製品などの分野における生産工程において、接着剤,クリーンハンダ,蛍光体,電極材料,グリース,ペイント,ホットメルト,薬品,食品などの各種粉流体を、粉体の圧搾・破壊なく間欠・連続塗布ができ、長期にわたり高い塗布精度を維持することを可能とすること。
【解決手段】第1のアクチュエータにより主軸に直線運動を与え、第2のアクチュエータによりこの主軸を収納するスリーブに回転運動を与えると共に、第2のアクチュエータであるモータを吐出側に配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】第1のアクチュエータにより主軸に直線運動を与え、第2のアクチュエータによりこの主軸を収納するスリーブに回転運動を与えると共に、第2のアクチュエータであるモータを吐出側に配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品や家電製品などの分野における生産工程に用いることができ、接着剤,クリームハンダ,蛍光体,電極材料,グリース,ペイント,ホットメルト,薬品,食品などの各種液体を定量に吐出することが可能な流体吐出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体吐出装置(ディスペンサー)は、従来から様々な分野で用いられているが、近年の電子部品の小形化・高記録密度化のニーズに伴い、微少量の流体材料を高精度で、かつ、安定して吐出制御する技術が要請されつつある。また、例えば、CRTやPDPなどのディスプレイは、近年、ますます大型化/高精細度化しており、そのディスプレイ面に蛍光体を均一に塗布するための、新たな流体塗布手段開発の要望も大きい。
【0003】
以下、ディスプレイパネルに蛍光体材料によるスクリーンストライブを形成する場合を例に挙げ、従来技術の課題について説明する。
【0004】
カラー表示を行うプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と称す)では、前面板/背面面にRGB各色で発光する蛍光体材料から成る蛍光体層を有する。この蛍光体層は、前面板/背面面に平行線状に形成された隔壁と隔壁の間(すなわちアドレス電極上)に、RGB各色の蛍光体材料を充填したストライブを3組形成し、そのストライブの3組を平行に隣接して多数配列した構造となっている。この蛍光体層は、スクリーン印刷方式、フォトリソグラフィ方式などによって形成される。
【0005】
画面が大型化した場合、従来のスクリーン印刷方式では、スクリーン印刷版を精度よく位置合わせすることが難しく、蛍光体材料を充填しようとすると隔壁の頂上部分にまで材料が載ってしまい、それを除去するために研磨行程を導入するなどの方策が必要であった。
【0006】
また、スキージ圧力の違いによって、蛍光体材料の充填量が変化し、その圧力調整は極めて微妙であり作業者の熟練度に依存する部分が多い。そのため前面板/背面面の前面にわたって一定の充填量を得ることは容易ではない。
【0007】
更に、感光性の蛍光体材料を使用してフォトリソグラフィ方式によって蛍光体層を形成することもできるが、露光と現像の行程が必要となり、スクリーン印刷方式と比べて行程数が多くなるため、製造コストが高くなるという課題があった。
【0008】
スクリーンストライブを形成するための課題、すなわち、PDPにおけるスクリーン印刷方式、或いは、カラーブラウン管パネルにおける「振りきり工法・写真現像方式」に係る前述した課題を解決するために、ディスペンサーを用いた直接描画方式(ダイレクトパターニング)が既に提案されている。
【0009】
図13は、特開平10−27543号公報に開示されているもので、PDPを対象とした蛍光体層形成装置および形成方法を示すものである。450は基板、451はこの基板を載置する載置台、452はペースト状の蛍光体を吐出するディスペンサー、453はディスペンサーの吐出ノズルである。
【0010】
この吐出ノズルと載置台を相対的に移動させる搬送部を構成するために、載置台451の両側には、1対のY軸方向搬送装置454a,454bが設けられている。また、X軸方向搬送装置455が、前記Y軸方向搬送装置によって、Y軸方向に移動可能に搭載されている。更に、Z軸方向搬送装置456が、X軸方向搬送装置455によって、X軸方向に移動可能に搭載されている。
【0011】
上記提案によれば、従来のスクリーンマスクを用いることなく、基板仕様を数値設定するだけで基板上を移動するノズル453から蛍光体が吐出され、リブ間の溝に塗布されるので、任意のサイズの基板に対して蛍光体層を精度よく形成することができると共に、基板の仕様変更に容易に対応できるとされている。
【0012】
カラーブラウン管パネルを対象とした蛍光体層形成装置についても、同様な提案が既に特公昭57−21223号公報で開示されている。この提案によれば、製造行程および製造ラインとも規模を拡大させる必要がなく、単体の装置でスクリーニングすることを可能にし、また多品種少量生産のブラウン管に対して量産効果を上げて製造させ、さらに単体でスクリーニングするため自動化ラインを小規模なマシンで稼動させる利点があるとされている。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−27543号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ディスペンサーを用いてパネル面に蛍光体スクリーンストライブを形成する場合でも、スクリーン印刷方式と同等の生産タクトが要望される。しかし、塗布装置に配置できるディスペンサーの本数には制約があり、千本〜数千本のスクリーンストライブをできるだけ短時間で描くためには、パネルとノズル間の相対速度を十分に大きくとる必要がある。そのためには、ディスペンサー、或いは、パネルが搭載された搬送台を高精度かつ高速で往復動作させる必要がある。
【0015】
ここで、パネル面は蛍光体層を形成する「有効表示領域」(図14の60a)と、この有効表示領域の外周部に蛍光体層を形成しない「非有効表示領域」(図14の60b)を有するものとする。
【0016】
また、ディスペンサーは、搬送台に搭載されているものとし、吐出ノズル一個の挙動に注目する。パネル面の前記「有効表示領域」を、連続塗布しながら高速で走行したノズルは、パネルの端面に接近すると減速区間を経て速度を落とし、前記「非有効表示領域」に入る。この非有効表示領域でUターン後、助走区間を経て再び有効表示領域を定常走行する。すなわち、ノズルとパネル間の相対速度は、Uターン区間の前後で大きく変化する。
【0017】
このとき、ディスペンサーは次ぎのような機能を有することが望ましい。
【0018】
▲1▼ノズルとパネル間の相対速度に合わせて、流量を可変できる。
【0019】
▲2▼パネルの端面のUターン区間(非有効表示領域を走行する区間)では、吐出量が完全に遮断できる。
【0020】
▲3▼上記Uターン区間を経て、塗布開始時の塗布線の始点部には「細り」,「切れ」などが発生しない。同様に、塗布終了時の塗布線の終点部には、「太り」,「溜まり」などが発生しない。
【0021】
上記▲1▼が実現できない場合、例えば、ノズルとパネル間の相対速度が定常走行の場合と比べて小さくなったにもかかわらず、吐出量を低減できなければ蛍光塗布線の線幅と厚みは所定のスペックを越えてしまうことになる。
【0022】
生産タクトを上げる程、立上がり・立下り時間を短く、かつ相対速度の変化率を大きくとらねばならない。すなわち、ディスペンサーにはより一層高い流量制御のレスポンスが要求される。
【0023】
上記▲2▼の必要性は次のようである。ノズルがパネルの端面のUターン区間(非有効表示領域)を走行するとき、ノズルとパネル間の相対速度はゼロ及びその前後の極めて低速状態となる。もし、この区間でノズルから材料の流出があれば、僅かな流量でも複数本のストライブが重なるため、材料がパネル上に堆積することになる。その結果、堆積した材料が吐出ノズルの先端に附着する。この状態で再び塗布を開始した場合、吐出ノズルの先端に附着した流体塊が不連続にパネル面に散逸し、描画線の精度を著しく損ねるなどのトラブルが発生した。すなわち、パネルの端面のUターン区間では、ディスペンサーは吐出量を完全に遮断できることが好ましい。
【0024】
上記▲3▼は、ディスペンサー方式が従来方式、例えば、スクリーン印刷方式と同等、或いはそれ以上の品質を確保するための必須条件である。
【0025】
以上を要約すれば、ディスペンサーを用いて、パネル面に蛍光体スクリーンストライブを高生産効率で形成するためには、ディスペンサーには流体遮断・開放が随意にできる機能を有すると共に、高い流量制御の応答性と高い流量精度を持つのが望ましい。しかしディスペンサー方式の先行例である、例えば、特公昭57−21223号公報、特開平10−27543号公報に記載された発明には、この点の詳細な記載は見当たらない。
【0026】
さて、ディスペンサー(液体吐出装置)は、従来から様々な分野で用いられているが、近年の電子部品の小形化・高記録密度化のニーズに伴い、微少量の流体材料を高精度で、かつ、安定して供給制御する技術が要請されるようになっている。従来、液体吐出装置として、図15に示す様なエアー方式によるディスペンサーが広く用いられており、例えば、「自動化技術‘93.25巻7号」などにその技術が紹介されている。
【0027】
この方式によるディスペンサーは、定圧源から供給される定量の空気を容器(シリンダ)200内にパルス的に印加させ、シリンダ201内の圧力の上昇分に対応する一定量の液体をノズル202から吐出させるものである。
【0028】
このエアーの方式のディスペンサーは次の問題点があった。
(1)吐出圧脈動による吐出量のばらつき
(2)水頭差による吐出量のばらつき
(3)液体の粘度変化による吐出量変化
上記(1)の現象は、タクトが短く吐出時間が短い程顕著に表れる。そのため、エアーパルスの高さを均一化するための安定化回路を施すなどの工夫がなされている。
【0029】
上記(2)は、シリンダ内の空隙部201の容積が液体残量Hによって異なるため、一定量の高圧エアーを供給した場合、空隙部201内の圧力変化の度合が、上記液体残量Hによって大きく変化してしまうというのがその理由である。液体残量が低下すれば、塗布量が例えば最大値と比べて50〜60%程度減少してしまうという問題点があった。そのために、吐出毎に液体残量Hを検知し、吐出量が均一になる様にパルスの時間幅を調整するなどの方策がなされている。
【0030】
上記(3)は、例えば、多量の溶剤を含んだ材料が時間とともに粘度が変化した場合に発生する。そのための対策として、時間軸に対する粘度変化の傾向をあらかじめコンピュータにプログラミングしておき、粘度変化の影響を補正するように例えば、パルス幅を調節する等の方策がなされていた。
【0031】
上記課題に対するいずれの方策も、コンピュータを含む制御系が繁雑化し、また、不規則な環境条件(温度など)の変化に対する対応は困難であり、抜本的な解決案にはならなかった。
【0032】
