JP3848210B2 - 電子回路基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はCPUやメモリ等のLSIが高密度に実装され得る電子回路基板に関する。特に、電気配線層と光配線層とを有する光電融合基板(あるいは光集積回路用基板)に関するものである。
【0002】
【背景技術】
携帯電話や個人情報端末(PDA)は、処理速度の速いことと小型・軽量であることが同時に求められる。しかしながら、処理速度が上がるにつれ、電子回路基板内における配線遅延の影響が大きくなることが指摘されている。これを防ぐには、チップ内およびチップ間の配線を極力短くすることがもっとも単純な方法である。このことは、基板の小型化にもつながるため、これまで多くの発明がなされてきた。
【0003】
しかしながら、処理速度が向上するにつれ、別の問題点が顕在化してきた。それはEMI(電磁放射干渉ノイズ)である。
【0004】
電子部品同士が近接して配置されることから、配線は短くなるが、配線密度は高くなる。この結果、近接した信号線に高速の信号が流れた場合、相互の電磁誘導により電磁波が干渉しあってノイズを発生し、信号が正しく伝送できないのある。特にモバイル端末では、低電圧化が進む結果、大電流で駆動されるケースが増えており、EMIの影響が大きくなってきている。
【0005】
この現象は、そのモバイル端末が、外部の電波環境にも影響を受けることを意味する(いわゆるイミュニティとかEMCとか言われている)。つまり自分自身がEMIを発生しやすいということは、同時に外部電磁界を拾いやすくなることを意味するため、電波環境によっては、正常なデータ処理ができなくなることになる。
【0006】
これらを防ぐ方法として、たとえば、セラミック基板を多層にすることで、層ごとのEMC(電磁放射ノイズ耐性)を高める方策が通常とられているが、コスト高や歩留まりの点で問題があるとともに、本質的にEMIフリーとすることはできない。
【0007】
一方、本質的に電磁無誘導の利点を有する光配線を用いる方法が提案されている。
【0008】
たとえば、特開平9−96746号公報(吉村他「アクティブ光回路シートまたはアクティブ光回路基板」)は、光配線部と電気配線部を分離し、電子機器からの信号電圧によって光スイッチや光変調器で、電気信号を光信号に変換して伝送して、光配線部の異なる場所にある受光素子により再び電気信号に変換し、他のまたは同一の機器との間に電気的な接続を行うものである。
【0009】
この方法は、電気配線のデメリットを光配線で補うという点では優れた方法であるが、光配線を1次元光導波路(あるいはファイバ)でおこなっているために、光配線する場所をあらかじめ決めておく必要があったり、サイズが電気配線にくらべはるかに大きくなってしまうという新たな問題点を生じる。
【0010】
また、特開平11−196069号公報(逆井他「光信号伝送装置、光信号伝送方法、および信号処理装置」)は、2次元的に広がる光シートバスの対向する2端にそれぞれ信号光入出力部を配置し、1端からの光信号を光シートバスに2次元的に伝播させ、他端の受光素子によって電気信号に変換するものであり、従来、電気配線では、避けることのできなかった遅延や伝送速度の限界を打破し、かつ実装が容易な点が特徴である。光シートと呼ばれる2次元の光導波路(厚さ方向にのみ導波構造をもつ)の両端には、送信デバイス(たとえば、1次元半導体レーザアレイ)や受信デバイス(たとえば、1次元フォトダイオードアレイ)が配置されている。
【0011】
その動作を簡単に説明すると以下のようになる。電気回路のロジック信号から前記半導体レーザを直接駆動して電気信号を光信号に変え、発光した光は、前記光シートの内部を伝播するが、厚さ方向には導波されるが、それと直角な平面方向には自由に伝播する。この結果、必要とされる光パワーは従来例よりも大きくなり、電気回路に負担がかかるものの、光シートと光デバイスの実装の許容度は従来例よりもはるかに簡単になり、かつ、電気配線では、避けることのできなかった遅延や伝送速度の限界を打破できる点が特徴である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、当該技術は、機器間配線(バスライン)であり、電子デバイスが混在した基板から発生するEMIに対しての効果は期待できない。また、光シートの端面から光を入力することが前提になっており、光シートに垂直方向に光を入力することに関しては検討されていなかった。そこで、本発明者が光シートに光を入力することに関して検討を進めたところ、発光部からの光を単に光シート上に設けただけでは光の効率的な入力は困難であることが分かった。
【0013】
そこで、本発明は、光シート内にその端部からではなく、垂直方向の光入力を効率的に行うことができる電子回路基板を提供することを目的とする。更には、光シート内を伝搬してきた信号光を効率的に受光できる電子回路基板を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電子回路基板は、2層の電気配線層間に挟まれた光配線層を備えた電子回路基板であって、前記光配線層は、フィルム状の2次元型光導波路構造であり、前記光配線層の内部あるいは前記光配線層と前記電気配線層の界面にE/Oデバイス及びO/Eデバイスを有し、前記O/Eデバイスが、pn接合面を有する複数の受光素子を含む光デバイスと電気デバイスとが表面に集積されたフォトニックボールICからなり、且つ2つの前記電気配線層間は前記光配線層を貫通するビアにより接続されていることを特徴とする。
