JP3850546B2 - ポリアセタール樹脂の連続製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアセタール樹脂の製造方法に関し、更に詳しくは、ポリアセタール樹脂を高い収率で、工業的に長期間、安定して連続製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール樹脂は、機械的性質、耐薬品性、摺動性等のバランスに優れ、且つ、その加工が容易であることにより、代表的なエンジニアリングプラスチックとして、電気・電子部品、自動車部品、その他の各種機械部品を中心として広く利用されている。
近年、利用範囲の拡大に伴い、樹脂に対する要求性能も高度化する一方、樹脂の低コスト化の要求も高く、ポリアセタール樹脂を高収率で得る製造方法が求められている。特に、コモノマーを増量したコポリマーの場合には、収率の低下が大きく、その改善が強く切望されている。
【0003】
ポリアセタール樹脂を高収率で得るために、例えば、触媒種の検討や触媒の添加方法の改良が行われており、その代表的な例として、特公平8−30103号公報、及び、特開平2−6529号公報、同4−65412号公報、同4−65413号公報に開示されている。
これら公知の方法では、ポリアセタール樹脂を製造するに際し、予め1,3−ジオキソラン等の環状エーテル及び/又は環状ホルマールと三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート等の重合触媒とを接触して混合した混合物を、トリオキサンに連続的に添加して重合する方法が開示されている。
【0004】
しかし、これらの方法では、環状エーテルと重合触媒との接触部分に、固体状或いは粘稠状の重合物、例えばポリジオキソラン等を生成し易く、これらが、環状エーテル及び/又は重合触媒の供給配管(以後、単に配管という)を閉塞させる原因となる。また、これらは、環状エーテル及び/又は重合触媒の供給流量を不安定にするために、重合機のトルク変動等を引き起こすなど、ポリアセタール樹脂を高い収率で、工業的に長期間、安定して連続製造することが困難となる。
従って、配管内に発生する環状エーテルの重合物の生成を抑え、配管内の閉塞の改善を図ることは、ポリアセタール樹脂を高収率で得るために重要であり、大いに切望されている点である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状に鑑み、ポリアセタール樹脂を高い収率で、工業的に長期間、安定して連続製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、低分子量アセタール化合物およびカチオン重合触媒とを一旦混合し、この混合物を、トリオキサンに添加供給して重合することにより、上記の課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、(A)トリオキサン、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、及び(C)低分子量アセタール化合物(後記する式(1)で示される連鎖移動剤からなる群から選ばれる少なくとも1種)とを、(D)カチオン重合触媒を用いて塊状重合させポリアセタール樹脂を連続製造する方法において、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(C)低分子量アセタール化合物、及び(D)カチオン重合触媒とを混合した混合物を、(A)トリオキサンに添加供給して重合することを特徴とするポリアセタール樹脂の連続製造方法に関する。
【0008】
以下、本発明のポリアセタール樹脂の製造方法について説明する。
本発明のポリアセタール樹脂は、(A)トリオキサン、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、及び(C)低分子量アセタール化合物とを、(D)カチオン重合触媒を用いて塊状重合したものであり、ポリアセタール樹脂のコポリマーを主体とする。
その基本的な分子構造は、特に限定されず、分岐・架橋構造を有するもの、ブロック成分を導入したもの等も包含される。
また、その分子量、或いは溶融粘度は、溶融成形可能なものであればよく、何らこれらに限定されるものではない。
特に規定するならば、メルトインデックスが、0.1〜100g/10min(ASTM D1238に準拠)が好ましい。
メルトインデックスが、100g/10min超になれば機械的物性が著しく低下し、また0.1g/10min未満になれば樹脂の流動性が不良になる。
【0009】
本発明に使用する(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール、トリオキセパン、1,3−ジオキソラン等の環状ホルマール、又はこれらの混合物が挙げられる。
その中でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール又はこれらの混合物が好ましい。
【0010】
これら(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールの使用量は、成形品の剛性、耐薬品性等を考慮すると、(A)トリオキサンに対し、1種または2種以上の合計で0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。
