JP4325264B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、排気浄化触媒の排気上流側と排気下流側とにそれぞれ空燃比センサを設けた空燃比制御装置が知られている。この空燃比制御装置では、基本的に上流側空燃比センサによって検出される排気ガスの空燃比(以下、「排気空燃比」と称す)が、機関運転状態等に基づいて算出される目標空燃比となるように燃料噴射量等を制御している。さらに、下流側空燃比センサによって検出される排気空燃比が理論空燃比となっていない場合、すなわち、排気空燃比を目標空燃比にするのに上記燃料噴射量が適切ではない場合、上記燃料噴射量を補正することによって、機関本体から排出された排気ガスを良好に浄化することができるようにしている。
【0003】
ところで、これら空燃比センサは所定温度以上となることで活性状態となり、排気空燃比を適切に検出することができる。一般に、下流側空燃比センサは機関本体から離れて配置されるので、機関始動時等には下流側空燃比センサはなかなか昇温せず、よって活性状態に達するのに時間がかかる。さらに、下流側空燃比センサには水分が付着する可能性が高く、よって下流側空燃比センサに迅速に活性状態に達するものを用いると、下流側空燃比センサが破損してしまうことがあるので、下流側空燃比センサには比較的活性状態に達するのに時間がかかるものものが用いられる。
【0004】
空燃比センサは活性状態に達していないときには、常に、排気空燃比がリーンであることを示すリーン信号を発信する。したがって下流側空燃比センサが活性状態に達していないときには下流側空燃比センサからの出力は信頼できないため、下流側空燃比センサが活性状態に達してから上述したような燃料噴射量の制御を行うようにしている。通常、下流側空燃比センサが活性状態に達しているか否かの判定は、下流側空燃比センサがリッチ信号を発信したか否かに基づいて行われる。ところが、下流側空燃比センサが非活性状態にある機関始動時等においては、排気浄化触媒に保持された酸素の量(以下、「酸素保持量」と称す)が増加し、内燃機関から排出される排気空燃比が一時的にリッチになったとしても排気浄化触媒に保持されている酸素とHCやCOとが反応して下流側空燃比センサに到達する排気空燃比はリーンまたはほぼ理論空燃比のままとなってしまい、下流側空燃比センサが活性状態にあるとの判定が遅れてしまう。
【0005】
そこで、従来の空燃比制御装置(例えば特許文献1参照)では、下流側空燃比センサが活性状態に達していないと判定されている場合には、活性状態に達していると判定されている場合に比べて常に燃料噴射量を多くすることで排気空燃比をリッチにするようにしている。こうすることで、排気浄化触媒の酸素保持量が低減されて下流側空燃比センサが活性状態に達するとすぐにリッチ信号が発信されるようになると共に、排気ガス中に含まれるNOxを低減することができるようになる。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−136532号公報
【特許文献2】
特開平1−163440号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に記載された空燃比制御装置のように、下流側空燃比センサが非活性状態にあると判定されている場合に、常に燃料噴射量を増量して排気空燃比をリッチにしていると、排気ガス中に含まれる炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の有害成分が排気浄化触媒で浄化されなくなってしまい、大気中にこれら有害成分が放出されてしまう。一方、一時的に燃料の噴射を停止する燃料カット制御等を実行した時には排気浄化触媒の酸素保持量は極端に増加するため、このような制御を行うと、下流側空燃比センサの活性状態の判定が遅れてしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、大気中への有害成分(HC、CO、NOx等)の放出を抑制しつつ、下流側空燃比検出手段が活性状態に達したことを早期に検出することができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明では、機関排気通路上に配置された排気浄化触媒と、該排気浄化触媒の上流側において機関排気通路に配置され且つ機関排気通路を通る排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、上記排気浄化触媒の下流側において機関排気通路に配置され且つ機関排気通路を通る排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比検出手段と、該下流側空燃比検出手段が活性状態にあるか否かを判定する活性判定手段とを具備し、機関運転状態に基づいて目標空燃比を設定すると共に、上記上流側空燃比検出手段および上記下流側空燃比検出手段によって検出された空燃比に基づいて上記上流側空燃比検出手段によって検出される空燃比が上記目標空燃比となるように燃料噴射量を調整する内燃機関の空燃比制御装置において、上記排気浄化触媒の温度を検出する触媒温度検出手段をさらに具備し、上記下流側空燃比検出手段が非活性状態にあると上記活性判定手段によって判定された場合には、目標空燃比をリッチとすると共に触媒温度検出手段によって検出された排気浄化触媒の温度が低いときには目標空燃比のリッチ度合いを低く設定し、該排気浄化触媒の温度が高いときには目標空燃比のリッチ度合いを高く設定し、上記上流側空燃比検出手段によって検出された空燃比に基づいて上記上流側空燃比検出手段によって検出される空燃比が上記目標空燃比となるように燃料噴射量を調整する。
一般に、排気浄化触媒による排気ガス中のHCおよびCO等の浄化能力は、排気浄化触媒の温度に依存し、排気浄化触媒の温度が高い場合には、HCおよびCO等の浄化能力が高くなるため、排気浄化触媒に流入する排気ガスのリッチ度合が比較的高くても排気ガスは浄化されるが、排気浄化触媒の温度が低い場合にはHCおよびCO等の浄化能力が低くなるため、排気浄化触媒に流入する排気ガスのリッチ度合が比較的高いと排気ガスは浄化されない。ここで、第1の発明によれば、目標空燃比が排気浄化触媒の温度に応じて設定されるため、より詳細には、排気浄化触媒の温度が低いときには目標空燃比のリッチ度合は比較的低く設定され、一方、排気浄化触媒の温度が高くなるとそれに応じて目標空燃比のリッチ度合も高く設定されるため、HCおよびCO等の浄化能力を維持することができる。
また、この場合、目標空燃比を、HCおよびCO等の浄化能力を維持できる空燃比のうちの最もリッチ側に設定すれば、排気浄化触媒の酸素保持量は低減せしめられ、よって下流側空燃比検出手段の活性を早期に判定することができる。
なお、触媒温度検出手段は、排気浄化触媒またはその近傍に設けられた温度センサによって排気浄化触媒の温度を検出してもよいし、このような温度センサを設けずに、排気浄化触媒の温度に影響を及ぼすパラメータ(例えば、吸入空気量、機関始動時の冷却水温、機関停止から機関始動までの経過時間、外気温度、燃料噴射量等)に基づいて排気浄化触媒の温度を推定してもよい。また、第1の発明における「機関運転状態」とは、例えば、機関負荷や機関回転数等、排気浄化触媒の温度を除いた目標空燃比の設定に関するパラメータを意味する。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、上記下流側空燃比検出手段が非活性状態にあると上記活性判定手段によって判定された場合には、機関始動直後から所定期間に亘って上記上流側空燃比検出手段によって検出される空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を調整するのを禁止し、その後、上流側空燃比検出手段によって検出される空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を調整するようにした。
