JP3849363B2 - 半導体チップのピックアップ方法 - Google Patents

半導体チップのピックアップ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェハから切り出されウェハシートに貼着された状態の半導体チップをピックアップする半導体チップのピックアップ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程において、半導体チップは多数の個片チップより成るウェハから切り出される。この個片チップの切り出しは、粘着性のウェハシートにウェハを貼着した状態で行われ、切り出された個片チップはウェハシートから剥ぎ取られてピックアップされる。このピックアップ工程では、個片チップはウェハシートの下面側からピンによって突き上げられた状態でピックアップヘッドによって保持される。このためピックアップ時にはピンによって正しく突き上げられるようピックアップ対象の半導体チップを精度よくピックアップ位置に位置合わせすることが求められる。従来よりこの位置合わせのための位置検出には画像認識が用いられ、ウェハシート上で撮像された取り込み画像を半導体チップのリファレンスパターンとパターンマッチングさせることにより半導体チップの位置検出を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ウェハ切断後にウェハシートを引き伸ばす際のウェハシートの伸び量のばらつきのため、ウェハシート上の各半導体チップの配列は必ずしも規則的な配列とはならずXY方向のみならずθ方向にも位置ずれしている。このため画像認識においてはこのθ方向を含めた位置ずれ検出を行う必要がある。ところが、このようなθ方向の位置ずれを含む対象画像をパターンマッチングする場合には、マッチング処理に先立ってリファレンスパターンと取り込み画像とのθ方向のずれ、すなわち回転角度を検出した上で両者の回転角度を合わせる処理を行った後に、位置検出のためのパターンマッチングを行う必要がある。この回転角度を合わせる処理には時間を要するため、各チップ毎にこのような処理を行う従来の半導体チップの位置検出では画像認識に長時間を要し、ピックアップ作業の効率向上が阻害される結果となっていた。
【0004】
そこで本発明は、画像認識時間を短縮して効率的なピックアップ作業を行うことができる半導体チップのピックアップ方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の半導体チップのピックアップ方法は、ウェハシートに所定パターンで貼着された半導体チップを撮像して得られた取り込み画像をリファレンスパターンとマッチングさせることにより前記半導体チップの位置を検出し、この位置検出結果に基づいて位置合わせを行った後に前記半導体チップをピックアップヘッドによってピックアップする半導体チップのピックアップ方法であって、前記ウェハシート上の半導体チップの位置検出を行う画像認識において、前記リファレンスパターンの基準となる基準パターンと前記取り込み画像とをマッチングさせて半導体チップの概回転角度を求める第1のマッチング工程と、前記基準パターンを前記概回転角度だけ回転させて得られる回転後パターンと前記取り込み画像とをマッチングさせて半導体チップの位置を検出する第2のマッチング工程とを含み、所定の半導体チップについては第1のマッチング工程に引き続いて第2のマッチング工程を行い、他の半導体チップについては第2のマッチング工程のみ行い、前記他の半導体チップについての第2のマッチング工程において、先行する半導体チップについて求められた回転角度を当該他の半導体チップの位置検出における概回転角度として用いるようにした。
【0006】
請求項2記載の半導体チップのピックアップ方法は、ウェハシートに所定パターンで貼着された半導体チップを撮像して得られた取り込み画像をリファレンスパターンとマッチングさせることにより前記半導体チップの位置を検出し、この位置検出結果に基づいて位置合わせを行った後に前記半導体チップをピックアップヘッドによってピックアップする半導体チップのピックアップ方法であって、前記ウェハシート上の半導体チップの位置検出を行う画像認識において、前記リファレンスパターンと前記取り込み画像とをマッチングさせて半導体チップの概回転角度を求める第1のマッチング工程と、前記取り込み画像を前記概回転角度だけ回転させて得られる回転後取り込み画像と前記リファレンスパターンとをマッチングさせて半導体チップの位置を検出する第2のマッチング工程とを含み、所定の半導体チップについては第1のマッチング工程に引き続いて第2のマッチング工程を行い、他の半導体チップについては第2のマッチング工程のみ行い、この前記他の半導体チップについての第2のマッチング工程において、先行する半導体チップについて求められた回転角度を当該他の半導体チップの位置検出における概回転角度として用いるようにした。
