JP3840625B2 - 遠隔操作式開栓装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠隔操作式開栓装置に関し、更に詳しくは、洗面槽、浴槽、台所の流しなどの排水口に設けられた排水栓を所謂「ポップアップ方式」により開栓する装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遠隔操作式開栓装置としては、従来より多種多様のタイプのものが提供されており、例えば実開平5−54678号公報、実開平6−46068号公報、実公平7−20222号公報にそれぞれ開示されているように、頂部に排水口の栓蓋を備えた昇降杆の下側部にレバーを配設し、このレバーを遠隔操作により上方に回動(枢動)させて昇降杆及び栓蓋を押し上げて開栓するように構成した装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術のうちの前者の場合は、昇降杆の下側部にレバーを配設するためのスペース及びこのレバーを上下に回動させるためのスペースが必要であるため、例えば洗面槽の場合は、その下部のユニットの容積が狭くなってユニットの有効利用度を低下させる問題があると共に、レバーを円滑に上下回動させるための構造を負荷する必要があり、故障の発生も多いといった問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決することを課題として研究開発されたもので、各種の水廻り装備品における排水口の下部の有効容積を狭める割合が少なく、構造上保守点検しやすいといった利点を有する遠隔操作式開栓装置を安価に提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、水槽(W)の底部に開設した排水口に具えられた排水栓(3)の昇降を遠隔操作にて行う装置に関し、その操作部(B)は、押し込み型の操作釦(5a)と、操作釦(5a)の1回の押し込み操作毎に、前記排水栓(3)を開放位置と閉鎖位置とに交互に保持させるためのロック機構(L)を介して、操作部(B)から延設した挿通チューブ(7)内のワイヤー(5b)の端部に接続されていることを特徴とし、前記ワイヤー(5b)のもう一方の端部に、遠隔操作により進退する押動部材(6)を、その先端を対向させて横向きに配設し、その先端を、頂部に栓蓋(3b)を備えた昇降杆(3a)の下方部に配設した通水部を備えた下窄みテーパー状の摺接部(3c1)に当接摺動させ、その摺接作用により上昇ガイド部材(12)を介し昇降杆(3a)及び排水栓(3)を上昇させて排水口を開口するように構成したことを特徴とする遠隔操作式開栓装置を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、上記のように構成した遠隔操作式開栓装置において、上記ロック機構を、筒形のケーシング(4)の内周面に形成した円柱形のワンウェイカム(8)と、前記操作釦(5a)の支持軸(5)に取り付けられて、上記ワンウェイカム(8)と、係合する接触子(9)と、操作釦(5a)の復帰ばね(10)とで構成したことを特徴とする遠隔操作式開栓装置を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、上記のように構成した遠隔操作式開栓装置において、復元弾性を有する可撓性部材により押動部材を構成した遠隔操作式開栓装置、及び非可撓性部材により押動部材を構成した遠隔操作式開栓装置、及び昇降杆の下方部に取り付けた目皿により上昇ガイド部材を構成した遠隔操作式開栓装置を夫々提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明すれば、図1は本発明の第1の実施の形態を示すもので、同図において、Aは排水装置本体を示し、Bは排水装置本体(A)の排水栓の操作部を示している。
【0009】
而して、上記排水装置本体Aは、この実施の形態では、オーバーフロー型洗面槽(W)の排水管取付孔(W1)に挿設した排水基管(1)と、この排水基管(1)の下部に連結した排水導出官(2)と、排水基管(1)の排水口(1a)を開閉する排水栓(3)とから構成されており、排水基管(1)には洗面槽(W)からのオーバーフロー水の導入口(1b)及び上部の目皿(1c)が設けられている。
【0010】
また、上記排水導出官(2)の上方部側面には、後述する操作部(B)の操作により進退する押動部材を収容するため套管(2a)が外方に向かって水平に突設されている。