【0016】
更に、前記電気配線層中にパラレル信号ラインを有し、その出力端子が前記E/Oデバイスに接続されており、パラレル信号は前記E/Oデバイスに設けられた電子回路によりパラレル−シリアル変換後、シリアル光信号として前記光配線層に送出してもよい。また、前記シリアル光信号を前記O/Eデバイスで受光し、電気信号に変換した後、前記O/Eデバイスに設けられた電子回路によりシリアル−パラレル変換後、前記パラレル信号ラインに伝送してもよい。
【0017】
本発明においては、前記光配線層の内部あるいは前記光配線層と前記電気配線層の界面にE/Oデバイス及びO/Eデバイスを設けることで、効率的な光信号の入力あるいは出力が可能となる。E/OデバイスやO/Eデバイスとはいわゆる光電変換デバイスのことである。以下では主として球形状を有する光電変換デバイスを用いて説明しているが、光配線層との光の入出力が可能であれば特に限定されるものではない。
【0018】
また、本発明に係る電子回路基板は、電気配線層と光配線層の2層を1単位として積層された電子回路基板であって、前記基板の表面あるいは内部に複数の電子デバイスが配置され、前記電気配線層は、前記電子デバイスを互いに電気的に接続する電気配線を内蔵し、前記光配線層は、フィルム状の2次元光導波路構造を有し、前記電気配線層中あるいは光配線層中あるいは両者の界面に、前記光電子デバイスの電気信号を光信号に変換し、かつ前記光配線層中に前記光信号を送出する機能を有するEOデバイスと、前記光信号を受光し、前記光信号を電気信号に変換する機能とを有するOEデバイスとが配置され、かつ、前記EOおよびOEデバイスへの電気接続を前記電気配線層から行うことを特徴とする。
【0019】
前記電子回路基板において、光配線層を貫通し、それを挟む電気配線層同士を電気的に結合する複数のビアが形成されていたり、前記電子デバイスの電気信号を光信号に変換し、かつ前記光配線層中に該光信号を送出する機能を有するEOデバイスが、球状の半導体基板上に、他の電子デバイスとともに集積して形成されていてもよい。
【0020】
前記光配線層中の光信号を電気信号に変換する機能を有するOEデバイスが、球状の半導体基板上に、他の電子デバイスとともに集積して形成されていてもよい。また、前記電子回路基板がパラレル信号ラインを有し、その出力端子が前記EOデバイスに結合され、前記球状デバイスの前記電子回路でパラレルシリアル変換することで、シリアル光信号として前記光シートに送出することも可能であるし、前記シリアル光信号を前記光シートに埋め込まれた前記OEデバイスで受光し、電気信号に変換されたあと、前記球状半導体に同時に形成された電子回路によりシリアルパラレル変換されて前記パラレル信号ラインに伝送することもできる。なお、前記電子回路基板が可とう性のある材料で構成することができる。
【0021】
更にまた、本発明に係る電子回路基板は、電気配線層と光配線層の2層を1単位として積層された多層からなる電子回路基板であって、前記基板の表面あるいは内部に複数の電子デバイスが配置され、前記電気配線層は、前記電子デバイスを互いに電気的に接続する電気配線を内蔵し、前記光配線層は、フィルム状の2次元光導波路構造を有し、光配線層中に、前記光電子デバイスの電気信号を光信号に変換し、かつ前記光配線層内の全方位に前記光信号を送出する機能を有するEOデバイスと、前記光配線層内の全方位からの前記光信号を受光し、電気信号に変換する機能とを有するOEデバイスとが配置され、かつ、前記EOおよびOEデバイスへの電気接続を前記電気配線層から行うことを特徴とする。
【0022】
また、前記電子回路基板において、光配線層を貫通し、それを挟む電気配線層同士を電気的に結合する複数のビアが形成されていたり、前記電子デバイスの電気信号を光信号に変換し、かつ前記光配線層中に前記光信号を送出する機能を有するEOデバイスが、円盤状あるいは円柱状の形態をなしていたり、あるいは前記光配線層中の光信号を電気信号に変換する機能を有するOEデバイスが、円盤状あるいは円柱状の形態をなしていてもよい。
【0023】
前記電子回路基板がパラレル信号ラインを有し、その出力端子が前記EOデバイスに結合され、前記球状デバイスの前記電子回路でパラレルシリアル変換することで、シリアル光信号として前記光配線層に送出することもできるし、前記シリアル光信号を前記光配線層中に埋め込まれた前記OEデバイスで受光し、電気信号に変換されたあと、前記デバイスに同時に形成された電子回路によりシリアルパラレル変換されて前記パラレル信号ラインに伝送することも可能である。
【0024】
(作用)
高速なデータ(たとえば1Gbps)がメタル配線によって近接して配置されているとき、その近傍の電磁放射ノイズの強さは、「発生源の強さ(周波数、波形、駆動電流)」x「伝達係数(電源ラインとの共振、近接するラインとの結合)」x「アンテナ要因(コネクタ、電極)」で表される。つまり、配線長が長いほど、電流値が大きいほど、信号のスピードが速いほど、また信号パルスが矩形波に近いほどノイズレベルが高くなる。したがって、CPU近傍でメタル配線を用いる限りEMIを根本的に除去することはできない。
【0025】
一方、配線に光を用いることで、これらを一気に改善することが可能である。すなわち、光配線では、電磁誘導がないため伝達係数がゼロとなるからである。
【0026】
