JP3848861B2 - 尿受けパッド用陰茎固定具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、男性用尿受けパッドに対して陰茎を固定するための固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、男性用の尿受けパッドが用いられており、例えば、実用新案登録第3034664号がある。ここで、尿受けパッドには、尿受け紙おむつや失禁用パッドと称されるものも含み、例えば高齢者や肢体不自由な成人男性に利用されている。図7は、男性用尿受けパッドの従来例を示す図である。図7(a)は、概略的に示した尿受けパッドの一部切欠斜視図である。図示の尿受けパッドは、尿を貯蔵するべく厚手の吸湿性材料から作られる尿貯蔵体の外側を非透水性材料から作られる外袋で包み込むことにより形成される袋状本体107と、袋状本体107の内側に取り付けられる陰茎固定部101とを有する。陰茎固定部101に陰茎6を挿嵌することにより袋状本体107内に陰茎6を固定する。これにより、尿受けパッド装着中に頻繁に身体を動かしても正しい装着位置からずれないようにしている。図示の従来例の陰茎固定部101は、帯状部材の両端を袋状本体107の内側に固定することによりリング形状を形成する。図7(b)は、図7(a)の尿受けパッドにおける陰茎固定部101とその取り付け部分の断面図である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の男性用尿受けパッドの陰茎固定部は、図7の例のごとく尿受けパッド本体と一体化されている。例えば、帯状部材の両端をヒートシールや接着剤等により脱離不能に取り付けている。
【0004】
従って、尿受けパッドを交換する毎に固定部から陰茎を外し、新しい尿受けパッドの固定部に挿入しなければならない。
【0005】
また従来、上記例のような固定部を抑も具備しない、すなわち陰茎固定機能のない汎用的失禁パッド等も広く市販されている。
【0006】
以上の現状に鑑み本発明は、尿受けパッド交換毎に固定部から陰茎を取り外したり挿入したりする作業を排除し、かつ尿受けパッド内で陰茎を正しい位置に保持するための陰茎固定具を提供することを目的とする。
【0007】
加えて本発明は、陰茎固定部のない汎用的失禁パッド等と組み合わせて用いることによりそれらの失禁パッド等に対し陰茎固定機能を簡単に付与することができる陰茎固定具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するべく、本発明は、尿受けパッドに対して着脱可能な陰茎固定具を次の通り提供する。
(1)本発明による尿受けパッド用陰茎固定具は、尿受けパッドに対して陰茎を固定するべく、陰茎を挿嵌するための通気性を有するリング形状の筒状部材と、前記筒状部材の外面上に取り付けられ、尿受けパッドの表面の不織布と係合する特性を具備する、メカニカルファスナーの鉤部材を備えた止着部材とを有する。前記止着部材は前記尿受けパッドに対して着脱可能に係合することにより、前記陰茎が該尿受けパッド内で保持される。
【0009】
(2)好適例では、前記止着部材の陰茎挿嵌方向の長さが前記筒状部材の陰茎挿嵌方向の長さより小さい。
【0010】
(3)好適例では、前記筒状部材の陰茎挿嵌方向の両端部を折り返して前記止着部材の周縁の少なくとも一部を覆う。
【0011】
(4)好適例では、前記止着部材の展開時長手方向長さが前記筒状部材の展開時長手方向長さの10〜50%の範囲内である。
【0012】
(5)好適例では、前記筒状部材が非応力下における長さに対して1.2〜2.0倍の長さに伸縮可能である。
【0013】
(6)好適例では、前記筒状部材が液不透過性である。
【0014】
(7)好適例では、前記止着部材の前記尿受けパッドに対する係合力が20g以上である。
【0016】
【作用】
