JP3853011B2 - 橋梁における落橋防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄道，車両，歩道等に利用される橋梁における落橋防止装置に係わり、更に詳しくは地震時に橋台と橋桁、または橋桁同志に引張り力及び圧縮力が作用した場合に、その引張り力及び圧縮力を減衰させて橋桁の端末部同志の衝突による損傷を有効に防止させ、橋桁が橋台から落下するのを有効に防止させた橋梁における落橋防止装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、鉄道，車両，歩道等に利用される橋梁の橋桁が地震時に引張り力及び圧縮力を受けて橋台から落下するのを防止させるために、橋梁の落橋防止装置の発明が種々提案されている。
例えば、従来の橋梁における落橋防止装置としては、図５（ａ），（ｂ）に示すように上部構造物１（橋桁）と下部構造物２（橋台）とを、ＰＣ鋼材３ａ，鋼製ブラケット３ｂ，ゴム等の緩衝部材３ｃ，支持板３ｄから成る連結部材３により連結させた落橋防止構造、図６（ａ），（ｂ）に示すように上部構造物１（橋桁）と下部構造物２（橋台）とにコンクリートブロック等の突起部材４を設けた落橋防止構造、図７（ａ），（ｂ）に示すように２連の上部構造物１ａ，１ｂ（橋桁）をＰＣ鋼材５ａ，ゴム等の緩衝部材５ｂ，支持板５ｃから成る連結部材５により相互に連結した落橋防止構造が知られている。
【０００３】
なお、図５（ａ）は鋼上部構造物の場合、図５（ｂ）はコンクリート上部構造物の場合、図６（ａ）はコンクリートブロックを設けた落橋防止構造、図６（ｂ）は鋼製ブラケットを用いた場合の落橋防止構造、図７（ａ）は鋼上部構造物の場合、図７（ｂ）はコンクリート上部構造物の場合を示している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上記のような従来の落橋防止構造は、地震時にいずれも引っ張り力が作用した時の機能を有するものであって、圧縮力が作用した場合の機能を有していないため、地震時に圧縮力が作用した場合に、橋台と橋桁、または橋桁同志が衝突することがあり、橋台及び橋桁が損傷して、最悪の場合には、橋桁が橋台から落下すると言う問題があった。
【０００５】
この発明は、かかる従来の課題に着目して案出されたもので、地震時に橋台と橋桁、または橋桁同志に圧縮作用が作用した場合、ゴム状弾性材料の緩衝機能及び減衰機能とゴム状弾性材料に埋設した金属材料とにより衝撃を吸収し、橋台と橋桁、または橋桁同志の衝突を防止し、橋桁の損傷や落下を有効に防止することが出来る橋梁における落橋防止装置を提供することを目的とするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、橋台上に支持された互いに隣接する橋桁の端末部間、または橋台と橋桁との間に、ゴム状弾性材料の内部に金属材料を一体的に埋設し、圧縮特性及び剪断特性を利用できる落橋防止部材を配設し、この落橋防止部材は、相対向する金属支持プレートに支持された中空状のゴム状弾性材料の内部に、該ゴム状弾性材料の圧縮長手方向に所定の角度をもった金属材料を一体的に埋設したことを要旨とするものである。
【０００８】
この発明の他の橋梁における落橋防止装置は、橋台上に支持された互いに隣接する橋桁の端末部間、または橋台と橋桁との間に、ゴム状弾性材料の内部に金属材料を一体的に埋設し、圧縮特性及び剪断特性を利用できる落橋防止部材を配設し、この落橋防止部材は、径の異なる複数本の金属パイプの外周面のそれぞれにゴム状弾性材料を積層させて形成し、このゴム状弾性材料を積層させた複数本の金属パイプを順次嵌合させて同心円状にずらせることにより竹の子状に一体的に形成したことを要旨とするものである。
この発明は、上記のように構成され、橋桁の端末部間、または橋台と橋桁との間に、ゴム状弾性材料の内部に金属材料を一体的に埋設し、圧縮特性及び剪断特性を利用できる落橋防止部材を配設したことにより、地震時に橋台と橋桁、または橋桁同志に圧縮作用が作用した場合、ゴム状弾性材料の緩衝機能及び減衰機能とゴム状弾性材料に埋設した金属材料とにより衝撃を吸収し、橋台と橋桁、または橋桁同志の衝突を防止し、橋桁の損傷や落下を有効に防止することが出来るものである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
図１は、この発明を実施した橋梁における橋台１０と橋桁１１との間に設けた落橋防止装置の断面図を示し、前記落橋防止装置の落橋防止部材１２は、橋台１０の側面１０ａと橋桁１１の端末部１１ａとの間に取付けられている。
【００１０】
