JP3853466B2 - 合わせ基板型超硬砥粒カッター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合わせ基板の外周にダイヤモンド砥粒焼結体等の超硬砥粒体を固着してなる合わせ基板型超硬砥粒カッターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、先に本出願人が出願した特開昭8−318471号公報に記載されたもの、即ち、図12および図13に示すものがあった。図12および図13において、1は合わせ基板型の超硬砥粒カッター(ダイヤモンドカッター)であり、2枚の基板2a,2bを合わせた合わせ基板2の外周にダイヤモンド砥粒焼結体(超硬砥粒体)3を固着してなる。
【0003】
上記合わせ基板2は、円板状の主体の外周部にスリット4により円周方向に分割された多数の歯台5を形成し、各歯台5の円周方向中間部に軸心方向に凹む逆台形状の凹部6を円周方向に所定の間隔をおいて2個形成し、この凹部6を含む歯台5の外端面の略全長に亘って、基板2a(2b)よりも薄肉にした係合突起7を形成してなる。
【0004】
また、上記超硬砥粒体3は、ダイヤモンド砥粒と所定の金属粉末とを混合した粒状物を上記合わせ基板2の各歯台5の外周部に配置して冷間圧縮し、次いでこれを加熱圧縮することにより、各歯台5毎に円周方向に分離させるとともに、上記係合突起4を囲繞(埋没)し、かつ内周側で合わせ基板2の凹部6を含む歯台5の両側面を囲繞する。これにより上記各基板2a,2bの外周部を一体的に連結する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものは、刃部をなす超硬砥粒体3により各基板2a,2bを固着するようにしたので、溶接熱等による熱歪みが発生しなくなり、安価に得ることができる。また、歯台5の円周方向中間部に軸心方向に凹む凹部6を設け、この凹部6部に超硬砥粒体3介在させて各基板2a,2bを挾持するようにしたので、超硬砥粒体3が磨耗しても各基板2a,2bが分離しなくなるという優れた効果を奏する。しかしながら、上記従来のものは、凹部6を歯台5の円周方向中間部に形成するようにしていたので、超硬砥粒体3による各基板2a,2bの結合強度が歯台5の円周方向端部において低下し、切断等に歯台5の端部に大きな負荷が加わると、この部から基板2a,2bが剥離するおそれがある。特に長期の使用によって超硬砥粒体3が磨耗した際にこの現象が顕著となる。本発明は上記課題を解消した新規な合わせ基板型超硬砥粒カッターを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の如く構成したものである。即ち、円板状の主体の外周部に円周方向に分割された複数個の歯台を設けるとともに、各歯台の円周方向両端に軸心方向に凹む凹部を設けてなる2枚の外基板および1枚の中基板を設け、前記各外基板の歯台及び各凹部の外端面の一部に外方に突出する係合突起を設けるとともに、各外基板の係合突起は円周方向に位置をずらせ、前記外基板間に前記中基板を介在させて重ね合わせるとともにそれぞれの歯台及び凹部を互いに対面させて合わせ基板を形成し、該合わせ基板の各歯台にそれぞれ円周方向に分離した超硬砥粒体を設けるとともに、該超硬砥粒体の円周方向両端部を前記凹部に向けて延出させ、前記超硬砥粒体の基部により前記合わせ基板の歯台及び凹部の周縁部を囲繞する構成にしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図面に基いて説明する。図面において、図1は本発明の第1実施例を示す側面図、図2はその部分拡大側面図、図3は図2のIII-III拡大断面図、図4は図2のIV-IV拡大断面図、図5は本発明による合わせ基板の部分拡大側面図、図6は図5のVI-VI断面図、図7は図5のVII-VII拡大断面図で
ある。図1〜図4において、10は合わせ基板型の超硬砥粒カッターであり、合わせ基板11の外周にダイヤモンド砥粒焼結体からなる超硬砥粒18を固着してなる。
【0008】
上記合わせ基板11は、鋼板(SK−5)材により略同形状に形成された3枚の外基板11−1,11−2、及び中基板11−3を重ね合わせてなる。即ち、円板状の主体11aの外周部をスリット12により円周方向に8〜9分割して歯台13を形成するとともに、各歯台13の円周方向両端を約45度の角度で除去し、該円周方向両端に軸心方向に凹む凹部13aを形成する。そして、外基板11−1,11−2間に中基板11−3を介在させるとともに、それぞれの歯台13及び凹部14を互いに対面させて重ね合わせる。
【0009】
上記外基板11−1,11−2、及び中基板11−3は、図7に示すように、外基板11−1,11−2の厚さT1を約0.5mm、中基板11−3の厚さT2を約0.3mmとし、中基板11−3の外形寸法は外基板11−1,11−2の外形寸法に対し寸法差Sが約0.1〜0.2mmとなる如く小寸にする。また、上記外基板11−1,11−2の各歯台13及び各凹部14の外端面の一部に外方(半径方向外方)に突出する係合突起15(15a,15b)を形成する。この係合突起15a,15bはその突出量Lを約0.7mmにするとともに、一方の外基板11−1の係合突起15aと他方の外基板11−2の係合突起15bは図5、図6に示すように、円周方向に位置をずらせて形成する。
