JP3496781B2 - 窒化珪素鉄粉末 - Google Patents
窒化珪素鉄粉末Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、定形耐火物、不定形耐
火物に使用される窒化珪素鉄粉末に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来、高炉出銑口閉塞材、出銑樋材等の
不定形耐火物としては、スラグに対する耐食性、機械的
強度、耐火性の点から、ＳｉＯ2 、Ａｌ2 Ｏ3 、Ｃ等を
主成分とする骨材と窒化珪素鉄粉末の混合物が使用され
ている。このような耐火物において上記特性が発現する
理由は、窒化珪素の耐食性に加えて窒化珪素鉄が高温に
おいて次のように機能するためであると考えられてい
る。 【０００３】（１）窒化珪素鉄と骨材の反応により生成
したＳｉＣ、ＡｌＮ等が耐火物のマトリックスの強度増
進とスラグの侵入防止をする。 （２）上記反応により発生したガスが閉塞材の内圧を高
めスラグの侵入防止をする。 （３）上記反応により発生したガスがスラグとの接触界
面の摩擦を低減する。 【０００４】通常の窒化珪素鉄粉末は、Ｆｅ分１２〜１
７重量％の鉄と窒化珪素の混合物であり、その粒度は最
大粒径２００μｍ以下で１０μｍ以下４０体積％、２５
μｍ以上４５体積％程度であった。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】高炉出銑閉塞材等に要
求される特性は、強度と耐食性を広い温度範囲で発揮
し、それを長時間持続することである。窒化珪素鉄の寄
与する反応は１１００℃付近から開始し１４００℃をこ
える高温で活発化する。高炉出銑口閉塞材の先端部付近
（高炉の内壁付近）では約１５００℃以上となっている
のでこの反応が活発化し上記特性が発揮されるので問題
は少ない。しかしながら、先端部から遠ざかるに従って
温度が低下しており、特に１１００〜１４００℃の領域
においては上記反応が十分に進行しないことが問題であ
った。 【０００６】本発明の目的は、上記問題を解決し、１４
００℃をこえる高温における場合に近い窒化珪素鉄の寄
与する反応が、温度１１００℃〜１５００℃又はそれ以
上の広範囲にわたって活発化し、しかもそれが長時間持
続するような窒化珪素鉄粉末を提供することである。 【０００７】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、粒
径１０μｍ以下４５体積％以上、粒径２５μｍ以上１５
体積％以上の粒度で構成されてなることを特徴とする窒
化珪素鉄粉末である。 【０００８】以下、更に詳しく本発明について説明する
と、本発明の窒化珪素鉄粉末の最大の特徴はその粒度が
上記のように構成されていることである。好ましくは粒
径１０μｍ以下が５０体積％以上特に６０体積％以上で
あり、粒径２５μｍ以上が２０体積％以上で構成されて
いることである。このように粒径１０μｍ以下の微粉の
割合を４５体積％以上とすることによって次の効果を発
現する。 【０００９】（１）重量当たりの反応面積や骨材等との
接触頻度が大きくなり反応性が向上する。 （２）窒化珪素鉄と骨材とが均一に混合され不定形耐火
物の反応が均一化し、また焼結性も向上する。 （３）不定形耐火物中のマトリックスへの充填性が高ま
り組織が緻密化する。 【００１０】しかし、粒径１０μｍ以下の微粉の割合を
あまりにも大きくすると、反応が活発となりすぎて継続
的にガスを発生させる効果が早く終わることになり、所
期の目的を十分に達成することができなくなるので、本
発明では約１４００℃以上の温度域においても活発化し
た反応を継続させるために、粒径２５μｍ以上の粉末を
１５体積％以上含んでいることが必要である。 【００１１】本発明の窒化珪素鉄粉末のＦｅ含有量につ
いては特に制限はないが、２〜２０重量％であることが
好ましい。２重量％未満では窒化珪素同士、窒化珪素と
骨材あるいは骨材同士の反応を活性化することが困難で
あり、また２０重量％をこえると温度１４００℃をこえ
る高温においてＦｅが溶融し強度や耐食性が劣るように
なる。 【００１２】本発明の窒化珪素鉄粉末は、市販の窒化珪
