JP3284511B2 - 構造物の振動制御方法及び制振装置 - Google Patents
構造物の振動制御方法及び制振装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、建物その他の構造物
に、近隣に発生した振動が伝播して共振現象の振動障害
が発生し、「不快な振動を感じる」場合に、その振動障
害を打ち消す振動制御方法、及び同方法の実施に使用さ
れる衝撃加振型のアクティブ制振装置の技術分野に属す
る。
に、近隣に発生した振動が伝播して共振現象の振動障害
が発生し、「不快な振動を感じる」場合に、その振動障
害を打ち消す振動制御方法、及び同方法の実施に使用さ
れる衝撃加振型のアクティブ制振装置の技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】プレス工場ではプレス機械の運転によ
り、エアロビクス運動の施設では多数の人間の跳躍運動
などにより、また、ロックコンサート会場の施設などで
は激しい音響効果あるいは聴衆の足踏み運動などで、各
々非常に大きな衝撃力や振動が発生する。前記のような
衝撃力、振動は構造物の躯体を伝搬して上下の階で、あ
るいは基礎や地盤を伝搬して近隣構造物の床、梁に水
平、上下の振動(共振)を誘発し、「不快な振動を感じ
る」振動障害のクレームを発生することが知られている
(図7を参照)。この種の振動は、プレス機械の回転
数、人間の跳躍運動のピッチあるいはその整数倍のピッ
チが構造物固有の振動モードに対応する振動数と一致し
て共振するケースによく見られ、重層構造物の各階にわ
たって同様な振動モード、同様な振動量で振動障害が発
生することが知られている。
り、エアロビクス運動の施設では多数の人間の跳躍運動
などにより、また、ロックコンサート会場の施設などで
は激しい音響効果あるいは聴衆の足踏み運動などで、各
々非常に大きな衝撃力や振動が発生する。前記のような
衝撃力、振動は構造物の躯体を伝搬して上下の階で、あ
るいは基礎や地盤を伝搬して近隣構造物の床、梁に水
平、上下の振動(共振)を誘発し、「不快な振動を感じ
る」振動障害のクレームを発生することが知られている
(図7を参照)。この種の振動は、プレス機械の回転
数、人間の跳躍運動のピッチあるいはその整数倍のピッ
チが構造物固有の振動モードに対応する振動数と一致し
て共振するケースによく見られ、重層構造物の各階にわ
たって同様な振動モード、同様な振動量で振動障害が発
生することが知られている。
【0003】従来、振動モードが構造物の床、梁に固有
なモードである場合には、床下あるいは梁下等に同調型
マスダンパー系制振装置(TMD)等を設置して振動モ
ードの共振現象を抑制する技術の研究が進められ、既に
実施もされている。しかし、振動が重層構造物の柱等の
鉛直材を伝搬することに起因する場合、即ち、図7に例
示したように、構造物の躯体を伝搬して上下の階で、あ
るいは基礎や地盤を伝搬して近隣構造物の床、梁に水
平、上下の振動(共振)を誘発し「不快な振動を感じ
る」等々の振動障害に関しては、未だ有効な振動制御の
対策、技術は確立されていない。多数の場所(多層)で
同時期に発生する振動障害であり、個別的対処に応じき
れないのが実情である。
なモードである場合には、床下あるいは梁下等に同調型
マスダンパー系制振装置(TMD)等を設置して振動モ
ードの共振現象を抑制する技術の研究が進められ、既に
実施もされている。しかし、振動が重層構造物の柱等の
鉛直材を伝搬することに起因する場合、即ち、図7に例
示したように、構造物の躯体を伝搬して上下の階で、あ
るいは基礎や地盤を伝搬して近隣構造物の床、梁に水
平、上下の振動(共振)を誘発し「不快な振動を感じ
る」等々の振動障害に関しては、未だ有効な振動制御の
対策、技術は確立されていない。多数の場所(多層)で
同時期に発生する振動障害であり、個別的対処に応じき
れないのが実情である。
【0004】また、振動を能動的に制御するアクティブ
マスダンパー系制振装置(AMD)では、対象とする振
動数(正弦波)に対して逆方向の制振力を付与するよう
に正弦波で付加質量(マス)を駆動しているが、このよ
うな方法は質量及び振幅の大きさで駆動力が決定され、
構造物の質量が大きくなるにつれてマスの駆動エネルギ
ーが巨大になって省エネルギーの振動対策にはほど遠く
なる。
マスダンパー系制振装置(AMD)では、対象とする振