【0007】
本発明によれば、所定の半導体チップについてのみ、半導体チップの概回転角度を求める第1のマッチング工程とリファレンスパターンに引き続いて前記取り込み画像とを前記概略回転角度だけ相対的に回転させて相互の回転角度のずれを合わせた後にマッチングさせて半導体チップの位置を求める第2のマッチング工程を行い、他の半導体チップについては先行する半導体チップについて求められた回転角度を当該他の半導体チップの位置検出における概回転角度として用いて第2のマッチング工程のみを行うことにより、回転角度検出の処理時間を短縮して画像認識を効率化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の半導体チップのピックアップ装置の構成を示すブロック図、図2は同半導体チップのピックアップ装置の機能ブロック図、図3(a)は同ウェハシートの平面図、図3(b)は同ウェハシートの部分拡大図、図4、図5、図6は同半導体チップの画像認識による位置検出の説明図、図7、図8は同半導体チップのピックアップ方法のフロー図である。
【0009】
まず図1を参照して半導体チップのピックアップ装置の構成について説明する。図1においてチップ供給部1は、XYテーブル2に立設されたブラケット3上にウェハ保持テーブル4を結合して構成されている。ウェハ保持テーブル4には半導体チップ6(以下、単に「チップ6」と略記する)が所定パターンで多数貼着されたウェハシート5が装着されている。ウェハ保持テーブル4の下方にはエジェクタユニット7が配設されている。エジェクタユニット7のピン7aは、ピックアップヘッド8によるチップ6のピックアップ位置に位置合わせされており、ピン7aを上方に突出させることにより、ウェハシート5上のチップ6を突き上げる。
【0010】
チップ供給部1の上方には、移動テーブル9に装着されたピックアップヘッド8が水平動自在に配設されており、ピン7aによって突き上げられたチップ6はピックアップヘッド8のノズル8aによって真空吸着によりピックアップされる。ピックアップされたチップ6は移動テーブル9によって移動し、保持テーブル10に載置されたワーク11上に実装される。
【0011】
ウェハ保持テーブル4の上方には、カメラ13を備えた撮像部12が配設されている。撮像部12はウェハシート5上のチップ6を撮像し、撮像によって取得された画像データは画像認識部14に伝達される。画像認識部14は画像データを画像処理し、チップ6の位置、すなわちチップ6のXY方向の位置およびθ方向の回転角度を検出する。CPU15は全体制御部であり、画像認識部14の認識結果を受け取る他、以下に説明する各部を制御する。
【0012】
記憶部16は各部の動作に必要なプログラムや認識対象のチップ6のサイズやウェハシート5上での配列データ、およびパターンマッチング時のリファレンスパターンと取り込み画像との回転角度を合わせるための角度補正値などの各種データを記憶する。ピックアップヘッド駆動部17はピックアップヘッド8およびピックアップヘッド8を移動させる移動テーブル9を駆動する。エジェクタ駆動部18はエジェクタユニット7を駆動する。XYテーブル駆動部19はXYテーブル2を駆動する。表示モニタ20は撮像されたチップ6の画像や操作・入力時の画面を表示する。キー入力部35はキーボードなどの入力装置であり、操作入力やデータ入力を行う。
【0013】
次に図2を参照して半導体チップのピックアップ装置の処理機能について説明する。図2においてチップ配列状態データ記憶部29、角度補正値記憶部30は図1に示す記憶部16に対応するものであり、ピッチ送り処理部28および統計処理部31はCPU15によって行われる処理を示している。図2に示す鎖線枠内の各部は図1の画像認識部14の処理機能を示すものであり、以下各部を説明する。
【0014】
