JP3857919B2 - 4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンメシラートおよび多形 - Google Patents
4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンメシラートおよび多形 Download PDFInfo
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Description
本発明は、療法に有用な新規な塩に関する。より詳細には、本発明は4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンメシラート、その製造方法、その使用、およびそれを含有する組成物に関する。本発明はまた、新規な単一の非水和形多形遊離塩基に関する。
【0002】
4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンは次式:
【0003】
【化3】
をもち、良性前立腺肥大の治療に有用なものとしてWO98/30560(例19参照)に開示されている。この出願は医薬的に許容できる塩と一般的に述べており、塩酸塩、臭化水素酸塩およびリン酸塩を挙げている。
【0004】
残念ながら4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンは、幾つかの不利な物理的性質をもつ。それは多数の異なる形態で生成することが知られている。場合により、それの水溶性はかなり低く、同一形態で再現性をもって製造するのが困難であり、時には水和形で得られる。さらに、ある形態の遊離塩基はかなり吸湿性であることが認められた。規制要件を満たすためには特に一定の品質の材料を再現性をもって製造しなければならないので、これらの性質は薬剤の開発には不利である。
【0005】
本発明は、次式の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンのメシラート塩を提供する:
【0006】
【化4】
この物質は遊離塩基と比較して多数の予想外の利点をもち、意外にも薬剤開発に理想的な独自の特性を兼ね備えていることが見出された。
【0007】
”メシラート”が”メタンスルホン酸塩”の別名であることは当業者に自明であろう。
メシラート塩は高い融点をもち、水和形または溶媒和形を示さない結晶質固体である。それは同形であり、すなわち単一多形で存在し、広範な条件にわたって、たとえば高い光強度で、良好な安定性を示す。それは許容できる溶解度および溶解特性をもち、適切な固体剤形の薬物を得るために経済的に製造および加工することができる。それの吸湿性は、広範な相対湿度にわたって遊離塩基より実質的に低い(融点198℃の多形として試験)。メシラート塩は同形であり、水和物を形成しない;これらの両特徴は特にメシラート塩の有利な特性である。
【0008】
下記の表1〜3は、4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンメシラートおよび若干の遊離塩基形の物理的特性を示す。
【0009】
【表6】
【0010】
多数の無水結晶形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン(遊離塩基)を本明細書に開示する。これらの無水多形は下記の表4におけるA形、B形、C形およびE形と表示される。比較のために示したD形は水和形であり、2水和物として存在する。
【0012】
【表7】
脱水すると、水和形(D形)は非晶質となる。
【0013】
本発明の無水多形は、水和遊離塩基形より吸湿性も有意に低い。これらのうち、BおよびE形は高い融点および低い吸湿性をもつ。
本発明はE形を提供し、その試料は90%以上の単一多形を含有する。好ましくはE形の試料は99%以上の単一多形を含有する。
【0014】
最初にWO98/30560(例19参照)の方法で製造された固体の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンはB形とE形の、おそらく比率1:1の混合物であったと現在では考えられる(示差走査熱量測定実験で220℃と227℃においてシャープな吸熱を示すことに基づく)。最も安定である純粋なE形が形成されたことにより、前記の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの製造を反復する際、将来は主にこの形が製造されると思われる。
【0015】
本発明の範囲には、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの放射性標識誘導体、他の同位体形および互変異性体も含まれる。
【0016】
前記に定めたE形またはメシラート塩としての4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンは、動物において薬理活性をもつ。それは高血圧症、心筋梗塞、雄性勃起機能不全、高脂血症、心不整脈および良性前立腺肥大を含めた多数の状態の処置に有用となりうる。良性前立腺肥大に最も関心がもたれる。したがって本発明の他の態様によれば、良性前立腺肥大の処置方法であって、療法有効量の前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンをその障害に罹患した患者に投与することを含む方法が提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、医薬として使用するための、および良性前立腺肥大の処置に使用するための、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンが提供される。
【0018】
