JP5908775B2 - ポリアセタール共重合体の製造方法 - Google Patents

ポリアセタール共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアセタール共重合体の製造方法に関する。
ポリアセタール共重合体は、剛性、強度、靭性、摺動性及びクリープ性等に優れた樹脂材料であり、自動車部品や電気・電子機器及び各種機構部品を中心に広範に亘って使用されている。
また、これら部品は重要な機構部品であることが多く、その品質安定化は重要である。そして、品質安定化のためには、ポリアセタール共重合体の重合の際、長期安定運転が望ましい。
従来、ポリアセタール共重合体の重合の際、長期安定運転の妨げになっていた原因としては、先ず、重合反応機供給部のスケール(ポリマー付着物)の発生により安定的な原料の供給ができなくなることが挙げられる。その結果、ポリアセタール共重合体の重合収率が低下することが挙げられる。一方で、重合時における鳴き音・異音低減による作業環境の改良が望まれつつある。
このようなスケールの発生を低減化する技術の一つとして、ポリアセタール共重合体を製造する際に使用される重合触媒の低減化が挙げられる。
ポリアセタール共重合体を製造する際に使用される重合触媒の低減化が可能な技術としては、例えば、環状エーテル及び/又は環状ホルマール、低分子量アセタール化合物、及び重合触媒を、予め混合し、トリオキサンに添加供給して重合する技術(例えば、特許文献1参照。)や、環状エーテル及び/又は環状ホルマール、重合触媒、及び有機溶剤を予め混合し、トリオキサンと接触させて重合する技術(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
いずれも高重合収率を達成するための技術であり、すなわち、重合触媒の低減化が可能な技術でもある。
特許第3850546号 特公平6−62730号公報
しかしながら、前記特許文献1及び2に開示されている技術をもってしても、重合反応機供給部のスケールの発生を、未だ十分に低減化できていない。また、特許文献1、2には重合時に、重合反応機が発する鳴き音・異音についての言及はなされていないが、作業環境の改良が望まれる。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、スケールの発生を低減して、ポリアセタール共重合体を高重合収率で長期間安定して連続生産することができ、かつ重合触媒の量が少なくても重合収率が維持でき、さらに重合反応機からの鳴き音・異音を低減したポリアセタール共重合体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、トリオキサンと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合するにあたり、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの少なくとも一部と重合触媒と有機溶剤とを予め混合したプレ混合物を含む原料を重合反応機の前段に供給し、トリオキサンを含む原料を重合反応機の後段に供給することにより、重合反応機供給部のスケールの発生が抑制され、重合反応機からの鳴き音・異音発生を抑制し、長期安定運転及び高重合収率化が可能となり、さらには重合触媒が少なくても重合収率を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
環状エーテル及び/又は環状ホルマールの少なくとも一部と、重合触媒と、有機溶剤とを予め混合し、プレ混合物を得るプレ混合工程、並びに
前記プレ混合物と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの残部と、トリオキサンと、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給し、重合を行う工程を含み、
前記プレ混合物を含む原料の供給位置が重合反応機の前段であり、トリオキサンを含む原料の供給位置が重合反応機の後段である、ポリアセタール共重合体の製造方法。
〔2〕
前記プレ混合工程において、前記重合触媒と前記有機溶剤とを、15℃以上前記有機溶剤の沸点未満の温度条件下で混合する、前記〔1〕に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔3〕
前記重合触媒が、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチレエーテラート、及び三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔4〕
前記有機溶剤が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔5〕
前記低分子量アセタール化合物の重合反応機への供給方法が、下記(i)〜(iii)のいずれかの方法である、前記〔1〕乃至〔4〕いずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法;
(i)低分子量アセタール化合物の全量をトリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給する方法、
(ii)低分子量アセタール化合物の全量を前記プレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法、
(iii)低分子量アセタール化合物の一部をトリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給し、低分子量アセタール化合物の残部を前記プレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法。
本発明によれば、ポリアセタール共重合体を製造する方法において、重合反応機供給部のスケールの発生が抑制され、また長期安定運転及び高重合収率化が可能となり、さらには重合触媒の量が少なくても重合収率が維持でき、重合反応機からの鳴き音・異音発生を抑制できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリアセタール共重合体の製造方法〕