A/D変換部21はカメラ13によって取り込まれた画像データをA/D変換する。画像記憶部22はA/D変換された取り込み画像データを記憶する。チップ位置検出部23は画像記憶部22に記憶された画像とリファレンスパターンとをパターンマッチングすることにより、チップ6の位置を検出する。ここで、チップ6の位置とは、光学座標系でのチップ6の座標(X,Y)および直交座標軸に対するチップ6の回転方向の角度θ(以下、回転角度θと略称)をいう。位置検出結果のデータは、後述する出力対象の各部へ出力される。
【0015】
基準パターン記憶部24は、パターンマッチングに用いられるリファレンスパターンの基準パターンとなる画像パターンを記憶する(図4(b)参照)。基準パターン回転処理部25は、後述する角度補正値記憶部30に記憶されている角度補正値に基づいて基準パターン記憶部24に記憶されている基準パターンを角度補正値だけ回転させた回転後パターン(図6(b)参照)を作成する。回転後パターン記憶部26は、基準パターン回転処理部25によって回転処理されたリファレンスパターン(回転後パターン)を記憶する。これらの基準パターンや回転後パターンは、チップ位置検出部23によって行われる取り込み画像とのパターンマッチングに用いられる。
【0016】
チップ位置検出部23によって出力されるデータのうち、座標(X,Y)は位置ずれ補正処理部27に伝達され、ここで座標(X,Y)をチップ配列状態データ記憶部29に記憶されたチップ6の配列ピッチデータと比較することにより、直交軸方向の位置ずれ量Δx,Δyを求める演算が行われる。求められた位置ずれ量Δx,Δyは、ピックアップヘッド8によってウェハシート5上のチップ6をピックアップする際の位置ずれ補正量としてXYテーブル駆動部19に伝達される。また位置ずれ量Δx,Δyは統計処理部31にも伝達され、統計処理部31は過去に累積された位置ずれ量Δx,Δyのデータに基づき平均的な位置ずれ量の学習値を算出する。ここで求められた位置ずれ量の学習値はピッチ送り処理部28に送られ、ピッチ送り処理部28は、次ピックアップ対象のチップ6をカメラ13による撮像画面の中心に位置させるために必要なピッチ送り量を算出する。この演算は前述の学習値とチップ配列状態データ記憶部29に記憶されたチップ6の配列ピッチデータに基づいてCPU15により行われる。
【0017】
また、回転角度θはピックアップヘッド駆動部17に伝達され、ピックアップヘッド駆動部17によってピックアップヘッド8を駆動する際には、この回転角度θを補正してチップ6をピックアップする。また回転角度θは角度補正値記憶部30に伝達され、後述するように基準パターン記憶部24の基準パターンを回転させて角度補正を行う際の角度補正値として用いられる。さらに、回転角度θは統計処理部31にも伝達され、統計処理部31は過去に累積された回転角度θのデータに基づき平均的な回転角度θの学習値を算出する。ここで求められた回転角度θの学習値はピッチ送り処理部28に送られる。
【0018】
次に図3を参照して認識対象である半導体ウェハシート5について説明する。図3(a)に示すように、ウェハシート5には多数のチップ6が格子状に貼着されている。ウェハシート5の上部のチップ列に記載された番号(1,2,3・・・)は、チップ6をピックアップする際の順番を示しており、ピックアップヘッド8によってピックアップする際には、所定位置に設定される1番のチップ6を起点にして、この順番に従って順次隣接するチップ6をピックアップする。
【0019】
図3(b)はi番目にピックアップされるチップ6の近傍の部分拡大図であり、ウェハシート5がウェハ保持テーブル4に装着された状態を示している。この状態ではウェハシート5は引き延ばされ、各チップ6間には隙間が存在する。このとき、ウェハシート5の延び量は一定ではなく、したがって各チップ6の中心点Ciは必ずしも定ピッチで直線状に並んだ規則的な配列になるとは限らず、図3(b)に示すように各チップ6の直交座標軸に対する回転角度θは各チップ6によって異なったものとなっている。この場合においても、隣接するチップ6相互を取り出して比較すると、回転角度θi−1,θi,θi+1はわずかに異なるのみであり、ランダムなばらつきは存在しない。
【0020】
チップ6のピックアップに際しては、図3(b)に示す各チップ6の中心点Ciをピックアップヘッド8によるピックアップ位置に位置合わせするとともに、チップ6のワーク11への搭載に際しては、ピックアップヘッド8を回転させて各チップ6の回転角度θiの補正が行われる。したがって、チップ6のピックアップに際しては、各チップ6の中心点Ciの位置および回転角度θiを高精度で効率よく検出することが求められる。
