JP3648882B2 - 流体供給装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子部品、家電製品などの分野における生産工程において、接着剤、クリーンハンダ、グリース、ペイント、ホットメルト、薬品、食品などの各種液体を定量に吐出・供給する流体供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体吐出装置(ディスペンサー)は従来から様々な分野で用いられているが、近年の電子部品の小形化・高記録密度化のニーズにともない、流体材料を高精度でかつ安定して制御する技術が要請される様になっている。
【0003】
たとえば表面実装(SMT)の分野を例にとれば、実装の高速化、微小化、高密度化、高品位化、無人化のトレンドの中で、ディスペンサーの課題を要約すれば、
1) 塗布量の高精度化
2) 吐出時間の短縮
3) 1回の塗布量の微小化
である。従来液体吐出装置として、図16に示す様なエアパルス方式によるディスペンサ
ーが広く用いられており、例えば「自動化技術′93.25巻7号」等にその技術が紹介されている。この方式によるディスペンサーは、定圧源から供給される定量の空気を容器150(シリンダ)内にパルス的に印加させ、シリンダ150内の圧力の上昇分に対応する一定量の液体をノズル151から吐出させるものである。
【0004】
また、微少流量の流体を供給することを目的として、圧電素子を利用したマイクロポンプが開発されている。例えば「超音波TECHNO,6月号,′59」には次の様な内容が紹介されている。図17は原理図、図18はその具体構造である。積層圧電アクチェータ200に電圧を印加すると機械的伸びが発生し、この伸びは変位拡大機構201の働きで拡大される。更に突き上げ棒202を介してダイヤフラム203は図中上方に押し上げられ、ポンプ室204の容積は減少する。この時吸入口205の逆止弁206は閉じ、吐出口207の逆止弁208が開き、ポンプ室204内流体は吐出される。次に印加電圧を減少させると、電圧の減少と共に機械的伸びは縮少する。ダイヤフラム203はコイルバネ209(戻し作用)により下方に引き戻され、ポンプ室204内容積が増大し、ポンプ室204内圧力は負圧になる。この負圧により吸入口逆止弁206が開き、流体がポンプ室204内に満たされる。この時吐出口逆止弁208は閉ざされている。なおコイルバネ209はダイヤフラム203を引き戻す作用の他に、変位拡大機構201を介して積層圧電アクチェータ200に機械的予圧を加えるという重要な役割を果たしている。以下この繰り返し動作となる。
【0005】
上記圧電アクチェータを用いた構成により、小型で流量精度の優れた微少流量のポンプが実現可能と思われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来先行例のうち、エアーパルスの方式のディスペンサーは次の問題点があった。
【0007】
(1) 吐出圧脈動による吐出量のばらつき
(2) 水頭差による吐出量のばらつき
(3) 液体の粘度変化による吐出量変化
上記(1)の現象は、タクトが短く吐出時間が短い程顕著に表れる。そのため、エアーパルスの高さを均一化するための安定化回路を施すなどの工夫がなされている。
【0008】
上記(2)は、シリンダ内の空隙部152の容積が液体残量Hによって異なるため、一定量の高圧エアーを供給した場合、空隙部152内の圧力変化の度合が、上記Hによって大きく変化してしまうというのがその理由である。液体残量が低下すれば、塗布量が例えば最大値と比べて50〜60%程度減少してしまうという問題点があった。そのために、吐出毎に液体残量Hを検知し、吐出量が均一になる様にパルスの時間幅を調整する等の方策がなされている。
【0009】
上記(3)は、例えば多量の溶剤を含んだ材料が時間とともに粘度が変化した場合に発生する。そのための対策として、時間軸に対する粘度変化の傾向をあらかじめコンピュータにプログラミングしておき、粘度変化の影響を補正する様に例えばパルス幅を調節する等の方策がなされていた。
【0010】
上記課題に対するいずれの方策も、コンピュータを含む制御系が繁雑化し、また不規則な環境条件(温度等)の変化に対する対応は困難であり、抜本的な解決案にはならなかった。
【0011】
また、前述した図13、14に示す積層圧電アクチェータを用いたピエゾポンプを表面
実装等の分野で用いられる高粘度流体の高速間欠塗布に用いようとした場合、次の様な問題点が予測される。
【0012】