動数(正弦波)に対して逆方向の制振力を付与するよう
に正弦波で付加質量(マス)を駆動しているが、このよ
うな方法は質量及び振幅の大きさで駆動力が決定され、
構造物の質量が大きくなるにつれてマスの駆動エネルギ
ーが巨大になって省エネルギーの振動対策にはほど遠く
なる。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特
には振動が多層構造物の柱等の鉛直材を伝搬することに
起因する場合であって重層構造物の各階にわたって同様
な振動モード、同様な振動量で発生する不快な振動を抑
制すること、それも低エネルギー(省エネルギー)で十
分に有効な制振効果が得られ、また、重層構造物の各階
を共通に効率的に制振することが可能な振動制御方法、
及び前記の振動制御方法に使用される上下方向衝撃型の
アクティブ制振装置を提供することである。
には振動が多層構造物の柱等の鉛直材を伝搬することに
起因する場合であって重層構造物の各階にわたって同様
な振動モード、同様な振動量で発生する不快な振動を抑
制すること、それも低エネルギー(省エネルギー)で十
分に有効な制振効果が得られ、また、重層構造物の各階
を共通に効率的に制振することが可能な振動制御方法、
及び前記の振動制御方法に使用される上下方向衝撃型の
アクティブ制振装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、請求項1記載の発明に係る構造物の振
動制御方法は、構造物において、近隣に発生した振動が
伝播して共振現象の振動障害が発生する場所に、アクテ
ィブ制振装置を設置すること、 前記アクティブ制振装置
は、振動障害が発生する場所に載置する増幅機構と、前
記増幅機構の上に設置された加振版と、駆動手段により
上下方向に移動され、前記加振版へ衝突して前記振動障
害と同じ振動数の衝撃加振を加える可動マスとでアクテ
ィブマスダンパーを構成し、 前記増幅機構は、前記加振
版が設置された共振架台を、鉛直方向に剛性があって変
形可能な弾性支承体によって前記振動障害が発生する場
所に支持し、共振架台と振動障害が発生する場所との間
を上下方向のダンパーで連結した構成とし、 前記増幅機
構の固有振動数を振動障害の振動数と同調するように設
定し、前記ダンパーにより増幅率を調整し、 前記振動障
害が発生する場所に振動センサーを設置し、前記振動セ
ンサーで計測した振動情報をコントローラへ入力し、そ
の振動情報に基づいてコントローラが前記アクティブマ
スダンパーの駆動制御を行い、振動障害を打ち消すこと
を特徴とする。
めの手段として、請求項1記載の発明に係る構造物の振
動制御方法は、構造物において、近隣に発生した振動が
伝播して共振現象の振動障害が発生する場所に、アクテ
ィブ制振装置を設置すること、 前記アクティブ制振装置
は、振動障害が発生する場所に載置する増幅機構と、前
記増幅機構の上に設置された加振版と、駆動手段により
上下方向に移動され、前記加振版へ衝突して前記振動障
害と同じ振動数の衝撃加振を加える可動マスとでアクテ
ィブマスダンパーを構成し、 前記増幅機構は、前記加振
版が設置された共振架台を、鉛直方向に剛性があって変
形可能な弾性支承体によって前記振動障害が発生する場
所に支持し、共振架台と振動障害が発生する場所との間
を上下方向のダンパーで連結した構成とし、 前記増幅機
構の固有振動数を振動障害の振動数と同調するように設
定し、前記ダンパーにより増幅率を調整し、 前記振動障
害が発生する場所に振動センサーを設置し、前記振動セ
ンサーで計測した振動情報をコントローラへ入力し、そ
の振動情報に基づいてコントローラが前記アクティブマ
スダンパーの駆動制御を行い、振動障害を打ち消すこと
を特徴とする。
【0007】請求項2に記載した発明は、請求項1に記
載した構造物の振動制御方法において、 構造物が重層構
造物で、近隣に発生した振動が柱、壁その他の鉛直材を
伝播して各階の床や梁に共振現象の振動障害が発生する
場合に、最上階の床にアクティブ制振装置を設置し、 前
記アクティブ制振装置の直下の位置に、各階の床へ制振
力を伝達する垂直制振材を各階の床と剛に結合して設置
し、 前記床に振動センサーを設置し、前記振動センサー
で計測した振動情報に基づいてコントローラが前記アク
ティブマスダンパーの駆動制御を行い、各階の床や梁の
振動障害を打ち消すことを特徴とする。
