JP3854080B2 - 立体駐車装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,車両搭載用パレットを上下少なくとも二段有してピット内に昇降可能に配設されるパレット昇降体と,このパレット昇降体を昇降駆動する昇降駆動手段と,この昇降駆動手段の作動を制御する制御手段とを備えた立体駐車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記立体駐車装置において,ピット内への水の侵入を検出し得る水位センサを備え,このセンサの水侵入検出に応じてパレット昇降体を自動的に緊急上昇させて,該パレット昇降体及び自動車の水没を未然に防止できるようにした技術は,例えば実公平5−3642号公報に開示されるように従来公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記の従来装置では,水位センサの水侵入検出に応じて一律にパレット昇降体を緊急上昇させるため,パレット昇降体の上段側のパレット上で駐車車両の乗降者が歩いている時やその上段パレット上で車両が入出庫している時に上記緊急上昇が不用意に始まってしまう可能性があり,安全上,好ましいことではない。
【0004】
本発明は,斯かる実情に鑑みてなされたもので,ピット内への水侵入に応じたパレット昇降体の緊急上昇を適切なタイミングで安全に行えるようにした立体駐車装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のため請求項1の発明は,車両搭載用パレットを上下少なくとも二段有してピット内に昇降可能に配設されるパレット昇降体と,このパレット昇降体を昇降駆動する昇降駆動手段とを備えた立体駐車装置において,パレット昇降体を平時に昇降制御するための昇降用操作手段と,パレット昇降体を非常時に上昇制御するための非常用操作手段とが制御手段に夫々接続され,その制御手段は,昇降用操作手段への操作入力に基づいてパレット昇降体を昇降させるように昇降駆動手段の作動を制御し,また非常時には非常用操作手段への操作入力のみに基づいてパレット昇降体を上昇させるように昇降駆動手段の作動を制御することを特徴とする。
【0006】
この請求項1の発明の上記特徴によれば,非常時には非常用操作手段への操作入力のみに基づいてパレット昇降体を上昇させるように昇降駆動手段の作動を制御するので,ピット内への水侵入時において,駐車装置の状況(たとえば,上段側パレット上の歩行者や車両の動き等)を見た上で非常用操作手段への操作入力を行うことにより,パレット昇降体の緊急上昇を適切なタイミングで慎重且つ安全に行うことが可能となる。
【0007】
また請求項2の発明は,各々が車両搭載用パレットを上下少なくとも二段有してピット内にそれぞれ昇降可能に並設される複数列のパレット昇降体と,それらパレット昇降体を昇降駆動する昇降駆動手段とを備えた立体駐車装置において,パレット昇降体を平時に昇降制御するための昇降用操作手段と,パレット昇降体を非常時に上昇制御するための非常用操作手段とが制御手段に夫々接続され,その制御手段は,昇降用操作手段への操作入力に基づいて任意のパレット昇降体を昇降させるように昇降駆動手段の作動を制御し,また非常時には非常用操作手段への操作入力に基づいて全部のパレット昇降体を同時に上昇させるように昇降駆動手段の作動を制御することを特徴とする。
【0008】
この請求項2の発明の上記特徴によれば,非常時には非常用操作手段への操作入力に基づいて全部のパレット昇降体を同時に上昇させるように昇降駆動手段の作動を制御するので,ピット内への水侵入時において,駐車装置の状況(例えば上段側パレット上の歩行者や車両の動き等)を見た上で非常用操作手段への操作入力を行うことにより,パレット昇降体の緊急上昇を適切なタイミングで慎重且つ安全に行うことが可能となり,またパレット昇降体が複数列在っても,これらの緊急上昇動作を迅速に行わせることができる。
【0009】
