JPH06330986A - 制振構造物 - Google Patents

制振構造物

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JPH06330986A
JPH06330986A JP12176993A JP12176993A JPH06330986A JP H06330986 A JPH06330986 A JP H06330986A JP 12176993 A JP12176993 A JP 12176993A JP 12176993 A JP12176993 A JP 12176993A JP H06330986 A JPH06330986 A JP H06330986A
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JP
Japan
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vibration
floor slab
vibration source
ground
column
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Application number
JP12176993A
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English (en)
Inventor
Yasuhiko Tawara
靖彦 田原
Shuji Okuda
修司 奥田
Hideo Shimomura
英男 下村
Katsue Katsusawa
勝栄 勝沢
Kenjiro Akiyama
顕二郎 秋山
Takenori Kumagai
武紀 熊谷
Yoshihiro Nakatani
芳広 中谷
Kazumitsu Takanashi
和光 高梨
Kazuhiko Maebayashi
和彦 前林
Akira Otsuki
明 大槻
Yoshizo Kaneki
義三 金木
Satoshi Takahashi
諭 高橋
Ichiro Kusama
伊知郎 草間
Minoru Nonaka
稔 野中
Hideyo Shiokawa
英世 塩川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動遮断効果や固体伝幡音遮断効果等を充分
に発揮することのできる制振構造物を提供することを目
的とする。 【構成】 振動発生源である軌道2が載置された床版B
より下方の下層躯体10においては、床版Bを二重構造
の柱16の内柱14で支持し、下層躯体10の地下床版
13a,13bおよび直接基礎9とを外柱15で支持
し、かつこの柱16の下端部16aを、直接基礎9の下
面から、軌道2で生じる振動の波長の例えば1.5倍の
長さHだけ下方に突出させて地盤中に挿入した形態で立
設する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、鉄道軌道,道
路,工場における機械的振動等、振動発生源に起因する
固体振動やそれに伴う振動音等を遮断するのに好適な制
振構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば鉄道軌道,道路,機械な
どの振動発生源からの固体振動やそれに伴う振動音を遮
断もしくは軽減するために、振動発生源とこれを支持す
る地盤等の支持部との間に、硬質弾性ゴム等からなる防
振マットや、バネなどの振動遮断効果の大きい緩衝材を
敷設している。
【0003】例えば、駅ビルやターミナルビルなどのよ
うに鉄道軌道や高架道路等の振動発生源を内部に引き込
む形態となった建築物では、その振動発生源からの固体
振動やそれに伴う振動音を遮断もしくは軽減するための
種々の方法が従来から採られている。
【0004】従来、例えば駅ビル等における振動遮断方
法としては、図8あるいは図9に示すような方法が知ら
れている。これらのうち、図8に示すものは、鉄道車両
1の軌道2の下に硬質弾性ゴム等からなる防振マット
や、バネなどの振動遮断効果の大きい緩衝材を敷設する
ことで、建築物3の架構(床版)4に対して及ぼす振動
を軽減する構成としたものである。
【0005】また、図9に示すものは、建築物3の躯体
とは別に、軌道2を支持する床版5とこの床版5を支持
