JP3916779B2 - ポリアセタール樹脂の連続製造方法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂の連続製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアセタール樹脂の連続製造方法に関し、詳しくは、ポリアセタール樹脂を高い収率で、しかも工業的に長期間安定して連続製造することのできる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール樹脂は機械的性質、耐薬品性、摺動性等の特性間においてバランスに優れ、且つその加工が容易であることにより、代表的なエンジニアリングプラスチックとして、電気・電子機器部品、自動車部品、その他の各種機器部品を中心として広く利用されている。近年、このような利用範囲の拡大に伴い、当該樹脂に対する要求性能も高度化する一方、原材料としての樹脂の低コスト化の要求も高く、ポリアセタール樹脂を高収率で得る製造方法の開発が求められている。
特に重合機から排出される重合生成物中の未反応モノマーの割合を低減し、ポリマーの比率を高めることは、ポリマーの後処理操作及び未反応モノマーの回収操作の観点からポリアセタール樹脂の製造コストダウンに大きく関わっている。
【0003】
これまでに公知の技術として、原料モノマーや触媒の添加方法の改良が行われている。例えば、特公平8−30103号、特開平2−6529号、同4−65412号及び同4−65413号の各公報には、ポリアセタール樹脂を製造するに際し、予め環状エーテルと重合触媒とを混合した混合物を重合機に連続的に供給し、また、トリオキサンを別の配管より重合機に直接供給し、重合機中でトリオキサンと前記混合物を接触させ、混合して重合させ、ポリアセタール樹脂を製造する方法が開示されているが、このような従来の方法を用いる場合は、ポリアセタール樹脂の重合収率の改善は不充分であるのが現状である。
また、特公平4−59329号及び特公昭62−13368号の各公報には、トリオキサン、環状エーテル及び触媒の全てを予め一度に混合した後、重合機に供給する方法が開示されているが、この場合も同様にポリアセタール樹脂の重合収率の改善はほとんど期待できないのが現状である。
加えて、前記の各公報記載の従来技術全てに共通する大きな問題点は、混合配管内における環状エーテルやトリオキサンの異常な単独又は共重合による重合物の生成、付着に関する点であり、これらの生成物は原料モノマーや重合触媒の供給流量を不安定にし、また、供給配管を閉塞させる原因となり、ポリアセタール樹脂を高収率で工業的に長期間安定して連続製造することを困難にしていると言える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明はトリオキサン、環状エーテル及び/又は環状ホルマール、及び触媒を使用してポリアセタール樹脂を高収率で工業的に長期間安定して連続製造する方法を見出すことをその課題とするものであり、より具体的には、各種供給管内に発生する異常な重合物の生成を抑え、該供給管の閉塞の防止を図りながら、ポリアセタール樹脂を連続的に製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究をした結果、前記従来技術においては、各公報の記載から伺えるように、上記トリオキサン、環状エーテル及び重合触媒の供給時の混合方法、例えばトリオキサンと接触させる前に環状エーテルと重合触媒を予め混合する等の混合順序、混合操作条件等の概念については全く意識外にあり、しかも該混合方法自体の持つ特異点、重要性には着目されていないことを見出すに至り、意外にも、トリオキサン、環状エーテル及び/又は環状ホルマール及び重合触媒を用いた、塊状重合によるポリアセタール樹脂の連続製造においてはモノマー、コモノマー及び重合触媒の均一混合が重要であり、このためにはこれら各成分を重合機に供給する前にその混合条件を適切に調整して混合すること、例えばこれら各成分のうち、特定の成分を選択的に予め混合して後に全成分を混合する等の混合条件がポリアセタール樹脂の収率と深い関係があるという知見を得、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明の要旨は、以下の通りである。
第1の発明は、(A)トリオキサンと(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物を用いて塊状重合させてポリアセタール樹脂を連続的に製造するに際し、先ず(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物とを(A)トリオキサンと接触させる前に接触させ、その混合流の線速度が0.1m/秒以上となる条件下に混合時間0.1〜5秒で一旦混合した後、該混合物を更に(A)トリオキサンと接触させ、その混合流の線速度が0.3m/秒以上となる条件下に混合時間0.01〜5秒で混合し、続いて該混合物を重合機に供給して重合させるポリアセタール樹脂の連続製造方法に関する。
