JP3845783B2 - 繊維ウエブをニードルパンチする装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ニードルパンチ装置が、突刺し方向に往復駆動可能な少なくとも1つのニードルボードと、突刺し方向においてニードルボードに対向する静止ベツドプレートとを持ち、ベツドプレートがニードル突刺し範囲でウエブ通過方向に互いに逆向きに傾斜する区域を形成し、ベツドプレートの互いに逆向きに傾斜する区域の間に、これらの区域へ連続的に移行しかつ同様にニードル突刺し範囲にある移行区域が設けられているものに関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維ウエブのニードルパンチの際大きい強度を得るため、ニードルを繊維ウエブ表面に対して直角に突刺すのではなく、ウエブ通過方向において互いに逆向きに傾斜して繊維ウエブへ突刺すことが公知である。この目的のため、ベツドプレートとストリツパプレートとから形成される繊維ウエブ案内路が、ニードル突刺し範囲において、ウエブ通過方回へ上昇する進入区域とそれに対して逆向きに下降する進出区域とを形成し、この進出区域がニードルパンチを行わない区域の範囲で進入区域に接続されている。従つて昇降駆動可能なニードルボードは屋根状に形成されて、互いに逆向きに傾斜する区域の範囲にのみ、垂直に向くニードルを保持し、これらのニードルは、繊維ウエブ案内路の進入区域及び進出区域の範囲で、上昇又は下降する繊維ウエブ案内路のためウエブ通過方向に又はこれとは逆の方向に傾斜する繊維ウエブへ突刺さる。ニードルパンチが進入区域及び進出区域に限定されるため、比較的僅かな突刺し密度しか得られず、それにより高いフエルト化率が妨げられる点を別としても、縦方向強度の増大が限られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従つて本発明の基礎となつている課題は、これらの欠点を回避し、最初にあげた種類の繊維ウエブをニードルパンチする装置を改良して、繊維ウエブの高いフエルト化率及び縦方向強度の著しい増大が行われるようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため本発明によれば、ベッドプレートの互いに逆向きに傾斜する区域のうち、一方の区域が他方の区域より強く傾斜しかつ他方の区域より繊維ウエブ通過方向に長い。
【0005】
ニードル突刺し範囲は、ベツドプレートの互いに逆向きに傾斜する区域にわたつて延びているだけでなく、これらの区域を接続する移行区域にもわたつて延びているので、普通のニードル数及びニードル密度を保証することができる。更にベツドプレートの異なる傾斜の区域の間の連続的な移行のため、少なくともニードルの突刺しの際ウエブは平らにベツドプレートへ押付けられるので、繊維ウエブへのニードルの突刺し方向はウエブ通過方向に連続的に変化する。従つてベツドプレートの連続的な傾斜移行は、繊維ウエブ表面に対して最も強い傾斜の突刺し方向で繊維ウエブのニードルパンチを行うだけでなく、すべての中間方向でもそれに応じて減少するニードルパンチを行い、それにより特に高いフエルト化率が得られる。
【0006】
これに関し、ベツドプレート例えば穴あき板が、ニードル突刺し範囲全体にわたつてウエブ通過方向に延びる連続的な湾曲を持つていると、特に有利な構造状態が得られる。しかしこの湾曲は一定である必要はない。特に進入区域及び進出区域の範囲における特別な効果を可能にするために、これらの区域は異なる湾曲を持つことができる。この場合凸な湾曲は、凹な湾曲に比較して、湾曲するベツドプレート上に張られる繊維ウエブが平らにベツドプレートへ押付けられ、従つてニードルパンチ中に有利に案内される、という利点を持つている。
【0007】
突刺しの際繊維ウエブはベツドプレートへ押付けられるので、突刺し通路の方向づけにとつて、とりわけニードルに対するベツドプレートの表面傾斜が重要である。従つて一般にベツドプレートとニードルボードとの間に設けられるストリツパプレート及びニードルボードの形状は、ストリツパプレートの機能とニードルの適当な突刺し深さが保証されると、ベツドプレートの構成に関係なく選ぶことができる。ストリツパプレート又はニードルボードがベツドプレートに適合する湾曲を持つていると、例えばベツドプレートの形状に適合するニードルボードの形状が全ニードル突刺し範囲にわたつて同じ長さのニードルの使用を可能にするので、一般に有利な構造状態が生ずる。更に高周波ニードルパンチ装置の大きい荷重に関連して、特にニードルボードの湾曲による強度の増大が重要である。なぜならば大きい強度のため、動かすべき質量を小さくできるからである。
