JP3401647B2 - 制震装置を備えた建築構造物 - Google Patents

制震装置を備えた建築構造物

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JP3401647B2
JP3401647B2 JP05422293A JP5422293A JP3401647B2 JP 3401647 B2 JP3401647 B2 JP 3401647B2 JP 05422293 A JP05422293 A JP 05422293A JP 5422293 A JP5422293 A JP 5422293A JP 3401647 B2 JP3401647 B2 JP 3401647B2
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芳広 中谷
和光 高梨
和彦 前林
明 大槻
義三 金木
諭 高橋
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稔 野中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、鉄道軌道,道
路,工場等において、機械的振動等の振動発生源に起因
する固体振動やそれに伴う振動音等を遮断するのに好適
な制振装置およびそれを備えた建築構造物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば鉄道軌道,道路,機械な
どの振動発生源からの固体振動やそれに伴う振動音を遮
断もしくは軽減するために、振動発生源とこれを支持す
る地盤等の支持部との間に、硬質弾性ゴム等からなる防
振マットや、バネなどの振動遮断効果の大きい緩衝材を
敷設している。
【0003】例えば、駅ビルやターミナルビルなどのよ
うに鉄道軌道や高架道路等の振動発生源を内部に引き込
む形態となった建築物では、その振動発生源からの固体
振動やそれに伴う振動音を遮断もしくは軽減するための
種々の方法が従来から採られている。
【0004】従来の、例えば駅ビル等における振動遮断
方法として、図7、あるいは図8に示すような方法が知
られている。これらのうち、図7に示すものは、鉄道車
両1の軌道2の下に硬質弾性ゴム等からなる防振マット
や、バネなどの振動遮断効果の大きい緩衝材を敷設する
ことで、建築物3の架構(床版)4に対して及ぼす振動
を軽減する構成としたものである。
【0005】また、図8に示すものは、建築物3の躯体
とは別に、軌道2を支持する床版5とこの床版5を支持
する柱6を備える架構を基礎から独立して構築すると共
に、この架構の柱6の下端を、建築物3の躯体を貫通し
て地盤7中の基礎杭8で支持させる構成としたものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の振動遮断方法には、次のような課題が存
する。まず、図7に示した方法では、振動発生源の重量
が車両を含めて相当に大きいものとなることから、それ
に対応して振動遮断用緩衝材の剛性も著しく大きくしな
ければならず、したがって、緩衝材に緩衝機能を持たせ
る目的からは相反する構造とならざるを得ないために充
分な振動遮断効果を発揮させることができず、根本的解
決策とは言えない。
【0007】一方、図8に示した方法では、軌道2が載
せられる床版5とこの床版5を支持する柱6とを備える
架構を、建築物の躯体とは別体の独立架構としているこ
とから、振動遮断効果や固体伝幡音遮断効果等は有効に
発揮され、これにより建築物の高付加価値的利用を図る
ことができるものの、軌道よりも下の階層においては、
建築物の躯体を支持する柱9とは別に、軌道2を支持す
る独立架構の柱6が存在することになり、この結果、空
間の利用効率が落ちるという問題がある。
【0008】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、振動遮断効果や固体伝幡音遮断効果等を有
効に発揮させつつ、建築物内部空間の効率的かつ高付加
価値的利用を図ることができる制振装置およびそれを備
えた建築構造物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
振動発生源が載置された振動発生源支持床版と、該振動
発生源支持床版の下方に構築されて、周囲外壁を構成す
る地中壁、該地中壁の内部に架設された複数の地下床
版、前記地下床版を支持する複数の柱、及び前記地下床
版より下方に配される底版からなるからなる下層躯体
と、該下層躯体の下方で、地盤中に複数設けられた基礎
杭と、前記振動発生源支持床版と前記下層躯体の柱との
間に設けられる制震装置とを有する、制震装置を備えた