反面、光配線は、1本当たりの配線の物理的大きさは、光導波路を用いる限り電気配線にくらべ一桁以上大きいため、すべての電気配線を光配線に変更することは、サイズが大きくなったり、曲げによる損失が大きくなるなどのデメリットの方が大きくなる。さらに、光配線を導入することで、従来の電気配線パターンの変更を余儀なくされるデメリットもある。この解決策として、電気配線は従来通りの配線パターンとし、光配線のみ2次元空間を伝送する光フィルムを用いることが提案され、上記の問題は緩和されつつあるが、電気信号を光に変換するEOデバイスおよび光信号を電気信号に変えるOEデバイスの実装方法に関しては、依然有効な解決策は提示されていない。本発明は、その具体的に実現するうえで不可欠な技術である、光電融合基板のOEおよびEOデバイスの実装技術を提供する。
【0027】
本発明の主眼は以下のように要約される。
(1)光配線となる光導波路に2次元光導波路(光フィルム)を適用し、1対の電気配線層と光配線層を単位とした、多層の光電融合基板構造とする。
(→光電融合基板関しては「FileNo.202349 光電融合配線基板、光電融合集積回路、及びそれらの製造方法」参照。)
(2)複数の電気配線層同士の接続にはビアを用いる。
(3)光電変換デバイスとして、ボール形状を有し、光デバイスとその駆動ICあるいはアンプを同時に集積したフォトニックボールICを用いる。
【0028】
通常の電子回路基板(PCB)に2次元の光導波路を融合させた光電融合基板は、電気配線部分は従来通りの手法で、光配線部分は、2次元の光導波路(光フィルム)を使用するため、従来の問題点であった、光配線の方が配線サイズが大きくなるということや、光配線をもちいることで電子デバイスの配置に影響を与えること、などの問題点を解決している。この結果、電気配線でも光配線でも自由に選ぶことができる。
【0029】
なお、ビアは3次元配線するうえで不可欠な手段である。光配線層を導入したことで、任意の位置のビアが形成できなくなるとしたら大きなデメリットとなる。本発明では、フィルム状の光導波路を用いているため、任意の位置にビアが形成されても、光信号は2次元的に拡散しながら伝播するためビアの影響は無視することができる。すなわち、従来の設計指針に影響を与えることなく、EMIフリーの光配線を導入することができる。
【0030】
実装方法としてフリップチップ実装やBGA法を用いることで、光配線のために新たな実装方法を適用することなく、容易に実装することができる。BGA(Ball Grid Array)法は、ICの電極パッドと基板の電極パッドを、バンプとよばれるハンダによってアレイ状に接続するもので、従来のワイヤボンディングに比べ、高速化、低占有面積、低抵抗化など極めて優れた特性を有している。
【0031】
BGAのピッチとボールハンダの典型なサイズは、それぞれ1mmおよび0.50mmφ程度である。つまり、上記ホトニックボールICが1mmφ以下であれば、BGAのプロセスを用いて、簡便に上記必要条件をクリアできる。
【0032】
フォトニックボールICは、球状の半導体基板(通常球状Si基板)上に、電子デバイスと光デバイスを集積したものであり、これ1つでOE/EO変換できる。光電融合基板状のLSIからのロジック信号の電圧で直接駆動できるものを使用すれば、特別な付加回路は必要はない。また球形状を有しているので、独別な光学系を必要としないで前記光電融合基板の光フィルム部に光学結合させることができる。
【0033】
フォトニックディスクICについて簡単に説明する(製造方法等の詳細は、たとえば、特開平10−262837号公報「リング共振器を有する偏波変調可能な半導体レーザ」、あるいは、特開2000−022285号公報「光電融合デバイス」に詳しい)。
【0034】
図10は、フォトニックディスクICのもっとも簡単な例である、リング共振器型半導体レーザ(以下リングLDと略記する)の模式図である。リングLDは、リング共振器内を光が周回することで、利得を得て発振するデバイスであり、原理的には、共振器内に光が閉じ込めれるが、一部の光は外部に取り出されるので円形の共振器の場合、共振器平面内で360度方向に光を出射することができる。このリングレーザを前記光配線層中に設置することで、光配線層内全体を伝搬させることができる。
【0035】
以下図面を用いて簡単に説明する。図10は、リングレーザの模式図である。
【0036】
図において、(a)は平面図、(b)は立面図(左半分は、A−Bラインの断面図)である。たとえば、1301はn型半導体基板であり、1302はn型AlGaAsクラッド層、1302はMQW活性層、1303はp型クラッド層となっていて、垂直かつ滑らかな側面を有するリング状の共振器1307(共振器長はたとえば200um)が形成されている。また、キャリア注入のためのカソード1305とアノード1306を形成してある。このレーザの特徴は、キャリア注入があるレベル達すると利得がリングレーザの共振器損失を上回ることにより、時計周りと半時計回りの2つの周回発振モードがたつことである。そのレーザ光の一部はリング共振器側面から、外部に取り出すことができ、完全に円形のリングレーザの場合、リングレーザの活性層平面においてほぼ360度全域にレーザ光を送出する。つまり、このリングレーザを2次元スラブ導波に閉じ込めた場合、アノードとカソードに、リングレーザの発振しきい値に見合うレベルの電気信号を重畳すると、光信号として、2次元スラブ導波路全体に伝搬させることができる。
【0037】
