JP4609061B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、車両用のディーゼルエンジン(内燃機関)1のシステム図である。
エンジン1の吸気通路2の上流に、ターボチャージャ3のコンプレッサ3aが配置されている。
エンジン1の吸入空気は、前記コンプレッサ3aによって過給された後、インタークーラ4で冷却され、吸気絞り弁6を通過した後、各気筒の燃焼室内へ流入する。
燃料は、燃料噴射ポンプ8により高圧化されてコモンレール9に送られ、各気筒の燃料噴射弁10から燃焼室内へ直接噴射される。
前記燃料噴射ポンプ8,コモンレール9及び燃料噴射弁10によって、コモンレール式燃料噴射装置が構成される。
前記排気通路12へ排出された排気の一部は、排気還流制御弁19が介装される排気還流通路11を介して吸気側へ還流される。
排気の残りは、ターボチャージャ3のタービン3bを回転駆動し、該タービン3bと同軸に設けられる前記コンプレッサ3aが吸気を過給する。
前記酸化触媒装置5は、排気中のHC,COを酸化する機能を有する触媒装置である。
前記NOx吸蔵触媒装置13は、流入する排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンのときに排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の空燃比が理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチのときにNOxを放出して還元処理する触媒装置である。
前記DPF14は、排気中の微粒子(PM:Particulate Matter)を捕集するトラップ機能を有し、排気フィルタに相当する。
前記各種センサとしては、エンジン回転速度Neを検出する回転速度センサ20、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ21、前記NOx吸蔵触媒装置13の温度を検出する触媒温度センサ22、前記DPF14の入口側で排気圧力を検出する排気圧力センサ17、DPF14の温度を検出するDPF温度センサ23、DPF14出口側で排気空燃比を検出する空燃比センサ16が設けられる。
前記ECU25は、前記各種センサの検出信号に基づく演算処理によって、燃料噴射量及び噴射時期を制御する燃料噴射弁10への燃料噴射指令信号、吸気絞り弁6への開度指令信号、排気還流制御弁19への開度指令信号等を出力する。
前記再生処理として、DPF14に堆積した微粒子PMを高温かつリーン雰囲気で酸化させる処理(DPF再生処理)、NOx吸蔵触媒装置13に堆積したNOxをリッチ雰囲気で脱離・還元する処理(リッチスパイク処理)、NOx吸蔵触媒装置13の硫黄被毒を高温かつリッチ雰囲気で解除する処理(硫黄被毒解除処理)が行われる。
ステップS1では、エンジン回転速度Ne、アクセル開度APO、NOx吸蔵触媒装置13の温度、DPF14の入口側及び出口側の排気圧力、DPF14の温度などの運転状態を読み込む。
また、ステップS1では、エンジン回転速度Neとアクセル開度APOとをパラメータとするマップから演算される燃料噴射量Qを読み込む。
前記NOx堆積量は、エンジン回転速度Neや車両走行距離の積算値から推定することができる。
尚、NOx堆積量の推定結果は、NOxの脱離・還元処理が完了した時点(硫黄被毒解除の実施によりNOxの脱離・還元処理が同時になされた場合を含む)でリセットされる。
前記硫黄堆積量の推定は、前述のNOx堆積量と同様に、エンジン回転速度Neや走行距離の積算値から推定することができ、硫黄被毒解除が完了した時点で推定結果はリセットされる。
前記微粒子PMの堆積量は、排気圧力センサ17により検出されるDPF14の入口側排気圧力と、現在の運転状態(エンジン回転速度Ne,エンジン負荷)に応じた基準排気圧力とを比較することで推定される。
尚、前回のDPF14の再生時からの走行距離又はエンジン回転速度Neの積算値から前記微粒子PMの堆積量を推定させることもでき、更に、走行距離又はエンジン回転速度Neの積算値と、排気圧力とのを組み合わせから、前記微粒子PMの堆積量を推定することも可能である。
そして、regフラグ=0であってDPF14の再生モード中でない場合には、ステップS6へ進む。
一方、regフラグ=1であってDPF14の再生モード中である場合には、図3のフローチャートに示すDPF再生モードの処理を行う。
そして、desulフラグ=0であって硫黄被毒解除モード中でない場合には、ステップS7へ進む。
一方、desulフラグ=1であって硫黄被毒解除モード中である場合には、図4のフローチャートに示す硫黄被毒解除モードの処理を行う。
そして、spフラグ=0であってリッチスパイクモード中でない場合には、ステップS8へ進む。