建築構造物であって、前記下層躯体の複数の柱の少なく
とも一部が、外柱と該外柱に対してその軸方向に相対移
動可能な内柱とからなる二重鋼管柱構造とされ、前記外
柱が下層躯体の地下床版を支持するとともに、外柱の下
端部が前記下層躯体の前記底版を介して前記基礎杭に支
持され、前記内柱が、その下端部を前記基礎杭に直に支
持され、内柱の上端部は、前記制震装置を介して前記振
動発生源支持床版を支持しており、前記制震装置が、前
記振動発生源支持床版側に取り付けられた第1の部材
と、これに対向して前記内柱側に取り付けられた第2の
部材とから構成され、前記第1の部材と第2の部材のい
ずれか一方の部材には、他方の部材と対向する面に凸部
が設けられ、また他方の部材には、前記凸部と対向する
凹部が形成され、前記凸部の外周面と該凹部内周面との
間には、制振材が介装されることを特徴としている。
【0010】
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1記載の
震装置を備えた建築構造物において、前記振動発生源支
持床板の上方に、前記下層躯体の地中壁上に立設された
支持壁に支持された基盤が設けられ、前記振動発生源支
持床板より上方の上層躯体が該基盤上に設けられている
ことを特徴としている。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明では、制振装置を、振動発
生源支持床版側に取り付けられた第1の部材と、これに
対向して前記内柱側に取り付けられた第2の部材とから
構成し、前記第1の部材と第2の部材のいずれか一方の
部材には、他方の部材と対向する面に凸部を設け、また
他方の部材には、前記凸部と対向して凹部を形成し、前
記凸部の外周面と該凹部内周面との間には、環状の制振
材を介装した。したがって、振動発生源支持床版側から
前記内柱側に向かう方向、すなわち制振装置の軸線方向
の振動が発生したときには、前記制振材がこの方向に変
形し、この変形により振動エネルギが吸収され、振動発
生源が載置された振動発生源支持床版からの振動は速や
かに減衰される。
【0013】さらに、請求項1記載の発明では、振動発
生源が載置された振動発生源支持床版を、その下端が
礎杭に支持された内柱で支持し、振動発生源支持床版よ
り下方の下層躯体の地下床版を、底版を介して外柱で支
し、さらに振動発生源支持床版と内柱との間には制振
装置を具備している。すなわち振動発生源支持床版と下
層躯体とがそれぞれ独立して支持されたことになる。そ
して、振動発生源から上下方向の振動が伝達されたとき
には、この振動は振動発生源支持床板と内柱との間に備
えられた制振装置により減衰される。
【0014】請求項2記載の発明では、振動発生源支持
床板の上方に、下層躯体の地中壁上に立設された支持壁
に支持された基盤を設け、振動発生源支持床版より上方
の上層躯体をこの基盤上に設けた。すなわち上層躯体が
基盤を介して下層躯体に支持されたことになる。振動発
生源支持床版と下層躯体とがそれぞれ独立して支持され
ているので、これにより、上層躯体が振動発生源支持床
版に対し、独立して支持されたことになる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を図1ないし図6に示す実施例
を参照して説明する。ここでは、例えば、鉄道軌道を備
えた建築構造物に本発明に係る制振装置を備えた場合の
実施例を用いて説明する。図2は、本発明に係る制振装
置を備えた建築物(建築構造物)Aを示すものである。
建築物Aは、地表階に設置されて、振動発生源となる鉄
道車両1の軌道(振動発生源)2が載置された床版(振
動発生源支持床版)Bと、この床版Bの下方に構築され
た複数階の階層からなる下層躯体10と、床版Bの上方
に構築された複数階の階層からなる上層躯体11とから
構成されている。
【0016】図1に示すように、振動発生源である軌道
2が載置された床版Bより下方の下層躯体10において
は、床版Bと、下層躯体10の地中における周囲外壁を
構成する地中壁12間に架設された地下床版(下層の床
版)13a,13bとを支持する複数の柱が、内柱(支
持部)14と外柱15とからなる二重鋼管柱16で構成
されている。この二重鋼管柱16は、床版Bに敷設され
た各軌道2の中心線に沿って所定間隔で地盤上に立設さ
れている。各二重鋼管柱16の内柱14と外柱15は、
同心円状に一定間隔を隔てた二重構造とされ、その軸線
方向、すなわち鉛直方向に相対移動可能な構成とされて
いる。
【0017】床版Bは、これら二重鋼管柱16の内柱1
4に支持された構成となっている。この内柱14は、地
盤中の基礎杭17上に立設されており、その内部にはコ