本発明の他の態様によれば、良性前立腺肥大の処置のための医薬の製造における、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの使用が提供される。
【0019】
前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを単独で投与してもよいが、一般に意図する投与経路および医薬標準法に関して選択した適切な医薬用の賦形剤、希釈剤またはキャリヤーとの混合物として投与される。
【0020】
したがって本発明の他の態様によれば、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを、医薬的に許容できる佐剤、希釈剤またはキャリヤーとの混合物として含有する、医薬配合物が提供される。配合物は好ましくは、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを50重量%未満含有する。
【0021】
たとえば前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを、即時、遅延または制御放出用の錠剤、カプセル剤、卵形剤、エリキシル剤、液剤または懸濁液剤の形で経口、口腔または舌下投与できる。これらは着香剤または着色剤を含有してもよい。経口投与が特に好ましい。前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを海綿体内(intracavernosal)注射により投与してもよい。
【0022】
そのような錠剤は賦形剤、たとえば微結晶性セルロース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウムおよびグリシン、崩壊剤、たとえばデンプン(好ましくはトウモロコシ、バレイショまたはタピオカのデンプン)、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウムおよび特定の複合ケイ酸塩、ならびに造粒結合剤、たとえばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチンおよびアラビアゴムを含有してもよい。さらに、滑沢剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクを含有してもよい。
【0023】
同様なタイプの固体組成物をゼラチンカプセル中の充填剤としても使用できる。これに関して好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液剤および/またはエリキシル剤の場合、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを、各種の甘味剤または着香剤、着色剤または色素、乳化剤および/または沈殿防止剤、ならびに希釈剤、たとえば水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリン、ならびにその組合わせと混和することができる。
【0024】
前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを非経口的に、たとえば静脈内、動脈内、腹腔内、クモ膜下、脳室内、心室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内または皮下に投与するか、あるいは注入法により投与することができる。無菌水性液剤の形で使用するのが最良であり、これは他の物質、たとえば液剤を血液と等張にするのに十分な塩類またはグルコースを含有してもよい。必要であれば水性液剤を適切に緩衝化すべきである(好ましくはpH3〜9)。無菌条件下での適切な非経口製剤の製造は、当業者に周知の医薬標準法によって容易に実施できる。
【0025】
ヒト患者に経口および非経口投与するためには、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの1日量は、通常は約0.01〜10mg/kg(1回量または分割量で)、好ましくは約0.01〜0.5mg/kgであり、1日1〜4回投与される。
【0026】
したがって前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの錠剤またはカプセル剤は、一度に適宜1個または2個以上投与するために、約0.1〜500mgの有効化合物を含有できる。いずれにしろ医師が各患者に最適な実際の投与量を決定し、これはその患者の年齢、体重および反応に応じて異なるであろう。前記の投与量は平均的な場合の例である。これより高いかまたは低い投与量が有益な場合も、もちろんありうる。それらも本発明の範囲に含まれる。
【0027】
前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを鼻内に、または吸入により投与することもできる。これらは乾燥粉末吸入器またはエアゾルスプレー剤の形で、加圧容器、ポンプ、噴霧器またはネブライザーから適切な噴射剤、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、たとえば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134A[商標])または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA[商標])、二酸化炭素その他の適切なガスを用いて送達するのが好都合である。加圧エアゾル剤の場合、投与単位は計量された量を送達する弁を設けることにより決定できる。加圧容器、ポンプ、噴霧器またはネブライザーは、たとえば溶剤としてエタノールと噴射剤の混合物を用いた有効化合物の液剤または懸濁液剤を収容することができ、これらはさらに潤滑剤、たとえばトリオレイン酸ソルビタンを含有してもよい。吸入器または吹入器に用いるためのカプセルおよびカートリッジ(たとえばゼラチン製)は、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンおよび適切な粉末基剤、たとえば乳糖またはデンプンの粉末ミックスを収容するように調製できる。