一般に、機関始動直後には、内燃機関における燃焼状態が安定せず、よって排気空燃比も安定しない。このため、上流側空燃比検出手段によって検出される排気空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を設定(以下、「噴射量設定処理」と称す)すると、燃料噴射量が大きく振れてしまい、ますます内燃機関における燃焼状態および排気空燃比が安定しにくくなってしまう。第2の発明によれば、機関始動直後から所定期間に亘って上記噴射量設定処理が禁止されるため、この期間中に燃焼状態および排気空燃比が安定し、燃焼状態および排気空燃比が安定してから燃料噴射量設定処理が開始される。
なお、噴射量設定処理の禁止期間中には、燃料噴射量は、例えば、予め定められた一定の燃料噴射量とされてもよいし、機関始動時の燃料噴射量に関与するパラメータ(例えば、冷却水温、油温、機関負荷等)に基づくマップ等から求められる燃料噴射量とされてもよい。
【0011】
第3の発明では、第1または第2の発明において、上記下流側空燃比検出手段が非活性状態から活性状態に変わったことが上記活性判定手段によって検出された直後には、単位時間当たりの燃料噴射量の変化が所定量以下になるように、目標空燃比を少なくとも排気浄化触媒に基づいて設定された空燃比から機関運転状態に基づいて設定された空燃比に変更するようにした。
第1または第2の発明における空燃比制御装置では下流側空燃比検出手段の活性前と活性後とで目標空燃比の設定方法が異なるため、活性判定手段による下流側空燃比検出手段の活性判定の切り替わりに応じて目標空燃比が大きく変わってしまう場合がある。このように大きく変わった目標空燃比に合わせて燃料噴射量を設定してしまうと、内燃機関が急加速または急減速してしまい、ユーザに不快感を与えてしまう。これに対して、第3の発明によれば、活性判定手段による下流側空燃比検出手段の活性判定が切り替わって目標空燃比が大きく変わることが防止されるため、内燃機関の急加速や急減速によりユーザに不快感を与えてしまうことが防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1に概略的に示した機関本体1は筒内噴射型火花点火式内燃機関を示す。しかしながら、本発明を別の火花点火式内燃機関やディーゼル型圧縮自着火式内燃機関に適用してもよい。
【0018】
図1に示したように、本発明の第一の実施形態では機関本体1はシリンダブロック2と、シリンダブロック2内で往復動するピストン3と、シリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド4とを具備する。ピストン3とシリンダヘッド4との間には燃焼室5が形成される。シリンダヘッド4には各気筒毎に吸気弁6と、吸気ポート7と、排気弁8と、排気ポート9とが配置される。さらに、図1に示したようにシリンダヘッド4の内壁面の中央部には点火プラグ10が配置され、シリンダヘッド4内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置される。またピストン3の頂面には燃料噴射弁11の下方から点火プラグ10の下方まで延びるキャビティ12が形成されている。
【0019】
各気筒の吸気ポート7はそれぞれ対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は吸気ダクト15およびエアフロメータ16を介してエアクリーナ(図示せず)に連結される。吸気ダクト15内にはステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。一方、各気筒の排気ポート9は排気マニホルド19に連結され、この排気マニホルド19は上流側排気管20を介して三元触媒21を内蔵したケーシング22に連結される。さらに、ケーシング22には下流側排気管23が連結される。排気マニホルド19とサージタンク14とは再循環排気ガス(以下、「EGRガス」と称す)導管24を介して互いに連結され、このEGRガス導管24内にはEGRガス制御弁25が配置される。なお、吸気ポート7、吸気枝管13、サージタンク14、および吸気ダクト15は、燃焼室5に吸入される空気が通る機関吸気通路を形成し、一方、排気ポート9、排気マニホルド19、上流側排気管20、ケーシング22、および下流側排気管23は、燃焼室5から排出された排気ガスが通る機関排気通路を形成する。
【0020】
電子制御ユニット(ECU)31はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を具備する。エアフロメータ16は吸入空気量に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。上流側排気管20および下流側排気管23にはそれぞれ空燃比を検出するための空燃比センサ(空燃比検出手段)26、27が取付けられ、これら空燃比センサ26、27の出力信号が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また三元触媒21には三元触媒21の温度を検出するための温度センサ28が取付けられ、この温度センサ28の出力信号も対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
【0021】
またアクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。クランク角センサ42は例えばクランクシャフトが30度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35ではこのクランク角センサ42の出力パルスから機関回転数が計算される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路39を介して点火プラグ10、燃料噴射弁11、ステップモータ17およびEGRガス制御弁25に接続される。
【0022】
本発明の空燃比制御装置では、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときには、機関運転状態に基づいてその機関運転状態に最適な機関空燃比を目標空燃比として算出し、機関空燃比が目標空燃比となるように二つの空燃比センサ26、27からの出力信号に基づいて燃料噴射弁11から噴射する燃料を算出する。以下、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときにおける本発明の空燃比制御装置による燃料噴射量算出方法について説明する。なお、以下の説明において機関空燃比とは燃焼室5に供給された燃料の量に対する同様に燃焼室5に供給された空気の量の比を意味し、排気空燃比とは排気ガスの空燃比を意味し、排気ガスの空燃比とは燃焼室5に吸入された空気(機関排気通路に空気を供給することができるようにしたシステムでは機関排気通路に供給された空気を含む。)の量に対する燃焼室5に供給された燃料(機関排気通路に燃料を供給することができるようにしたシステムでは機関排気通路に供給された燃料を含む。)の比を意味する。
【0023】
上流側空燃比センサ26において排気空燃比が目標空燃比よりもリーンであることが検出されたときには、機関空燃比が目標空燃比よりもリーンであるので、燃料噴射量を徐々に増大し、機関空燃比が目標空燃比に近づくようにする。一方、上流側空燃比センサ26において排気空燃比が目標空燃比よりもリッチであることが検出されたときには、機関空燃比が目標空燃比よりもリッチであるので、燃料噴射量を徐々に減少し、機関空燃比が目標空燃比に近づくようにする。
【0024】
