JP3970163B2 - 有機性廃棄物の処理方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水、廃水、し尿等のリン、窒素を含有する有機性廃棄物からメタン、リン、窒素を回収する方法及び装置に係わり、特に、該処理工程から発生する汚泥を嫌気性消化処理した後、リン酸マグネシウムアンモニウム(以下「MAP」ともいう)を効率的に回収し、更に消化槽におけるスケールトラブルの低減、及び薬品使用量の低減が可能な有機性廃棄物の処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水・廃水・し尿等のリン・窒素を含む有機性廃水の処理施設では、まず、最初沈殿池において生汚泥を固液分離し、該分離された上澄み液を活性汚泥処理して有機物を除去している。活性汚泥処理で増殖した活性汚泥は余剰汚泥として排出される。その過程で、廃水中のリンは、生汚泥及び余剰汚泥中に濃縮される。このような処理で出る生汚泥や余剰汚泥は、いわゆる有機性廃棄物に属するが、その生成量は厖大な量となるので、従来はなるべく外部に排出される量が少なくなるようにその処理施設の一部で処理するようになされている。通常、生汚泥と余剰汚泥は、汚泥の処理工程に送られ、嫌気性消化槽で、汚泥の安定化、汚泥の減量化、メタンガスの回収が行われる。
【0003】
しかし、汚泥の消化工程では、濃縮されたリン及びアンモニウムが汚泥の消化により液側へ放出され、リン濃度は100〜600mg/リットル、アンモニウム濃度は500〜3000mg/リットルにまで上昇する。液中にはマグネシウムも含まれており、pHが上昇することで、嫌気槽内が過飽和状態となり、MAPが自然発生的に生成した。これらのMAPは、配管内でスケールとなって堆積し、配管の詰まりなどの間題が生じていた。
有機性廃棄物の1種である食品廃棄物、畜産廃棄物を嫌気性消化する過程においても、同様に、液中にリン、アンモニウム、マグネシウムが多量に溶出し、pHが上昇することでMAPが自然発生的に生成していた。
【0004】
消化槽から抜き出された消化汚泥は、脱水等の固液分離工程で含水率の下がった脱水汚泥(濃縮消化汚泥)と、高濃度のリンとアンモニウムを含有した脱離液に分離される。脱水工程でも、局所的な濃度分布によりMAPが析出し、脱水機の駆動部分等に固着して、脱水機の性能が低下するトラブルも生じた。
消化脱離液は、返流水として水処理工程に返送されるのが一般的であり、通常、最初沈殿池に返送される。しかし、高濃度のリン、アンモニウムを含む脱離液が返送されると、水処理系のリン負荷が増加する。リンの返水量は、処理場流入リンの10〜40%にも及ぶ。
過剰なリンが水処理系に流入すると、生汚泥、余剰汚泥として排出されないリンが多くなり、それらは処理水と共に放流される。リンの放流は、アオコ、赤潮等の富栄養化問題の原因となっている。
【0005】
リンは、21世紀にも枯渇が予想されている貴重な資源であり、今日では回収することが望ましい。脱水された消化濃縮汚泥中には、多量のMAPが含まれ、それらは回収されることなく焼却等の処分がされていた。その量は、下水の場合、処理場流入リンに対し10〜40%にも及ぶ。
以上、説明したように、消化槽でリン、アンモニウム濃度が高い廃水を生じることで、水処理系のリン負荷の増加、結晶物のスケールトラブル、富栄養化、リン資源の廃棄等の問題があった。
【0006】
そこで、脱離液、或いは、汚泥処理工程の返流水からリンをMAPで回収し、水処理工程のリン負荷を少なくしようとする方法が実用化された。この方法は、消化脱離液等にマグネシウムと、場合によってはアルカリを添加し、積極的にMAPを析出させ、回収するものである。
MAPを回収する装置としては、流動層方式、完全混合方式、種晶循環方式等があるが、高速処理が可能な流動層方式を用いることが多い。流動層方式は、予め反応槽内に種晶を充填させて、該種晶の表面で生成物を結晶化させる方法である。種晶には、生成物と同一の固形物が好ましいが、砂などの媒体に生成物をコーティングしたものでも良い。
【0007】
ところで、特許文献1によると、し尿、浄化槽汚泥などの有機性廃棄物を固液分離し、該濃縮汚泥と生ごみなどの有機性廃棄物を破砕分別した廃棄物を嫌気性発酵工程へ導入し、発生した消化汚泥を脱水することで生じる分離液を、前記固液分離工程で分離した分離液と混合して脱リン工程に導き、MAPを回収することが記されている。この発明の効果として、凝集剤に起因する発酵阻害を防止できるとともに、汚泥量の増大をなくすことができ、発酵槽の小型化、発酵槽を加温するための熱量の低減、肥料、土壌改良剤原料などとしての汚泥の有効利用を図ることができる。