する柱6を備える架構を基礎から独立して構築すると共
に、この架構の柱6の下端を、建築物3の躯体を貫通し
て地盤7中の基礎杭8で支持させる構成としたものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の振動遮断方法には、次のような課題が存
する。まず、図8に示した方法では、振動発生源の重量
が車両を含めて相当に大きいものとなることから、それ
に対応して振動遮断用緩衝材の剛性も著しく大きくしな
ければならず、したがって、緩衝材に緩衝機能を持たせ
る目的からは相反する構造とならざるを得ないために充
分な振動遮断効果を発揮させることができず、根本的解
決策とは言えない。
【0007】一方、図9に示した方法では、軌道2が載
せられる床版5とこの床版5を支持する柱6とを備える
架構を、建築物の躯体とは別体の独立架構としているこ
とから、振動遮断効果や固体伝幡音遮断効果等は発揮さ
れるものの、軌道2からの振動が大きな場合等には、遮
断しきれなかった床版5からの振動が柱6,基礎杭8を
介して地盤7中に伝達され、この地盤7を通して建築物
の躯体に振動や固体伝播音が伝わってしまうという問題
がある。
【0008】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、振動遮断効果や固体伝幡音遮断効果等を充
分に発揮することのできる制振構造物を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
振動発生源が載置された振動発生源支持床版よりも下方
の下層躯体を構成する複数の柱の少なくとも一部が、内
柱を外柱に対してその軸方向に相対移動可能とする内外
の二重構造とされ、該内柱が前記振動発生源支持床版を
支持するとともに、前記外柱が前記下層躯体の床版を支
持する構造とされ、前記二重構造の柱の下端部が、前記
制振構造物の直接基礎の下端より、前記振動発生源で生
じる振動波の波長の少なくとも1.5倍以上の長さ下方
に延出して地盤中に埋め込まれていることを特徴として
いる。
【0010】請求項2に係る発明は、振動発生源が載置
された振動発生源支持床版よりも下方の下層躯体を構成
する複数の柱の少なくとも一部が、地盤中の基礎杭に支
持され、かつ内柱を外柱に対してその軸方向に相対移動
可能とする内外の二重構造とされ、該内柱が前記振動発
生源支持床版を支持するとともに、前記外柱が前記下層
躯体の床版を支持する構造とされ、前記基礎杭の上端部
の、前記振動発生源で生じる振動波の波長の少なくとも
1.5倍以上の長さの部分が、鋼管と、該鋼管の内方に
位置するコンクリート杭とからなる二重構造とされてい
ることを特徴としている。
【0011】
【作用】請求項1記載の発明では、振動発生源を載置し
た振動発生源支持床版を、地盤中の基礎杭に支持された
二重構造の柱の内柱で支持し、また振動発生源支持床版
よりも下方の下層躯体を外柱で支持した。したがって、
振動発生源支持床版と下層躯体とがそれぞれ独立して支
持されたことになる。また、前記二重構造の柱の下端部
を、前記制振構造物の基礎の下端より、前記振動発生源
で生じる振動波の波長の少なくとも1.5倍以上の長さ
下方に延出させ地盤中に埋め込んだ。これにより、振動
発生源支持床版を支持する内柱の下端が、制振構造物の
基礎の下端よりも下方に位置することになり、振動源支
持床版からの振動は、基礎の下端よりも前記振動発生源
で生じる振動波の波長の少なくとも1.5倍以上の長さ
下方の位置で、内柱の下端から地盤に伝達される。
【0012】請求項2記載の発明では、振動発生源を載
置した振動発生源支持床版を、地盤中の基礎杭に支持さ
れた二重構造の柱の内柱で支持し、また振動発生源支持
床版よりも下方の下層躯体を外柱で支持した。したがっ
て、振動発生源支持床版と下層躯体とがそれぞれ独立し
て支持されたことになる。また基礎杭の上端部の、前記
振動発生源で生じる振動波の波長の少なくとも1.5倍
以上の長さの部分を、鋼管と、この鋼管の内方に位置す
るコンクリート杭とからなる二重構造とした。これによ
り、振動発生源支持床版を支持する前記内柱がコンクリ
ート杭に支持されたことになり、振動源支持床版からの
振動は、内柱,コンクリート杭を介して、基礎の下端よ
りも前記振動発生源で生じる振動波の波長の少なくとも
1.5倍以上の長さ下方の位置で地盤に伝達される。
【0013】
