JP5144300B2 - マッド材 - Google Patents

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Description

本発明は、粒径75μm以下の微粒域を有するように粒度調整された耐火性粉体をバインダで錬り込んでなるマッド材に関する。
高炉の操業を例にとってマッド材の使用形態を説明する。マッド材は出銑終了後の出銑口に圧入充填されてこれを閉塞する。その出銑口による次回の出銑時期が到来すると、それまでの期間に炉熱で焼成されたマッド材をドリルで開孔して湯道を生成する。この湯道を通じて炉内の溶銑及び溶滓が炉外に排出される。
湯道の口径の拡大の進行を抑えて、長時間の安定した出銑を達成するためには、マッド材が溶銑及び溶滓に対して優れた耐侵食性を有していることが必要である。このため、従来からマッド材の耐侵食性の向上を図るべく種々の検討がなされている。
特許文献1では、マッド材に窒化アルミニウム質原料を配合することにより、マッド材の耐侵食性の向上を図っている。具体的には、特許文献1は、窒化アルミニウム質原料を20質量%、粒径0.2mm以下の蝋石を24質量%、粒径0.2mm以下のコークスを16質量%含み、残部が慣用の耐火原料よりなる耐火性粉体をタールで錬り込んでなるマッド材を開示している(特許文献1の段落0019及び表2参照)。
このマッド材によると、1200℃以上の温度域で、窒化アルミニウム質原料が蝋石に由来するSiOと反応し、Alボンドを生成する。また、そのSiOから遊離したSiが炭素質原料であるコークスと共にSiCボンドを生成する。これらのボンドがマッド材の耐侵食性を向上させる(特許文献1の段落0008参照)。
特開平8−290959号公報
本願発明者の研究によると、窒化アルミニウム質原料及び蝋石の二者を組み合わせて使用することに基づいて、マッド材の耐侵食性を高めうることが判った。従来、上記二者を組み合わせて使用したマッド材としては、特許文献1に開示のもの以外は知られていない。
特許文献1のマッド材は、上記二者を組み合わせて使用しているが、以下の点で改善の余地がある。即ち、特許文献1のマッド材で生成されるボンドのうち、SiCボンドは、確かに耐侵食性に優れているが、より一層耐侵食性に優れるボンドの生成が望まれる。
また、特許文献1のマッド材では、ボンドの生成反応において、窒化アルミニウム質原料に由来するNが他のいずれの原料とも結合しないため、Nガスの放出に起因してマッド材の質量が減少し、かつ組織が多孔質になってしまいやすい。このため、ボンド生成による耐侵食性の向上の効果がいかんなく発揮されにくい。
また、特許文献1のマッド材では、上記二者を配合する粒度域が適切でないため、充分な量のボンドを生成することができない。
本発明の目的は、溶銑及び溶滓に対して優れた耐侵食性を発揮することができるマッド材を提供することにある。
本発明の一観点によれば、粒径75μm以下の微粒域を有するように粒度調整された耐火性粉体をタール類及び/又はレジンであるバインダで錬り込んでなるマッド材において、
前記微粒域に窒化アルミニウム質原料及び蝋石を、窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比が40/60〜55/45となる条件で配合し、コークス、カーボンブラック及び黒鉛から選択される1種又は2種以上である炭素質原料の該微粒域における含有量を前記蝋石100質量%に対して40質量%未満(0質量%を含む)に抑え、前記耐火性粉体に占める前記窒化アルミニウム質原料及び前記蝋石の合量の割合を18〜75質量%以下としたことを特徴とするマッド材が提供される。
本明細書において、AlN、Cのように化学式で表記したものは化学成分又は鉱物相を表し、窒化アルミニウム質原料、炭素質原料のように「〜質原料」と表記したものは不可避的不純物を含有する可能性のある現実の耐火原料を表すものとする。また、本明細書において、数値範囲を表す「〜」の記号は、両端点を含む意味で用いるものとする。
窒化アルミニウム質原料及び蝋石を配合する粒度域及びそれら二者間の質量比を上記のように規定することにより、窒化アルミニウム質原料に由来するAlと蝋石に由来するOとからAlボンドが生成され、また、窒化アルミニウム質原料に由来するNと蝋石に由来するSiとからSiボンドが生成されるようになる。さらに、SIALON(Silicon-aluminum-nitride-oxide)ボンドも生成されうる。