ンクリート18が充填されている。
【0018】図1および図3に示すように、各内柱14
の上面には、制振シュー(制振装置)Sが備えられてい
る。これら制振シューSを備えた内柱14,14,…上
には、軌道2の延在する方向に制振桁梁19,19,…
が架設され、またこれら制振桁梁19と直交する方向に
は梁部材20,20,…が架設されている。そして、床
版Bはこれら制振桁梁19および梁部材20上に載置さ
れている。
【0019】図4に示すように、制振シューSは、振動
発生源側の制振桁梁19の下面に取り付けられた上側部
材(第1の部材)21と、振動発生源である軌道2を載
置した床版Bを支持する内柱14の上端面に取り付けら
れた下側部材(第2の部材)22とから構成されてい
る。上側部材21には、鉛直下方に向けて突出する切頭
円錐状の凸部21aが形成されている。一方、下側部材
22には、凸部21aと対向して、凹部22aが形成さ
れている。この凸部21aの外周面と凹部22aの内周
面との間には、水平面内に位置する環状の粘弾性体から
なる制振材23が介装されている。このような構成の制
振シューSは、上側部材21と下側部材22とが床版B
からの振動により上下方向に相対移動したときに、制振
材23が上下方向に変形し、この変形により、振動エネ
ルギーを吸収して振動を減衰する。また、上側部材21
と下側部材22とが、例えば地震などにより水平方向に
相対移動したときには、制振材23が圧縮されて抗力を
発し、前記相対移動を拘束する。
【0020】図5に示すように、前記制振桁梁19は、
梁材24と、この下面に備えられた桁梁制振装置25と
から構成されている。桁梁制振装置25は、長尺な鋼鈑
26,26,…が、2組に分けられて、粘弾性体27,
27,…を介して積層されたものである。すなわち、上
下および中間の3枚の鋼鈑26a,26a,26aの一
端(図5において右端)が梁材24に固定され、他の鋼
鈑26b,26bの一端(同、左端)が同様に梁材に固
定され、これらの鋼鈑26が、粘弾性体27,27,…
を挟み込んで交互に積層された構成とされている。この
制振桁梁19の中間部は、図示しない金具により、梁材
24の下面から垂れ下がらないように支持されている。
この制振桁梁19は、床版Bが振動したときには、梁材
24の上部および下部が伸縮するように変形し、このと
き、桁梁制振装置25を構成する各鋼鈑26が梁材24
の長手方向に相対的にずれることになり、これにより粘
弾性体27,27,…が変形して振動エネルギーが吸収
され、梁材24の上下振動が速やかに減衰されるもので
ある。なお、ここで、この制振桁梁19の桁梁制振装置
25に備えられた各鋼鈑26を、磁性合金で形成するこ
とにより、その制振効果をさらに向上させることが可能
になる。
【0021】上記の構成により、床版Bは、制振桁梁1
9,制振シューSを介して、基礎杭17上に立設された
内柱14,14,…で支持された構造となっている。そ
して、床版B上に敷設された各軌道2上を鉄道車両1が
走行するときに生じる床版Bの上下方向の振動は、まず
各軌道2の中心線に沿って設けられた制振桁梁19によ
り減衰される。そして、この制振桁梁19で減衰しきれ
ない振動は、制振桁梁19の下面と制振桁梁19の鉛直
下方に立設された内柱14の上端面との間に備えられた
制振シューSにより、速やかに減衰される。さらに、制
振シューSにより減衰しきれない振動は、内柱14を介
して地盤中に伝達される。
【0022】次に、床版Bの下方に構築された下層躯体
10の支持構造について説明する。下層躯体10の地中
における周囲外壁をなす地中壁12間に架設された地下
床版13a,13b,及び下層躯体10の底部に位置す
る底版13cは、以下のようにして、二重鋼管柱16の
外柱15に接合されている。この外柱15は、その基端
部が前記底版13cを介して基礎杭28上に支持されて
いる。
【0023】前記床版Bの直下に位置する地下床版13
aおよび下層躯体10の底部に位置する底版13cは、
それぞれ前記二重鋼管柱16の各外柱15の先端部,基
端部の外周面に接合されている。この地下床版13a,
底版13cは、梁を備えない、いわゆるマットスラブ構
造とされている。これにより、型枠材料ならびに型枠組
立・解体の手間を低減させることができる。また、地下
床版13aの下方に位置する地下床版13bは、二重鋼
管柱16間に互いに直交して架設された梁部材29,2
9,…と、この梁部材29,29,…上に載置された床
スラブ30とから構成されている。図6に示すように、
この地下床版13bの梁部材29と外柱15との各仕口
部は、梁部材29と外柱15とが、外柱15の外部に設
けられたダイヤフラム31を介して接合された構造とさ
