JP4169868B2 - ポリオキシメチレン共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主成分のオキシメチレン基と、立体障害性アミン基を分岐基として有する2価の有機基とを含む、耐候性及び耐光性(両者を併せて耐候(光)性と略す)の優れたポリオキシメチレン共重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、ポリオキシメチレン又はその共重合体(以下、前者をPOM、後者をPOM共重合体ということがある)は、機械的性質、電気的性質、耐薬品性等、優れた特性を有する他、これら物性間のバランスが良いエンジニアリングプラスチックであり、例えば、自動車部品、電気・電子機器部品、機械部品の構造材料等に広く利用されている。
【0003】
しかし、POM及びその共重合体共に、耐候(光)性においてやや劣り、特に着色品の場合は長期に日光に曝すと表面において重合体分子が光エネルギーにより切断される為、成形品の外観を低下させることもあり、さらに著しい場合には機械的強度低下を起こし実用に耐えなくなる場合もある。
そこで一般には、特開昭61−36339号公報記載の方法等により重合後、重合体にベンゾフェノン系又はベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤や、立体障害性アミン系光安定剤(HALS)等を配合して、その耐候(光)性を改良しようとしている。また、特開昭63−12617号公報には、HALSを重合触媒失活剤として添加し、製品の耐熱性(耐解重合性)を改善する方法も提案されている。更にPOM関連ではないが、公知文献(R.Mani, et al.,Polymer,38(7),1739(1997))では、分子量3000程度のポリイソプレンの末端にHALSを導入した高分子タイプの安定剤を合成し、それを安定化すべきポリイソプレンに添加した例も報告されている。
【0004】
しかし上記の如き、一旦生成したPOM等に各種安定剤その他を配合する従来の方法は、POM等への上記安定剤等の分散性に限界があり、安定剤等がミクロ的には不均一に存在するためか、高温下の成形加工とか厳しい耐候性試験等、苛酷な環境条件下では、その安定化効果は充分発揮されない。又、公知文献にあるポリイソプレンの例をPOMに応用する場合、比較的低分子量のPOMの末端にHALSを導入した安定剤を合成し、それを安定化すべきPOMに改めて混練する必要があり、操作が煩雑となり、工業的には好ましくない。
又、上記安定剤等の添加自体が本来物理的混合であるため、該安定剤等を添加したポリマー組成物を使用した場合、その使用条件によっては一部分離、滲出、飛散することもあり、例えば成形時に滲出して金型を汚染したり、成形品を高温で使用する場合にはその表面に滲出して該成形品の外観を悪化させる等の問題があり、改善が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明はPOM又はPOM共重合体に前記安定剤等を添加するという物理的混合に伴う種々の問題を解決したPOM共重合体及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題の解決を図るべく鋭意研究をした結果、ラジカル性光分解抑制機能を有するHALSを分岐基として有する共重合性有機基を、POMの主鎖中に化学的に導入したPOM共重合体は、立体障害性アミン基がポリマー鎖に化学的に結合しているため、HALSは分子レベルで均一に分散して存在し、POM共重合体が厳しい使用条件下におかれてもHALSの分離、凝集、滲出、放散等の不都合な現象は発生せず、極めて少量にて顕著な耐候(光)性、分解抑制効果等を発揮することの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明の要旨は以下の通りである。
第1の発明は、共重合体が共重合モノマーに基づく単位(A)及び(B)を主鎖構成成分として含み、単位(A)は下記オキシメチレン基であり、
−(CH2O)−
単位(B)は下記一般式(1)で示される立体障害性アミン基を有する2価の有機基であり、共重合比は、単位(A)に対する単位(B)が0.0001〜0.05モル%であるポリオキシメチレン共重合体に関する。
【0008】
【化4】
〔但し、Rは水素原子又はメチル基であり、Xは立体障害性アミン基を分岐基として有する、共重合体主鎖の一部を構成する3価の有機基である。〕
