JP3855946B2 - 水素透過フィルターの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素燃料供給システム、特に小型の燃料電池用水素燃料供給システムに利用可能な水素透過フィルター、及びそれを用いた燃料電池用水素燃料供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車並びに家庭用の燃料電池の水素燃料は、従来、圧縮水素、液体水素、水素ガス吸蔵材、あるいはメタノールや炭化水素の水蒸気改質法により供給している。しかしながら、圧縮水素、液体水素、水素ガス吸蔵材による水素供給は、大型な吸蔵装置が必要で、全体が極めて重くなる。一方、メタノールなどの水蒸気改質法を利用する場合には、改質装置自体が大きく、改質触媒の耐久性に大きな課題がある。さらに、水蒸気改質法を利用する場合にはCOやCO2が含まれるため、CO変質やCO2分離装置などが必要であり、燃料電池装置が大型化する傾向がある。そこで、NaBH4、KBH4あるいは水素化芳香族を原料とし、触媒による脱水素反応を利用した全体として小型の水素供給システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−110437号(第3−4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような水素供給システムを用いて、パソコンなど携帯用電子機器に搭載可能な小型の燃料電池ができれば、燃料電池の活用分野が大きく広がる。しかしながら、発生させた水素を含むガスを精製し、高純度水素のみを燃料電池に供給するために必要な水素分離装置に用いる水素分離フィルターの小型化については、いまのところ具体的に示されていない。
本発明は上記課題に対応してなされたもので、携帯用電子機器などに搭載可能な小型燃料電池装置に用いることができる、透過効率の高い小型の水素分離用水素透過フィルターを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の水素透過フィルターの製造方法は、シリコン基板の両側表面に熱酸化膜を成膜する工程と、前記シリコン基板の一方側の前記熱酸化膜面上に水素を選択的に透過させる水素透過膜を成膜し、該水素透過膜の面上にエッチング保護膜を成膜する工程と、前記シリコン基板の他方側の前記熱酸化膜を前記シリコン基板に形成しようとする複数の貫通孔に対応させてパターニングする工程と、前記パターニングに基づいて前記シリコン基板の前記貫通孔となる部分をエッチングにより除去する工程と、前記エッチング保護膜と、前記シリコン基板の前記他方側表面および前記シリコン基板の貫通孔部の熱酸化膜とを、エッチングにより除去する工程と、を備えたことを特徴とする。これにより、薄い水素透過膜をシリコン基板上に安定して成膜して保持することができる。しかも、そのシリコン基板には複数の貫通孔(水素通過孔)を加工性よく形成することができる。
【0006】
なお、前記熱酸化膜のパターニングは、前記シリコン基板の両側表面にレジスト膜をコーティングした後、パターニングしようとする前記熱酸化膜面上の前記レジスト膜に、前記シリコン基板に形成しようとする複数の貫通孔に対応したレジストパターニングを施し、そのレジストパターニングに基づいて前記熱酸化膜をエッチングすることにより行うことが好ましい。これにより、シリコン基板に微細な貫通孔を複数形成することが可能となる。
また、前記水素透過膜として、金属膜、特にパラジウムと銀の合金膜を成膜することが好ましい。パラジウムと銀の合金膜は、水素の透過率が高いことで知られている。
【0007】
また、前記エッチング保護膜としてプラズマCVDを用いたシリコン酸化膜を成膜することが好ましい。プラズマCVDを利用することで、水素透過膜にダメージを与えにくい温度(例えば、〜360℃)で、エッチングマスクとして優れたシリコン酸化膜を形成することができる。
また、前記水素透過膜の下地層として第1のチタン層またはクロム層を成膜し、前記貫通孔部の熱酸化膜のエッチングの後に、前記貫通孔部の前記第1のチタン層またはクロム層をエッチングして除去することが好ましい。なお、この第1のチタン層またはクロム層は、熱酸化膜と合金製水素透過膜の密着性を高めるように作用する。