【0028】
エアゾル剤または乾燥粉末製剤は、好ましくは計量された各量、すなわち”一吹き”が20μg〜4mgの前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを患者に送達するように調整される。エアゾル剤についての全1日量は20μg〜20mgであり、これを1回量として、またはより普通は1日を通して分割量で投与できる。
【0029】
あるいは、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを坐剤または膣坐剤の形で投与し、あるいはローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤または散粉剤の形で局所適用することができる。前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンを、たとえば皮膚パッチの使用により経皮投与することもできる。これを眼経路で、特に眼の処置のために投与することもできる。
【0030】
眼用には、それをpH調整した等張無菌生理食塩液中の微細懸濁液剤として、または好ましくはpH調整した等張無菌生理食塩液中の液剤として、所望により保存剤、たとえば塩化ベンザルコニウムと組み合わせて配合できる。あるいはそれをワセリンなどの軟膏剤に配合してもよい。
【0031】
皮膚に局所適用するためには、前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンは、たとえば下記の1以上の混合物中に懸濁または溶解された有効化合物を含有する適切な軟膏剤として配合できる:鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水。あるいは、それをたとえば下記の1以上の混合物中に懸濁または溶解した適切なローション剤またはクリーム剤として配合できる:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルろう、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
【0032】
本発明はさらに、前記に定めた4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンメシラートの製造方法であって、メタンスルホン酸を、適切な溶媒中における次式の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン:
【0033】
【化5】
の懸濁液または溶液に添加し、沈殿した固体を採集することを含む方法を提供する。
【0034】
本方法の好ましい態様には下記のものが含まれる:
(a)4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの溶液を、メタンスルホン酸の添加前に室温より高い温度に維持する;および
(b)用いる溶媒がブタノンと水の混合物、たとえばブタノンと水の10:1(容量)混合物である。
【0035】
本方法は、より具体的には下記の工程を含む方法として定められる:
(a)ブタノン/水中における4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの懸濁液を加熱還流し;
(b)溶液が得られるまでブタノン/水を添加し;
(c)該溶液を冷却し;
(d)メタンスルホン酸を添加し;そして
(e)得られた固体を濾過により採集する。
【0036】
前記方法において、4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンが前記に定めたE形として存在することが好ましいが、出発形に関係なくこの目的生成物がある程度は生成する。
【0037】
本発明の配合物は、ヒト5−αレダクターゼ阻害化合物[WO95/28397参照]を含有してもよい。すなわち前記に定めたE形またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンは、同時、別個または逐次使用のための組合わせ製剤としてヒト5−αレダクターゼ阻害化合物をも含有する医薬パックで提供されてもよい。
【0038】
本明細書において処置という場合、治癒処置、対症処置および予防処置が含まれる。
単離した遊離塩基の4つの無水多形は、A、B、CおよびEと表示される。これらの多形はメシラート塩と共に粉末X線回折(PXRD)により解析された。
【0039】
粉末X線回折パターンは、自動サンプル交換器、θ−θゴニオメーター、自動ビーム発散スリット、二次モノクロメーターおよびシンシレーション計数器を備えたSIEMENS D5000粉末X線回折装置を用いて測定された。分析用試料は、シリコンウェーハ検体マウントに切り込まれた直径12mm、深さ0.25mmのキャビティに粉末を充填することにより調製された。各検体を回転させ、その間にX線管を40kV/40mAで操作しつつ銅K−α1 X線(波長=1.5406Å)で照射した。2〜55°の2θ範囲にわたって0.02°の段階毎に5秒間計数するように設定した段階走査モードで作動するゴニオメーターにより分析を行った。ピーク強度を表5にまとめる。表5において”角度2−θ”は結晶の面間隔に関するものであり、強度は最大ピークに対する%(I/Ii)として示される。各多形およびメシラート塩は、50%を越えるピーク強度、好ましくは20%を越える強度をもつピークを参照して判定できる。
【0040】
【表8】
【0041】
【表9】
【0042】
【表10】
【0043】