【0021】
次に図4、図5を参照して、チップ6の画像認識による位置検出方法について説明する。画像認識によるチップの位置検出では、図4(a)に示すようにチップ6の対角に位置する2つのコーナ部の画像パターン(破線で示す矩形エリア6a,6b参照)をパターンマッチングの対象とし、各コーナ部の代表点A,Bを検出することにより、チップ6の位置および回転角度が求められる。この代表点A,Bは、矩形エリア6a,6bの面積重心点など、各コーナ部におけるチップ6の外形との相対的位置関係を特定することができる点に設定されるものである。
【0022】
図4(b)はこのパターンマッチングで用いられる2つのリファレンスパターンPa,Pbを示している。これらのリファレンスパターンPa,Pbは、チップ6のコーナ部の画像パターンa,b(矩形エリア6a,6bに対応する画像)がリファレンスパターンPa,Pbの枠に対して傾斜角度を有しない正しい角度で配置された基準パターンとなっている。各リファレンスパターンPa,Pb内には、代表点A1,B1が図4(a)に示す代表点A,Bに対応して設定されている。
【0023】
パターンマッチングによる位置検出に際しては、カメラ13によって取り込まれた取り込み画像をリファレンスパターンPa,Pbとパターンマッチングさせ、最も良好なマッチング結果を与える位置を特定する。図5(a)は取り込み画像中のチップ6の回転角度が存在しない状態でのリファレンスパターンPa,Pb(基準パターン)とのパターンマッチングを示している。図5(a)に示す状態で、取り込み画像から取り出された比較範囲Sa,Sbと画像パターンa,bとは最良のマッチング結果を与えている。したがって、このときの各リファレンスパターンPa,Pb内の代表点A1,B1を、各コーナ部の代表点A,Bとして置き換えることにより、各コーナ部の代表点A,Bの座標値(Xa,Ya)、(Xb,Yb)を特定することができる。そして、これらの座標値(Xa,Ya)、(Xb,Yb)より、チップ6の中心点C(X,Y)の位置が求められる。
【0024】
図5(b)は、取り込み画像中のチップ6が光学座標系の直交軸に対してθだけ傾斜した状態、すなわち回転角度を有する状態でのパターンマッチングを示している。この場合には、チップ6がθだけ回転した位置にあるため、矩形エリア6a,6bが画像パターンa,bと完全に重なるようなような形態で比較範囲Sa,Sbを取り出すことが出来ない。このため、パターンマッチングの結果として、図5(b)に示すような状態が最良のマッチング結果を与える。
【0025】
しかしながら、この状態で各リファレンスパターンPa,Pb内の代表点A1,B1を置き換えて得られる各コーナ部の代表点は、図5(a)に示す代表点A,Bとは異なり、各コーナ部におけるチップ6の外形との相対的位置関係が正しく保たれていない。したがって、ここで求められる各コーナ部の代表点(A1,B1より求められた代表点)に基づいて検出されたチップ6の中心点は正確なものではなく、またこれらの代表点より得られる回転角度(図5(a)に示す直線ABと図5(b)に示す直線A1B1の傾き角度の差を求めることにより得られる。−−図6(a)に示す角度α参照)も、チップ6の正しい回転角度θを示すものではない。すなわち、図5(b)に示すようなパターンマッチングの結果は、チップ6の大まかな位置データ(概位置と概回転角度)を与えるものであり、ここで行われるパターンマッチングは、リファレンスパターンと前記取り込み画像とをマッチングさせて半導体チップの概回転角度を求める第1のマッチング工程に相当する。
【0026】
次に、図6を参照してチップ6の回転角度による上述の位置検出誤差を減少させる角度補正について説明する。ここでは、リファレンスパターンと取り込み画像との相対的な回転角度を合わせることにより回転角度に起因する誤差を排除することが行われる。図6(a)は、図5(b)に示す処理と同様の第1のマッチング工程であり、このマッチング結果として、取り込み画像のチップ6の回転角度α(概回転角度)が検出される。
【0027】
次に、図6(b)に示すように、基準パターン記憶部24に記憶された基準パターンを回転角度αだけ回転させて得られる新たなリファレンスパターン、すなわち回転後パターンP1a,P1bが作成される。回転後パターンP1a,P1bは、基準パターンPa,Pbの中の画像パターンa,bを回転角度αだけ回転させた回転後画像a’,b’と置き換えたものものに相当する。A2,B2は回転後パターンP1a,P1b内に設定された代表点である。