また請求項3の発明は,請求項1又は2の発明の特徴に加えて,前記ピット内への所定量以上の水侵入を検出し得る水侵入検出手段が前記制御手段に接続され,該制御手段は,前記水侵入検出手段が前記水侵入を検出しないときは前記非常用操作手段への操作入力を無効とし,前記水侵入を検出しているときは同操作入力を有効とすることを特徴とする。この特徴によれば,水侵入検出手段が前記水侵入を検出しないときは,非常用操作手段への操作入力が誤ってされても,これを無効にできるため,ピット内が浸水していない平時の使用状態で,非常用操作手段に対する誤操作に因りパレット昇降体が誤って緊急上昇するのを未然に防止することができる。
【0010】
また請求項4の発明は,請求項3の発明の特徴に加えて,前記ピット内への水侵入を警報し得る警報手段と,この警報手段の警報作動を確認したときに操作入力すべき確認操作手段とが前記制御手段に接続され,該制御手段は,前記水侵入検出手段が前記水侵入を検出するのに基づいて前記警報手段を警報作動させ,またその警報作動中に水侵入検出手段が前記水侵入を検出しなくなると,前記確認操作手段への操作入力に基づいて該警報作動を停止させることを特徴とする。この特徴によれば,確認操作手段への操作入力後に上記警報作動が停止すれば,そのことにより,警報が誤報であったこと或いは不要となったことを容易に確認することができる。また誤報等でない場合は,確認操作手段への操作入力後も上記警報作動が継続されるため,操作者に非常用操作手段への操作入力を引き続き促すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を,添付図面に示した本発明の一実施例について説明する。
【0012】
図1は,本発明の一実施例に係る立体駐車装置を示す断面図,図2は図1の2矢視部拡大図(図3の2−2線断面図),図3は図2の3−3線断面図,図4は,パレット昇降体が上昇位置にある状態を示す図2対応図,図5は昇降用操作盤の拡大正面図(図1の5矢視部拡大図),図6は非常用操作盤の拡大正面図(図1の6矢視部拡大図),図7は制御ブロック図,図8は通常昇降時の制御手順を示すフローチャート,図9は緊急上昇時の制御手順を示すフローチャート,図10は,緊急上昇から通常昇降への復帰のための制御手順を示すフローチャートである。
【0013】
図1〜4において,設置面Eに設けられる立体駐車装置Aは,互いに並列する複数(図示例では2つ)の単位駐車装置A1,A2より構成される。その各単位駐車装置A1,A2は,各々が車両搭載用パレットPu,Pdを上下2段有して,設置面Eに凹設したピットP1,P2内にそれぞれ昇降可能に並設される2列のパレット昇降体S1,S2を備えている。その各パレット昇降体S1,S2には,これを昇降駆動する昇降駆動手段D1,D2が連結される。
【0014】
各パレット昇降体S1,S2は,複数のフレーム材を略直方体状に枠組みして構成される枠体Fと,この枠体Fに一体的に結合されて上下に間隔をおいて並ぶ水平な平板状パレットPu,Pdとを備えており,各ピットP1,P2内に設けた昇降案内機構(図示せず)により昇降可能に案内支持される。尚,図示しないが,昇降案内機構と各パレット昇降体S1,S2間には,該昇降体の昇降位置を検出して後述する制御装置Cに出力する位置検出手段が設けられる。
【0015】
各昇降駆動手段D1,D2は,各パレット昇降体S1,S2の左右両側で各ピットP1,P2の底面に立設した左右各一対の前,後支柱1と,その左右一方の前,後支柱1の上部に回転自在に設けられてモータ2により駆動される駆動スプロケット3と,各パレット昇降体S1,S2の前後左右両側の下部にそれぞれ回転自在に設けられる複数の被動スプロケット4と,左右の対をなす支柱1の上部に両端がそれぞれ固定連結され中間部が駆動スプロケット3及び各被動スプロケット4に掛け渡されて駆動スプロケット3の回転力をパレット昇降体S1,S2の昇降駆動力に変換するチェン5とを備えている。尚,モータ2には,非通電時にその逆転を防止するロック機構が付設されている。
【0016】