【0009】
第2の発明は、共重合体が単位(A)及び単位(B)に加え、更に共重合モノマーに基づく単位(C)をその主鎖構成成分として含み、単位(C)は下記オキシアルキレン基、
−〔(CH2)n−O〕−
〔但し、nは2〜4の整数〕
であり、共重合比は単位(A)に対する単位(C)が10モル%以下である上記第1の発明のポリオキシメチレン共重合体にある。
第3の発明は、分岐基を有する3価の有機基Xが、エーテル構造及びエステル構造の少なくとも1を含む有機基である上記第1又は第2の発明のポリオキシメチレン共重合体にある。
第4の発明は、共重合モノマーとしてトリオキサン及びホルムアルデヒドから選ばれる1の化合物(A')と、カチオン重合性官能基及びその分岐基である下記一般式(2)で示される立体障害性アミン基を有する化合物(B')を使用する重合反応系において、(B')の使用モル比は(A')の構成単位−CH2O−に対して0.0001〜0.05モル%であり、カチオン重合触媒の存在下で共重合することを特徴とするポリオキシメチレン共重合体の製造方法にある。
【0010】
【化5】
〔但し、Rは水素原子又はメチル基である。〕
【0011】
第5の発明は、(B')のカチオン重合性官能基がエーテル環及び/又はホルマール環である上記第4の発明のポリオキシメチレン共重合体の製造方法にある。
第6の発明は、(B')のカチオン重合性官能基がエポキシ環、ジオキソラン環又は1,3−ジオキサン環のいずれかを含有する上記第4の発明のポリオキシメチレン共重合体の製造方法にある。
第7の発明は、(B')が、下記式(3)又は(4)で示される化合物である上記第4の発明のポリオキシメチレン共重合体の製造方法にある。
【0012】
【化6】
【0013】
第8の発明は、(A')及び(B')に、更に(B')を構成するエーテル環又はホルマール環以外のエーテル環又はホルマール環を含有する化合物(C')を共重合モノマーとして加え、(C')の使用モル比は(A')の構成単位−CH2O−に対してに対して10モル%以下である上記第4〜第7の発明の何れかのボリオキシメチレン共重合体の製造方法にある。
第9の発明は、(C')に係るエーテル環又はホルマール環を含有する化合物が、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマールから選ばれた少なくとも一種である上記第8の発明のポリオキシメチレン共重合体の製造方法にある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容について詳述する。本発明に係るポリオキシメチレン共重合体は、共重合モノマーに基づく単位(A)及び(B)をその主鎖構成成分として含み、前者(A)は下記オキシメチレン基
−(CH2O)−
であり、後述の如くホルムアルデヒド、又はその環状三量体であるトリオキサンを原料主モノマーとし、次に詳説する単位(B)に係る原料モノマーとをカチオン重合触媒の存在下で共重合する場合に形成される単位である。
【0015】
本発明に係るポリオキシメチレン共重合体の他の主鎖構成成分単位(B)は、立体障害性アミン基を分岐基として有する前記一般式(1)で示される単位である。
該単位は、立体障害性アミン基を分岐基とする3価の有機基Xで主鎖の一部を構成している。
【0016】
かかる3価の有機基Xは特に限定するものではないが、一般にはオキシアルキレン基のようなエーテル構造を形成する基の他、エステル構造を形成する基、チオエーテル構造を形成する基、又はそれらの2種以上を含有する基が例示される。
【0017】
かかる共重合モノマーに基づく単位(B)は後述の重合法から明らかな如く、一般にPOMの共重合体の製造時に、その重合体分子中のランダムな位置に導入され、導入位置が均一に分布したと見なせるPOM共重合体が生成する。
本発明に係るPOM共重合体における共重合比は、単位(A)に対する単位(B)が0.0001〜0.05モル%であるが、好ましくは0.0005〜0.01モル%である。共重合モノマーに基づく単位(B)が0.05モル%を超えて過大になると、該単位(B)の由来となる原料を用いる重合時にカチオン重合触媒が失活され、その結果、製造工程において支障を来す。例えば重合速度、重合度、収率等の低下が発現する。又、0.0001モル%未満の過少の場合は、本来の目的とする耐候(光)安定性向上等の効果が得られないので好ましくない。
【0018】