一方、このリングレーザあるいは類似の半導体デバイスは光受光器として動作させることができる。リング共振器側面は、それが置かれた平面のすべての方向から伝播してくる光を受光面となり得る。適当なバイアスをかけておくことで空乏層を広げることにより、受光効率を高めることができる。以下この受光器をリングPDと表記する。
【0038】
したがって、前記リングLDを前記光配線層中に配置することで、光配線層中のあらゆる方向から伝搬してくる光を受光し、電気信号に変換することができる。
【0039】
以上のことは、ほぼ同構造のフォトニックデバイスで、発光および受光の機能を持たせることができることを意味する。
【0040】
さらに、リングLDの駆動回路やリングPDのバイアス回路やアンプをなどの電子回路を該デバイスで集積することで、他のLSIからのロジック信号を直接光信号に変換したり、光信号を直接電気信号に変換することができる。図11は、そのフォトニックディスクデバイスの模式図である。図において、(a)は平面図(左はリングLD部の断面図)、(b)は立面図(左半分はC−Dラインの断面図)である。リングLD部は図10とほとんど同じであるが、薄膜化するため、基板は除去してある。その上下に、上記電子回路を有するSiデバイスを接合した構造になっている。表面には、電極パッドが形成されており、ロジック信号を入出力できるようになっている。
【0041】
【発明の実施の形態】
(実施例1) (光配線層の上下界面にフォトニックボールICを配置する。)
図1は本発明の電子回路基板の断面図である。
【0042】
図において101は保持基板、103は電気配線層および104は電気配線層にはさまれるように形成されたフィルム状の光配線層である。102は、電気配線層103表面に実装されたICチップであり、バンプ(たとえばボールハンダ)107で実装されている。108はフォトニックボールICであり、上記電気配線層103および光配線層104の界面に実装されている。106は電気配線層内部あるいは表面に形成されたマイクロストリップラインであり、105はそれらを電気的に接続する電極パッドである。また、109は光配線層を貫通して電気配線層間を電気的に接続するためのビアである。
【0043】
(フォトニックボールIC)
本発明の特徴のひとつは、電気配線層103と光配線層104の接続を、EOあるいはOEデバイスを介して行う点にある。次に、このEOあるいはOEデバイスの一例である、フォトニックボールICについて簡単に説明する(製造方法等の詳細は他の明細書を参照されたい。たとえば、出願No2000−090826「立体形状を有する光電融合デバイス」)。
【0044】
図3において、301はアンドープ球状Si基板(たとえば1mmφ)であり、302はその半球表面(ここでは北半球表面)に形成されたICである。303は、南半球部表面に形成された、発光素子あるいは受光素子等の光デバイスである(ここでは、4つの(111)相当面に形成された、GaInNAs/AlGaAs系の面発光レーザや面型フォトダイオードを想定しているがこれに限るものではない)。
【0045】
IC302は、発光素子303と集積する場合、駆動ICだったり、パラレルシリアル変換回路だったりする。受光素子303と集積する場合には、バイアス回路、プリアンプ、波形調整回路、あるいはシリアルパラレル変換回路だったりする。もちろん両方の機能を兼ねる場合は、それに応じた電子回路を付加する。これらの回路は、通常のCMOSプロセスで作製可能で、そのロジック電圧は3.3Vである。
【0046】
図4はフォトニックボールICの別の形態を示している。図において電子回路部は上記と変わらないが、光デバイス部分が大きく異なっている。405は半球状に形成された活性層であり、発光デバイスの場合、光デバイス用電極407から注入されたキャリアが再結合して発光する。受光デバイスの場合、活性層405には逆バイアスがかけられ、受光した光が電子−ホール対を形成する。どちらの場合も、球形状をしていることがら、光放出あるいは光吸収ともに特別な光学系を用意することなく、高効率でEOあるいはOE変換することができる。
【0047】
次に製造方法について説明する。
【0048】
(電気配線層)
図1において、まず支持基板上に電気配線層を積層する。
【0049】
ここでは複数層からなるCuマイクロストリップライン106を内蔵した熱溶融性樹脂材(たとえば、ポリイミド、厚さ0.3mm)をガラスエポキシ樹脂基板101上に積層した。
【0050】
(電気配線基板へのフォトニックICの実装)
次に、フォトニックボールICを実装する。球状光デバイスの実装方法について説明する(図5参照)。まず、前記電気配線基板の表面の所望の位置に、前記フォトニックボールICを実装するための半球状の穴をあける。あける方法は任意でよい。
【0051】
たとえば、フォトリソグラフィとエッチングを用いて形成しても良いし、レーザ加工装置等を用いて任意の場所に個別にホールを形成しても良い。
【0052】
ここでは、エキシマレーザを用いて所望の位置に所望の形状のホール501を連続的に形成した。この方法は、基板作製時のCADのデータがそのまま使えるので、2次元方向は正確であるとともに、深さ方向に対しても制御性が高い。
【0053】
このホールに、ボールICの電極パッド403と電気配線基板の電極パッド103を位置合わせして、異方性導電樹脂等で電気的かつ機械的コンタクトをとる。
【0054】
この工程のあと、必要であればさらに表面に電気配線を行ってもよい。
【0055】
(光配線層の作製)
光配線層の構造は以下の条件を満たすものなら任意のものでよい。
