JP3850999B2 - 内燃機関 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中の有害成分、特に、NOX を浄化する排ガス浄化用触媒を備える、内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等に備えられる内燃機関では、排ガス中の有害物質を理論空燃比近傍の運転状態で浄化する三元触媒が排気通路に設けられていた。
また、近年、空燃比をリーンとして燃費を向上させる希薄燃焼内燃機関が実用化されている。この種の内燃機関では空燃比をリーンとするため、従来から排ガスを浄化すべく備えられている三元触媒だけではその浄化特性により排ガス中のNOX を十分に浄化することができない。そこで、リーン運転時のNOX 排出量低減のために、空燃比がリーンの時にも排ガス中のNOX を浄化しうるNOX 触媒が開発されている。
【0003】
ここで、NOX 触媒は、大別するとリーン雰囲気でNOX を選択的に還元する選択還元型と、リーン雰囲気でNOX を触媒上に吸蔵し、ストイキオ又はリッチ雰囲気で触媒上に吸蔵されたNOX を放出,還元する吸蔵型とに分類できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、触媒温度が高温になった状態で、燃料カット運転やリーン運転等になって触媒周辺が酸化雰囲気になった場合、貴金属を担持した触媒では高温になるほど原子移動はより活発化するため、触媒内の貴金属、例えば白金Ptの小粒は、活発化した原子移動により互いに結合して大粒の白金Ptとなるとともに、O2 過剰のため酸化反応を起こして白金Ptの粒成長が促進され、粒成長した白金Ptは表面積が小さくなるため、排ガスに接触する面積が小さくなり、触媒の排ガス浄化性能が低下し、これにより、触媒の熱劣化が促進されることになる。
【0005】
また、選択還元型NOX 触媒では、触媒に担持されたイリジウムIr等の酸化反応が進んで揮発性酸化物となり、触媒表面から飛散してしまい、排ガス浄化性能を悪化させることになる。
このため、三元触媒やNOX 触媒の耐熱温度は、一般に触媒周辺が還元雰囲気の場合(排ガス空燃比がリッチの場合)よりも酸化雰囲気の場合(排ガス空燃比がリーンの場合)の方が低くなる。
【0006】
従って、触媒周辺が還元雰囲気の場合は還元雰囲気の場合の耐熱温度(リッチ耐熱温度)以下になるように触媒温度を調整する一方、触媒周辺が酸化雰囲気の場合は酸化雰囲気の場合の耐熱温度(リーン耐熱温度)以下になるように触媒温度を調整しなくてはならない。
しかしながら、例えば、三元触媒やNOX 触媒を備えた希薄燃焼内燃機関において、還元雰囲気の場合のリッチ耐熱温度以下になるように触媒温度を調整していたとしても、触媒が所定温度、即ち、酸化雰囲気の場合のリーン耐熱温度以上となる高温リッチ運転時(高負荷・高回転域での運転時)に、例えば燃料カットが行なわれて燃料カット運転状態に移行したり、リーン運転(低負荷・低回転域での運転)に切り替えられたりすると、排気系はO2 過剰の酸化雰囲気となる。この場合、触媒温度は直ぐに低下せず、徐々に低下していくことになるため、触媒温度がリーン耐熱温度以下になるまでの間、リーン耐熱温度以上で触媒周辺が酸化雰囲気の状態となり、上述したような触媒浄化性能の低下、即ち触媒が熱劣化してしまうことになる。
【0007】
また、一般に、NOX 触媒の耐熱温度は、三元触媒の耐熱温度と比較して低いため、NOX 触媒では熱劣化は特に顕著となる。
そこで、例えば、特開平8−144814号公報に開示されているように、触媒が所定温度以上の場合、燃料カット運転を禁止することも提案している。
しかしながら、この技術では、確かに触媒周辺を酸化雰囲気にしないことで、燃料カット運転時に触媒が耐熱温度を超えることを防止することはできるが、燃料カット運転を要求しているにもかかわらず、燃料カットが禁止されてしまうので、ドライバビリティや燃費等が悪化することになる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、触媒温度が所定温度以上で酸化雰囲気になる場合であっても、ドライバビリティや燃費等が悪化しないようにしながら、排ガス浄化用触媒の熱劣化を確実に抑制できるようにした、内燃機関を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の内燃機関では、排気温センサにより検出される排気温度に基づいて推定される触媒温度が所定温度以上で且つ雰囲気検知手段によって酸化雰囲気が検知された場合に、制御手段により制御される流量調整手段によって排ガス浄化用触媒への流入気流量が増大するように調整される。この場合、制御手段による流入気流量の増大制御は、排気温度と触媒温度との間の時間応答差を考慮して、排気温センサにより検出される排気温度がリーン耐熱温度よりも小さくなった後も継続される。
特に、時間応答差は、排ガス浄化用触媒への流入気流量に基づいて推定するのが好ましい(請求項2)
【0010】
【発明の実施形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
まず、第1実施形態にかかる内燃機関について、図1〜図5を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる内燃機関は、図1に示すように構成されており、吸気,圧縮,膨張,排気の各行程を一作動サイクル中にそなえる内燃機関、即ち4サイクルエンジンであって、火花点火式で、且つ、燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射型内燃機関(筒内噴射エンジン)として構成される。