エアー方式の上記課題に加えて、この方式のディスペンサーは応答性が悪いという欠点があった。この欠点は、シリンダ200に封じ込められた空気の圧縮性と、エアーを狭い隙間に通過させる際のノズル抵抗によるものである。すなわち、エアー方式の場合、シリンダの容積:Cとノズル抵抗:Rで決まる流体回路の時定数:T=RCが大きく、入力パルスを印加後、吐出開始に例えば0.07〜0.1秒程度の時間遅れを見込まねばならない。
【0033】
上記エアー方式の欠点を解消するために、吐出ノズルの入口部にニードルバルブを設けて、このニードルバルブを構成する細径のスプールを軸方向に高速で移動させることにより、吐出口を開閉させるディスペンサーが実用化されている。しかしこの場合、流体の遮断時、相対移動する部材間の隙間はゼロとなり、数ミクロン〜数十ミクロンの平均粒径の粉体は機械的に圧搾作用を受け破壊される。その結果、発生する様々な不具合のため、本発明の実施の形態である蛍光体塗布などへの適用は困難な場合が多い。
【0034】
また、同目的のために、粘性ポンプであるねじ溝式のディスペンサーも既に実用化されている。ねじ溝式の場合、ノズル抵抗に依存しにくいポンプ特性を選ぶことができるため、定常連続吐布時には好ましい結果が得られる。しかし、連続塗布線の始終端を高速で制御する必要がある場合、あるいは高速間欠塗布が必要な場合は、粘性ポンプの性格上充分な対応ができない。そのため従来ねじ溝式では、
(1)モータとポンプ軸の間に電磁クラッチを介在させ、吐出のON,OFF時にこの電磁クラッチを連結あるいは開放する。
【0035】
(2)DCサーボモータを用いて、急速回転開始あるいは急速停止させる。
【0036】
しかし、上記いずれも機械的な系の時定数で応答性が決まるため、塗布流量の高速制御には制約があった。応答性はエアーパルス方式と比較すると良好であるが、しかし最短時間でも0.05秒程度が限界であった。また、ポンプ軸の過渡応答時(回転始動時と停止時)の回転特性に不確定要因が多いため、流量の厳密な制御は難しく、塗布精度にも限界があった。
【0037】
以上の理由から、従来ディスペンサーの構造、或いは適用方法をそのまま導入しても、パネル面に蛍光体スクリーンストライブを高生産効率で形成するための条件を満足させるのは困難であった。
【0038】
本発明者らは、既に特願2001−385804に記載の発明において、ディスペンサーに高速吐出遮断、高速吐出開放、流量制御の機能を与えることにより、ディスプレイパネル面に蛍光体、電極材などのパターンを高生産効率で形成するための条件、
▲1▼ステージの加減速に合わせて、高い応答性で流量を可変できる。
【0039】
▲2▼ノズル先端が塗布領域から非塗布領域へ、或いはその逆に移行する際の流体の高速遮断・高速開放が随意にできる。
などを満足させるディスプレイパネルのパターン形成方法および形成装置を提案している。
【0040】
また、上記提案に先立ち、本発明者らは特願2000−188899に記載の発明において、高粘度流体・粉流体の微少流量塗布に係る、近年の様々な要求に応えるためのディスペンサーの具体構造、すなわち、ピストンとシリンダの間に相対的な直線運動と回転運動を与えると共に、回転運動により流体の輸送手段を与え、直線運動を用いて流出量を制御する塗布方法を提案している。
【0041】
図12において、101は超磁歪素子で構成される第1のアクチュエータ、102は第1のアクチュエータ101によって直線駆動される主軸(ピストン)、103は第1のアクチュエータ101を収納するハウジングである。このハウジング103の下端部(フロント側)に、主軸102を収納するポンプ部104が装着されている。105は主軸102に回転運動を与える第2のアクチュエータ、106はモータロータ、107はモータロータの主軸、108はモータステータである。
【0042】
111及び112は超磁歪素子から構成される円筒形状のリア側超磁歪ロッド及びフロント側超磁歪ロッドである。113は超磁歪ロッド111,112の長手方向に磁界を与えるための磁界コイルである。114,115及び116は超磁歪ロッド111,112にバイアス磁界を与えるためのリア側,中間部,フロント側の永久磁石である。リア側とフロント側の永久磁石114,116が、超磁歪ロッド111,112と中間部永久磁石15を矜持する形で配置されている。
【0043】
117は超磁歪ロッド111のリア側に配置され、磁気回路のヨーク材であるリア側ヨーク、118は超磁歪ロッド112のフロント側に配置され、ヨーク材を兼ねたフロント側スリーブ、119は磁界コイル13の外周部に配置された円筒形状のヨーク材である。すなわち、超磁歪ロッド111,112、磁界コイル113、永久磁石114〜116、リア側ヨーク117、フロント側スリーブ118、ヨーク材119により、磁界コイルに与える電流で超磁歪ロッドの軸方向の伸縮を制御できる超磁歪アクチュエータ(第1のアクチュエータ101)を構成している。
【0044】
120は上部主軸7を回転自在、かつ軸方向に移動可能に収納するリア側スリーブである。このリア側スリーブ120もまた軸受134により、中間ハウジング121に対して回転自在に支持されている。
【0045】
122はリア側ヨーク117とリア側スリーブ120の間に装着されたバイアスバネである。フロント側スリーブ118は主軸102を軸方向移動可能に収納している。モータ5から伝達された主軸2の回転動力は、主軸2、フロント側スリーブ118の間に設けられた回転伝達キー123によってフロント側スリーブ118に伝達される。また、フロント側スリーブ118も軸受124によって、ハウジング103に回転自在に支持されている。125は上部主軸107の回転位置情報を検出するためのエンコーダ、126は主軸107の上端面127の軸方向変位を検出するための変位センサーである。
【0046】
128は主軸102の外表面に形成された流体を吐出側に圧送するためのねじ溝、129は流体シール、130はシリンダである。
【0047】
この主軸102とシリンダ130の間で、主軸102とシリンダ130の相対的な回転によってポンピング作用を得るためのポンプ室131(流体輸送室)を形成している。また、シリンダ130には、ポンプ室131と連絡する吸入孔132が形成されている。133はシリンダ130の下端部に装着された吐出ノズル、134はシリンダ130の吐出側端面に締結された吐出プレートである。135は主軸2の吐出側端面、主軸102の吐出側端面135の対向面136の中央部に吐出ノズル133の開口部137が形成されている。
【0048】
上記構成により、回転運動と微少変位の直線運動の制御を同時に、かつ独立して行うことができる「2自由度・複合動作アクチュエータ」が実現できる。この機能を用いて、主軸の定常回転状態を保ったままで、主軸の吐出側端面の隙間の大きさを任意に制御することができる。すなわち、吸入口132から吐出ノズル133に至るいかなる流通路の区間も機械的に非接触の状態で、始終端における粉流体の遮断・開放の制御ができる。
【0049】
ディスプレイパネル面の蛍光体塗布に適用した上記提案(特願2001−385804)では、連続描画の終了点、すなわち吐出ノズル先端が表示領域から非表示領域に移行する段階では、隙間を急峻に増大させることにより、負圧を発生させて流体を高速で遮断している。非表示領域でのUターン後、描画の開始点では主軸の吐出側端面の隙間を減少させて、速やかに連続塗布を開始する。
【0050】
さて、上記既提案のディスペンサー構造には、次の様な課題があった。そのひとつは、主軸102の高い振れ精度を確保するのが難しいという点である。
【0051】
主軸102のラジアル方向は、リア側スリーブ120とフロント側スリーブ118の上下2箇所によって、回転自在かつ直線運動自在に支持されている。さらに、リア側スリーブ120とフロント側スリーブ118は玉軸受124、134によって回転自在に支持されている。つまり、主軸102と固定側の間には、ラジアル方向に2つの摺動隙間が介在する。
【0052】
通常、2つの玉軸受間で支持された回転体を精度よく支持するために、軸受に軸方向予圧をかけることにより、玉軸受のラジアル・スラスト方向のガタを吸収する方法が採用される。しかし本構造では、主軸102は回転と直線運動を同時に行うという特殊な動作をさせるためこの方法は採用できない。つまり、主軸102とリア側スリーブ120、及び主軸102とフロント側スリーブ118のラジアル方向の摺動部のギャップは吸収できず、このギャップの範囲内では主軸2の軸芯精度は保証されない。
【0053】
ねじ溝が偏芯して回転した場合の影響は流量変化に現れる。偏芯量が増すと流量は僅かだが増大していき、この流量変化は連続塗布線の線幅・厚みのバラツキをもたらすことになる。
【0054】
2つ目の課題は、ねじ溝軸の交換が難しいという点である。
【0055】
ねじ溝ポンプは、通常適用する塗布材料、塗布条件に合わせて、ベストな仕様(溝深さ、溝角度など)を選択する必要がある。上記構造では、ねじ溝軸の交換の度にディスペンサー本体を解体せねばならない。また、ねじ溝部分128と主軸2を分離し、主軸2に継ぎ手を設けて、ねじ溝軸を交換可能にした場合でも、前述したように、主軸2自身がラジアル方向にガタを有するため、再現性の高いねじ溝軸の装着は難しい。
【0056】
以上、ディスプレイパネルに蛍光体材料によるスクリーンストライブを形成する場合を例に上げ、従来技術の課題、及び既提案のディスペンサーの課題について説明した。
【0057】
蛍光体スクリーンストライブ以外の材料、たとえば電極材料、表面実装(SMT)の分野における接着剤、半田などによるパターン形成の場合でも基本課題は同様である。
【0058】
本発明は、上述した既提案のディスペンサー構造をベースに、さらに大幅な改良を図るもので、第1のアクチュエータにより主軸に直線運動を与え、第2のアクチュエータによりこの主軸を収納するスリーブに回転運動を与えると共に、第2のアクチュエータであるモータを吐出側に配置する構成により、ポンプ部分の大幅な回転振れ精度の向上を図ったものである。
【0059】
本発明を適用すれば、連続、間欠を問わず塗布精度の大幅な向上が図れると共に、長期にわたり塗布精度の高い再現性と信頼性が得られる塗布装置を実現できる。
【0060】
【課題を解決するための手段】
本発明の吐出装置は、主軸を相対的に軸方向移動可能に収納するスリーブと、前記スリーブ及び、又は前記主軸の少なくとも一部を収納するハウジングと、前記主軸と前記ハウジングを相対的に軸方向移動させる第1のアクチュエータと、前記スリーブと前記ハウジングを相対的に回転させる第2のアクチュエータと、前記主軸と前記ハウジングで形成され前記主軸の軸方向移動により容積が変化するポンプ室と、このポンプ室と連絡する流体吸入口及び吐出口から構成される流体吐出装置において、前記第2のアクチュエータは、前記第1のアクチュエータよりも吸入口側に配置されていることを特徴とする。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をディスプレイの蛍光体塗布用ディスペンサーに適用した第1の実施形態について、図1を用いて説明する。
