JP5908775B2 - ポリアセタール共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
環状エーテル及び/又は環状ホルマールの少なくとも一部と、重合触媒と、有機溶剤とを予め混合し、プレ混合物を得るプレ混合工程、並びに
前記プレ混合物と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの残部と、トリオキサンと、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給し、重合を行う工程を含み、
前記プレ混合物を含む原料の供給位置が重合反応機の前段であり、トリオキサンを含む原料の供給位置が重合反応機の後段である、ポリアセタール共重合体の製造方法。
〔2〕
前記プレ混合工程において、前記重合触媒と前記有機溶剤とを、15℃以上前記有機溶剤の沸点未満の温度条件下で混合する、前記〔1〕に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔3〕
前記重合触媒が、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチレエーテラート、及び三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔4〕
前記有機溶剤が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔5〕
前記低分子量アセタール化合物の重合反応機への供給方法が、下記(i)〜(iii)のいずれかの方法である、前記〔1〕乃至〔4〕いずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法;
(i)低分子量アセタール化合物の全量をトリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給する方法、
(ii)低分子量アセタール化合物の全量を前記プレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法、
(iii)低分子量アセタール化合物の一部をトリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給し、低分子量アセタール化合物の残部を前記プレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法。
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、
環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、重合触媒と、有機溶剤とを、予め混合し、プレ混合物を得るプレ混合工程、並びに
前記プレ混合物と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの残部と、トリオキサンと、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給し、重合を行う工程を含み、
前記プレ混合物を含む原料の供給位置が重合反応機の前段であり、トリオキサンを含む原料の供給位置が重合反応機の後段である、ポリアセタール共重合体の製造方法である。
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法において用いる材料について説明する。
トリオキサンとは、ホルムアルデヒドの環状3量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルマリン水溶液を反応させることにより得られる。このトリオキサンは、水、メタノール、蟻酸、蟻酸メチル等の連鎖移動させる不純物を含有している場合があるので、例えば蒸留等の方法でこれら不純物を除去精製することが好ましい。
環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、トリオキサンと共重合可能な成分である。環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、特に限定されないが、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクルロルヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキサタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。この中でも、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合触媒としては、特に限定されないが、具体的には、ルイス酸に代表されるホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモン化物が挙げられる。この中でも、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素系水和物、又は酸素原子若しくは硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましい。このような重合触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくともいずれかが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
低分子量アセタール化合物は、後述する重合反応工程において連鎖移動剤として機能するものであり、好ましくは分子量が200以下、より好ましくは60〜170のアセタール化合物である。このような低分子量アセタール化合物としては、特に限定されないが、具体的には、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラールを好適例として挙げることができる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、具体的には、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点110.63℃)、キシレン(沸点144℃)のような芳香族炭化水素;n−ヘキサン(沸点69℃)、n−ヘプタン(沸点98℃)、シクロヘキサン(沸点80.74℃)のような脂肪族炭化水素;クロロホルム(沸点61.2℃)、ジクロロメタン(沸点40℃)、四塩化炭素(沸点76.8℃)のようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル(沸点35℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、1,4−ジオキサン(沸点101.1℃)のようなエーテル類等が挙げられる。この中でも、特にタール状析出物の抑制の観点から、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態にポリアセタール共重合体の製造方法は、後述する重合反応工程の前に、前記環状エーテル及び/又は前記環状ホルマールとの少なくとも一部と、前記重合触媒と、前記有機溶剤とを、予め混合し、プレ混合物を得るプレ混合工程を含む。
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、前記プレ混合物と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの残部と、トリオキサンと、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給し、重合を行う工程(重合反応工程)を含む。
(i)低分子量アセタール化合物の全量を上記トリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給する方法、
(ii)低分子量アセタール化合物の全量をプレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法、