載した構造物の振動制御方法において、 構造物が重層構
造物で、近隣に発生した振動が柱、壁その他の鉛直材を
伝播して各階の床や梁に共振現象の振動障害が発生する
場合に、最上階の床にアクティブ制振装置を設置し、 前
記アクティブ制振装置の直下の位置に、各階の床へ制振
力を伝達する垂直制振材を各階の床と剛に結合して設置
し、 前記床に振動センサーを設置し、前記振動センサー
で計測した振動情報に基づいてコントローラが前記アク
ティブマスダンパーの駆動制御を行い、各階の床や梁の
振動障害を打ち消すことを特徴とする。
【0008】請求項3に記載した発明に係る構造物のア
クティブ制振装置は、近隣に発生した振動が伝播して共
振現象の振動障害が発生する構造物に設置して、振動障
害を打ち消すアクティブ制振装置であって、固有振動数
を振動障害の振動数と一致するように同調され、前記振
動障害が発生する場所に載置される増幅機構と、前記増
幅機構の上に設置された加振版と、駆動手段により上下
方向に移動され、前記加振版へ衝突して前記振動障害と
同じ振動数の衝撃加振を加える可動マスとでアクティブ
マスダンパーが構成されていること、 前記増幅機構は、
前記加振版を設置された共振架台が、鉛直方向に剛性が
あって変形可能な弾性支承体によって前記振動障害が発
生する場所に支持され、共振架台と振動障害が発生する
場所との間が上下方向のダンパーで連結され、前記ダン
パーにより増幅率を調整可能に構成されていること、前
記振動障害が発生する場所に設置された振動センサー、
及び前記振動センサーで計測した振動情報が入力され、
その振動情報に基づいて前記アクティブマスダンパーの
駆動制御を行うコントローラを含む構成であること、前
記振動センサーで計測した振動情報に基づいて前記アク
ティブマスダンパーの駆動制御を行い、振動障害を打ち
消すことを特徴とする。
クティブ制振装置は、近隣に発生した振動が伝播して共
振現象の振動障害が発生する構造物に設置して、振動障
害を打ち消すアクティブ制振装置であって、固有振動数
を振動障害の振動数と一致するように同調され、前記振
動障害が発生する場所に載置される増幅機構と、前記増
幅機構の上に設置された加振版と、駆動手段により上下
方向に移動され、前記加振版へ衝突して前記振動障害と
同じ振動数の衝撃加振を加える可動マスとでアクティブ
マスダンパーが構成されていること、 前記増幅機構は、
前記加振版を設置された共振架台が、鉛直方向に剛性が
あって変形可能な弾性支承体によって前記振動障害が発
生する場所に支持され、共振架台と振動障害が発生する
場所との間が上下方向のダンパーで連結され、前記ダン
パーにより増幅率を調整可能に構成されていること、前
記振動障害が発生する場所に設置された振動センサー、
及び前記振動センサーで計測した振動情報が入力され、
その振動情報に基づいて前記アクティブマスダンパーの
駆動制御を行うコントローラを含む構成であること、前
記振動センサーで計測した振動情報に基づいて前記アク
ティブマスダンパーの駆動制御を行い、振動障害を打ち
消すことを特徴とする。
【0009】
【作用】質量の大きさが同一の可動マス11によるアク
ティブマスダンパー14であっても、可動マス11を正
弦波振動させて非衝撃加振を行った場合には、図5に例
示したように、目的とする(振動障害と同じ振動数の)
周波数域に加振力のピークAが発生するが、これを増幅
しても図6に例示したように単に増幅率相当大きさのピ
ークA′が加振力として発生するにすぎない。これに対
して、本発明による衝撃加振のアクティブ制振装置1の
場合は、図3に例示したように、目的とする周波数域に
衝撃力に相応する大きさの加振力のピークBが発生する
ほか、上下方向衝撃に起因する正弦波の歪み又はずれの
ため、整数倍の周波数域に所謂倍調波ピークB2 ,
B3 ,B4 …が副次的に発生する。ところが、前記振動
数に同調させた増幅機構12を媒介することにより、前
記加振力は図4に例示したように、前記の倍調波ピーク
B2 ,B3 ,B4 …はフィルターに通したように小さく
なり、その分目的とする周波数域のピークB′が一層大
きく増幅された加振力として発生する。因みに図4の衝
撃加振のピークB′の大きさは、図6の正弦波加振のピ
ークA′の約3倍相当にまで増幅されている。従って、
同じ大きさの加振力のピークを設計する場合は、端的に
言えば、衝撃加振における可動マス11の質量は約1/