第2の発明は、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールが、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール及び1,4−ブタンジオールホルマールからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記第1の発明に記載のポリアセタール樹脂の連続製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリアセタール樹脂の連続製造方法について詳細に説明する。
本発明に係るポリアセタール樹脂は、(A)トリオキサンと(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを、(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物を用いて塊状重合させたポリアセタール共重合体を主成分とするが、その基本的な分子構造は特に限定されず、直鎖構造の他、分岐・架橋構造を有するもの、ブロック成分を導入したもの等も包含される。
また、その分子量或いは溶融粘度は、ポリアセタール樹脂が溶融成形可能であれば何ら限定されるものではないが、溶融成形性の指標となるメルトインデックス(MI)が0.1〜100g/10min(ASTM D1238に準拠)の範囲内のものが好ましい。
【0008】
本発明において使用される(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。その中でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールが共重合反応性とポリアセタール樹脂の熱安定性の点で好ましいが、特に1,3−ジオキソランが好ましい。
【0009】
本発明において使用される(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、その1種単独の使用の他、2種以上の組合せで使用することが可能であり、その使用量は得られるポリアセタール樹脂の剛性、耐薬品性等を考慮すると(A)トリオキサン100重量部に対して、上記1種又は2種以上の組合せに係る(B)成分を0.1〜20重量部の割合(以下、割合という語は省略する。)が好ましいが、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
なお、(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、不活性ガスと共に、又は他の有機溶剤等で希釈して用いてもよい。
【0010】
本発明に係る製造方法においては、(A)トリオキサン又は(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールのいずれかに予め、ポリアセタール樹脂の分子量を調整する成分、分岐構造又は架橋構造を形成しうる成分等の他の化学成分を添加併用することができるが、その場合、有機溶剤等で一旦希釈して添加、使用することも好ましい方法である。
分子量を調整する成分としては、不安定末端を形成することのない連鎖移動剤、例えばメチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテルの如きアルコキシ基を有する化合物が例示され、これらの化合物の1種又は2種以上を使用することができる。
これら分子量を調整する成分の使用量は、上述の1種又は2種以上併用の場合共に、(A)トリオキサン100重量部に対して、0.5重量部を超えないことが好ましい。
【0011】
また、上記分岐構造又は架橋構造を形成しうる成分としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン及びその誘導体、ペンタエリスリトール及びその誘導体等が挙げられる。
これら分岐構造又は架橋構造を形成しうる成分の使用量は、(A)トリオキサン100重量部に対して0.3重量部を超えないことが好ましい。
【0012】
本発明において使用される(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物は、ポリアセタール樹脂製造用カチオン重合触媒であり、これらの化合物としては、三フッ化ホウ素のほか、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物等が挙げられ、単独または組み合わせて使用される。単独使用の場合、三フッ化ホウ素が反応活性に優れるため特に好ましい。
【0013】
上記(C)成分の使用量は、トリオキサン100重量部に対して三フッ化ホウ素換算で0.0003〜0.006重量部が好ましいが、0.0005〜0.003重量部が特に好ましい。使用量が0.006重量部を超えると、後述する方法により(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと重合触媒の両供給流の接触、混合操作時に、該接触の起こり始める供給管内の所定の合流部位に重合物即ち(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールを成分とする重合物を生成し易く、供給管の閉塞を進め、供給流量の不安定化を来す原因になり易い。また、逆に0.0003重量部未満の場合には、ポリアセタール樹脂を高い収率で得ることが難しくなる傾向を示し、いずれの場合もポリアセタール樹脂を常に高い収率で長期間安定して連続製造することが困難になる。