さらに、機関空燃比を全体として目標空燃比に維持するためには、機関空燃比が目標空燃比からずれたことが検出されたときに、そのずれている機関空燃比をできるだけ迅速に目標空燃比に近づけることが好ましい。そこで本実施形態では、上流側空燃比センサ26において機関空燃比が目標空燃比よりもリーンからリッチに変わったことが検出されたときには燃料噴射量をスキップ的に比較的大きく減少させ、機関空燃比が目標空燃比よりもリッチからリーンに変わったことが検出されたときには燃料噴射量をスキップ的に比較的大きく増大させる。
【0025】
さらに迅速に機関空燃比を目標空燃比に近づけるためには、上述したように機関空燃比が目標空燃比よりもリッチとリーンとの間で切り換わったときにスキップ的に減少させる量、或いはスキップ的に増大させる量を、機関空燃比が目標空燃比よりもリッチとリーンとの間で切り換わったときにおける目標空燃比からの機関空燃比のずれが大きいほど大きくすべきである。そこで本実施形態ではスキップ的に減少させる量およびスキップ的に増大させる量を下流側空燃比センサ27の出力値に基づいて以下のようにして補正する。
【0026】
すなわち、下流側空燃比センサ27において理論空燃比よりもリーンが出力されている期間(以下、「リーン出力期間」と称す)が長いほど上流側空燃比センサ26において機関空燃比が目標空燃比よりもリッチからリーンに変わったことが検出されたときにスキップ的に増大させる燃料噴射量を大きくする。なぜならば、リーン出力期間が長いほど機関空燃比は目標空燃比から大きくリーン側にずれているからである。すなわち、三元触媒21から流出する排気ガスの空燃比は三元触媒21の酸素吸放出能力(以下に詳述する)により理論的には理論空燃比となるはずである。それでもなおリーン出力期間が長く出力される場合とは、三元触媒21が吸収することができないほどの酸素が三元触媒21に供給されている場合、すなわち機関空燃比が目標空燃比よりもリーン側に大きくずれている場合である。
【0027】
一方、下流側空燃比センサ27において理論空燃比よりもリッチが出力されている期間(以下、「リッチ出力期間」と称す)が長いほど上流側空燃比センサ26において機関空燃比が目標空燃比よりもリーンからリッチに変わったことが検出されたときにスキップ的に減少させる燃料噴射量を大きくする。なぜならば、リッチ出力期間が長いほど機関空燃比は目標空燃比から大きくリッチ側にずれているからである。すなわち、三元触媒21から流出する排気ガスの空燃比は三元触媒21の酸素吸放出能力により理論的には理論空燃比となるはずである。それでもなおリッチ出力期間が長く出力される場合とは、三元触媒21に吸収されている酸素が全て放出されるほど三元触媒21に供給される酸素が少ない場合、すなわち機関空燃比が目標空燃比よりもリッチ側に大きくずれている場合である。
【0028】
本発明では、このように機関空燃比を制御することによって機関空燃比を全体として目標空燃比に維持するようにしている。
【0029】
次に、上述した本発明の燃料噴射量算出方法を用いた燃料噴射制御の一例を図2〜図4を参照して説明する。図2は、目標燃料噴射量を噴射するために必要な燃料噴射弁の開弁時間TAUを算出するための開弁時間算出処理のフローチャートである。図2では、初めにステップ100において単位機関回転数当たりの吸入空気量Ga/Nが算出され、次いでステップ101において基本燃料噴射時間TAUPが式TAUP=α・Ga/Nに従って算出される。ここで基本燃料噴射時間TAUPは燃焼室5内に供給される燃料と空気との混合気を目標空燃比とするのに必要な燃料噴射時間であり、αは定数である。
【0030】
次いで、ステップ102において、実際の燃料噴射時間TAUが式TAU=TAUP・FAF・β・γに従って算出される。ここで、FAFは後述するフローチャートに従って算出される空燃比補正係数であり、β、γはそれぞれ機関運転状態に応じて決まる定数である。次いで、ステップ103において燃料噴射時間TAUがセットされ、この燃料噴射時間TAUだけ燃料噴射弁11が開弁せしめられ、燃料噴射時間TAUに応じた量の燃料が燃料噴射弁11から噴射される。
【0031】
図3には、図2において使用される空燃比補正係数FAFを算出するための補正係数算出処理のフローチャートを示した。図3を参照すると、初めにステップ120において上流側空燃比センサ26によって検出された排気空燃比AFが、目標空燃比AFta以上であるか否か(すなわち、目標空燃比AFtaよりもリーンであるか否か)が判別される。ステップ120においてAF≧AFtaであると判別されたときには、ステップ121に進んで、三元触媒21に流入する排気空燃比(以下、「流入排気空燃比」と称す)が目標空燃比AFtaよりもリッチからリーンに反転したところか否かが判別される。ステップ121において流入排気空燃比AFが目標空燃比AFtaよりもリッチからリーンに反転したところであると判別されたときには、ステップ122に進んで空燃比補正係数FAFをスキップ増大量RSRだけ比較的大きくスキップ的に増大する。一方、ステップ122において、流入排気空燃比AFが目標空燃比AFtaよりもリッチからリーンに反転したところではない、すなわち流入排気空燃比AFが既にリーンであったと判別されたときには、ステップ124に進んで空燃比補正係数FAFを定数KIRだけ比較的小さく増大する。これによれば、流入排気空燃比AFが目標空燃比AFtaよりもリッチからリーンとなった直後にスキップ的に流入排気空燃比AFのリーン度合が小さくなるように空燃比補正係数FAFが増大せしめられ、その後は流入排気空燃比のリーン度合が小さくなるように空燃比補正係数FAFが増大せしめられる。
【0032】
ステップ120においてAF<AFtaであると判別されたときには、ステップ125に進んで、流入排気空燃比AFが目標空燃比AFtaよりもリーンからリッチに反転したところか否かが判別される。ステップ125において流入排気空燃比AFが目標空燃比AFtaよりもリーンからリッチに反転したところであると判別されたときにはステップ126に進んで空燃比補正係数FAFをスキップ減少量RSLだけ比較的大きくスキップ的に減少する。一方、ステップ125において流入排気空燃比AFが理論空燃比AFtaよりもリーンからリッチに反転したところではない、すなわち流入排気空燃比AFが既にリッチであったと判別されたときには、ステップ127に進んで空燃比補正係数FAFを定数KILだけ比較的小さく減少する。これによれば、流入排気空燃比AFが目標空燃比AFtaよりもリーンからリッチとなった直後にスキップ的に流入排気空燃比のリッチ度合が小さくなるように空燃比補正係数FAFが減少せしめられ、その後は流入排気空燃比のリッチ度合が小さくなるように空燃比補正係数FAFが減少せしめられる。
【0033】
なお、ステップ123では空燃比補正係数FAFがその許容最小値と許容最大値との間となるように空燃比補正係数FAFをガード処理する。
【0034】
図4には図3のフローチャートにて使用されるスキップ増大量RSRとスキップ減少量RSLとを算出するための増大量・減少量算出処理のフローチャートを示した。図4を参照すると初めにステップ140において下流側空燃比センサ27によって検出された流入排気空燃比AFが理論空燃比AFth以上であるか否かが判別される。すなわち三元触媒21から流出する排気ガスの空燃比(以下、流出排気空燃比)が理論空燃比よりもリーンであるか否かが判別される。ステップ140においてAF≧AFthである(すなわち、流出排気空燃比がリーンである)と判別されたときには、ステップ141に進んでスキップ増大量RSRが所定量ΔRSだけ増大せしめられる。一方、ステップ141においてAF<AFthである(すなわち、流出排気空燃比がリッチである)と判別されたときには、ステップ144に進んでスキップ増大量RSRが所定量ΔRSだけ減少せしめられる。
【0035】
ステップ142ではスキップ増大量RSRがその許容最小値と許容最大値との間になるようにスキップ増大量RSRがガードせしめられ、ステップ143に進んで0.1からスキップ増大量RSRを引いてスキップ減少量RSLが算出される。