(iii)低分子量アセタール化合物の一部を上記トリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給し、低分子量アセタール化合物の残部をプレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法が好ましい。この中でも、特に均一に分散するという観点から、低分子量アセタール化合物の半量以上をトリオキサンに混合することが好ましい。
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、粗ポリアセタール共重合体中の重合触媒を失活する工程をさらに含むことが好ましい。重合触媒の失活方法としては、重合反応機から出た粗ポリアセタール共重合体を、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類;アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩類、有機酸塩等の中和失活剤の少なくとも1種を含む水溶液又は有機溶液中に投入し、スラリー状態で数分〜数時間、室温〜100℃以下の範囲で連続攪拌する方法が挙げられる。この際、粗ポリアセタール共重合体が大きな塊状の場合は重合後一旦粉砕して処理することが好ましい。
重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体の単位時間当りの排出量を、全モノマーの単位時間当りのフィード量で除した値の百分率(%)を、重合収率として算出した。なお、重合収率は重合開始から1時間後及び240時間後において算出した。
連続運転終了後の重合触媒と有機溶剤との混合液中のタール状析出物の状況を目視確認した。タール状析出物が少ないと運転が安定していることを示すものと判断した。
(タール状析出物の状況の評価基準)
「多」:タール状析出物が確認できた場合
「少」:多と微小の中間程度のタール状析出物が確認できた場合
「微少」:タール状析出物が確認できない場合
連続運転終了後の重合反応機を開放し、重合反応機供給部のスケール発生状況を目視確認した。該スケール発生状況を下記基準により評価した。スケールの発生が少ないと運転が安定していることを示すものと判断した。
(スケール発生状況の評価基準)
「多」:ポリマーの塊が付着していた場合
「少」:多と微小の中間程度のポリマーの塊が付着していた場合
「微少」:ポリマーの塊の付着がない場合
重合運転中に、鳴き音・異音の発生を10名で確認し、以下のように評価した。
鳴き音・異音が発生したと判定する人数が、0名の場合 :○
鳴き音・異音が発生したと判定する人数が、1名以上2名以下の場合:△
鳴き音・異音が発生したと判定する人数が、3名の以上場合 :×
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所性、径2B、L/D=14.8(L:重合反応機の前段の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)))を80℃に調整した。重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hr、有機溶剤としてシクロヘキサン(沸点:80.74℃)6.5g/hrを先ず温度28℃にて連続的に混合し、次に環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrを、温度25℃、混合時間2分にて連続的にプレ混合し、プレ混合物を得た。このプレ混合にはスタティックミキサーを用いた。
プレ混合物の組成比、低分子量アセタール化合物の添加量、及びプレ混合物とトリオキサンの重合反応機の供給位置を、下記表1に示すように変更した。その他の条件は実施例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。実施例2〜9の評価結果を下記表1に示す。
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所性、径2B、L/D=14.8(L:重合反応機の前段の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)))を80℃に調整した。低分子量アセタール化合物としてメチラール3.9g/hrと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrと、トリオキサン3500g/hrとからなるトリオキサン混合物を配管にて重合反応機の前段に連続的に供給した。また、前記トリオキサン混合物を供給している箇所からL/500後段に離れた重合反応機の箇所に 重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hrと、有機溶剤としてシクロヘキサン6.5g/hrとを温度25℃にて連続的に混合した混合物を配管にて連続的に供給し重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
混合物の組成比、及びそれぞれの混合物の重合反応機の供給位置を、下記表2に示す量に変更した。その他の条件は比較例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。評価結果を下記表2に示す。
トリオキサン混合物を供給している箇所とプレ混合物を供給している箇所を同じ箇所とした。その他の条件は実施例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。評価結果を下記表2に示す。
Claims (5)
- 環状エーテル及び/又は環状ホルマールの少なくとも一部と、重合触媒と、有機溶剤とを予め混合し、プレ混合物を得るプレ混合工程、並びに
前記プレ混合物と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの残部と、トリオキサンと、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給し、重合を行う工程を含み、
前記プレ混合物を含む原料の供給位置が重合反応機の前段であり、トリオキサンを含む原料の供給位置が重合反応機の後段である、ポリアセタール共重合体の製造方法。 - 前記プレ混合工程において、前記重合触媒と前記有機溶剤とを、15℃以上前記有機溶剤の沸点未満の温度条件下で混合する、請求項1に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- 前記重合触媒が、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチレエーテラート、及び三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- 前記有機溶剤が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- 前記低分子量アセタール化合物の重合反応機への供給方法が、下記(i)〜(iii)のいずれかの方法である、請求項1乃至4いずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法;
(i)低分子量アセタール化合物の全量をトリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給する方法、
(ii)低分子量アセタール化合物の全量を前記プレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法、
(iii)低分子量アセタール化合物の一部をトリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給し、低分子量アセタール化合物の残部を前記プレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法。
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