微粒域中の炭素質原料の含有量を抑えたことにより、炭素質原料と蝋石とによるSiCボンドの生成を抑制でき、SiCボンドよりも耐侵食性に優れた上記各ボンドを生成できるため、従来よりも優れた耐侵食性を発揮できる。
また、窒化アルミニウム質原料に由来するNは、蝋石に由来するSiと結合するため、余剰なNガスの発生を抑制でき、Nガスの放出に起因してマッド材の組織が多孔質化する問題を回避できる。
本発明の実施形態を説明する前に、まず本発明の基礎をなす実験結果について説明する。
窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比と、溶銑及び溶滓に対する耐侵食性等との関係を調べるために以下の実験を行った。
ともに粒径45μm以下の窒化アルミニウム質原料及び蝋石よりなる混合粉体100質量%を、これに対する外掛け15質量%のタールで錬り込んでペーストを得る。窒化アルミニウム質原料には純度99.5質量%のものを用い、蝋石にはAl含有量15質量%以上のものを用いる。
次に、得られたペーストを7MPaで加圧成形したのち、110℃で24時間乾燥させて乾燥成形体を得、得られた乾燥成形体を、実際の高炉出銑口内の雰囲気を模した還元雰囲気中、1500℃で3時間焼成して焼成体を得る。この焼成体を試料とする。
表1は、上記混合粉体を構成する窒化アルミニウム質原料及び蝋石の質量比を様々に変更して得た試料A〜Kについての評価結果を示す。以下、表1の試験結果の項目について説明する。
曲げ強さは、JIS‐R2575に準じて測定した。この値が大きい程、機械強度に優れ、耐摩耗性に優れることを示す。
溶滓に対する溶損指数とは、侵食剤に高炉スラグを用い、回転式侵食試験装置で各試料を1500℃で6時間侵食させた場合の各試料の最大溶損寸法を、試料Aの最大溶損寸法で割って100倍した値のことである。この値が小さい程、溶滓に対する耐侵食性に優れる。
溶銑に対する溶損指数とは、高周波誘導炉で1500℃の溶銑に各試料を6時間浸漬し、侵食させた場合の各試料の最大溶損寸法を、試料Aの最大溶損寸法で割って100倍した値のことである。この値が小さい程、溶銑に対する耐侵食性に優れる。
生成物とは、各試料を構成する鉱物相のことである。鉱物相の同定には、X線回折法を用いた。X線回折波形のピークの面積によって鉱物相を含有量の多い順に特定し、表1には、鉱物相を含有量の多い順に上から記載した。例えば、試料Fは、コランダム(Al)を最も多く含み、次いでSi、SIALON(SiAl)、及びAlNを含むことを示す。なお、「−」は、他に顕著なピークが存在しなかったことを示す。
Figure 0005144300
図1は、表1に記載の溶損指数をプロットしたグラフである。縦軸が溶損指数を示し、横軸は窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比を示す。溶銑に対する溶損指数、及び溶滓に対する溶損指数のいずれもグラフは下に凸となっている。このグラフの形状から、窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比=40/60〜55/45の範囲E−Hで特に溶損指数が小さくなり、この範囲E−Hにグラフの極小値が存在することが分かる。従って、この範囲E−Hが好ましい範囲であると考えられる。
表1に示すように、上記範囲E−H、即ち試料E〜Hでは、主にコランダム(Al)及びSiが生成される。上記範囲E−Hで溶損指数を小さく抑えることができたのは、このことによる。即ち、コランダム(Al)及びSiは、SIALON(SiAl)、SiON、AlN、ムライト、クリストバライトといった他の鉱物に比べて耐侵食性に優れる。
なお、SIALON(SiAl)は、コランダム(Al)及びSiに次いで耐侵食性に優れる。表1に示すように、試料E〜Gでは、コランダム(Al)及びSiだけでなく、SIALON(SiAl)も生成されている。このことから、上記範囲E−Hの中でも、特に窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比=45/55〜55/45の範囲が好ましいと考えられる。
図1に示すように、窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比=40/60未満の範囲I−Kでは、溶損指数が急峻に大きくなる。これは、表1に示すように、この範囲I−K、即ち試料I〜Kでは、ムライト(3Al・2SiO)が最も多く生成されることによる。即ち、ムライトは耐侵食性が低い。