【0008】
ニードルパンチの進行の際繊維ウエブの厚さ減少を考慮する繊維ウエブ案内をベツドプレートとストリツパプレートとの間で行うことができるようにするため、ベツドプレートとストリツパプレートとの間の案内間隙の幅をウエブ通過方向に連続的に減少できるが、これはベツドプレートとストリツパプレートとの間の異なる湾曲経過を必要とする。
【0009】
ニードルボードがベツドプレートと一致する湾曲を持つていると、適当なニードルボード案内により、繊維ウエブへのすべてのニードルの均一な突刺しを行うことができる。同じ長さのニードルで異なる突刺し深さが望まれる場合、ベツドプレートに対してニードルボードをウエブ通過方向に傾斜して設けることができる。別の可能性は、ニードルボードに対して異なる湾曲でニードルボードを構成して、ニードルを順次に突刺すだけでなく、異なる深さで繊維ウエブへ突刺すことである。
【0010】
本発明の特有の効果として、ベツドプレートが、ニードル突刺し範囲で連続的に互いに移行する異なる傾斜の区域に、ニードル突刺し方向に対する優位傾斜を持つていると、繊維ウエブの縦方向強度を著しく増大することができる。この手段により、繊維ウエブは、異なる突刺し方向にただし主として傾斜方向に、従つてウエブ通過方向又はその逆方向に延びる突刺し通路でニードルパンチされる。繊維ウエブ案内路の縦中心に関して非対称な繊維ウエブのこのニードルパンチによつて、そうしない場合交差する突刺しの間の不利な影響が防止され、それにより強度が驚くほど増大する。この事情は特に張られる繊維ウエブの場合有利に利用される。なぜならば、この張られる繊維ウエブは、繊維ウエブの縦方向に対して直角な好ましい繊維位置を示し、従つて縦方向強度に対して著しく大きい横方向強度を持ち、今や本発明によるニードルパンチ過程により、この横方向強度に縦方向強度を有利に適合させることができるからである。
【0011】
ベツドプレートの平均傾斜がウエブ通過方向に減少していると、主としてウエブ通過方向の運動成分をもつて繊維ウエブへ突刺さるニードルによつて、延伸作用が繊維ウエブへ及ぼされ、これは特に張られる繊維ウエブに関連して有利である。なぜならば、そうしない場合後になつて繊維ウエブを縦方向に延伸する必要がなくなるからである。
【0012】
ベツドプレートのウエブ通過方向に上昇するか又は下降する平均傾斜を保証するために、ベツドプレートが、ニードルの突刺し方向に延びかつウエブ通過方向に対して直角な中立面に関して偏心して延びる連続的な湾曲を持つているようにすることができる。ベツドプレートがウエブ通過方向に増大するか又は減少する湾曲を持つていると、別の実施可能性が得られる。ベツドプレートの増大又は減少する湾曲は、異なるニードルパンチの要求への事情によつては有利な適合を可能にするか、繊維ウエブ案内路の縦中心に関して非対称に設けられる円筒区域の形状におけるベツドプレートの構成が、製造に関して利点を与える。
【0013】
図示した装置は、ニードルビーム1に保持される少なくとも1つのニードルボード2を含み、このニードルボード2のニードル3は、ベツドプレート4とストリツパプレート5との間に案内される繊維ウエブへ突刺さる。針通過のため、ベツドプレート4及びストリツパプレート5は穴あき板として構成されている。ニードルボード2を駆動するため、互いに逆向きに駆動される2つの平行なクランク又は偏心輪軸7,8とこれらのクランク又は偏心輪軸7,8上に支持される押し棒9とから形成される推動クランク機構6が役立つ。押し棒9は連絡片10を介して四節リンクのように互いに結合され、平行な腕11から成る揺動片12が連絡片10の中央に枢着されている。この揺動片12の回転軸線は13で示されている。ニードルビーム1は揺動片12により案内されるので、ニードルボード2は、推動クランク機構6を介して、回転軸線13の周りの円弧軌道に沿つて昇降運動せしめられる。回転軸線13の周りの揺動運動のつり合いのため、揺動片12へ枢着軸線14の周りにおける連絡片10のよろめき運動が生ずる。
【0014】
従来の繊維ウエブ案内路とは異なり、ベツドプレート4及びストリツパプレート5は連続的な湾曲を持つているので、ウエブ通過方向15において進入側には上昇する区域16が生じ、また進出側にはこれに対して逆向きに下降する区域17が生じ、図2からわかるように、この下降区域17は移行区域18を介して上昇区域16に連続的に接続されている。従つてストリツパプレート5とベツドプレート4との間に案内される繊維ウエブへのニードル3の平均突刺し方向は、進入側区域16と進出側区域17との間の範囲で、ウエブ通過方向15において繊維ウエブ表面に対して互いに逆向きに傾斜し、中間の移行区域18の範囲における突刺し方向は、繊維ウエブに対して少なくともほぼ直角に延びている。連続的な湾曲のため、突刺し方向が次第に移行するので、表面に対して直角にニードルパンチされる繊維ウエブに比較して横方向強度の減少を甘受する必要なしに、縦方向強度を著しい増大しながら、繊維ウエブの良好な強化が保証される。