素鉄粉末をボールミル等により粉砕し必要に応じて分級
することによって製造することができる。 【００１３】本発明の窒化珪素鉄粉末は、骨材と混合さ
れ定形耐火物、高炉出銑口閉塞材、出銑樋材等の不定形
耐火物に使用される。不定形耐火物の配合例を示せば窒
化珪素鉄粉末１〜５０重量％、骨材９９〜５０重量％で
ある。骨材としては、アルミナ、ロー石、炭化珪素、コ
ークス等が使用される。 【００１４】 【実施例】以下、実施例、比較例、参考例をあげて更に
具体的に本発明を説明する。 【００１５】実施例１〜５、比較例１〜２ 市販窒化珪素鉄粉末（電気化学工業社製商品名「デンカ
ファイアレン」、Ｆｅ含有量１４．５重量％）をボール
ミルで粉砕時間を変えて粉砕し種々の粒度分布を持つ窒
化珪素鉄粉末を製造した。この窒化珪素鉄粉末を用いて
以下の耐火物を製造し、耐食性と熱間曲げ強度を測定し
た。それらの結果を表１に示す。 【００１６】（１）耐火物の製造 ＳｉＣ粉末（屋久島電工社製「２００Ｆ」）２４重量
％、ロー石粉末（五島産ロー石の粉砕品、０．２ｍｍ下
品）２４重量％、焼結アルミナ粉末（昭和電工社製「タ
ブラーモランダムＳＲＷ」）１６重量％、コークス粉末
（三菱化学社製「オイルコークス粉末」、０．２ｍｍ下
品）１６重量％、窒化珪素鉄粉末２０重量％を混合し
た。得られた混合粉末１００重量部にタールを１５重量
部加え７０℃に加熱しながら十分に混練した後、圧力２
００ｋｇ／ｃｍ2 で金型プレス成形し２５ｍｍ×２５ｍ
ｍ×１５０ｍｍの成形体を成形し、アルゴンガス雰囲気
中、１４００℃で１時間焼成してテストピースを作製し
た。 【００１７】（２）耐食性 高周波誘導加熱炉にセットされた黒鉛製容器内に侵食剤
としてスラグ３ｋｇを入れ温度１５５０℃に加熱溶融し
た。この溶融体中に上記のテストピースを浸漬し、テス
トピースを低速で回転させながら３時間又は６時間保持
してから侵食深さを測定し、参考例を１００としたとき
の相対値を算出した。数値の小さい方が良好なものであ
る。 【００１８】（３）熱間曲げ強度 アルゴンガス雰囲気中、温度１２５０℃又は温度１４０
０℃におけるテストピースのＪＩＳ３点曲げ強度を測定
し、参考例を１００としたときの相対値を算出した。数
値の大きい方が良好なものである。 【００１９】参考例 窒化珪素鉄粉末として、市販窒化珪素鉄粉末の非粉砕品
（粒径１０μｍ以下４０体積％、粒径２５μｍ以上４５
体積％）を使用したこと以外は、実施例１と同様にして
試験した。 【００２０】 【表１】【００２１】 【発明の効果】本発明の窒化珪素鉄粉末によれば、温度
１１００℃〜１５００℃又はそれ以上の広範囲にわたっ
てスラグに対する耐食性と熱間曲げ強度が高く、ガス発
生の持続効果のある耐火物を製造することができる。
火物に使用される窒化珪素鉄粉末に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来、高炉出銑口閉塞材、出銑樋材等の
不定形耐火物としては、スラグに対する耐食性、機械的
強度、耐火性の点から、ＳｉＯ2 、Ａｌ2 Ｏ3 、Ｃ等を
主成分とする骨材と窒化珪素鉄粉末の混合物が使用され
ている。このような耐火物において上記特性が発現する
理由は、窒化珪素の耐食性に加えて窒化珪素鉄が高温に
おいて次のように機能するためであると考えられてい
る。 【０００３】（１）窒化珪素鉄と骨材の反応により生成
したＳｉＣ、ＡｌＮ等が耐火物のマトリックスの強度増
進とスラグの侵入防止をする。 （２）上記反応により発生したガスが閉塞材の内圧を高
めスラグの侵入防止をする。 （３）上記反応により発生したガスがスラグとの接触界
面の摩擦を低減する。 【０００４】通常の窒化珪素鉄粉末は、Ｆｅ分１２〜１
７重量％の鉄と窒化珪素の混合物であり、その粒度は最
大粒径２００μｍ以下で１０μｍ以下４０体積％、２５
μｍ以上４５体積％程度であった。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】高炉出銑閉塞材等に要
求される特性は、強度と耐食性を広い温度範囲で発揮
し、それを長時間持続することである。窒化珪素鉄の寄