【0062】
図1に示すディスペンサーの構造は、大きく分けて3つのユニットから構成される。「軸駆動ユニット50」は、主軸とこの主軸を駆動する第1のアクチュエータから構成される。第1のアクチュエータは、超磁歪素子により主軸を軸方向に駆動する。更に、非接触で電力供給できる超磁歪素子の特徴を利用して、この主軸は軸方向移動と共に回転可能の構造になっている。「モータユニット51」は、円筒形状のスリーブとこのスリーブを回転駆動する第2のアクチュエータ(モータ)により構成される。「ポンプユニット52」は、ねじ溝が形成されたスリーブと、このねじ溝軸を収納するハウジングと、吐出ノズルから構成される。本実施形態のポンプ部は、
▲1▼ねじ溝が形成されたスリーブの回転により、流体にポンピング圧力を与えて吐出側に輸送させる機能
▲2▼主軸の直線運動を用いて、連続塗布を高速で遮断及び開放する機能
上記▲1▼〜▲2▼を併せ持つ構造となっている。
【0063】
以下、まず、軸駆動ユニット50について説明する。
【0064】
第1のアクチュエータ1は超磁歪素子による直動型アクチュエータである。2は超磁歪アクチュエータによって駆動される主軸、3はリア側回転スリーブ、4は前記アクチュエータ1を収納するハウジングBである。5は超磁歪材料から構成される円筒形状の超磁歪ロッドである。この超磁歪ロッド5はバイアス永久磁石A6、バイアス永久磁石B7を上下に挟んだ形で、上部回転スリーブ8とヨーク材を兼ねた可動スリーブ2の間に固定されている。
【0065】
9は超磁歪ロッド5の長手方向に磁界を与えるための磁界コイル、10は円筒形状のヨークでありハウジングB4に収納されている。55は円筒状のヨーク部材(磁性体)であり、非磁性の主軸2と一体で構成される。
【0066】
このバイアス永久磁石A6及びバイアス永久磁石B7は、超磁歪ロッド5に予めに磁界をかけて磁界の動作点を高めるもので、7→5→6→8→10→55→7により、超磁歪ロッド9の伸縮を制御する閉ループ磁気回路を形成している。すなわち、部材2,55と5〜10により、磁界コイルに与える電流で超磁歪ロッドの軸方向の伸縮を制御できる超磁歪アクチュエータ1(第1のアクチュエータ)を構成している。
【0067】
超磁歪材料は希土類元素と鉄の合金であり、例えば、bFe2,DyFe2,SmFe2などが知られており、近年急速に実用化が進められている。主軸2と上部回転スリーブ8の間には、超磁歪ロッド5に機械的な軸方向与圧を与えるバイアスバネ11が設けられている。上記構成により、超磁歪素子の電磁コイル9に電流を印加すると、超磁歪ロッド5は印加電流の大きさに比例して伸縮し、主軸2を軸方向に移動させる。
【0068】
12はリア側回転スリーブ3を支持する軸受、13はハウジングA、14は上部蓋、15は上部回転スリーブ8を支持する軸受、16は上部蓋14に装着され主軸2の軸方向位置を検出するための変位センサーである。17は主軸2の吐出側端面に装着されたピストン軸、18はピストン軸の吐出側端面、19はシール部材、20は締結部である。21は主軸2とリア側回転スリーブ3の間に設けられた回転伝達部である。上部蓋14、ハウジングA13、ハウジングB4が第一のアクチュエータを収納する軸駆動ケースである。上記部材1〜21により、軸駆動ユニット50を構成している。
【0069】
22は回転スリーブ、23はこの回転スリーブに回転運動を与えるモータのモータロータ、24はハウジングC(モータケース)、25はモータステータ、26及び27はそれぞれ回転スリーブ22を支持する軸受である。回転スリーブ22の吐出側端面には、ねじ溝スリーブ28がボルト29により締結される。また、両部品の勘合部にはテーパ部30が形成されている。ねじ溝スリーブ28の外表面には、塗布流体にポンピング作用を与えるねじ溝31(図5)が形成されている。モータロータ23、モータステータ25で第2のアクチュエータ32を構成し、上記部材22〜31により、モータユニット51を構成している。
【0070】
33はハウジングD(ポンプケース)、34は吸入口、35は吐出ノズルである。上記部材33〜35により、ポンプユニット52を構成している。上述した3つのユニットのうち、軸駆動ユニット50とモータユニット51はボルト36により締結され、モータユニット51とポンプユニット52はボルト37により締結される。
【0071】
図2に軸駆動ユニット50、図3にモータユニット51、図4にポンプユニット29のみを抽出した図を示す。また、図5にポンプユニット29にねじ溝スリーブ28を挿入した状態を示す。
【0072】
図5において、38はピストン軸17(主軸2)とハウジングD33、吐出ノズル35で形成されるポンプ室である。このポンプ室38は、主軸2の軸方向移動により容積が変化する。この容積変化を利用して、本実施形態では、後述するように描画線の始終端の制御を行う。
【0073】
軸駆動ユニット50、モータユニット51は互いに依存することなく、独立した機能を持っているために、個別に組立てや調整ができる。例えば、軸駆動ユニット50(図2)は、ピストン軸17の端面18において、その絶対位置と軸方向ストロークが目標値を満足しているかどうかをチェックすればよい。
【0074】
また、主軸2の上端部に設けられた変位センサー16からの出力をもとに、主軸2の正確な位置決め制御、速度制御がなされているかどうかも軸駆動ユニット50単体で評価すればよい。
【0075】
同様に、モータユニット51(図3)は、ねじ溝スリーブ28吐出側端部(矢印56の位置)で、振れ精度、ラジアル剛性などが目標値を満足しているかどうかをチェックする。
【0076】
各ユニット単体での評価が完了後、図6に示すごとく、3つのユニットを装着すれば、ディスペンサーは組み立てを完了する。このとき、軸駆動ユニット50の一部品である主軸2は、先端にピストン軸17を装着した状態で、モータユニット51の回転スリーブ22とねじ溝スリーブ28を貫通して挿入される。
【0077】
本実施形態の構造では、モータの回転トルクはねじ溝スリーブ28とピストン軸17の間に装着されたOリング(シール部材19)の摺動抵抗により、主軸2に伝達される。また、軸駆動ユニット50において、主軸2とリア側回転スリーブ3の間に回転伝達部21が設けられている。回転伝達部21の形状は、角型断面となっており、主軸2はリア側回転スリーブ3に対して回転のみを伝達し、主軸2の直線運動に対してはフリーとなっている(図示せず)。
【0078】
なお、主軸2の超磁歪ロッド5を貫通する部分には非磁性材料(詳細図略)を用いて、超磁歪ロッド5の伸縮を制御する閉ループ磁気回路には影響を与えないようにした。上記構成により、ねじ溝スリーブ28は回転運動のみを行い、主軸2(及びピストン軸17)は回転運動と微少変位の直線運動の制御を同時に、かつ独立して行うことができる。
【0079】
また、主軸2(及びピストン軸17)は、ねじ溝スリーブ28と同一の回転数で回転するため、両部材17、28の間に円周方向での速度差は発生しない。この点は、ディスペンサーを構成する各部材の長期的な信頼性を得る上で、実用上、極めて有利な条件となる。もし、ピストン軸17の外周部とねじ溝スリーブ28の内周部で速度差があれば、両部材間の間隙に侵入した蛍光材料の硬い微粒子の「研磨作用」によって、部材が磨耗しシール性能の劣化をもたらすなどのトラブルが発生する。本実施形態では、ピストン軸17とねじ溝スリーブ28は軸方向に相対移動する。しかし、そのストロークはたかだか数十μmであり、その変位は両部材の間に装着したシール部材(Oリング)19の弾性変形内に留まるため、部材の磨耗等の問題は発生しなかった。
【0080】
以下、本発明をディスプレイの蛍光体塗布に適用したもう一つの実施形態について、補足説明をする。本実施形態では、超磁歪素子で駆動される主軸2(以下ピストン軸と呼ぶ)が回転と同時に高速の直線運動ができることを利用して、次の方法で塗布線の始終端に係る課題の解決をはかった。
【0081】
▲1▼塗布開始時には、ピストン軸を急速に降下させると同時にモータの回転を開始する。
【0082】
▲2▼塗布終了時には、ピストン軸を上昇させると同時にモータの回転を停止する。
【0083】
本実施形態では、ピストン軸を超磁歪素子で駆動しているため、ピストン軸の入力信号に対する出力変位の応答性は、10−3sec(1000Herz)のオーダーであった。隙間が変化してからスクイーズ圧力発生に至る時間遅れは僅少であるため、極めて高速の遮断・開放の流量制御ができた。
【0084】
図7は、超磁歪素子によって駆動されるピストンの変位曲線、図8はモータの回転数を、N=0rpmからN=200rpmまで立ち上げたときに発生するねじ溝のポンピング圧力Ppを示す。図9はピストン軸を上昇・下降させることによって発生する、吐出ノズルの上流側におけるスクイーズ圧力Psの解析結果を示す。
【0085】
また、図10は上記ねじ溝のポンピング圧力Ppとスクイーズ圧力Psを合成した圧力Pn(=Pp+Ps)である。このスクイーズ圧力Psは、Reynolds方程式(省略)を表1の条件下で解いて求めたものである。
【0086】
(1)塗布開始時
塗布開始前の状態では、モータの回転は停止しており、ピストン軸はその対向面との間隙:Xp=40μmの状態にある。t=0.02秒でピストンが間隙:Xp=40→30μmへ急降下を開始すると、吐出ノズルの上流側圧力:Pnは急上昇する。その理由は、式(1)のReynolds方程式がdh/dt<0のとき発生するスクイーズ作用によるものである。
【0087】
スクイーズ作用は、粘性流体を用いた流体軸受の動圧効果の一種である。このスクイーズ効果による急峻なピーク圧力(オーバーシュート)の発生により、吐出ノズル先端での表面張力に打ち勝つ大きな運動エネルギが流体に与えられるために、ノズル先端に流体塊を作ることなく塗布を開始できる。
【0088】
始点における塗布線をスムーズに描かせるためオーバーシュート圧力は、ピストンのストロークが大きい程、立ち上がり時間が短い程大きい。すなわち、吐出ノズル先端の流体の表面張力に打ち勝ちと共に、始点での塗布線の「太り」にならない範囲で、このオーバーシュート圧力の大きさを設定すればよい。
【0089】
(2)定常走行時
0.03<t<0.07秒の間は、ピストン軸はその対向面との間隙:Xp=30μmの状態を保ちながら、ねじ溝の回転によるポンピング圧力Pbによる定量吐出により、連続線が塗布される。ピストン軸とその対向面の間にも流体抵抗があるが、間隙:Xp=30μmの流体抵抗は十分に小さいために、必要流量を吐出させることができた。この区間ではスクイーズ圧力の発生はない。この理由は、スクイーズ圧力は隙間hが変化しているときのみ発生するからである。
【0090】
(3)塗布終了時
t=0.07秒で、モータの減速と同時に、ピストン軸が間隙:Xp=30→40μmへ上昇を開始すると、吐出ノズルの上流側圧力Pnは、図10で示すように、一時的に急降下する。圧力が急降下する理由は、ピストンが急上昇してもスラスト端面とその対向面で形成される空隙部のギャップはまだ十分に狭く、空隙部の外周部から中心部の間で、求心方向の流体抵抗があるからである。この流体抵抗により、容易には外周部から流体は補給されず、圧力は降下する。理論的には、Reynolds方程式のdh/dt>0となる逆スクイーズ作用とも言うべき効果による。大きなマイナス圧力となっているのは、本解析が流体の圧縮性を考慮していないからである。実際は気泡などの発生により流体圧力は絶対圧力ゼロ以下(Pn<0.0MPa)にはならない。