次に本発明に係るPOM共重合体は、共重合モノマーに基づく単位(A)及び(B)に加え、更に他の共重合モノマーに基づく単位(C)を含有させることができる。該単位(C)は、POM共重合体の共重合成分として既に公知の化合物に由来して得られ、炭素−炭素結合を有するオキシアルキレン基、
−〔(CH2)n−O〕−
(但し、n=2〜4)
が一般に好ましものとして例示される。なお、このオキシアルキレン基の水素の一部は、前記一般式(2)で示される立体障害性アミン基以外の分岐基(置換基)で置換されていてもよい。
なお、上記オキシアルキレン基は、例えばエチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール等の環状エーテル化合物、環状ホルマール化合物の開環により生成する2価の有機基に相当する。
【0019】
かかる共重合モノマーに基づく単位(C)は、本願発明に係る改良されたPOM共重合体には必ずしも必要ではないが、該共重合体の安定性の向上、不安定末端部の減少等の見地から存在させることが好ましく、その含有量は、単位(A)に対して10モル%以下が好ましく、0.2〜7.0モル%がより好ましいが、特に0.3〜5.0モル%の範囲が好ましい。
【0020】
更に本発明のPOM共重合体には、単位(C)の一部として、1個のモノマーに二つの開環重合性官能基を有する共重合モノマーに基づく単位を使用することにより、分岐又は架橋構造を有するPOM共重合体も含まれる。
【0021】
本発明に係るPOM共重合体の主鎖の末端基は特に限定されるものではなく、任意の末端基を持たせることができるが、上記共重合体を得るための重合直後のものは、不安定なヘミアセタール末端(−OCH2OH)を比較的多く含むことが多く、通常、減圧下の溶融混練等の後処理により不安定な当該ヘミアセタール末端を除去し、例えば、−O−(CH2)n−OH(但し、n=2〜4)にすることができ、又アセチル化、エーテル化等により同様に安定化することができる。これら末端安定化処理のされたものは何れも、本発明に係るPOM共重合体の範囲に含まれる。
【0022】
又、本発明に係るPOM共重合体の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜300,000の範囲のものであるが、実用的には5,000〜200,000が好ましい。重量平均分子量が3,000未満の場合は機械物性が十分でない。
又、逆に300,000を超えると成形・加工性に困難を生じ、同様に好ましくない。
【0023】
次に本発明に係るPOM共重合体の製造方法について述べる。該共重合体は、その原料モノマーとしては、トリオキサン又はホルムアルデヒド(A')なる主モノマーと、カチオン重合性の官能基及びその分岐基である前記一般式(2)で示される立体障害性アミン基を有する化合物(B')なる共重合モノマーが通常使用される。
【0024】
主モノマーとしてはトリオキサンが代表的であり、最も好適である。トリオキサンを使用する場合、基本的には公知のトリオキサンの共重合法を準用することが出来る。以下、主にトリオキサンを用いる場合を例にして説明する。
本発明の特徴とする立体障害性アミン基を有する単位(B)を共重合体単位として導入するために用いるコモノマー(B')は、カチオン重合性の官能基及びその分岐基である前記一般式(2)で示される立体障害性アミン基を有する化合物であり、カチオン重合性の官能基としては、エーテル環及びホルマール環を含むものを代表例として挙げることができ、これらは併用してもよい。
【0025】
上記エーテル環の例としてはエポキシ環が代表的なものであり、又ホルマール環としては環を構成する部分の一部又は全部がアセタール結合を有する環状の官能基であり、トリオキサン環、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジオキサン環、トリオキセパン環、ジエチレングリコールホルマール環、1,4−ブタンジオールホルマール環等が挙げられる。中でもグリシジル基に係るエポキシ環及び、1,3−ジオキソラン環に係るホルマール環が最も好ましい。
これらの代表的なコモノマー(B')の例としては、前者については前記(3)式で、後者については前記(4)式でそれぞれ示される化合物が挙げられる。
【0026】
これらのコモノマー(B')は、例えば公知文献(Mani,Polymer,38(7),1739(1997))に記載されている方法、即ち、ピペリジン化合物とエピクロロヒドリンを反応させる方法に準じて調製することが出来る。かかる特定の環状官能基を有するコモノマー(B')を用いることにより、カチオン重合触媒の存在下で、トリオキサンと同様にそのエーテル環又はホルマール環に係る官能基が開環して重合し、共重合単位としてPOM中に導入される。