(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールの使用量が、20重量%を超えると、成形品の剛性等の機械的強度や耐薬品性が低下し、また、0.1重量%未満になれば、樹脂の熱安定性が低下して好ましくない。
また、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、他の有機溶剤等で予め希釈して用いてもよい。
【0011】
(C)低分子量アセタール化合物としては、分子量を調節する働きを有し、不安定末端を形成することのない、例えば下記(1)式で示される連鎖移動剤、具体的には、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテルの如きアルコキシ基を有する化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。
R1−O-(-CH2O-)n-R2 (1)
(但し、R1及びR2は炭素数1〜20のアルキル基で、各々同一でも異なっていてもよく、nは1〜20の整数である。)
これら(C)低分子量アセタール化合物の使用量は、好ましくは、(A)トリオキサンに対し、1種または2種以上の合計で0.001〜0.5重量%である。また、低分子量アセタール化合物は他の有機溶剤等で予め希釈して用いてもよい。
(C)低分子量アセタール化合物の使用量が、0.5重量%超では、機械的物性が著しく低下し、また、0.001重量%未満では、樹脂の流動性が不良となって好ましくない。
【0012】
本発明の製造方法においては、上記成分の他に、分岐・架橋構造を形成しうる成分等の他の化学成分を併用することも可能である。
分岐・架橋構造を形成しうる成分としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン及びそのアルキレンオキシド付加体またはグリシジルエーテル等の誘導体、ペンタエリスリトール及びそのアルキレンオキシド付加体またはグリシジルエーテル等の誘導体等が挙げられる。
【0013】
分岐・架橋構造を形成しうる成分の使用量は、(A)トリオキサンに対して、0.3重量%以下、好ましくは、0.2重量%以下である。
これらの分岐・架橋構造を形成しうる成分は、(A)トリオキサン中に添加しても、また、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、或いは(C)低分子量アセタール化合物中に添加してもよく、また、他の有機溶剤等で、予め希釈して添加してもよい。
【0014】
本発明に使用する(D)カチオン重合触媒としては、四塩化鉛、四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三塩化バナジウム、三塩化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物、三フッ化ホウ素の1,3−ジオキソラン配位体等の三フッ化ホウ素配位化合物、過塩素酸、アセチルパークロレート、t−ブチルパークロレート、ヒドロキシ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の無機および有機酸、トリエチルオキソニウムテトラフロロボレート、トリフェニルメチルヘキサフロロアンチモネート、アリルジアゾニウムヘキサフロロホスフェート、アリルジアゾニウムテトラフロロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド等のアルキル金属塩、ヘテロポリ酸、イソポリ酸等が挙げられ、それらは1種または2種以上混合して使用してもよい。
【0015】
その中でも、特に三フッ化ホウ素、或いは、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物もしくは三フッ化ホウ素の1,3−ジオキソラン配位体等の三フッ化ホウ素配位化合物などが好ましい。
これらの(D)カチオン重合触媒は、そのままでも、有機溶剤等で予め希釈しても、或いは窒素等の不活性気体と混合して用いてもよく、その調製方法は特に限定されない。
これら(D)カチオン重合触媒の使用量は、好ましくは、(A)トリオキサンに対して1種または2種以上の合計で0.0001〜0.02重量%である。
(D)カチオン重合触媒の使用量が、0.02重量%超では、樹脂の熱安定性が低下し、また、0.0001重量%未満では、重合活性が著しく低下するので好ましくない。
【0016】
本発明のポリアセタール樹脂の製造は、上記の(A)トリオキサン、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、及び(C)低分子量アセタール化合物を、(D)カチオン重合触媒を用いて塊状重合させてポリアセタール樹脂を連続製造するに際し、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(C)低分子量アセタール化合物、及び(D)カチオン重合触媒とを一旦混合し、この混合物を(A)トリオキサンに添加供給して重合する。
【0017】
具体的な方法としては、下記の(イ)〜(ニ)等の方法が挙げられる。
(イ)(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(C)低分子量アセタール化合物と、(D)カチオン重合触媒とを、同時に混合した混合物を(A)トリオキサンに添加供給し重合する方法。
(ロ)(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(C)低分子量アセタール化合物を予め混合した後、これに更に(D)カチオン重合触媒を混合した混合物を、(A)トリオキサンに添加供給し重合する方法。