【0011】
燃焼室1には、吸気通路2および排気通路3が連通しうるように接続されており、吸気通路2と燃焼室1とは吸気弁4によって開閉制御されるとともに、排気通路3と燃焼室1とは排気弁5によって開閉制御されるようになっている。
また、吸気通路2には、図示しないエアクリーナ,エアフローセンサ及びスロットル弁が設けられており、排気通路3には、排ガス浄化用触媒6および図示しないマフラ (消音器)が設けられている。
【0012】
ここで、排ガス浄化用触媒6は、図1に示すように、リーンNOx 触媒(以下、NOx 触媒という)6Aと三元触媒6Bとを備え、さらに、これらのNOx 触媒6A及び三元触媒6Bの上流側にエンジンに近接して三元触媒6Cを備えて構成される。
つまり、理論空燃比下で排ガス中のCO,HC及びNOx を浄化可能な三元機能を有する三元触媒6Bが設けられており、さらに、リーン運転時に発生する排ガス中のNOx を十分に浄化できるように、三元触媒6Bの上流側にNOx 触媒6Aが設けられている。
【0013】
ここで、NOx 触媒6Aは、NOX を触媒上に吸着することにより排ガス中のNOX を浄化するタイプのもの(吸蔵型リーンNOX 触媒,トラップ型リーンNOX 触媒)で、例えばアルミナAl23 を担体とし、この担体上に、バリウムBa及び白金Ptが担持されて構成される。
さらに、本実施形態では、NOx 触媒6Aの上流側の排気通路3に、エンジン始動直後でもすみやかに活性化して排ガス中のCO,HC及びNOx を浄化する機能を有する三元触媒(近接三元触媒)6Cも設けられている。
【0014】
また、スロットル弁12は、図示しないアクセルペダルの踏込み量に応じて開度が変わり、これにより燃焼室1内に導入される空気量が調整されるようになっている。
更に、13は、アイドルスピードコントロールバルブ(ISCバルブ)であり、吸気通路2のスロットル弁設置部分をバイパスするバイパス路13Aに設けられ、図示しないステッパモータによって開閉駆動され、主にスロットル弁12全閉又は略全閉時におけるアイドル回転数を微調整している。
【0015】
14はエアバイパスバルブ(ABV)であり、吸気通路2のスロットル弁12設置部分をバイパスするようにスロットル弁12の上流側の吸気通路2とサージタンク2aとを連通するバイパス路14Aに設けられ、スロットル弁12とは別個に吸気量を調整して空燃比を調整しうるものである。
なお、ISCバルブ13及びABV14は、いずれも排ガス浄化用触媒6へ流入する排気流量(流入気流量)を調整可能であるため、これらを流量調整手段という。
【0016】
また、インジェクタ(燃料噴射弁)8は、気筒内の燃焼室1へ向けて燃料を直接噴射すべく、その開口を燃焼室1に臨ませるように配置されている。また、当然ながら、このインジェクタ8は各気筒毎に設けられており、例えば本実施形態のエンジンが直列4気筒エンジンであるとすると、インジェクタ8は4個設けられることになる。
【0017】
また、15,16は、流入気流量の増大制御における二次エア導入位置を示している。ここでは、15は排気通路3の最上流における二次エア導入位置を示しており、16はNOX 触媒6Aの直上流における二次エア導入位置を示している。なお、二次エアの導入によって排ガス浄化用触媒6への流入気流量を調整するため、二次エアを導入する二次エア導入手段も流量調整手段となる。
【0018】
なお、二次エア導入位置は、図1に示す位置に限られるものではなく、排ガス浄化用触媒6C又は6A,6Bの上流側であれば良い。また、ここでは、二次エア導入位置を2箇所図示しているが、これはどちらか1箇所でも良い。さらに、流入気流量の増大制御における二次エアの導入に際しては、エンジン始動時における排ガス浄化用触媒6の早期活性化のための二次エア導入手段を兼用するようにしても良いし、別個に設けても良い。また、二次エアを導入せず、ISCバルブ13及びABV14のみで流入気流量を調整するようにしても良い。
【0019】
このような構成により、図示しないスロットル弁の開度に応じ図示しないエアクリーナ及びエアフローセンサ(例えばカルマン渦式エアフローセンサ)を通じて吸入された空気が吸気弁4の開放により燃焼室1内に吸入され、この燃焼室1内で、吸入された空気と制御手段としての電子制御ユニット(ECU)20からの信号に基づいてインジェクタ8から直接噴射された燃料とが混合され、燃焼室1内で点火プラグ7を適宜のタイミングで点火させることにより燃焼せしめられて、エンジントルクを発生させたのち、排ガスが燃焼室1内から排気通路3へ排出され、排気浄化装置6で排ガス中のCO,HC,NOx の3つの有害成分を浄化されてから、マフラで消音されて大気側へ放出されるようになっている。
【0020】
また、本実施形態では、流量調整手段の制御を行なう際に触媒周辺が酸化雰囲気であるか否かを、ECU20で、車速,運転モード,エンジン負荷,エンジン回転数等に基づいて推定するようにしている。この場合、ECU20内の該当する機能が雰囲気検知手段となる。
また、このエンジンには種々のセンサが設けられており、センサからの検出信号がECU20へ送られるようになっている。
【0021】
例えば、排気通路3の上流側部分にはO2 センサ11が設けられており、O2 センサ11によって排ガス浄化用触媒6の周辺が酸化雰囲気であるか否かを検出するようになっている。また、O2 センサ11からの検出信号がECU20へ送られるようになっている。