3で済む訳であり、その分相対的にアクティブマスダン
パー14の規模を縮小化できるし、また、可動マス11
を振動させる駆動エネルギーも約1/3で済み、省エネ
ルギー効果を得られる。
ティブマスダンパー14であっても、可動マス11を正
弦波振動させて非衝撃加振を行った場合には、図5に例
示したように、目的とする(振動障害と同じ振動数の)
周波数域に加振力のピークAが発生するが、これを増幅
しても図6に例示したように単に増幅率相当大きさのピ
ークA′が加振力として発生するにすぎない。これに対
して、本発明による衝撃加振のアクティブ制振装置1の
場合は、図3に例示したように、目的とする周波数域に
衝撃力に相応する大きさの加振力のピークBが発生する
ほか、上下方向衝撃に起因する正弦波の歪み又はずれの
ため、整数倍の周波数域に所謂倍調波ピークB2 ,
B3 ,B4 …が副次的に発生する。ところが、前記振動
数に同調させた増幅機構12を媒介することにより、前
記加振力は図4に例示したように、前記の倍調波ピーク
B2 ,B3 ,B4 …はフィルターに通したように小さく
なり、その分目的とする周波数域のピークB′が一層大
きく増幅された加振力として発生する。因みに図4の衝
撃加振のピークB′の大きさは、図6の正弦波加振のピ
ークA′の約3倍相当にまで増幅されている。従って、
同じ大きさの加振力のピークを設計する場合は、端的に
言えば、衝撃加振における可動マス11の質量は約1/
3で済む訳であり、その分相対的にアクティブマスダン
パー14の規模を縮小化できるし、また、可動マス11
を振動させる駆動エネルギーも約1/3で済み、省エネ
ルギー効果を得られる。
【0010】増幅機構12は、共振架台15の重量と弾
性支承体16の剛性(バネ性)とにより決定される固有
振動数を、振動障害の振動数と一致するように調整して
同調が行なわれる。また、ダンパー20の減衰量を調整
することにより、ピークBの増幅率を決定できる。重層
構造物4の各層間を垂直制振材5で相互に結合した結
果、一つの層に設置したアクティブ制振装置1が発生し
た制振力は、全ての層に等しく及び、等しく制振効果を
発揮する。
性支承体16の剛性(バネ性)とにより決定される固有
振動数を、振動障害の振動数と一致するように調整して
同調が行なわれる。また、ダンパー20の減衰量を調整
することにより、ピークBの増幅率を決定できる。重層
構造物4の各層間を垂直制振材5で相互に結合した結
果、一つの層に設置したアクティブ制振装置1が発生し
た制振力は、全ての層に等しく及び、等しく制振効果を
発揮する。
【0011】本発明のアクティブ制振装置1は、振動セ
ンサー2が計測した振動情報、即ち、振動モード及び振
動量に基いてコントローラ17が可動マス11の適正な
駆動制御を行うので、正に重層構造物における各層の振
動障害を打ち消すに相当な制振力を発生して効率的な制
振効果を奏する。
ンサー2が計測した振動情報、即ち、振動モード及び振
動量に基いてコントローラ17が可動マス11の適正な
駆動制御を行うので、正に重層構造物における各層の振
動障害を打ち消すに相当な制振力を発生して効率的な制
振効果を奏する。
【0012】
【実施例】次に、図示した本発明の実施例を説明する。
図1は、図7の場合と同様にプレス工場6に隣接する重
層建物4に、プレス機械7の運転により発生した振動8
が地盤中を伝搬して同建物の基礎から柱4a、壁その他
の鉛直材(躯体)を伝搬して建物各階の床4bや梁等に
共振現象の振動障害を発生する場合の対策として、同建
物4の最上階の床4b上にアクティブ制振装置1を設置
すると共に、同アクティブ制振装置1の直下の位置に各
階の床4b(及び梁)へ制振力の伝達が可能な垂直制振
材5で床相互を剛に結合した構成とされている。前記垂
直制振材5としては、H形鋼、I形鋼その他の鋼材、あ
るいはプレキャストコンクリート柱材等が好適に使用さ
れ、各層の床との結合にはボルト継手、又はシャーコネ
クターやアンカー筋等によるコンクリート埋込み継手等
による結合が行われる。
図1は、図7の場合と同様にプレス工場6に隣接する重
層建物4に、プレス機械7の運転により発生した振動8
が地盤中を伝搬して同建物の基礎から柱4a、壁その他
の鉛直材(躯体)を伝搬して建物各階の床4bや梁等に
共振現象の振動障害を発生する場合の対策として、同建
物4の最上階の床4b上にアクティブ制振装置1を設置