【0028】
そして図6(c)で示す様に、この回転後パターンP1a,P1bを用いて取り込み画像とのパターンマッチングを行う。このパターンマッチングは、チップ6の位置、すなわち座標(X,Y)および回転角度θを求める第2のマッチング工程に相当し、リファレンスパターンと前記取り込み画像とを前記概回転角度だけ相対的に回転させて相互の回転角度のずれを合わせた状態でパターンマッチングが行われる。このようにして特定される代表点の位置は、図5(b)に示す状態と異なりチップ6の外形との相対的位置関係が正しく保たれており、したがって高精度の位置検出が行える。
【0029】
このように、回転方向に位置ずれを有するチップを対象として位置検出のための画像認識を行う場合は、1つのチップについて回転角度検出のための第1のパターンマッチングと、リファレンスパターンを回転処理した後の新たな回転後パターンを用いて行われる第2のパターンマッチングとの2通りのマッチング処理を必要とする。このため、各チップについてマッチング処理2回分に相当する画像認識時間を必要とすることから、チップのピックアップ作業の効率を向上させることが困難であった。
【0030】
そこで本実施の形態では、以下に説明するような方法を用い、チップのピックアップ作業における画像認識時間の短縮を図っている。以下、図7、図8のフローに従って説明する。図7のフローは、新たにウェハ保持テーブル4上にウェハシート5を装着した状態で、1番目のチップをピックアップする場合の処理を示すものである。
【0031】
まず、第1番目にピックアップすべきチップ6を撮像位置にピッチ送りする(ST1)。この1番目のチップ6はウェハシート5上で指定されたピックアップ開始位置(図3(a)に示す番号1のチップ)である。そして第1番目のチップ6が送られたならば、カメラ13によりチップ位置を撮像する(ST2)。そして取り込み画像をリファレンスパターン(基準パターン)とパターンマッチングさせる(第1のマッチング工程)ことにより、チップ6の画像の概回転角度αを求める(ST3)。次いで、基準パターン記憶部24に記憶された基準パターンを概回転角度αだけ回転させた回転後パターンを新たなリファレンスパターンとして作成し、回転後パターン記憶部26に記憶させる(ST4)。そして、この回転後パターンと画像記憶部22に記憶された取り込み画像とを、チップ位置検出部23によりパターンマッチングさせ(第2のマッチング工程)、チップ6の位置、すなわち座標(X,Y)と回転角度θとを求める(ST5)。そして、求められた回転角度θは、角度補正値記憶部30に記憶される。この回転角度θは、ピックアップヘッド8によってチップ6をワーク11に搭載する際の回転角度補正に用いられるとともに、後述する後続チップのパターンマッチングのためのリファレンスパターンの作成に使用される。
【0032】
つぎに、位置検出結果に基づいて位置ずれ補正処理部27で求められた位置ずれ量に基づいてXYテーブル2を駆動することにより、当該チップ6をピックアップ位置に位置合わせし(ST6)、次いでエジェクタユニット7のピン7aによってチップ6を突き上げた後、ピックアップヘッド8によりチップ6をピックアップし(ST7)、これにより1番目のチップのピックアップが終了する。この後、ピックアップヘッド8はワーク11の上方へ移動し、チップ6を搭載する。そしてこの搭載動作においてST5にて求められた回転角度θの補正が行われ、チップ6は正しい角度でワーク11に搭載される。
【0033】
この後、2番目以降のチップ6についてピックアップ動作および搭載動作が行われる。このときの処理について図8を参照して説明する。まず、先行チップの位置検出結果に基づいて、新たなリファレンスパターンが作成される。すなわち、基準パターン記憶部24に記憶された基準パターンを、先行する隣接チップ6の位置検出によって求められ、角度補正値記憶部30に記憶された回転角度θだけ回転させることによって、新たなリファレンスパターン(回転後パターン)を作成する(ST11)。この回転後パターンは、回転後パターン記憶部26に記憶される。そしてこの処理と平行してピックアップ対象の当該チップ6を撮像位置にピッチ送りする(ST12)。そしてカメラ13によりチップ位置を撮像し(ST13)、取り込み画像を回転後パターン記憶部26に記憶された回転後パターンとパターンマッチングさせることにより、チップ6の位置、すなわち座標(X,Y)と回転角度θとを求める(ST14)。そして、求められた回転角度θは、角度補正値記憶部30に記憶され、ピックアップヘッド8によってチップ6をワーク11に搭載する際の回転角度補正に用いられる。これ以降の処理については1番目のチップの場合と同様に、位置検出結果に基づいてチップ6をピックアップ位置に位置合わせし(ST15)、ピックアップヘッド8によりチップ6をピックアップして(ST16)、ピックアップ処理を終了する。