しかし、この発明においても、有機性廃棄物を固液分離する過程で生じる分離液中のリンが比較的少なく、ほとんどのリンが汚泥中に含まれて、嫌気性発酵されていた。そのため、嫌気性発酵槽内で、MAPが祈出し、スケールトラブル等の間題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−300311号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
問題点1
前記したように、有機性廃棄物の代表例である余剰汚泥等の消化工程では、MAPが自然発生的に生成していた。これらのMAPは、配管内でスケールとなって堆積し、配管の詰まりなどの問題が生じていた。また、消化槽で発生したMAPは、後段の脱水機で脱水ケーキとして排出され焼却等の処分がなされた。したがって、処理場に流入したリンの全量に対するリンの回収量が低かった。
【0010】
今日、エネルギー回収、汚泥減量という点から、嫌気性消化槽の効率化が図られている。例えば、生汚泥、余剰汚泥、生汚泥と余剰汚泥を混合した混合汚泥を、物理・機械的処理や化学的液化処理、加温処理などを行うことで汚泥を可溶化し、後段の嫌気性消化工程におけるメタンガスの回収率の向上、汚泥の減量化を行っている。物理・機械的処理には、超音波処理、ミルによる破砕処理、化学的液化処理には、オゾン、過酸化水素、酸、アルカリによる処理、加温処理は、好熱菌による処理などがある。
このような処理で汚泥の消化・分解量が増加すればするほど、汚泥中に含まれている、窒素、リン、マグネシウムなどの物質が液中に溶解する。したがって、消化槽内でのMAPの生成量が更に増加していた。
【0011】
問題点2
流動層方式でMAPを回収する場合の課題として、微細MAPの生成によるリン回収率の低下がある。微細MAPは、液中のリン濃度、アンモニウム濃度、あるいはpHが高いと生成する。微細MAPは充分な沈降速度を持っていないため、反応槽から流出し、リンの回収率が低下する。この課題を解決するために、脱リン処理した処理水を反応槽に循環させることで、反応リン濃度を低下させていた。
通常、嫌気性消化の脱離液中のリン濃度は100〜600mg/リットル、アンモニウム濃度は500〜3000mg/リットルであり、アンモニウム濃度はリンに対し数倍高い。しかもMAPの生成時のリンとアンモニウムの除去比は、リン1kgに対しアンモニウム0.45kgであり、処理水質は、リン濃度が低くなっても、アンモニウム濃度は僅かに低下している程度である。このような液を循環させても、アンモニウム濃度は低下させることができず、高濃度のまま脱リン処理せざるを得なかった。
【0012】
問題点3
従来、MAP生成時に不足するマグネシウムは、薬品として添加していた。添加薬品は、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ドロマイトなどがある。従来、脱リン処理量の増加と共に、これらの薬品使用量は増加し、ランニングコストが増加した。
本発明の課題は、主に上記3つの問題点を解決した有機性廃棄物の処理方法及び装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の手段によって上記の課題を解決した。
(1)有機性廃棄物からリン酸イオンを吐き出させる吐き出し工程、該吐き出した処理をした有機性廃棄物を濃縮する濃縮工程、濃縮した有機性廃棄物を可溶化処理する可溶化工程、可溶化処理した有機性廃棄物を嫌気性消化する嫌気性消化工程、嫌気性消化した有機性廃棄物を固液分離する固液分離工程、及び脱リン工程からなり、前記濃縮工程の脱離液と前記固液分離工程からの消化脱離液とを混合し、脱リン工程でリン酸マグネシウムアンモニウムを生成することを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
(2)前記吐き出し工程は、有機性廃水の生物学的処理からの余剰汚泥と、生汚泥を含む有機性廃棄物、或いは前記有機性廃水の一部とを混合したものを嫌気的条件下で処理することを特徴とする前記(1)記載の有機性廃棄物の処理方法。
(3)前記可溶化した有機性廃棄物の一部を前記吐き出し工程に返送することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の有機性廃棄物の処理方法。
(4)前記吐き出し工程の脱離液を、メタン発酵処理をした後、脱リン工程に投入することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の有機性廃棄物の処理方法。
