JP3846509B2 - 封印構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、封印構造に関し、特に遊技機の基板ボックスなどに適用して好適な封印構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の技術として図10に示す遊技機の基板ボックスに適用した封印構造が知られている。
同図において、基板ボックス1は略矩形皿形の上ケース2と下ケース3とを互いの開口面を合体せしめて形成され、内部に図示しない遊技機の制御を行う制御基板を格納している。かかる構成とした基板ボックス1には、裏面に接着剤を塗布された矩形状の封印紙4が上ケース2と下ケース3を跨ぐようにして貼着されている。
【0003】
貼着された封印紙4を剥がそうとすると破れて痕跡が残るため、封印後は基板ボックス1を開けられず、これにより基板ボックス1内の制御基板に対する不正改造を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の封印構造においては、封印紙4にある種の溶剤と加熱とを適用すると痕跡を残さずに剥がせてしまい、再度貼り直してもわからないことがあった。
本発明は、上記課題をかんがみてなされたもので、封印紙を剥がそうとすると確実に何らかの痕跡を残すことが可能な封印構造の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、開閉部位を備えるとともに、同開閉部位を跨ぐようにして封印紙を貼付する封印構造であって、上記開閉部位において上記封印紙を貼付する貼付面に対して、痕跡を残さずに上記封印紙を剥がすことが可能な溶剤に反応して痕跡を残す化学物質を塗布した構成としてある。
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、封印された開閉部位を開くために封印紙を剥がそうとして溶剤を貼付面に塗れば、開閉部位において封印紙を貼付する貼付面に塗布されている化学物質が溶剤に反応して痕跡を残す化学物質であるため、同化学物質が同溶剤に反応して痕跡を残す。
【0006】
このため、たとえ封印紙がきれいに剥がれたとしても、剥がそうとした痕跡が残り、開封しようとしたことが一目瞭然となる。
ここにおいて、開閉部位とは少なくとも開閉不能に封印すべき部位であればよい。従って、筺体とその開口部に装着した扉の関係であったり、扉を封印するために取り付けられた鎖の両端同士であったり、あるいは一方から他方をネジ止め固定するためのネジ止め孔であったりするなど、広く適用可能である。
【0007】
溶剤に反応して残す痕跡は、後で確認できるものであれば良い。例えば、変色するものであったり、所定の形状が崩れたり、付着していたものが取れ去ってしまったりするなど、適宜変更可能である。
化学物質は必ずしも一種類に限らず、複数種類の溶剤に対応して複数種類の化学物質を塗布しても良い。この場合、混ぜて塗布されていても良いし、一種類ずつ重なり合わないように塗布するものでも良い。塗布する場合、必ずしも液状状態で塗布する必要はなく、蒸着するなどの適当な手段で付着せしめるものであればよい。
また、請求項2にかかる発明は、上記化学物質が加熱の併用により痕跡を残さずに上記封印紙を剥がすことが可能な溶剤に反応して痕跡を残す化学物質である構成としてある。
上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、封印された開閉部位を開くために封印紙を剥がそうとして溶剤を貼付面に塗れば、塗布されている化学物質が加熱の併用により痕跡を残さずに上記封印紙を剥がすことが可能な溶剤に反応して痕跡を残す化学物質であるため、同化学物質が同溶剤に反応して痕跡を残す。
このため、たとえ封印紙がきれいに剥がれたとしても、剥がそうとした痕跡が残り、開封しようとしたことが一目瞭然となる。
請求項3にかかる発明は、複数の種類の溶剤に対してそれぞれ反応して発色可能とされた複数の上記化学物質を上記開閉部位における上記封印紙の貼付面に対して間を隔てて塗布した構成としてある。
上記のように構成した請求項3にかかる発明においては、不正を防止しやすくすることができる。
請求項4にかかる発明は、上記封印紙の貼付面に対して上記化学物質を塗布し、塗布した化学物質の上から予め定めた部分を除いて上記溶剤で変色しない塗料を塗布してマスキングした構成としてある。
発色部が均一であれば、不正者が発色部分を消し去ってしまうことがあるかもしれないが、上記のように構成した請求項4にかかる発明においては、塗布した化学物質の上の予め定めた部分で変色するので、このような防止策もしにくくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる封印構造を適用した遊技機の基板ボックスを分解斜視図により示している。
同図において、金属製の基板ボックス10は、内部に制御基板20を格納可能となるように、略矩形皿状の上ケース11と下ケース12の開口面を対面させつつ合体せしめて形成されている。ここにおいて、下ケース12の開口端の四隅には、上ケース11の角部内側に入り込む重なり代12aが延設され、同重なり代12a部分で上ケース11と下ケース12とが重なり合い、外側からネジ止め固定可能となっている。
【0009】
本実施形態においては、これらの互いに合体可能な上ケース11と下ケース12とが合体することによって開閉部位を形成しているが、少なくとも開閉不能に封印すべき部位であればよく、一方が概ね筺体に形成されるとともに窓状の開口を形成され、他方が当該開口を塞ぐ蓋状に形成されるようなものであるなど適宜変更可能である。
また、下ケース12の側壁には開口端側から底側に向かって形成した切り欠き部13が形成されるとともに、上ケース11の側壁には同切り欠き部13に向かって延設されて両ケース11,12が合体したときに平坦な側壁を形成する延設壁14が形成されている。
【0010】