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、
環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、重合触媒と、有機溶剤とを、予め混合し、プレ混合物を得るプレ混合工程、並びに
前記プレ混合物と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの残部と、トリオキサンと、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給し、重合を行う工程を含み、
前記プレ混合物を含む原料の供給位置が重合反応機の前段であり、トリオキサンを含む原料の供給位置が重合反応機の後段である、ポリアセタール共重合体の製造方法である。
(材料)
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法において用いる材料について説明する。
<トリオキサン>
トリオキサンとは、ホルムアルデヒドの環状3量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルマリン水溶液を反応させることにより得られる。このトリオキサンは、水、メタノール、蟻酸、蟻酸メチル等の連鎖移動させる不純物を含有している場合があるので、例えば蒸留等の方法でこれら不純物を除去精製することが好ましい。
その場合、連鎖移動させる不純物の合計量をトリオキサン1molに対して、1×10-3mol以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5×10-3mol以下とする。不純物の量を上記数値のように低減化することにより、重合反応速度を実用上十分に高めることができ、かつ優れた熱安定性を有するポリアセタール共重合体が得られる。
<環状エーテル及び/又は環状ホルマール>
環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、トリオキサンと共重合可能な成分である。環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、特に限定されないが、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクルロルヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキサタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。この中でも、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
環状エーテル及び/又は環状ホルマールの添加量は、トリオキサン1molに対して1〜20mol%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜15mol%であり、さらに好ましくは1〜10mol%であり、さらにより好ましくは1〜5mol%である。
<重合触媒>
重合触媒としては、特に限定されないが、具体的には、ルイス酸に代表されるホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモン化物が挙げられる。この中でも、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素系水和物、又は酸素原子若しくは硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましい。このような重合触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくともいずれかが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合触媒の添加量は、トリオキサン1molに対して0.1×10-5〜0.1×10-3molの範囲が好ましく、より好ましくは0.3×10-5〜0.5×10-4molの範囲であり、さらに好ましくは0.5×10-5〜0.4×10-4molの範囲である。重合触媒の添加量が前記範囲内であるとき、重合反応機の供給部におけるスケール発生量を低減化しながら、安定して長時間の重合反応を実施することができる。
<低分子量アセタール化合物>
低分子量アセタール化合物は、後述する重合反応工程において連鎖移動剤として機能するものであり、好ましくは分子量が200以下、より好ましくは60〜170のアセタール化合物である。このような低分子量アセタール化合物としては、特に限定されないが、具体的には、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラールを好適例として挙げることができる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
低分子量アセタール化合物の添加量は、ポリアセタール共重合体の分子量を好適な範囲に制御する観点からトリオキサン1molに対して0.1×10-4〜0.6×10-2molの範囲が好ましい。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、特に限定されないが、具体的には、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点110.63℃)、キシレン(沸点144℃)のような芳香族炭化水素;n−ヘキサン(沸点69℃)、n−ヘプタン(沸点98℃)、シクロヘキサン(沸点80.74℃)のような脂肪族炭化水素;クロロホルム(沸点61.2℃)、ジクロロメタン(沸点40℃)、四塩化炭素(沸点76.8℃)のようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル(沸点35℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、1,4−ジオキサン(沸点101.1℃)のようなエーテル類等が挙げられる。この中でも、特にタール状析出物の抑制の観点から、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の添加量は、トリオキサン1molに対して0.1×10-3〜0.2molの範囲が好ましく、より好ましくは0.2×10-3〜0.5×10-1molの範囲であり、さらに好ましくは0.5×10-3〜0.3×10-1molの範囲である。有機溶剤の添加量が前記範囲内であるとき、重合反応機の供給部におけるスケール発生量を低減化でき、かつ高収率でポリアセタール共重合体が得られる。