(ハ)(C)低分子量アセタール化合物と、(D)カチオン重合触媒を予め混合した後、これに更に、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールを混合した混合物を、(A)トリオキサンに添加供給し重合する方法。
(ニ)(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(D)カチオン重合触媒を予め混合した後、これに更に、(C)低分子量アセタール化合物を混合した混合物を、(A)トリオキサンに添加供給し重合する方法。
【0018】
その中でも特に、上記(ロ)および(ハ)の方法が、操作性及び効果の面で好ましい。
上記の操作方法において、(B)と(C)との混合、および、その混合物と (D)との混合、或いは(C)と(D)との混合、およびその混合物と(B)との混合、或いは(B)と(D)との混合、およびその混合物と(C)との混合、或いは、(B)と(C)と(D)との同時混合等において、各成分の混合方法は、従来公知の方法で行うことができ、これらに何ら限定されない。
【0019】
この様な混合方法としては、例えば、連続的に配管内で合流させ混合する方法、連続的に合流させ、更にスタティックミキサーにより混合する方法、撹拌機を備えた容器内で一旦混合した混合成分を供給する方法等が挙げられる。
また、上記の各成分の混合において、混合温度、混合時間は、特に限定されない。規定するならば、混合温度は−70〜150℃、好ましくは−50〜75℃である。また、混合時間は0.05〜1,200秒、好ましくは0.1〜600秒である。
また、上記の各成分の混合において、(C)低分子量アセタール化合物はその使用量の全量を用いてもよく、あるいは使用量の一部を使用し残りの量を(A)トリオキサンに添加してもよい。
【0020】
本発明では、上記方法により、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(D)重合触媒との接触部位に、固体状、或いは粘稠状の、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールの重合物、例えば、ポリジオキソラン等を生成するのを防ぎ、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、及び、(D)重合触媒の供給配管の閉塞を改善することができる。
また、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、及び(D)重合触媒の供給流量を安定化させるために、重合機のトルク変動等が無くなり、ポリアセタール樹脂を高い収率で、且つ工業的に長期間、安定して得ることができる。
上記方法で混合した(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、及び (C)低分子量アセタール化合物と、(D)カチオン重合触媒との混合物は、液状化した(A)トリオキサンに添加供給して塊状重合を行い、固体粉塊状のポリマーを生成する。
【0021】
トリオキサンヘの、混合物の添加供給方法としては、重合機内のトリオキサンヘ、これら混合物を供給する方法、混合物をトリオキサンで洗い流しながら重合機へ供給する方法、又は、混合物をトリオキサンで洗い流しながらスタティックミキサーで混合して重合機へ供給する方法等が例示される。
重合機としては、内部に2本の駆動軸を有し、駆動軸にスクリュー、パドル、円盤、ピン、羽根等の混合手段が直結された、ニーダー・コニーダー型重合機等が例示される。また、重合温度は、65〜135℃に保つことが好ましく、重合機滞留時間は0.2〜30分が好ましい。
【0022】
重合後の触媒の失活は、重合反応後、重合機より排出される反応生成物、あるいは、重合機中の反応生成物に、塩基性化合物又はその水溶液等を加えて行う。
重合触媒を中和し、失活するための塩基性化合物としては、例えば、アンモニア;トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン等のアミン類;アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩等;その他公知の触媒失活剤が用いられる。
かかる重合工程および失活処理の後、必要に応じて、更に、洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を、従来公知の方法にて行う。
【0023】
得られた粗ポリアセタール樹脂フレークは、更に、不安定末端部の分解除去、または、安定化物質による不安定末端の封止等、必要に応じて、公知の方法により安定化処理を行い、必要な各種安定剤を配合する。
ここで用いられる安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩等が挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を使用することができる。
更に、本発明を阻害しない限り、必要に応じて、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、例えば、染料または顔料等の着色剤、滑剤、核剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、或いは、有機高分子材料、無機または有機の繊維状、粉体状または板状の充填剤等を、1種または2種以上添加することができる。
【0024】