【0011】
更に上記排水栓(3)は、比較的に短寸法の昇降杆(3a)の頂部に排水口(1a)の栓蓋(3b)を一体的に設けると共に、下方部に目皿から成る昇降杆(3a)の上昇ガイド部材(3c)を一体的に設けて構成されている。
【0012】
而して、目皿か成る上記上昇ガイド部材(3c)は、外周に目皿特有の下窄みテーパー状の摺接部(3c1)を備えると共に、複数の通水部(3c2)を備えており、このようにして構成された排水栓(3)を上記排水口(1a)から排水基管(1)、排水導出官(2)内に挿通して、その栓蓋(3b)により排水口(1a)を被蓋密閉した際に、目皿から成る上昇ガイド部材(3c)の下窄みテーパー状の摺接部(3c1)の上方部が、前記押動部材(6)を収容する套管(2a)の内側開口部に位置するように寸法設計されている。
【0013】
次に、前記排水栓(3)の操作部(B)は、この実施の形態では、洗面槽(W)のエプロン部(W2)に貫通固設したケーシング(4)内に、排水栓(3)の開放状態を保持するロック機構(L)を設けており、このロック機構(L)は、前記ケーシング(4)内周面に形成した円柱形のワンウエイカム(8)と、該ケーシング(4)内に挿通されて頂部に操作釦(5a)を備え、下端部に所要長さのピアノ線などの鋼線であるワイヤー(5b)を備えた支持軸(5)に取り付けられて、前記ワンウェイカム(8)と係合する接触子(9)と、前記操作釦(5a)の復帰ばね(10)を備えている。前記排水導出管(2)の外側面に突設した套管(2a)内に、この実施の形態では、図8の(イ)に明示するように、密に捲回したコイルスプリング即ち、復元弾性を有する可撓性部材から成る押動部材(6)を挿入し、該押動部材(6)の基端部に一体的に固設した硬質合成樹脂製の係合部(6a)内に前記支持軸(5)のワイヤー(5b)の先端拡大頭部(5b1)を埋設係合して構成されている。
【0014】
上記のように構成した第1の実施の形態の使用状態を説明すれば、排水基管(1)の排水口(1a)の栓蓋(3b)を上昇して開栓する場合は、遠隔操作部(B)の操作釦(5a)を押圧し、支持軸(5)を降下させてワイヤー(5b)を前進させ、該ワイヤー(5b)の先端に係着した押動部材(6)をケーシング(4)内で前進させればよい。
【0015】
押動部材(6)が前進すると、その先端が目皿(14)から成る上昇ガイド部材(12)の下窄みテーパー状の摺接部(12b)に当接して摺動し、その摺動作用により該上昇ガイド部材(12)を介して支持軸(5)及び栓蓋(3b)を上昇させるので、栓蓋(3b)は上がって排水口(1a)は開口され、洗面槽(W)内に溜まっていた水は確実に排水されるものであり、排水が終了したら、操作釦(5a)を再度押圧して支持軸(5)、ワイヤー(5b)及び押動部材(6)を元の位置に後退復帰させればよく、押動部材(6)が後退すると、排水栓(3)は自重により排水管内を降下して、排水口(1a)を覆閉するものである。
【0016】
上記のように1回の押釦操作毎に、排水栓(3)を交互に閉じたり開いたりするロック機構は以下に述べるように作動する。図4の(a)に示すように、排水栓の操作位置にある操作釦(5a)を同図(b)のように押し入れると、ワイヤー(5b)が押されて排水栓(1)を開く一方、ワンウェイカム(8)の底部の突起(8a)に二股形の接触子(9)の一端が接して傾く。押釦操作を開放すると、復帰ばね(10)に付勢される支持軸(5)が後退するが、傾斜した接触子(9)が同図cに示すようにワンウェイカム(8)の一側の掛止部(8b)に支えてロックされ、排水栓(1)の開放状態をケーシング(4)内で保持する。
【0017】
排水栓(3)を閉鎖するときは、図5の(d)に示すように、再び操作釦(5a)を最深部まで押し込むが、このとき、接触子(9)は傾斜したまま押し込まれ、底部の突起(9a)とは接触して傾斜の少ない状態で復帰するようになり、その復帰行程で、接触子(9)の一端がワンウェイカム(8)の他側の緩斜面部(8c)に先に接して半回転し、接触子(9)の他端を前記掛止部(8b)に掛止させることなく、図4の(a)の位置に復帰し、ワイヤー(5b)の復動により排水栓(3)を閉栓状態に復位させる。
【0018】
次に、図2は本発明の第2の実施の形態を示しており、第1の実施の形態と相違しているのは、上昇ガイド部材の構造と、上下二段に設けた下部の目皿の配設位置のみであって、その他の点では殆ど相違しない。従って、第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号が付してある。