【0036】
ところで、機関始動時等において下流側空燃比センサ27が非活性状態にあると、流出排気空燃比がリッチであっても流出排気空燃比がリーンであるとの信号を出し続ける。この場合、下流側空燃比センサ27からの信号は信頼できないため、上述した燃料噴射量算出方法とは別の方法で燃料噴射量を算出する。
【0037】
上流側空燃比センサ26は機関始動後等においても早期に活性するため、本発明の第一実施形態の空燃比制御装置では、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときには、基本的に上流側空燃比センサ26によって検出された排気空燃比に基づいて燃料噴射量の算出を行う。すなわち、上流側空燃比センサ26によって検出される排気空燃比が目標空燃比となるように、より詳細には、上流側空燃比センサ26によって検出された排気空燃比が目標空燃比よりもリッチであるときには燃料噴射量を減少させ、上流側空燃比センサ26によって検出された排気空燃比が目標空燃比よりもリーンであるときには燃料噴射量を増加させるように燃料噴射量が算出される。
【0038】
この場合、燃料噴射弁11の開弁時間(燃料噴射量に対応)の算出は図2に示したフローチャートに基づいて行われ、このフローチャートにおいて用いられる空燃比補正係数FAFの算出は図3に示したフローチャートと同様に行われる。ここで、図3に示したフローチャートにおいて用いられるスキップ増大量RSRおよびスキップ減少量RSLは、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときには、予め定められた一定値であるか、あるいは、下流側空燃比センサ27が非活性状態となる前に図4に示したフローチャートによって算出された値(機関始動時の場合には機関始動前の機関停止時における値)である。
【0039】
一方、下流側空燃比センサ27が不活性状態にあるときには、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときとは異なる目標空燃比の算出が行われる。すなわち、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときには、目標空燃比の算出は、機関運転状態(例えば、機関負荷、機関回転数等)に基づいて行われるが、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときには、目標空燃比の算出は三元触媒21の温度(以下、「触媒温度」と称す)に基づいて行われ、具体的には、図5に示したように触媒温度が低い場合には目標空燃比が理論空燃比近傍とされ、触媒温度が高くなると目標空燃比のリッチ度合が高められる。
【0040】
ところで、一般に、下流側空燃比センサ27が非活性状態となっている場合、すなわち機関始動時等の場合、三元触媒21の酸素保持量が飽和状態にある。このため、機関始動後には三元触媒21から流出する排気ガスの空燃比はなかなか理論空燃比よりもリッチにならず、理論空燃比よりもリーンの状態が続く。一方、下流側空燃比センサ27の活性は、下流側空燃比センサ27からリッチ信号が発信することによって判定される。したがって、下流側空燃比センサ27が活性状態にあることを検知するためには、三元触媒21下流の排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチにしなければならない。ただし、このときの排気空燃比のリッチ度合を大きくすると、下流側空燃比センサ27の活性後直ぐに活性状態であることを判定することができるようにはなるが、三元触媒21から排出される排気ガス中にHCやCOが多く残ったままになってしまう。
【0041】
これに対して、本発明の第一実施形態の空燃比制御装置では、触媒温度に応じて目標空燃比が変更される。一般に、三元触媒21の排気ガスの浄化能力(酸化能力)は、触媒温度によって異なり、触媒温度が高くなるほど排気ガス浄化能力も高くなる。すなわち、触媒温度が高くなると、排気ガス中のHCやCO等と三元触媒21中の酸素との反応が促進されるので、多くのHCやCO等が三元触媒21に流入してもこれら成分を浄化することができる。本実施形態の空燃比制御装置では、このことを利用して、図5に示したように触媒温度が高くなると目標空燃比を高く設定し、逆に触媒温度が低くなると目標空燃比を低く設定している。こうすることにより、三元触媒21から排気下流にHCやCO等の有害成分が多量に放出されることがほとんどなくなると共に、三元触媒21の酸素保持量が多いままになって下流側空燃比センサ27が活性状態となったことの判定が遅れてしまうことが防止される。さらに、排気ガス中のHCやCOが三元触媒21に保持されている酸素と反応して発熱するので、三元触媒21および下流側空燃比センサ27を早期に昇温することができる。
【0042】
なお、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるとき、触媒温度のみに基づいて目標空燃比を算出するのではなく、触媒温度と内燃機関の状態を表すパラメータ(例えば機関負荷、機関回転数等)とに基づいて目標空燃比を算出するようにしてもよい。
【0043】
また、第一実施形態の空燃比制御装置では、機関始動後一定期間に亘って、上述した触媒温度に基づく目標空燃比の算出をせずに、目標空燃比が予め定められた所定空燃比に維持される。したがって、上述した触媒温度に基づく目標空燃比の算出は機関始動から一定期間(以下、「遅延時間」と称す)だけ遅延して実行される。この遅延時間は、機関始動時における機関冷却水の水温(以下、「始動時水温」と称す)に基づいて算出され、例えば図6に示したように始動時水温が高いと遅延時間が短くされ、逆に始動時水温が低いと遅延時間が長くされる。
【0044】
一般に、機関始動直後には機関運転状態が不安定となり、したがって内燃機関から排出される排気空燃比も乱れる。このように乱れている排気空燃比に基づいて目標空燃比を設定すると、機関運転状態の安定化を妨げてしまい、機関運転状態が安定するまでに時間がかかってしまう。また、機関始動後に内燃機関が安定するまでにかかる時間は、内燃機関の温度(特に燃焼室5周りの温度)に依存しており、内燃機関の温度が高いと安定するまでの時間は短く、一方、内燃機関の温度が低いと長くなる。
【0045】
これに対して、第一実施形態の空燃比装置によれば、機関始動後、遅延時間が経過するまで目標空燃比は予め定められた所定空燃比とされるため、機関運転状態が早期に安定するようになる。また、内燃機関の温度を推定することができる水温に基づいて遅延時間を設定することにより、機関始動後に内燃機関が安定するのにかかる時間に遅延時間を最適に合わせることができるようになる。このため、内燃機関が安定した後直ぐに、上述した触媒温度に基づいて算出された目標空燃比となるように機関空燃比の制御が行われる。
【0046】
さらに、第一実施形態の空燃比装置では、機関始動後等に下流側空燃比センサ27からリッチ信号が送信された場合には、上述した触媒温度に基づいて算出された目標空燃比から、両空燃比センサ26、27を用いて機関運転状態に基づいて算出された目標空燃比へと徐々に移行するようにしている。こうすることにより、両目標空燃比間の差が大きかった場合に、突然大きく目標空燃比が変わって機関運転状態が突然大きく変わってしまうのが防止される。
【0047】
なお、遅延時間の算出は、始動時水温でなく、機関始動時における触媒温度や油温等、他のパラメータに基づいて行われてもよい。また、遅延時間中における目標空燃比は上記所定空燃比でなく、始動時水温、油温、触媒温度等に基づいて算出された空燃比であってもよい。
【0048】