示差走査熱量測定(DSC)は、自動サンプル交換器を備えたPerkin Elmer DSC−7機器を用いて実施された。約2mgの各試料を50μlのアルミニウム皿に精確に秤り入れ、有孔蓋でクリンプシールした。窒素ガスパージしながら試料を20℃/分で40〜300℃の範囲にわたって加熱した。熱事象を表6にまとめる。これは遊離塩基およびメシラート塩の特性判定に採用できる。
【0044】
【表11】
【0045】
水和形の遊離塩基(D形)の周囲条件における水分は、一般に9〜10%(w/w)のオーダーである。これは遊離塩基1モル当たり2.5〜2.8モルの水に相当する。相対湿度90%における水分は12.8%(w/w)であることが認められた。これは3.6モルの水に相当し、このうち2モルのみが結合水であることが認められた。最初の1モルが相対湿度5%未満で失われ、2モル目は相対湿度1%になるまで保持された:図11参照。水和形を約18%未満の相対湿度で長期間貯蔵すると脱水されると思われる。さらに、結晶水が失われると結晶格子が失われ、生成物は主に非晶質となる。これは一般的な水和形を医薬配合物の製造に使用する際に潜在的な問題となることが明らかである。脱水は熱分析に際して97/113℃における幅広い吸熱として観察された(図8参照)。
【0046】
本発明を以下の実施例により説明する。実施例においては下記の略号を用いる:
NMR:核磁気共鳴
実施例1
遊離塩基多形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−イソキノリル)−5−(2−ピリ ジル)キナゾリン
(i)A形
窒素下で4−アミノ−2−クロロ−6,7−ジメトキシ−5−(2−ピリジル)キナゾリン[WO98/30560,例12(a)参照,97g,0.31mol]およびN−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリル)メタンスルホンアミド塩酸塩[WO98/30560,例19(b)参照,89g,0.34mol]の、n−ブタノール(1.9l)中における撹拌懸濁液に、トリエチルアミン(161ml,1.16mol)を添加した。反応物を還流するまで加温し、1夜還流撹拌した。反応物を室温に冷却し、真空濃縮し、残留物を水(1.5l)に懸濁し、炭酸水素ナトリウム(15g)を添加した。得られたスラリーを3夜撹拌し、濾過し、固体を水(500ml)で洗浄し、50℃で1夜真空乾燥して158gの物質を得た。
【0047】
大部分の物質(156g)を同様な方法で調製した追加分の物質(139g)と一緒にし、この一緒にした固体をメタノール(3l)に溶解した。この溶液を濾過および真空濃縮し、得られた固体を50℃で1夜真空乾燥して287gの物質を得た。
【0048】
大部分の物質(285g)をアセトン/水(4/1(容量),1.4l)に1夜スラリー状にし、濾過し、固体をアセトン/水 4/1(300ml)で洗浄し、50℃で3夜真空乾燥して251gの物質を得た。
【0049】
大部分の物質を500μMの篩でふるい、表題化合物(242g)を得た。
(ii)B形
窒素下で4−アミノ−2−クロロ−6,7−ジメトキシ−5−(2−ピリジル)キナゾリン(166g,0.53mol)およびN−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリル)メタンスルホンアミド塩酸塩(152g,0.58mol)の、n−ブタノール(2.0l)中における撹拌懸濁液に、トリエチルアミン(161ml,1.16mol)およびさらにn−ブタノール(1.3l)を添加した。反応物を還流するまで加温し、この温度で11時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、真空濃縮し、残留物を水(2.65l)に懸濁し、炭酸水素ナトリウム(28.5g)を添加した。得られたスラリーを1夜撹拌し、濾過し、固体を水(500ml)で洗浄した。得られた湿潤固体をメタノール(4l)に添加し、得られた懸濁液を粘稠な懸濁液が得られるまで真空濃縮した。さらにメタノール(150ml)を添加し、得られたスラリーをメタノール(50ml,3回)で洗浄した。得られた固体を41℃で3夜真空乾燥した。次いで乾燥固体をアセトン/水(1/4(容量),1250ml)に1夜スラリー状にし、濾過し、固体をアセトン/水 1/4(50ml,3回)で洗浄し、54℃で2夜真空乾燥して表題化合物(245g)を得た。
【0050】
(iii)C形
4−アミノ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−イソキノリル)−6,7−ジメトキシ−5−(2−ピリジル)キナゾリン(純度約90%のバッチ0.1g,D形/非晶質混合物,1.7mmol)およびアジピン酸(0.027g,1.8mmol)の混合物に、アセトン(1.25ml)を添加し、得られた懸濁液を室温で3夜撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、48℃で1夜真空乾燥してある量の表題化合物を得た。
【0051】
(iv)E形
窒素下で4−アミノ−2−クロロ−6,7−ジメトキシ−5−(2−ピリジル)キナゾリン(105g,0.33mol)の、n−ブタノール(2.1l)中における撹拌懸濁液に、N−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリル)メタンスルホンアミド塩酸塩(152g,0.37mol)およびトリエチルアミン(106ml,0.73mol)を添加した。反応物を還流するまで加温し、6時間還流撹拌し、室温に冷却し、室温で1夜撹拌した。次いで混合物を再び還流し、6時間還流撹拌し、室温に冷却し、室温で1夜撹拌した。次いで反応混合物を真空濃縮し、残留物を水(1.68l)に懸濁し、炭酸水素ナトリウム(17.9g)を添加した。得られたスラリーを1夜撹拌し、濾過し、湿潤固体をアセトニトリル(1.16l)に添加した。得られたスラリーを加熱還流し、次いで室温に放冷し、室温で1夜撹拌した。得られたスラリーを濾過し、アセトニトリル(100ml,2回)で洗浄した。湿潤固体を室温でアセトン/水(1/4(容量),800ml)に1夜スラリー状にし、濾過し、固体をアセトン/水 1/4(50ml,2回)で洗浄し、45℃で1夜真空乾燥して158gの物質を得た。