また、前記エッチング保護膜の下地層として第2のチタン層またはクロム層を成膜し、前記エッチング保護膜のエッチングの後に、前記第2のチタン層またはクロム層をエッチングして除去することが好ましい。この第2のチタン層またはクロム層も、水素透過膜とエッチング保護膜の密着性を高めるように作用する。
【0008】
さらに、前記シリコン基板のエッチングがウェットエッチングまたはドライエッチングによる異方性エッチングであることが好ましい。これによりシリコン基板の深さ方向のエッチングを面方向のエッチングより早めて貫通孔の形成を効率よく行うことができる。
【0009】
また、上記水素透過フィルターの製造方法において、前記水素透過膜の成膜前、前記シリコン基板の水素透過膜を成膜しようとする面に複数の凹部を形成しても良い。これによれば、水素透過膜がシリコン基板の凹凸面に沿って成膜されることになるため、水素透過膜の成膜面積がより大きくなって水素透過領域を増大させることができる。
なお、前記複数の凹部は、前記シリコン基板の表面エッチングにより形成しても良いし、また、前記シリコン基板を選択的に酸化させ、その選択的に酸化された部分をエッチングにより除去することにより形成しても良い。
【0010】
本発明の水素透過フィルターは、複数の貫通孔を備えたシリコン基板と、前記シリコン基板に成膜された水素を選択的に透過する水素透過膜と、を備えたことを特徴とする。これにより、薄い水素透過膜を安定に保持しながら水素透過領域を大きく確保して水素透過率を向上させた小型の水素透過フィルターを得ることが可能となる。
この場合、前記水素透過膜が前記貫通孔部分において前記シリコン基板の内面側に凹んだ形状を有して成膜されているのが好ましい。こうすることで、水素透過膜の水素透過領域を大きく確保して、水素透過率を増大させることができる。なお、前記貫通孔を千鳥状に交互に配置しても良い。これにより、水素透過フィルターの全体的な強度を増すことができる。
また、前記貫通孔を連続して並置された複数の貫通孔の集合体からなる複数の貫通孔グループ毎に配置し、各グループ間におけるシリコン基板の間隔を前記連続並置された貫通孔間におけるシリコン基板の間隔より大きくし、隣り合う各グループ間の横方向位置または縦方向位置をずらして各グループを配置しても良い。これによっても、水素透過フィルターの全体的な強度を増すことができる。
【0011】
さらに、本発明の燃料電池用水素燃料供給システムは、水素化芳香族化合物あるいは金属水素化物を貯蔵する貯蔵容器と、前記貯蔵容器から水素化芳香族化合物あるいは金属水素化物を取り込んで脱水素触媒と反応させて水素を発生させる反応器と、前記反応器で生成された水素を精製しその精製水素を燃料電池へ供給する水素分離装置とを備えた燃料電池用水素燃料供給システムにおいて、前記水素分離装置で精製された精製水素の分離手段として、上記いずれかに記載の水素透過フィルターを備えたことを特徴とする。これにより、小型の燃料電池用水素燃料供給システムおよび燃料電池装置が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。なお、水素透過膜を成膜するために用いる基板には、シリコン基板、特に単結晶シリコン基板を使用し、水素を選択的に透過する水素透過膜としては金属膜、特に合金膜を使用するものとする。
【0013】
実施の形態1
本発明の実施の形態1の水素透過フィルターは、シリコン基板の表面に熱酸化膜を形成した後、そのシリコン基板の片面に水素を選択的に透過するフィルターとして機能する水素透過膜をスパッタ成膜し、残りの片面に熱酸化膜のパターニングを施し、シリコン基板を異方性ウェットエッチングして、多数の水素透過孔を備えたフィルター形状を得るようにしたものである。図1がこの実施の形態1に係る水素透過フィルターの製造工程の一例を示す工程図であり、それに基づいてこの水素透過フィルターの製造方法を説明する。なお、文中の符号(a)〜(g)は、図中のそれと対応している。
【0014】
(a)まず、面方位(110)のシリコン基板1の両側面(水素透過膜成膜面2およびエッチング面3)をそれぞれ鏡面研磨し、例えば、厚み180μmの基板を作製する。
(b)次に、そのシリコン基板1を熱酸化炉にセットして酸素及び水蒸気雰囲気にし、摂氏1075度の温度で4時間熱酸化処理を施し、シリコン基板1の表面に1.1μmのSiO2膜(熱酸化膜)4を形成する。