ステップS8では、DPF14の再生モード後における溶損防止及び劣化判定モード中であるか否かを示すRekkaフラグを判定する。
そして、Rekkaフラグ=0であって、溶損防止及び劣化判定モード中でない場合には、ステップS9へ進む。
ステップS9では、前記ステップS4で推定したDPF14における微粒子PMの堆積量が閾値PM1以下であるか否かを判別する。
そして、微粒子PMの堆積量が閾値PM1以下である場合には、ステップS10へ進む。
ステップS10では、前記ステップS3で推定したNOx吸蔵触媒装置13における硫黄分(SOx)の堆積量が閾値SM1以下であるか否かを判別する。
そして、硫黄分(SOx)の堆積量が閾値SM1以下である場合には、ステップS11へ進む。
ステップS11では、前記ステップS2で推定したNOx吸蔵触媒装置13におけるNOxの堆積量が閾値NOx1以下であるか否かを判別する。
そして、NOxの堆積量が閾値NOx1以下である場合には、本ルーチンを終了させる。
次に、前記ステップS5で、regフラグ=1と判定されたときのDPF再生処理を、図3のフローチャートに従って説明する。
ステップS101では、DPF再生時における目標空燃比に制御する。
尚、目標空燃比の初期値は、図15に示すように、DPF14における微粒子PMの堆積量に応じて設定されるが、概ね空気過剰率λで1.1〜1.3程度とする。
ステップS102では、図11中に斜線で示すようなアイドルを含む所定の低回転・低負荷領域内でエンジン1が運転されているか否かを判別する。
ステップS103では、DPF14の温度が再生中の目標上限値T1以下であるか否かを判別する。
一方、DPF14の温度が再生中の目標上限値T1を超えている場合には、ステップS104へ進んで、燃料噴射の時期を進角させることで排気温度の低下を図り、DPF14の温度が目標上限値T1以下になるようにする。
ステップS105では、DPF14の温度が再生中の目標下限値T2(<目標上限値T1)以上であるか否かを判別する。
一方、DPF14の温度が目標下限値T2を下回っている場合には、ステップS106へ進んで、燃料噴射の時期を遅角させることで排気温度の上昇を図り、DPF14の温度が目標下限値T2以上になるようにする。
即ち、燃料噴射時期の進角・遅角補正によって、DPF14の温度が前記目標下限値T2と目標上限値T1との間の温度になるようにする。
目標時間tdpfregが経過しており、DPF14に堆積していた微粒子PMの燃焼処理が完了したと判断されると、ステップS108へ進む。
ステップS108では、燃料噴射時期の進角・遅角補正を停止させて通常の噴射時期に戻し、また、空燃比を通常値に戻す。
一方、目標時間tdpfregが経過する前、即ち、DPF14に堆積していた微粒子PMの燃焼処理が完了する前に、運転者がアクセルを閉操作してエンジン1の負荷・回転速度が低下し、ステップS102で所定の低回転・低負荷領域内でエンジン1が運転されていると判別されるようになると、ステップS110へ進む。
上記ステップS110において前記Rekkaフラグに1がセットされることで、ステップS8からステップS401に進むことで、図6のフローチャートに示す溶損防止及び劣化判定モードが実行され、これによって、DPF14で燃え残りの微粒子PMが一気に燃えてDPF14が溶損することを防止する。
ステップS201では、NOx吸蔵触媒装置13の硫黄被毒解除のために空燃比をストイキ(理論空燃比)に制御する。
前記空燃比の制御は、DPF再生時と同様に、吸気絞り弁6や排気還流制御弁19によって行われる。
例えば、NOx吸蔵触媒装置13としてBa系のNOx吸蔵触媒を使った場合には、リッチ〜ストイキ雰囲気でNOx吸蔵触媒装置13の温度を600℃より高くする必要があることから、所定温度T3は600℃以上に設定される。
一方、触媒温度が所定温度T3よりも低い場合には、ステップS208へ進む。
ステップS208では、NOx吸蔵触媒装置13の温度が所定温度T3よりも低く、硫黄被毒解除のための温度条件が成立していないので、燃料噴射時期を遅角して排気温度を上昇させる。
前記所定の時間tdesulだけ硫黄被毒解除の処理を行うと、ステップS204へ進む。
ステップS204では、ストイキ運転及び噴射時期の遅角補正を解除し、次のステップS205ではdesulフラグを0にリセットする。
前記硫黄被毒解除の処理によってNOx吸蔵触媒装置13が長時間ストイキの空燃比に晒されることにより、硫黄被毒解除と同時にNOxの脱離・還元処理が行われるために、上記ステップS206,207の処理を行う。
ステップS301では、空燃比を、理論空燃比よりもリッチである所定の目標空燃比(リッチ空燃比)に制御する。
これにより、NOx吸蔵触媒装置13の雰囲気をリッチ(還元雰囲気)にして、NOx吸蔵触媒装置13に吸蔵されていたNOxを脱離・還元処理する。