表面実装の分野では、近年例えば0.1mg以下の接着剤(粘度10万〜100万CPS)を0.1秒以下で瞬時に塗布するディスペンサーが要望されている。そのため、ポンプ室204内は、高い流体圧を発生させる必要があり、またこのポンプ室204と連絡する吸入弁206と吐出弁208には高い応答性が必要であることが予想される。しかし、受動的な吐出弁,吸入弁を伴う上記ポンプでは、極めて流動性の悪い高粘度のレオロジー流体を、高い流量精度でかつ高速で間欠吐出させることは極めて困難である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の流体供給装置では、吸入孔と吐出口が形成されたハウジング内に収納されたピストンと、前記ピストンをその軸方向に駆動させる電磁歪素子と、前記ピストンを回転させるアクチュエータと、前記吸入孔から前記吐出口への一方向のみに流体を供給するねじ溝と、前記ピストンと前記ハウジングで形成され前記ピストンの駆動によって容量が変化するポンプ室とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明により、吐出弁・吸入弁のいずれかあるいは両方を両略でき、例えば流動性の悪い高粘度流体を高精度かつ高速で供給できる流体供給装置が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図14を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明を電子部品の表面実装用ディスペンサーに適用した第1の実施形態を示し、図1において1は第1のアクチェータであり、積層型圧電素子、超磁歪素子等による電磁歪型のアクチェータ、あるいは電磁ソレノイドより構成される。高粘度流体を高速で間欠的に微小量かつ高精度に供給する場合は、高い位置決め精度が得られ、高い応答性を持つと共に大きな発生荷重が得られる電磁歪型が好ましい。本実施形態では積層型の圧電素子を用いた。
【0017】
2は第1のアクチェータ1によって駆動されるピストンであり、レシプロ式(直動式)のポンプの直動部分に相当する。前記ピストン2はシリンダとハウジングを兼ねた下部ハウジング3に収納されている。このピストン2と前記下部ハウジング3の間で、前記ピストン2の軸方向の移動によって容量が変化するポンプ室4を形成している。また前記下部ハウジング3には、前記ポンプ室4と連絡する吸入孔5と吐出孔6a,6bが形成されている。
【0018】
7は第2のアクチェータであり、前記ピストン2と前記下部ハウジング3の間に相対的な回転・揺動を与えるもので、パルスモータ、DCサーボモータなどから構成される。8は前記第2のアクチェータ7を構成するモータロータ、9はステータである。前記ロータ8は回転部材10に固着され、また前記ステータ9は中間部ハウジング11に収納されている。
【0019】
この回転部材10は、前記ピストン2と円盤形状の板バネ12を介して連結されている。また前記第1のアクチェータ1である圧電素子の軸方向の伸縮を、前記ピストン2に伝えるため、前記板バネ12は軸方向に弾性変形しやすい形状になっている。また前記回転部材10の回転は前記板バネ12を介して前記ピストン4に伝達される。この構成により、ポンプのピストン2は回転運動と直線運動を同時に、かつ独立して行うことができる。前記第1のアクチェータ1は、スペーサ19を介して前記回転部材10に固定される。このとき第1のアクチェータ1の下端面19と前記ピストン2の上端面20は、常に接触状
態を保つために、適度な与圧荷重を与えるのが好ましい。
【0020】
21は回転運動をする前記第1のアクチェータ1に、外部から電力を供給するためのカップリング・ジョイントである。
【0021】
前記回転部材10は、軸受14,15によって回転自在に支持されている。この軸受の種類は、玉軸受、静圧エアー軸受、流体軸受、磁気軸受等いずれでもよいが、実施例では簡易な玉軸受を用いた。
【0022】
前記下部ハウジング3の下端部には、先端に吐出ノズル15を有する吐出用スリーブ16が装着されている。この吐出用スリーブ15の内面に、前記吐出孔6a,6bと前記吐出ノズル15を連絡する流通路17が形成されている。下部ハウジング3と前記ピストン2の相対移動面には、この2つの部材の相対的な回転運動により、前記ポンプ室4と前記吸入孔5及び前記ポンプ室4と前記吐出孔6a,6bが交互に繋がるような流通溝23b,24bが形成されている。これらの流通溝は、通常のポンプの吸入弁・吐出弁の役割を担っており、詳細については図2,図3で説明する。
【0023】