【0034】
このように、2番目以降のチップ6のピックアップに先立って行われる位置検出のための画像認識に際しては、先行する隣接チップの位置検出結果の回転角度θを後続チップの位置検出のための概回転角度として用いる。前述のように、隣接するチップ相互間については回転角度θに大きな差異がなく、したがって先行するチップの回転角度θを概回転角度として用いてもパターンマッチング結果に大きな誤差を与えることはない。このように、先行する隣接チップについて求められた回転角度θを当該チップの概回転角度として用いることにより、パターンマッチングの精度を維持しながら第1のマッチング工程を省略することができる。
【0035】
言い換えれば各ウェハシートの第1番目のチップ6や、ピックアップ動作を中断して途中で再開する際の最初のチップ6などの所定のチップ以外の大部分のチップ6については第1のマッチング工程を省略できるため、各チップ毎に第1のマッチング工程と第2のマッチング工程とを必要としていた従来の位置検出のための画像認識と比較して、画像認識に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0036】
(実施の形態2)
図9は本発明の実施の形態2の半導体チップのピックアップ装置の機能ブロック図、図10は同半導体チップの画像認識による位置検出の説明図である。前記実施の形態1では、概回転角度に基づいてリファレンスパターンと取り込み画像の回転角度を合わせる際にリファレンスパターンを回転させるようにしていたが、本実施の形態2では、取り込み画像を求められた概回転角度だけ回転させることにより、リファレンスパターンと取り込み画像の回転角度を合わせるようにしたものである。
【0037】
図9において、画像認識部14’以外の各機能は、実施の形態1において図2に示す各要素と同様であるので説明を省略する。図9において、A/D変換部21、画像記憶部22、チップ位置検出部23、基準パターン記憶部24は実施の形態1に示すものと同様である。本実施の形態2では、AD変換され画像記憶部22に記憶された取り込み画像は、チップ位置検出部23によるパターンマッチングの対象とされる前に、リファレンスパターンとの回転角度を合わせるために回転処理される。図10(a)において、チップ6の取り込み画像6A(実線で示す)を回転角度θ1だけ回転させて回転後取り込み画像6B(破線で示す)を作成する。
【0038】
この回転処理に用いられる回転角度θ1は、実施の形態1と同様に、1番目のチップなどの所定のチップについては基準パターンを用いて行う第1のマッチング工程によって求められた概回転角度α(図6(b)参照)であり、それ以外のチップについては、先行する隣接チップの位置検出のために行われる第2のマッチング工程によって求められ、角度補正値記憶部30に記憶された回転角度である。この回転処理は画像回転処理部32によって行われ、回転処理後の回転後取り込み画像は回転後画像記憶部33に記憶される。
【0039】
チップ位置検出部23でのパターンマッチングに際しては、図10(b)に示すように基準パターン記憶部24に記憶された基準パターンPa,Pbと回転後取り込み画像6Bとをマッチングさせる。このマッチング結果により、同様にチップ6の座標(X,Y)および回転後取り込み画像における回転角度θ2が検出される。
【0040】
ここで、画像認識部14’から回転角度θを出力する際には、当該取り込み画像を回転させた回転角度θ1とチップ位置検出部23によって求められた回転角度θ2とを加え合わせる加算処理が加算部34によって行われ、この加算された回転角度θ(=θ1+θ2)が実施の形態1における回転角度θに相当する。そして、検出された座標(X,Y)および回転角度θに基づいて、チップ6をピックアップする際の位置ずれ補正量演算が行われ、チップ6のワークへの搭載時の回転角度補正が行われる点については、実施の形態1と同様である。