リッチスパイク制御時間t3が所定時間tspike以上になると、ステップS303へ進み、リッチスパイクモードを示すspフラグを0にリセットする。
一方、リッチスパイク制御時間t3が所定時間tspikeを超えていない場合には、リッチスパイク制御を継続させるべく、ステップS303を迂回して本ルーチンを終了する。
ステップS401では、DPF14の温度を検出する。
ステップS402では、燃え残りの微粒子PMが一気に燃えてDPF14が溶損することがないように、空気過剰率λを1.2程度に制御する。
ステップS403では、DPF14の温度が所定温度T4以下であるか否かを判定する。
DPF14の温度が所定温度T4を超える場合には、ステップS406へ進む。
ステップS404では、前記ステップS402における空燃比制御を停止させて通常の空燃比に戻し、次のステップS405では、前記Rekkaフラグを0にリセットする。
DPF14の温度が所定温度T4を超えていて、溶損防止のための空燃比制御を継続させる必要がある場合には、ステップS406に進み、ステップS403からステップS406へ進んだ回数(ループ通過回数)を積算するか、又は、DPF14の温度が所定温度T4を超えていて空気過剰率λを1.2程度とする溶損防止策が実行された時間(ループ維持時間)を積算する。
DPF14の再生処理中に低回転・低負荷運転に切り換わって空気過剰率λを1.2程度とする溶損防止処理が行われると、特に外気温度が低い条件下では燃焼が不安定であるために排気中の未燃焼成分(HC)が多くなり、また、空気過剰率λが1よりも大きいために排気中の酸素が多く、然も、低回転・低負荷運転により排気流量が少ないので、酸化機能を有する酸化触媒装置5やNOx吸蔵触媒装置13の温度が高くなり、前記触媒装置5,13の劣化が進行する(図10参照)。
そして、前記回数・時間の積算値が所定回数count1,所定時間time1を超えた場合には、触媒装置5,13が高温になっていた回数・時間が限界を超え、触媒装置5,13の劣化が発生したものと判断し、ステップS408へ進んで、触媒劣化信号を出力する。
前記触媒装置5,13の劣化判定の結果は、例えばNOx吸蔵触媒装置13のリッチスパイク制御に用いられる。
具体的には、NOx吸蔵触媒装置13では劣化の進行に伴って、吸蔵できる最大NOx量が低下するため、リッチスパイク制御の実行間隔をより短くすることが要求されるようになる。
また、劣化によってNOx吸蔵触媒装置13における貴金属の触媒能力が低下することから、リッチスパイク制御を行わせる時間tspike、更に、リッチスパイクにおける目標空燃比を劣化度合いに応じて変更することが好ましく、具体的には、劣化が進行するほど、リッチスパイク制御を行わせる時間tspikeを長くし(図13参照)、及び/又は、リッチスパイクにおける目標空燃比をよりリッチ化させる(図14参照)。
尚、上記実施形態では、DPF14の再生中に低負荷・低回転域に移行したときの溶損防止モードにおいて触媒の劣化を診断する構成としたが、DPF14の再生完了後にDPF温度がまだ高く溶損防止のために空気過剰率λを1.2程度に保持させている間に、低負荷・低回転域に移行したときに、係る低負荷・低回転域での溶損防止制御の時間・回数を積算し、該積算値から触媒の劣化を診断する構成とすることができる。
Claims (3)
- 排気微粒子を捕集する排気フィルタ及び触媒装置を排気通路に備えた内燃機関において、
前記排気フィルタに捕集された排気微粒子を酸化させる再生処理中又は再生処理直後の機関運転状態が所定の低回転かつ低負荷領域へ変化したときに空燃比制御を行い、
前記空燃比制御された時間若しくは前記空燃比制御されていると判断された回数の積算値に基づいて前記触媒装置の劣化を診断することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記触媒装置として、流入する排気の空燃比がリーンであるときに排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の空燃比が理論空燃比又はリッチであるときに吸蔵したNOxを放出するNOx吸蔵触媒装置を含み、
前記NOx吸蔵触媒装置の劣化発生が診断されたときに、前記NOx吸蔵触媒装置に吸蔵されたNOxを強制的に放出させて還元処理するNOx処理制御を変更することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記NOx吸蔵触媒装置の劣化発生が診断されたときに、前記NOx処理制御における目標空燃比,目標空燃比維持時間,NOx処理実行間隔のうちの少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
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