(1)光を導波する2次元スラブ型光導波路を有すること。
伝播損失は、小さければ小さいほど良いが、伝送距離による。たとえば、数cm角の基板の場合、伝送損失は導波する光の波長に対して0.1dB/cm以下であることが望ましい。
(2)表面に電気配線層を作製できること。
これは、従来の電気配線パターンをそのまま生かすためである。
(3)実装したフォトニックボールICを埋め込むことができること。
この3点を満たすものとして、本実施例では、ポリイミド等の有機樹脂を塗布して平坦化し、ほぼ1mm厚のフィルム状光導波路からなる光配線層を作製した。ここでは単層からなるフィルム状光導波路を用いたが、構造はこれに限るものではない。たとえば、コア層(厚さ0.1mm、屈折率n1)をクラッド層(厚さ0.3mm、屈折率n2;n1>n2)ではさんだスラブ導波路構造でもよい。引き続き第2の電気配線層(フォトニックボールIC付)を積層することが効果的である。
【0056】
以上で、図1のように保持基板101上に第1の電気配線層103a、光配線層、第2の電気配線層103bが積層されたことになる。最後に第2の電気配線層104の上に、ICチップ102を半田バンプ107等を介して表面実装することで本発明の実施例は完成する。
【0057】
(動作原理)
以下動作原理について説明する。
【0058】
(送信機能)
図1において、LSI102の電極パッド105は、バンプ107を介して電気配線層に接続され、電気信号を近傍の電子デバイスに伝送したり、受けたりすることができる。LSIのロジック信号(たとえばCMOSなら3.3V)は、前記球状光デバイスを直接駆動するのに十分な電圧である。電気配線層に直接実装されたフォトニックボールIC108c上の発光デバイス(たとえばLED)に順バイアスとなるようロジック信号を印加することで、電気信号は光信号に変換される(パワーが必要な場合や所定のバイアス電圧をかけたい場合には、フォトニックボールIC108c上にドライバ回路やバイアスをつくりこんでおけば良い)。EO変換された光信号は、光配線層104に放出され、特別な光学系なしで、光シート全面に出力光110として拡散伝播していく。基板サイズが30mm□程度および伝播損失が0.1dB/cm以下なら、光出力1mW程度で十分最小受信感度に必要な受信入力を得ることができる。
【0059】
(受信機能)
逆に、光配線層104の任意の方向から伝播してくる入力光信号110は、フォトニックボールICの受光素子102表面に達すると内部に取り込まれ、逆バイアスをかけたPN接合付近で吸収され電子信号に変換される。変換された電気信号は入力電気信号として、近接する電気配線層103bを介してLSI102内部に取り込まれ処理される。
【0060】
(電気パラレル・光シリアル伝送)
実際の使用例のひとつ、電気パラレル・光シリアル伝送について図を用いて説明する。図2において、202はCPU、203aおよび203bはRAM、204はその他電子デバイス、207は電気配線層中に形成されたパラレル電気配線、208は光配線層中の光配線(光路)である。
【0061】
通常の電気配線では、たとえば、6本の伝送路で64ビット幅のデータ線を必要としている。低速のデータ処理は問題は起きなくても、大容量のデータ高速で送る用途(動画など)では、基板上に配置された他のデバイスの動作から影響を受けやすくなったり、EMIの影響を与えやすくなる。従来の配線では、常時安定したデータを送ることは極めて困難である。このような用途のみに光配線を使う。
【0062】
たとえば図2において、CPU202からRAM203に64ビット幅でデータを送るため、電気配線としては6本必要だが、CPUの最終段でパラレル・シリアル変換し、1個の光I/O素子を接続することで、電気信号が、光信号として、光電融合基板の光導波路部で伝送され、受け側の光I/O素子で受光したあと、シリアル・パラレル変換することで、64ビット幅のパラレル信号とする。パラレルからシリアル変換することで、クロックは高くなるが、光導波路に伝播するためEMIの心配はない。
【0063】
本実施例では最初から光配線を選択しているが、かならずしも光配線のみを使用する必要はない。つまり、電気配線のパスも選択できるようにしておくことで、あるときは電気配線、あるときは光配線として接続することが可能である。この柔軟性が本発明の大きな特長のひとつである。
【0064】
電気配線では、EMIを避けるため、他のデバイスを避けるように配線する場合があり、その結果配線長が長くなり、今度は配線遅延や波形歪の原因となる場合がある。このとき、光配線を選択することで、最短でEMIフリーの接続ができるため、配線遅延も波形歪を生じない。また、本実施例ではビア109が光導波路層を貫通して形成されているが、光信号は拡散して伝搬していくので、ビアの密度が極端に大きくならない限り影響は少ない。
【0065】
どの信号を電気配線あるいは光配線にするかは最終判断は、バスを管理するデバイスが決定する。光に変換された光は、光配線層中を拡散して伝播し、他所に配置された、ICへ到達する。このIC近傍にもOE変換用のフォトニックボールICが配置されている。本実施例は、同一のフォトニックボールICを設置した。表面が球形状をしているために、プリズムやミラー等を用いなくとも、直接光がpn接合面に当たるため、きわめて簡便に実装可能である。
【0066】
(効果)
(1)従来の電気配線パターンに大きな変更をあたえることなく光配線ができる。