また、表1に示すように、蝋石の割合が最も高い試料Kでは、ムライトよりもさらに耐侵食性に劣るクリストバライトも生成されている。このクリストバライトは、余剰な蝋石中のSiO成分が転移したものである。このことから、蝋石の割合が高すぎると、耐侵食性が低下するだけでなく、蝋石の一部にボンドの生成に寄与しないロスが生じることが分かる。
図1に示すように、窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比が55/45よりも大きい範囲A−Dでも、溶損指数が大きくなる傾向にある。窒化アルミニウム質原料それ自体は耐侵食性に優れた原料として知られるが、図1のグラフの形状から、窒化アルミニウム質原料の割合を高めることのみによって耐侵食性の向上を図るには限界があり、これを蝋石と適切な質量比で組み合わせることではじめて耐侵食性の向上が図られることが分かる。
表1に示すように、上記範囲A−D、即ち試料A〜Dでは、AlNの割合が高くなる。このAlNは、未反応の余剰な窒化アルミニウム質原料がそのまま残ったものである。このことから、窒化アルミニウム質原料の割合が高すぎると、その一部にボンドの生成に寄与しないロスが生じることが分かる。
図2は、表1に記載の曲げ強さをプロットしたグラフである。縦軸が曲げ強さを示し、横軸は窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比を示す。蝋石は組織の焼結を促進する点で曲げ強さを高める要因となり、窒化アルミニウム質原料は組織の焼結を抑制する点で曲げ強さを低下させる要因となる。このため、右下がりのグラフが得られている。
範囲E−Hの曲げ強さは、範囲I−Kのそれに劣るが、充分な値である。また、範囲E−Hにおいては、グラフの勾配を小さく抑えることができ、これにより曲げ強さのばらつきを抑えることができる。この結果によっても、範囲E−Hが好ましいことが支持される。
以下、上述した実験結果を踏まえ、本発明の実施形態について説明する。
実施形態によるマッド材は、耐火性粉体をバインダで錬り込んでなる。
耐火性粉体は、最密充填構造に近づけるようにすること、及びできるだけ少ないバインダの添加で良好な作業性が得られるようにすること等を目的として、例えば、粒径75μm以下の微粒域が45〜75質量%を、粒径1mm超の粗粒域が5〜25質量%を、粒径75μm超1mm以下の中粒域が残部を構成するように粒度調整される。
本明細書において、粒子の粒径がd以下とは、その粒子がJIS‐Z8801に規定する目開きdの標準篩を通過する粒度域に属することを意味する。また、粒子の粒径がd超とは、その粒子が同篩上に残る粒度域に属することを意味する。
微粒域に、窒化アルミニウム質原料及び蝋石を配合する。上述したように、これら二者がAlボンド及びSiボンド等を生成する。これら二者を微粒域に配合する理由は、粒径75μm超の中粒域又は粗粒域に配合しても、上記各ボンドの生成反応に寄与する影響が小さく、充分な量のボンドを生成できないためである。
なお、粒径75μm超の中粒域及び粗粒域にも窒化アルミニウム質原料及び蝋石を配合してもよいが、粒径75μm超の窒化アルミニウム質原料及び蝋石は、粒度が粗いためボンドの生成に殆ど関与しない。
以下の説明中、単に「窒化アルミニウム質原料」、「蝋石」というときは、特に断りがない限り、いずれも微粒域を構成するもののことを指す。また、「上記二者」というときは、微粒域を構成する窒化アルミニウム質原料及び蝋石のことを指す。
上記各ボンドの生成反応を起こりやすくし、上記各ボンドの生成量を一層増やすためには、上記二者の各々は、平均粒径が20μm以下であり、かつ85質量%以上が粒径45μm以下の粒度域に属するように粒度調整されていることが好ましい。
本明細書において、平均粒径とは、レーザ回折散乱式粒度分布計で測定された累積曲線(横軸を粒径、縦軸を累積頻度として描かれたグラフ)の中央累積値にあたる体積平均粒径をいう。
微粒域における窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比は40/60〜55/45であることが必要である。上述したように、上記二者をこの質量比で配合した場合に、Alボンド及びSiボンド等を生成できる。さらに、SIALONボンドも生成されうる。
窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比が40/60よりも小さいと、蝋石の一部にボンドの生成に寄与しないロスが生じ、SiO成分が過剰となってボンドがムライト(3Al・2SiO)主体となることにより、耐侵食性が低下する(図1の範囲I−K参照)。
窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比が55/45よりも大きいと、窒化アルミニウム質原料が多すぎるため、窒化アルミニウム質原料の一部にボンドの生成に寄与しないロスが生じるばかりか、余剰な窒化アルミニウム質原料がマッド材組織の焼結を過度に抑制する結果、耐摩耗性、ひいては耐侵食性が低下する(図1及び2の範囲A−D参照)。
窒化アルミニウム質原料としては、純度の高いもの、具体的には、AlN含有量99質量%以上のものが好ましい。なお、Fe分を含んだ窒化アルミニウム質原料も知られているが、Fe分は、マッド材が出銑口を閉塞している状態のとき、即ちマッド材の温度が1200℃以下の状態でFeAl系合金を生成するため、ドリルによるマッド材の開孔容易性が低下する。このため、窒化アルミニウム質原料に占めるFe含有量は1%未満であることが好ましい。
窒化アルミニウム質原料は、Alボンド及びSiボンド等を生成するために蝋石と組み合わせる原料として最も好ましいものである。例えば、酸窒化アルミニウム質原料も、窒化アルミニウム質原料と同様、Alボンドを生成するためのAl源、及びSiボンドを生成するためのN源となりうるが、窒化アルミニウム質原料に比べると窒素含有量が少なく、また反応性に乏しいため、蝋石との組み合わせにおいてAlボンド等を効率的に生成することができない。また、金属アルミニウム粉は、Siボンドを生成するためのN源になりえない。
蝋石としては、JIS−R2216に規定する蛍光X線分析法による測定でAl含有量が8〜17質量%で、残部がSiOを主体とするものが好ましい。
蝋石を用いた場合に、なぜボンドを適切に生成できるのか具体的なメカニズムは明らかでないが、少なくとも、蝋石が適度にAlを含有するため、シリカフラワー等のシリカ質原料に比べて逸散しにくいことは、適切なボンドの生成に貢献していると考えられる。但し、Al及びSiOを主成分としたアルミナ-シリカ質原料には、蝋石の他にもムライトやシャモット等があるが、その中でも特に蝋石を用いた場合に適切に上記各ボンドを生成できることが判っている。このため、窒化アルミニウム質原料と組み合わせるアルミナ‐シリカ質原料に蝋石を用いる。
蝋石はカオリン粘土等の他の粘土鉱物とは異なり、熱間で膨張性を示すため、収縮に起因する組織劣化を招くことがなく、上記各ボンドの生成による組織強化の効果をいかんなく発揮させることができる。また、蝋石は粘土鉱物であるためか、マッド材の可塑性を向上させるという相乗効果も得られる。
但し、上記二者による上記各ボンドの生成を確実にするためには、微粒域中の炭素質原料の含有量を蝋石100質量%に対して40質量%未満に抑えることが必要である。さもないと、炭素質原料に由来するCが、蝋石に由来するSiと結合し、Siボンドよりも耐侵食性に劣るSiCボンドを生成してしまう。また、窒化アルミニウム質原料に由来するNが蝋石に由来するSiと結合することが阻害されるため、Nガスの放出に起因してマッド材の組織が多孔質化しやすくなる。
一具体例として、微粒域は、上記二者よりなるか、又は上記二者と、アルミナ質原料、炭化珪素質原料、希土類元素の酸化物質原料、粘土、シリカ質原料、金属粉、蝋石100質量%に対して40質量%未満の量の炭素質原料から選択される一種以上とよりなることが好ましい。
これらの各原料(炭素質原料を除く。)は、上記二者によるボンドの生成反応に殆ど関与せず、上記二者と併用しても、ボンドの生成を阻害しない。炭素質原料を用いる場合であっても、その配合量を上記のように制限すると、上記二者によるボンドの生成が阻害されにくいことは上述の通りである。微粒域中の炭素質原料の含有量は、蝋石100質量%に対して30質量%未満であることが好ましく、20質量%未満であることがより好ましく、15質量%未満であることがさらに好ましい。
なお、粘土は、熱間で収縮特性を示すが、蝋石が熱間で膨張特性を示すので、粘土の収縮によるマッド材の組織の劣化を抑制でき、マッド材の組織を劣化させることなく、粘土添加の効果、即ちマッド材の可塑性を良好化できるという効果を得ることができる。
アルミナ質原料としては、Al含有量が50質量%以上のもの、例えば、仮焼アルミナ、焼結アルミナ、及び電融アルミナ等が挙げられる。希土類元素の酸化物質原料としては、例えば、酸化イットリウム質原料、酸化ランタン質原料、及び酸化セリウム質原料等が挙げられる。シリカ質原料としては、SiO含有量80質量%以上のもの、例えば、シリカフラワーや珪石等が挙げられる。金属粉としては、例えば、金属アルミニウム粉、金属シリコン粉、及びフェロシリコン粉等が挙げられる。炭素質原料としては、コークス、カーボンブラック、黒鉛等が該当する。