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、所定の半導体チップについてのみ半導体チップの概略回転角度を求める第1のマッチング工程と、リファレンスパターンと前記取り込み画像とを前記概略回転角度だけ相対的に回転させて相互の回転角度のずれを合わせた後にマッチングさせて半導体チップの位置を求める第2のマッチング工程とを行い、先行する半導体チップについて求められた回転角度を当該半導体チップの認識動作における概略回転角度として用いて第2のマッチング工程のみを行うことにより、回転角度検出の処理時間を短縮して画像認識を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体チップのピックアップ装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の半導体チップのピックアップ装置の機能ブロック図
【図3】(a)本発明の実施の形態1のウェハシートの平面図(b)本発明の実施の形態1のウェハシートの部分拡大図
【図4】本発明の実施の形態1の半導体チップの画像認識による位置検出の説明図
【図5】本発明の実施の形態1の半導体チップの画像認識による位置検出の説明図
【図6】本発明の実施の形態1の半導体チップの画像認識による位置検出の説明図
【図7】本発明の実施の形態1の半導体チップのピックアップ方法のフロー図
【図8】本発明の実施の形態1の半導体チップのピックアップ方法のフロー図
【図9】本発明の実施の形態2の半導体チップのピックアップ装置の機能ブロック図
【図10】本発明の実施の形態2の半導体チップの画像認識による位置検出の説明図
【符号の説明】
5 ウェハシート
6 チップ
8 ピックアップヘッド
13 カメラ
14 画像認識部
15 CPU
23 チップ位置検出部
24 基準パターン記憶部
25 基準パターン回転処理部
26 回転後パターン記憶部
32 画像回転処理部
33 回転後画像記憶部

Claims (2)

  1. ウェハシートに所定パターンで貼着された半導体チップを撮像して得られた取り込み画像をリファレンスパターンとマッチングさせることにより前記半導体チップの回転角度を含む位置を検出し、この位置検出結果に基づいて位置合わせを行った後に前記半導体チップをピックアップヘッドによってピックアップする半導体チップのピックアップ方法であって、前記ウェハシート上の半導体チップの位置検出を行う画像認識において、前記リファレンスパターンの基準となる基準パターンと前記取り込み画像とをマッチングさせて半導体チップの概回転角度を求める第1のマッチング工程と、前記基準パターンを前記概回転角度だけ回転させて得られる回転後パターンと前記取り込み画像とをマッチングさせて半導体チップの位置を検出する第2のマッチング工程とを含み、所定の半導体チップについては第1のマッチング工程に引き続いて第2のマッチング工程を行い、他の半導体チップについては第2のマッチング工程のみ行い、前記他の半導体チップについての第2のマッチング工程において、先行する半導体チップについて求められた回転角度を当該他の半導体チップの位置検出における概回転角度として用いることを特徴とする半導体チップのピックアップ方法。
  2. ウェハシートに所定パターンで貼着された半導体チップを撮像して得られた取り込み画像をリファレンスパターンとマッチングさせることにより前記半導体チップの回転角度を含む位置を検出し、この位置検出結果に基づいて位置合わせを行った後に前記半導体チップをピックアップヘッドによってピックアップする半導体チップのピックアップ方法であって、前記ウェハシート上の半導体チップの位置検出を行う画像認識において、前記リファレンスパターンと前記取り込み画像とをマッチングさせて半導体チップの概回転角度を求める第1のマッチング工程と、前記取り込み画像を前記概回転角度だけ回転させて得られる回転後取り込み画像と前記リファレンスパターンとをマッチングさせて半導体チップの位置を検出する第2のマッチング工程とを含み、所定の半導体チップについては第1のマッチング工程に引き続いて第2のマッチング工程を行い、他の半導体チップについては第2のマッチング工程のみ行い、この前記他の半導体チップについての第2のマッチング工程において、先行する半導体チップについて求められた回転角度を当該他の半導体チップの位置検出における概回転角度として用いることを特徴とする半導体チップのピックアップ方法。
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