このため、O2 センサ11を流量調整手段による制御を行なう際に雰囲気検知手段として用いることもできる。なお、雰囲気検知手段としては、O2 センサのほかに、空燃比に比例した検出信号を出力するリニアA/Fセンサを用いても良い。
【0022】
また、O2 センサ11による検出と、ECU20での車速(平均車速),運転モード,エンジン負荷,エンジン回転数等からの推定とを組み合わせて、触媒周辺が酸化雰囲気であるか否かを検出又は推定するようにして良い。この場合、O2 センサ11及びECU20内の該当する機能が雰囲気検知手段となる。
また、O2 センサ11の下流側であって、排気通路3の排ガス浄化用触媒6の上流側部分には高温センサ(排気温センサ,温度検知手段)9が設けられており、排ガス温度を検出するようになっている。そして、高温センサ9からの検出信号がECU20へ送られるようになっている。なお、ECU20で、後述するように、高温センサ9からの検出情報等に基づいて触媒温度を推定する場合は、高温センサ9及びECU20内の該当する機能が温度検知手段を構成することになる。
【0023】
また、排ガス浄化用触媒6を構成するNOX 触媒6Aの下流側部分にはNOX センサ10が設けられている。また、NOX センサ10による検出情報は、後述するECU20へ送られるようになっている。
そして、ECU20では、NOX センサ10からの検出情報等に基づいて触媒再生制御(リッチスパイク)を行なうようになっている。つまり、本実施形態では、NOX 触媒6Aの近傍を酸素濃度低下雰囲気(還元雰囲気)としてNOX 触媒6Aに吸着したNOX やSOX を脱離させ、NOX 浄化効率を再生させるために、NOX センサ10からの検出情報等に基づいて、NOX 触媒6Aの近傍の空燃比をリーンから理論空燃比又はリッチにするために運転モードを理論空燃比又はリッチに切り替える触媒再生制御(リッチスパイク)を行なうようになっている。
【0024】
ここで、本エンジンの運転モードについて説明すると、このエンジンは、吸気通路2から燃焼室1内に流入した吸気流が縦渦(逆タンブル流)を形成するように構成され、燃焼室1内で、吸気流がこのような縦渦流を形成するので、圧縮行程後期に燃料を噴射して、この縦渦流を利用しながら例えば燃焼室1の頂部中央に配設された点火プラグ7の近傍のみに少量の燃料を集めて、点火プラグ7から離隔した部分では極めてリーンな空燃比状態とすることができ、点火プラグ7の近傍のみを理論空燃比又はリッチな空燃比とすることで、安定した層状燃焼(層状超リーン燃焼)を実現しながら、燃料消費を抑制することができるものである。
【0025】
また、このエンジンから高出力を得る場合には、吸気行程に燃料を噴射することにより、インジェクタ8からの燃料が燃焼室1全体に均質化され、全燃焼室1内を理論空燃比やリーン空燃比の混合気状態にさせて予混合燃焼が行なわれ、もちろん、理論空燃比による方がリーン空燃比によるよりも高出力が得られるが、これらの際にも、燃料の霧化及び気化が十分に行なわれるようなタイミングで燃料噴射を行なうことで、効率よく高出力を得ることができる。
【0026】
このため、本エンジンでは、燃料噴射の態様として、圧縮行程燃料噴射による層状燃焼によって燃料の極めて希薄な状態(即ち、空燃比が理論空燃比よりも極めて大)での運転(超リーン燃焼運転)を行なう圧縮リーン運転モードと、圧縮リーン運転モードほどではないが燃料の希薄な状態(即ち、空燃比が理論空燃比よりも大)で運転を行なう吸気リーン運転モードと、空燃比が理論空燃比となるようにO2 センサ情報等に基づいてフィードバック制御を行なうストイキオ運転モード(ストイキオフィードバック運転モード)と、燃料の過濃な状態(即ち、空燃比が理論空燃比よりも小)での運転を行なうエンリッチ運転モード(オープンループモード)とが設けられている。
【0027】
そして、このような各種の運転モードから一つのモードを選択してエンジンの運転を制御することになるが、この運転モード選択は、エンジンの回転数Ne及び負荷状態を示す有効圧力Peに基づきマップに応じて行なうようになっている。
つまり、エンジンの回転数Neが低く負荷Peも小さい場合には、圧縮リーン運転モード(圧−L)が選択され、エンジンの回転数Neや負荷Peがこれよりも大きくなるのにしたがって、吸気リーン運転モード(吸−L),ストイキオフィードバック運転モード(S/F),オープンループモード(O/L)が選択される。
【0028】
このほか、燃料カットモードが設けられている。この燃料カットモードは、減速時等にスロットルバルブが閉じられた際に燃料供給を停止するモードである。ところで、排ガス浄化用触媒6の耐熱温度は、一般に、図3に示すように、触媒周辺が還元雰囲気の場合(排ガス空燃比がリッチの場合)よりも酸化雰囲気の場合(排ガス空燃比がリーンの場合)の方が低くなる。このため、触媒周辺が還元雰囲気の場合は還元雰囲気の場合の耐熱温度(リッチ耐熱温度;例えば800℃)以下になるように触媒温度を調整する一方、触媒周辺が酸化雰囲気の場合は酸化雰囲気の場合の耐熱温度(リーン耐熱温度;例えば700℃)以下になるように触媒温度を調整している。
【0029】
しかし、例えば、定常運転でのリッチ運転の場合に触媒温度がリッチ耐熱温度以下であるがリーン耐熱温度よりは高い温度である場合に、燃費の向上,エンジンの破損防止等のために、所定の運転状態のときに内燃機関への燃料供給を停止する(これを、燃料カットという)制御が行なわれ、図3に示すように、運転モードがリッチから燃料カット(排ガス空燃比はリーンとなる)に切り替わると、切り替え後例えば数秒〜数百秒間、図3中、破線Aで示すように、触媒はリーン雰囲気であるにもかかわらず、触媒温度は触媒の熱容量のためにすぐには下がらず、触媒温度がリーン耐熱温度以上になってしまう場合があるため、この場合には排ガス浄化用触媒6の熱劣化が進行することになる。