マッド材にどの程度の量のボンドを生成させるかは、マッド材の使用環境に応じて適宜決定される。適量のボンドを生成させるには、例えば、微粒域100質量%に占める上記二者の合量を40質量%以上とすることが好ましく、65質量%以上とすることがより好ましく、80質量%以上とすることがさらに好ましい。
他の観点によると、耐火性粉体に占める窒化アルミニウム質原料の割合を10質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがより好ましい。なお、耐火性粉体に占める微粒域の割合には上限があるため、耐火性粉体に占める窒化アルミニウム質原料の割合にも自ずと上限があり、その上限は、例えば30質量%程度である。
さらに他の観点によると、耐火性粉体に占める上記二者の合量の割合を18質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上とすることがより好ましい。なお、上記と同様の理由から、この値にも自ずと上限があり、その上限は、例えば75質量%程度である。
耐火性粉体の中粒域と粗粒域は、慣用の材料、例えば、蝋石、ムライト、カオリン、シャモット、セリサイト、シリマナイト、カイヤナイト、アンダリューサイト等のアルミナ‐シリカ質原料、ボーキサイト、ダイアスポア、ばん土頁岩、電融アルミナ、焼結アルミナ、仮焼アルミナ等のアルミナ質原料、珪石、ジルコン、ジルコニア等から選択される一種以上の材料によって構成することができる。中粒域及び粗粒域は、上記二者によるボンドの生成反応に殆ど影響を与えない。
バインダには、タール類やレジン等を用いることができる。タール類としては、石炭タール、石油タール、木タール、ケツ岩タール、アスファルト、及びピッチ等が挙げられる。レジンとしては、ノボラック型又はレゾール型のフェノールレジンやフランレジン等が挙げられる。レジン、特に熱可塑性をもつノボラック型フェノールレジンを使用する場合は、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を併用することが好ましい。また、タール類とレジンとを併用してもよい。
バインダの添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外掛けで、例えば10〜20質量%であることが好ましく、12〜17質量%であることがより好ましい。なお、バインダに含まる残炭成分の量は、例えば20〜30%質量程度であり、バインダの残炭は、ボンドの生成に殆ど寄与しない。
本明細書において、耐火性粉体をバインダで錬り込んでなるマッド材とは、耐火性粉体に、必要に応じて機能調整用の添加物を加えたものをバインダで錬り込んでなるマッド材を含む概念とする。添加物としては、例えば分散剤や強度改善材が挙げられる。分散剤としては、例えばアニオン系スルホン酸塩、具体的には、βナフタレンスルホン酸、アニオン系アルキル・アリルスルホン酸塩、アニオン系変性リグニンスルホン酸塩等が挙げられ、強度改善材としては、カーボン繊維等の無機繊維が挙げられる。
本実施形態のマッド材の作用は次の通りである。
まず、本実施形態のマッド材は、マッドガンによって出銑終了後の高炉出銑口に圧入充填され、この状態でその出銑口における次回の出銑までの間に炉熱で焼成される。出銑口を閉塞している状態のとき、マッド材の炉内側部分の温度は、約1000〜1200℃程度に保たれる。
次に、その出銑口による次回の出銑の時期が到来すると、出銑口内で固化した状態のマッド材は、ドリルによって開孔され、湯道を生成する。本実施形態のマッド材は、1200℃以下の温度域ではボンドを生成しないため、ドリルによる開孔容易性は良好である。
次に、マッド材によって構成された湯道を溶銑及び溶融スラグが流れると、マッド材の温度が約1450〜1550℃に上昇する。1400℃以上の温度域では、窒化アルミニウム質原料に由来するAlと蝋石に由来するOとからAlボンドが生成され、また、窒化アルミニウム質原料に由来するNと蝋石に由来するSiとからSiボンドが生成される。さらに、SIALONボンドも生成されうる。
これにより、マッド材の耐侵食性が向上し、湯道の口径の拡大の進行を抑えて、長時間の安定した出銑を達成できる。また、マッド材による炉壁の保護効果が高まるので、溶銑が堆積している出銑口下部の炉壁の侵食を防止でき、炉底温度が過度に上昇することを防止できる。