【実施例】以下、本発明を図1ないし図7に示す第1お
よび第2実施例を参照して説明する。まず、ここでは、
振動発生源として例えば鉄道軌道を備えた制振構造物
を、地盤上に形成した直接基礎で支持する場合の第1実
施例を用いて説明する。図2は、本発明に係る建築物
(制振構造物)Aの一例を示すものである。地盤上に形
成された直接基礎9上の建築物Aは、地表階に設置され
て、振動発生源となる鉄道車両1の軌道(振動発生源)
2が載置された床版(振動発生源支持床版)Bと、この
床版Bの下方に構築された複数階の階層からなる下層躯
体10と、床版Bの上方に構築された複数階の階層から
なる上層躯体11とから構成されている。
【0014】図1に示すように、振動発生源である軌道
2が載置された床版Bより下方の下層躯体10において
は、床版Bと、下層躯体10の地中における周囲外壁を
構成する地中壁12間に架設された地下床版(下層躯体
の床版)13a,13bおよび直接基礎9とが、同心円
状に一定間隔を隔てた、コンクリートからなる内柱14
と鋼管からなる外柱15とから構成される二重構造の柱
16,16,…で支持されている。各柱16の内柱14
と外柱15との間には、例えばゴムアスファルト等の粘
弾性材からなる制振材(図示なし)が介装され、内柱1
4と外柱15とが、その軸線方向、すなわち鉛直方向に
相対移動可能な構成とされている。これらの柱16は、
床版Bに敷設された各軌道2の中心線に沿って所定間隔
で配置され、その下端部16aが直接基礎9の下面か
ら、軌道2で生じる振動の波長λの例えば1.5倍の長
さHだけ下方に突出して地盤中に挿入された形態で立設
されている。
【0015】次に、床版Bの下方に構築された下層躯体
10の支持構造について説明する。下層躯体10の地中
における周囲外壁をなす地中壁12間に架設された地下
床版13a,13bおよび直接基礎9は、柱16の外柱
15に接合されている。
【0016】これらの地下床版13a,13bおよび直
接基礎9と外柱15との仕口部においては、柱16の内
柱14と内柱15との間に例えば積層ゴムからなる水平
拘束部材(図示なし)が介装されている。水平拘束部材
(図示なし)は、床版Bを支持する内柱14が、地震時
など、水平力に対して不安定になるときに、内柱14の
水平方向への相対移動を拘束するものである。なお、こ
の水平拘束部材(図示なし)には、内柱14の水平方向
への移動のみを拘束し、鉛直方向への相対移動を許容す
る構成であれば、これ以外にも、充填材,ベアリングな
ど他のものを用いてもよい。
【0017】上記の構成により、地下床版13a,13
bおよび地中壁12とを有した構成の下層躯体10は外
柱15で支持された構造となっている。
【0018】一方、振動発生源である軌道2が載置され
た前記床版Bは、複数の柱16の内柱14に支持された
構成となっている。
【0019】図1に示したように、各内柱14の上面に
は、制振シュー(制振装置)Sが備えられている。これ
ら制振シューSを備えた内柱14,14,…上には、軌
道2の延在する方向に制振桁梁19,19,…が架設さ
れ、またこれら制振桁梁19と直交する方向には梁部材
20,20,…が架設されている。そして、床版Bはこ
れら制振桁梁19および梁部材20上に載置された構成
となっている。
【0020】図3に示すように、制振シューSは、制振
桁梁19の下面に取り付けられた上側部材21と、内柱
14の上端面に取り付けられた下側部材22とから構成
されている。上側部材21には、鉛直下方に向けて突出
する切頭円錐状の凸部21aが形成され、一方、下側部
材22には、凸部21aと対向して、凹部22aが形成
されている。さらにこの凸部21aの外周面と凹部22
aの内周面との間には、水平面内に位置する環状の粘弾
性体からなる制振材23が介装されている。このような
構成の制振シューSは、上側部材21と下側部材22と
が床版Bからの振動により上下方向に相対移動したとき
に、制振材23が上下方向に変形し、振動エネルギーを
吸収して振動を減衰する。また、上側部材21と下側部
材22とが、例えば地震などにより水平方向に相対移動
したときには、制振材23が圧縮されて抗力を発し、前
記相対移動を拘束する構造とされている。
【0021】図4に示すように、前記制振桁梁19は、
梁材24と、この下面に備えられた桁梁制振装置25と
から構成されている。桁梁制振装置25は、長尺な鋼鈑