本発明のポリアセタール樹脂の製造方法により、ポリアセタール樹脂を高い収率で、工業的に長期間、安定して製造することができる。
また、本発明で得られたポリアセタール樹脂は、機械的性質、耐薬品性、摺動性等のバランスに優れ、また、成形加工性に優れることにより、射出成形品の他、押出成形品、ブロー成形品等の各種分野に利用でき、極めて有用である。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお本発明で、A物質のa重量%対トリオキサンという場合には、A物質/トリオキサンの重量比率がa重量%/100重量%であることを意味する。
(実施例1)
外側に熱(冷)媒を通すジャケットが設けられ、断面が2つの円が一部重なる形状を有するバレル(反応機胴体)と、該円の中心にそれぞれ回転軸を有する連続式混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸を、それぞれ逆方向に100rpmで回転させながら、反応機の一端に、トリオキサンを連続的に供給した。
続いて、同時に1,3−ジオキソラン3.5重量%を、メチラール0.1重量%(いずれも対トリオキサン)と連続的に配管内で合流させ混合し、これに更に、三フッ化ホウ素0.002重量%(対トリオキサン)を合流させ混合し、その混合物を−5℃に冷却して重合機中のトリオキサンに連続的に添加供給しながら、塊状重合を行った。
塊状重合の連続運転を600時間行ったが、配管内にポリジオキソランの生成は見られず、配管内の閉塞を防ぐことができた。
また、1,3−ジオキソラン、メチラール及び三フッ化ホウ素の供給流量は、常に一定値を示し、安定にポリアセタール樹脂を製造することが出来た。
重合機排出口から排出された反応生成物は、速やかに破砕機に通しながら、トリエチルアミンを0.05重量%含有する65℃の水溶液に加え、粒子に粉砕すると同時に触媒を失活した。
さらに、粉砕した粒子を分離、洗浄、乾燥してポリアセタール樹脂を得た。重合収率は供給原料に対し、84重量%と高い値を示した。
また、得られたポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、8.5g/min(190℃、以下同じ)であった。
【0026】
(実施例2)
実施例1と同様に、連続式混合反応機を用い、トリオキサンを連続的に供給した。続いて、同時にメチラール0.1重量%を、三フッ化ホウ素0.002重量%(いずれも対トリオキサン)と連続的に配管内で合流させ混合した。
これに、更に1,3−ジオキソラン3.5重量%(対トリオキサン)を、配管内で合流させ混合し、その混合物を−5℃に冷却して重合機中のトリオキサンに、連続的に添加供給しながら塊状重合を行った。
連続運転を600時間行ったが、配管内にポリジオキソランの生成は見られず、配管内の閉塞を防ぐことができた。
また、1,3−ジオキソラン、メチラール及び三フッ化ホウ素の供給流量は、常に一定値を示し、安定にポリアセタール樹脂を製造することが出来た。
実施例1と同様に後処理して、ポリアセタール樹脂を得た。重合収率は、供給原料に対し83重量%と高い値を示した。
また、得られたポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、8.6g/minであった。
【0027】
(実施例3)
実施例1と同様に、連続式混合反応機を用い、トリオキサンを連続的に供給した。続いて、同時に1,3−ジオキソラン3.5重量%、メチラール0.1重量%、及び、三フッ化ホウ素0.002重量%(いずれも対トリオキサン)とを、連続的に配管内で同時に合流させ混合した後、その混合物を−5℃に冷却して重合機中のトリオキサンに、連続的に添加供給しながら塊状重合を行った。
連続運転を300時間行ったが、配管内にポリジオキソランの生成は見られず、配管内の閉塞を防ぐことができた。
実施例1と同様に後処理して、ポリアセタール樹脂を得た。重合収率は、供給原料に対し80重量%と高い値を示した。
また、得られたポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、8.4g/minであった。
【0028】
(実施例4)
三フッ化ホウ素の代わりに、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートを0.006重量%(対トリオキサン)用いた以外は、実施例1と同様に塊状重合を行った。
連続運転を300時問行ったが、配管内にポリジオキソランの生成は見られず、配管内の閉塞を防ぐことができた。
実施例1と同様に後処理して、ポリアセタール樹脂を得た。重合収率は、供給原料に対し81重量%と高い値を示した。
また、得られたポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、9.0g/minであった。
【0029】
(実施例5)
1,3−ジオキソラン3.5重量%の代わりに、1,4−ブタンジオールホルマール4.2重量%(対トリオキサン)用いた以外は、実施例1と同様に塊状重合を行った。
連続運転を300時間行ったが、配管内にポリジオキソランの生成は見られず、配管内の閉塞を防ぐことができた。
実施例1と同様に後処理し、ポリアセタール樹脂を得た。重合収率は、供給原料に対し82重量%と高い値を示した。
また、得られたポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、9.3g/minであった。
【0030】
(実施例6)