【0091】
この急峻な負圧発生によって、吐出ノズルからの流体が遮断されるだけでなく、ノズル先端の流体塊をノズル内部に若干量吸引させるサックバックの効果が得られる。スクイーズ圧力による負圧発生後は、モータの回転は停止するため、ねじ溝のポンピング圧力による流体の吐出はない。したがって、ノズルが非有効表示領域(Uターン区間)を通過している間、ノズル内部の流体のメニスカスは、ノズル先端で流体塊を作ることなく同一の位置を保ち続ける。そのため、前述した流体塊のボタ落ちなどのトラブルは回避できる。
【0092】
なお、本実施形態ではピストン軸とその対向面の最小隙間は、Xmin=30μmに設定した。本実施形態の蛍光体の粒径はφd=7〜9μmであり、Xmin>φdであるため、吸入口から吐出口に至る通路で蛍光体の微粒子を機械的に圧搾・破損することはない。
【0093】
【表1】
【0094】
本実施形態では、塗布線の始点・終点をスムーズに描かせるためのオーバーシュート圧力とサックバック圧力を、ピストン軸の軸方向運動によって得ることができた。本実施形態では、ピストン変位曲線(図7に一例を示す)は任意の形状を設定することができる。また、ピストン軸を駆動する超磁歪素子は高い応答性をもつために、変位曲線が急峻な変化をしても十分に追従できる。すなわち、超磁歪素子の変位・速度制御により、モータの回転数制御ではできない微妙な始終端の吐出圧力と流量の制御ができる。
【0095】
上記実施形態では、超磁歪素子の軸方向変位の制御と、モータの回転数制御を組み合わせることにより、連続塗布線の始終端の課題を解決すると共に、Uターン区間において、吐出ノズルから材料のリークが無い完全遮断状態を任意の時間保つことができた。
【0096】
Uターン区間を十分に短く設定できる場合は、後述する実施例のように、モータの回転を維持したままで、ピストンのみの駆動により終点での流量遮断と始点での開放ができる。ディスプレイパネルの外周部(図14の63)に障害物(たとえばウオール)がある場合は、ディスペンサーの本体と障害物が接触しない範囲で、吐出ノズル(35に相当する部分)の全長を長くとればよい。
【0097】
また、流体圧送手段であるねじ溝ポンプは、本発明を実施する上で必須条件では無い。外部に設置された圧力源(ポンプあるいはエアー圧)を利用して、流体をポンプ室38に供給してもよい。この場合は、スリーブ(部材28に相当)にねじ溝は形成する必要は無い。しかし、ねじ溝を形成しない場合でも、スリーブ(部材28に相当)を回転させて、スリーブとハウジングの間に相対速度を与えればよい。高分子・低分子材料の多くは、せん断速度の増加と共に粘度が低下する特性を持っている。例えば、粘度の低下が飽和する高せん断領域にせん断速度(回転数)を設定すれば、ディスペンサーを粘度変化に依存しにくい、安定した塗布条件下で用いることができる。
【0098】
さて、本発明からなるディスペンサーは、既提案の「2自由度アクチュエータとスラスト動圧シールを組み合わせる方法」を用いても、遮断・開放の制御ができる。以下この方法を適用した第2の実施形態について説明をする。
【0099】
図11(a)はスラスト動圧シールのモデル図、図11(b)のグラフはスラスト動圧シールの変位と発生圧力の関係を示す原理図である。
【0100】
シール用スラスト溝300は、スラスト動圧軸受として知られている公知のものである。さて、スラスト軸受の発生できるシール圧力は次式で与えられる。
【0101】
【数1】
【0102】
(1)式において、ωは回転角速度、R0はスラスト軸受の外半径、R0はスラスト軸受の内半径、fは溝深さ、溝角度、グルーブ幅とリッジ幅などで決まる関数である。なお動圧溝は、図1を用いて説明すれば、ピストン軸17の端面18の相対移動面に形成する。
【0103】
図11のグラフにおける曲線(イ)は、下記表2の条件下で、スパイラルグルーブ型スラスト溝を用いた場合のギャップδに対するシール圧力PSの特性を示すものである。同図のグラフにおける曲線(ロ)は、軸方向流動が無い場合について、ラジアル溝のポンピング圧力と軸先端のギャップδの関係を示す一例である。このラジアル溝のポンピング圧力は、上記スラスト溝同様、ラジアル隙間、溝深さ、溝角度の選択によって広い範囲で選ぶことができる。しかし定性的には、ラジアル溝のポンピング圧力Prは軸先端の空隙の大きさ(すなわちギャップδの大きさ)に依存しない。
【0104】
さて、シール用スラスト溝のギャップδが十分大きいとき、たとえばギャップδ=15μmのとき、発生圧力はP=0.06kg/mm2(0.69MPa)である。
【0105】
主軸301を回転させたままで、主軸301の端面を固定側の対向面に接近させる。ギャップδ<10.0μmなると、シール圧力がラジアル溝のポンピング圧力Prより大きくなり、流体の吐出口側への流出は遮断される。
【0106】
流体の流出が遮断された状態では、吐出ノズルの開口部近傍302の流体は、スラスト溝300によって遠心方向のポンピング作用を受けているために、開口部300近傍は負圧(大気圧以下)となる。この効果により、遮断後、吐出ノズル300内部に残存していた流体は再びポンプ内部に吸引される。その結果、吐出ノズル先端で表面張力による流体魂ができることはなく、糸引き、洟垂れが解消されるのである。
【0107】
上記シール方法を要約すれば、スラスト溝によるシール圧力は、ギャップδが小さくなると急激に増大するのに対して、ラジアル溝のポンピング圧力はギャップδの変化に対して極めて鈍感である、という点を利用している。
【0108】
なお、上記スラスト溝は、回転側、固定側のどちらに形成してもよい。また、微少粒子が含まれた蛍光体、電極材料のような粉流体を塗布する場合は、ギャップδの最小値δminは微少粒子径φdよりも大きく設定すればよい。
【0109】
δmin>φd … (2)
同一の発生圧力に対して、より大きなギャップを得るためには、回転数を高くするか、主軸の外径を大きくかつ溝深さ、溝角度等に適切な値を選べば良い。
【0110】
【表2】
【0111】
上記実施形態では、スラスト動圧シールが形成された吐出部に蛍光体ペーストを供給する圧力源として、ねじ溝ポンプを用いた。このねじ溝ポンプの代わりに、外部に設置されたポンプを塗布流体の圧力源としてもよい。あるいは、工場内で常備されたエアー圧でもよい。要は、スラスト動圧シールが発生できる最大シール圧力以下に、圧力源の供給圧を設定すればよい。
【0112】
本発明の流体吐出装置を微少流量ディスペンサーあるいはポンプとして用いる場合は、第1のアクチュエータに圧電素子或いは、超磁歪素子のような電磁歪型を用いれば、数MHz以上の高い応答性を持つという点で好ましい効果が得られる。
【0113】
また、高粘度流体を高速で吐出させる場合、前記第1のアクチュエータには高い流体圧に抗する大きな推力が要求される。この場合、数百〜数千Nの力が容易に出せる電磁歪型アクチュエータが有利である。なお本明細文では、圧電素子あるいは超磁歪素子を電磁歪素子と呼ぶことにする。
【0114】
本実施形態で示したような微少流量を扱うポンプでは、ピストン軸の軸方向変位は数μm〜数10μmの微少変位でよい。この微量変位で良いことを利用すれば、圧電素子、超磁歪素子のストロークの限界は問題とならない場合が多い。
【0115】
圧電素子あるいは超磁歪素子を第1のアクチュエータとして用いた場合、素子の入力電圧(超磁歪素子の場合は電流)と変位は比例するため、変位センサーなしのオープンループ制御でもピストン軸(主軸)のストローク制御は可能である。しかし本実施形態のような位置検出手段を設けてフィードバック制御をすれば、より高い精度の流量制御ができる。
【0116】
電磁ソレノイド、リニアモータ等のアクチュエータも、前述したように、本発明に適用可能であり、電磁歪素子と比べて応答性は一桁程悪くなるが、ストロークの制約は大幅に緩和される。
【0117】
第1、第2の実施形態とも、適用する対象によって始終端での塗布線の「切れ味」がそれ程要求されない場合は、第1のアクチュエータに電磁歪素子を使う代わりに、リニアモータを用いてもよい。この場合、主軸のストロークの限界は大きくとれるために、Uターン時の遮断時間は十分に長くでき、モータの回転数制御を省略できる。
【0118】
本実施形態では、ポンプ室に塗布流体を供給する圧力源としてねじ溝ポンプを用いているが、ねじ溝式以外のポンプでも本発明を適用することができる。例えば、ツイン・スクリュー式,トロコイド式,モーノ式,ギヤ式,ピストン式などの種類のポンプを適用できる。或いは、高圧エアーを塗布流体に印加するエアー式でもよい。
【0119】
【発明の効果】
本発明を用いた流体吐出装置により、高粘度粉流体を流路内部での粉体の堆積、目詰まりなどのトラブルなく、高精度・高速で塗布が可能となる。また、組立、調整などのメンテナンス性に優れる共に、長期にわたり高い塗布精度を維持することも可能となり、その実用的効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるディスペンサーを示す正面断面図
【図2】上記実施形態の軸駆動ユニットを示す図
【図3】上記実施形態のモータユニットを示す図
【図4】上記実施形態のポンプユニットを示す図
【図5】上記ポンプユニットにねじ溝スリーブを挿入した状態を示す図
【図6】上記3つのユニットの相対位置関係を示す図
【図7】本実施形態に係るピストンの変位曲線示す図
【図8】モータの回転により発生するねじ溝のポンピング圧力Ppを示す図
【図9】ピストン軸を上昇・下降させることによって発生するスクイーズ圧力Psの解析結果を示す図
【図10】上記図8と図9を合成した図
【図11】第2の実施形態に係るスラスト動圧シールのシール圧力と隙間の関係を示す図
【図12】既提案のディスペンサーの正面断面図
【図13】従来提案のPDPを対象とした蛍光体層形成装置を示す図
【図14】PDPパネルの有効表示領域と非有効表示領域を示す図
【図15】従来例のエアーパルス方式を示す図
【符号の説明】
1 第1のアクチュエータ
28 スリーブ
32 第2のアクチュエータ
33 ハウジング
34 吸入口
35 吐出口
38 ポンプ室
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品や家電製品などの分野における生産工程に用いることができ、接着剤,クリームハンダ,蛍光体,電極材料,グリース,ペイント,ホットメルト,薬品,食品などの各種液体を定量に吐出することが可能な流体吐出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体吐出装置(ディスペンサー)は、従来から様々な分野で用いられているが、近年の電子部品の小形化・高記録密度化のニーズに伴い、微少量の流体材料を高精度で、かつ、安定して吐出制御する技術が要請されつつある。また、例えば、CRTやPDPなどのディスプレイは、近年、ますます大型化/高精細度化しており、そのディスプレイ面に蛍光体を均一に塗布するための、新たな流体塗布手段開発の要望も大きい。