26,26,…が、2組に分けられて、粘弾性体27,
27,…を介して積層されたものである。すなわち、上
下および中間の3枚の鋼鈑26a,26a,26aの一
端(図4において右端)が梁材24に固定され、他の鋼
鈑26b,26bの一端(同、左端)が同様に梁材24
に固定され、これらの鋼鈑26が、粘弾性体27,2
7,…を挟み込んで交互に積層された構成とされてい
る。この制振桁梁19の中間部は、図示しない金具によ
り、梁材24の下面から垂れ下がらないように支持され
ている。この制振桁梁19は、床版Bが振動したときに
は、梁材24の上部および下部が伸縮するように変形
し、このとき、桁梁制振装置25を構成する各鋼鈑26
が梁材24の長手方向に相対的にずれることになり、こ
れにより粘弾性体27,27,…が変形して振動エネル
ギーを吸収し、梁材24の上下振動を速やかに減衰する
ものである。
【0022】上記の構成により、床版Bは、制振桁梁1
9,制振シューSを介して、内柱14,14,…で支持
された構造となっている。これにより、床版Bは外柱1
5に支持された下層躯体10に対して、独立して支持さ
れたことになる。
【0023】次に、床版Bの上方に設けられた複数階の
階層からなる上層躯体11の支持構造について説明す
る。図2に示したように、床版Bの上方には、下層躯体
10の地中壁12上に立設された支持壁28に支持され
て、トラス構造からなる基盤Cが設けられている。そし
てこの基盤C上に、複数階の階層を有する上層躯体11
が構築されている。この構成により、上層躯体11は、
基盤C,支持壁28を介して下層躯体10に支持された
ことになる。前述したように、振動発生源である軌道2
を載置した床版Bは、下層躯体10に対して独立して支
持されているので、上層躯体11と床版Bとはそれぞれ
独立して支持されていることになる。
【0024】次に、上記の構成からなる建築物Aにおい
て、軌道2からの振動が発生したときの作用について説
明する。床版B上に敷設された各軌道2上を鉄道車両1
が走行するときに生じる床版Bの上下方向の振動は、制
振桁梁19で減衰される。そして、この制振桁梁19で
減衰しきれない振動は、制振桁梁19の下面と内柱14
の上端面との間に備えられた制振シューSで減衰され
る。制振シューSで減衰しきれない振動は、直接基礎9
の下方の柱16の二重構造の部分では周囲地盤に伝達さ
れることはなく、内柱14の下端から、地盤中に伝達さ
れる。
【0025】ここで、内柱14の下端部から地盤中に伝
達される振動の原因は、レイレー波,ラブ波の表面波で
あることが知られている。この表面波は、図5に示すよ
うに、鉛直方向にその波長λの1.5倍以上の長さ(深
さ)離間すると、振動波は減衰してほとんどなくなる。
したがって、内柱14の下端から地盤中に伝達された振
動は、地盤中で減衰され、軌道2で生じる振動の波長λ
の1.5倍の長さHだけ離間した直接基礎9へはほとん
ど伝達されない。
【0026】上述したように、第1実施例の建築物Aで
は、内柱14に支持された床版Bと外柱15に支持され
た下層躯体10とはそれぞれ独立して支持されている。
そして、床版B上に敷設された各軌道2上を鉄道車両1
が走行するときに生じる床版Bの振動は、制振桁梁1
9,制振シューSで減衰され、減衰しきれない振動は、
直接基礎9の下方の柱16の二重構造の部分では周囲地
盤に伝達されることはなく、内柱14の下端から地盤中
に伝達される。そして、内柱14の下端から伝達された
振動は、前述したように地盤中で減衰され、軌道2で生
じる振動の波長λの1.5倍の長さHだけ離間した直接
基礎9へはほとんど伝達されない。したがって、外柱1
5に支持された下層躯体10への、床版Bからの振動や
固体伝播音の伝達を充分に遮断することができる。ま
た、上層躯体11は、基盤C,支持壁28を介して前記
下層躯体10の地中壁12に支持されている。したがっ
て、上層躯体10への床版からの振動や固体伝播音の伝
達を充分に遮断することができる。
【0027】なお、上記実施例において、直接基礎9の
下方の柱16の二重構造の部分の長さHを、軌道2で生
じる波長λの1.5倍としたが、上述したように、表面
波は地盤中でその波長の1.5倍離間すると減衰するの
で、この長さHは、軌道2の生じる波長λの1.5倍以
上(H≧1.5λ)であれば良い。
【0028】次に、上記第1実施例と同様に、振動発生