【0019】
この実施の形態における上昇ガイド部材(12)は、図2に略示したように、排水導出管(2)の上方部内面に突設した環状の受止部(13)上に硬質合成樹脂製のリング状体(12a)を昇降自在に載置し、このリング状体(12a)の周縁の少なくとも一ヶ所に硬質合成樹脂製の細巾の板状体から成る下窄みテーパー状の摺接部(12b)を設けると共に、通水部(12c)を設けて構成されており、下部の目皿(14)をオーバーフロー水の導入口(1b)下辺縁に接近させて排水栓(3)の昇降杆(3a)に取り付けてある。
【0020】
また、この実施の形態では、詳細には図示していないが、上昇ガイド部材(12)を構成しているリング状体(12a)の中心部に設けた架橋(図示せず)及び突起(15)を介して昇降杆(3a)を上昇ガイド部材(3c)上に一体的に立設してあり、上記のように構成した上昇ガイド部材(12)の下窄みテーパー状の摺接部(3c1)を押動部材(6)の先端部に対向させて配置してある。
この実施の形態の作用、効果は第1の実施の形態の場合と殆ど相違しないが、下部の目皿(14)を上昇ガイド部材(12)と兼用させていないので、若干コスト高になる問題がある。
【0021】
さらに、図7は本発明の第3の実施の形態における排水栓(3)のみを示しており、上記第2の実施の形態と相違しているのは、昇降杆(3a)の下端に設けたガイド部材(16)を4枚の突片(16a)の外側面から成る下窄みテーパー状の摺接部(16b)により構成すると共に、各突片(16a)間の各間隙により通水部(12c)を構成した点と、上部の目皿(1c)を昇降杆(3a)に取り付けた点のみであって、その作用、効果は第2の実施の形態と殆ど相違しない。
【0022】
次に、図8(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)は夫々押動部材(6)の異なった態様を示しており、以下、これらについて説明するが、図8の(イ)に示す押動部材(6)については、第1の実施の形態で説明したので、その説明を省略する。
【0023】
図8の(ロ)に示す押動部材(6)は、第1の実施の形態で述べたように、密に捲回したコイルスプリングから構成された復元弾性を有する可撓性部材であるため、その可撓性による作用、効果は第1の実施の形態の場合と同一であるが、この押動部材(6)の基端部に一体に設けられた進退操作体はワイヤー(5b)ではなく、剛性を備えた非可撓性部材の細棒(5c)から構成されている。従って、この非可撓性部材の細棒(5c)に一体的に連結した押動部材(6)は操作部(B)を横向きに配設して、支持軸(5)を横方向に進退させる場合に適用するものである。
【0024】
図8の(ハ)に示す押動部材(6)は、密に捲回したコイルスプリングではなく、剛性を備えた硬質合成樹脂、その他の非可撓性の部材から成る短い細棒で構成されており、その基端部の係合部(6a)内に、前記支持軸(5)のワイヤー(5b)の先端拡大頭部(5b1)を埋設係合したものである。
【0025】
また、図8の(ニ)に示す押動部材(6)は、図8の(ロ)に示した、剛性を備えた非可撓性部材の長い細棒(5c)から成る進退操作体自体の先端部分で構成されているので、この押動部材(6)は操作部(B)を横向きに配設して、その支持軸(5)を横方向に進退させる場合に適用するものである。
【0026】
以上、本発明の主要な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば洗面槽以外に、浴槽、台所の流しなどの排水口の栓蓋にも適用できるものであって、発明の目的を達成でき且つ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更が可能であることは当然である。
【0027】
【発明の効果】
(1) 請求項1の発明によれば、押動部材は、その先端を上昇ガイド部材の側面に対向させて横向きに配置してあって、横方向に進退して栓蓋を開閉操作するものであるから、既述したレバータイプの場合のように排水栓の昇降杆の下側のスペースをレバー、その他の部材で占めることがなく、例えば洗面槽下部の収納ユニットの有効容積を狭めることがなく、ユニット内を有効に利用できる多大な利点があると共に、構造が簡単であるため故障が少なく、保守点検も容易であり、且つ安価に提供できる利点がある。
【0028】
(2) また請求項2の発明によれば、排水栓を開放位置と閉鎖位置とに交互に保持させるためのロック機構を備えたことにより、排水栓の開閉操作を確実に行うことができる。またロック機構を操作部に設けたので、保守点検が容易である。