【0003】
以下、ディスプレイパネルに蛍光体材料によるスクリーンストライブを形成する場合を例に挙げ、従来技術の課題について説明する。
【0004】
カラー表示を行うプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と称す)では、前面板/背面面にRGB各色で発光する蛍光体材料から成る蛍光体層を有する。この蛍光体層は、前面板/背面面に平行線状に形成された隔壁と隔壁の間(すなわちアドレス電極上)に、RGB各色の蛍光体材料を充填したストライブを3組形成し、そのストライブの3組を平行に隣接して多数配列した構造となっている。この蛍光体層は、スクリーン印刷方式、フォトリソグラフィ方式などによって形成される。
【0005】
画面が大型化した場合、従来のスクリーン印刷方式では、スクリーン印刷版を精度よく位置合わせすることが難しく、蛍光体材料を充填しようとすると隔壁の頂上部分にまで材料が載ってしまい、それを除去するために研磨行程を導入するなどの方策が必要であった。
【0006】
また、スキージ圧力の違いによって、蛍光体材料の充填量が変化し、その圧力調整は極めて微妙であり作業者の熟練度に依存する部分が多い。そのため前面板/背面面の前面にわたって一定の充填量を得ることは容易ではない。
【0007】
更に、感光性の蛍光体材料を使用してフォトリソグラフィ方式によって蛍光体層を形成することもできるが、露光と現像の行程が必要となり、スクリーン印刷方式と比べて行程数が多くなるため、製造コストが高くなるという課題があった。
【0008】
スクリーンストライブを形成するための課題、すなわち、PDPにおけるスクリーン印刷方式、或いは、カラーブラウン管パネルにおける「振りきり工法・写真現像方式」に係る前述した課題を解決するために、ディスペンサーを用いた直接描画方式(ダイレクトパターニング)が既に提案されている。
【0009】
図13は、特開平10−27543号公報に開示されているもので、PDPを対象とした蛍光体層形成装置および形成方法を示すものである。450は基板、451はこの基板を載置する載置台、452はペースト状の蛍光体を吐出するディスペンサー、453はディスペンサーの吐出ノズルである。
【0010】
この吐出ノズルと載置台を相対的に移動させる搬送部を構成するために、載置台451の両側には、1対のY軸方向搬送装置454a,454bが設けられている。また、X軸方向搬送装置455が、前記Y軸方向搬送装置によって、Y軸方向に移動可能に搭載されている。更に、Z軸方向搬送装置456が、X軸方向搬送装置455によって、X軸方向に移動可能に搭載されている。
【0011】
上記提案によれば、従来のスクリーンマスクを用いることなく、基板仕様を数値設定するだけで基板上を移動するノズル453から蛍光体が吐出され、リブ間の溝に塗布されるので、任意のサイズの基板に対して蛍光体層を精度よく形成することができると共に、基板の仕様変更に容易に対応できるとされている。
【0012】
カラーブラウン管パネルを対象とした蛍光体層形成装置についても、同様な提案が既に特公昭57−21223号公報で開示されている。この提案によれば、製造行程および製造ラインとも規模を拡大させる必要がなく、単体の装置でスクリーニングすることを可能にし、また多品種少量生産のブラウン管に対して量産効果を上げて製造させ、さらに単体でスクリーニングするため自動化ラインを小規模なマシンで稼動させる利点があるとされている。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−27543号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ディスペンサーを用いてパネル面に蛍光体スクリーンストライブを形成する場合でも、スクリーン印刷方式と同等の生産タクトが要望される。しかし、塗布装置に配置できるディスペンサーの本数には制約があり、千本〜数千本のスクリーンストライブをできるだけ短時間で描くためには、パネルとノズル間の相対速度を十分に大きくとる必要がある。そのためには、ディスペンサー、或いは、パネルが搭載された搬送台を高精度かつ高速で往復動作させる必要がある。
【0015】
ここで、パネル面は蛍光体層を形成する「有効表示領域」(図14の60a)と、この有効表示領域の外周部に蛍光体層を形成しない「非有効表示領域」(図14の60b)を有するものとする。
【0016】
また、ディスペンサーは、搬送台に搭載されているものとし、吐出ノズル一個の挙動に注目する。パネル面の前記「有効表示領域」を、連続塗布しながら高速で走行したノズルは、パネルの端面に接近すると減速区間を経て速度を落とし、前記「非有効表示領域」に入る。この非有効表示領域でUターン後、助走区間を経て再び有効表示領域を定常走行する。すなわち、ノズルとパネル間の相対速度は、Uターン区間の前後で大きく変化する。
【0017】
このとき、ディスペンサーは次ぎのような機能を有することが望ましい。
【0018】
▲1▼ノズルとパネル間の相対速度に合わせて、流量を可変できる。
【0019】
▲2▼パネルの端面のUターン区間(非有効表示領域を走行する区間)では、吐出量が完全に遮断できる。
【0020】
▲3▼上記Uターン区間を経て、塗布開始時の塗布線の始点部には「細り」,「切れ」などが発生しない。同様に、塗布終了時の塗布線の終点部には、「太り」,「溜まり」などが発生しない。
【0021】
上記▲1▼が実現できない場合、例えば、ノズルとパネル間の相対速度が定常走行の場合と比べて小さくなったにもかかわらず、吐出量を低減できなければ蛍光塗布線の線幅と厚みは所定のスペックを越えてしまうことになる。
【0022】
生産タクトを上げる程、立上がり・立下り時間を短く、かつ相対速度の変化率を大きくとらねばならない。すなわち、ディスペンサーにはより一層高い流量制御のレスポンスが要求される。
【0023】
上記▲2▼の必要性は次のようである。ノズルがパネルの端面のUターン区間(非有効表示領域)を走行するとき、ノズルとパネル間の相対速度はゼロ及びその前後の極めて低速状態となる。もし、この区間でノズルから材料の流出があれば、僅かな流量でも複数本のストライブが重なるため、材料がパネル上に堆積することになる。その結果、堆積した材料が吐出ノズルの先端に附着する。この状態で再び塗布を開始した場合、吐出ノズルの先端に附着した流体塊が不連続にパネル面に散逸し、描画線の精度を著しく損ねるなどのトラブルが発生した。すなわち、パネルの端面のUターン区間では、ディスペンサーは吐出量を完全に遮断できることが好ましい。
【0024】
上記▲3▼は、ディスペンサー方式が従来方式、例えば、スクリーン印刷方式と同等、或いはそれ以上の品質を確保するための必須条件である。
【0025】
以上を要約すれば、ディスペンサーを用いて、パネル面に蛍光体スクリーンストライブを高生産効率で形成するためには、ディスペンサーには流体遮断・開放が随意にできる機能を有すると共に、高い流量制御の応答性と高い流量精度を持つのが望ましい。しかしディスペンサー方式の先行例である、例えば、特公昭57−21223号公報、特開平10−27543号公報に記載された発明には、この点の詳細な記載は見当たらない。
【0026】
さて、ディスペンサー(液体吐出装置)は、従来から様々な分野で用いられているが、近年の電子部品の小形化・高記録密度化のニーズに伴い、微少量の流体材料を高精度で、かつ、安定して供給制御する技術が要請されるようになっている。従来、液体吐出装置として、図15に示す様なエアー方式によるディスペンサーが広く用いられており、例えば、「自動化技術‘93.25巻7号」などにその技術が紹介されている。
【0027】
この方式によるディスペンサーは、定圧源から供給される定量の空気を容器(シリンダ)200内にパルス的に印加させ、シリンダ201内の圧力の上昇分に対応する一定量の液体をノズル202から吐出させるものである。
【0028】
このエアーの方式のディスペンサーは次の問題点があった。
(1)吐出圧脈動による吐出量のばらつき
(2)水頭差による吐出量のばらつき
(3)液体の粘度変化による吐出量変化
上記(1)の現象は、タクトが短く吐出時間が短い程顕著に表れる。そのため、エアーパルスの高さを均一化するための安定化回路を施すなどの工夫がなされている。
【0029】
上記(2)は、シリンダ内の空隙部201の容積が液体残量Hによって異なるため、一定量の高圧エアーを供給した場合、空隙部201内の圧力変化の度合が、上記液体残量Hによって大きく変化してしまうというのがその理由である。液体残量が低下すれば、塗布量が例えば最大値と比べて50〜60%程度減少してしまうという問題点があった。そのために、吐出毎に液体残量Hを検知し、吐出量が均一になる様にパルスの時間幅を調整するなどの方策がなされている。
【0030】
上記(3)は、例えば、多量の溶剤を含んだ材料が時間とともに粘度が変化した場合に発生する。そのための対策として、時間軸に対する粘度変化の傾向をあらかじめコンピュータにプログラミングしておき、粘度変化の影響を補正するように例えば、パルス幅を調節する等の方策がなされていた。
【0031】
上記課題に対するいずれの方策も、コンピュータを含む制御系が繁雑化し、また、不規則な環境条件(温度など)の変化に対する対応は困難であり、抜本的な解決案にはならなかった。
【0032】
エアー方式の上記課題に加えて、この方式のディスペンサーは応答性が悪いという欠点があった。この欠点は、シリンダ200に封じ込められた空気の圧縮性と、エアーを狭い隙間に通過させる際のノズル抵抗によるものである。すなわち、エアー方式の場合、シリンダの容積:Cとノズル抵抗:Rで決まる流体回路の時定数:T=RCが大きく、入力パルスを印加後、吐出開始に例えば0.07〜0.1秒程度の時間遅れを見込まねばならない。
【0033】
上記エアー方式の欠点を解消するために、吐出ノズルの入口部にニードルバルブを設けて、このニードルバルブを構成する細径のスプールを軸方向に高速で移動させることにより、吐出口を開閉させるディスペンサーが実用化されている。しかしこの場合、流体の遮断時、相対移動する部材間の隙間はゼロとなり、数ミクロン〜数十ミクロンの平均粒径の粉体は機械的に圧搾作用を受け破壊される。その結果、発生する様々な不具合のため、本発明の実施の形態である蛍光体塗布などへの適用は困難な場合が多い。
【0034】
また、同目的のために、粘性ポンプであるねじ溝式のディスペンサーも既に実用化されている。ねじ溝式の場合、ノズル抵抗に依存しにくいポンプ特性を選ぶことができるため、定常連続吐布時には好ましい結果が得られる。しかし、連続塗布線の始終端を高速で制御する必要がある場合、あるいは高速間欠塗布が必要な場合は、粘性ポンプの性格上充分な対応ができない。そのため従来ねじ溝式では、