【0052】
上記の製造で得た大部分の物質(155g)を同様な方法で調製した追加分の物質(596g)と一緒にし、アセトニトリル(5.28l)に懸濁した。この懸濁液を還流するまで加温し、90分間還流撹拌し、室温に冷却し、室温で1夜撹拌した。固体を濾過により採集し、アセトニトリル(100ml)で洗浄し、50℃で1夜真空乾燥して表題化合物(734g)を得た。
【0053】
実施例2
4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンメシラート
(i)下記の塩形成法を用いてB形遊離塩基をメタンスルホン酸塩にした。
【0054】
窒素下でB形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン(2.0g)の、ブタノン/水(10/1(容量),24ml)中における懸濁液を、20分間加熱還流した。溶液が得られるまでブタノン/水 10/1を添加した(3mlを追加,全溶媒容量を27mlにした)。この溶液を50℃に放冷し、メタンスルホン酸(0.38g,4.0mmol)を30分にわたって滴加した。添加容器をブタノン/水 10/1(0.25ml,2回)で洗浄し、洗液を反応器に添加した。得られた懸濁液を室温に放冷し、次いでこの温度で2時間撹拌した。固体を濾過により採集し、アセトン(2ml,2回)で洗浄し、30分間吸引乾燥し、54℃で1夜真空乾燥して表題化合物(2.2g)を白色固体として得た。
【0055】
【化6】
【0056】
(ii)下記の塩形成法を用いてE形遊離塩基をメタンスルホン酸塩にした。
【0057】
E形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−イソキノリル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン(1.0g,1.97mmol)の、アセトン/水(12/7(容量),9.5ml)中における懸濁液を、加熱還流した。メタンスルホン酸(0.19g,1.99mmol)を一度に添加した。添加容器を水(1ml)で洗浄し、得られた溶液を1夜室温に放冷した。得られた懸濁液から固体を濾過により採集し、45℃で1夜真空乾燥して表題化合物(1.14g)を白色固体として得た。
【0058】
実施例3
in vivoアッセイ
4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンメシラートを雌雄Spraque−Dawleyラットに1日30mg/kgで1カ月間経口投与すると、この化合物の薬理活性に関連する変化が誘発されたが、有害な作用の証拠はなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 メシラート塩のPXRDを示す。
【図2】 メシラート塩のDSCサーモグラムを示す。
【図3】 遊離塩基A、B、CおよびE形すべてのPXRDを示す。
【図4】 A形のDSCサーモグラムを示す。
【図5】 B形のDSCサーモグラムを示す。
【図6】 C形のDSCサーモグラムを示す。
【図7】 E形のDSCサーモグラムを示す。
【図8】 D形のDSCサーモグラムを示す。
【図9】 メシラート塩の吸湿を示す。
【図10】 A、BおよびE形の吸湿を示す。
【図11】 D形の吸湿を示す。
Claims (13)
- 示差走査熱量測定に際して約279℃で吸熱事象を示すことを特徴とする、請求項1に記載のメシラート塩。
- その試料が99%以上の単一多形を含有することを特徴とする、請求項4に記載の遊離塩基形。
- 医薬として使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無水遊離塩基またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン。
- 良性前立腺肥大の処置方法であって、療法有効量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の無水遊離塩基またはメシラート塩の形の4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンをその障害に罹患したヒトを除く患者に投与することを含む方法。
- 4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの溶液を、メタンスルホン酸の添加前に室温より高い温度に維持する、請求項8に記載の方法。
- 溶媒がブタノンと水の混合物である、請求項8または9に記載の方法。
- 溶媒がブタノンと水の10:1(容量)混合物である、請求項8、9または10に記載の方法。
- 下記の工程:
(a)ブタノン/水中における4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンの懸濁液を加熱還流し;
(b)溶液が得られるまでブタノン/水を添加し;
(c)該溶液を冷却し;
(d)メタンスルホン酸を添加し;そして
(e)得られた固体を濾過により採集する
を含む、請求項10または11に記載の方法。 - 4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノル−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリンが請求項4または5に記載のE形として存在する、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
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