【0015】
ニードルパンチと共に進行する繊維ウエブの厚さ減少を繊維ウエブ案内路により考慮できるようにするため、ベツドプレート4とストリツパプレート5との間に生ずる案内間隙19の幅はウエブ通過方向15に減少することができる。この目的のためストリツパプレート5は、一定の湾曲を持つように構成されるベツドプレート4に対して、ウエブ通過方向15に増大する湾曲を持つている。
【0016】
ニードルボード2も、ベツドプレート4及びストリツパプレート5により形成される繊維ウエブ案内路に応じて、同じ長さのニードルの使用を可能にする湾曲を持つように構成されている。更にニードルボード2、ベツドプレート4及びスブトリツパプレート5の湾曲によつて、これらの構造部分の高い強度が得られる。図2からわかるように、ニードルボード2はベツドプレート4とは異なる湾曲を持つように構成できるので、同じ長さのニードル3が、ニードルボード2における位置に関係して、異なる深さで繊維ウエブへ突刺ささる。この異なる突刺し深さは、特別なニードルパンチ効果のために有利に利用することができる。
【0017】
図3及び4の実施例によれば、ニードルボード2は同様に互いに逆向きに駆動される2つの平行なクランク又は偏心輪軸7,8を介して駆動され、このクランク又は偏心輪軸7,8の押し棒は連結片により互いに結合されているが、連結片に突き棒20が枢着されて、ニードルビーム1の直線的昇降運動を行わせる。繊維ウエブ21はベツドプレート4とストリツパプレート5との間の案内間隙19へ駆動ローラ対22を介して供給され、駆動ローラ対23を介して引出され、ベツドプレート4の進入側及び進出側の縁は、進入及び進出する繊維ウエブ21に対してなるべく転向案内部を形成して、ベツドプレート4上に繊維ウエブ21がこのベツドプレート全体にわたつて平らに接するのを保証している。
【0018】
ベツドプレート4及びストリツパプレート5は連続的な湾曲を持つているので、ウエブ通過方向15に異なる傾斜の区域が生じて、互いに連続的に移行している。ウエブ通過方向15とは逆向きの各突刺し方向にウエブ通過方向15の適当な突刺し方向が対向しているため、ニードル3の突刺し方向に対するベツドプレート4の優位傾斜が生じない図2のベツドプレート4とは異なり、図3及び4による傾斜ベツドプレート4はニードルボード2の運動方向に下降しているので、ウエブ通過方向15の成分を持つ突刺しが行われるように、繊維ウエブ21へのニードル突刺しの適当な優位傾斜が生ずる。この傾斜の向きで優勢なこのニードル突刺しは、延伸作用に関連して、繊維ウエブの縦方向強度を特に増大させ、特に張られる繊維ウエブのニードルパンチの際これが有利な影響を及ぼす。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例としての繊維ウエブのニードルパンチ装置の簡単化した側面図である。
【図2】 図1によるニードルパンチ装置のニードルボードの範囲にある繊維ウエブ案内路の拡大側面図である。
【図3】 本発明によるニードルパンチ装置の実施例の図1に対応する側面図である。
【図4】 図3によるニードルパンチ装置のニードルボードの範囲にある繊維ウエブ案内路の拡大側面図である。
【符号の説明】
2 ニードルボード
3 ニードル
4 ベツドプレート
5 ストリツププレート
16,17 ニードルボードの異なる傾斜の区域
Claims (1)
- ニードルパンチ装置が、突刺し方向に往復駆動可能な少なくとも1つのニードルボードと、突刺し方向においてニードルボードに対向する静止ベッドプレートとを持ち、ベッドプレートがニードル突刺し範囲でウエブ通過方向に互いに逆向きに傾斜する区域を形成し、ベッドプレートの互いに逆向きに傾斜する区域の間に、これらの区域へ連続的に移行しかつ同様にニードル突刺し範囲にある移行区域が設けられているものにおいて、ベッドプレートの互いに逆向きに傾斜する区域のうち、一方の区域が他方の区域より強く傾斜しかつ他方の区域より繊維ウエブ通過方向に長いことを特徴とする、繊維ウエブをニードルパンチする装置。
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