(1)モータとポンプ軸の間に電磁クラッチを介在させ、吐出のON,OFF時にこの電磁クラッチを連結あるいは開放する。
【0035】
(2)DCサーボモータを用いて、急速回転開始あるいは急速停止させる。
【0036】
しかし、上記いずれも機械的な系の時定数で応答性が決まるため、塗布流量の高速制御には制約があった。応答性はエアーパルス方式と比較すると良好であるが、しかし最短時間でも0.05秒程度が限界であった。また、ポンプ軸の過渡応答時(回転始動時と停止時)の回転特性に不確定要因が多いため、流量の厳密な制御は難しく、塗布精度にも限界があった。
【0037】
以上の理由から、従来ディスペンサーの構造、或いは適用方法をそのまま導入しても、パネル面に蛍光体スクリーンストライブを高生産効率で形成するための条件を満足させるのは困難であった。
【0038】
本発明者らは、既に特願2001−385804に記載の発明において、ディスペンサーに高速吐出遮断、高速吐出開放、流量制御の機能を与えることにより、ディスプレイパネル面に蛍光体、電極材などのパターンを高生産効率で形成するための条件、
▲1▼ステージの加減速に合わせて、高い応答性で流量を可変できる。
【0039】
▲2▼ノズル先端が塗布領域から非塗布領域へ、或いはその逆に移行する際の流体の高速遮断・高速開放が随意にできる。
などを満足させるディスプレイパネルのパターン形成方法および形成装置を提案している。
【0040】
また、上記提案に先立ち、本発明者らは特願2000−188899に記載の発明において、高粘度流体・粉流体の微少流量塗布に係る、近年の様々な要求に応えるためのディスペンサーの具体構造、すなわち、ピストンとシリンダの間に相対的な直線運動と回転運動を与えると共に、回転運動により流体の輸送手段を与え、直線運動を用いて流出量を制御する塗布方法を提案している。
【0041】
図12において、101は超磁歪素子で構成される第1のアクチュエータ、102は第1のアクチュエータ101によって直線駆動される主軸(ピストン)、103は第1のアクチュエータ101を収納するハウジングである。このハウジング103の下端部(フロント側)に、主軸102を収納するポンプ部104が装着されている。105は主軸102に回転運動を与える第2のアクチュエータ、106はモータロータ、107はモータロータの主軸、108はモータステータである。
【0042】
111及び112は超磁歪素子から構成される円筒形状のリア側超磁歪ロッド及びフロント側超磁歪ロッドである。113は超磁歪ロッド111,112の長手方向に磁界を与えるための磁界コイルである。114,115及び116は超磁歪ロッド111,112にバイアス磁界を与えるためのリア側,中間部,フロント側の永久磁石である。リア側とフロント側の永久磁石114,116が、超磁歪ロッド111,112と中間部永久磁石15を矜持する形で配置されている。
【0043】
117は超磁歪ロッド111のリア側に配置され、磁気回路のヨーク材であるリア側ヨーク、118は超磁歪ロッド112のフロント側に配置され、ヨーク材を兼ねたフロント側スリーブ、119は磁界コイル13の外周部に配置された円筒形状のヨーク材である。すなわち、超磁歪ロッド111,112、磁界コイル113、永久磁石114〜116、リア側ヨーク117、フロント側スリーブ118、ヨーク材119により、磁界コイルに与える電流で超磁歪ロッドの軸方向の伸縮を制御できる超磁歪アクチュエータ(第1のアクチュエータ101)を構成している。
【0044】
120は上部主軸7を回転自在、かつ軸方向に移動可能に収納するリア側スリーブである。このリア側スリーブ120もまた軸受134により、中間ハウジング121に対して回転自在に支持されている。
【0045】
122はリア側ヨーク117とリア側スリーブ120の間に装着されたバイアスバネである。フロント側スリーブ118は主軸102を軸方向移動可能に収納している。モータ5から伝達された主軸2の回転動力は、主軸2、フロント側スリーブ118の間に設けられた回転伝達キー123によってフロント側スリーブ118に伝達される。また、フロント側スリーブ118も軸受124によって、ハウジング103に回転自在に支持されている。125は上部主軸107の回転位置情報を検出するためのエンコーダ、126は主軸107の上端面127の軸方向変位を検出するための変位センサーである。
【0046】
128は主軸102の外表面に形成された流体を吐出側に圧送するためのねじ溝、129は流体シール、130はシリンダである。
【0047】
この主軸102とシリンダ130の間で、主軸102とシリンダ130の相対的な回転によってポンピング作用を得るためのポンプ室131(流体輸送室)を形成している。また、シリンダ130には、ポンプ室131と連絡する吸入孔132が形成されている。133はシリンダ130の下端部に装着された吐出ノズル、134はシリンダ130の吐出側端面に締結された吐出プレートである。135は主軸2の吐出側端面、主軸102の吐出側端面135の対向面136の中央部に吐出ノズル133の開口部137が形成されている。
【0048】
上記構成により、回転運動と微少変位の直線運動の制御を同時に、かつ独立して行うことができる「2自由度・複合動作アクチュエータ」が実現できる。この機能を用いて、主軸の定常回転状態を保ったままで、主軸の吐出側端面の隙間の大きさを任意に制御することができる。すなわち、吸入口132から吐出ノズル133に至るいかなる流通路の区間も機械的に非接触の状態で、始終端における粉流体の遮断・開放の制御ができる。
【0049】
ディスプレイパネル面の蛍光体塗布に適用した上記提案(特願2001−385804)では、連続描画の終了点、すなわち吐出ノズル先端が表示領域から非表示領域に移行する段階では、隙間を急峻に増大させることにより、負圧を発生させて流体を高速で遮断している。非表示領域でのUターン後、描画の開始点では主軸の吐出側端面の隙間を減少させて、速やかに連続塗布を開始する。
【0050】
さて、上記既提案のディスペンサー構造には、次の様な課題があった。そのひとつは、主軸102の高い振れ精度を確保するのが難しいという点である。
【0051】
主軸102のラジアル方向は、リア側スリーブ120とフロント側スリーブ118の上下2箇所によって、回転自在かつ直線運動自在に支持されている。さらに、リア側スリーブ120とフロント側スリーブ118は玉軸受124、134によって回転自在に支持されている。つまり、主軸102と固定側の間には、ラジアル方向に2つの摺動隙間が介在する。
【0052】
通常、2つの玉軸受間で支持された回転体を精度よく支持するために、軸受に軸方向予圧をかけることにより、玉軸受のラジアル・スラスト方向のガタを吸収する方法が採用される。しかし本構造では、主軸102は回転と直線運動を同時に行うという特殊な動作をさせるためこの方法は採用できない。つまり、主軸102とリア側スリーブ120、及び主軸102とフロント側スリーブ118のラジアル方向の摺動部のギャップは吸収できず、このギャップの範囲内では主軸2の軸芯精度は保証されない。
【0053】
ねじ溝が偏芯して回転した場合の影響は流量変化に現れる。偏芯量が増すと流量は僅かだが増大していき、この流量変化は連続塗布線の線幅・厚みのバラツキをもたらすことになる。
【0054】
2つ目の課題は、ねじ溝軸の交換が難しいという点である。
【0055】
ねじ溝ポンプは、通常適用する塗布材料、塗布条件に合わせて、ベストな仕様(溝深さ、溝角度など)を選択する必要がある。上記構造では、ねじ溝軸の交換の度にディスペンサー本体を解体せねばならない。また、ねじ溝部分128と主軸2を分離し、主軸2に継ぎ手を設けて、ねじ溝軸を交換可能にした場合でも、前述したように、主軸2自身がラジアル方向にガタを有するため、再現性の高いねじ溝軸の装着は難しい。
【0056】
以上、ディスプレイパネルに蛍光体材料によるスクリーンストライブを形成する場合を例に上げ、従来技術の課題、及び既提案のディスペンサーの課題について説明した。
【0057】
蛍光体スクリーンストライブ以外の材料、たとえば電極材料、表面実装(SMT)の分野における接着剤、半田などによるパターン形成の場合でも基本課題は同様である。
【0058】
本発明は、上述した既提案のディスペンサー構造をベースに、さらに大幅な改良を図るもので、第1のアクチュエータにより主軸に直線運動を与え、第2のアクチュエータによりこの主軸を収納するスリーブに回転運動を与えると共に、第2のアクチュエータであるモータを吐出側に配置する構成により、ポンプ部分の大幅な回転振れ精度の向上を図ったものである。
【0059】
本発明を適用すれば、連続、間欠を問わず塗布精度の大幅な向上が図れると共に、長期にわたり塗布精度の高い再現性と信頼性が得られる塗布装置を実現できる。
【0060】
【課題を解決するための手段】
本発明の吐出装置は、主軸を相対的に軸方向移動可能に収納するスリーブと、前記スリーブ及び、又は前記主軸の少なくとも一部を収納するハウジングと、前記主軸と前記ハウジングを相対的に軸方向移動させる第1のアクチュエータと、前記スリーブと前記ハウジングを相対的に回転させる第2のアクチュエータと、前記主軸と前記ハウジングで形成され前記主軸の軸方向移動により容積が変化するポンプ室と、このポンプ室と連絡する流体吸入口及び吐出口から構成される流体吐出装置において、前記第2のアクチュエータは、前記第1のアクチュエータよりも吸入口側に配置されていることを特徴とする。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をディスプレイの蛍光体塗布用ディスペンサーに適用した第1の実施形態について、図1を用いて説明する。
【0062】
図1に示すディスペンサーの構造は、大きく分けて3つのユニットから構成される。「軸駆動ユニット50」は、主軸とこの主軸を駆動する第1のアクチュエータから構成される。第1のアクチュエータは、超磁歪素子により主軸を軸方向に駆動する。更に、非接触で電力供給できる超磁歪素子の特徴を利用して、この主軸は軸方向移動と共に回転可能の構造になっている。「モータユニット51」は、円筒形状のスリーブとこのスリーブを回転駆動する第2のアクチュエータ(モータ)により構成される。「ポンプユニット52」は、ねじ溝が形成されたスリーブと、このねじ溝軸を収納するハウジングと、吐出ノズルから構成される。本実施形態のポンプ部は、
▲1▼ねじ溝が形成されたスリーブの回転により、流体にポンピング圧力を与えて吐出側に輸送させる機能
▲2▼主軸の直線運動を用いて、連続塗布を高速で遮断及び開放する機能
上記▲1▼〜▲2▼を併せ持つ構造となっている。
【0063】
以下、まず、軸駆動ユニット50について説明する。
【0064】
第1のアクチュエータ1は超磁歪素子による直動型アクチュエータである。2は超磁歪アクチュエータによって駆動される主軸、3はリア側回転スリーブ、4は前記アクチュエータ1を収納するハウジングBである。5は超磁歪材料から構成される円筒形状の超磁歪ロッドである。この超磁歪ロッド5はバイアス永久磁石A6、バイアス永久磁石B7を上下に挟んだ形で、上部回転スリーブ8とヨーク材を兼ねた可動スリーブ2の間に固定されている。
