JP3835927B2 - 有機性廃棄物の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、性状や濃度が異なる複数種類の有機性廃棄物を同一処理系で処理し、有用物質を回収する有機性廃棄物の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より有機性廃棄物の再資源化が図られており、たとえば特開平9−201699号には、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜ふん尿、生ごみ、食品廃棄物など、性状や濃度が異なる有機性廃棄物を同一システムにおいて処理して有用物質を回収し、資源化する方法が開示されている。
【0003】
この方法は、図2に示したようなものであり、し尿、浄化槽汚泥、農集汚泥、下水汚泥、家畜ふん尿を除渣工程#31において除渣し、固液分離工程#32において液状廃棄物31と脱水汚泥32とに分離し、液状廃棄物31は、生物処理工程#33でBOD分解並びに必要に応じて脱窒素し、固液分離工程#34で浮遊物を除去し、高度処理工程#35でCODや色素成分や鉄・マンガンなどの重金属類を除去し、消毒して放流水または再利用水としている。
【0004】
一方、生ごみや食品廃棄物は、破砕・分別工程#36において破砕し、プラスチック袋やトレーなどを分別した後に、上記した脱水汚泥32と混合して、嫌気性発酵工程#37においてメタン発酵させ、発生したメタンガス33を回収して、発電工程#38などにより電気や熱の形態として使用に供するとともに、消化汚泥34を脱水工程#39で脱水汚泥35とし、コンポスト化工程#40などに送って肥料や固形燃料や乾燥汚泥として回収しており、脱水濾液36は生物処理工程#33へ送って処理している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、廃棄物や廃水中に含まれるリンは、鉄系あるいはアルミ系の凝集剤の添加によって除去するのが一般的な手法であり、上記したフローにおいて脱リン効果が得られるのは、固液分離工程#32、生物処理工程#33、脱水工程#39である。
【0006】
しかしながら、固液分離工程#32で凝集剤を添加すると脱水汚泥32に凝集剤が含まれ、生物処理工程#33で凝集剤を添加する場合も、通常は余剰汚泥を固液分離工程#32へ返送しているために、脱水汚泥32に凝集剤が含まれることになり、いずれの場合も、脱水汚泥32によって嫌気性発酵工程#37へ凝集剤が持ち込まれ、発酵阻害が生じる恐れがある。
【0007】
また脱水工程#39で凝集剤を添加すると、し尿等から液状廃棄物31に移行するリンを除去できず、一方では脱水汚泥35に凝集剤が含まれることになるため、コンポスト化した時に植物の生育阻害を来す恐れがある。
【0008】
また、固液分離工程#32、生物処理工程#33、脱水工程#39のいずれの工程で凝集剤を添加しても、発生する汚泥量が増加し、最終的な脱水汚泥35の発生量が増大するため、有効利用しきれない恐れがある。
【0009】
本発明は上記問題を解決するもので、リンなどの有用物質を効率のよい形態で回収できる有機性廃棄物の処理方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明の有機性廃棄物の処理方法は、性状や濃度が異なる複数種類の有機性廃棄物を同一処理系で処理し、有用物質を回収するに際して、し尿、浄化槽汚泥などのスラリー状の有機性廃棄物を固液分離工程に導入して固液分離し、固液分離工程で分離した固形分を嫌気性発酵工程へ導入するとともに、生ごみなどの不均質な有機性廃棄物を破砕分別した後に嫌気性発酵工程へ導入して、嫌気性条件下で発酵させてメタンガスを回収し、前記嫌気性発酵工程で発生した消化汚泥を脱水工程に導き、脱水して、脱水ケーキを回収し、この脱水工程で脱離した脱離液を前記固液分離工程で分離した分離液と混合して脱リン工程に導き、晶析法により脱リンすることによってリン成分をリン酸マグネシウムアンモニウムとして回収し、脱リンした混合液を生物処理工程に導いて生物処理するようにしたものである。
【0011】
上記した構成によれば、鉄系やアルミ系の凝集剤を用いることなく、処理系から効率的に脱リンすることができる。したがって、従来のように鉄系やアルミ系の凝集剤が嫌気性発酵工程に持ち込まれることがないため、発酵阻害が生じることはなく、また凝集剤に起因する汚泥量の増大がないため、嫌気性発酵工程の発酵槽は小さくてよく、発酵槽を加温する熱量も少なくてすみ、最終的に回収する脱水ケーキ量も少なくなるので、肥料、土壌改良材原料などとして有効に利用できる。しかも、リン成分はリン酸マグネシウムアンモニウムとして回収されるので、肥料(原料)として再資源化できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1において、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜ふん尿などのスラリー状の有機性廃棄物は、除渣工程#1において、含まれるし渣の大きさに応じた適当なスクリーンで除渣する。この除渣工程#1は後段の脱水機等の保護のために行うもので、必要のない場合は省略可能である。
【0013】
除渣した有機性廃棄物1を固液分離工程#2に導き、固液分離して脱水汚泥3と分離液4とする。この固液分離工程#2は、所望の汚泥含水率に応じて、遠心脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス、回転円盤型脱水機等の脱水機、あるいは濃縮スクリーンや重力濃縮槽などによって行う。系外で固液分離して脱水ケーキ等とするようにしてもよい。
【0014】