【0014】
なお、(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物はその使用時に各種不活性流体で一旦希釈して供給するとも可能である。具体的には、三フッ化ホウ素を使用する場合は、窒素ガス等の不活性気体で希釈され、また、三フッ化ホウ素配位化合物を使用する場合は、不活性な有機溶剤で希釈されて使用されることが可能である。
これら希釈使用は、後述する(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの接触時にしばしば見られる該(B)成分の単独重合に基づく異常な副反応物の生成を防止するためである。
【0015】
次に本発明に係るポリアセタール樹脂の連続製造方法につい詳細に説明する。本発明に係るポリアセタール樹脂の連続製造方法の特徴は、前記(A)トリオキサンと(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを、(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物を用いて塊状重合させてポリアセタール樹脂を連続的に製造するに際し、先ず(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物とを(A)トリオキサンと接触させる前に接触させ、その混合流の線速度が0.1m/秒以上となる条件下に混合時間0.1〜5秒で一旦混合した後、該混合物を更に(A)トリオキサンと接触させ、その混合流の線速度が0.3m/秒以上となる条件下に混合時間0.01〜5秒で混合し、続いて該混合物を重合機に供給して重合させることにある。
【0016】
即ち、先ず(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物とを、(A)トリオキサンと接触させる前に一旦接触させ、混合流を作るが、該混合流の概念には前記2成分の接触後における混合の進行開始時点を含む全流れを含むものである。
【0017】
上記(B)及び(C)の両成分からなる混合流の線速度は0.1m/秒以上であることが必要であるが、0.3〜10m/秒の範囲が好ましい。
0.1m/秒未満では(B)成分と(C)成分との接触が起こる場所の供給管内面に(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールの重合物が生成し易く、生成すれば供給管の断面積を縮小して供給流量を不安定にし、更に進めば供給管を閉塞してしまうこともある。この重合に基づく閉塞の危険は前記線速度が0.1m/秒以上になれば起こりにくいため、一応安全ではあるが、0.3m/秒を超えるとほとんど発生しなくなる。
線速度は0.1m/秒以上である限り上記のごとく安全であるが、10m/秒を超えても本発明の効果を損なうものではないものの、高い線速度を発生させるための装置の設置が必要になり、この点、実用性に欠ける嫌いがある。
【0018】
更に上記2成分を混合するにあたり、その混合時間は0.1〜5秒とすることが必要である。
混合時間が0.1秒未満では上記(B)及び(C)の2成分の混合の程度が不充分であったり、混合物内の各成分の偏在を引き起こしたりするためか、ポリアタール樹脂を高い収率で得ることが難しくなる。逆に5秒を超えると前記線速度が低すぎる場合と同様に供給管内の所定の合流部分に(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールの重合物が生成し易く、その結果として供給管の断面積を縮小し、供給流量を不安定化を起こしつつ最後は供給管の閉塞に至ることもある。
【0019】
前記(B)及び(C)成分を含む混合流の温度は特に限定されないが、−20〜100℃の範囲に維持されていることが好ましい。−20℃未満では触媒の活性化機能が充分に発揮されないことがあり、逆に100℃を超えると該触媒の活性化が進み過ぎる場合があるほか、配管内の圧力が高くなる傾向が発現することがあるからである。
【0020】
次に、上記(B)及び(C)成分を含む混合物は、重合機に供給される前に更に(A)トリオキサンと混合される。先ず(B)及び(C)成分を含む混合物を(A)トリオキサンと接触させ、その混合流を作るが、該混合流の概念には前記接触後における混合の進行開始時点を含む全流れが含まれる。
(B)及び(C)成分を含む混合物と(A)トリオキサンを含む混合流は、線速度が0.3m/秒以上となる条件下に混合時間0.01〜5秒で混合し、得られた混合物を引き続き重合機に供給し、重合させる。
【0021】
(B)及び(C)成分の混合物と(A)トリオキサンとの接触後に得られた混合流の線速度は0.3m/秒以上であることが必要であるが、0.5〜10m/秒の範囲が特に好ましい。この場合、0.3m/秒未満では(B)及び(C)成分の混合物と(A)成分の接触が起こる場所の供給管内面にポリアタール樹脂が生成し易く、生成した場合は供給管の断面積を縮小して供給流量を不安定にし、生成が進めば該管のを閉塞してしまうこともある。該閉塞の問題は線速度は0.3m/秒以上である限り起こりにくいため安全であるが、0.5m/秒を超えるとほとんど発生しなくなる。また、線速度が0.3m/秒以上である限り、上記のごとく安全であり、10m/秒を超えても本発明の効果を損なうものではないが、高い線速度を発生させるための装置の設置が必要になり、この点、実用性に欠ける嫌いがある。