(c)次に、シリコン基板1の水素透過膜成膜面2側のSiO2膜上に、水素透過膜(フィルター膜)として、パラジウム(Pd)と銀(Ag)の合金からなる合金膜50(厚み約1μm)を成膜する。ただし、SiO2膜4と合金膜50との密着性を高めるために、SiO2膜4に、まず、チタン膜(Ti)またはクロム膜(Cr)を成膜し、それらのチタン膜またはクロム膜上に、合金膜50を成膜するのが良い。また、合金膜50とその合金膜50上に後から成膜されるSiO2膜(シリコン酸化膜)6との密着性を高めるために、合金膜50上にも、チタンまたはクロムを成膜するのが良い。従ってここでは、図6に示すように、シリコン基板1のSiO2膜4上に、チタン膜51(厚さ約30nm)、合金膜50(厚さ約1μm)、チタン膜52(厚さ約30nm)の順で成膜して、金属積層膜5を形成する。
(d)次に、シリコン基板1をプラズマCVD装置にセットして、TEOSと酸素を導入して、例えば摂氏360度の温度で成膜処理を施し、金属積層膜5面に、例えば2μmのSiO2膜6をエッチング保護膜として形成する。
(e)次に、シリコン基板1の両面2,3にレジスト膜(図示せず)をコーティングし、シリコン基板1に複数の貫通孔(水素の通過孔となるもの)7からなるメッシュ構造を作り込むためのレジストパターニングを、シリコン基板1のエッチング面3側のレジスト膜に施す。なお、このレジストパターニングは、フォトリソグラフィー技術などを利用して行うことができる。そして、そのレジストパターニングを施したシリコン基板1のエッチング面3側のSiO2膜を、フッ酸水溶液でエッチングしてパターニングする。その後、シリコン基板1両面のレジスト膜を剥離する。
(f)次に、シリコン基板1を、例えば35wt%の高濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、シリコン基板1に貫通孔7を形成するための異方性エッチングを行う。この時、シリコン基板1のエッチング面に露出している表面部分から順にエッチングされて行く。そして、エッチングによる貫通孔7がシリコン基板1の水素透過膜成膜面2側のSiO2膜4に達するまでこのエッチングを継続する。
(g)最後に、シリコン基板1のエッチング面3および貫通孔部7に残留したSiO2膜4と、合金膜50上に成膜されていたチタン膜52を、フッ酸水溶液を用いてエッチング除去する。これにより、複数の貫通孔7を備えたメッシュ構造のシリコン基板1に合金膜50が成膜された、水素透過フィルターが完成する。
【0015】
これによって、水素透過膜である合金膜50を支持部材であるシリコン基板1に成膜して保持させることができるとともに、成膜された合金膜50に悪影響を与えることなく、シリコン基板1に複数の貫通孔からなるメッシュ構造を形成することができる。これは、小型で透過率の高い水素透過フィルターを実現可能とする。なお、上記工程(f)のシリコン基板1のエッチングは、異方性ウェットエッチングに代えて、例えばICPプラズマエッチング装置を用いた異方性ドライエッチングとしても良い。
【0016】
実施の形態2
本発明の実施の形態2の水素透過フィルターは、シリコン基板の水素透過膜成膜面側に予めエッチングによる複数の凹部を形成した後、実施の形態1と同様な工程を経てフィルター形状を得るようにしたものである。図2、図3がこの実施の形態2に係る水素透過フィルターの製造工程の一例を示す工程図であり、それに基づいてこの水素透過フィルターの製造方法を説明する。なお、文中の符号(a)〜(k)は、図中のそれと対応している。
【0017】
(a)まず、面方位(110)のシリコン基板1の両側面(水素透過膜成膜面2およびエッチング面3)をそれぞれ鏡面研磨し、例えば、厚み180μmの基板を作製する。
(b)次に、シリコン基板1を熱酸化炉にセットして酸素及び水蒸気雰囲気にし、摂氏1075度の温度で4時間熱酸化処理を施し、シリコン基板1の表面に1.1μmのSiO2膜(熱酸化膜)4を形成する。
(c)次に、シリコン基板1の両面にレジスト膜(図示せず)をコーティングし、水素透過膜成膜面2側に複数の凹部8を作り込むためのレジストパターニングを施す。なお、このレジストパターニングは、フォトリソグラフィー技術などを利用して行うことができる。そしてレジストパターニングを施した水素透過膜成膜面2側を、フッ酸水溶液でエッチングしてSiO2膜4を複数の凹部8に対応させてパターニングする。その後、シリコン基板1両面のレジストを剥離する。(d)次に、シリコン基板1を35wt%の高濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、シリコン基板の異方性エッチングを行う。この時、シリコン基板1の表面に露出している部分から順にエッチングされて、(111面)で構成されたV字状の凹部8が形成される。