【0010】
上記合わせ基板11の各歯台13の外周部及び凹部14に、ダイヤモンド砥粒と所定の金属粉末とを混合した粒状物を配置して冷間圧縮した後、これを加熱圧縮して焼結することにより、各スリット12部で円周方向に分離した超硬砥粒(ダイヤモンド砥粒焼結体)18を形成し、該超硬砥粒18により外基板11−1,11−2及び中基板11−3の外周部を一体的に連結する。即ち、上記超硬砥粒18は、図3に示すように、その肉厚Tを合わせ基板11の厚さT3よりも大寸とし、これら各超硬砥粒18の基部(内周部)で前述した係合突起15a,15bを囲繞(埋没)するとともに、合わせ基板11の凹部14を含む各歯台13の外周部の両側面を囲繞して外基板11−1,11−2及び中基板11−3の外周部を一体的に連結し、合わせ基板型の超硬砥粒カッター10を形成する。なお、図1において、16は合わせ基板11の中心部に貫通形成した中心孔である。
【0011】
なお、上記各歯台13の円周方向両端部に形成する凹部14の形状は、図8に示すように広幅かつ浅い段状の凹部14a、図9に示すように小幅かつ深い段状の凹部14b、図10に示すように三角形状の凹部14c、図11に示すように円弧状の凹部14d等に形成してもよい。また、各超硬砥粒18は、図1、図8〜図9に示すように円周方向両端面18a,18bが半径方向外方に向かって略平行する長方形状にしてもよく、あるいは図10〜図11に示すように円周方向両端面18a,18bが半径方向外方に向かって次第に広がる扇状にしてもよい。
【0012】
上記実施例によれば、各歯台13の円周方向両端に軸心方向に凹む凹部14を設け、各歯台13に固着する超硬砥粒体18の円周方向両端部を上記凹部14に向けて延出させるようにしたので、この超硬砥粒体18の円周方向両端部の剛性が高くなるとともに、各外基板11−1,11−2、及び中基板11−3の歯台13の円周方向両端部を強固に結合することになる。このため、切断等に上記超硬砥粒体18の円周方向両端部に大きな負荷が加わった際、あるいは長期の使用によって超硬砥粒体18が図2の仮想線(ア)で示す位置、つまり歯台13の外周面部まで磨耗しても、各歯台13の円周方向両端に多量の超硬砥粒体18が存在するので、超硬砥粒体3による各基板2a,2bの結合強度が歯台5の円周方向端部において高くなり、各基板11−1,11−2,11−3の分離が阻止されて安全性が高くなる。
【0013】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな如く、本発明は、超硬砥粒体による各基板の結合強度を長期にわったて高く維持することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す側面図である。
【図2】図1の部分拡大側面図である。
【図3】図2のIII-III拡大断面図である。
【図4】図2のIV-IV拡大断面図である。
【図5】本発明による合わせ基板の部分拡大側面図である。
【図6】図5のVI-VI断面図である。
【図7】図5のVII-VII拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施例を示す部分側面図である。
【図9】本発明の第3実施例を示す部分側面図である。
【図10】本発明の第4実施例を示す部分側面図である。
【図11】本発明の第5実施例を示す部分側面図である。
【図12】従来例を示す部分側面図である。
【図13】図12のXIII-XIII 拡大断面図である。
【符号の説明】
10 合わせ基板型の超硬砥粒カッター
11 合わせ基板
11−1,11−2 外基板
11−3 中基板
11a 主体
12 スリット
13 歯台
14(14a,14b) 凹部
15(15a,15b) 係合突起
18 超硬砥粒
18a,18b 円周方向端面

Claims (1)

  1. 円板状の主体(11a)の外周部に円周方向に分割された複数個の歯台(13)を設けるとともに、各歯台(13)の円周方向両端に軸心方向に凹む凹部(14)を設けてなる2枚の外基板(11−1,11−2)および1枚の中基板(11−3)を設け、前記各外基板(11−1,11−2)の歯台(13)及び各凹部(14)の外端面の一部に外方に突出する係合突起(15a,15b)を設けるとともに、各外基板(11−1,11−2)の係合突起(15a,15b)は円周方向に位置をずらせ、前記外基板(11−1,11−2)間に前記中基板(11−3)を介在させて重ね合わせるとともにそれぞれの歯台(13)及び凹部(14)を互いに対面させて合わせ基板(11)を形成し、該合わせ基板(11)の各歯台(13)にそれぞれ円周方向に分離した超硬砥粒体(18)を設けるとともに、該超硬砥粒体(18)の円周方向両端部を前記凹部(14)に向けて延出させ、前記超硬砥粒体(18)の基部により前記合わせ基板(11)の歯台(13)及び凹部(14)の周縁部を囲繞したことを特徴とする合わせ基板型超硬砥粒カッター。
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