JP3848540B2 - パラペットの防水構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨系住宅におけるパラペットの防水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数個の中空部が上下方向に貫通して形成されるとともに、裏面側の所定位置にナット金具が予め配設された押出成形セメント板からなる外壁パネルが知られている。このような外壁パネルを用いて鉄骨系住宅の外壁を形成する場合、下階の鉄骨梁に下部取付部材を固定するとともに、上階の鉄骨梁に上部取付部材を固定し、外壁パネルを下部取付部材および上部取付部材にわたって固定するようにしている(例えば、出願人の出願に係る特開2000−87483号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最上階の外壁パネルについては、最上階の鉄骨梁の上方に延設されてパラペットに形成されている。この場合、屋上を防水するため、防水シートを屋上の床下地材と外壁パネルにわたって貼着するともに、外壁パネルの上端面にパラペット笠木を取り付けて防水するようにしている。このため、パラペット笠木および該パラペット笠木を取り付けるための部品やその前作業が必要となり、作業が複雑になるとともに、コストがかさむという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、パラペットを含む屋上の防水施工を簡単かつ安価に行うことのできるパラペットの防水構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、最上階の鉄骨梁を越えて上方に延設された外壁パネルと、外壁パネルの上端面および裏面上端縁部を覆って固定されたパラペット防水下地レールと、外壁パネルの表面上端縁部およびパラペット防水下地レールにおける外壁パネルの上端面側を覆って固定された笠木鋼板と、屋上の床下地材上に敷設されて側端面が外壁パネルの裏面に突き合わされた断熱材と、外壁パネルと断熱材との隅角部もしくは外壁パネルと断熱材上に敷設されて側端面が外壁パネルの裏面に突き合わされた不燃ボードとの隅角部に配設された補強鋼板と、断熱材もしくは不燃ボード上に敷設され、断熱材もしくは不燃ボードの側端縁を越えた延長部を有する防水シートと、から構成され、防水シートが補強鋼板に溶着されてその延長部が外壁パネルの裏面に沿って立ち上げられるとともに、防水下地レールおよび笠木鋼板における外壁パネルの上端面側を覆って笠木鋼板に溶着されていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明によれば、外壁パネルの上端部にパラペット防水下地レールおよび笠木鋼板を固定するとともに、屋上の床下地材上に断熱材を敷設し、外壁パネルと断熱材との隅角部または外壁パネルと断熱材上に敷設された不燃ボードとの隅角部に補強鋼板を配設し、防水シートを断熱材もしくは不燃ボード上に敷設して補強鋼板に溶着し、防水シートの延長部を外壁パネルの裏面に沿って立ち上げるとともに、パラペット防水下地レールおよび笠木鋼板まで巻き回して笠木鋼板に溶着するという簡単な作業により、パラペット笠木などを用いることなくパラペットを含む屋上の防水施工を行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパラペットの防水構造の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0008】
図1には、本発明のパラペットの防水構造の一実施形態が示されている。
【0009】
このパラペットの防水構造は、最上階の鉄骨梁Hを越えて上方に一定長さ延設された外壁パネル1と、外壁パネル1の上端面および裏面側上端縁部を覆って固定されたパラペット防水下地レール2と、外壁パネル1の表面側上端縁部およびパラペット防水下地レール2における外壁パネル1の上端面側を覆って固定された笠木鋼板3と、最上階の鉄骨梁Hに設けられる床下地材Y、例えば、ALC床材上に敷設された断熱材4と、断熱材4上に敷設された不燃ボード5と、不燃ボード5上に敷設され、不燃ボード5の側端縁を越えた延長部を有する防水シート6と、から構成されている。
【0010】