次に、図7および図8を参照して、上述した第一実施形態の燃料噴射量算出方法を用いた燃料噴射制御の一例を説明する。なお、ここでは燃料噴射弁11の開弁時間算出処理および補正係数算出処理は図2および図3に示したフローチャートと同様に行われるので説明は省略する。なお、図3におけるステップ増大量RSRおよびステップ減少量RSLは、図4に示したフローチャートによって求められるのではなく、予め定められた値とされるか、あるいは下流側空燃比センサ27が非活性状態になる前に図4に示したフローチャートによって算出された値とされる。
【0049】
図7は、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるか否かを判定するため活性判定処理のフローチャートである。図7では、ステップ200において、機関始動直後であるか否かが判別される。ここで機関始動直後とは、内燃機関が始動されたことを意味し、例えば、内燃機関を始動するためにキーが回されたことを意味する。ステップ200において、機関始動直後であると判別された場合にはステップ201へと進み、活性判定フラグXAが零とされ、活性判定処理のルーチンが終了せしめられる。なお、活性判定フラグXAは、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときにXA=1とされ、非活性状態にあるときにXA=0とされるフラグである。
【0050】
一方、ステップ200において、機関始動直後でないと判別された場合にはステップ202へと進む。ステップ202では、活性判定フラグXAが零であるか否かが判別され、活性判定フラグXAが1である場合には、活性判定処理のルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ202において、活性判定フラグが零であると判別された場合には、ステップ203へと進む。ステップ203では、下流側空燃比センサ27によって検出された排気空燃比AF2が理論空燃比AFthよりも小さいか(すなわちリッチであるか)否かが判別され、排気空燃比AF2が理論空燃比AFth以上であると判別された場合には活性判定処理のルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ203において、排気空燃比AF2が理論空燃比AFthよりも小さいと判別された場合には、ステップ204へと進む。ステップ204では、活性判定フラグXAが1とされ活性判定処理のルーチンが終了せしめられる。
【0051】
図8には、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときの目標空燃比算出処理のフローチャートを示した。図8を参照すると、始めにステップ220において、機関始動直後であるか否かが判別され、機関始動直後でないと判別された場合にはステップ223へと進む。一方、ステップ220において、機関始動直後であると判別された場合にはステップ221へと進む。ステップ221では機関始動時における冷却水温(始動時水温)Twasが検出され、次いでステップ222では始動時水温Twasおよび図6に示したマップに基づいて遅延時間tdeが算出され、ステップ223へと進む。
【0052】
ステップ223では、始動後カウンタCOUNTが遅延時間tde以上であるか否かが判別される。ここで、始動後カウンタCOUNTとは、機関始動時からの経過時間を示すカウンタである。ステップ223において、始動後カウンタCOUNTが遅延時間tdeよりも短いと判別された場合にはステップ224へと進む。ステップ224では、目標空燃比AFtaが予め定められた所定空燃比とされ、目標空燃比算出処理のルーチンが終了せしめられる。
【0053】
ステップ223において、始動後カウンタCOUNTが遅延時間tde以上であると判別された場合には、ステップ225へと進む。ステップ225では、活性判定フラグが零であるか否かが判別され、零であると判別された場合にはステップ226へと進む。ステップ226では、温度センサ28から触媒温度Tcaが検出される。次いで、ステップ227では、ステップ226において検出された触媒温度Tcaおよび図5に示したマップから目標空燃比AFtaが算出され、目標空燃比処理のルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ225において活性判定フラグが1であると判別された場合には、ステップ228へと進む。ステップ228では、機関負荷、機関回転数等の機関運転状態に関するパラメータが検出され、次いでステップ229においてステップ228で検出されたパラメータに基づいて目標空燃比AFtaが算出され、ルーチンが終了せしめられる。
【0054】
次に、上記第一実施形態の空燃比制御装置の変更例について説明する。第一実施形態の変更例では、目標空燃比を、触媒温度ではなく、吸入空気量を機関始動直後から積算したもの(以下、「積算吸入空気量」と称す)と、始動時水温と、前回内燃機関を停止してから今回内燃機関を始動するまでの時間(以下、「機関停止時間」と称す)とに基づいて算出している。
【0055】
まず、積算吸入空気量から暫定目標空燃比を算出する。基本的に、積算吸入空気量と触媒温度(すなわち三元触媒21による排気ガスの浄化能力)とはほぼ比例関係にあるため、図9に示したように、積算吸入空気量が少ないときには暫定目標空燃比は理論空燃比近傍とされ、積算吸入空気量が多くなると暫定目標空燃比のリッチ度合が高められる。
【0056】
このようにして算出された暫定目標空燃比に、始動時水温と機関停止時間とに基づいて算出された水温補正係数と停止補正係数とを乗算することによって、目標空燃比を算出する。始動時水温は、その温度が高いほど機関始動時における触媒温度が高く、その温度が低いほど機関始動時における触媒温度が低いことから、図10に示したように、始動時水温が低いときには水温補正係数をほぼ1とし、一方、始動時温度が高いときには水温補正係数を小さくしている。これにより、始動時温度が高いときには目標空燃比はリッチ側にシフトされる。また、機関停止時間は、その時間が短いほど機関始動時における触媒温度が高いと共に三元触媒21の酸素保持量が少なく、一方、その時間が長いほど機関始動時における触媒温度が低いと共に三元触媒21の酸素保持量が多い。このため、図11に示したように、機関停止時間が短いときには停止補正係数を1よりも小さい値とし、機関停止時間が長いときには停止補正係数を1に近づけるようにしている。これにより機関停止時間が短いときには目標空燃比はリッチ側にシフトされる。
【0057】
なお、積算吸入空気量と始動時水温と機関停止時間との全てに基づいて算出しなくてもよく、これらパラメータのうち少なくとも一つのパラメータに基づいて算出すればよい。
【0058】
図12を参照して、第一実施形態の空燃比制御装置の変更例における目標空燃比算出処理について説明する。なお、図12のステップ240〜242、244〜246、251、252はそれぞれ図8のステップ220〜222、223〜225、228、229と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
ステップ243では、機関停止時間toffが算出される。また、ステップ247では、エアフロメータ16によって検出された吸入空気量を積分することにより積算吸入空気量TGaが算出される。次いで、ステップ248では、ステップ241およびステップ243において求められた始動時水温Twasおよび機関停止時間toffと、図10および図11のマップとに基づいて、それぞれ水温補正係数ktwasおよび停止補正係数ktoffが求められる。次いで、ステップ249では、ステップ247において算出された積算吸入空気量TGaと図9に示したマップとに基づいて、暫定目標空燃比AFta'が算出される。ステップ250では、ステップ248およびステップ249で算出した水温補正係数ktwasと停止補正係数ktoffと暫定目標空燃比AFta'とを乗算することで、目標空燃比AFtaが算出され、目標空燃比算出処理のルーチンが終了せしめられる。