従って,各パレット昇降体S1,S2が図2に示すように下降位置にあるときに,モータ2を正回転させると,その回転力が駆動スプロケット3,チェン5及び被動スプロケット4を介して各パレット昇降体S1,S2に伝わり,それを上昇させることができ,また各パレット昇降体S1,S2が図4に示すように上昇位置にあるときに,モータ2をフリー回転又は逆回転させると,各パレット昇降体S1,S2をその自重又はモータ2の逆回転力で下降させることができる。
【0017】
また各ピットP1,P2には,該ピットP1,P2に侵入した水を外部に強制排出するための排水ポンプ6と,該ピットP1,P2内への所定量以上(図示例ではピット底面からの所定水位以上)の水侵入を検出し得る水侵入検出手段としての水位センサ7とが設けられる。尚,この排水ポンプ6は,水位センサ7の水侵入検出に応じて自動的にポンプ作動させるように構成してもよいし,操作者の任意のスイッチ操作でポンプ作動させるように構成してもよい。
【0018】
各単位駐車装置A1,A2には,その車両出入口の近くにおいて,任意のパレット昇降体S1,S2を平時に昇降制御するための昇降用操作手段としての昇降用操作盤C1,C2が設けられる。それらの操作盤C1,C2は,図示例では前記車両出入口の左右一側の設置面E上に立設した通常操作用支柱8の上部に連設される。
【0019】
各昇降用操作盤C1,C2には,昇降用制御装置CXと,管理者の持つキーにより操作され各単位駐車装置A1,A2を作動・不作動状態を切換えるメインスイッチSW1と,昇降制御すべきパレット昇降体S1,S2を任意に選択する切換スイッチSW2と,その切換スイッチSW2で選択されたパレット昇降体S1,S2を上昇させるための上昇スイッチSWuと,同パレット昇降体S1,S2を下降させるための下降スイッチSWdとが設けられ,更に各昇降用操作盤C1,C2の上端部には警報手段としての回転灯Lが付設される。
【0020】
また立体駐車装置Aには,前記車両出入口の近くにおいて,パレット昇降体S1,S2を非常時に上昇制御するための非常用操作盤CEが設けられる。その非常用操作盤CEは,図示例では前記車両出入口の他側の設置面E上に立設した非常操作用支柱9の上部に連設される。
【0021】
前記非常用操作盤CEには,非常用制御装置CYと,非常用操作手段としての緊急スイッチ10と,ピットP1,P2内への水侵入を警報し得る警報手段としてのブザーBと,ブザーBの警報作動を任意に停止させるためのブザー入切スイッチ11と,このブザーBの警報作動を確認したときに管理者が操作入力すべき確認操作手段としての確認スイッチ12とが設けられる。それら緊急スイッチ10及び確認スイッチ12のスイッチボタンには,それらスイッチへの操作入力が有効な場合に点灯する表示ランプが内蔵されている。尚,このような表示ランプは,緊急スイッチ10及び確認スイッチ12のスイッチボタンの近傍に該ボタンと別個に設けてもよい。
【0022】
また各単位駐車装置A1,A2には,各パレット昇降体S1,S2において設置面Eと略同一レベルにあるパレットPu,Pdに対する人又は車両の出入動作を検出し得る出入動作検出手段としての光電センサ15が設けられる。この光電センサ15の発光部15a及び受光部15bは,各単位駐車装置A1,A2の車両出入口の近く(図示例では該車両出入口の左右両側に位置する前記通常操作用支柱8又は専用支柱18)にそれぞれ同一高さを以て設置されていて互いに対向しており,その発光部15a及び受光部15b間の空間(車両出入口)を人や車が通過すること,即ち対応するパレットPu又はPdに対し人や車が出入りすることを光学的に検出して制御装置Cに検出信号を出力する。
【0023】
尚,この出入動作検出手段15として,図示例のような光電センサに代えて他の適当な検出手段,例えば赤外線センサ,超音波センサ,機械的な接触センサ等を使用して,パレットPu,Pdに対する人又は車両の出入動作を検出するようにしてもよい。
【0024】