なお、橋桁１１は橋台１０の上面１０ｂにゴム材料と金属板とを交互に積層させたゴム支承体１３により支持されている。前記落橋防止部材１２の参考例としては、図２に示すように、金属支持プレート１４ａ，１４ｂの相対向する側面に、所定の間隔を隔てて複数枚の金属板１５を交互に平行に、かつ先端部において所定の長さ重なるように配設し、前記複数枚の金属板１５間の空間部に、ゴム，合成樹脂材料から成るゴム状弾性材料１６を埋設して一体的に形成するものである。
【００１１】
また、図３は落橋防止部材１２の第１実施形態を示し、この実施形態は、相対向する金属支持プレート１７ａ，１７ｂに支持された中空円筒状のゴム状弾性材料１８を取付け、このゴム状弾性材料１８の内部には、圧縮長手方向に所定の角度をもった複数枚の金属材料１９が所定の間隔を隔てて一体的に埋設された構造になっている。
【００１２】
更に、図４は落橋防止部材１２の第２実施形態を示し、この実施形態は、径の異なる複数本の金属パイプ２０の外周面のそれぞれにゴム状弾性材料２１を積層させて形成し、このゴム状弾性材料２１を積層させた複数本の金属パイプ２０を順次嵌合させて同心円状にずらせることにより所謂，竹の子状に一体的に形成して構成したものである。
【００１３】
この発明の実施形態は、上記のように構成され、橋桁１１の端末部１１ａ間、または橋台１０と橋桁１１との間に、ゴム状弾性材料１６の内部に金属材料１５を一体的に埋設した圧縮特性及び剪断特性を利用できる落橋防止部材１２を配設したことにより、地震時に橋台１０と橋桁１１、または橋桁１１同志に圧縮作用が作用した場合、ゴム状弾性材料１６の緩衝機能及び減衰機能とゴム状弾性材料１６に埋設した金属材料１５とにより衝撃を吸収し、橋台１０と橋桁１１、または橋桁１１同志の衝突を有効に防止し、橋桁１１の損傷や落下を有効に防止することが出来るものである。
【００１４】
なお、他の実施形態も同様な作用効果を奏することが可能であり、更にこの発明の実施形態と従来の引っ張り力が作用した場合に機能する落橋防止装置とを組み合わせて使用することが地震に対して有効である。
【００１５】
【発明の効果】
この発明は、上記のように構成したので、地震時に橋台と橋桁、または橋桁同志に圧縮作用が作用した場合、ゴム状弾性材料の緩衝機能及び減衰機能とゴム状弾性材料に埋設した金属材料とにより衝撃を吸収し、橋台と橋桁、または橋桁同志の衝突を防止し、橋桁の損傷や落下を有効に防止することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明を実施した橋梁における橋台と橋桁との間に設けた落橋防止装置の断面図である。
【図２】落橋防止部材の参考断面図である。
【図３】この発明の第１実施形態における落橋防止部材の断面図である。
【図４】この発明の第２実施形態における落橋防止部材の断面図である。
【図５】従来の上部構造物（橋桁）と下部構造物（橋台）とを、連結部材により連結させた落下防止構造であって、（ａ）は鋼上部構造物の場合、（ｂ）はコンクリート上部構造物の場合を示している。
【図６】従来の上部構造物（橋桁）と下部構造物（橋台）とにコンクリートブロック等の突起部材を設けた落下防止構造であって、（ａ）はコンクリートブロックを設けた落下防止構造、（ｂ）は鋼製ブラケットを用いた場合の落下防止構造を示している。
【図７】従来の２連の上部構造物（橋桁）を連結部材により相互に連結した落下防止構造であって、（ａ）は鋼上部構造物の場合、（ｂ）はコンクリート上部構造物の場合を示している。
【符号の説明】
１０ 橋台 １０ａ 橋台の側面
１１ 橋桁 １１ａ 橋桁の端末部
１２ 落橋防止部材 １３ ゴム支承体
１４ａ，１４ｂ 金属支持プレート １５ 金属板
１６ ゴム状弾性材料 １７ａ，１７ｂ 金属支持プレート
１８ ゴム状弾性材料 １９ 金属材料
２０ 金属パイプ ２１ ゴム状弾性材料
Claims (2)
- 橋台上に支持された互いに隣接する橋桁の端末部間、または橋台と橋桁との間に、ゴム状弾性材料の内部に金属材料を一体的に埋設し、圧縮特性及び剪断特性を利用できる落橋防止部材を配設し、この落橋防止部材は、相対向する金属支持プレートに支持された中空状のゴム状弾性材料の内部に、該ゴム状弾性材料の圧縮長手方向に所定の角度をもった金属材料を一体的に埋設したことを特徴とする橋梁における落橋防止装置。
- 橋台上に支持された互いに隣接する橋桁の端末部間、または橋台と橋桁との間に、ゴム状弾性材料の内部に金属材料を一体的に埋設し、圧縮特性及び剪断特性を利用できる落橋防止部材を配設し、この落橋防止部材は、径の異なる複数本の金属パイプの外周面のそれぞれにゴム状弾性材料を積層させて形成し、このゴム状弾性材料を積層させた複数本の金属パイプを順次嵌合させて同心円状にずらせることにより竹の子状に一体的に形成したことを特徴とする橋梁における落橋防止装置。
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