【0060】
次に、本発明の第二実施形態の空燃比制御装置について説明する。多くの内燃機関では、内燃機関の機関負荷が非常に小さく(例えば、内燃機関を搭載した車両の減速時)且つ機関回転数が高い場合には、燃料噴射弁からの燃料噴射を一時的にカットする燃料カット制御(以下、「F/C制御」と称す)が行われる。このF/C制御を行うと、三元触媒21に流入する排気空燃比は極端なリーンとなり、三元触媒21の酸素保持量は三元触媒21が保持可能な最大の酸素量(以下、「最大酸素保持量」と称す)近傍まで増大してしまう。
【0061】
そこで、第二実施形態の空燃比制御装置では、下流側空燃比センサ27が非活性状態にある場合には、F/C制御を実行する条件をきびしくして、F/C制御の実行期間を短くする。より詳細には、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときにF/C制御を実行する回転数の下限値を、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときにF/C制御を実行する回転数の下限値よりも高い回転数とする。こうすることにより、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときに三元触媒21の酸素保持量を常に低減することができるので、下流側空燃比センサ27の活性判定を早期に行うことができるようになる。
【0062】
図13には、燃料カット制御を実行するためのF/C制御実行処理のフローチャートを示した。図13を参照すると、始めにステップ260において、F/C制御実行条件が成立しているか否かが判別される。ここで、F/C制御実行条件が成立している場合とは、機関回転数を除いたF/C制御の実行に関するパラメータが所定値に達していることを意味し、例えば、機関負荷が所定値以上であることを意味する。ステップ260においてF/C制御実行条件が成立していないと判別された場合には、ステップ261へと進む。ステップ261では、F/C制御が禁止されて、ルーチンが終了せしめられる。
【0063】
一方、ステップ260にいて、F/C制御実行条件が成立していると判別された場合には、ステップ262へと進む。ステップ262では、活性判定フラグXAが零であるか(すなわち下流側空燃比センサ27が活性状態にあるか)否かが判別され、零である(すなわち下流側空燃比センサ27が非活性状態にある)と判別された場合にはステップ263へと進む。ステップ263では機関回転数NEが第二所定回転数NE2よりも低いか否かが判別され、第二所定回転数NE2よりも低いと判別された場合にはステップ264へと進む。ステップ264では、F/C制御が禁止され、ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ263において、機関回転数NEが第二所定回転数NE2以上であると判別された場合にはステップ265へと進む。ステップ265では、F/C制御が実行され、ルーチンが終了せしめられる。
【0064】
一方、ステップ262において、活性判定フラグXAが1である(すなわち下流側空燃比センサ27が活性状態にある)と判別された場合には、ステップ266へと進む。ステップ266では、機関回転数NEが第一所定回転数NE1よりも低いか否かが判別される。第一所定回転数NE1は第二所定回転数NE2よりも低い回転数である。ステップ266において、第一所定回転数NE1よりも低いと判別された場合にはステップ267へと進む。ステップ267では、F/C制御が禁止され、ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ266において、機関回転数NEが第一所定回転数NE1以上であると判別された場合にはステップ268へと進む。ステップ268では、F/C制御が実行され、ルーチンが終了せしめられる。このように、F/C制御実行処理では、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときには、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときにF/C制御が実行される第一所定回転数NE1よりも高い第二所定回転数NE2以上でないとF/C制御が実行されず、F/C制御を実行する条件がきびしくなっている。
【0065】
なお、上記第二実施形態においては、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときと非活性状態にあるときとで、F/C制御を実行する条件を変更するようにしているが、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときにはF/C制御を行わないようにしてもよい。また、上記第二実施形態では、F/C制御を実行していない状態からF/C制御を開始する場合の機関回転数の判定値と、F/C制御を実行している状態からF/C制御を終了する場合の機関回転数の判定値とを同じ回転数としているが、F/C制御を開始する場合の機関回転数の判定値をF/C制御を終了する場合の機関回転数の判定値よりも高い回転数としてもよい。さらに、第二実施形態の空燃比制御装置は第一実施形態の空燃比制御装置と組み合わせてもよい。
【0066】
次に、第二実施形態の空燃比制御装置の変更例について説明する。本変更例は内燃機関を搭載した車両がハーフロックアップ機構を備えた自動変速装置を搭載している場合に適用される。ここで、ハーフロックアップ機構について簡単に説明する。多くの自動変速装置では、トルクコンバータを介さずに内燃機関の駆動軸を変速装置の駆動軸に直結することができる機構であるロックアップ機構を備えているが、ハーフロックアップ機構ではこれに加えて、内燃機関の駆動軸と変速装置の駆動軸とを直結せずに滑らせた状態(マニュアル変速装置における半クラッチ状態)で連結させることができる。この場合、変速装置の駆動軸にはトルクコンバータとハーフロックアップ機構との二つを介して内燃機関から動力が伝達される。
【0067】
ロックアップ機構を備えた自動変速装置では、F/C制御がロックアップ状態で行われるため、F/C制御中の機関回転数の低下は早く、またF/C制御は比較的高い機関回転数で中止される。したがって、F/C制御の実行時間は比較的短い。一方、ハーフロックアップ機構を備えた自動変速装置では、F/C制御がハーフロックアップ状態で行われるため、F/C制御中の機関回転数の低下はロックアップ状態に比べて遅く、またF/C制御はロックアップ状態の場合よりも低い機関回転数まで行われる。したがって、ハーフロックアップ状態でのF/C制御の実行時間は、上記ロックアップ状態でのF/C制御の実行時間よりも長い。
【0068】
そこで、第二実施形態の変更例では、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときには、自動変速装置をハーフロックアップ状態にするのを禁止して、ロックアップ状態にするようにしている。こうすることで、下流側空燃比センサ27が非活性状態にあるときにF/C制御の実行時間を短くすることができるようになる。
【0069】
図14に、ハーフロックアップ機構を制御するためのフローチャートを示した。図14を参照すると、始めにステップ280において、ハーフロックアップ実行条件が成立しているか否かが判別される。ここで、ハーフロックアップ実行条件が成立するときとは、例えば、内燃機関を搭載した車両が減速しているとき等を意味する。ステップ280において、ハーフロックアップ実行条件が成立していないと判別された場合にはルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ280において、ハーフロックアップ実行条件が成立していると判別された場合には、ステップ281へと進む。ステップ281では、図7に示したフローチャートによって算出されている活性判定フラグXAが零であるか否かが判別され、零である(下流側空燃比センサ27が非活性状態にある)と判別された場合にはステップ282へと進む。ステップ282ではハーフロックアップを行うことが禁止され、ロックアップ状態にされるかまたはトルクコンバータのみを介して動力が伝達される。一方、ステップ281において活性判定フラグXAが1である(下流側空燃比センサ27が活性状態にある)と判別された場合には、ステップ283へと進む。ステップ283では、ハーフロックアップを行うことが許可され、ルーチンが終了せしめられる。