メチラール0.1重量%の代わりに、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテル0.2重量%(対トリオキサン)用いた以外は、実施例1と同様に塊状重合を行った。
連続運転を300時間行ったが、配管内に発生するポリジオキソランの生成は見られず、配管内の閉塞を防ぐことができた。
実施例1と同様に後処理し、ポリアセタール樹脂を得た。重合収率は、供給原料に対し81重量%と高い値を示した。
また、得られたポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、9.1g/minであった。
【0031】
(比較例1)
実施例1と同様に、連続式混合反応機を用い、その一端にメチラール0.1重量%(対トリオキサン)を含有するトリオキサンを連続的に供給した。
続いて、同時に1,3−ジオキソラン3.5重量%を、三フッ化ホウ素0.002重量%(いずれも対トリオキサン)と、連続的に配管内で合流させ混合した後、その混合物を−5℃に冷却して重合機に連続的に添加供給しながら塊状重合を行った。
連続運転を60時間行ったが、三フッ化ホウ素の供給流量に乱れが生じ、更に重合機のトルク変動が生じた。配管内部を調べたところ、触媒供給口に、粘稠状のポリジオキソランの生成・付着が見られた。
なお、実施例1と同様に後処理し、ポリアセタール樹脂を得た。重合収率は、供給原料に対し80重量%であった。
また、得られたポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、8.6g/minであった。
【0032】
(比較例2)
実施例1と同様に、連続式混合反応機を用い、その一端に1,3−ジオキソラン3.5重量%及びメチラール0.1重量%(いずれも対トリオキサン)を添加合有するトリオキサンを連続的に供給した。
続いて、同時に、三フッ化ホウ素0.002重量%(対トリオキサン)を、重合機に連続的に添加供給しながら塊状重合を行った。
実施例1と同様に後処理し、ポリアセタール樹脂を得た。重合収率は、供給原料に対し73重量%と低い値であった。
また、得られたポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、9.0g/minであった。
【0033】
【発明の効果】
本発明のポリアセタール樹脂の製造方法により、ポリアセタール樹脂を高い収率で、工業的に長期間、安定して得ることができる。
Claims (6)
- (A)トリオキサン、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、及び(C)下記式(1)で示される連鎖移動剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の低分子量アセタール化合物を、(D)カチオン重合触媒を用いて塊状重合させてポリアセタール樹脂を連続製造する方法において、
(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマール、(C)低分子量アセタール化合物、及び(D)カチオン重合触媒とを混合した混合物を(A)トリオキサンに添加供給して重合することを特徴とするポリアセタール樹脂の連続製造方法。
R 1 −O -(- CH 2 O -) n - R 2 (1)
(但し、R 1 及びR 2 は炭素数1〜20のアルキル基で、各々同一でも異なっていてもよく、nは1〜20の整数である。) - (B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと(C)低分子量アセタール化合物を予め混合した後、これに更に(D)カチオン重合触媒を混合した混合物を、(A)トリオキサンに添加供給し重合することを特徴とする請求項1記載のポリアセタール樹脂の連続製造方法。
- (C)低分子量アセタール化合物と(D)カチオン重合触媒を予め混合した後、これに更に(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールを混合した混合物を、(A)トリオキサンに添加供給し重合することを特徴とする請求項1に記載のポリアセタール樹脂の連続製造方法。
- (D)カチオン重合触媒が、三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素配位化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアセタール樹脂の連続製造方法。
- (B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールが、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアセタール樹脂の連続製造方法。
- (C)低分子量アセタール化合物が、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール又はオキシメチレンジ−n−ブチルエーテルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアセタール樹脂の連続製造方法。
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JP07492098A JP3850546B2 (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | ポリアセタール樹脂の連続製造方法 |
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