れ、耐震性の高いラーメン形式のフレーム構造となって
いる。
【0024】これらの地下床版13a,13b,及び底
版13cと外柱15との仕口部においては、二重鋼管柱
16の内柱14と内柱15との間に例えば積層ゴムから
なる水平拘束部材32が介装されている。水平拘束部材
32は、床版Bを支持する内柱14が、地震時など、水
平力に対して不安定になるときに、内柱14の水平方向
への相対移動を拘束するものである。したがって、この
積層ゴムは剛性の高い積層方向と内柱14と外柱15の
径方向とを一致させて装填されている。また、積層ゴム
はその積層方向と直交する方向の剛性が低いため、内柱
14と外柱15とは、前述したように鉛直方向に相対移
動可能な構造となっている。なお、この水平拘束部材3
2には、内柱14の水平方向への移動のみを拘束し、鉛
直方向への相対移動を許容する構成であれば、これ以外
にも、充填材,ベアリングなど他のものを用いてもよ
い。
【0025】上記の構成により、地下床版13a,13
b,および地中壁12とを有した構成の下層躯体10
は、基礎杭28に前記底版13cを介して支持された外
柱15で支持された構造となっている。これにより、基
礎杭17上の内柱14に支持された前記床版Bと下層躯
体10とはそれぞれ独立して支持されたことになる。
【0026】次に、床版Bの上方に設けられた複数階の
階層からなる上層躯体11の支持構造について説明す
る。図2に示したように、床版Bの上方には、下層躯体
10の地中壁12上に立設された支持壁35に支持され
て、トラス構造からなる基盤Cが設けられている。そし
てこの基盤C上に、複数階の階層を有する上層躯体11
が構築されている。この構成により、上層躯体11は、
基盤C,支持壁35を介して下層躯体10に支持された
ことになる。前述したように、振動発生源である軌道2
を載置した床版Bは、下層躯体10に対して独立して支
持されている。すなわち、上層躯体11と床版Bとはそ
れぞれ独立して支持されていることになる。
【0027】上述したように、制振シューSによれば、
振動により上側部材21と下側部材22とが上下方向に
相対移動したときに、凸部21aと凹部22aとの間に
介装された制振材23が上下方向に変形し、この変形に
より、振動エネルギーを吸収し、振動を減衰する。した
がって、床版B側から内柱14側への振動や固体伝播音
を充分に遮断することができる。また、上側部材21と
下側部材22とが、例えば地震などにより水平方向に相
対移動したときには、制振材23が圧縮され、この水平
方向の相対移動を拘束することができ、耐震性に優れた
構造とすることができる。
【0028】床版Bを支持する内柱14と、地下床版1
3a,13b,および地中壁12とを備えてなる下層躯
体10を底版13を介して支持する外柱15とが内外の
二重鋼管柱構造とされているので、この建築物Aにおけ
る床版Bよりも下の階層には、床版Bを支持する架構の
柱が別に存在してその階層空間の一部を占有することは
なくなり、したがって、空間の効率的利用を図ることが
できる。
【0029】また、床版Bは、制振桁梁19,制振シュ
ーSを介して、内柱14,14,…で支持された構造と
なっている。したがって、床版Bの上下方向の振動は、
まず各軌道2の中心線に沿って設けられた制振桁梁19
により減衰される。そして、この制振桁梁19で減衰し
きれない振動は、制振桁梁19の下面と制振桁梁19の
鉛直下方に立設された内柱14の上端との間に備えられ
た制振シューSにより、速やかに減衰される。さらに、
制振シューSにより減衰しきれない振動は、内柱14を
介して、地盤に伝達される。一方、下層躯体10は外柱
15に支持されており、前記床版Bとこの下層躯体10
とはそれぞれ独立して支持されている。したがって、下
層躯体10への床版Bからの振動や固体伝播音の伝達を
充分に遮断することができる。
【0030】さらに、上層躯体11は、基盤C,支持壁
35を介して下層躯体10の地中壁12に支持されてい
る。前述したように、振動発生源である軌道2を載置し
た床版Bは、下層躯体10に対して独立して支持されて
おり、すなわち、上層躯体11と床版Bとはそれぞれ独
立して支持されていることになる。したがって、上層躯
体11への、床版Bからの振動や固体伝播音の伝達を充
分に遮断することができる。
【0031】なお、上記実施例において、振動発生源で
ある軌道2を載置した床版Bを、建築物Aの地表階に設
置する例を用いたが、これに限るものではない。例え
ば、この床版Bを地下1階に設置する場合には、床版B
より下層の階、すなわち地下2階以下の躯体を、上記実
施例における下層躯体10と同様に二重鋼管柱の外柱で
支持する構成とし、床版Bより上層の階、すなわち地上