【0070】
次に、本発明の第三実施形態の空燃比制御装置について説明する。多くの内燃機関では、機関負荷が急激に高くなったとき、または燃料カット制御を終了したときに、通常の燃料噴射量に追加燃料噴射量が加えられる。機関負荷が急激に高くなるときとは、例えば、内燃機関がアイドリング状態にあるときにユーザがアクセルペダル40を踏んだとき、自動変速装置においてニュートラルシフトからドライブシフトに変更したとき、マニュアル変速装置でクラッチが切断された状態から連結された状態に変わったとき等を意味する。
【0071】
本発明の第三実施形態では、このように通常の燃料噴射量に加えられる追加燃料噴射量を、下流側空燃比センサ27が活性状態にあるときと非活性状態にあるときとで変更するようにしている。より詳細には、下流側空燃比センサ27が非活性状態にある場合の追加燃料噴射量は、下流側空燃比センサ27が活性状態にある場合の追加燃料噴射量よりも多い。こうすることにより、追加燃料噴射量が加えられたときの内燃機関から排出される排気空燃比は理論空燃比よりもリッチとなり、三元触媒21の酸素保持量が少なくなる。こうして、下流側空燃比センサ27の活性判定が早期に行われるようになる。なお、下流側空燃比センサ27が活性状態にある場合および非活性状態にある場合の追加燃料噴射量は予め定められていてもよいし、例えば内燃機関がアイドリング状態にあるときにユーザがアクセルペダル40を踏んだときの踏込み量等のパラメータに応じて変えてもよい。
【0072】
図15に、通常の燃料噴射量を噴射するのに必要な開弁時間TAUに追加燃料噴射量を噴射するのに必要な開弁時間ΔTAUを加える燃料追加処理のフローチャートを示した。なお、図15においては、内燃機関がアイドリング状態にあるときにユーザがアクセルペダルを踏んだときの燃料追加処理について説明するが、上述したような他の燃料追加処理も同様に行われる。
【0073】
図15では、初めにステップ300において、ユーザによってスロットルペダルが踏まれていない状態から踏まれた状態に変化したか否かを判別している。スロットルペダル40が踏まれた状態に変化していないと判別された場合には、ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ300において、スロットルペダル40が踏まれた状態に変化したと判別された場合には、ステップ301へと進む。ステップ301では、図7に示したフローチャートで設定された活性判定フラグXAが零であるか否かが判別され、活性判定フラグXAが零であると判別された場合にはステップ302へと進む。ステップ302では、追加開弁時間ΔTAUaが求められる。この追加開弁時間ΔTAUaは予め定められた時間でもよいし、ユーザによるスロットルペダル40の踏込み量に応じて変化するようにしてもよい。
【0074】
次いでステップ303では、図2で算出された開弁時間TAUにステップ302において算出された追加燃料噴射量ΔTAUaが加算され、よって全体の開弁時間がTAU+ΔTAUaとなる。一方、ステップ301において、活性判定フラグXAが1であると判別された場合にはステップ304へと進む。ステップ304では、追加開弁時間ΔTAUbが求められる。追加開弁時間ΔTAUbは、上記追加開弁時間ΔTAUaよりも短い時間であり、追加開弁時間ΔTAUaと同様に予め定められた時間でもよいし、またはユーザによるスロットルペダル40の踏込み量に応じて変化するようにしてもよい。次いで、ステップ305では、上記開弁時間TAUにステップ304において算出された追加開弁時間ΔTAUbが加算され、ルーチンが終了せしめられる。
【0075】
次に、上記第三実施形態の空燃比制御装置の変更例について説明する。本変更例では、第三実施形態の追加燃料噴射量を三元触媒21に保持されている酸素量に応じて変えるようにしている。すなわち、三元触媒21の酸素保持量が多いときには追加燃料噴射量を増大させ、三元触媒の酸素保持量が少ないときには追加燃料噴射量を減少させている。
【0076】
ここで、三元触媒21が保持可能な酸素量は触媒温度が高いほど多くなる。また、三元触媒21の酸素保持量は、流入する排気ガスのリーン度合が高いほど且つ理論空燃比よりもリーンである排気ガスが三元触媒21に長く流入するほど多くなる。逆に言うと、三元触媒21の酸素保持量はこれらパラメータから推定することができる。そこで、第三実施形態の変更例では、触媒温度に応じて追加燃料噴射量を変えるようにしている。より詳細には、図16に示したように、触媒温度が高い場合には追加燃料噴射量に対応する追加開弁時間を長くし、逆に触媒温度が低い場合には追加燃料噴射量に対応する追加開弁時間を短くしている。
【0077】
さらに、第三実施形態の変更例では、流入する排気ガスのリーン度合が高くなるF/C制御の単位時間当たりの実行時間または実行回数に応じて、追加燃料噴射量を変えるようにしている。図17にこの様子を示す。なお、図17の横軸はF/C制御の実行時間を示しており、縦軸は図16に示したマップによって算出された追加開弁時間(以下、「暫定開弁時間」と称す)に乗算するF/C補正係数を示しており、暫定開弁時間にF/C補正係数を乗算した開弁時間に対応する噴射量(すなわち追加燃料噴射量)が通常の燃料噴射量に加算される。図17から分かるように、単位時間当たりにF/C制御が行われた時間が長い場合にはF/C補正係数を大きく(すなわち追加燃料噴射量を多く)し、単位時間当たりにF/C制御が行われた時間が短い場合にはF/C補正係数を小さく(すなわち追加燃料噴射量を少なく)している。このように追加燃料噴射量を求めることにより、三元触媒21の酸素保持量を効果的に少ない量に維持することができるようになる。
【0078】
なお、上記第三実施形態の変更例では、F/C制御の実行時間に基づく追加燃料噴射量の調整と、触媒温度に基づく追加燃料噴射量の調整との両方を行っているが、片方のみを行うようにしてもよい。また、上記変更例では、触媒温度に基づいて追加燃料噴射量を調整しているが、触媒温度の代わりに、第一実施形態の変更例において説明したような積算吸入空気量、始動時水温、機関停止時間およびこれらパラメータを組み合わせたものを用いてもよい。
【0079】
図18には、第三実施形態の変更例に基づいて通常の燃料噴射量を噴射するための開弁時間に追加燃料噴射量を噴射するための追加開弁時間を加える燃料追加処理のフローチャートを示した。なお、図18においては、図15と同様に内燃機関がアイドリング状態にあるときにユーザがアクセルペダルを踏んだときの燃料追加処理について説明するが、上述したような他の燃料追加処理も同様に行われる。なお、図18において、ステップ320、321、328、329はそれぞれ図15のステップ300、301、304、305と同様であるので説明を省略する。
【0080】