(e)次に、シリコン基板1に残留したSiO2膜4をフッ酸水溶液を用いてエッチングにより除去する。
なお、引き続く(f)〜(k)の工程は、実施の形態1の(b)〜(g)の工程と同じであるため、説明を省略する。
【0018】
これによれば、シリコン基板1の凹部8に形成された水素透過膜である合金膜50は、シリコン基板の内面側に凹んだ形状を有して成膜されることになる。従って、シリコン基板1上での合金膜50の成膜面積はシリコン基板が平坦な場合より大きくなる。このため、合金膜50の凹んだ形状部がシリコン基板1の貫通孔7と対応している部分では水素透過領域が増大して、水素の透過効率を向上させる。従って、合金膜50の凹んだ形状部と貫通孔7とをできるだけ多く対応させるようにするのがより好ましい。なお、上記工程(d)のシリコン基板1のエッチングは、例えばICPプラズマエッチング装置を用いた異方性ドライエッチングで行っても良い。
【0019】
実施の形態3
本発明の実施の形態3の水素透過フィルターは、実施の形態2の水素透過フィルターの変形例であり、実施の形態2との相違点は、シリコン基板1の水素透過膜成膜面2側に形成する凹部を、異方性エッチングではなく、等方性エッチングにより形成した点である。従って、この水素透過フィルターも、基本的には図2、図3で示した工程を経て行われるが、シリコン基板1の水素透過膜成膜面2側の形状が異なることになる。
例えば、シリコン基板1の水素透過膜成膜面2側をフッ酸系水溶液であるフッ硝酢酸により等方性エッチングを行うと、その面は、図2の(d)ではなく、図4の(d−1)のように、丸みを帯びた多数の凹部9が形成される。そして、その丸みを帯びた多数の凹部9が形成されたシリコン基板1を利用して、図2の工程と同様に、再度の熱酸化膜の成膜および合金膜の成膜を実施すことで、図4の(g−1)に示したような基板1となる。そしてさらに、図3の工程と同様の工程を経ることによって、図4の(k−1)に示すような水素透過フィルターが得られる。この方法によっても、合金膜50の成膜面積がシリコン基板が平坦な場合より大きくなって水素透過領域が増大し、水素の透過効率を向上させることができる。従ってここでも、合金膜50の凹んだ形状部と貫通孔7とをできるだけ多く対応させるようにするのがより好ましい。なお、上記工程(d−1)のシリコン基板1のエッチングは、ドライエッチングで行っても良い。
【0020】
実施の形態4
本発明の実施の形態4の水素透過フィルターは、実施の形態2、3と同様の考えに基づくものである。ただし、ここではシリコン基板1の水素透過膜成膜面2側に形成する凹部を、選択酸化によって発生する段差を利用して形成するようにしたものである。図5がこの実施の形態4に係る水素透過フィルターの製造工程の一例を示す工程図であり、それに基づいてこの水素透過フィルターの製造方法を説明する。なお、文中の符号(a)〜(e)は、図中のそれと対応している。
【0021】
(a)まず、面方位(110)のシリコン基板1の両側面(水素透過膜成膜面2およびエッチング面3)をそれぞれ鏡面研磨し、例えば、厚み180μmの基板を作製する。そして、そのシリコン基板1をLP−CVD装置にセットし、900℃の条件でシリコン基板1の表面に窒化膜10を約0.3μmの厚みで成膜する。さらに、凹部を形成しようとする部分をレジストパターニングした後、ドライエッチングにより凹部を形成しようとする部分の窒化膜を除去する。
(b)次に、シリコン基板1を熱酸化炉にセットして酸素及び水蒸気雰囲気にし、摂氏1075度の温度で16時間酸化処理し、シリコン基板1の表面に厚み約2μmのSiO2膜(熱酸化膜)11を形成する。このとき、窒化膜10が除去された部分のみが選択的に酸化される。
(c)次に、加熱したリン酸で窒化膜10をエッチングにより除去し、続いてSiO2膜11をフッ酸水溶液でエッチングにより除去する。これにより深さ約0.9μmの微小な凹部12が形成される。
なお、引き続く工程は、実施の形態1の(b)〜(g)の工程と同じであり、それによって、図5の(d)の状態を経て、図5の(e)のような水素透過フィルターが得られる。
【0022】