リング形状の筒状部材に陰茎を挿嵌した上で、袋状の尿受けパッドに挿入すると、筒状部材の外面上に取り付けられ、尿受けパッドの表面の不織布と係合する特性を具備する、メカニカルファスナーの鉤部材を備えた止着部材が尿受けパッドの内側の不織布と係合することにより陰茎が正しい位置に保持される。止着部材と尿受けパッドとの係合は着脱可能であるので、陰茎固定具を使用済みの尿受けパッドから取り外し、新たな尿受けパッドへ固定することができる。
【0017】
止着部材の陰茎挿嵌方向の長さを筒状部材の陰茎挿嵌方向の長さより小さくすることにより、止着部材の周縁が着用者の肌に直接触れ肌を傷つけることを防止する。
【0018】
筒状部材の陰茎挿嵌方向の両端部を折り返して止着部材の周縁近傍を覆うことによっても、止着部材の周縁が肌に直接触れることを防止する。
【0019】
止着部材の展開時長手方向長さが筒状部材の展開時長手方向長さの10〜50%の範囲内であることにより、止着部材の剛性により筒状部材の柔軟性、伸縮性が損なわれない。
【0020】
前記筒状部材が伸長倍率が1.2〜2.0倍の伸縮性シートで形成されることにより、陰茎の径サイズの変化や動きに対しても筒状部材がフィットした状態が維持される。
【0021】
筒状部材が液不透過性シートで形成されることにより、常に乾いた快適な状態が維持される。
【0022】
止着部材の尿受けパッドに対する係合力が20g以上であることにより、確実に陰茎を正しい位置に保持する。
【0023】
止着部材としてメカニカルファスナーを用いることにより、着脱の繰り返しに対する耐性が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る陰茎固定具1を示す外観斜視図である。陰茎固定具1は、筒状部材2と、筒状部材2に取り付けられた止着部材3とを有する。
【0025】
筒状部材2は、陰茎を挿嵌するためにリング状に形成され、伸縮性及び液不透過性をもつシートから作製される。伸縮性シートの例としては、ポイントボンド不織布、スルーエアー不織布、フィルム等に、糸ゴム、平ゴム等の弾性伸縮部材を張り合せたものや、伸縮性フィルムがある。目付は5〜30g/mである。さらに別の例では、1〜20Dtex、好ましくは2〜6Dtexの合成繊維からなり、目付が5〜200g/m、好ましくは15〜120g/mの伸縮性不織布がある。5g/m以下の厚さであると伸縮回復困難であり、200g/m以上の厚さであると風合いが低下することを考慮して設定される。
筒状部材は、伸長倍率が1.2〜2.0倍の伸縮性シートで形成することが好ましい。伸縮性があることで、尿の通過時の陰茎の径サイズの変化や装着者の動きにも柔軟に対応しフィット性を保つことができる。また、筒状部材を液不透過性シートで形成することで部材自体の濡れを防止し、常に乾いている快適さを維持できる。
【0026】
筒状部材2を形成するシートの別の例として、通気性のよい伸縮性ネットを用いることができる。例えば、多数の弾性糸を縦横に配置した碁盤状シートがある。この場合、縦横の弾性糸の交点を熱融着若しくは接着剤により接合する。別の例として弾性フィルムに多数の細かいスリットを設けて碁盤状としたものである。これらの碁盤状伸縮性ネットの糸の太さは0.1〜10mmが好ましく、この範囲よりも細いと伸度が低くなり、太すぎるとネットの隙間が狭くなり通気度が低下する。かかる場合の目付は1〜50g/mが好ましい。
【0027】
筒状部材2の外面上には、筒状部材2を尿受けパッドに対して着脱可能に止着するために少なくとも1つの止着部材3が設けられる。止着部材3は、尿受けパッドと係合することにより筒状部材2を尿受けパッドに固定させる。例えば、メカニカルファスナーのフック部材(鉤部材とループ部材とからなるメカニカルファスナーのうち鉤部材)が好適である。別の例として粘着剤でもよいが、着脱の繰り返しに対する耐久性はメカニカルファスナーの方が優れている。装着中における装着者の動きを考慮すると、止着部材の尿受けパッドの不織布への係合力は一定の強度が必要であり、例えば、20g以上であることが好ましい。しかしながら、止着部材の尿受けパッドへの係合力は、尿受けパッド交換時には容易に引き剥がし可能な程度である。
【0028】