(プレ混合工程)
本実施形態にポリアセタール共重合体の製造方法は、後述する重合反応工程の前に、前記環状エーテル及び/又は前記環状ホルマールとの少なくとも一部と、前記重合触媒と、前記有機溶剤とを、予め混合し、プレ混合物を得るプレ混合工程を含む。
このプレ混合工程においては、まず重合触媒と有機溶剤とを混合し、次に環状エーテル及び/又は環状ホルマールを混合(以下、「プレ混合」とも記す。)することが好ましい。この際、環状エーテル及び/又は環状ホルマールは全量をプレ混合してもよいし、一部をプレ混合し残部をトリオキサン中に混合してもよい。この中でも、操作のしやすさの観点から、全量をプレ混合することが好ましい。
このような順序でプレ混合を行うことにより、プレ混合物の急激な粘性上昇を抑制でき、長期安定運転を確実に実施できる。この理由については以下のように考える。まず、有機溶剤は重合触媒と反応しないため粘性が上昇しないこと。次に、有機溶剤は、重合触媒と環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの反応を抑制する効果があること。これらの結果、先ず重合触媒と有機溶剤とを混合し、最後に環状エーテル及び/又は環状ホルマールを混合することにより、急激な粘性上昇を抑制できると考えられる。
また、重合触媒と有機溶剤とを混合する温度としては、好ましくは15℃以上から有機溶剤の沸点未満の範囲であり、より好ましくは25℃以上から有機溶剤の沸点未満の範囲であり、さらに好ましくは35度以上から有機溶剤の沸点未満の範囲である。15℃以上で混合することによりタール状析出物の発生を抑制でき、有機溶剤の沸点未満で混合することにより、有機溶剤の揮散を防止できる。
また、プレ混合工程後から後述する重合反応工程を行う重合反応機へ供給する間に、プレ混合物の均一化を維持するため、各原料を十分に混合することが好ましい。混合方法としては、例えば、各原料を連続的に配管内で合流させ混合させる方法、各原料を連続的に配管内で合流させ、その後スタティックミキサーにて混合させる方法、攪拌機を備えた容器内で各原料を混合させる方法等が挙げられる。この中でも、各原料を連続的に配管内で合流させ、その後スタティックミキサーにて混合させる方法が好ましい。
また、プレ混合工程を実施する温度としては0℃を超えて50℃未満の範囲が好ましい。前記温度範囲でプレ混合を実施することにより、低コストでの実施が可能になり、かつ粘度の急激な上昇を抑制し、長期安定運転が可能になる。
また、プレ混合工程を実施する時間としては、0.01〜120分間の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜60分間の範囲である。プレ混合時間を上記範囲内とすることにより、各原料が十分に混合され、かつ混合物の急激な粘度上昇が抑制され、長期安定運転が可能になる。
上記プレ混合工程により得られたプレ混合物と前記トリオキサンとを、後述する重合反応工程を実施する重合反応機へ供給する。
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、プレ混合物を含む原料を重合反応機の前段で供給し、トリオキサンを含む原料を重合反応機の後段で供給する。
そうすることで、重合反応機内でのスケールの発生を効果的に抑制でき、また重合反応の均一性が向上する。その上、重合反応が確実に重合反応機内で行なわれるようになり、さらに重合中の鳴き音・異音の発生が抑制され、長期安定した重合反応を実施することができる。
重合反応機において、トリオキサンを含む原料が供給される後段の位置については、プレ混合物を含む原料が供給される前段の位置から離れており、特に該前段と同じ箇所でなければよい。重合反応機の前段の原料供給口から排出口までの距離Lに対し、上述した後段と前段との距離は、L/100〜L/5の範囲であることが好ましく、十分な重合収率を確保しつつ、鳴き音・異音を抑制する観点から、L/80〜L/10の範囲が好ましく、L/50〜L/10の範囲がより好ましい。
(重合反応工程)
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、前記プレ混合物と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの残部と、トリオキサンと、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給し、重合を行う工程(重合反応工程)を含む。
また、本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法において、低分子量アセタール化合物の重合反応機への供給方法が、下記(i)〜(iii)のいずれかの方法であることが好ましい。
(i)低分子量アセタール化合物の全量を上記トリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給する方法、
(ii)低分子量アセタール化合物の全量をプレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法、
(iii)低分子量アセタール化合物の一部を上記トリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給し、低分子量アセタール化合物の残部をプレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法が好ましい。この中でも、特に均一に分散するという観点から、低分子量アセタール化合物の半量以上をトリオキサンに混合することが好ましい。