【0029】
(3)また、請求項3の発明によれば、復元弾性を有する可撓性部材により押動部材を構成したので、上記の利点に加えて、開栓状態にあるときに、誤って栓蓋を手などで押さえ込んでも、押動部材は弾曲して折損することがなく安全に対応できる利点があり、且つ押込圧力が解除されると円滑に元の状態に戻り得る。
【0030】
(4)また、請求項5の発明によれば、昇降杆の下方部に取り付けた目皿により上昇ガイド部材を構成したので、前記の利点に加えて、目皿としての機能を発揮させつつガイド効果を達成でき、一層経済的で安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す要部の縦断正面図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態を示す要部の縦断正面図である。
【図3】 操作部のロック機構を示す分解斜視図である。
【図4】 操作部のロック機構の作動を示す説明図である。
【図5】 図4の続きの説明図である。
【図6】 図5の続きの説明図である。
【図7】 本発明の第3の実施の形態における排水栓のみを示す斜視図で
ある。
【図8】 図8の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)はそれぞれ押動部材の
異なった実施の形態を示す正面図である。
【符号の説明】
A 排水装置本体
B 操作部
L ロック機構
1 排水基管
1a 排水口
1b オーバーフロー水の導入口
1c 上部の目皿
2 排水導出管
2a 套管
3 排水栓
3a 昇降杆
3b 栓蓋
3c 上昇ガイド部材
3c1 下窄みテーパー状の摺接部
3c2 通水部
4 ケーシング
5 支持軸
5a 操作釦
5b ワイヤー
5b1 先端拡大頭部
5c 細棒
6 押動部材
6a 係合部
7 挿通チューブ
8 ワンウェイカム
8a 突起
8b 掛止部
8c 緩斜面部
9 接触子
10 復帰ばね
11 緊締ナット
12 上昇ガイド部材
12a リング状体
12b 下窄みテーパー状の摺接部
12c 通水部
13 環状の受止部
14 下部の目皿
15 突起
16 ガイド部材
16a 突片
16b 下窄みテーパー状の摺接部
16c 通水部
W 水槽
W1 排水管取付孔
W2 エプロン部
Claims (5)
- 水槽(W)の底部に開設した排水口に具えられた排水栓(3)の昇降を遠隔操作にて行う装置に関し、その操作部(B)は、押し込み型の操作釦(5a)と、操作釦(5a)の1回の押し込み操作毎に、前記排水栓(3)を開放位置と閉鎖位置とに交互に保持させるためのロック機構(L)を介して、操作部(B)から延設した挿通チューブ(7)内のワイヤー(5b)の端部に接続されていることを特徴とし、前記ワイヤー(5b)のもう一方の端部に、遠隔操作により進退する押動部材(6)を、その先端を対向させて横向きに配設し、その先端を、頂部に栓蓋(3b)を備えた昇降杆(3a)の下方部に配設した通水部を備えた下窄みテーパー状の摺接部(3c1)に当接摺動させ、その摺接作用により上昇ガイド部材(12)を介し昇降杆(3a)及び排水栓(3)を上昇させて排水口を開口するように構成したことを特徴とする遠隔操作式開栓装置。
- 前記ロック機構(L)は、筒形のケーシング(4)の内周面に形成した円柱形のワンウェイカム(8)と、前記操作釦(5a)の支持軸(5)に取り付けられて、上記ワンウェイカム(8)と、係合する接触子(9)と、操作釦(5a)の復帰ばね(10)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作式開栓装置。
- 復元弾性を有する可撓性部材により押動部材(6)を構成した請求項1に記載の遠隔操作式開栓装置。
- 非可撓性部材により押動部材(6)を構成した請求項1に記載の遠隔操作式開栓装置。
- 昇降杆(3a)の下方部に取り付けた目皿(14)により上昇ガイド部材(12)を構成した請求項1、2、3、4のいづれか一に記載の遠隔操作式開栓装置。
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JP35601397A Expired - Lifetime JP3840625B2 (ja) | 1997-11-18 | 1997-11-18 | 遠隔操作式開栓装置 |
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