【0030】
また、ストイキオ運転モードやエンリッチ運転モード(高負荷・高回転域における運転モード)からリーン運転モード(低負荷・低回転域における運転モード)へ運転モードが切り替えられる場合も、上述の燃料カットの場合と同様に、触媒温度がその耐熱温度を超えた状態で、触媒周辺が酸化雰囲気になってしまう場合があり、排ガス浄化用触媒6の熱劣化が進行することになる。
【0031】
そこで、本実施形態にかかる内燃機関では、排ガス浄化用触媒6の熱劣化を抑制するための制御を行なうようにしている。なお、本実施形態では、一般にNOX 触媒の耐熱温度の方が三元触媒の耐熱温度よりも低いため、NOX 触媒の耐熱温度に基づいて排ガス浄化用触媒6の熱劣化の抑制制御を行なうようにしている。
【0032】
このため、本実施形態にかかる内燃機関のECU(制御手段)20は、例えば燃料カット時やリッチ運転モードからリーン運転モードへの運転モードの切替時等に、触媒温度を推定し、この触媒温度が所定温度以上で酸化雰囲気が検知された場合、排ガス浄化用触媒6への流入気流量を一時的に増大するよう制御するようになっている。これにより、排ガス浄化用触媒6を急速に冷却することができ、触媒温度を早期に耐熱温度以下に低下させることができる。
【0033】
ここで、所定温度とは、触媒周辺が酸化雰囲気の場合(排ガス空燃比がリーンの場合)の耐熱温度(リーン耐熱温度)である。また、触媒周辺が酸化雰囲気になる場合としては、例えば、運転モードがリーン運転モードの場合や燃料カット運転の場合がある。
具体的には、ECU20は、運転モードがストイキオ運転モードやエンリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードへ切り替わったか否かを判定するようになっている。
【0034】
また、ECU20は、触媒温度がリーン耐熱温度以上であるか否かを判定するようになっている。ここでは、触媒温度としてこれに相当する排気温度(高温センサ出力)を使用している。つまり、一般に触媒に直接センサを取り付けることは困難であることから、触媒ベッド温度を直接計測しておらず、高温センサ9によってNOX 触媒6Aの入口の排気温度を計測し、この高温センサ9により検出される排気温度が触媒温度に相当するとしてリーン耐熱温度との判定を行なっている。
【0035】
また、ECU20は、運転モードがストイキオ運転モードやエンリッチ運転モードから燃料カット運転やリーン運転モードへ切り替わり、かつ、触媒温度がリーン耐熱温度以上であると判定した場合は、触媒への流入気流量の増大制御、即ち、ABV14,ISCバルブ13を全開にし、バイパスエア総流量を増やして吸気流量を増量し、さらに、排気通路3へ二次エアを導入する制御を行なうようになっている。
【0036】
ここで、バイパスエア総流量とは、ABV14を介しての流量とISCバルブ13を介しての流量とを合わせたものであり、上記制御時には通常時のマップとは異なるマップにより設定するようになっている。
この場合、バイパスエア総流量は、エンジン負荷,エンジン回転数,車速に対するマップから求めても良い。なお、車速に対するマップから求める場合はリーン運転時と燃料カット運転時で別のマップを使用する。
【0037】
このような流入気流量の増大制御は、触媒温度が所定温度、即ち耐熱温度以下に下がったら終了する。なお、燃料カットモードやリーン運転モードにおける運転が終了した場合には、流入気流量の増大制御は終了する。
ところで、本実施形態では、高温センサ9により検出される排気温度がリーン耐熱温度以上である場合に流入気流量の増大制御を行なうようにしているが、高温センサ9により検出される排気温度と触媒ベッド温度との間には触媒の熱容量に起因する時間応答差があるため、排気温度がリーン耐熱温度よりも小さくなったとしても、触媒温度はリーン耐熱温度よりも小さくなっていない場合がある。
【0038】
このため、まず、高温センサ9により検出される排気温度がリーン耐熱温度よりも小さくなるまで流入気流量の増大制御を行ない、さらに、高温センサ9により検出される排気温度がリーン耐熱温度よりも小さくなった後、触媒温度がリーン耐熱温度よりも小さくなるまでの時間を時間応答差を考慮して推定し、流入気流量の増大制御を行なうようにしている。
【0039】
実際には、図3に示すように、図3中、細線Bで示す高温センサ9により検出される排気温度と、図3中、太線Cで示す触媒ベッド温度との間に時間応答差(応答遅れ)αが生じる。なお、図3中、破線Aは本制御を行なわない場合の触媒ベッド温度を示している。
この時間応答差を考慮すれば、高温センサ9はNOX 触媒6Aの上流側の排気通路3に設けられており、高温センサ9により検出される排気温度の方が触媒ベッド温度よりも応答が早いため、高温センサ9により検出される排気温度に基づいて触媒ベッド温度を推定できることになる。
【0040】
ここでは、時間応答差は、触媒への流入気流量に関係しているため、流入気流量から推定している。つまり、時間応答差を推定する際の排気流量は吸気流量(ここではカルマン周波数に相当)に相当し、さらに、ここでは二次エアが導入されるため、触媒への流入気流量は吸気流量に二次エア導入量を加算したものとなる。このため、この吸気流量に二次エア導入量を加算して求めた流入気流量に基づいて時間応答差を推定している。
【0041】
ここで、吸気流量はカルマン渦式エアフローセンサにより計測している。なお、この吸気流量計測はカルマン渦式エアフローセンサ以外のものを用いてもよい。