すると共に、同アクティブ制振装置1の直下の位置に各
階の床4b(及び梁)へ制振力の伝達が可能な垂直制振
材5で床相互を剛に結合した構成とされている。前記垂
直制振材5としては、H形鋼、I形鋼その他の鋼材、あ
るいはプレキャストコンクリート柱材等が好適に使用さ
れ、各層の床との結合にはボルト継手、又はシャーコネ
クターやアンカー筋等によるコンクリート埋込み継手等
による結合が行われる。
【0013】アクティブ制振装置1の構造詳細を図2に
示している。これは可動マス11の駆動力として電磁型
アクチュエータを採用してアクティブマスダンパー14
が構成されている。可動マス11は垂直なセンターポー
ル(コア)14aに沿って上下方向に移動(振動)する
ものとされ、その外周部に円筒形状の励磁マグネット1
4bが固定して配置され、この励磁マグネット14bへ
供給する電流の大きさと向きがコントローラ17により
制御され、もって振動障害と同じ振動数の衝撃加振が行
なわれる。前記センターポール14aの直下位置に加振
版13が設けられ、下降した可動マス11は加振版13
へ衝突して目的とする振動数の衝撃加振を加える。前記
加振版13は増幅機構12を構成する共振架台15の上
に載置されており、この共振架台15は鉛直方向に剛性
があって変形可能なコイルバネ、板バネ、空気バネある
いはゴム、プラスチックの如き弾性支承体16によって
建物の床4b上に支持されている。更に、共振架台15
と建物の床4bとの間には、例えばシリコンオイルと抵
抗板とで構成された上下方向のダンパー20が介在され
ている。この共振架台15と弾性支承体16とで構成さ
れた増幅機構12の固有振動数は振動障害の振動数(加
振振動数)と同調するように設定され、ダンパー20に
より増幅率を調整する。前記床4bに振動センサー2が
設置され、該振動センサー2で計測した床4bの振動情
報が前記コントローラ17へ入力され、前記振動情報に
基づいて前記アクティブマスダンパー14の駆動制御が
行われる。アクティブマスダンパー14が発生した上下
方向の衝撃加振力による制振力(図3参照)は、増幅機
構12を媒介して増幅されたもの(図4参照)が床4b
及び垂直制振材5を通じて建物各層の床(及び梁)へ合
一に伝達され、制振効果を発揮する。前記アクティブマ
スダンパー14は、衝撃音を低減するため内面に防音材
を張ったカバー19で覆われている。
示している。これは可動マス11の駆動力として電磁型
アクチュエータを採用してアクティブマスダンパー14
が構成されている。可動マス11は垂直なセンターポー
ル(コア)14aに沿って上下方向に移動(振動)する
ものとされ、その外周部に円筒形状の励磁マグネット1
4bが固定して配置され、この励磁マグネット14bへ
供給する電流の大きさと向きがコントローラ17により
制御され、もって振動障害と同じ振動数の衝撃加振が行
なわれる。前記センターポール14aの直下位置に加振
版13が設けられ、下降した可動マス11は加振版13
へ衝突して目的とする振動数の衝撃加振を加える。前記
加振版13は増幅機構12を構成する共振架台15の上
に載置されており、この共振架台15は鉛直方向に剛性
があって変形可能なコイルバネ、板バネ、空気バネある
いはゴム、プラスチックの如き弾性支承体16によって
建物の床4b上に支持されている。更に、共振架台15
と建物の床4bとの間には、例えばシリコンオイルと抵
抗板とで構成された上下方向のダンパー20が介在され
ている。この共振架台15と弾性支承体16とで構成さ
れた増幅機構12の固有振動数は振動障害の振動数(加
振振動数)と同調するように設定され、ダンパー20に
より増幅率を調整する。前記床4bに振動センサー2が
設置され、該振動センサー2で計測した床4bの振動情
報が前記コントローラ17へ入力され、前記振動情報に
基づいて前記アクティブマスダンパー14の駆動制御が
行われる。アクティブマスダンパー14が発生した上下
方向の衝撃加振力による制振力(図3参照)は、増幅機
構12を媒介して増幅されたもの(図4参照)が床4b
及び垂直制振材5を通じて建物各層の床(及び梁)へ合
一に伝達され、制振効果を発揮する。前記アクティブマ
スダンパー14は、衝撃音を低減するため内面に防音材
を張ったカバー19で覆われている。
【0014】なお、建物あるいはその他の構造物の単一
層について制振を行う場合は、前記垂直制振材5は必要
なく、前記アクティブ制振装置1を振動障害が発生する