【0065】
9は超磁歪ロッド5の長手方向に磁界を与えるための磁界コイル、10は円筒形状のヨークでありハウジングB4に収納されている。55は円筒状のヨーク部材(磁性体)であり、非磁性の主軸2と一体で構成される。
【0066】
このバイアス永久磁石A6及びバイアス永久磁石B7は、超磁歪ロッド5に予めに磁界をかけて磁界の動作点を高めるもので、7→5→6→8→10→55→7により、超磁歪ロッド9の伸縮を制御する閉ループ磁気回路を形成している。すなわち、部材2,55と5〜10により、磁界コイルに与える電流で超磁歪ロッドの軸方向の伸縮を制御できる超磁歪アクチュエータ1(第1のアクチュエータ)を構成している。
【0067】
超磁歪材料は希土類元素と鉄の合金であり、例えば、bFe2,DyFe2,SmFe2などが知られており、近年急速に実用化が進められている。主軸2と上部回転スリーブ8の間には、超磁歪ロッド5に機械的な軸方向与圧を与えるバイアスバネ11が設けられている。上記構成により、超磁歪素子の電磁コイル9に電流を印加すると、超磁歪ロッド5は印加電流の大きさに比例して伸縮し、主軸2を軸方向に移動させる。
【0068】
12はリア側回転スリーブ3を支持する軸受、13はハウジングA、14は上部蓋、15は上部回転スリーブ8を支持する軸受、16は上部蓋14に装着され主軸2の軸方向位置を検出するための変位センサーである。17は主軸2の吐出側端面に装着されたピストン軸、18はピストン軸の吐出側端面、19はシール部材、20は締結部である。21は主軸2とリア側回転スリーブ3の間に設けられた回転伝達部である。上部蓋14、ハウジングA13、ハウジングB4が第一のアクチュエータを収納する軸駆動ケースである。上記部材1〜21により、軸駆動ユニット50を構成している。
【0069】
22は回転スリーブ、23はこの回転スリーブに回転運動を与えるモータのモータロータ、24はハウジングC(モータケース)、25はモータステータ、26及び27はそれぞれ回転スリーブ22を支持する軸受である。回転スリーブ22の吐出側端面には、ねじ溝スリーブ28がボルト29により締結される。また、両部品の勘合部にはテーパ部30が形成されている。ねじ溝スリーブ28の外表面には、塗布流体にポンピング作用を与えるねじ溝31(図5)が形成されている。モータロータ23、モータステータ25で第2のアクチュエータ32を構成し、上記部材22〜31により、モータユニット51を構成している。
【0070】
33はハウジングD(ポンプケース)、34は吸入口、35は吐出ノズルである。上記部材33〜35により、ポンプユニット52を構成している。上述した3つのユニットのうち、軸駆動ユニット50とモータユニット51はボルト36により締結され、モータユニット51とポンプユニット52はボルト37により締結される。
【0071】
図2に軸駆動ユニット50、図3にモータユニット51、図4にポンプユニット29のみを抽出した図を示す。また、図5にポンプユニット29にねじ溝スリーブ28を挿入した状態を示す。
【0072】
図5において、38はピストン軸17(主軸2)とハウジングD33、吐出ノズル35で形成されるポンプ室である。このポンプ室38は、主軸2の軸方向移動により容積が変化する。この容積変化を利用して、本実施形態では、後述するように描画線の始終端の制御を行う。
【0073】
軸駆動ユニット50、モータユニット51は互いに依存することなく、独立した機能を持っているために、個別に組立てや調整ができる。例えば、軸駆動ユニット50(図2)は、ピストン軸17の端面18において、その絶対位置と軸方向ストロークが目標値を満足しているかどうかをチェックすればよい。
【0074】
また、主軸2の上端部に設けられた変位センサー16からの出力をもとに、主軸2の正確な位置決め制御、速度制御がなされているかどうかも軸駆動ユニット50単体で評価すればよい。
【0075】
同様に、モータユニット51(図3)は、ねじ溝スリーブ28吐出側端部(矢印56の位置)で、振れ精度、ラジアル剛性などが目標値を満足しているかどうかをチェックする。
【0076】
各ユニット単体での評価が完了後、図6に示すごとく、3つのユニットを装着すれば、ディスペンサーは組み立てを完了する。このとき、軸駆動ユニット50の一部品である主軸2は、先端にピストン軸17を装着した状態で、モータユニット51の回転スリーブ22とねじ溝スリーブ28を貫通して挿入される。
【0077】
本実施形態の構造では、モータの回転トルクはねじ溝スリーブ28とピストン軸17の間に装着されたOリング(シール部材19)の摺動抵抗により、主軸2に伝達される。また、軸駆動ユニット50において、主軸2とリア側回転スリーブ3の間に回転伝達部21が設けられている。回転伝達部21の形状は、角型断面となっており、主軸2はリア側回転スリーブ3に対して回転のみを伝達し、主軸2の直線運動に対してはフリーとなっている(図示せず)。
【0078】
なお、主軸2の超磁歪ロッド5を貫通する部分には非磁性材料(詳細図略)を用いて、超磁歪ロッド5の伸縮を制御する閉ループ磁気回路には影響を与えないようにした。上記構成により、ねじ溝スリーブ28は回転運動のみを行い、主軸2(及びピストン軸17)は回転運動と微少変位の直線運動の制御を同時に、かつ独立して行うことができる。
【0079】
また、主軸2(及びピストン軸17)は、ねじ溝スリーブ28と同一の回転数で回転するため、両部材17、28の間に円周方向での速度差は発生しない。この点は、ディスペンサーを構成する各部材の長期的な信頼性を得る上で、実用上、極めて有利な条件となる。もし、ピストン軸17の外周部とねじ溝スリーブ28の内周部で速度差があれば、両部材間の間隙に侵入した蛍光材料の硬い微粒子の「研磨作用」によって、部材が磨耗しシール性能の劣化をもたらすなどのトラブルが発生する。本実施形態では、ピストン軸17とねじ溝スリーブ28は軸方向に相対移動する。しかし、そのストロークはたかだか数十μmであり、その変位は両部材の間に装着したシール部材(Oリング)19の弾性変形内に留まるため、部材の磨耗等の問題は発生しなかった。
【0080】
以下、本発明をディスプレイの蛍光体塗布に適用したもう一つの実施形態について、補足説明をする。本実施形態では、超磁歪素子で駆動される主軸2(以下ピストン軸と呼ぶ)が回転と同時に高速の直線運動ができることを利用して、次の方法で塗布線の始終端に係る課題の解決をはかった。
【0081】
▲1▼塗布開始時には、ピストン軸を急速に降下させると同時にモータの回転を開始する。
【0082】
▲2▼塗布終了時には、ピストン軸を上昇させると同時にモータの回転を停止する。
【0083】
本実施形態では、ピストン軸を超磁歪素子で駆動しているため、ピストン軸の入力信号に対する出力変位の応答性は、10−3sec(1000Herz)のオーダーであった。隙間が変化してからスクイーズ圧力発生に至る時間遅れは僅少であるため、極めて高速の遮断・開放の流量制御ができた。
【0084】
図7は、超磁歪素子によって駆動されるピストンの変位曲線、図8はモータの回転数を、N=0rpmからN=200rpmまで立ち上げたときに発生するねじ溝のポンピング圧力Ppを示す。図9はピストン軸を上昇・下降させることによって発生する、吐出ノズルの上流側におけるスクイーズ圧力Psの解析結果を示す。
【0085】
また、図10は上記ねじ溝のポンピング圧力Ppとスクイーズ圧力Psを合成した圧力Pn(=Pp+Ps)である。このスクイーズ圧力Psは、Reynolds方程式(省略)を表1の条件下で解いて求めたものである。
【0086】
(1)塗布開始時
塗布開始前の状態では、モータの回転は停止しており、ピストン軸はその対向面との間隙:Xp=40μmの状態にある。t=0.02秒でピストンが間隙:Xp=40→30μmへ急降下を開始すると、吐出ノズルの上流側圧力:Pnは急上昇する。その理由は、式(1)のReynolds方程式がdh/dt<0のとき発生するスクイーズ作用によるものである。
【0087】
スクイーズ作用は、粘性流体を用いた流体軸受の動圧効果の一種である。このスクイーズ効果による急峻なピーク圧力(オーバーシュート)の発生により、吐出ノズル先端での表面張力に打ち勝つ大きな運動エネルギが流体に与えられるために、ノズル先端に流体塊を作ることなく塗布を開始できる。
【0088】
始点における塗布線をスムーズに描かせるためオーバーシュート圧力は、ピストンのストロークが大きい程、立ち上がり時間が短い程大きい。すなわち、吐出ノズル先端の流体の表面張力に打ち勝ちと共に、始点での塗布線の「太り」にならない範囲で、このオーバーシュート圧力の大きさを設定すればよい。
【0089】
(2)定常走行時
0.03<t<0.07秒の間は、ピストン軸はその対向面との間隙:Xp=30μmの状態を保ちながら、ねじ溝の回転によるポンピング圧力Pbによる定量吐出により、連続線が塗布される。ピストン軸とその対向面の間にも流体抵抗があるが、間隙:Xp=30μmの流体抵抗は十分に小さいために、必要流量を吐出させることができた。この区間ではスクイーズ圧力の発生はない。この理由は、スクイーズ圧力は隙間hが変化しているときのみ発生するからである。
【0090】
(3)塗布終了時
t=0.07秒で、モータの減速と同時に、ピストン軸が間隙:Xp=30→40μmへ上昇を開始すると、吐出ノズルの上流側圧力Pnは、図10で示すように、一時的に急降下する。圧力が急降下する理由は、ピストンが急上昇してもスラスト端面とその対向面で形成される空隙部のギャップはまだ十分に狭く、空隙部の外周部から中心部の間で、求心方向の流体抵抗があるからである。この流体抵抗により、容易には外周部から流体は補給されず、圧力は降下する。理論的には、Reynolds方程式のdh/dt>0となる逆スクイーズ作用とも言うべき効果による。大きなマイナス圧力となっているのは、本解析が流体の圧縮性を考慮していないからである。実際は気泡などの発生により流体圧力は絶対圧力ゼロ以下(Pn<0.0MPa)にはならない。
【0091】
この急峻な負圧発生によって、吐出ノズルからの流体が遮断されるだけでなく、ノズル先端の流体塊をノズル内部に若干量吸引させるサックバックの効果が得られる。スクイーズ圧力による負圧発生後は、モータの回転は停止するため、ねじ溝のポンピング圧力による流体の吐出はない。したがって、ノズルが非有効表示領域(Uターン区間)を通過している間、ノズル内部の流体のメニスカスは、ノズル先端で流体塊を作ることなく同一の位置を保ち続ける。そのため、前述した流体塊のボタ落ちなどのトラブルは回避できる。
【0092】
なお、本実施形態ではピストン軸とその対向面の最小隙間は、Xmin=30μmに設定した。本実施形態の蛍光体の粒径はφd=7〜9μmであり、Xmin>φdであるため、吸入口から吐出口に至る通路で蛍光体の微粒子を機械的に圧搾・破損することはない。
【0093】
【表1】
【0094】