以上のように選択酸化を利用した加工により、微小な凹み形状を多数持った合金膜50をシリコン基板1に形成することができ、これによりシリコン基板1上の合金膜50の表面積を実質的に大きくすることができる。従って、水素の透過領域が増大して、水素透過率の向上した水素透過フィルターを得ることができる。なお、工程(c)における窒化膜10やSiO2膜11のエッチングを、ドライエッチングで行っても良い。
【0023】
実施の形態5
本発明の水素フィルターは、シリコン基板1に形成された多数の貫通孔7が水素通過孔として作用する。従って、貫通孔7は多いほどよいが、水素透過膜を安定して保持するためには、シリコン基板1が一定の強度を保つことが必要となる。このため、ここでは、次のような2つの構成を提案する。第1の構成は、図7に示すように、貫通孔7を千鳥状に交互に配置するものである。これによれば、貫通孔7を大きく形成して水素の透過効率を高くしながら、シリコン基板1の強度も維持可能となる。
【0024】
一方、第2の構成は、図8に示すように、貫通孔7を連続して並置された複数の貫通孔7の集合体からなる複数の貫通孔グループ70毎に配置し、各グループ70間におけるシリコン基板1の間隔を連続並置された貫通孔7間におけるシリコン基板1の間隔より大きくし、隣り合う各グループ70間の横方向位置または縦方向位置をずらして各グループ70を配置するものである。この場合、貫通孔7の領域は第1の場合に比べて少なくなるが、この水素透過フィルターを配置した前後(燃料タンク側と燃料電池側)の圧力差が大きくなる場合に、フィルター全体の強度を増し、フィルターの破壊を防ぐことができる。
【0025】
以上本発明の実施の形態を説明したが、各記実施の形態において示した、加工温度、加工時間、エッチング液の濃度、板厚、膜厚、凹部深さなどの各値は例示であって、本発明は必ずしもそれらの数値に限定されるわけではない。また、水素透過膜としてPd−Ag合金を用いたが、それに限らず、良好な水素透過率を有する他の金属や合金を適用してもよい。
【0026】
上記実施の形態において、水素透過膜である合金膜50面にSiO2膜をエッチング保護膜として成膜することによって、エッチング時、合金膜50のダメージ防止及びシリコン基板1からの剥離防止を図ることができるが、そのSiO2膜をプラズマCVDを利用して成膜すると、成膜時に合金膜50に与える熱的ダメージを少なくできる。また、シリコン基板1に貫通孔7や凹部8,9,12を設ける加工をエッチングにより行うことで、微細な同時加工が可能となる。そして、水素透過膜に凹凸形状を設けることでガスに接するフィルター面積を実質的に大きくすることができ、水素の透過領域を増大させることができる。さらに、上記各記実施の形態によれば、複数の水素透過フィルターが切り出し可能な1枚のシリコンウェハーを用いて、上記加工工程の1サイクルにより、同時に複数の水素透過フィルターを得ることができるという利点もある。
【0027】
最後に、上記実施の形態で得られたフィルター利用した燃料電池用水素燃料供給システムについて説明する。本発明の実施に形態による燃料電池用水素燃料供給システムは、例えば、図9のような構成とすることができる。ここでは、水素化芳香族化合物あるいは金属水素化物の貯蔵容器としての燃料タンク61と、燃料タンク61から水素化芳香族化合物あるいは金属水素化物を取り込んで脱水素触媒と反応させて水素を含むガスを発生させる反応器63と、反応器63で生成されたガスを精製し水素のみを取り出す水素分離装置64と、水素分離装置64により分離された廃液を貯める廃液タンクと、燃料タンク61から反応器63へ水素化芳香族化合物燃料を供給するためのポンプ62とを備える。なお、水素分離装置64には、実施の形態1〜5の方法により製造された水素透過フィルター65が配置されており、そのフィルター65によって水素のみが選択的に透過して、その水素が燃料電池へ送られるようになっている。先に説明した各実施の形態の水素透過フィルター製造方法によれば、水素透過フィルターを、例えば2cm角程度に小型に形成できる。従って、水素分離装置64及びそれを備えた水素燃料供給システムを小型でき、この水素供給システムを備えた燃料電池装置を携帯用電子機器に搭載することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る水素透過フィルターの製造工程図。
【図2】 実施の形態2に係る水素透過フィルターの製造工程図。