なおピストン2と下部ハウジング3の相対的な運動によって、流体の吸入・吐出作用を行う部分をポンプ部18と呼ぶことにする。
【0024】
21は、ピストン2が回転することを利用して形成されたねじ溝型のポンプで、前記ピストン2と下部ハウジング3の内面の相対移動面に形成される。このねじ溝ポンプ21により、流体のポンプ室4への流入をよりスムーズにするとともに、外部への流体の漏洩防止も兼ねることができる。
【0025】
22は変位センサー、は前記ピストン2に固定された回転円盤である。この変位センサー22、回転円盤により前記ピストン2の軸方向位置を検出する。圧電素子を第1のアクチェータ1とした場合、圧電素子の入力電圧と変位は比例するため、変位センサーなしのオープンループ制御でも前記ピストン2のストローク制御(流量制御)は可能である。しかし本実施例のような位置検出手段を設けてフィードバック制御をすれば、より高い精度の流量制御ができる。
【0026】
なお、以上の実施例では、回転運動と直線運動を同時に与える全体構成に特徴がある。すなわち、モータによって駆動される回転部材(図1の10、図5の60、図6の103)の中心線上に、第1のアクチェータによる力の作用点が位置している。この構成により、ポンプ全体をコンパクトにできる。また、微少流量を扱うポンプでは、ピストンの軸方向変位は数μm〜数+μmの微少変位でよい。
【0027】
この微量変位でよいことを利用すれば、圧電素子,超電磁歪素子等のストロークの限界は問題とならない。すなわち、ピストンを板バネで支持し、この板バネを第1のアクチェータである電磁歪素子で駆動する構成により、ポンプの容量制御ができる。また、高粘度流体を高速で吐出させる場合、第1のアクチェータ1には高い流体圧に抗する大きな推力が要求される。この場合、数百〜数千Nの力が容易に出せる電磁歪型アクチェータが好ましい。
【0028】
なお、図1で示す様に、第1のアクチェータ1を回転部材10の内面に収納する構成にすればポンプ全体は一層コンパクトとなる。またピストンを2つの板バネを介して回転部材で支持する構成にすれば、ピストンの径方向剛性も一層向上できる(図示せず)。また回転運動は一方向のみの回転でなくてもよく、往復揺動運動でもよい。
【0029】
図2及び図3は、本発明の実施例の図1のポンプ部18の詳細図でありまたディスペンサーとしての吸入行程(図2),吐出行程(図3)を示すものである。23a,23b及び24a,24bはピストン2に形成された流通溝、25a,25bは下部ハウジング3に形成された流通溝である。図2の吸入行程において、ピストン2が矢印のごとく上昇すると、流体は流通溝23a→25a→24a及び23b→25b→24bの経路を経て、前記ポンプ室4へ流入する。このとき前記吐出孔6a,6bと前記ポンプ室4の間は流路が遮断されている。吸入行程が終了すると、前記ピストン2は矢印の方向に180度回転し、吐出行程開始直前の状態となる。
【0030】
図3の吐出行程において、ポンプ室4に封入されている液体の流路は吸入側と遮断される。ピストン2が矢印のごとく下降すると、流体は流通溝24a→6a及び24b→6bの流路を経て、流通路17(図1)を通過して、吐出ノズル15へ供給される。実施例では、各流通溝と吐出孔は180度の間隔で形成したが、もっと小さな分割角度で形成すれば、吐出スピードをより高速にすることができる(図示せず)。
【0031】
図4は、本発明の吸入・吐出行程におけるピストンの変位制御の一実施例を示すものである。吸入行程aを経た後、行程bでは、ピストン変位xを一定のままで、ピストンを180°回転する。実施例の吐出行程cでは、時間t対する変位xの勾配は、吸入行程のそれよりもより急峻にした。このような設定により、表面実装で用いる流動性の悪い高粘度流体を確実にポンプ室4に吸入するとともに、衝撃的な圧力の発生を利用して、流体を間欠的かつ高速に吐出することができる。
【0032】
さらに吐出行程cの終了後、ピストン2を僅かに上昇(行程d)させれば、ポンプ室4は負圧ぎみとなり吐出ノズル(図1の15)からの液だれを防止することができる。さらにピストン変位xを一定のままでピストン2を180°回転(行程e)すれば、再び吸入行程に入る。なお、第1のアクチェータ1に積層型圧電素子のような電磁歪型を用いれば、数百ヘルツの高い応答性を持つため、上述した様なピストン変位制御をより短い周期で行うことができる。
【0033】