【0027】
POM共重合体中の単位(B)の含有量は、共重合に使用されるコモノマー(B')の使用量によって調節されることは当然であり、コモノマー(B')の使用量は主モノマーであるトリオキサン(A')の構成単位−CH2O−に対し0.0001〜0.05モル%、好ましくは0.0005〜0.01モル%である。もっとも、トリオキサンに対しては0.0003〜0.15モル%、好ましくは0.0015〜0.03モル%である。
上記のコモノマー(B')は、共重合反応に際して必ずしも全部共重合成分としてポリマー中に導入されるとは限らないが、一部未反応の形で残留していても、共重合体の使用上、特に支障はない。
【0028】
次に本発明に係るPOM共重合体の製造方法において、上記モノマー(A')及び(B')以外に更に他のコモノマー(C')を併用することができ、その場合は、コモノマーに基づく単位
−〔(CH2)n−O〕−
(但し、n=2〜4)
をPOM共重合体中に第3の共重合成分として導入することができる。
【0029】
かかるコモノマー(C')は炭素−炭素間結合を有するエーテル環又はホルマール環から成り、例えばエチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、トリオキセパン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール等の環状化合物が挙げられ、又、上記コモノマー(C')は、一般式(2)に係る基以外の置換基を分岐基として有していてもよい。
【0030】
コモノマー(C')の(A')に対する使用モル比は、(A')の種類(トリオキサン又はホルムアルデヒド)により変わるが、その構成単位−CH2O−に対して10モル%以下が好ましく、0.2〜7.0モル%がより好ましく、特に0.3〜5.0モル%の範囲が好ましい。
【0031】
又、本発明に係るPOM共重合体は、上記の(C')として開環反応性の環状官能基を2つ以上有する化合物、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル等を併用し、分岐又は架橋構造を有する改良されたPOM共重合体とすることも出来る。
【0032】
本発明に係るPOM共重合体は、上記モノマー(A')、(B')及び(C')を共存させ、カチオン重合触媒を用いて共重合することによって生成される。
カチオン重合触媒としては、一般にトリオキサンの重合に用いられる公知のカチオン重合触媒であれば何れにてもよく、例えばルイス酸、プロトン酸、プロトン酸のエステル、プロトン酸の無水物等を挙げることができる。
【0033】
ルイス酸としては殊にホウ素、スズ、チタン、リン、ヒ素又はアンチモン等のハロゲン化物が好ましいが、具体例としては三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、それらの錯化合物又は塩の如き化合物を挙げることができる。
プロトン酸としては、殊にトリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸を好ましい例として挙げることができ、プロトン酸のエステルとしては、パークロル酸と低級脂肪族アルコールとのエステルが代表的であり、具体例としてはパークロル酸三級ブチルエステルを挙げることができる。又、プロトン酸の無水物としては、特にパークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物が好ましく、具体例としてはアセチルパークロラートを挙げることができる。
【0034】
更に他の好ましい触媒として、イソポリ酸、ヘテロポリ酸(例えば、リンモリブデン酸)、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルメチルヘキサフルオロアルゼナート、アセチルヘキサフルオロボラート等も例示することができる。
上記のごとく各種触媒を列挙したが、中でも三フッ化ホウ素、或いは三フッ化ホウ素と有機化合物(例えばエーテル類)との配位化合物は、最も一般的なものであり、好適なものである。
【0035】