また、時間応答差の推定に際しては、排気温度が触媒を伝わっていき、触媒全体、あるいは触媒の中心部まで伝わったときに触媒温度が排気温度に一致することになると考え、温度伝播速度を用いている。
【0042】
ここで、温度伝播速度は、図5に示すような温度伝播速度と流入気流量との関係を示すマップ(ほぼ比例関係)により設定される。なお、流入気流量と温度伝播速度との関係を示すマップは、エンジン(即ち、エンジンに備えられる触媒)によって異なるものを用いる。これは、主に、触媒熱容量(触媒容量)に影響されるためである。
【0043】
具体的には、高温センサ9により検出される排気温度がリーン耐熱温度以上である場合は、カウンタ値(流入気流量の増大制御の継続時間に相当する)は、次式により算出される。
カウンタ値=触媒長さ
ここで、触媒長さとは、触媒に応じて定まる定数である。また、触媒長さは触媒の全長としても良いし、触媒ベッド中心までとして触媒全体の半長としても良い。なお、カウンタ値の初期値は0になっている。
【0044】
また、高温センサ9により検出される排気温度がリーン耐熱温度よりも小さくなった場合は、カウンタ値(流入気流量の増大制御の継続時間に相当する)は、次式により算出される。
カウンタ値=触媒長さ−温度伝播速度×Δt
ここで、Δtは演算周期である。
【0045】
なお、触媒温度を直接検出可能である場合は、時間応答差を考慮する必要はない。
本発明の第1実施形態としての内燃機関は、上述のように構成されているので、この装置による流入気流量の増大制御は、以下のように行なわれる。
つまり、図4のフローチャートに示すように、まず、ステップA10で、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになったか否かを判定する。この判定の結果、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになっていない場合はリターンする。一方、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになった場合はステップA20に進み、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度以上であるか否かを判定する。
【0046】
この判定の結果、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度以上である場合はステップA30に進み、カウンタ値を次式により設定する。
カウンタ値=触媒長さ
次いで、ステップA50に進み、カウンタ値が0であるか否かを判定し、この場合、カウンタ値は0でないため、ステップA60に進んで、バイパスエア総流量を増大する制御として、ABV14やISCバルブ13を全開にして吸入吸気量を増大するとともに、排気通路3へ二次エアを導入して、リターンする。
【0047】
一方、ステップA20で、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度よりも低いと判定された場合は、排気温度と触媒温度との間の時間応答差により触媒温度がリーン耐熱温度以上である場合もあるため、ステップA40で、カウンタ値を次式により設定する。
カウンタ値=触媒長さ−温度伝播速度×Δt
次いで、ステップA50に進み、カウンタ値が0であるか否かを判定し、この場合、カウンタ値は0でないため、ステップA60に進んで、バイパスエア総流量を増大する制御として、ABV14やISCバルブ13を全開(または負荷と回転数に対するマップ値)にして吸入吸気量を増大するとともに、排気通路3へ二次エアを導入して、リターンする。
【0048】
その後、カウンタ値が0になったら、バイパスエア総流量を増大する制御を終了して、リターンする。
したがって、本実施形態にかかる内燃機関によれば、触媒への流入気流量の増大により排ガス浄化用触媒6を急速に冷却することができ、触媒温度を速やかに低下させることができる。これにより、燃料カット運転時等において触媒温度が耐熱温度を超えることによる排ガス浄化用触媒6の熱劣化を確実に抑制できるという利点がある。一般に、耐熱温度の低いNOX 触媒6Aにおいて特に効果的である。
【0049】
また、排ガス浄化用触媒の熱劣化を抑制するために、燃料カットが要求されているにもかかわらず燃料カットを禁止してしまうということがなく、ドライバビリティや燃費等の悪化を招くこともないという利点もある。
この場合、本実施形態では、温度伝播速度と流入気流量との関係を考慮するため、排気温度と触媒ベッド温度の時間応答差を精度良く推測できるという利点もある。
【0050】
なお、上述の本実施形態では、三元触媒6CをNOX 触媒6A及び三元触媒6Bと別体として構成しているが、例えば図2に示すように、三元触媒6C,NOX 触媒6A,三元触媒6Bを1つのケース内に一体に備えるように構成しても良い。この場合、三元触媒6CとNOX 触媒6Aとの間に高温センサ9を配設し、NOX 触媒6Aと三元触媒6Bとの間にNOX センサ10を配設する。また、二次エア導入時の導入位置15は三元触媒6Cの上流側の排気通路3とし、二次エア導入時の導入位置16は三元触媒6CとNOX 触媒6Aとの間とする。
【0051】
また、上述の本実施形態では、排ガス浄化用触媒6への流入気流量を増大すべく、ABV14やISCバルブ13を全開にして吸入吸気量を増大するとともに、排気通路3へ二次エアを導入するようにしているが、触媒温度を確実に低下させることができるのであれば、いずれか一方の制御のみを行なうようにしても良い。つまり、ABV14やISCバルブ13を全開にして吸入吸気量を増大するだけでも良いし、また排気通路3へ二次エアを導入するだけでも良い。また、ABV14を備えないものであれば、ISCバルブ13の開度のみ調整するようにしても良い。