図7に示すように,制御手段としての制御装置Cは,前記昇降用制御装置CX及び非常用制御装置CYより構成される。昇降用制御装置CXは,各単位駐車装置A1,A2の昇降用操作盤C1,C2における各スイッチSW1,SW2,SWu,SWd,出入動作検出手段15,警報用の回転灯L及びブザーB,各パレット昇降体S1,S2の昇降駆動手段D1,D2に接続され,また非常用制御装置CYは,非常用操作盤CEにおける各スイッチ10〜12,水位センサ7,出入動作検出手段15,警報用の回転灯L及びブザーB,各単位駐車装置A1,A2の各パレット昇降体S1,S2の昇降駆動手段D1,D2に接続される。
【0025】
次に図8〜10のフローチャートを併せて参照して,前記実施例の作用を説明する。
通常のパレット昇降操作
各単位駐車装置A1,A2の昇降用操作盤C1,C2において,メインスイッチSW1がキーによりオン操作されると,対応する単位駐車装置A1,A2が随時に作動可能な待機状態となり,図8のフローが開始される。
【0026】
このフローにおいて,上昇又は下降スイッチSWu,SWdに対するオン操作がなされ(ステップS1),出入動作検出手段としての光電センサ15のオフ動作により,設置面Eに並ぶパレットPu又はPdに対し人又は車が出入動作していないことが確認され(ステップS2),更に緊急スイッチ10がオン操作されていなければ(ステップS3),ステップS4に進んで切換スイッチ11が何れの列のパレット昇降体S1,S2を選択しているか判断する。
【0027】
ここで第1列のパレット昇降体S1が選択された場合は,ステップS5に進んで該第1列のパレット昇降体S1と隣接するパレット昇降体S2(即ち当該単位駐車装置の第2列のパレット昇降体S2と,左隣に他の単位駐車装置がある場合には該他の単位駐車装置の第2列のパレット昇降体S2)の昇降動作を禁止するインターロック機能をセットした上で,該第1列のパレット昇降体S1を上昇又は下降させ(ステップS6),それが上昇位置又は下降位置に達すると(ステップS7),その上昇又は下降を停止させ(ステップS8),最後に前記インターロック機能のセットを解除する(ステップS9)。
【0028】
一方,ステップS4で第2列のパレット昇降体S2が選択された場合は,ステップS10に進んで該第2列のパレット昇降体S2と隣接するパレット昇降体S1(即ち当該単位駐車装置の第1列のパレット昇降体S1と,右隣に他の単位駐車装置がある場合には該他の単位駐車装置の第1列のパレット昇降体S1)の昇降動作を禁止するインターロック機能をセットした上で,該第2列のパレット昇降体S2を上昇又は下降させ(ステップS11),それが上昇位置又は下降位置に達すると(ステップS12),その上昇又は下降を停止させ(ステップS13),最後に前記インターロック機能のセットを解除する(ステップS14)。
【0029】
このようにして各単位駐車装置A1,A2の昇降用操作盤C1,C2への操作入力に基づいて任意のパレット昇降体S1(S2)を昇降させるときに,その隣のパレット昇降体S2(S1)の同時昇降を禁止することができるため,ピットP1,P2内への浸水のない平時の使用状態において,任意のパレット昇降体S1(S2)を昇降させた時の安全確保が図られる。
非常時のパレット緊急上昇操作
各単位駐車装置A1,A2の前記待機状態で,水位センサ7が何れかのピットP1,P2内への所定量以上の水侵入を検出すると(ステップS20),その後は非常用操作盤CEにおける緊急スイッチ10の操作入力が有効となり(ステップS21),緊急スイッチ10及び確認スイッチ12の各ボタンランプが点灯し(ステップS22),更にブザーBが鳴り且つ回転灯Lが点灯して警報する(ステップS23)。
【0030】
ここで管理者等が警報を確認して確認スイッチ12をオン操作すると(ステップS24),ステップS25に進んで水位センサ7が水侵入を依然として検出しているか判断され,検出している場合には,緊急スイッチ10及び確認スイッチ12のボタンランプの点灯状態が継続し(ステップS26),ブザーBの鳴動及び回転灯Lの点灯も継続して(ステップS27),警報が引き続き発せられ,これにより,操作者に対し緊急スイッチ10への操作入力を促すことができる。
【0031】