封印紙30には裏面に接着剤が塗布されるとともに表面から視認可能な管理番号が印刷され、図2に示すように、合体後に下ケース12の側壁上で上記切り欠き部13と延設壁14とを跨ぐように貼着される。従って、当該封印紙30は開閉部位を跨ぐようにして貼付されることになる。
本実施形態においては、下ケース12の切り欠き部13に対して上ケース11の延設壁14を差し込むようにして封印紙の貼付面を形成しているが、単に両ケース11,12の開口端の当接部分であっても良い。また、直に両ケース11,12に跨る部位でなくても、例えば、上ケース11におけるネジ止め孔の周囲であれば、ネジ止め後に封印紙30を貼着することによって封印できるので、このような部位も開閉部位となる。
【0011】
一方、本実施形態においては、下ケース12における切り欠き部13の周縁外周面と、上ケース11における延設壁14の外周面には所定の反応塗料40を塗布している。この塗料40は、封印紙30の接着剤に対応する溶剤に反応するものであり、反応して変色することにより、痕跡を残すものである。
従って、不正を行おうとして上ケース11と下ケース12とを開こうとする者が、封印紙30を剥がすために溶剤と加熱とを適用しようとすれば、塗料40がその溶剤に反応して図3に示すようにしみ状に発色し、開けようとした痕跡を残すことになる。
【0012】
本実施形態においては、封印紙30の貼付部分に対して単純に塗料40を塗布しているだけであるが、必ずしも普通に塗布する必要はなく、塗布の仕方を変更して不正を防止しやすくすることができる。
例えば、図4に示すものにおいては、複数の溶剤を検知できるように、複数の塗料41をストライプ状に間を隔てて塗布している。このようにすれば、複数の種類の溶剤、例えば、アルコールやシンナーなどに対してそれぞれ反応して発色可能な塗料41を用意しておくことができる。むろん、ストライプ状に限らず、水玉状に塗布したりするなど塗布方法については適宜変更可能である。また、可能であれば、それぞれの塗料を混ぜて使用しても良い。
【0013】
また、図5及び図6に示すものにおいては、最初に変色可能な塗料42を塗布しておき、その上からマスキング可能なように窓を形成した別の変色しない塗料43を塗布している。このようにすると、溶剤を塗って変色する部分が予め定まっている窓の形状となる。発色部が均一であれば、不正者が発色部分を消し去ってしまうことがあるかもしれないが、窓の形状で変色するので、このような防止策もしにくくなる。
【0014】
さらに、図7に示すものにおいては、変色部分が文字などの所定の形状として表れるようにした塗料44を塗布している。単にしみ状に変色する場合には汚れなどと誤認しないとも限らないが、はっきりと「無効」などの文字が表れれば不正と分かりやすい。
また、図8に示すものにおいては、細かな溝ができるように塗料45を立体的に塗布してあり、溶剤が適用されると、図9に示すように塗布された部分で溶けて溝が無くなり、その痕跡が残るようにしている。
【0015】
さらに、上述した実施形態においては、塗料40を封印紙30の貼着部分にだけ塗布しているが、装飾効果を図るため、全体に塗布したり、部分的に模様のように塗布したりしても良い。むろん、下地にメッキをしておいて、それとのバランスを図るようにしても良い。ここにおいて、本実施形態の基板ボックス10自身は金属製であるが、樹脂で形成しておいても良いし、一部分が金属で一部分が透視可能な樹脂であっても良い。
【0016】
このように、基板ボックスなどにおいて封印紙30を貼付する開閉部位に、溶剤に反応して痕跡を残す塗料40を塗布しておくことにより、同封印紙30をきれいに剥がそうとしても溶剤を塗布した痕跡が開閉部位に残ることになるため、開封しようとしたことが一目瞭然で分かるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる封印構造を適用した基板ボックスの分解斜視図である。
【図2】封印した状態の同基板ボックスの斜視図である。
【図3】開封しようとして痕跡が残る状態を示す同基板ボックスの正面図である。
【図4】複数の溶剤に対応するためにストライプ状に塗料を塗布する状態を示す要部拡大図である。
【図5】変色部分を一定の形状にするためにマスキングを施した状態を示す要部拡大図である。
【図6】同マスキングをしたときの拡大断面図である。
【図7】変色部分が文字として表れる状態を示す要部拡大図である。
【図8】変形して痕跡を残すように塗料を塗布するときの斜視図である。
【図9】変形して痕跡が生じたときの斜視図である。
【図10】従来の封印構造が適用された基板ボックスの斜視図である。
【符号の説明】
10…基板ボックス
11…上ケース
12…下ケース
13…切り欠き部
14…延設壁
30…封印紙
40…反応塗料
41〜45…塗料
Claims (4)
- 開閉部位を備えるとともに、同開閉部位を跨ぐようにして封印紙を貼付する封印構造であって、上記開閉部位において上記封印紙を貼付する貼付面に対して、痕跡を残さずに上記封印紙を剥がすことが可能な溶剤に反応して痕跡を残す化学物質を塗布したことを特徴とする封印構造。
- 上記化学物質が加熱の併用により痕跡を残さずに上記封印紙を剥がすことが可能な溶剤に反応して痕跡を残す化学物質であることを特徴とする請求項1に記載の封印構造。
- 複数の種類の溶剤に対してそれぞれ反応して発色可能とされた複数の上記化学物質を上記開閉部位における上記封印紙の貼付面に対して間を隔てて塗布したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の封印構造。
- 上記封印紙の貼付面に対して上記化学物質を塗布し、塗布した化学物質の上から予め定めた部分を除いて上記溶剤で変色しない塗料を塗布してマスキングしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の封印構造。
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