ここで、最上階の鉄骨梁Hは、小屋梁であって、断面H字状の形鋼が採用されている。
【0011】
また、床下地材Yは、屋上の床下地を構成するものであり、最上階の鉄骨梁Hの上フランジh1の上面にわたって載置され、適宜固定されている。
【0012】
外壁パネル1は、押出成形セメント板であって、上下方向に貫通する複数個の中空部1aが形成されている。そして、外壁パネル1の表面には、詳細には図示しないが、加飾模様、例えば、縦方向および横方向にそれぞれ設定間隔をおいた複数本の横溝と縦溝からなる目地パターンが形成されている。
【0013】
パラペット防水下地レール2は、断面L字状の鋼板製下地レール本体21と、下地レール本体21の水平部の裏面に設定間隔をおいて溶接された断面コ字状の複数個の取付板22と、からなり、下地レール本体21をその垂直部が外壁パネル1の裏面側上端部に沿うように水平部を外壁パネル1の上端面に載置した際、取付板22が外壁パネル1の各中空部1aに差し込まれるように、大きさと取付位置が設定されている。そして、外壁パネル1の中空部1aに差し込まれたパラペット防水下地レール2の取付板22に向けて外壁パネル1の裏面側からビスb1を打ち込むことにより、外壁パネル1の上端面に載置されたパラペット防水下地レール2を固定することができる。
【0014】
なお、外壁パネル1の裏面側上端面には、外壁パネル1の上端面の不陸を吸収するため、発泡体などの緩衝材cが貼着されている。
【0015】
笠木鋼板3は、断面L字状に形成され、その垂直部を外壁パネル1の表面側上端部に沿うように水平部を前述したパラペット防水下地レール2の下地レール本体21の水平部に載置され、該下地レール本体21の水平部にビスb2を打ち込むことにより固定されている。そして、笠木鋼板3の垂直部下端縁は、設定角度立ち上げられて水切りに形成されている。
【0016】
なお、外壁パネル1の表面側上端面には、水密材Sが配設されており、外壁パネル1の表面に沿って吹き上げられた雨水が笠木鋼板3との隙間から浸入して外壁パネル1の裏面側に回り込むことが防止されている。
【0017】
断熱材4は、床下地材Y上に敷設されており、その一側端面は、外壁パネル1の裏面に突き合わされている。そして、断熱材4は、外壁パネル1に突き合わされる一側端面側に向かって下り勾配の傾斜面に形成されている。
【0018】
不燃ボード5は、耐火性を確保するため、断熱材4上に敷設されており、その一側端面は、断熱材4と同様に、外壁パネル1の裏面に突き合わされている。
【0019】
防水シート6は、例えば、塩ビシートが採用され、外壁パネル1に突き合わされる不燃ボード5の一側端縁を越えて一定長さ延長されており、この延長部の長さは、外壁パネル1と不燃ボード5との突き合わせ部から外壁パネル1の裏面側およびその上端面を覆うことができるように設定されている。
【0020】
なお、不燃ボード5の上面には、図示しない塩ビ鋼板などの鋼板が適宜間隔をおいて島状に固定されており、また、外壁パネル1および該外壁パネル1に突き合わされる不燃ボード5によって形成される隅角部には、断面L字状に折曲された補強鋼板7、例えば、塩ビ鋼板が固定されている。そして、前述した防水シート6は、これらの鋼板(図示せず)および補強鋼板7に溶着されている。
【0021】
次に、パラペット部を含む屋上を防水施工する手順について説明する。
【0022】
まず、外壁パネル1を最上階の鉄骨梁Hとその下階の鉄骨梁Hとの間に適宜に固定する。次いで、最上階の鉄骨梁Hに床下地材Yを載置して固定した後、床下地材Yの上面に断熱材4および不燃ボード5を順に敷設する。この際、床下地材Y、断熱材4および不燃ボード5の各側端面をそれぞれ外壁パネル1の裏面に突き合わせる。この後、外壁パネル1および不燃ボード5によって形成される隅角部に補強鋼板7を配置し、スクリューネジnを不燃ボード5を通して床下地材Yに打ち込むとともに、コンクリートビスb3を外壁パネル1に打ち込み、補強鋼板7を外壁パネル1および床下地材Yに固定する。また、不燃ボード5上に鋼板(図示せず)を縦横方向に適宜間隔をおいて固定する。
【0023】
一方、パラペット防水下地レール2の取付板22を対応する外壁パネル1の中空部1aに差し込み、下地レール本体21の垂直部を外壁パネル1の裏面側上端縁部に沿わせるとともに、その水平部を外壁パネル1の上端面に載置した後、外壁パネル1の裏面側から取付板22にビスb1を打ち込み、パラペット防水下地レール2を外壁パネル1に固定する。