以上のように、本実施形態のマッド材は、ドリルによる開孔前は過度な強度を示さず、ドリルによる開孔後に充分な強度を示すものである。
表2に、実施例及び比較例によるマッド材の配合と試験結果を示す。表2で、微粒域を構成する蝋石及び窒化アルミニウム質原料には、表1の実験に用いたものと同じものを用いた。以下、表2の試験項目について説明する。
曲げ強さは、7MPaで加圧成形したマッド材を還元雰囲気中、1500℃で焼成したものを試験片とし、JIS‐R2575に準じて測定した。
溶滓に対する溶損指数は、次のようにして求めた。7MPaで加圧成形したマッド材を還元雰囲気中500℃で焼成したものを試験片とする。回転式侵食試験装置で侵食剤として高炉スラグを用い、各試験片を、1500℃で6時間侵食させたときの各試験片の最大溶損寸法を測定する。各試験片の最大溶損寸法を実施例1の試験片の最大溶損寸法で割って100倍した値が溶損指数である。
溶銑に対する溶損指数は、次のようにして求めた。7MPaで加圧成形したマッド材を還元雰囲気中500℃で焼成したものを試験片とする。高周波誘導炉で1500℃に溶融した銑鉄中に各試験片を6時間浸漬し、侵食させたときの各試験片の最大溶損寸法を測定する。各試験片の最大溶損寸法を実施例1の試験片の最大溶損寸法で割って100倍した値が溶損指数である。
Figure 0005144300
実施例1〜4は、本発明の規定を満たしており、いずれも優れた耐侵食性及び曲げ強さを達成している。
比較例1及び2は、実施例1をベースとして、微粒域中の炭素質原料の含有量を本発明の規定(微粒域を構成する蝋石100質量%に対して40質量%未満)よりも多くしたもので、炭素質原料に由来するCと蝋石に由来するSiとによるSiCボンドの生成によりSiボンドの生成が阻害されたためか、実施例1〜4に比べると、耐侵食性及び曲げ強さに劣る。また、これらの結果から、炭素質原料が多いほど、耐侵食性が小さくなる傾向にあることが分かる。
比較例3は、微粒域への蝋石の配合量が少な過ぎ、窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比が83/17と本発明規定の上限値(55/45)を上回るため、耐侵食性に劣る。
比較例4は、微粒域への蝋石の配合量が多過ぎ、窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比が30/70と本発明規定の下限値(40/60)を下回るため、耐侵食性に劣る。
以上、本発明の具体例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、種々の設計変更及び改良が可能なことは当業者に自明であろう。
本発明のマッド材は、高炉出銑口の閉塞に好ましく利用される。また、本発明のマッド材は、高炉出銑口の閉塞に限らず、電気炉、廃棄物溶融炉、その他の間欠出湯方式の溶解炉における溶湯の出湯口の閉塞に広く利用されうる。
微粒域における窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比と、溶銑及び溶滓に対する溶損指数との関係を示すグラフである。 微粒域における窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比と、曲げ強さとの関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 粒径75μm以下の微粒域を有するように粒度調整された耐火性粉体をタール類及び/又はレジンであるバインダで錬り込んでなるマッド材において、
    前記微粒域に窒化アルミニウム質原料及び蝋石を、窒化アルミニウム質原料/蝋石の質量比が40/60〜55/45となる条件で配合し、コークス、カーボンブラック及び黒鉛から選択される1種又は2種以上である炭素質原料の該微粒域における含有量を前記蝋石100質量%に対して40質量%未満(0質量%を含む)に抑え、前記耐火性粉体に占める前記窒化アルミニウム質原料及び前記蝋石の合量の割合を18〜75質量%以下としたことを特徴とするマッド材。
  2. 前記耐火性粉体に占める粒径75μm以下の前記窒化アルミニウム質原料の割合を10質量%以上とした請求項1に記載のマッド材。
  3. 前記耐火性粉体に占める前記微粒域の割合を45〜75質量%とした請求項1又は2に記載のマッド材。
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