1階以上の躯体を、上記実施例における上層躯体11と
同様に地中壁で支持された基盤上に設ける構成とすれば
よい。また、例えば床版Bを、地表より上方の階に設置
する場合にも、同様の構成とすればよい。これにより、
上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0032】制振シューSを、凸部21aを振動発生源
側に、凹部22aを支持側に設ける構成としたが、この
構成を凹部を振動発生源側に、凸部を支持側に設ける構
成としてもよい。また、この凸部21aの形状を切頭円
錐としたが、例えば円錐,角錐等、としてもよい。ま
た、この制振シューSをその軸線が鉛直方向に位置する
ように設置したが、これに限るものではなく、例えば水
平方向の振動に対してこの制振シューを適用するときに
は、その軸線が水平方向に位置するように設置してもよ
い。
【0033】さらには、振動発生源として、床版B上に
鉄道用の軌道2を載置した例を用いたが、例えば道路,
機械等を有する建築物、工場などにおいても、同様の構
成とすることにより、同様の効果を得ることができるの
は言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る制
震装置によれば、制振装置を、振動発生源支持床版側
取り付けられた第1の部材と、これに対向して前記内柱
に取り付けられた第2の部材とから構成し、第1の部
材と第2の部材のいずれか一方の部材には、他方の部材
と対向する面に凸部を設け、また他方の部材には、前記
凸部と対向して凹部を形成し、凸部の外周面と凹部内周
面との間には、環状の制振材を介装した。これにより、
振動発生源支持床版側から前記内柱側に向かう方向、す
なわち制振装置の軸線方向の振動が発生したときには、
制振材が変形し、この変形により振動エネルギが吸収さ
れ、振動発生源からの振動は速やかに減衰される。した
がって、振動発生源支持床版側から前記内柱側への振動
や固体伝播音の遮断効果を有効に発揮することができ
る。また、第1の部材と第2の部材とが、例えば地震な
どにより制振装置の軸線と直交する方向に相対移動した
ときには、制振材が圧縮されて、この方向の相対移動を
拘束することができ、耐震性に優れた構造とすることが
できる。
【0035】さらに、請求項1に係る制振装置を備えた
建築構造物によれば、振動発生源が載置された振動発生
源支持床版を、その下端が基礎杭に支持された内柱で支
持し、振動発生源支持床版より下方の下層躯体の地下床
を外柱で支持し、さらに振動発生源支持床版と内柱と
の間には制振装置を具備している。これにより、振動発
生源から上下方向の振動が伝達されたときには、振動発
生源支持床版と内柱との間に取り付けられた制振装置に
より、この振動が減衰される。また振動発生源支持床版
と、下層躯体が、内柱,外柱によりそれぞれ独立して支
持されている。したがって、下層躯体への振動発生源支
持床版からの振動や固体伝播音を遮断もしくは軽減する
ことができる。また、振動発生源支持床版を支持する内
柱と、下層躯体を前記底版を介して支持する外柱とが、
内外の二重鋼管柱構造とされているので、振動発生源支
持床版よりも下の階層には、振動発生源支持床版を支持
する架構の柱が別に存在してその階層空間の一部を占有
することはなくなり、空間の効率的利用を図ることがで
きる。
【0036】請求項2に係る制振装置を備えた建築構造
物によれば、振動発生源支持床板の上方に、下層躯体
地中壁上に立設された支持壁に支持された基盤を設け、
振動発生源支持床版より上方の上層躯体をこの基盤上に
設けた。振動発生源支持床版と下層躯体とがそれぞれ独
立して支持されているので、すなわちこれにより、上層
躯体が振動発生源支持床版に対し、独立して支持された
ことになる。したがって、振動発生源支持床板から上層
躯体への振動や固体伝播音の遮断効果を有効に発揮する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制振装置を備えた建築構造物の地
下部を示す正断面図である。
【図2】同建築構造物の一例を示す正断面図である。
【図3】同建築構造物の地下部を示す側断面図である。
【図4】本発明に係る制振装置を示す正断面図である。
【図5】同制振装置を備えた建築構造物の地下部に設け
られた他の制振装置を示す側面図である。
【図6】同構造物の地下部における二重鋼管柱と床版と
の仕口部を示す平面図である。
【図7】従来の制振装置を備えた建築構造物の一例を示
す正面図である。
【図8】従来の制振装置を備えた建築構造物の他の一例
を示す正面図である。
【符号の説明】