源として例えば鉄道軌道を備えた制振構造物を、地盤中
に埋め込まれた基礎杭上に支持された基礎で支持する場
合の第2実施例について説明する。ここでは、先に説明
した第1実施例と異なる構成のみについて説明する。
【0029】図6は、本発明に係る建築物(制振構造
物)Dの一例を示すものである。建築物Dは、地表階に
設置されて、振動発生源となる鉄道車両1の軌道(振動
発生源)2が載置された床版(振動発生源支持床版)B
と、この床版Bの下方に構築された複数階の階層からな
る下層躯体10’と、床版Bの上方に構築された複数階
の階層からなる上層躯体11とから構成されている。
【0030】そして、図7に示すように、第1実施例と
同様にして、床版Bは、二重構造の柱16’の内柱14
に制振桁梁19,制振シューSを介して支持され、下層
躯体10は外柱15に接合されて支持された構造となっ
ている。
【0031】前記二重構造の柱16’は、床版Bに敷設
された各軌道2の中心線に沿って所定間隔で配置された
基礎杭29に、その下端部16’aが、基礎杭29の直
径の例えば2倍の長さ挿入された形態で立設されてい
る。これにより、柱16’からの支圧によって、曲げモ
ーメントおよび剪断力が柱16’から基礎杭29に効率
的に伝達される。
【0032】各基礎杭29は、以下のような構成となっ
ている。基礎杭29の上端から、軌道2で生じる振動の
波長λの例えば1.5倍の長さHの部分が、円筒状の鋼
管30と、鋼管30の内方でこれと同心円状に一定間隔
を隔てて形成されたコンクリート杭31とからなる二重
構造部32とされ、その軸線方向すなわち鉛直方向に相
対移動可能な構成とされている。この鋼管30の内面に
は、ゴムアスファルト等の粘弾性材からなる制振材(図
示なし)が、例えば1000ミクロンの厚さで塗布さ
れ、この内方にコンクリートが打設されて前記コンクリ
ート杭31が形成されている。
【0033】次に、上記の構成からなる建築物Dにおい
て、軌道2からの振動が発生したときの作用について説
明する。床版B上に敷設された各軌道2上を鉄道車両1
が走行するときに生じる床版Bの上下方向の振動は、各
軌道2の中心線に沿って設けられた制振桁梁19,制振
シューSで減衰され、減衰しきれない振動は、内柱14
を介して基礎杭29に伝達される。基礎杭29では、上
端部から振動発生源で生じる振動の波長λの1.5倍の
長さHの部分が二重構造部32とされているので、伝達
されてきた床版Bの振動は、この二重構造部32では周
囲地盤に伝達されることはなく、二重構造部32より下
方において地盤中に伝達される。
【0034】ここで、基礎杭29から地盤中に伝達され
る振動の原因は、レイレー波,ラブ波の表面波であり、
前述したように、この表面波は、鉛直方向に、その波長
λの1.5倍以上の長さ離間すると、振動波はほとんど
なくなる(図5参照)。したがって、基礎杭29の二重
構造部32より下方から伝達された振動は、地盤中で減
衰され、軌道2で生じる振動の波長λの1.5倍の長さ
Hだけ離間した基盤9へはほとんど伝達されない。
【0035】上述したように、第2実施例の建築物Dで
は、内柱14に支持された床版Bと外柱15に支持され
た下層躯体10とはそれぞれ独立して支持されている。
そして、床版B上に敷設された各軌道2上を鉄道車両1
が走行するときに生じる床版Bの振動は、制振桁梁1
9,制振シューSにより減衰され、減衰しきれない振動
は、内柱14の下端から、基礎杭29のコンクリート杭
31に伝達され、基礎杭29の二重構造部32より下方
から地盤中に伝達される。そして、この振動は、地盤中
で減衰され、軌道2で生じる振動の波長λの1.5倍の
長さHだけ離間した下層躯体10へはほとんど伝達され
ない。したがって、外柱15に支持された下層躯体10
への床版Bからの振動や固体伝播音の伝達を充分に遮断
することができる。また、上層躯体11は、基盤C,支
持壁28を介して前記下層躯体10の地中壁12に支持
されている。したがって、上層躯体11への床版Bから
の振動や固体伝播音の伝達を充分に遮断することができ
る。
【0036】なお、上記実施例において、基礎杭29の
二重構造部32の長さHを、軌道2で生じる波長λの
1.5倍としたが、上述したように、表面波は地盤中で
その波長の1.5倍離間すると減衰するので、この長さ
Hは、軌道2の生じる波長λの1.5倍以上(H≧1.