与する反応は１１００℃付近から開始し１４００℃をこ
える高温で活発化する。高炉出銑口閉塞材の先端部付近
（高炉の内壁付近）では約１５００℃以上となっている
のでこの反応が活発化し上記特性が発揮されるので問題
は少ない。しかしながら、先端部から遠ざかるに従って
温度が低下しており、特に１１００〜１４００℃の領域
においては上記反応が十分に進行しないことが問題であ
った。 【０００６】本発明の目的は、上記問題を解決し、１４
００℃をこえる高温における場合に近い窒化珪素鉄の寄
与する反応が、温度１１００℃〜１５００℃又はそれ以
上の広範囲にわたって活発化し、しかもそれが長時間持
続するような窒化珪素鉄粉末を提供することである。 【０００７】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、粒
径１０μｍ以下４５体積％以上、粒径２５μｍ以上１５
体積％以上の粒度で構成されてなることを特徴とする窒
化珪素鉄粉末である。 【０００８】以下、更に詳しく本発明について説明する
と、本発明の窒化珪素鉄粉末の最大の特徴はその粒度が
上記のように構成されていることである。好ましくは粒
径１０μｍ以下が５０体積％以上特に６０体積％以上で
あり、粒径２５μｍ以上が２０体積％以上で構成されて
いることである。このように粒径１０μｍ以下の微粉の
割合を４５体積％以上とすることによって次の効果を発
現する。 【０００９】（１）重量当たりの反応面積や骨材等との
接触頻度が大きくなり反応性が向上する。 （２）窒化珪素鉄と骨材とが均一に混合され不定形耐火
物の反応が均一化し、また焼結性も向上する。 （３）不定形耐火物中のマトリックスへの充填性が高ま
り組織が緻密化する。 【００１０】しかし、粒径１０μｍ以下の微粉の割合を
あまりにも大きくすると、反応が活発となりすぎて継続
的にガスを発生させる効果が早く終わることになり、所
期の目的を十分に達成することができなくなるので、本
発明では約１４００℃以上の温度域においても活発化し
た反応を継続させるために、粒径２５μｍ以上の粉末を
１５体積％以上含んでいることが必要である。 【００１１】本発明の窒化珪素鉄粉末のＦｅ含有量につ
いては特に制限はないが、２〜２０重量％であることが
好ましい。２重量％未満では窒化珪素同士、窒化珪素と
骨材あるいは骨材同士の反応を活性化することが困難で
あり、また２０重量％をこえると温度１４００℃をこえ
る高温においてＦｅが溶融し強度や耐食性が劣るように
なる。 【００１２】本発明の窒化珪素鉄粉末は、市販の窒化珪
素鉄粉末をボールミル等により粉砕し必要に応じて分級
することによって製造することができる。 【００１３】本発明の窒化珪素鉄粉末は、骨材と混合さ
れ定形耐火物、高炉出銑口閉塞材、出銑樋材等の不定形
耐火物に使用される。不定形耐火物の配合例を示せば窒
化珪素鉄粉末１〜５０重量％、骨材９９〜５０重量％で
ある。骨材としては、アルミナ、ロー石、炭化珪素、コ
ークス等が使用される。 【００１４】 【実施例】以下、実施例、比較例、参考例をあげて更に
具体的に本発明を説明する。 【００１５】実施例１〜５、比較例１〜２ 市販窒化珪素鉄粉末（電気化学工業社製商品名「デンカ
ファイアレン」、Ｆｅ含有量１４．５重量％）をボール
ミルで粉砕時間を変えて粉砕し種々の粒度分布を持つ窒
化珪素鉄粉末を製造した。この窒化珪素鉄粉末を用いて
以下の耐火物を製造し、耐食性と熱間曲げ強度を測定し
た。それらの結果を表１に示す。 【００１６】（１）耐火物の製造 ＳｉＣ粉末（屋久島電工社製「２００Ｆ」）２４重量
％、ロー石粉末（五島産ロー石の粉砕品、０．２ｍｍ下
品）２４重量％、焼結アルミナ粉末（昭和電工社製「タ
ブラーモランダムＳＲＷ」）１６重量％、コークス粉末
（三菱化学社製「オイルコークス粉末」、０．２ｍｍ下
品）１６重量％、窒化珪素鉄粉末２０重量％を混合し
た。得られた混合粉末１００重量部にタールを１５重量
部加え７０℃に加熱しながら十分に混練した後、圧力２
００ｋｇ／ｃｍ2 で金型プレス成形し２５ｍｍ×２５ｍ
ｍ×１５０ｍｍの成形体を成形し、アルゴンガス雰囲気
中、１４００℃で１時間焼成してテストピースを作製し