(2)従来の電気実装方法に準じた方法で、OEデバイスあるいはOEデバイスの実装ができる。
(3)基板側に2次元の光導波路層(光フィルム)を有しているため、自由な光配線が可能となり、高速伝送およびEMIフリー伝送が可能である。
(4)用途により、同一の信号を電気配線でも光配線でも伝送することができる。
【0067】
なお、また、2次元の光導波路を表面に結合する方法については以下の方法が提案されている。(1)ミラーやプリズムを配置する方法として、たとえば「光学接続装置およびその製造方法」(特開平8−220357号公報)や、SPIE Optoelectrocicd Interconnects and Pakaging,CR62(1996),329などがある。また、これらの他にも、(2)グレーティングやホログラムを配置する方法などがある。
【0068】
しかしながら、これらの方法は、1)光軸あわせが困難、2)部品点数が多くなる、3)光導波路に微細加工が必要となる、4)光導波路を微細加工するため、任意の位置にデバイスを配置することが難しくなる、5)任意の方向へ光信号を送信したり、任意の方向からの光信号を受信することが困難である等の問題が懸念される。
【0069】
本実施例においては、光配線層内あるいは光配線層と電気配線層間の界面に直接発光部からの光を入力等するので、光軸あわせの問題を解決すると共に、効率的な光の入出力が可能となる。
【0070】
(実施例2)
多層型図6は本発明の第2実施例の断面模式図である。
【0071】
以下第1の実施例との相違点は、(1)光配線層が多層に形成されている、(2)保持基板がない、(3)両面に電子デバイスが実装されていることである。
【0072】
(共通点)
(1)光配線層は層ごとに平面的に光信号を拡散させてデータを伝送する。
(2)電気配線層ごとの接続はビアによって行う。
【0073】
以下簡単に補足する。
・電気配線層(たとえばPMMA)の表面の所望の位置にフォトニックボールICを実施例1にならって実装する。
・光配線層をその表面に積層する。
・フォトニックボールICが実装された第2の電気配線層を張り合わせる。
・所望の位置にビアを開け、めっき等を施し、電気的コンタクトをとる。
以上4つの工程を繰り返すことにより、電気配線層と光配線層が交互に積層された多層の電子回路基板を作製することができる。
【0074】
上記実施例では、光配線層は、すべてシート状の光導波路である例を示したが、適用例はこれに限るものではない。たとえば、光が完全に閉じ込められた1次元導波路を形成してもよい。
【0075】
(実施例3)
ボールICを散乱体としても用いる。
【0076】
図7は、本発明の第3の実施例を説明する模式図である。
【0077】
第1の実施例との相違点を中心に説明する。
(1)フォトニックボールIC近傍に光散乱体が配置されている。
(2)発光時には、散乱体と機能して光配線層全体に拡散する。
(3)受光時には、集光体として機能して、直上の受光器に効率的に光を集光する。
【0078】
以下簡単に補足する。
・電気配線層(たとえばPMMA)の表面の所望の位置にフォトニックボールICおよび散乱体あるいは集光体を同時に実施例1にならって実装する。
・光配線層をその表面に積層する。
・フォトニックボールICおよび光散乱体(あるいは集光体)111が実装された第2の電気配線層を張り合わせる。
・所望の位置にビアを開け、めっき等を施し電気的コンタクトをとる。
必要であれば以上4つの工程を繰り返すことにより、電気配線層と光配線層が交互に積層された多層の電子回路基板を作製することができる。
【0079】
光散乱体の機能は、フォトニックボールICからの光をできるだけ光拡散層に伝搬させるよう反射させることである。
【0080】
また、集光体の機能は、光配線層内を伝搬してきた光を、フォトニックボールICの近傍でできるだけ集光し、受光効率を上げることである。
【0081】
両者の具体的構造は、
(1)円錐形状(表面は高反射率)
(2)波長オーダの微粒子の集合体
(3)リング状のグレーティング素子
などがあり、いずれも公知の構造である。
【0082】
ここでは、単に集光率、散乱率だけでなく、実装の容易さやコストを考慮して、SiボールICに高反射膜をコーティングしたものを用いた。また、フォトニックボールICそのものを、散乱体あるいは集光体として用いても良い。
実施例3としての特有の効果は、散乱率および集光率の高い電子回路基板が作製できることである。
【0083】
(実施例4)
光配線層中にフォトニックディスクICを入れる。
【0084】
図8は本発明第4の実施例の断面図である。図において101は支持基板、103は電気配線層および104は電気配線層にはさまれるように形成されたフィルム状の光配線層である。102は、電気配線層103表面に実装されたICチップであり、バンプ(たとえばボールハンダ)107で実装されている。108はフォトニックディスクICであり、上記光配線層104中に実装されている。106は電気配線層内部あるいは表面に形成された電気配線(たとえば、マイクロストリップライン)であり、105はそれらを電気的に接続する電極パッドである。
【0085】
以下製造方法について図9を用いて説明する。
【0086】
(電気配線層)
まず支持基板101上に電気配線層を積層する。
【0087】
ここでは複数層からなるCuマイクロストリップライン106を内蔵した熱溶融性樹脂材(厚さ0.3mm)をガラスエポキシ基板101上に積層した。その表面には、OE/EOデバイスと電気的に接続する電極パッド105を形成した(図9(a))。