【0024】
パラペット防水下地レール2が固定されたならば、笠木鋼板3を持ち込み、その垂直部を外壁パネル1の表面側上端縁部に沿わせるとともに、その水平部をパラペット防水下地レール2の下地レール本体21の水平部に載置し、笠木鋼板3の水平部側からパラペット防水下地レール2の下地レール本体21の水平部にビスb2を打ち込み、笠木鋼板3をパラペット防水下地レール2に固定する。
【0025】
次いで、不燃ボード5上に防水シート6を敷設し、防水シート6を補強鋼板7および図示しない鋼板に溶着した後、防水シート6の延長部を、外壁パネル1の裏面およびパラペット防水下地レール2の下地レール本体21の垂直部に沿って立ち上げるとともに、パラペット防水下地レール2の下地レール本体21の水平部および笠木鋼板3の水平部の先端まで巻き回して笠木鋼板3の水平部に溶着する。そして、防水シート6の端縁部を笠木鋼板3に対して密封するため、防水シート6の端縁部と笠木鋼板3との角隅部にシール材を配設する。
【0026】
この結果、外壁パネル1の上端部にパラペット防水下地レール2および笠木鋼板3を固定するとともに、屋上の床下地材Yに断熱材4および不燃ボード5を敷設し、不燃ボード5上に敷設された防水シート6を補強鋼板7および鋼板に溶着し、防水シート6の延長部を外壁パネル1の裏面に沿って立ち上げ、さらに、パラペット防水下地レール2および笠木鋼板3まで巻き回して笠木鋼板3に溶着するという簡単な作業により、パラペットを含む屋上を防水することができる。また、パラペット笠木や取付下地材などが不要となることから、コストを削減することができる。
【0027】
なお、前述した実施形態においては、断熱材4の上面に耐火性を確保するため、不燃ボード5を敷設した場合を例示したが、不燃ボード5は必ずしも設ける必要はなく、断熱材4に直接防水シート6を敷設してもよい。
【0028】
また、詳細には図示しないが、笠木鋼板3を覆う見切り材を取り付け、パラペットの外観を化粧してもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、外壁パネルの上端部にパラペット防水下地レールおよび笠木鋼板を固定するとともに、屋上の床下地材上に断熱材を敷設し、外壁パネルと断熱材との隅角部または外壁パネルと断熱材上に敷設された不燃ボードとの隅角部に補強鋼板を配設し、防水シートを断熱材もしくは不燃ボード上に敷設して補強鋼板に溶着し、防水シートの延長部を外壁パネルの裏面に沿って立ち上げるとともに、パラペット防水下地レールおよび笠木鋼板まで巻き回して笠木鋼板に溶着するという簡単な作業により、パラペット笠木などを用いることなくパラペットを含む屋上の防水施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパラペットの防水構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 外壁パネル
2 パラペット防水下地レール
3 笠木鋼板
4 断熱材
5 不燃ボード
6 防水シート
7 補強鋼板
H 鉄骨梁
Y 床下地材
Claims (1)
- 最上階の鉄骨梁を越えて上方に延設された外壁パネルと、外壁パネルの上端面および裏面上端縁部を覆って固定されたパラペット防水下地レールと、外壁パネルの表面上端縁部およびパラペット防水下地レールにおける外壁パネルの上端面側を覆って固定された笠木鋼板と、屋上の床下地材上に敷設されて側端面が外壁パネルの裏面に突き合わされた断熱材と、外壁パネルと断熱材との隅角部もしくは外壁パネルと断熱材上に敷設されて側端面が外壁パネルの裏面に突き合わされた不燃ボードとの隅角部に配設された補強鋼板と、断熱材もしくは不燃ボード上に敷設され、断熱材もしくは不燃ボードの側端縁を越えた延長部を有する防水シートと、から構成され、防水シートが補強鋼板に溶着されてその延長部が外壁パネルの裏面に沿って立ち上げられるとともに、防水下地レールおよび笠木鋼板における外壁パネルの上端面側を覆って笠木鋼板に溶着されていることを特徴とするパラペットの防水構造。
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