JP3853198B2 - 窒化珪素鉄粉末、その製造方法及び耐火物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化珪素鉄粉末、その製造方法及びこの窒化珪素鉄粉末を含む耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レンガ等の炭素含有定形耐火物や、高炉出銑口閉塞用マッド材、出銑樋材等の炭素含有不定形耐火物においては、高温スラグ等に対する耐食性を向上させるため、シリカ、アルミナ、炭化珪素、カーボン等の耐熱性骨材と、窒化珪素鉄粉末と、タール、フェノール樹脂等の加熱によって炭素が生成する有機バインダーとを含む混合物が使用されている。この耐火物における今日の課題は、近年の更なる溶鋼の操業条件の過酷化と、要求特性の高度化に対応するため、耐食性と強度を更に高めることであり、そのために耐火物の組織がより緻密となるように、▲1▼粒度設計をするとともに、▲2▼加熱時に部分的に揮発するタール、フェノール樹脂等の有機バインダーが加熱時に徐々に分解・揮発させて残炭率を上げることである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのような観点にたった検討が従来より多く行われているが、今日の更なる耐食性と強度増加の要求は満たしておらず、その改良が切望されている。本発明の目的は、この要求を満たすことであり、特定の飽和脂肪酸又はその塩を窒化珪素鉄粉末中に存在させることによってその目的を達成することができる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、窒化珪素鉄粉末に炭素数10〜24の飽和脂肪酸又はその塩を0.1〜5質量%含有させてなることを特徴とする窒化珪素鉄粉末である。また本発明は、珪素鉄(FeSi)及び/又はSi分とFe分を含む原料を窒化して窒化珪素鉄のインゴットを製造し粗砕した後、炭素数10〜24の飽和脂肪酸又はその塩を添加し、温度30〜150℃に保持しながら更に微粉砕することを特徴とする上記窒化珪素鉄粉末の製造方法である。更に本発明は、上記窒化珪素鉄粉末と、耐熱性骨材と、炭素粉末及び/又は加熱によって炭素となる有機バインダーとを含有してなることを特徴とする耐火物である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、更に詳しく本発明について説明する。
【0006】
炭素含有耐火物の耐食性と強度とをバランスさせるためには、窒化珪素鉄粉末を用いればよいことが経験的に知られている。炭素含有耐火物のこれらの性能を更に向上させるには、炭素含有耐火物の組織を緻密にしなければならぬことは上記したとおりである。従来はそれを窒化珪素鉄粉末の粒度構成、残炭率の大きくなる有機バインダーの厳選等によって行っていた。有機バインダーが備えなければならない残炭率以外の条件は、高炉出銑口の閉塞材として出銑口に挿入するためにある一定の硬さに調整することである。これを満たすには、有機バインダーの種類を厳選し、その混入率を20〜25%としなければならなかったので、閉塞材組織が粗密となり、今日の更なる耐食性と強度増加の要求を十分に満たすことができなかった。
【0007】
これに対し、本発明は、有機バインダーの必要量を減らして所期の目的を達成すべく、窒化珪素鉄粉末に炭素数10〜24の飽和脂肪酸又はその塩を0.1〜5質量%存在させる、好ましくは加温下で添加混合して窒化珪素鉄粉末表面を改質したことに大きな特徴がある。
【0008】
本発明が対象とする窒化珪素鉄粉末は特別なものである必要がなく、普通に入手できるもので十分である。たとえば、鉄成分を2〜30%含み、残部が主として窒化珪素(Si3N4)からなるものであり、シリカ、シリコン、カーボン等の不可避成分を合計で10%以下(0を含む)の含有は許容できる。窒化珪素鉄粉末の粒度はできるだけ微粉化されていることが望ましく、平均粒子径が1mm以下、特に100μm以下であることが好ましい。このような窒化珪素鉄粉末には市販品(例えば電気化学工業社製商品名「ファイアレン」)があるのでそれを利用することができる。
【0009】
本発明は、炭素含有耐火物に使用される有機バインダーと窒化珪素鉄粉末とのなじみを良くするため、炭素数10〜24の飽和脂肪酸又はその塩が有する親油基を利用したものである。これによって、閉塞材等の耐火物に一定粘性を付与させるのに必要な有機バインダー量を低減させることができ、組織が緻密化され、強度、侵食性ともに一段と向上させた耐火物の製造が可能となる。しかも、窒化珪素鉄粉末自体の取扱い性も向上し、耐火物製造工程における原料のハングの発生や、ラットホールの形成等を著しく軽減することができる。
【0010】
本発明で使用される飽和脂肪酸又はその塩は、炭素数10〜24の飽和脂肪酸又はその塩であり、それを例示すると、リグノセリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等である。特に好ましくは、飽和脂肪酸のカルボキシル基がアミド結合しているものであり、具体的にはステアリルアミンである。
【0011】
本発明においては、上記飽和脂肪酸又はその塩の一種又は二種以上を窒化珪素鉄粉末に0.1〜5質量%含有させる。0.1質量%未満では十分な上記効果が発現しなく、また5質量%超としても効果は向上せず、かえって添加混合時に窒化珪素鉄粉末が凝集して塊状となるので望ましくはない。一方、炭素数10未満の飽和脂肪酸又はその塩では、上記効果の発現が不十分となることに加え、融点が低く常温での性能維持が困難となる。また、炭素数24超の飽和脂肪酸又はその塩であると、上記効果が低下する。