【0022】
上記のごとく、(B)及び(C)成分の混合物と(A)トリオキサンとの混合時間は0.01〜5秒である必要がある。
混合時間が0.01秒未満では上記各成分の混合の程度が不充分であったり、混合物中における各成分の偏在を引き起こしたりするためかポリアセタール樹脂を高い収率で得ることが難しくなる。逆に5秒を超えると前記線速度が低過ぎる場合と同様に供給管内の所定の合流部分にポリアセタール樹脂が生成し易く、生成した場合は供給管の断面積の縮小、供給流量の不安定化を起こすと共に、供給管の閉塞に至ることもある。
【0023】
更に、前記(B)及び(C)と(A)を含む混合流の温度は65〜125℃の範囲に維持されていることが好ましい。65℃未満では(A)トリオキサンの固化現象が見られはじめ、逆に125℃を超えるとポリアセタール樹脂を高い収率で得ることが難しくなる。
(A)、(B)及び(C)成分は上記の条件の下に接触、混合され、混合物として重合機に供給されて塊状重合が開始される。重合機内の原料混合物、反応中間物は65〜135℃の範囲に保つことが好ましい。
【0024】
所定の重合度に達した後、重合触媒を中和し、失活する必要がある場合は、重合機より排出された重合反応生成物又は重合機内の重合反応生成物に塩基性化合物又はその水溶液等を加えて触媒の失活を行うことができる。
ここに使用される失活剤としては通常、塩基性化合物であるアンモニアの他、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン等のアミン類、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が使用されるが、他の公知の触媒失活剤も使用することができる場合もある。
【0025】
更に重合反応物の不安定末端部の分解除去等、必要に応じて公知の方法にて安定化処理を行い、必要な各種安定剤が配合されて製品となる。ここで用いられる安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩等のいずれか1種又は2種以上を挙げることができる。
【0026】
なお、本発明に係る製造方法により得られるポリアセタール樹脂には、その特性を阻害しない限リ、必要に応じて、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、例えば染料、顔料等の着色剤、滑剤、核剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、或いは有機高分子材料、無機又は有機の繊維状、粉体状、板状の充填剤等の1種又は2種以上を添加することができる。
なお、前記のごとく重合後に安定化処理等、必要に応じて各種処理のされたポリアセタール樹脂は、更に必要な場合は洗浄、未反応モノマーの分離、乾燥等、従来公知の後処理に付すことができる。
【0027】
本発明の製造方法の実施に用いられる重合装置は、重合用原料の連続的処理、即ち供給、混合、塊状重合及び重合体の排出等の処理を連続的にできるものであれば特に限定されるものでない。例えばコニーダー、二軸スクリュウ式連続押出混合機、二軸パドルタイプの連続混合機、その他各種提案されている公知の、トリオキサン等の連続重合装置が使用できる。この場合、必要に応じて2つ以上の同種又は異種タイプの重合機を組み合わせて使用することもできる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
外側に熱(冷)媒を通すジャケットが付き、断面形状は2つの円が一部重なった形状であるバレルと、パドル付きの2本の回転軸で構成される連続式混合反応機(重合機)を用い、該2本の回転軸をそれぞれ異方向に50rpmで回転させた。
トリオキサン100重量部に対して3.2重量部に相当する量の1,3−ジオキソランと、0.002重量部に相当する三フッ化ホウ素とを供給管内で接触させ、その混合流の線速度を1.2m/秒としながら、トリオキサンと接触させる前に1.1秒間混合した後、該混合物をトリオキサンと接触させ、その混合流の線速度を2.2m/秒としながら0.3秒間混合し、続いて該混合物を上記の重合機に連続的に供給してカチオン塊状重合を連続的に行った。
連続運転を30時間行ったが、上記各原料又は混合物の供給管内にはポリジオキソランの生成もポリアセタール樹脂の生成も見られず、供給管内の閉塞は発生しなかった。また、1,3−ジオキソラン及び三フッ化ホウ素の供給流量は一定値を示し、安定的にポリアセタール樹脂を製造することができた。
更に、重合機の排出口から排出された反応生成物を分析したところ、粗ポリマーに対する純ポリマーの比率は99.5重量%と充分高い値を示した。
なお、ここで粗ポリマーとは重合反応生成物であって、未反応物その他を含むものをいい、純ポリマーとは粗ポリマー中のポリアセタール樹脂成分のみをいう。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様の重合機を用い、トリオキサン100重量部に対して3.2重量部に相当する量の1,3−ジオキソランと、0.002重量部に相当する三フッ化ホウ素とを供給管内で接触させ、その混合流の線速度を1.2m/秒としながら1.1秒間混合した後、該混合物を重合機に直接供給し、更にトリオキサンを別の供給管を用いて重合機に直接供給してカチオン塊状重合を連続的に行った。