図5は本発明の第2の実施形態であり、第1のアクチェータを固定側に設置した構造を示す。この場合、第1の実施形態で必要としたカップリング・ジョイント(図1の21)は不要である。51は第1のアクチェータ,52はこの第1のアクチェータ51によって駆動されるピストンであり、このピストン52はシリンダとハウジングを兼ねた下部ハウジング53に収納されている。このピストン52と前記ハウジング53の間で、前記ピストン52の軸方向の移動によって容量が変化するポンプ室54を形成している。また前記ハウジング53には、前記ポンプ室54と連絡する吸入孔55と吐出孔56a,56bが形成されている。
【0034】
57は第2のアクチェータであり、58は前記第2のアクチェータ57を構成するモータのロータ、59はステータである。前記ロータ58は回転部材60に固着され、また前記ステータ59は中間部ハウジング61に固定されている。この回転部材60は、前記ピストン52と円盤形状の板バネ62を介して連結されている。また前記上部回転部材60の回転は、前記板バネ62を介して前記ピストン52に伝達される。この構成により、ポンプのピストン52は回転運動と直線運動を同時に、かつ独立して行うことができる。前記第1のアクチェータ51は、前記中間部ハウジング61に締結された上部ハウジング63にボルトで固定されている。このとき第1のアクチェータ51の下端面64と前記ピストン52の上端面65は、グリース等の潤滑剤によって潤滑されて、常に接触状態を保ちながら回転する。また回転部材60は、軸受66,67によって回転自在に支持されている。
【0035】
前記下部ハウジング53の下端部には、先端に吐出ノズル68を有する吐出用スリーブ69が装着されている。この吐出用スリーブ69の内面に、前記吐出孔56a,bと前記吐出ノズル68を連絡する流通路70が形成されている。71はポンプ部であり、ハウジング53と前記ピストン52の相対移動面には、第1の実施形態で示した同様な各流通溝がねじ溝ポンプ72と共に形成されている。
【0036】
なお、吸入弁と吐出弁の役割をする各流通溝の形成方法,吐出用スリーブの内面に形成する流通路の形成方法は、前述した第1の実施形態あるいは後述する第4,第5の実施形態と同様の構造が適用できるため説明は省略する。
【0037】
図6は本発明の第3の実施形態を示し、ピストンとシリンダの間に相対的な回転運動を与えるために、シリンダ側を回転させた場合を示す。
【0038】
101は第1のアクチェータ,102はピストン,103はこのピストン102を収納しモータによって回転するシリンダ,104は軸受105,106を介して前記シリンダ103を回転自在に支持する下部固定部材,107は第2のアクチェータであり、モータのロータ108,ステータ109から構成される。110は中間部固定部材,111は上部固定部材である。シリンダ103と中間部固定部材110の間に、流体の漏洩を防止するシール112が設けられている。116は吐出ノズル,117は吸入孔である。
【0039】
また第1のアクチェータ101である積層型圧電素子の変位は、バネ114とボール115を介してピストン102に伝達される。第1のアクチェータ101の軸芯とピストン102の軸芯は寸法Yだけ偏芯しており、第1のアクチェータ101の変位(すなわち、ピストン102の変位)を増幅させることができる。その結果ポンプの流量アップが図れる。また各流通溝,流通路の形成方法も第1の実施例あるいは後述する第4,第5の実施形態と同様な形状が適用できるための説明は省略する。
【0040】
図7は本発明の第4の実施形態であり、より高い粘度の流体を高速で吐出するために、ポンプ部の流体摺動抵抗の低減を図った場合を示す。301は第1のアクチェータ、302は第1のアクチェータによって駆動されるピストン、303はシリンダとハウジングを兼ねた下部ハウジング、304は吸入孔,305はポンプ部である。306は第2のアクチェータ、307は前記第2のアクチェータ306を構成するモータのロータ、308はステータ、309は回転部材、310は中間部ハウジング、311は円盤形状の板バネである。
【0041】
この構成により、ポンプのピストン302は回転運動と直線運動を同時にかつ独立して行うことができる点は、第1の実施例と同様である。314はカップリング・ジョイント、315,316は軸受、317は吐出ノズル、318は変位センサー、319は回転円盤である。
【0042】