5λ)であれば良い。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る制
振構造物によれば、振動発生源支持床版,下層躯体とが
それぞれ内柱,外柱に、それぞれ独立して支持されてい
る。そして、振動発生源からの振動は、基礎の下端よ
り、振動発生源で生じる振動波の波長の少なくとも1.
5倍以上の長さだけ下方に位置する内柱の下端から地盤
中に伝達され、二重構造の部分では周囲地盤に伝達され
ることはない。そして、内柱の下端から伝達された振動
は地盤中で減衰され、振動発生源で生じる振動波の波長
の少なくとも1.5倍以上の長さ離間した直接基礎、す
なわち下層躯体へはほとんど伝達されない。したがっ
て、外柱に支持された下層躯体への、振動発生源からの
振動や固体伝播音の伝達を充分に遮断することができ
る。
【0038】請求項2に係る制振構造物によれば、振動
発生源支持床版,下層躯体とがそれぞれ内柱,外柱に、
それぞれ独立して支持されている。そして、振動発生源
からの振動は、内柱の下端から基礎杭内のコンクリート
杭に伝達され、基礎杭の二重構造の部分より下方の部分
から地盤中に伝達される。そして、この振動は地盤中で
減衰され、振動発生源で生じる振動波の波長の少なくと
も1.5倍以上の長さ離間した下層躯体へはほとんど伝
達されない。したがって、外柱に支持された下層躯体へ
の、振動発生源からの振動や固体伝播音の伝達を充分に
遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制振構造物の一実施例の一部を示
す正面図である。
【図2】同制振構造物を示す正面図である。
【図3】同制振構造物に備えた制振装置を示す正断面図
である。
【図4】同制振構造物に備えた他の制振装置を示す正断
面図である。
【図5】振動波の振幅と地盤の深さとの関係を示すグラ
フである。
【図6】本発明に係る制振構造物の他の実施例を示す正
面図である。
【図7】同制振構造物の一部を示す正面図である。
【図8】従来の制振構造物の一例を示す正面図である。
【図9】従来の制振構造物の他の例を示す正面図であ
る。
【符号の説明】
9 直接基礎 10,10’ 下層躯体 13a,13b,13c 地下床版(下層躯体の床版) 14 内柱 15 外柱 16,16’ 柱 16a,16’a 下端部 29 基礎杭 31 コンクリート杭 B 床版(振動発生源支持床版) λ 波長
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝沢 勝栄 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 秋山 顕二郎 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 熊谷 武紀 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 中谷 芳広 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 高梨 和光 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 前林 和彦 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 大槻 明 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 金木 義三 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 高橋 諭 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 草間 伊知郎 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 野中 稔 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 塩川 英世 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動発生源が載置された振動発生源支持
    床版よりも下方の下層躯体を構成する複数の柱の少なく
    とも一部が、内柱を外柱に対してその軸方向に相対移動
    可能とする内外の二重構造とされ、該内柱が前記振動発
    生源支持床版を支持するとともに、前記外柱が前記下層
    躯体の床版を支持する構造とされ、前記二重構造の柱の
    下端部が、前記制振構造物の直接基礎の下端より、前記
    振動発生源で生じる振動波の波長の少なくとも1.5倍
    以上の長さ下方に延出して地盤中に埋め込まれているこ
    とを特徴とする制振構造物。
  2. 【請求項2】 振動発生源が載置された振動発生源支持
    床版よりも下方の下層躯体を構成する複数の柱の少なく
    とも一部が、地盤中の基礎杭に支持され、かつ内柱を外
    柱に対してその軸方向に相対移動可能とする内外の二重
    構造とされ、該内柱が前記振動発生源支持床版を支持す
    るとともに、前記外柱が前記下層躯体の床版を支持する
    構造とされ、前記基礎杭の上端部の、前記振動発生源で
    生じる振動波の波長の少なくとも1.5倍以上の長さの
    部分が、鋼管と、該鋼管の内方に位置するコンクリート
    杭とからなる二重構造とされていることを特徴とする制
    振構造物。
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