【図3】 図2の続きを示す水素透過フィルターの製造工程図。
【図4】 実施の形態3に係る水素透過フィルターの製造工程図。
【図5】 実施の形態4に係る水素透過フィルターの製造工程図。
【図6】 エッチング前のシリコン基板の水素透過膜成膜面側構造図。
【図7】 水素透過フィルターの水素透過孔の配置の一例を示す平面図。
【図8】 水素透過フィルターの水素透過孔の配置の別例を示す平面図。
【図9】 各実施の形態の水素透過フィルターを備えた燃料電池用水素燃料供給システムの構成図。
【符号の説明】
1…シリコン基板、2…シリコン基板の水素透過膜成膜面、3…シリコン基板のエッチング面、4…SiO2膜(熱酸化膜)、5…金属積層膜(Ti/Pd−Ag/Ti)、6…SiO2膜(エッチング保護膜)、7…貫通孔、8,9…凹部、10…窒化膜、11…SiO2膜(熱酸化膜)、12…凹部、50…パラジウムと銀の合金膜、51,52…チタン膜、64…水素分離装置、65…水素透過フィルター。

Claims (10)

  1. シリコン基板の両側表面に熱酸化膜を成膜する工程と、前記シリコン基板の一方側の前記熱酸化膜面上に水素を選択的に透過させる水素透過膜を成膜し、該水素透過膜の面上にエッチング保護膜を成膜する工程と、
    前記シリコン基板の他方側の前記熱酸化膜を前記シリコン基板に形成しようとする複数の貫通孔に対応させてパターニングする工程と、
    前記パターニングに基づいて前記シリコン基板の前記貫通孔となる部分をエッチングにより除去する工程と、
    前記エッチング保護膜と、前記シリコン基板の前記他方側表面および前記シリコン基板の貫通孔部の熱酸化膜とを、エッチングにより除去する工程と、
    を備えることを特徴とする水素透過フィルターの製造方法。
  2. 前記熱酸化膜のパターニングは、前記シリコン基板の両側表面にレジスト膜をコーティングした後、パターニングしようとする前記熱酸化膜面上の前記レジスト膜に、前記シリコン基板に形成しようとする複数の貫通孔に対応したレジストパターニングを施し、そのレジストパターニングに基づいて前記熱酸化膜をエッチングすることにより行うことを特徴とする請求項1記載の水素透過フィルターの製造方法。
  3. 前記水素透過膜としてパラジウムと銀の合金膜を成膜することを特徴とする請求項1または2記載の水素透過フィルターの製造方法。
  4. 前記エッチング保護膜としてプラズマCVDを用いたシリコン酸化膜を成膜することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水素透過フィルターの製造方法。
  5. 前記水素透過膜の下地層として第1のチタン層またはクロム層を成膜し、前記貫通孔部の熱酸化膜のエッチングの後に、前記貫通孔部の前記第1のチタン層またはクロム層をエッチングして除去することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水素透過フィルターの製造方法。
  6. 前記エッチング保護膜の下地層として第2のチタン層またはクロム層を成膜し、前記エッチング保護膜のエッチングの後に、前記第2のチタン層またはクロム層をエッチングして除去することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水素透過フィルターの製造方法。
  7. 前記シリコン基板のエッチングがウェットエッチングまたはドライエッチングによる異方性エッチングであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水素透過フィルターの製造方法。
  8. 前記水素透過膜の成膜前、前記シリコン基板の水素透過膜を成膜しようとする面に複数の凹部を形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の水素透過フィルターの製造方法。
  9. 前記複数の凹部を前記シリコン基板の表面エッチングにより形成することを特徴とする請求項8記載の水素透過フィルターの製造方法。
  10. 前記複数の凹部を、前記シリコン基板を選択的に酸化させ、その選択的に酸化された部分をエッチングにより除去することにより形成することを特徴とする請求項8記載の水素透過フィルターの製造方法。
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