【0012】
本発明の窒化珪素鉄粉末は、窒化珪素(Si3 N4 )粉末、鉄(Fe)粉末、珪素鉄(FeSi)粉末、飽和脂肪酸又はその塩の所定量をボールミル、ミキサー等の混合機を用いて混合することによって製造することができる。好ましくは、30〜150℃で加熱しながら混合することであり、これによって窒化珪素鉄粉末の表面は飽和脂肪酸又はその塩で改質されるので本発明の上記効果が増大する。特に好ましくは、以下に説明する本発明の製造方法によることであり、これによって一段と本発明の効果が助長されしかも生産性にも優れたものとなる。
【0013】
すなわち、本発明の製造方法は、珪素鉄(FeSi)及び/又はSi分とFe分を含む原料を、窒素、アンモニア等の窒素含有非酸化性雰囲気下で窒化して窒化珪素鉄のインゴットを製造し、ジョークラッシャー・ロールミル等で好ましくは平均粒径25mm以下に粗砕した後、炭素数10〜24の飽和脂肪酸又はその塩を添加し、温度30〜150℃に保持しながら、更にボールミル、アトライターミル、振動ミル、縦型ボールミル等の粉砕機で微粉砕する方法である。
【0014】
本発明の耐火物は、本発明の窒化珪素鉄粉末と、耐熱性骨材と、炭素粉末及び/又は加熱によって炭素となる有機バインダーとを必須成分として含有させたものである。耐熱性骨材としては、炭化珪素、シリカ、黒鉛、カーボン、コークス等の炭素粉末、アルミナ、ボーキサイト、ロー石等が使用され、有機バインダーとしては、タール、ピッチ、フェノール樹脂等が使用される。これらの材料の配合割合の好ましい一例を示すと、質量基準で、本発明の窒化珪素鉄粉末5〜50%、シリカ及び/又はアルミナ2〜60%、炭化珪素1〜30%、炭素粉末1〜30%、有機バインダー3〜30%である。この配合割合からなる耐火物は、特に高炉出銑口閉塞材、出銑樋材として好適なものである。
【0015】
【実施例】
以下、実施例、比較例をあげて更に具体的に本発明を説明する。
【0016】
実施例1〜10 比較例1〜5
珪素鉄粉末(FeSi純度97質量%)100質量部にポリビニルアルコール6質量%水溶液を10〜20質量部の範囲内で変量して混合し、プレス成形(圧力20MPa)して20〜30cm3 程度の円柱状成形体を成形し、120℃で10時間乾燥した。これを密閉炉に充填し、窒素雰囲気下、温度1500℃で3時間保持して窒化し冷却した。得られたインゴットをロールミルで粗砕(平均粒径22mm)してから、飽和脂肪酸又はその塩を添加し、温度100℃に保持しながら更にボールミルで粒度0.2mm下まで微粉砕し、表1に示される窒化珪素(Si3 N4 )、鉄(Fe)、飽和脂肪酸又はその塩の割合が種々異なる窒化珪素鉄粉末を製造した。
【0017】
実施例11
上記で得られたインゴットをロールミルで粗砕(平均粒径22mm)した後、ボールミルで0.2mm下まで微粉砕し、それを温度100℃に加熱しながら飽和脂肪酸を混合して窒化珪素鉄粉末を製造した。
【0018】
得られた窒化珪素鉄粉末の耐火物としての性能を評価するため、以下に従って炭素含有耐火物を製造し、高温スラグに対する耐食性と高温強度を測定した。それらの結果を表2に示す。
【0019】
(1)炭素含有耐火物の製造
窒化珪素鉄粉末(0.2mm下)20質量部、アルミナ質骨材(ボーキサイト粉末1mm下)20質量部、炭化珪素粉末(1mm下)20質量部、コークス粉末(1mm下)20質量部からなる混合物を60℃に加熱しながら混練した際、圧縮破壊強度が0.05MPaとなる有機バインダー(無水メタノール)量を測定した。ついで、この混練物を用いて、耐食性評価用サンプル(50mm×50mm×160mm)と高温強度評価用サンプル(25mm×25mm×160mm)をプレス成形し、乾燥機で400℃まで加熱して脱ガスした後、焼成炉に移し、アルゴンガス雰囲気下、1400℃×3時間焼成して評価に供した。
【0020】
(2)高温スラグに対する耐食性
回転ドラム法によりドラムの内側にサンプルを厚み50mmに内張りし、高温スラグを入れ、中通しされた発熱体で1500℃に加熱し、ドラムを低速で回転させながら10時間侵食試験を行い、サンプルの厚みの減少量を侵食量(mm)として測定した。数値の小さい方が耐食性は良好である。
【0021】
(3)高温強度
アルゴンガス雰囲気中、1500℃に加熱して3点曲げ強度を測定した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、今日の更なる耐食性と強度増加の要求を満たすことができる耐火物と、その耐火物を製造するのに用いられる窒化珪素鉄粉末が提供される。
Claims (3)
- 窒化珪素鉄粉末に炭素数10〜24の飽和脂肪酸又はその塩を0.1〜5質量%含有させてなることを特徴とする窒化珪素鉄粉末。
- 珪素鉄(FeSi)及び/又はSi分とFe分を含む原料を窒化して窒化珪素鉄のインゴットを製造し粗砕した後、炭素数10〜24の飽和脂肪酸又はその塩を添加し、温度30〜150℃に保持しながら更に微粉砕することを特徴とする請求項1記載の窒化珪素鉄粉末の製造方法。
- 請求項1記載の窒化珪素鉄粉末と、耐熱性骨材と、炭素粉末及び/又は加熱によって炭素となる有機バインダーとを含有してなることを特徴とする耐火物。
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