【0052】
また、ABV14及びISCバルブ13のみによって吸入空気量を増大させる場合には、図5は温度伝播速度と吸入空気量(カルマン渦式エアフローセンサ周波数)とのマップとすれば良い。
また、上述の本実施形態では、触媒温度に相当するものとして、排気温度を高温センサ9によって検出しているが、車速,運転モード,エンジン負荷,エンジン回転数等から推定しても良い。また、高温センサ9による検出と、これらの車速(平均車速),運転モード,エンジン負荷,エンジン回転数等からの推定とを組み合わせて触媒温度を検出又は推定するようにしても良い。
【0053】
また、上述の本実施形態における時間応答差の推定に際しては、少しでもその精度を良くするために、時間応答差に排気の持つ熱量(排気温度)の影響を考慮するのが好ましい。
この場合、上述のようにして推定した温度伝播速度に補正係数をかければ良く、この補正係数は、高温センサ9の検出値(排気温センサ値),エンジン負荷,エンジン回転数,車速に対するマップ値として求めれば良い。なお、簡単化のためにマップを統合しても良い。つまり、温度伝播速度をエンジン負荷,エンジン回転数又は車速に対するマップ値として設定しても良い。
【0054】
また、燃料カット以外のリーン運転時に、上述のような流入気流量の増大制御を行なう場合は、空燃比A/F,点火時期も通常のリーン運転時と別設定とする必要がある。
次に、第1実施形態の変形例にかかる内燃機関について説明する。
本変形例にかかる内燃機関は、第1実施形態のものと、流量調整手段が異なる。つまり、本変形例は、ドライブバイワイヤ(DBW)を備える自動車等の車両において、このDBWによってスロットル弁12の開度を開側に制御することによって吸気流量を増やし、これにより、排気流量を増量するもので、DBW及びスロットル弁12によって排ガス浄化用触媒6へ流入気流量を調整する流量調整手段が構成される。
【0055】
この場合、DBWによる開度制御は通常運転時とは別設定とする。なお、燃料カット以外のリーン運転を行なう場合に本制御を行なう時には空燃比A/F,点火時期も別設定とする必要がある。
また、上述の第1実施形態と同様に、このDBWによる開度制御に加えて、二次エアを導入するようにしても良い。この場合、二次エアの導入位置はNOX 触媒6Aの上流側であればどこでも良い。
【0056】
その他の構成については、上述の第1実施形態のものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
このような構成により、本変形例の内燃機関では、上述の第1実施形態と同様に、触媒への流入気流量の増大制御が行なわれ、これにより、上述の第1実施形態と同様の作用,効果が得られる。
【0057】
次に、第2実施形態にかかる内燃機関について、図6,図7を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる内燃機関は、第1実施形態のものと、ECU20における時間応答差の求め方が異なる。つまり、本実施形態では、ECU20が吸気流量と時間応答差との関係(ほぼ反比例)を示す図7に示すようなマップを備え、このマップにより時間応答差を求めるようになっている。
【0058】
また、上述の第1実施形態と同様に、時間応答差の推定に際しては、少しでもその精度を良くするために、時間応答差に排気の持つ熱量(排気温度)の影響を考慮するのが好ましい。
このため、上述のようにして推定した時間応答差に補正係数をかけるようになっている。
【0059】
また、補正係数は、高温センサ9の検出値,エンジン負荷,エンジン回転数,車速に対するマップ値として求める。
なお、簡単化のためにマップを統合しても良い。つまり、時間応答差をエンジン負荷,エンジン回転数又は車速に対するマップ値として設定しても良い。
その他の構成については、上述の第1実施形態のものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0060】
このような構成により、第2実施形態の内燃機関では、以下のように流入気流量の増大制御が行なわれる。
つまり、図6のフローチャートに示すように、まず、ステップB10で、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになったか否かを判定する。この判定の結果、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになっていない場合はリターンする。一方、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになった場合はステップB20に進み、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度以上であるか否かを判定する。
【0061】
この判定の結果、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度以上である場合はステップB70に進み、バイパスエア総流量を増大する制御として、ABV14やISCバルブ13を全開にして吸入吸気量を増大するとともに、排気通路3へ二次エアを導入して、リターンする。
一方、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度よりも低い場合は、ステップB30に進み、フラグFが1か否かを判定する。なお、フラグFは、触媒温度がリーン耐熱温度以上と推定される場合に1とされる。
【0062】