その後,緊急スイッチ10がオン操作され(ステップS28),光電センサ15のオフ動作により,設置面Eに並ぶパレットPu又はPdに対し人又は車が出入動作していないことが確認されると(ステップS29),ステップS30に進んで,ピットが浸水状態にある単位駐車装置A1,A2について昇降用制御盤C1,C2における上昇及び下降スイッチSWu,SWdへの操作入力を無効にし前記インターロック機能をセット解除した上で,ステップS31に進んで,浸水状態のピットP1,P2内で下降位置にある全パレット昇降体S1,S2を同時に緊急上昇させ,それらが上昇位置に達すると(ステップS32),その上昇を停止させる(ステップS33)。
【0032】
そこで緊急スイッチ10がオフ操作されると(ステップS34),それ以降の上昇及び下降スイッチSWu,SWdへの操作入力を有効とし前記インターロック機能をセットする(ステップS35)。
【0033】
一方,ステップS25で水位センサ7が水侵入を検出しなくなった場合には,緊急スイッチ10及び確認スイッチ12のボタンランプが消灯し(ステップS40),ブザーBの鳴動も停止すると共に回転灯Lも消灯し(ステップS41),前記パレット昇降体S1,S2の同時緊急上昇は行われない。
緊急上昇後,通常昇降への復帰フロー
上記の緊急上昇後において,排水ポンプ6によるピット内排水が完了して水位センサ7がピットP1,P2内への所定量以上の水侵入を検出しなくなると(ステップS50),その後は緊急スイッチ10への操作入力が無効となり(ステップS51),緊急スイッチ10及び確認スイッチ12のボタンランプが消灯する(ステップS52)。ここで管理者等が警報を確認して確認スイッチ12を押すと(ステップS53),ブザーBが鳴り止むと共に回転灯Lが消灯して警報を停止して,通常の使用状態に戻る(ステップS54)。
【0034】
而して前記緊急上昇時には,非常用操作手段としての緊急スイッチ10に対する操作入力のみに基づいてパレット昇降体S1,S2を緊急上昇させるようにしているので,例えば少なくとも一方のパレット昇降体S1,S2が下降位置にある状態でピットP1,P2内へ水が侵入してブザーBや回転灯Lが警報作動したような場合において,管理者等は,駐車装置A1,A2の状況(例えば設置面Eに並ぶ上段側のパレットPu上及びその周辺の人や車の動き等)を見た上で緊急スイッチ10への操作入力を行うことにより,パレット昇降体S1,S2の緊急上昇を適切なタイミングで慎重且つ安全に行うことができる。また1つのピットP1,P2内にパレット昇降体S1,S2が複数列,並設されていても,これらを同時一斉に緊急上昇させることができるから,緊急上昇を迅速に完了させることができる。
【0035】
また水侵入検出手段としての水位センサ7がピットP1,P2内への水侵入を検出したときにだけ緊急スイッチ10への前記操作入力が有効とされ,その水侵入を検出していないときは緊急スイッチ10への前記操作入力が無効とされる。このため,ピットP1,P2内への水侵入がない平時の使用状態では,緊急スイッチ10が誤操作されても,その誤差操作に因りパレット昇降体S1,S2が緊急上昇するのを確実に防止することができる。
【0036】
また水位センサ7による水侵入検出に応じてブザーB及び回転灯Lが警報作動を開始した後,水位センサ7が何等かの原因で水検出を検出しなくなった場合,例えば水位センサ7に布等が絡み付いたことに起因して該センサ7が誤って検出作動したが,その後に布等の絡みつきが自然に解消された場合や,水位センサ7が水侵入を正常に検出したものの,排水ポンプ6の運転によりその直後にピットP1,P2内から水が強制排出されたような場合には,確認スイッチ12への操作入力によりブザーB及び回転灯Lによる警報作動が自動的に停止する。従って,その警報停止により,該警報が誤報であったこと或いは不要となったことを容易に確認することができる。
【0037】