2 軌道(振動発生源) 10 下層躯体 11 上層躯体 12 地中壁 14 内柱(支持部) 15 外柱 16 二重鋼管柱 21 上側部材(第1の部材) 21a 凸部 22 下側部材(第2の部材) 22a 凹部 23 制振材 B 床版(振動発生源支持床版) C 基盤 S 制振シュー(制振装置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝沢 勝栄 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 秋山 顕二郎 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 熊谷 武紀 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 中谷 芳広 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 高梨 和光 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 前林 和彦 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 大槻 明 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 金木 義三 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 高橋 諭 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 草間 伊知郎 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 野中 稔 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 塩川 英世 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−360915(JP,A) 特開 昭53−23106(JP,A) 実開 昭63−152044(JP,U) 実開 平1−98801(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 15/00 - 15/08 E04H 9/02 301 E04H 9/02 331 E02D 27/32 E02D 27/44

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動発生源が載置された振動発生源支持
    床版と、 該振動発生源支持床版の下方に構築されて、周囲外壁を
    構成する地中壁、該地中壁の内部に架設された複数の地
    下床版、該地下床版を支持する複数の柱、及び前記地下
    床版より下方に配される底版からなる下層躯体と、 該下層躯体の下方で、地盤中に複数設けられた基礎杭
    と、 前記振動発生源支持床版と前記下層躯体の柱との間に設
    けられる制震装置とを有する、制震装置を備えた建築構
    造物であって、 前記下層躯体の複数の柱の少なくとも一部が、外柱と該
    外柱に対してその軸方向に相対移動可能な内柱とからな
    る二重鋼管柱構造とされ、 前記外柱が前記下層躯体の地下床版を支持するととも
    に、外柱の下端部が前記下層躯体の底版を介して前記基
    礎杭に支持され、 前記内柱が、その下端部を前記基礎杭に直に支持され、
    内柱の上端部は、前記制震装置を介して前記振動発生源
    支持床版を支持しており、 前記制震装置が、前記振動発生源支持床版側 に取り付け
    られた第1の部材と、これに対向して前記内柱側に取り
    付けられた第2の部材とから構成され、 前記第1の部材と第2の部材のいずれか一方の部材に
    は、他方の部材と対向する面に凸部が設けられ、 また他方の部材には、前記凸部と対向する凹部が形成さ
    れ、 前記凸部の外周面と該凹部内周面との間には、制振材が
    介装されることを特徴とする制振装置を備えた建築構造
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制振装置を備えた建築構
    造物において、 前記振動発生源支持床板の上方に、前記下層躯体の地中
    壁上に立設された支持壁に支持された基盤が設けられ、
    前記振動発生源支持床板より上方の上層躯体が該基盤上
    に設けられていることを特徴とする制振装置を備えた建
    築構造物。
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