図2は、図1に示す陰茎固定具1のA−A’断面図である。筒状部材2と止着部材3とは、接合部5において適宜の取付手段により互いに接合される。適宜の取付手段としては、ホットメルト接着剤、ヒートシール等がある。筒状部材の幅aは、通常、5mm≦a≦30mmである。また、筒状部材2の幅aと止着部材3の幅bとの関係はa≧bであり、望ましくはa>bである。すなわち、筒状部材2の幅よりも止着部材3の幅を小さくすることが好適である。止着部材3の幅が筒状部材2の幅より突出すると、比較的剛性のある止着部材3の周縁が肌に直接触れて装着者が痛みを覚えるおそれがあるからである。
【0029】
図3は、図1に示す陰茎固定具1を帯状に展開した図である。展開した帯状の筒状部材2の長手方向の長さ(すなわち筒状部材2の周囲の長さ)dと、止着部材3の長手方向の長さeの関係はd≧eであり、望ましくは、eはdの10〜50%の範囲内である(止着部材の形状に関わらず、筒状部材と同方向を「長手方向」及び「幅方向」と称することとする)。止着部材は、比較的剛性であるので、その取り付けられる長さeが長くなると筒状部材2の柔軟性が損なわれ硬くなり、装着時に違和感が増すためである。尚、止着部材3が1個ではなく複数に分割されて取り付けられる場合、eは各止着部材3の長さの和として評価する。止着部材3が複数である場合、各止着部材3の大きさ(長さ及び幅)はそれぞれ異なっていてもよい。複数の止着部材3が筒状部材2の外面上に適宜の間隔を空けて配置されていれば、装着者の動きにより陰茎が回転移動して1つの止着部材3がパッドから外れた場合にも直ちに別の止着部材3がパッドに係合することで、尿受けパッド内で常に正しい位置を保持することができる。
【0030】
図4は、本発明による陰茎固定具の実施例を示す図であり、図4(a)は、陰茎6を挿嵌した陰茎固定具1を尿受けパッド7に固定した状態を示す一部切欠斜視図である。装着の際には、陰茎6を陰茎固定具1の筒状部材に挿通した後、袋状の尿受けパッド7内へ挿入する。
【0031】
図4(b)は、図4(a)における陰茎固定具1の尿受けパッド7への固定部分の断面図である。筒状部材2の外面上に取り付けられた止着部材3が、尿受けパッド7の表面の不織布と係合する特性を具備することにより、陰茎6が尿受けパッド7内で不適切な方向へ移動することなく保持される。
【0032】
図5は、陰茎固定具1の筒状部材2と止着部材3の種々の実施例を示す図である。図5(a)は、筒状部材2が展開可能なベルト式の陰茎固定具1である。帯状の筒状部材2の外面に少なくとも1つの止着部材3を取り付ける。装着時には、帯状の筒状部材2を陰茎にベルト式に巻き付け、止着部材3で筒状に固定する。図示の例では、尿受けパッドへの固定は、筒状に固定した止着部材3の余った部分を利用して固定することが可能である。
【0033】
図5(b)は、ベルト式陰茎固定具1の別の実施例であり、複数の止着部材3が適宜の間隔を空けて筒状部材2の外面に配置されている。この場合、1つの止着部材3を利用して筒状に形成すると共に、別の止着部材3を利用して尿受けパッドへ固定する。図5のベルト式形態では、筒状部材2の径サイズの調整が簡便である。
【0034】
図6は、止着部材3の周縁の被覆処理例を示す図である。止着部材3は比較的剛性であるため、その周縁が露出していると肌に直接触れることがあり装着者が痛みを覚える。これを防ぐため、柔軟性のある筒状部材2を利用して止着部材3の周縁部分を覆うことが好ましい。図6(a)は、陰茎固定具1のリングを上方から見た平面図であるが、筒状部材2の長手方向の両端部2aの各々により止着部材3の長手方向の周縁近傍3aをそれぞれ覆っている。図示の例では、帯状の筒状部材2を2箇所の折返し部2bで折り返すことにより2層構造とし、各折返し部2bの近傍を適宜手段で接合することにより接合部2cを形成すると共に、両端2aの各々により止着部材3の周縁近傍3aをそれぞれ覆う。この場合、1枚の帯状の筒状部材2により実施することができる。尚、折返し部2bを設けることなく、複数枚の帯状の筒状部材2を用いて図示のように止着部材3の周縁近傍3aを被覆してもよい。