本発明に係るPOM共重合体の製造方法において使用される触媒の量は、全モノマーに対し、1×10-3〜2×10-1モル%が好ましい。また、反応阻害作用を有する不純物、例えば水、アルコール、酸(蟻酸等)等は実質上含まないことが好ましく、全モノマーに対して1×10-2モル%以下にすることが好ましい。
【0036】
本発明に係るPOM共重合体の製造方法により得られる共重合体の分子量は、重合反応時に使用される連鎖移動剤の量により調節可能である。連鎖移動剤としては低分子量の線状アセタール化合物、例えばメチラール等が代表的なものであるが、他の公知のトリオキサン重合における連鎖移動剤(分子量調節剤)も使用できる。
【0037】
本発明に係るPOM共重合体の製造は、トリオキサンの共重合に使用されている公知の設備及び方法が使用できる。即ち、バッチ式、連続式のいずれにても可能であり、又重合方法は溶液重合、溶融塊状重合等いずれのプロセスをも採ることができるが、液体モノマーを用い、重合の進行とともに固体粉塊状のポリマーを得る連続式塊状重合方法が工業的には一般的であり、より好ましい。なおこの場合、必要に応じて不活性液体媒体を共存させることもできる。
【0038】
連続重合装置としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機、その他これまでに提案されているトリオキサンの連続重合装置が使用可能で、密閉系であれば2段以上に分かれていてもよい。
これら連続重合装置としては、特に重合反応によって生成する固体重合物が微細な形態で得られるような破砕機能を備えたものが好ましい。
重合反応が完了し、重合機から排出される粗重合体は、次いで直ちに失活剤と混合接触させて重合触媒の失活化を行うことが好ましい。
【0039】
本発明に係る共重合反応後に、残存する重合触媒を失活させるための失活剤としては、塩基性化合物が最も好ましく使用されるが、該塩基性化合物としては、アンモニア;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物又はその塩類を例示することができる。なお、これらの他、公知の触媒失活剤も使用することができる。
【0040】
これらの触媒失活剤による触媒の失活処理方法としては、該失活剤を重合反応生成物の冷却用媒体、例えば、水の他、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の有機溶剤等に溶解させ、重合反応生成物の冷却と並行して、触媒との接触による中和処理が最も好ましい。
触媒失活剤の溶解、失活には、特に水を使用して水溶液としての中和処理が好ましい。なお、触媒失活剤の処理の際、必要に応じてPOM共重合体を粉砕し、微粉末として処理することが好ましい。
【0041】
上記重合触媒の失活処理を行ったPOM共重合体は、要すれば洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等の処理を行い、更に要すれば前述のような安定化処理工程を経て共重合体の安定化を図り、又、補助安定剤等の各種機能を付加する添加剤を加え、溶融混練し、ペレット化してPOM共重合体の粒状製品とされる。ここに補助安定剤としては、例えば立体障害性フェノール化合物等の酸化防止剤の他、アミジン化合物(メラミン、又はその誘導体、シアノグアニジン等)、ポリアミド等の窒素含有化合物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、無機又は有機酸塩(例えばカルボン酸塩)等を挙げることができ、後者は特に酸又はホルムアルデヒドの吸収剤等に使用されるが、要すれば二種以上組合せて用いることもできる。
【0042】
本発明に係るPOM共重合体は、光安定化剤を添加しなくてもそれ自体に該安定化機能を有する基が内在しており、添加混合に起因する弊害がないので有用である。又、必要に応じて他の公知のPOM重合体または共重合体との併用、或いは更にPOM以外の一般の熱可塑性樹脂と溶融混練することもでき、有用な組成物を得るために好適な共重合体である。
ここで、溶融混練に使用される他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、目的に応じて選択使用することができる。
【0043】
なお、本発明に係るPOM共重合体又はその組成物には、所望の特性を付与するため、公知の添加物、例えば潤滑剤、滑剤、核剤、染顔料等の着色剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤等を配合し得る。