一方、生ごみ、食品廃棄物など、プラスチック類などの発酵不適物を含んでいたり、不均質であったりする、その他の有機性廃棄物は、除渣工程#1で分離されたし渣5とともに、破砕・分別工程#3において破砕し、プラスチック袋やトレーなどを分別する。
【0015】
破砕分別した破砕物6と上記した脱水汚泥3とを嫌気性発酵工程#4に導入し、TS(全蒸発残留物)濃度を調整し、約55℃に維持されるように加温する状態においてメタン発酵させる。これにより、破砕物6と脱水汚泥3とは、互いに異質の成分、たとえば微量元素(Fe,Ni,Co等)が混合されることによる効果もあって、短い日数で効率よくメタン発酵する。
【0016】
発生したメタンガス7は回収し、従来と同様にして硫化水素、水分等を除去して、電気や熱として使用に供する。消化汚泥8は脱水工程#5に導いて、上述したのと同様の脱水機により脱水し、脱水ケーキ9を回収して、従来と同様にして肥料や固形燃料や乾燥汚泥(ペレットを含む)とする。
【0017】
脱水工程#5における脱水濾液10は、固液分離工程#2で分離した分離液4とともに脱リン工程#6に導き、晶析法によって脱リンする。
晶析法は、脱水濾液10と分離液4との混液に対して、pH8.5〜9.0、かつ[Mg]/[P]=1.0〜1.2となるように、苛性ソーダ、塩化マグネシウムを添加し、曝気攪拌することで、
PO4 3- +NH4 ++Mg2+→MgNH4 PO4
で示される反応によってリン酸マグネシウムアンモニウムを析出させるものである。
【0018】
この析出したリン酸塩結晶11は分離回収して、肥料原料とする。脱リン液12は生物処理工程#7に導いて、BOD分解および必要に応じて脱窒素し、生物処理水13を図示を省略した後段の処理に導く。余剰汚泥14は固液分離工程#2へ返送して、上記と同様にして処理する。
【0019】
なお、破砕・分別工程#4では、有機性廃棄物を、一軸破砕機などの粗破砕機で粗破砕し、次いで圧縮破砕機で200〜250kg/cm2 の高圧にて圧縮破砕するのが望ましい。脱水汚泥3をこの段階で混合することも可能である。
【0020】
この方法によれば、有機性廃棄物やそれに随伴するプラスチック類等は、一軸破砕機で粒径20〜100mm以下に粗破砕された後に、圧縮破砕機で高圧にて圧縮破砕されて、破砕排出孔の孔径に応じた粒径1〜2mm以下の細粒子状の破砕物となって排出され、破砕不能なし渣、プラスチック類、金属類、石・砂などの発酵不適物は残留して自動的に分別される。
【0021】
細粒子状の破砕物は、細胞膜も一部破壊されているため生物分解性が非常に大きく、従来は破砕困難であったために排除されていた有機性廃棄物や、発酵不適物に付着して排除されていた有機性廃棄物も破砕物の中に含まれることもあって、メタンガスなどとしての有機成分の回収率が非常に高くなる。
【0022】
嫌気性発酵工程#4に投入する有機性廃棄物の濃度は、発酵槽内で流動性を保つことができる程度であればよく、発酵槽内の加温(保温)のためのエネルギー消費量を考慮すると、TS濃度10〜15%に調整するのが有利な場合がある。消化汚泥8の一部を脱水機や槽内外に配置した濾過膜などで濃縮して発酵槽内へ返送(残留)させることでメタン菌濃度を高めたり、あるいは脱水汚泥3を約70〜80℃で3日間維持すること等によって可溶化しておけば、発酵効率はより高まる。
【0023】
生物処理工程#7のための装置としては、セラミック管状膜や平板状有機膜などの膜エレメントを有する外圧型膜分離装置を生物処理槽内に浸漬設置したタイプのものが、微生物を高濃度に維持でき、清澄な処理水が得られ、後段の沈殿池などによる固液分離工程が不要になるため好都合であるが、種々変更可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、生ごみなどを嫌気性条件下で発酵させ、発生した消化汚泥を脱水し、脱離液を、し尿、浄化槽汚泥などより分離した分離液と混合して、リン成分をリン酸マグネシウムアンモニウムとして回収するようにしたことにより、鉄系やアルミ系の凝集剤を用いることなく処理系から効率的に脱リンすることができ、回収したリン酸マグネシウムアンモニウムは肥料(原料)として利用できる。
【0025】
この処理方法は、凝集剤を使用する従来の処理方法に比べて、凝集剤に起因する発酵阻害を防止できるとともに、汚泥量の増大をなくすことができ、発酵槽の小型化、発酵槽を加温するための熱量の低減、肥料、土壌改良材原料などとしての汚泥の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における有機性廃棄物の処理方法を説明するフローチャートである。
【図2】従来の有機性廃棄物の処理フローを示したフローチャートである。
【符号の説明】
3 脱水汚泥
4 分離液
6 破砕物
7 メタンガス
8 消化汚泥
9 脱水ケーキ
10 脱水濾液
11 リン酸塩結晶
12 脱リン液
Claims (1)
- 性状や濃度が異なる複数種類の有機性廃棄物を同一処理系で処理し、有用物質を回収するに際して、し尿、浄化槽汚泥などのスラリー状の有機性廃棄物を固液分離工程に導入して固液分離し、固液分離工程で分離した固形分を嫌気性発酵工程へ導入するとともに、生ごみなどの不均質な有機性廃棄物を破砕分別した後に嫌気性発酵工程へ導入して、嫌気性条件下で発酵させてメタンガスを回収し、前記嫌気性発酵工程で発生した消化汚泥を脱水工程に導き、脱水して、脱水ケーキを回収し、この脱水工程で脱離した脱離液を前記固液分離工程で分離した分離液と混合して脱リン工程に導き、晶析法により脱リンすることによってリン成分をリン酸マグネシウムアンモニウムとして回収し、脱リンした混合液を生物処理工程に導いて生物処理することを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
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