当該重合方法としては、スラリー法、塊状法、メルト法のいずれも採用できる。
また使用する重合反応機の形状(構造)も特に制限されるものではなく、ジャケットに熱媒を通すことのできる2軸のパドル式やスクリュー式の攪拌混合型重合装置がいずれも好適に使用される。
重合反応工程における重合反応機の温度は63〜135℃に保つことが好ましく、より好ましくは70〜120℃の範囲であり、さらに好ましくは70〜100℃の範囲である。重合反応機内の滞留(反応)時間は0.1〜30分であることが好ましく、より好ましくは0.1〜25分であり、さらに好ましくは0.1〜20分である。重合反応機の温度及び滞留時間が上記範囲内であれば安定した重合反応が継続される傾向にある。
上記重合反応工程により、粗ポリアセタール共重合体が得られる。
(重合触媒の失活工程)
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、粗ポリアセタール共重合体中の重合触媒を失活する工程をさらに含むことが好ましい。重合触媒の失活方法としては、重合反応機から出た粗ポリアセタール共重合体を、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類;アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩類、有機酸塩等の中和失活剤の少なくとも1種を含む水溶液又は有機溶液中に投入し、スラリー状態で数分〜数時間、室温〜100℃以下の範囲で連続攪拌する方法が挙げられる。この際、粗ポリアセタール共重合体が大きな塊状の場合は重合後一旦粉砕して処理することが好ましい。
重合触媒の失活後の水溶液又は有機溶液を、遠心分離機でろ過し、得られた固形分を窒素下で乾燥することにより、ポリアセタール共重合体が得られる。
また、本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法には、上記成分の他に、ブロック、分岐、架橋の構造を形成し得るその他の共重合体成分を併用することも当然可能である。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の用語及び特性の測定法は以下の通りとした。
<重合収率>
重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体の単位時間当りの排出量を、全モノマーの単位時間当りのフィード量で除した値の百分率(%)を、重合収率として算出した。なお、重合収率は重合開始から1時間後及び240時間後において算出した。
<重合触媒と有機溶剤との混合液中のタール状析出物の状況>
連続運転終了後の重合触媒と有機溶剤との混合液中のタール状析出物の状況を目視確認した。タール状析出物が少ないと運転が安定していることを示すものと判断した。
(タール状析出物の状況の評価基準)
「多」:タール状析出物が確認できた場合
「少」:多と微小の中間程度のタール状析出物が確認できた場合
「微少」:タール状析出物が確認できない場合
<重合反応機供給部のスケール発生状況>
連続運転終了後の重合反応機を開放し、重合反応機供給部のスケール発生状況を目視確認した。該スケール発生状況を下記基準により評価した。スケールの発生が少ないと運転が安定していることを示すものと判断した。
(スケール発生状況の評価基準)
「多」:ポリマーの塊が付着していた場合
「少」:多と微小の中間程度のポリマーの塊が付着していた場合
「微少」:ポリマーの塊の付着がない場合
<鳴き音・異音の判定>
重合運転中に、鳴き音・異音の発生を10名で確認し、以下のように評価した。
鳴き音・異音が発生したと判定する人数が、0名の場合 :○
鳴き音・異音が発生したと判定する人数が、1名以上2名以下の場合:△
鳴き音・異音が発生したと判定する人数が、3名の以上場合 :×
〔実施例1〕
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所性、径2B、L/D=14.8(L:重合反応機の前段の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)))を80℃に調整した。重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hr、有機溶剤としてシクロヘキサン(沸点:80.74℃)6.5g/hrを先ず温度28℃にて連続的に混合し、次に環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrを、温度25℃、混合時間2分にて連続的にプレ混合し、プレ混合物を得た。このプレ混合にはスタティックミキサーを用いた。
前記プレ混合物127.58g/hrを配管にて重合反応機の前段に連続的に供給した。また、プレ混合物を供給している箇所からL/10後段に離れた重合反応機の箇所に、トリオキサン3500g/hrと低分子量アセタール化合物としてメチラール3.9g/hrとからなるトリオキサン混合物を配管にて連続的に供給し、重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体を、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中にサンプリングし、その後常温で1hr攪拌を実施した。撹拌後の水溶液を、遠心分離機でろ過し、得られた固形分を窒素下で120℃で、3hr乾燥しポリアセタール共重合体を得た。
得られたポリアセタール共重合体の重合収率を重合開始1hr後及び240hr後に評価した。また、240hr運転後の重合触媒と有機溶剤の混合物中のタール状析出物の状況、及び重合反応機供給部のスケール状況を目視確認した。また、運転中に、鳴き音・異音の発生を確認した。評価結果を表1に示す。
〔実施例2〜9〕
プレ混合物の組成比、低分子量アセタール化合物の添加量、及びプレ混合物とトリオキサンの重合反応機の供給位置を、下記表1に示すように変更した。その他の条件は実施例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。実施例2〜9の評価結果を下記表1に示す。