この判定の結果、フラグFが1の場合はステップB70に進んで、バイパスエア総流量を増大する制御として、ABV14やISCバルブ13を全開にして吸入吸気量を増大するとともに、排気通路3へ二次エアを導入して、リターンする。
一方、フラグFが1でない場合はステップB40に進み、図7に示すようなマップにより、流入気流量に応じて時間応答差TAを設定し、ステップB50でフラグFを1にセットして、ステップB60に進む。なお、流入気流量は、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度よりも小さくなった時の値を用いる。また、フラグFは初期設定は0になっている。
【0063】
ステップB60では、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度よりも小さくなってから所定時間(時間応答差に対応する)経過したか否かを判定し、この判定の結果、所定時間を経過していない場合はステップB70に進み、バイパスエア総流量を増大する制御として、ABV14やISCバルブ13を全開にして吸入吸気量を増大するとともに、排気通路3へ二次エアを導入して、リターンする。一方、所定時間を経過した場合はステップB80に進み、フラグFを0にリセットして、リターンする。
【0064】
したがって、本実施形態にかかる内燃機関によれば、上述の第1実施形態と同様の作用,効果が得られる。
また、特に、本実施形態では、ECU20に流入気流量と時間応答差との関係を示すマップにより時間応答差を求めるため、触媒への流入気流量の増大制御を簡略化することができるという利点がある。
【0065】
次に、第3実施形態にかかる内燃機関について、図8を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる内燃機関は、第2実施形態のものに対して、流入気流量の変化に対応できるよう時間応答差A(n)にフィルタをかけるようにした点が異なる。
【0066】
本実施形態では、ECU20が流入気流量と時間応答差との関係(ほぼ反比例)を示す図7に示すようなマップを備え、このマップにより時間応答差を求めるようになっている。
また、上述の第1実施形態と同様に、時間応答差の推定に際しては、少しでもその精度を良くするために、時間応答差に排気の持つ熱量(排気温度)の影響を考慮するのが好ましい。
【0067】
このため、上述のようにして推定した時間応答差に補正係数をかけるようになっている。
また、補正係数は、高温センサ9の検出値,エンジン負荷,エンジン回転数,車速に対するマップ値として求める。
なお、簡単化のためにマップを統合しても良い。つまり、時間応答差をエンジン負荷,エンジン回転数又は車速に対するマップ値として設定しても良い。
本実施形態では、1次フィルタをかけるようにしている。つまり、次式により時間応答差A(n)に1次フィルタをかけるようにしている。
【0068】
A(n)=k×A(n−1)+(k−1)×TA
ここで、A(n):時間応答差,TA:時間応答差マップ値(流入気流量に対するマップ),k:フィルタ定数(触媒により異なる定数)である。なお、流入気流量は各瞬間における値を用いる。
このような構成により、第3実施形態の内燃機関では、第2実施形態と同様に、以下のようにして流入気流量の増大制御が行なわれる。
【0069】
つまり、図8のフローチャートに示すように、まず、ステップC10で、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになったか否かを判定する。この判定の結果、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになっていない場合はリターンする。一方、ストイキオ運転モード又はリッチ運転モードから燃料カットモードやリーン運転モードになった場合はステップC20に進み、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度以上であるか否かを判定する。
【0070】
この判定の結果、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度以上である場合はステップC50に進み、バイパスエア総流量を増大する制御として、ABV14やISCバルブ13を全開にして吸入吸気量を増大するとともに、排気通路3へ二次エアを導入して、リターンする。
一方、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度よりも低い場合は、ステップC30に進み、次式により時間応答差A(n)にフィルタをかける。
【0071】
A(n)=k×A(n−1)+(k−1)×TA
そして、ステップC40に進み、高温センサ9の出力がリーン耐熱温度よりも小さくなってから所定時間(時間応答差に対応する)経過したか否かを判定し、この判定の結果、所定時間を経過していない場合はステップC50に進み、バイパスエア総流量を増大する制御として、ABV14やISCバルブ13を全開にして吸入吸気量を増大するとともに、排気通路3へ二次エアを導入して、リターンする。一方、所定時間を経過した場合は、これらの流入気流量を増大する制御を終了して、リターンする。
【0072】
したがって、本実施形態にかかる内燃機関によれば、上述の第1実施形態と同様の作用,効果が得られる。
また、特に、本実施形態では、触媒への流入気流量の変化に対応できるように時間応答差にフィルタをかけるようにしているため、時間応答差を正確に求めることができ、これにより、流入気流量の増大制御を正確に行なえるようになるという利点がある。