【0088】
(電気配線基板へのフォトニックディスクICの実装)
次に、フォトニックディスクICを実装する。フォトニックディスクICの電極パッドと電気配線層の電極パッド105を位置合わせして、異方性導電樹脂やハンダボール等で電気的かつ機械的コンタクトをとる(図9(b))。
【0089】
(光配線層の作製)
光配線層の構造や材料は以下の条件を満たすものなら任意のものでよい。
(1)光を導波する2次元スラブ型光導波路を有すること。
(2)伝播損失が小さいこと。
小さければ小さいほど良いが、伝送距離による。たとえば、数cm角の基板の場合、伝送損失は0.1dB/cm以下であることが望ましい。
(3)実装したフォトニックディスクIICを埋め込むことができること。
この3点を満たすものとして、本実施例では、ポリイミド等の有機樹脂を塗布して平坦化し、ほぼ0.3mm厚のフィルム状光導波路からなる光配線層を作製した。
【0090】
ここでは単層からなるフィルム状光導波路を用いたが、構造はこれに限るものではない。たとえば、コア層(厚さ0.05mm、屈折率n1)をクラッド層(厚さ0.1mm、屈折率n2;n1>n2)ではさんだスラブ導波路構造でもよい。
引き続き第2の電気配線層(電極パッド付)を積層する。
【0091】
以上で、図8のように支持基板101上に第1の電気配線層、光配線層、第2の電気配線層が積層されたことになる。最後に第2の電気配線層の上に、ICチップ102を半田バンプ107等を介して表面実装することで本発明の実施例は完成する。
【0092】
(動作原理)
以下動作原理について説明する。
【0093】
(送信機能)
図8において、LSI102の電極パッド105は、バンプ107を介して電気配線層に接続され、電気信号を近傍の電子デバイスに伝送したり、受けたりすることができる。LSIのロジック信号(たとえばCMOSなら3.3V)は、前記球状光デバイスを直接駆動するのに十分な電圧である。電気配線層に直接実装されたフォトニックディスクIC108c上の発光デバイス(たとえばLED)に順バイアスとなるようロジック信号を印加することで、電気信号は光信号に変換される(パワーが必要な場合や所定のバイアス電圧をかけたい場合には、フォトニックディスクIC108c上にドライバ回路やバイアスをつくりこんでおけば良い)。EO変換された光信号は、光配線層104に放出され、特別な光学系なしで、光シート全面に出力光109として拡散伝播していく。基板サイズが30mm□程度および伝播損失が0.1dB/cm以下なら、光出力1mW程度で十分最小受信感度に必要な受信入力を得ることができる。
【0094】
(受信機能)
逆に、光配線層104の任意の方向から伝播してくる入力光信号110は、フォトニックディスクICの受光素子表面に達すると内部に取り込まれ、逆バイアスをかけたPN接合付近で吸収され電子信号に変換される。変換された電気信号は入力電気信号として、近接する電気配線層103bを介してLSI102内部に取り込まれ処理される。
【0095】
(電気パラレル・光シリアル伝送)
実際の使用例のひとつ、電気パラレル・光シリアル伝送について図を用いて説明する。図2において、202CPU、203aおよび203bはRAM、204はその他電子デバイス、207は電気配線層中に形成されたパラレル電気配線、日光配線層中の208は光配線(光路)である。
【0096】
通常の電気配線では、たとえば、6本の伝送路で64ビット幅のデータ線を必要としている。低速のデータ処理は問題は起きなくても、大容量のデータ高速で送る用途(動画など)では、基板上に配置された他のデバイスの動作から影響を受けやすくなったり、EMIの影響を与えやすくなる。従来の配線では、常時安定したデータを送ることは極めて困難である。このような用途のみに光配線を使う。
【0097】
たとえば図2において、CPU202からRAM203に64ビット幅でデータを送るため、電気配線としては6本必要だが、CPUの最終段でパラレル・シリアル変換し、1個の光I/O素子を接続することで、電気信号が、光信号として、光電融合基板の光導波路部で伝送され、受け側の光I/O素子で受光したあと、シリアル・パラレル変換することで、64ビット幅のパラレル信号とする。パラレルからシリアル変換することで、クロックは高くなるが、光導波路に伝播するためEMIの心配はない。
【0098】
本実施例では最初から光配線を選択しているが、かならずしも光配線のみを使用する必要はない。つまり、電気配線のパスも選択できるようにしておくことで、あるときは電気配線、あるときは光配線として接続することが可能である。この柔軟性が本発明の大きな特長のひとつである。
【0099】
電気配線では、EMIを避けるため、他のデバイスを避けるように配線する場合があり、その結果配線長が長くなり、今度は配線遅延や波形歪の原因となる場合がある。このとき、光配線を選択することで、最短でEMIフリーの接続ができるため、配線遅延も波形歪を生じない。
【0100】
どの信号を電気配線あるいは光配線にするかは最終判断は、バスを管理するデバイスが決定する。光に変換された光は、光配線層中を拡散して伝播し、他所に配置された、ICへ到達する。このIC近傍にもOE変換用のフォトニックボールICが配置されている。本実施例は、同一のフォトニックボールICを設置した。表面が球形状をしているために、プリズムやミラー等を用いなくとも、直接光がpn接合面に当たるため、きわめて簡便に実装可能である。
【0101】