ステップ322では、触媒温度Tcaと図16のマップとに基づいて暫定追加開弁時間ΔTAUa'を算出している。次いで、ステップ323において、過去の所定時間以内にF/C制御を実行したか否か、すなわちF/C制御の履歴が有るか否かについて判別され、F/C制御履歴があると判別された場合にはステップ324へと進む。ステップ324では、過去の所定時間におけるF/C制御の実行時間と図17に示したマップとに基づいてF/C補正係数kfcが算出される。次いで、ステップ325において、暫定追加開弁時間ΔTAUa'にF/C補正係数kfcを加算したものが追加開弁時間ΔTAUaとされ(ΔTAUa←ΔTAUa'・kfc)、ステップ326へと進む。一方、ステップ323において、F/C制御履歴が無いと判別された場合にはステップ327へと進む。ステップ327では、暫定追加開弁時間ΔTAUa'が追加開弁時間ΔTAUaとされ(ΔTAUa←ΔTAUa')、ステップ326へと進む。
【0081】
なお、上記実施形態では、下流側空燃比センサ27から排気空燃比が理論空燃比よりもリッチである信号が発信されたときに下流側空燃比センサ27が活性状態にあると判定するようにしているが、この判定基準に、機関始動後に所定時間が経過したこと、触媒温度が所定温度以上となったこと、積算吸入空気量が所定量以上となったこと等の別の判定基準を組み合わせてもよい。
【0082】
最後に、三元触媒21について簡単に説明する。三元触媒21は、その温度が所定の温度(いわゆる活性温度)以上であって、且つ、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍の領域内にあると、排気ガス中の窒素酸化物(NOX)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)を同時に高い浄化率にて浄化する。一方、三元触媒21は、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときには排気ガス中の酸素を吸収し、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであるときには吸収した酸素を放出する酸素吸放出能力を有する。この酸素吸放出能力が正常に機能する限り流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであってもリッチであっても三元触媒21内の雰囲気の空燃比がほぼ理論空燃比近傍に維持され、したがって、排気ガス中のNOX、CO、HCが同時に高い浄化率で浄化される。
【0083】
なお、上記実施形態においては、排気ガスを浄化する排気浄化触媒として三元触媒21を用いているが、排気浄化触媒は、三元触媒でなくてもよく、例えば、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときには流入する排気ガス中のNOxを保持すると共に、流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはそれよりもリッチであるときには保持しているNOxを離脱・還元させるNOx吸放出能力を有するNOx触媒や、このようなNOx吸放出能力に加えて流入する排気ガス中のパティキュレートを連続的に酸化・除去することができるパティキュレートフィルタ等、酸素吸放出能力があれば如何なる排気浄化触媒であってもよい。
【0084】
【発明の効果】
第1〜第3の発明によれば、下流側空燃比検出手段が非活性状態にあるときに排気浄化触媒の浄化能力に応じて目標空燃比のリッチ度合が設定されるので、大気中への有害成分(HC、CO、NOx等)の放出を抑制しつつ、下流側空燃比検出手段が活性状態に達したことを早期に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空燃比制御装置を備えた内燃機関全体を示す図である。
【図2】燃料噴射弁の開弁時間を算出するためのフローチャートである。
【図3】空燃比補正係数を算出するためのフローチャートである。
【図4】スキップ増大量およびステップ減少量を算出するためのフローチャートである。
【図5】触媒温度と目標空燃比との関係を示す図である。
【図6】始動時水温と遅延時間との関係を示す図である。
【図7】下流側空燃比センサが活性状態にあるか否かを判定するためのフローチャートである。
【図8】下流側空燃比センサが非活性状態にあるときにおける目標空燃比を算出するためのフローチャートである。
【図9】積算吸入空気量と暫定目標空燃比との関係を示す図である。
【図10】始動時水温と水温補正係数との関係を示す図である。
【図11】機関停止時間と停止補正係数との関係を示す図である。
【図12】第一実施形態の変更例における目標空燃比を算出するためのフローチャートである。
【図13】燃料カット制御を実行するためのフローチャートである。
【図14】ハーフロックアップ機構を制御するためのフローチャートである。
【図15】通常の燃料噴射量に追加燃料噴射量を加える燃料追加処理のフローチャートである。
【図16】触媒温度と追加開弁時間との関係を示す図である。
【図17】F/C制御の実行時間とF/C補正係数との関係を示す図である。
【図18】第三実施形態の変更例における燃料追加処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体
11…燃料噴射弁
16…エアフロメータ
21…三元触媒(排気浄化触媒)
26…上流側空燃比センサ
27…下流側空燃比センサ
28…温度センサ
40…アクセルペダル
Claims (3)
- 機関排気通路上に配置された排気浄化触媒と、該排気浄化触媒の上流側において機関排気通路に配置され且つ機関排気通路を通る排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、上記排気浄化触媒の下流側において機関排気通路に配置され且つ機関排気通路を通る排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比検出手段と、該下流側空燃比検出手段が活性状態にあるか否かを判定する活性判定手段とを具備し、機関運転状態に基づいて目標空燃比を設定すると共に、上記上流側空燃比検出手段および上記下流側空燃比検出手段によって検出された空燃比に基づいて上記上流側空燃比検出手段によって検出される空燃比が上記目標空燃比となるように燃料噴射量を調整する内燃機関の空燃比制御装置において、
上記排気浄化触媒の温度を検出する触媒温度検出手段をさらに具備し、上記下流側空燃比検出手段が非活性状態にあると上記活性判定手段によって判定された場合には、目標空燃比をリッチとすると共に触媒温度検出手段によって検出された排気浄化触媒の温度が低いときには目標空燃比のリッチ度合いを低く設定し、排気浄化触媒の温度が高いときには目標空燃比のリッチ度合いを高く設定し、上記上流側空燃比検出手段によって検出された空燃比に基づいて上記上流側空燃比検出手段によって検出される空燃比が上記目標空燃比となるように燃料噴射量を調整する内燃機関の空燃比制御装置。 - 上記下流側空燃比検出手段が非活性状態にあると上記活性判定手段によって判定された場合には、機関始動直後から所定期間に亘って上記上流側空燃比検出手段によって検出される空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を調整するのを禁止し、その後、上流側空燃比検出手段によって検出される空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を調整するようにした請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 上記下流側空燃比検出手段が非活性状態から活性状態に変わったことが上記活性判定手段によって検出された直後には、単位時間当たりの燃料噴射量の変化が所定量以下になるように、目標空燃比を少なくとも排気浄化触媒に基づいて設定された空燃比から機関運転状態に基づいて設定された空燃比に変更するようにした請求項1または2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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