場所に設置し、同じ場所に振動センサー2を設置した構
成により全く同様な制振効果を奏する。
層について制振を行う場合は、前記垂直制振材5は必要
なく、前記アクティブ制振装置1を振動障害が発生する
場所に設置し、同じ場所に振動センサー2を設置した構
成により全く同様な制振効果を奏する。
【0015】
【本発明が奏する効果】本発明の振動制御方法は、上下
方向の衝撃加振を増幅機構12を通じて増幅した上で制
振する方法であるから、制振力の増幅率が高く、相対的
に可動マス11の質量を低減して制振エネルギーを低減
でき、省エネルギー効果が得られる。特に請求項2の振
動制御方法は、垂直制振材5を使用することにより、重
層構造物の各層にわたり同様な振動モード、振動量が発
生する場合に、各層にわたる制振を制振エネルーの損失
を生ずることなく効率的に行うことができる。
方向の衝撃加振を増幅機構12を通じて増幅した上で制
振する方法であるから、制振力の増幅率が高く、相対的
に可動マス11の質量を低減して制振エネルギーを低減
でき、省エネルギー効果が得られる。特に請求項2の振
動制御方法は、垂直制振材5を使用することにより、重
層構造物の各層にわたり同様な振動モード、振動量が発
生する場合に、各層にわたる制振を制振エネルーの損失
を生ずることなく効率的に行うことができる。
【0016】また、請求項3の衝撃加振によるアクティ
ブ制振装置は、制振力の増幅率が高い分だけ可動マス1
1の質量を小さくして小形に構成できると共に制振エネ
ルギーを低減して省エネルギー効果を享受できるのであ
る。
ブ制振装置は、制振力の増幅率が高い分だけ可動マス1
1の質量を小さくして小形に構成できると共に制振エネ
ルギーを低減して省エネルギー効果を享受できるのであ
る。
【図1】本発明の振動制御方法を実施した重層建物の立
面図である。
面図である。
【図2】本発明のアクティブ制振装置を示した立面図で
ある。
ある。
【図3】衝撃加振の波形図である。
【図4】増幅後の波形図である。
【図5】正弦波加振の波形図である。
【図6】増幅後の波形図である。
【図7】重層建物の振動状況を示した立面図である。
4 構造物 1 アクティブ制振装置 2 振動センサー 11 可動マス 13 加振版 12 増幅機構 4a 柱 5 垂直制振材 14 アクティブマスダンパー 15 共振架台 16 弾性支承体 17 コントローラ 20 ダンパー
フロントページの続き (72)発明者 川口 順弘 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 鎌谷 憲彦 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 瀬川 輝夫 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 田中 利幸 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 河田 康夫 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 藤原 時一郎 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 高橋 良典 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 白河 真司 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 片山 和喜 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (56)参考文献 特開 平6−147257(JP,A) 特開 平4−149711(JP,A) 実開 平4−48366(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 301 - 351
Claims (3)
- 【請求項1】構造物において、近隣に発生した振動が伝
播して共振現象の振動障害が発生する場所に、アクティ
ブ制振装置を設置すること、 前記アクティブ制振装置は、振動障害が発生する場所に
載置する増幅機構と、前記増幅機構の上に設置された加
振版と、駆動手段により上下方向に移動され、前記加振
版へ衝突して前記振動障害と同じ振動数の衝撃加振を加