図8及び図9は、本発明の第4の実施形態の図7のポンプ図305の詳細図であり、またディスペンサーとしての吸入行程(図8),吐出行程(図9)を示すものである。320はピストン小径部、321a,321bはピストン302に形成された上部流通溝、322a,322bは下部ハウジング303側に形成された上部流通溝、323a,323bはピストン小径部320の下端面の形成された下部流通溝、324a,324bは下部ハウジング303側に形成された下部流通溝である。また、325は流体が流動するポンプの上流側間隙部、326は中流側間隙部、327は下流側通路、328は上流側間隙部325のピストン302と下部ハウジング303の間に形成されたシールである。図8の吸入行程において、ピストン302と下部ハウジング303の相対的な角度を一定に保ちながら、ピストン302を矢印(図8(a))の方向に上昇させる。中流側間隙部326
に着目すると、図8(c)に示すごとく出口側は密閉状態となり、入口側は図8(b)に示すごとく開放状態となるため、流体は図8(a)の矢印の様に中流側間隙部326に流入する。吸入行程が終了した状態で、ピストン302を180°回転すると、吐出行程開始直後の状態となる。このとき、下流側通路327の吐出ノズル317の先端部では、小径ピストン320の上昇によって、△h[図8a]の分だけ空隙部が形成されている。図9の吐出行程において、ピストン302を図8(a)のごとく下降させる。中流側間隙部326の入口側は図9(b)で示すように遮断されており、逆に出口側は開放[図9(c)]されている。
【0043】
したがって、間隙部326に封じ込められていた流体は、ピストン302の下降量に比例した分だけ、下流側通路327へ流入する。同時に小径ピストン320も流体を吐出ノズル317側へ押し出すことにより、ピストン302と小径ピストン320の面積差にストロークを掛け合わせた分だけの体積の流体が吐出される。
【0044】
さて、いままでの実施例では、第1のアクチェータ(直線運動)と第2のアクチェータ(回転運動)は同時に動作させるのではなく、直線運動→回転運動→直線運動のように、各アクチェータを順次切り換えて作動させる場合について説明した。しかし、吐出スピードアップを図るために、第2のアクチェータ(モータ)を常に回転させながら、第1のアクチェータの直線運動を行うことも可能である。図10はこの場合の流通溝の形成方法の一例を示す。、350a,350bはピストン302に形成された上部流通溝、351a,351bはピストン小径部320に形成された下部流通溝である。図10(a),図10(b)は吸入行程中の状態、図10(c),図10(d)は吸入行程直後の状態で吸入も吐出もしていない状態、図C−1,図C−2は吐出中の状態、図10(e),図10(f)は吐出直後で吸入も吐出もしていない状態を示す。第2のアクチェータであるモータの回転は、一定速でなくてもよく、プロセスの条件に合わせて回転速度を任意に可変してもよい。また、図10(g),図10(h)の状態でピストンを若干量上昇させれば、液ダレ防止ができることも同様である。また、どの様な流通溝形状でも可能であるが、吐出開始直前直前の状態で吐出流通路を密閉状態のままピストンを若干量下降させ、流体を圧縮させた状態で吐出通路を開放すれば、吐出流体を大きく飛翔させることができる。
【0045】
なお流体を吸入・吐出するためのポンプ作用を行うためには、
1)吸入時には吐出通路を遮断する,2)吐出時には吸入通路を遮断する、操作が必要である。いままでの実施例では、上記1)2)共ピストンとハウジングの相対的な回転運動を利用して、各流通路の開閉を行っていた。しかし、流量精度がそれ程必要でない場合は、上記1)2)のいずれかを受動的な弁(逆止弁)を用いることも可能である。
【0046】
図11及び図12は吐出通路を遮断するのに吐出バルブを用いた第5の実施形態を示す。図11は吸入行程,図12は吐出行程である。
【0047】
401はピストン,402は吸入孔,403はシリンダとハウジングを兼ねた下部ハウジング,404は吐出ノズル,405はこの吐出ノズル404の内面に形成された上部テーパ部,406は下部テーパ部,407は吐出流通溝,408はボールである。409a〜409bと410a〜410bは下部ハウジング403とピストン401に形成された吸入側流通溝である。
【0048】
図13及び14は吸入通路を遮断するのに吸入バルブを用いた第6の実施形態を示す。図13は吸入行程,図14は吐出行程である。
【0049】
501はピストン,502は吸入孔,503はシリンダとハウジングを兼ねた下部ハウジング,504は吐出ノズル,505は上流側テーパ部,506は下流側テーパ部,50
7は吸入流通溝,508はボールである。509は小径ピストン,510,511は下部ハウジング503と小径ピストン509のそれぞれに形成された流通溝である。
【0050】