更に本実施例では,パレットPu,Pdに対する人又は車両の出入動作を出入動作検出手段15が検出している間は,緊急スイッチ10への前記操作入力が無効とされるようにしている。従って,その間に種々の要因(例えば上記出入動作が操作者から見えなかったり,見えていても気付かなかったりして)緊急スイッチ10が誤って操作入力されたような場合でも,その出入動作中はパレット昇降体S1,S2の上記緊急上昇を確実に禁止することができ,安全性が一層向上する。またこのように高い安全性を確保しながら,非常用操作盤CE(緊急スイッチ10,確認スイッチ12等)の設置場所を駐車装置からの遠近に関係なく広範囲に設定可能であり,例えば駐車装置からは離れているが監視カメラ等により駐車装置の様子が監視可能な駐車場管理室等にも,非常用操作盤CE(緊急スイッチ10,確認スイッチ12等)を支障なく設置可能である。
【0038】
以上,本発明の一実施例について説明したが,本発明はその実施例に限定されることなく,本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば前記実施例では,立体駐車装置Aの各パレット昇降体S1,S2において,そのパレット段数を2段とし,1つのピット内に2列並設するようにしたが,本発明の立体駐車装置Aは,各パレット昇降体S1,S2のパレット段数を3段以上にしてもよく,1つのピット内にパレット昇降体を1列だけ,又は3列以上設けてもよい。
【0040】
また前記実施例では,警報手段としてブザーBと回転灯Lとを併用したが,本発明では,これらの一方だけ使用してもよく,また他の警報手段を採用してもよい。また請求項1,2の発明では,警報手段を省略してもよい。
【0041】
また前記実施例では,水位センサ7がピットP1,P2内への水侵入を検出したことを条件として,非常用操作手段(緊急スイッチ10)への操作入力を有効化しているが,請求項1,2の発明では,そのような水侵入の検出を条件としないで非常用操作手段(緊急スイッチ10)への操作入力を常に有効としてもよい。また前記実施例では,非常用操作手段(緊急スイッチ10)へ操作入力前に確認スイッチ12をオン操作させるようにしているが,請求項1〜3の発明では,そのような確認スイッチ12を省略してもよい。
【0043】
更に前記実施例では,パレットPu,Pdに対する人又は車両の出入動作を出入動作検出手段15で監視し,その出入動作の検出中は緊急スイッチ10への操作入力が無効とされるようにしているが,本発明では,出入動作検出手段の設置を省略可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば,非常時には非常用操作手段への操作入力のみに基づいてパレット昇降体を上昇させるように昇降駆動手段の作動を制御するので,ピット内への水侵入時において,駐車装置の状況等を見た上で非常用操作手段への操作入力を行うことにより,パレット昇降体の緊急上昇を適切なタイミングで安全に行うことが可能となる。
【0045】
また請求項2の発明によれば,非常時には非常用操作手段への操作入力に基づいて複数列のパレット昇降体全部を同時に上昇させるように昇降駆動手段の作動を制御するので,ピット内への水侵入時において,駐車装置の状況等を見た上で非常用操作手段への操作入力を行うことにより,パレット昇降体の緊急上昇を適切なタイミングで安全に行うことが可能となり,またパレット昇降体が複数列在っても,これらの緊急上昇動作を可及的速やかに行わせることができる。
【0046】
また特に請求項3の発明によれば,水侵入検出手段がピット内への水侵入を検出しないときは非常用操作手段への操作入力を無効にできるので,ピット内への水侵入がない平時の使用状態では,非常用操作手段に対する誤操作に因りパレット昇降体が誤って緊急上昇するのを確実に防止することができる。
【0047】
また特に請求項4の発明によれば,確認操作手段への操作入力後に警報作動が停止した場合には,その警報停止により,それまでの警報が誤報であったこと或いは不要となったことを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る立体駐車装置を示す断面図
【図2】図1の2矢視部拡大図(図3の2−2線断面図)