【0035】
図6(b)はさらに別の例であり、陰茎固定具1の斜視図である。筒状部材2の幅方向の両端部2dを各々折り返すことにより止着部材3の幅方向の周縁近傍3aをそれぞれ覆っている。
【0036】
【発明の効果】
以上の通り、本発明による陰茎固定具は、尿受けパッドに永続的に固定されたものではなく、陰茎に直接装着して止着部材により尿受けパッドへ固定しかつ着脱容易であるので、尿受けパッドの交換の際には尿受けパッドのみを交換すればよい。また、汎用的失禁パッドへも止着することが可能であり、組み合わせて用いることができる。
【0037】
従来の帯部材による固定手段と異なり、本発明では陰茎の周囲全体を筒状に巻いて保持するので、装着者の動きによっても尿受けパッド内の正しい位置が失われない。
【0038】
これらにより、介護の作業性の向上、負担の軽減、装着時の快適さの向上、汎用性の確保、コスト低減等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る陰茎固定具1を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す陰茎固定具1のA−A’断面図である。
【図3】図1に示す陰茎固定具1を帯状に展開した図である。
【図4】本発明による陰茎固定具の実施例を示す図であり、(a)は陰茎固定具を尿受けパッドに固定した状態を示す一部切欠斜視図であり、(b)は、(a)における陰茎固定具の尿受けパッドへの固定部分の断面図である。
【図5】陰茎固定具の筒状部材と止着部材の種々の実施例を示す図である。
【図6】止着部材の周縁の被覆例を示す図である。
【図7】従来の男性用尿受けパッドの例を示す図であり、(a)は、尿受けパッドの一部切欠斜視図である。(b)は、(a)における陰茎固定部とその取り付け部分の断面図である。
【符号の説明】
1 陰茎固定具
2 筒状部材
3 止着部材
5 接合部
6 陰茎
7、107 尿受けパッド
101 陰茎固定部

Claims (7)

  1. 尿受けパッドに対して陰茎を固定するための陰茎固定具において、
    陰茎を挿嵌するための通気性を有するリング形状の筒状部材と、
    前記筒状部材の外面上に取り付けられ、尿受けパッドの表面の不織布と係合する特性を具備する、メカニカルファスナーの鉤部材を備えた止着部材とを有し、
    前記止着部材は前記尿受けパッドに対して着脱可能に係合することにより、前記陰茎が該尿受けパッド内で保持されることを特徴とする尿受けパッド用陰茎固定具。
  2. 前記止着部材の陰茎挿嵌方向の長さが前記筒状部材の陰茎挿嵌方向の長さより小さいことを特徴とする請求項1に記載の尿受けパッド用陰茎固定具。
  3. 前記筒状部材の陰茎挿嵌方向の両端部を折り返して前記止着部材の周縁の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項1又は2に記載の尿受けパッド用陰茎固定具。
  4. 前記止着部材の展開時長手方向長さが前記筒状部材の展開時長手方向長さの10〜50%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の尿受けパッド用陰茎固定具。
  5. 前記筒状部材が、伸長倍率が1.2〜2.0倍の伸縮性シートで形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の尿受けパッド用陰茎固定具。
  6. 前記筒状部材が液不透過性シートで形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の尿受けパッド用陰茎固定具。
  7. 前記止着部材の前記尿受けパッドに対する係合力が20g以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の尿受けパッド用陰茎固定具。
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