重合機の排出口から排出された反応生成物を分析したところ、粗ポリマーに対する純ポリマーの比率は96.1重量%と低く、収率としては不充分な値を示した。
【0030】
(比較例2)
実施例1と同様の重合機を用い、トリオキサン100重量部と、該トリオキサンに対して3.2重量部に相当する1,3−ジオキソランとを予め混合した後、該混合物をトリオキサン100重量部に対して0.002重量部に相当する三フッ化ホウ素とを供給管内で接触させ、その混合流の線速度を2.2m/秒としながら、0.3秒間混合した後、該混合物を重合機に供給してカチオン塊状重合を連続的に行った。
重合機の排出口から排出された反応生成物を分析したところ、粗ポリマーに対する純ポリマーの比率は93.2重量%と低く、収率としては不充分な値を示した。
【0031】
(比較例3)
実施例1と同様の重合機を用い、トリオキサン100重量部に対して3.2重量部に相当する量の1,3−ジオキソランと、0.002重量部に相当する三フッ化ホウ素とを供給管内で接触させ、その混合流の線速度を1.2m/秒としながら、トリオキサンと接触する前に1.1秒間混合した後、該混合物を更にトリオキサン100重量部と接触させ、混合流の線速度を0.05m/秒としながら13.2秒間混合し、続いて該混合物を上記重合機に連続的に供給しながら、カチオン塊状重合を連続的に行った。
連続運転を0.1時間行ったところで、三フッ化ホウ素の供給流量が不安定となり、運転を中止した。供給管内を確認したところ、供給配管の内面の合流部位にポリアセタール樹脂の少量の生成は見られた。
【0032】
(比較例4)
実施例1と同様の重合機を用い、トリオキサン100重量部に対して3.2重量部に相当する量の1,3−ジオキソランと、0.002重量部に相当する三フッ化ホウ素とを供給管内で接触させ、その混合流の線速度を0.05m/秒としながら、トリオキサンと接触する前に48.4秒間混合した後、該混合物を更にトリオキサン100重量部と接触させ、混合流の線速度を2.2m/秒としながら、0.3秒間混合し、続いて該混合物を上記重合機に連続的に供給しながらカチオン塊状重合を連続的に行った。
連続運転を0.2時間行ったところで、三フッ化ホウ素の供給流量が不安定となり、運転を中止した。供給管内を確認したところ、配管内の1,3−ジオキソランと三フッ化ホウ素の合流部位にポリジオキソランの生成が見られた。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係るポリアセタール樹脂の連続製造方法においては、(A)、(B)及び(C)の各成分の混合を特定の混合条件下に行い、重合機に供給する方法をとることによりポリアセタール樹脂を高い収率で、工業的に長期間安定して得ることに成功した。
因みに従来公知の技術では(A)、(B)及び(C)の各成分を一度に混合して重合機に供給して重合したり、予め(B)と(C)との混合物を連続的に重合機に供給しながら、(A)を別の供給管から直接重合機に供給し、重合機中で両者を接触させ、混合して重合を行う方法であるが、前者の方法では混合時間が短い場合は不均一混合、触媒の不充分な活性化により、ポリアセタール樹脂の高収率化は難しく、逆に混合時間が長い場合は供給管中での重合体の生成、管の閉塞等の問題が起こりやすく共に好ましくない。後者の方法では、重合機中での両者の均一混合が不充分なまま重合が進行してしまうため、やはり高品質のポリアセタール樹脂を高収率で得ることは困難である。

Claims (2)

  1. (A)トリオキサンと(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物を用いて塊状重合させてポリアセタール樹脂を連続的に製造するに際し、先ず(B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールと(C)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素配位化合物とを(A)トリオキサンと接触させる前に接触させ、その混合流の線速度が0.1m/秒以上となる条件下に混合時間0.1〜5秒で一旦混合した後、該混合物を更に(A)トリオキサンと接触させ、その混合流の線速度が0.3m/秒以上となる条件下に混合時間0.01〜5秒で混合し、続いて該混合物を重合機に供給して重合させることを特徴とするポリアセタール樹脂の連続製造方法。
  2. (B)環状エーテル及び/又は環状ホルマールが、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール及び1,4−ブタンジオールホルマールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のポリアセタール樹脂の連続製造方法。
JP25951498A 1998-09-14 1998-09-14 ポリアセタール樹脂の連続製造方法 Expired - Fee Related JP3916779B2 (ja)

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