また、本実施例ではビア109が光導波路層を貫通して形成されているが、光信号は拡散して伝搬していくので、ビアの密度が極端に大きくならない限り影響は少ない。
【0102】
なお、本実施例では、電子回路が集積されたフォトニックディスクICを用いたが、電子回路が集積されていない、単体のリングLDやリングPDを替わりに用いてもよい。
【0103】
この場合には、これらを制御するための回路を別に設ける必要がある場合がある。
【0104】
さらに、電気配線層や光配線層を可とう性のある材料(たとえば本実施例)を用いることで柔軟性のある基板を作製することができる。
【0105】
(効果)
(1)従来の電気配線パターンに大きな変更をあたえることなく光配線ができる。
(2)従来の電気実装方法に準じた方法で、OEデバイスあるいはOEデバイスの実装ができる。
(3)基板側に2次元の光導波路層(光フィルム)を有しているため、自由な光配線が可能となり、高速伝送およびEMIフリー伝送が可能である。
(4)用途により、同一の信号を電気配線でも光配線でも伝送することができる。
【0106】
(実施例5)
多層型それぞれの光配線層にフォトニックディスクを入れる。
図12は本発明の第2実施例の断面模式図である。
【0107】
以下第4の実施例との相違点を中心に説明する。
【0108】
(相違点)
(1)光配線層が多層に形成されている。(2)保持基板がない。(3)両面に電子デバイスが実装されている。
【0109】
(共通点)
(1)光配線層は層ごとに平面的に光信号を拡散させてデータを伝送する。(2)電気配線層ごとの接続はビアによって行う。
以下簡単に補足する。
・電気配線層(たとえばPMMA)の表面の所望の位置にフォトニックボールICを実施例1にならって実装する。
・光配線層をその表面に積層する。
・フォトニックボールICが実装された第2の電気配線層を張り合わせる。
・所望の位置にビアを開ける。
以上4つの工程を繰り返すことにより、電気配線層と光配線層が交互に積層された多層の電子回路基板を作製することができる。
【0110】
上記実施例では、光配線層は、すべてシート状の光導波路である例を示したが、適用例はこれに限るものではない。たとえば、光が完全に閉じ込められた1次元導波路を形成してもよい。
【0111】
(実施例6)
単層光配線層にフォトニックシリンダを入れる。
【0112】
第4の実施例では、EOデバイスもOEデバイスもほぼ同構造のリングLD構造を用いた例について示したが、別々の構造でもよい。ここでは、ディスク型のリングPDの替わりに、シリンダー型のリングPDを用いた例について説明する。
【0113】
シリンダ型のリングPDとは、ディスク型に比べ、活性層厚を厚く(たとえば、10um)にしたものである。これは受光面積を大きくすることで、最小受信感度を上げることを目的としている。活性層厚が受光面に比例するため厚くすればするほど受光感度は上がるが、応答速度を犠牲にしないためには、逆バイアス電圧を高く設定する必要がある。
【0114】
【発明の効果】
上記したように本発明によれば、光配線層への効率的な光の入出力が可能な電子回路基板を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための模式図である。
【図2】本発明を説明するための模式図である。
【図3】本発明に係るデバイスの構成例である。
【図4】本発明に係るデバイスの構成例である。
【図5】本発明に係るデバイスの実装方法の説明図である。
【図6】本発明を説明するための模式図である。
【図7】本発明を説明するための模式図である。
【図8】本発明を説明するための模式図である。
【図9】本発明に係るデバイスの構成例である。
【図10】本発明に係るデバイスの構成例である。
【図11】本発明に係るデバイスの実装方法の一例である。
【図12】本発明を説明するための模式図である。
【符号の説明】
101 保持基板
102 ICチップ
103 電気配線層
104 光配線層
105 電極パッド
106 マイクロストリップライン
107 ハンダボール
108 フォトニックボールIC
109 ビア
110 光信号

Claims (3)

  1. 2層の電気配線層間に挟まれた光配線層を備えた電子回路基板であって、
    前記光配線層は、フィルム状の2次元型光導波路構造であり、
    前記光配線層の内部あるいは前記光配線層と前記電気配線層の界面にE/Oデバイス及びO/Eデバイスを有し、
    前記O/Eデバイスが、pn接合面を有する複数の受光素子を含む光デバイスと電気デバイスとが表面に集積されたフォトニックボールICからなり、且つ2つの前記電気配線層間は前記光配線層を貫通するビアにより接続されていることを特徴とする電子回路基板。
  2. 前記電気配線層中にパラレル信号ラインを有し、
    その出力端子が前記E/Oデバイスに接続されており、
    パラレル信号は前記E/Oデバイスに設けられた電子回路によりパラレル−シリアル変換後、
    シリアル光信号として前記光配線層に送出することを特徴とする請求項1記載の電子回路基板。
  3. 前記シリアル光信号を前記O/Eデバイスで受光し、
    電気信号に変換した後、
    前記O/Eデバイスに設けられた電子回路によりシリアル−パラレル変換後、前記パラレル信号ラインに伝送することを特徴とする請求項2記載の電子回路基板。
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