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】パレット昇降体が上昇位置にある状態を示す図2対応図
【図5】昇降用操作盤の拡大正面図(図1の5矢視部拡大図)
【図6】非常用操作盤の拡大正面図(図1の6矢視部拡大図)
【図7】制御ブロック図
【図8】通常昇降時の制御手順を示すフローチャート
【図9】緊急上昇時の制御手順を示すフローチャート
【図10】緊急上昇から通常昇降への復帰のための制御手順を示すフローチャート
【符号の説明】
A・・・・・立体駐車装置
A1,A2・・第1,第2単位駐車装置
B・・・・・ブザー(警報手段)
C・・・・・制御装置(制御手段)
C1,C2・・第1,第2昇降用操作盤(昇降用操作手段)
D1,D2・・第1,第2昇降駆動手段
L・・・・・回転灯(警報手段)
P1,P2・・第1,第2ピット
Pu,Pd・・上段,下段パレット
S1,S2・・第1,第2パレット昇降体
7・・・・・水位センサ(水侵入検出手段)
10・・・・緊急スイッチ(非常用操作手段)
12・・・・確認スイッチ(確認操作手段)
Claims (4)
- 車両搭載用パレット(Pu,Pd)を上下少なくとも二段有してピット(P1,P2)内に昇降可能に配設される少なくとも1列のパレット昇降体(S1,S2)と,このパレット昇降体(S1,S2)を昇降駆動する昇降駆動手段(D1,D2)とを備えた立体駐車装置において,
パレット昇降体(S1,S2)を平時に昇降制御するための昇降用操作手段(C1,C2)と,パレット昇降体(S1,S2)を非常時に上昇制御するための非常用操作手段(10)とが制御手段(C)に夫々接続され,
その制御手段(C)は,昇降用操作手段(C1,C2)への操作入力に基づいてパレット昇降体(S1,S2)を昇降させるように昇降駆動手段(D1,D2)の作動を制御し,また非常時には非常用操作手段(10)への操作入力のみに基づいてパレット昇降体(S1,S2)を上昇させるように昇降駆動手段(D1,D2)の作動を制御することを特徴とする,立体駐車装置。 - 各々が車両搭載用パレット(Pu,Pd)を上下少なくとも二段有してピット(P1,P2)内にそれぞれ昇降可能に並設される複数列のパレット昇降体(S1,S2)と,それらパレット昇降体(S1,S2)を昇降駆動する昇降駆動手段(D1,D2)とを備えた立体駐車装置において,
パレット昇降体(S1,S2)を平時に昇降制御するための昇降用操作手段(C1,C2)と,パレット昇降体(S1,S2)を非常時に上昇制御するための非常用操作手段(10)とが制御手段(C)に夫々接続され,
その制御手段(C)は,昇降用操作手段(C1,C2)への操作入力に基づいて任意のパレット昇降体(S1,S2)を昇降させるように昇降駆動手段(D1,D2)の作動を制御し,また非常時には非常用操作手段(10)への操作入力に基づいて全部のパレット昇降体(S1,S2)を同時に上昇させるように昇降駆動手段(D1,D2)の作動を制御することを特徴とする,立体駐車装置。 - 前記ピット(P1,P2)内への所定量以上の水侵入を検出し得る水侵入検出手段(7)が前記制御手段(C)に接続され,
該制御手段(C)は,前記水侵入検出手段(7)が前記水侵入を検出しないときは前記非常用操作手段(10)への操作入力を無効とし,前記水侵入を検出しているときは同操作入力を有効とすることを特徴とする,請求項1又は2に記載の立体駐車装置。 - 前記ピット(P1,P2)内への水侵入を警報し得る警報手段(B,L)と,この警報手段(B,L)の警報作動を確認したときに操作入力すべき確認操作手段(12)とが前記制御手段(C)に接続され,
該制御手段(C)は,前記水侵入検出手段(7)が前記水侵入を検出するのに基づいて前記警報手段(B,L)を警報作動させ,またその警報作動中に前記水侵入検出手段(7)が前記水侵入を検出しなくなると,前記確認操作手段(12)への操作入力に基づいて該警報作動を停止させることを特徴とする,請求項3に記載の立体駐車装置。
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