本実施形態では、塗布線の始点・終点をスムーズに描かせるためのオーバーシュート圧力とサックバック圧力を、ピストン軸の軸方向運動によって得ることができた。本実施形態では、ピストン変位曲線(図7に一例を示す)は任意の形状を設定することができる。また、ピストン軸を駆動する超磁歪素子は高い応答性をもつために、変位曲線が急峻な変化をしても十分に追従できる。すなわち、超磁歪素子の変位・速度制御により、モータの回転数制御ではできない微妙な始終端の吐出圧力と流量の制御ができる。
【0095】
上記実施形態では、超磁歪素子の軸方向変位の制御と、モータの回転数制御を組み合わせることにより、連続塗布線の始終端の課題を解決すると共に、Uターン区間において、吐出ノズルから材料のリークが無い完全遮断状態を任意の時間保つことができた。
【0096】
Uターン区間を十分に短く設定できる場合は、後述する実施例のように、モータの回転を維持したままで、ピストンのみの駆動により終点での流量遮断と始点での開放ができる。ディスプレイパネルの外周部(図14の63)に障害物(たとえばウオール)がある場合は、ディスペンサーの本体と障害物が接触しない範囲で、吐出ノズル(35に相当する部分)の全長を長くとればよい。
【0097】
また、流体圧送手段であるねじ溝ポンプは、本発明を実施する上で必須条件では無い。外部に設置された圧力源(ポンプあるいはエアー圧)を利用して、流体をポンプ室38に供給してもよい。この場合は、スリーブ(部材28に相当)にねじ溝は形成する必要は無い。しかし、ねじ溝を形成しない場合でも、スリーブ(部材28に相当)を回転させて、スリーブとハウジングの間に相対速度を与えればよい。高分子・低分子材料の多くは、せん断速度の増加と共に粘度が低下する特性を持っている。例えば、粘度の低下が飽和する高せん断領域にせん断速度(回転数)を設定すれば、ディスペンサーを粘度変化に依存しにくい、安定した塗布条件下で用いることができる。
【0098】
さて、本発明からなるディスペンサーは、既提案の「2自由度アクチュエータとスラスト動圧シールを組み合わせる方法」を用いても、遮断・開放の制御ができる。以下この方法を適用した第2の実施形態について説明をする。
【0099】
図11(a)はスラスト動圧シールのモデル図、図11(b)のグラフはスラスト動圧シールの変位と発生圧力の関係を示す原理図である。
【0100】
シール用スラスト溝300は、スラスト動圧軸受として知られている公知のものである。さて、スラスト軸受の発生できるシール圧力は次式で与えられる。
【0101】
【数1】
【0102】
(1)式において、ωは回転角速度、R0はスラスト軸受の外半径、R0はスラスト軸受の内半径、fは溝深さ、溝角度、グルーブ幅とリッジ幅などで決まる関数である。なお動圧溝は、図1を用いて説明すれば、ピストン軸17の端面18の相対移動面に形成する。
【0103】
図11のグラフにおける曲線(イ)は、下記表2の条件下で、スパイラルグルーブ型スラスト溝を用いた場合のギャップδに対するシール圧力PSの特性を示すものである。同図のグラフにおける曲線(ロ)は、軸方向流動が無い場合について、ラジアル溝のポンピング圧力と軸先端のギャップδの関係を示す一例である。このラジアル溝のポンピング圧力は、上記スラスト溝同様、ラジアル隙間、溝深さ、溝角度の選択によって広い範囲で選ぶことができる。しかし定性的には、ラジアル溝のポンピング圧力Prは軸先端の空隙の大きさ(すなわちギャップδの大きさ)に依存しない。
【0104】
さて、シール用スラスト溝のギャップδが十分大きいとき、たとえばギャップδ=15μmのとき、発生圧力はP=0.06kg/mm2(0.69MPa)である。
【0105】
主軸301を回転させたままで、主軸301の端面を固定側の対向面に接近させる。ギャップδ<10.0μmなると、シール圧力がラジアル溝のポンピング圧力Prより大きくなり、流体の吐出口側への流出は遮断される。
【0106】
流体の流出が遮断された状態では、吐出ノズルの開口部近傍302の流体は、スラスト溝300によって遠心方向のポンピング作用を受けているために、開口部300近傍は負圧(大気圧以下)となる。この効果により、遮断後、吐出ノズル300内部に残存していた流体は再びポンプ内部に吸引される。その結果、吐出ノズル先端で表面張力による流体魂ができることはなく、糸引き、洟垂れが解消されるのである。
【0107】
上記シール方法を要約すれば、スラスト溝によるシール圧力は、ギャップδが小さくなると急激に増大するのに対して、ラジアル溝のポンピング圧力はギャップδの変化に対して極めて鈍感である、という点を利用している。
【0108】
なお、上記スラスト溝は、回転側、固定側のどちらに形成してもよい。また、微少粒子が含まれた蛍光体、電極材料のような粉流体を塗布する場合は、ギャップδの最小値δminは微少粒子径φdよりも大きく設定すればよい。
【0109】
δmin>φd … (2)
同一の発生圧力に対して、より大きなギャップを得るためには、回転数を高くするか、主軸の外径を大きくかつ溝深さ、溝角度等に適切な値を選べば良い。
【0110】
【表2】
【0111】
上記実施形態では、スラスト動圧シールが形成された吐出部に蛍光体ペーストを供給する圧力源として、ねじ溝ポンプを用いた。このねじ溝ポンプの代わりに、外部に設置されたポンプを塗布流体の圧力源としてもよい。あるいは、工場内で常備されたエアー圧でもよい。要は、スラスト動圧シールが発生できる最大シール圧力以下に、圧力源の供給圧を設定すればよい。
【0112】
本発明の流体吐出装置を微少流量ディスペンサーあるいはポンプとして用いる場合は、第1のアクチュエータに圧電素子或いは、超磁歪素子のような電磁歪型を用いれば、数MHz以上の高い応答性を持つという点で好ましい効果が得られる。
【0113】
また、高粘度流体を高速で吐出させる場合、前記第1のアクチュエータには高い流体圧に抗する大きな推力が要求される。この場合、数百〜数千Nの力が容易に出せる電磁歪型アクチュエータが有利である。なお本明細文では、圧電素子あるいは超磁歪素子を電磁歪素子と呼ぶことにする。
【0114】
本実施形態で示したような微少流量を扱うポンプでは、ピストン軸の軸方向変位は数μm〜数10μmの微少変位でよい。この微量変位で良いことを利用すれば、圧電素子、超磁歪素子のストロークの限界は問題とならない場合が多い。
【0115】
圧電素子あるいは超磁歪素子を第1のアクチュエータとして用いた場合、素子の入力電圧(超磁歪素子の場合は電流)と変位は比例するため、変位センサーなしのオープンループ制御でもピストン軸(主軸)のストローク制御は可能である。しかし本実施形態のような位置検出手段を設けてフィードバック制御をすれば、より高い精度の流量制御ができる。
【0116】
電磁ソレノイド、リニアモータ等のアクチュエータも、前述したように、本発明に適用可能であり、電磁歪素子と比べて応答性は一桁程悪くなるが、ストロークの制約は大幅に緩和される。
【0117】
第1、第2の実施形態とも、適用する対象によって始終端での塗布線の「切れ味」がそれ程要求されない場合は、第1のアクチュエータに電磁歪素子を使う代わりに、リニアモータを用いてもよい。この場合、主軸のストロークの限界は大きくとれるために、Uターン時の遮断時間は十分に長くでき、モータの回転数制御を省略できる。
【0118】
本実施形態では、ポンプ室に塗布流体を供給する圧力源としてねじ溝ポンプを用いているが、ねじ溝式以外のポンプでも本発明を適用することができる。例えば、ツイン・スクリュー式,トロコイド式,モーノ式,ギヤ式,ピストン式などの種類のポンプを適用できる。或いは、高圧エアーを塗布流体に印加するエアー式でもよい。
【0119】
【発明の効果】
本発明を用いた流体吐出装置により、高粘度粉流体を流路内部での粉体の堆積、目詰まりなどのトラブルなく、高精度・高速で塗布が可能となる。また、組立、調整などのメンテナンス性に優れる共に、長期にわたり高い塗布精度を維持することも可能となり、その実用的効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるディスペンサーを示す正面断面図
【図2】上記実施形態の軸駆動ユニットを示す図
【図3】上記実施形態のモータユニットを示す図
【図4】上記実施形態のポンプユニットを示す図
【図5】上記ポンプユニットにねじ溝スリーブを挿入した状態を示す図
【図6】上記3つのユニットの相対位置関係を示す図
【図7】本実施形態に係るピストンの変位曲線示す図
【図8】モータの回転により発生するねじ溝のポンピング圧力Ppを示す図
【図9】ピストン軸を上昇・下降させることによって発生するスクイーズ圧力Psの解析結果を示す図
【図10】上記図8と図9を合成した図
【図11】第2の実施形態に係るスラスト動圧シールのシール圧力と隙間の関係を示す図
【図12】既提案のディスペンサーの正面断面図
【図13】従来提案のPDPを対象とした蛍光体層形成装置を示す図
【図14】PDPパネルの有効表示領域と非有効表示領域を示す図
【図15】従来例のエアーパルス方式を示す図
【符号の説明】
1 第1のアクチュエータ
28 スリーブ
32 第2のアクチュエータ
33 ハウジング
34 吸入口
35 吐出口
38 ポンプ室
Claims (6)
- 主軸を相対的に軸方向移動可能に収納するスリーブと、前記スリーブ及び/又は前記主軸の少なくとも一部を収納するハウジングと、前記主軸と前記ハウジングを相対的に軸方向移動させる第1のアクチュエータと、前記スリーブと前記ハウジングを相対的に回転させる第2のアクチュエータと、前記主軸と前記ハウジングで形成され前記主軸の軸方向移動により容積が変化するポンプ室と、前記ポンプ室と連絡する流体吸入口及び吐出口から構成される流体吐出装置において、前記第2のアクチュエータが、前記第1のアクチュエータよりも吸入口側に配置されていることを特徴とする流体吐出装置。
- 第1のアクチュエータを収納する軸駆動ユニットと、第2のアクチュエータを収納するモータユニットと、吐出側に吐出ノズルを有するポンプユニットから構成され、前記軸駆動ユニットと前記モータユニット及び前記ポンプユニットは着脱自在であることを特徴とする請求項1記載の流体吐出装置。
- 第1のアクチュエータは電磁歪素子であることを特徴とする請求項1記載の流体吐出装置。
- 第1のアクチュエータはリニアモータであることを特徴とする請求項1記載の流体吐出装置。
- 前記スリーブの吐出側に装着したポンプ用スリーブと前記ハウジングの相対移動面に、流体を吐出側に圧送するねじ溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の流体吐出装置。
- 前記スリーブと前記ポンプ用スリーブは着脱自在であることを特徴とする請求項3または4記載の流体吐出装置。
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2002
- 2002-09-13 JP JP2002268522A patent/JP2004105799A/ja active Pending
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