た。 【００１７】（２）耐食性 高周波誘導加熱炉にセットされた黒鉛製容器内に侵食剤
としてスラグ３ｋｇを入れ温度１５５０℃に加熱溶融し
た。この溶融体中に上記のテストピースを浸漬し、テス
トピースを低速で回転させながら３時間又は６時間保持
してから侵食深さを測定し、参考例を１００としたとき
の相対値を算出した。数値の小さい方が良好なものであ
る。 【００１８】（３）熱間曲げ強度 アルゴンガス雰囲気中、温度１２５０℃又は温度１４０
０℃におけるテストピースのＪＩＳ３点曲げ強度を測定
し、参考例を１００としたときの相対値を算出した。数
値の大きい方が良好なものである。 【００１９】参考例 窒化珪素鉄粉末として、市販窒化珪素鉄粉末の非粉砕品
（粒径１０μｍ以下４０体積％、粒径２５μｍ以上４５
体積％）を使用したこと以外は、実施例１と同様にして
試験した。 【００２０】 【表１】【００２１】 【発明の効果】本発明の窒化珪素鉄粉末によれば、温度
１１００℃〜１５００℃又はそれ以上の広範囲にわたっ
てスラグに対する耐食性と熱間曲げ強度が高く、ガス発
生の持続効果のある耐火物を製造することができる。
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(56)参考文献 特開 昭58−151311（ＪＰ，Ａ)
特開 昭51−133198（ＪＰ，Ａ)
特開 昭51−133196（ＪＰ，Ａ)
特開 平２−221164（ＪＰ，Ａ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
C01B 21/082
C04B 35/66
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 粒径１０μｍ以下４５体積％以上、粒径
２５μｍ以上１５体積％以上の粒度で構成されてなるこ
とを特徴とする窒化珪素鉄粉末。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13029795A JP3496781B2 (ja) | 1995-05-29 | 1995-05-29 | 窒化珪素鉄粉末 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13029795A JP3496781B2 (ja) | 1995-05-29 | 1995-05-29 | 窒化珪素鉄粉末 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08325004A JPH08325004A (ja) | 1996-12-10 |
| JP3496781B2 true JP3496781B2 (ja) | 2004-02-16 |
Family
ID=15030953
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13029795A Expired - Fee Related JP3496781B2 (ja) | 1995-05-29 | 1995-05-29 | 窒化珪素鉄粉末 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3496781B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5144300B2 (ja) * | 2008-02-15 | 2013-02-13 | 黒崎播磨株式会社 | マッド材 |
| JP2009242120A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-22 | Kurosaki Harima Corp | マッド材 |
-
1995
- 1995-05-29 JP JP13029795A patent/JP3496781B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH08325004A (ja) | 1996-12-10 |
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