以上いずれの実施例共、ハウジングとシリンダを兼ねて用いる場合について説明した。しかし例えばピストンを中空にして、この中空部分に回転する軸を収納し、この軸と固定部材(ハウジング)の間に吐出あるいは吸入バルブを形成し、軸をモータ(第2のアクチェータ)によって駆動する構成にしても本発明の目的を達成できる。ただし、この場合シリンダ=軸602である。
【0051】
600は第1のアクチェータである電磁歪素子,601はピストン,602は軸,603は下部ハウジング,604は中間部ハウジング,605は上部ハウジング,606は第2のアクチェータであるモータ,607はモータ軸608と前記軸602を連結するカップリング,609は板バネ,610は吸入孔,611は吸入側に設けられた逆止弁,612は吐出ノズル,613は吐出流通溝,614は前記軸602に形成したねじシールである。第1のアクチェータ600は中空となっており、この中心部に前記軸602が収納されている。この軸602と下部ハウジング603の間の相対的な回転位置によって、吐出通路が開放あるいは遮断される点は第6の実施例と同様である。また軸602を直線運動させて、吐出通路を開閉する構造でもよく、この場合第2のアクチェータ606は直動型のモータとなる。
【0052】
【発明の効果】
本発明を用いた流体回転装置により、次の効果が得られる。
1.超高速の間欠塗布ができる。
【0053】
例えば1Dotあたり0.1秒程度が限界だった従来エアーパルス方式と比較し、その一桁以下(0.01秒以下)の間欠塗布ができる。
2.高粘度流体の高速塗布ができる。
3.超微少量を高精度で吐出できる。
4.ストローク制御により吐出量が可変である。また液ダレ防止等も容易にできる。
5.容量制御式のため、環境温度の変化(粘度の変化)、あるいはノズルと吐布面間のギャップに吐出量が依存しない。
6.ピストン部分は非接触なため、微少な微粒子が混合した粉粒体にも対応できる。
【0054】
本発明を例えば表面実装のディスペンサー等に用いれば、その長所をいかんなく発揮でき、効果は絶大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態によるディスペンサーを示す正面断面図
【図2】 上記実施例のポンプ部の吸入行程を示す図
【図3】 上記実施例のポンプ部の吐出行程を示す図
【図4】 ピストンの変位制御の一実施例を示す図
【図5】 本発明の第2の実施形態の正面断面図
【図6】 本発明の第3の実施形態の正面断面図
【図7】 本発明の第4の実施形態の正面断面図
【図8】 (a)本発明の上記第4の実施形態で、ポンプ部のみを拡大した断面図で吸入行程を示す図
(b)同流通溝部分を示す図
(c)同流通溝部分を示す図
【図9】 (a)上記第4の実施形態の、吐出行程を示す図
(b)(a)と同様吐出工程を示す図
(c)(a)と同様吐出工程を示す図
【図10】 本発明の流体供給装置の第1のアクチェータの回転を連続的にしたときの流通溝形状を示す図
【図11】 (a)本発明の第5の実施形態で吐出側を吐出バルブを設けた場合の吸入行程を示す図
(b)吸入側の流通溝を示す図
【図12】 (a)上記第5の実施形態で、吐出行程を示す図
(b)吐出工程を示す図
【図13】 本発明の第6の実施形態で、吸入側に吸入バルブを設けた場合の吸入行程を示す図
【図14】 上記第6の実施形態で吐出行程を示す図
【図15】 本発明の第7の実施形態の正面断面図
【図16】 従来のエアーパルス方式のディスペンサーを示す図
【図17】 従来のピエゾポンプの原理図
【図18】 図17の従来ピエゾポンプの正面断面図
【符号の説明】
1 第1のアクチュータ
2 ピストン
3 ハウジング,シリンダ
4 ポンプ室
5 吸入孔
6a,6b 吐出孔
7 第2のアクチュータ
23a,23b 流通溝
24a,24b 流通溝
25a,25b 流通溝

Claims (2)

  1. 吸入孔と吐出口が形成されたハウジング内に収納されたピストンと、前記ピストンをその軸方向に駆動させる電磁歪素子と、前記ピストンを回転させるアクチュエータと、前記吸入孔から前記吐出口への一方向のみに流体を供給するねじ溝と、前記ピストンと前記ハウジングで形成され前記ピストンの駆動によって容量が変化するポンプ室とを備えることを特徴とする流体供給装置。
  2. 吸入孔と吐出口が形成されたハウジング内に収納されたピストンを電磁歪素子によってその軸方向に駆動させると共にアクチュエータによって回転させ、更に、ねじ溝によって前記吸入孔から前記吐出口への一方向のみに流体を供給することで、前記ピストンと前記ハウジングで形成されポンプ室の流体を吐出口から塗布することを特徴とする流体供給方法。
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