〔比較例1〕
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所性、径2B、L/D=14.8(L:重合反応機の前段の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)))を80℃に調整した。低分子量アセタール化合物としてメチラール3.9g/hrと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrと、トリオキサン3500g/hrとからなるトリオキサン混合物を配管にて重合反応機の前段に連続的に供給した。また、前記トリオキサン混合物を供給している箇所からL/500後段に離れた重合反応機の箇所に 重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hrと、有機溶剤としてシクロヘキサン6.5g/hrとを温度25℃にて連続的に混合した混合物を配管にて連続的に供給し重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体を、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中にサンプリングし、その後常温で1hr攪拌を実施した後、遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃で3hr乾燥しポリアセタール共重合体を得た。
得られたポリアセタール共重合体の重合収率を重合開始1hr後と240hr後に評価した。また、240hr運転後の重合触媒と有機溶剤の混合物中のタール状析出物の状況、及び重合反応機供給部のスケール状況を目視確認した。また、運転中に、鳴き音・異音の発生を確認した。評価結果を表2に示す。
〔比較例2、3〕
混合物の組成比、及びそれぞれの混合物の重合反応機の供給位置を、下記表2に示す量に変更した。その他の条件は比較例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。評価結果を下記表2に示す。
〔比較例4〕
トリオキサン混合物を供給している箇所とプレ混合物を供給している箇所を同じ箇所とした。その他の条件は実施例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。評価結果を下記表2に示す。
下記表1及び表2においては、重合触媒、有機溶剤、低分子量アセタール化合物、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの使用量を、トリオキサンとのモル比(mol/mol)に換算して示した。
表1、2に示すように、実施例1〜9においては、長期間運転した後の重合反応機供給部のスケールが少なく、長期間安定的にポリアセタール共重合体を製造することができた。また、実施例3と比較例3との比較から、少ない重合触媒でも重合収率が維持されることが示された。
比較例1、2、3では、原料を、プレ混合工程を行わず別々に重合反応機に供給したため、重合反応機供給部のスケールが多くなり、長期安定運転が行われなかった。特に比較例1では途中で原料の供給が不安定となり、重合を240時間継続することが困難であった。また、それぞれ鳴き音・異音の発生が確認された。
比較例4では、供給工程で原料を同じ箇所から重合反応機に供給したため、重合反応機供給部のスケールが多くなり、かつ鳴き音・異音の発生が確認された。
本発明は、高重合収率で長期間安定してポリアセタール共重合体の製造が可能であり、かつ少ない重合触媒でも重合収率が維持できるポリアセタール共重合体の製造方法として、産業上の利用可能性がある。

Claims (5)

  1. 環状エーテル及び/又は環状ホルマールの少なくとも一部と、重合触媒と、有機溶剤とを予め混合し、プレ混合物を得るプレ混合工程、並びに
    前記プレ混合物と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールの残部と、トリオキサンと、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給し、重合を行う工程を含み、
    前記プレ混合物を含む原料の供給位置が重合反応機の前段であり、トリオキサンを含む原料の供給位置が重合反応機の後段である、ポリアセタール共重合体の製造方法。
  2. 前記プレ混合工程において、前記重合触媒と前記有機溶剤とを、15℃以上前記有機溶剤の沸点未満の温度条件下で混合する、請求項1に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  3. 前記重合触媒が、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチレエーテラート、及び三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  4. 前記有機溶剤が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  5. 前記低分子量アセタール化合物の重合反応機への供給方法が、下記(i)〜(iii)のいずれかの方法である、請求項1乃至4いずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法;
    (i)低分子量アセタール化合物の全量をトリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給する方法、
    (ii)低分子量アセタール化合物の全量を前記プレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法、
    (iii)低分子量アセタール化合物の一部をトリオキサンに混合して重合反応機の後段に供給し、低分子量アセタール化合物の残部を前記プレ混合物に混合して重合反応機の前段に供給する方法。
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