【0077】
なお、上述の各実施形態では、リーンバーンエンジンとして筒内噴射型内燃機関を例にとって説明しているが、内燃機関はこれに限られるものではない。
つまり、燃料カット運転はリーンバーンエンジンに限らず、従来の理論空燃比及びリッチ空燃比のみを行なう内燃機関においても実施されるので、排ガス浄化用触媒6の熱劣化は従来の内燃機関でも生じることになるため、従来の内燃機関においても本発明を適用することができる。
【0078】
また、上述の各実施形態では、ストイキオ運転又はリッチ運転から燃料カット運転又はリーン運転への移行時に生じる触媒の熱劣化を抑制することに関して主に説明しているが、吸蔵型NOX 触媒を備えた内燃機関では、例えば排ガス中のイオウ成分により触媒が被毒するため、ある条件下で触媒を高温かつ触媒周辺を還元雰囲気としてイオウ成分を触媒上から放出させ、触媒の再生を図る触媒再生制御が行なわれるが、この再生制御の後にリーン運転又は燃料カット運転に移行した場合でも触媒の熱劣化が生じることになるので、この場合にも本発明を適用することができる。
【0079】
また、上述の各実施形態では、NOX 触媒6Aを吸蔵型NOX 触媒としているが、NOX 触媒はこれに限られるものではなく、選択還元型NOX 触媒であっても良い。この場合、選択還元型NOX 触媒の上流に近接三元触媒を設けると、選択還元型NOX 触媒の機能を損なうので近接三元触媒は設けない方が好ましい。また、上述の各実施形態では、一般にNOX 触媒6Aの方が三元触媒6B,6Cよりも耐熱温度が低いため、NOX 触媒6Aの耐熱温度に基づいて触媒の熱劣化を抑制できるように流入気流量の増大制御を行なうようにしているが、必ずしもNOX 触媒6Aの耐熱温度に基づいて制御を行なう必要はなく、広く触媒の耐熱温度に基づいて触媒の熱劣化を抑制できるように流入気流量の増大制御を行なうものであれば良い。例えば、三元触媒のみ備える場合には、三元触媒の耐熱温度に基づいて触媒の熱劣化の抑制制御を行なえば良い。
【0080】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の内燃機関によれば、触媒温度が所定温度以上で酸化雰囲気になった場合であっても、排ガス浄化用触媒への流入気流量を増大することによって排ガス浄化用触媒を急速に冷却することができ、触媒温度を速やかに低下させることができるため、触媒温度が耐熱温度を超えることによる排ガス浄化用触媒の熱劣化を確実に抑制できるという利点がある。
【0081】
また、排ガス浄化用触媒の熱劣化を抑制するために、ドライバビリティや燃費等の悪化を招くこともないという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる内燃機関に備えられる排ガス浄化用触媒の変形例を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる内燃機関に備えられる排ガス浄化用触媒の耐熱温度を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる内燃機関における流量調整手段による制御を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の流量調整手段において用いられる温度伝播速度と流入気流量との関係を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる内燃機関における流量調整手段による制御を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる内燃機関の流量調整手段において用いられる時間応答差と流入気流量との関係を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる内燃機関における流量調整手段による制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
6 排ガス浄化用触媒
6A NOX 触媒
6B 三元触媒
6C 三元触媒(近接三元触媒)
9 高温センサ(温度検知手段)
10 NOX センサ
11 O2 センサ(雰囲気検知手段)
12 ABV(流量調整手段)
13 ISCバルブ(流量調整手段)
14 スロットル弁(流量調整手段)
15,16 二次エアの導入位置(流量調整手段)
20 ECU(制御手段)

Claims (2)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、排ガス中の有害物質を浄化する排ガス浄化用触媒と、
    該排ガス浄化用触媒の周辺が酸化雰囲気であるか否かを検出又は推定する雰囲気検知手段と、
    排気温度を検出する排気温センサと、
    該排ガス浄化用触媒への流入気流量を調整する流量調整手段と、
    該排気温センサにより検出される排気温度に基づいて推定される触媒温度がリーン耐熱温度以上で且つ該雰囲気検知手段によって酸化雰囲気が検知された場合に、該排ガス浄化用触媒への流入気流量が増大するように該流量調整手段を制御する制御手段とを備え、
    該制御手段が、排気温度と触媒温度との間の時間応答差を考慮して、該排気温センサにより検出される排気温度がリーン耐熱温度よりも小さくなった後も流入気流量の増大制御を継続することを特徴とする、内燃機関。
  2. 該時間応答差は、該排ガス浄化用触媒への流入気流量に基づいて推定することを特徴とする、請求項1記載の内燃機関
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