える可動マスとでアクティブマスダンパーを構成し、 前記増幅機構は、前記加振版が設置された共振架台を、
鉛直方向に剛性があって変形可能な弾性支承体によって
前記振動障害が発生する場所に支持し、共振架台と振動
障害が発生する場所との間を上下方向のダンパーで連結
した構成とし、 前記増幅機構の固有振動数を振動障害の振動数と同調す
るように設定し、前記ダンパーにより増幅率を調整し、 前記振動障害が発生する場所に振動センサーを設置し、
前記振動センサーで計測した振動情報をコントローラへ
入力し、その振動情報に基づいてコントローラが前記ア
クティブマスダンパーの駆動制御を行い、振動障害を打
ち消す ことを特徴とする、構造物の振動制御方法。 - 【請求項2】構造物が重層構造物で、近隣に発生した振
動が柱、壁その他の鉛直材を伝播して各階の床や梁に共
振現象の振動障害が発生する場合に、最上階の床にアク
ティブ制振装置を設置し、 前記アクティブ制振装置の直下の位置に、各階の床へ制
振力を伝達する垂直制振材を各階の床と剛に結合して設
置し、 前記床に振動センサーを設置し、前記振動センサーで計
測した振動情報に基づいてコントローラが前記アクティ
ブマスダンパーの駆動制御を行い、各階の床や梁の振動
障害を打ち消すことを特徴とする、請求項1に記載した
構造物の振動制御方法。 - 【請求項3】近隣に発生した振動が伝播して共振現象の
振動障害が発生する構造物に設置し て、振動障害を打ち
消すアクティブ制振装置であって、 固有振動数を振動障害の振動数と一致するように同調さ
れ、前記振動障害が発生する場所に載置される増幅機構
と、前記増幅機構の上に設置された加振版と、駆動手段
により上下方向に移動され、前記加振版へ衝突して前記
振動障害と同じ振動数の衝撃加振を加える可動マスとで
アクティブマスダンパーが構成されていること、 前記増幅機構は、前記加振版を設置された共振架台が、
鉛直方向に剛性があって変形可能な弾性支承体によって
前記振動障害が発生する場所に支持され、共振架台と振
動障害が発生する場所との間が上下方向のダンパーで連
結され、前記ダンパーにより増幅率を調整可能に構成さ
れていること、 前記振動障害が発生する場所に設置された振動センサ
ー、及び前記振動センサーで計測した振動情報が入力さ
れ、その振動情報に基づいて前記アクティブマスダンパ
ーの駆動制御を行うコントローラを含む構成であるこ
と、 前記振動センサーで計測した振動情報に基づいて前記ア
クティブマスダンパーの駆動制御を行い、振動障害を打
ち消すこと を特徴とする、構造物のアクティブ制振装
置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19032594A JP3284511B2 (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | 構造物の振動制御方法及び制振装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19032594A JP3284511B2 (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | 構造物の振動制御方法及び制振装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0853954A JPH0853954A (ja) | 1996-02-27 |
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JP5116603B2 (ja) * | 2008-08-05 | 2013-01-09 | 株式会社竹中工務店 | 解体建物の振動制御方法 |
JP5574592B2 (ja) * | 2008-09-09 | 2014-08-20 | 株式会社竹中工務店 | アクティブマスダンパー、解体建物の振動制御方法、及び解体建物の解体方法 |
-
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- 1994-08-12 JP JP19032594A patent/JP3284511B2/ja not_active Expired - Fee Related
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