又、諸性能の向上のため、ガラス繊維、炭素繊維、その他の無機又は有機系繊維製強化材の他、ガラスビーズ、ガラスフレーク、マイカ等の粉粒状、板状の充填剤も適宜配合することができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではないことは勿論である。
(実施例1〜6)
連続重合反応機としては、2つの円が一部重なったような内面形状の断面を有するシリンダーを有し、外壁は原料供給用ホッパー及び熱(冷)媒を通すジャケット付きのバレルで構成され、先端には重合反応物排出口が設けられ、シリンダー内には、所定の速度で回転できる2本の回転軸が設置され、該各回転軸には互いにかみ合う多数のパドルが設けられた連続混合、重合推進可能な反応機を用い、上記ジャケットに80℃の温水を通し、2本の回転軸を一定の速度で回転しつつ、ホッパーからは、共重合モノマー(B')(後記の式(5),(6)及び(7)で示された3種類の化合物を使用し、便宜上それぞれをB'-1,B'-2及びB'-3なる表示をした)及び(C')(後記の式(9)で示された化合物のジオキソランを使用し、便宜上C'なる表示をした)を表1に示したようにその種類及び使用比率を変えて加え、更にメチラール0.04モル%(トリオキサンに対する濃度)を添加溶解したトリオキサンを連続的に供給し、同時に同じホッパーから三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートのブチルエーテル溶液をモノマー全量に対して、三フッ化ホウ素に換算して100ppmとなるような速度で連続添加して共重合を行い、先端の重合反応物排出口から排出された重合反応混合物を、直ちにトリエチルアミン0.1%を含む水中へ投入してフレーク状に粉砕し、触媒の失活のために常温で一晩放置した。得られたポリマーフレークは遠心分離により液体又は小固形物を可及的に分離し、粗POM共重合体を回収し、更に70℃の温水で洗浄後、50℃で2日間乾燥を行った。
【0045】
(比較例1〜3)
カチオン重合性官能基とその分岐基としての立体障害性アミン基を有する化合物(B')を使用しない場合(比較例1)、及び(B')におけるカチオン重合性官能基を有しないが立体障害性アミン基を有する化合物(後記の式(8)で示される化合物であり、便宜上B'-4なる表示をした。三共(株)社製のサノールLS765を使用した。)を添加した場合(比較例3)について、その他の条件は実施例と同様にして重合反応を行った。又、実施例では共重合モノマーとして使用された(B'-1)に係る(B')を、過剰に添加した場合(比較例2)について、その他の条件は実施例と同様にして重合反応を行った。
結果は実施例と併せて表1に示した。
【0046】
【化7】
【0047】
又、得られたPOM共重合体の構造、特性値等の測定方法、表示内容は以下の通りである。
(a)重合収率:供給全モノマーに対する共重合体の重量%
(b)POM共重合体に係る単位(B)及び(C)の確認:得られたポリマーを1重量%のトリブチルアミンを含んだジメチルスルホキシドに加え、150℃で溶解し、多量のアセトン中に注いで再沈澱させた。得られた微粉状のポリマーをグラスフィルターで濾過して捕集し、アセトンで洗浄、40℃て送風乾燥、引き続き、80℃で真空乾燥を行って共重合体を単離精製した。この共重合体粉末を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、室温でNMR測定し、シグナルの面積比により単位(B)及び単位(C)の定量を行った。NMR装置はブルカー社製AC400P型装置を使用した。図1はその測定例である。
特に(B)の導入量が少ないと予想される場合は、以下の方法により共重合体を分解し、定量を行った。すなわち、この共重合体粉末の所定量をメタノールー濃塩酸(4:1)に加え、加熱分解し、60℃以下の留分を除去した(オキシメチレン単位はホルムアルデヒドに分解され、メチラールに転換して系外に除去された)。次いで、ナトリウムメチラートで中和し減圧乾固した残留物に、所定量の標準物質を加え重水素化アセトンに溶解し、NMRにより単位(B)及び単位(C)の夫々の含有量を算出し、共重合により導入された立体障害性アミン基に係る単位(B)及びエチレンオキシド基に係る単位(C)の量を求めた。
(C)重量平均分子量(Mw):上記精製ポリマーをへキサフルオロイソプロピルアルコールを移動相とし、GPC−LALLS法により求めた。
【0048】
次いで、これらの生成共重合体に、酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.1重量%加えてよく混合し、これをベント付の2軸押出機を用いて脱気しながら溶融混練を行い、POM共重合体の不安定部分を分解除去して安定化させ、ペレットを調製した(実施例1〜6、比較例1、3)。
【0049】
(比較例4)
POM共重合体製造に使用される化合物(B')を使用しない、前記比較例1のポリマーを用いて、溶融押出時に実施例2において共重合に使用した(B')に相当する量のコモノマー(B'-1)及び酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャリティーケミカルズ社製)を配合したペレットを同様な方法で調製した。
このペレットを用いて、射出成形機(東芝(株)製IS80)にて表2に示す条件で試験片を成形し、その際の金型表面のくもり具合から立体障害性アミンからなる化合物の滲出状態を比較した。
又、この成形試験片を130℃のオーブン中に50日間放置して成形品の表面状態を精査し、同様の滲出状態を比較した。
耐候性試験は、紫外線フェードメータ(スガ試験機(株)製、FAL−AU・H・B・Em型)を用いて、ブラックパネル温度83℃で紫外線を照射し、試験片表面のクラック発生の有無を10倍のルーペで観察し、初めてクラックの発生した時間をクラック発生時間として評価した。値が大きいほど良好であることを示す。結果を表3に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】
本発明に係るPOM共重合体は、耐候(光)性安定化機能を有する立体障害性アミン基を分岐基とする2価の官能性化合物単位構造がポリマー鎖中に導入され、直接化学的に結合し、分子レベルで均一と見なせる分布をしているため、立体障害性アミン化合物を安定剤として配合する従来法に比して、使用量としては少量にても充分な安定化機能を発揮し、又、後処理工程、成形加工、使用時において過酷な条件を採用しても、従来のようにそれ自体が分離、凝集、滲出、放散する等の不都合、例えば成形時に該安定剤が分離して金型表面に付着して金型を汚染したり、成形品を高温で使用してもそれが滲出して成形品の表面状態を悪化させるような不都合を大巾に改善することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3における1H−NMRスペクトルの一部であり、導入された化合物B'-1由来のシグナルを示している。なお、テトラメチルシランを基準に化学シフトを示している。
Claims (9)
- 共重合体が単位(A)及び単位(B)に加え、更に共重合モノマーに基づく単位(C)をその主鎖構成成分として含み、単位(C)は下記オキシアルキレン基、
−〔(CH2)n−O〕−
〔但し、nは2〜4の整数〕
であり、共重合比は単位(A)に対する単位(C)が10モル%以下である請求項1記載のポリオキシメチレン共重合体。 - 分岐基を有する3価の有機基Xが、エーテル構造及びエステル構造の少なくとも1を含む有機基である請求項1又は2記載のポリオキシメチレン共重合体。
- (B')のカチオン重合性官能基がエーテル環及び/又はホルマール環である請求項4記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- (B')のカチオン重合性官能基がエポキシ環、ジオキソラン環又は1,3−ジオキサン環のいずれかを含有する請求項4記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- (A')及び(B')に、更に(B')以外のエーテル環又はホルマール環を含有する化合物(C')を共重合モノマーとして加え、(C')の使用モル比は(A')の構成単位−CH2O−に対してに対して10モル%以下である請求項4〜7の何れかに記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- (C')に係るエーテル環又はホルマール環を含有する化合物が、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマールから選ばれた少なくとも1である請求項8記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
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