【0014】
(5)有機性廃棄物からリン酸イオンを吐き出させる吐き出し処理装置、該吐き出し処理をした有機性廃棄物を濃縮する濃縮装置、濃縮した有機性廃棄物を可溶化処理する可溶化処理装置、可溶化処理した有機性廃棄物を嫌気性消化する嫌気性消化装置、嫌気性消化した有機性廃棄物を固液分離する固液分離装置、脱リン工程を行う脱リン装置を有し、前記濃縮装置の脱離液と前記固液分離装置からの消化脱離液を混合し、前記脱リン装置でリン酸マグネシウムアンモニウムを生成することを特徴とする有機性廃棄物の処理装置。
【0015】
本発明で処理する有機性廃棄物としては、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農業汚泥、家畜ふん尿、生ごみ、食品廃棄物などが挙げられ、大体は液のスラリとなっているか、あるいは固体状でも水分がかなり多いものである。その処理を円滑に行わせるには、それ自体がスラリ状でないものは排水などに投入してスラリ状として処理することが好ましい。
本発明の処理方法において、その特徴とするところは、その全体の処理に先立って有機性廃棄物についてリン吐き出しの処理をすることにある。このリン吐き出しの処理を行う工程、すなわち、リン吐き出し工程は有機性廃棄物を絶対嫌気的状態にすることにより実施される。有機性廃棄物は絶対嫌気により一部、その中のリンが液中に溶出する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照にして詳細に説明する。
なお、実施の形態及び実施例を説明する全図において、同一機能を有する構成要素は同一の符号を付けて説明する。
図1〜4は、本発明の処理方法による一例のフローシートを示す。この例では、有機性廃棄物として有機性廃水の生物学的処理により生じる余剰汚泥を用い、副次的に別の有機性廃棄物である初沈汚泥を有機物BOD源として途中の工程で添加するようにしたものである。本発明の有機性廃棄物の処理を実施するための処理装置は、余剰汚泥貯留槽1、リン吐き出し槽2、汚泥濃縮装置3、汚泥可溶化槽(装置)4、嫌気性消化槽5、脱水機6、脱リン装置7からなる。余剰汚泥貯留槽1とリン吐き出し槽2は兼用することも可能である。
【0017】
この処理装置において、余剰汚泥8は余剰汚泥貯槽1からリン吐き出し槽2に投入される。余剰汚泥中のリンの吐き出しは、嫌気的条件下で、BODを添加することで行われる。BOD源には、生汚泥を含む有機性廃棄物9、可溶化汚泥13の一部14、余剰汚泥を生成する有機性廃水の一部を用いる。
リンの吐き出し槽2では、余剰汚泥中のリンが吐き出されると共に、余剰汚泥中のマグネシウムの一部も液側に溶出する。特に、水処理系で嫌気・好気法など生物学的脱リン方法を行っている場合には、液中のリン濃度、マグネシウム濃度が顕著に上昇する。およそ、液中のリン濃度は50〜400mg/リットル、マグネシウム濃度は50〜200mg/リットルとなる。一方で、アンモニウムの溶出は少なく、およそ、50〜150mg/リットルとなる。
【0018】
上記のリンの吐き出し処理を受けた吐き出し汚泥10を汚泥濃縮装置3で濃縮汚泥11と濃縮脱離液12に分離させる。汚泥濃縮装置3は、浮上分離、重力分離、機械的分離などの方法がある。
通常は、図1に示すように、濃縮脱離液12は脱リン装置7に供給される。
濃縮脱離液12の有機物BODが高い場合は、図2にあるようにメタン発酵槽21でメタン発酵処理をした後に、脱リン工程に投入するのが良い。特に、メタン発酵槽21は、UASB法、EGSB法などのグラニュールを用いた高負荷型のリアクターでの処理が適している。
【0019】
脱水ケーキの脱水速度の向上及び含水率をより低下させるには、図3のように、消化汚泥15に濃縮脱離液の一部12aを混合してMAPを生成させて、該汚泥に高分子凝集剤を添加し脱水するとよい。
汚泥濃縮装置3で濃縮されて得られた濃縮汚泥11は、可溶化手段を用いて処理される。可溶化手段は、超音波処理、ミルによる破砕処理、オゾン処理、過酸化水素処理、酸処理、アルカリ処理、好熱菌による処理などがある。
【0020】
可溶化処理された汚泥(可溶化汚泥)13の一部14を前記リンの吐き出し工程に返送することで、前記したようにリン吐き出し工程でのBOD源となる。また、汚泥が可溶化処理された際に、リン、マグネシウムが液側に移行しでおり、可溶化汚泥13の一部14を前工程に返送することで濃縮脱離液12中のリン、マグネシウム濃度が更に上昇する。
可溶化処理された汚泥13は、嫌気性消化槽5に投入される。投入に際し、図4に示す通り、可溶化処理された汚泥13を別途脱水機6aで固液分離し、リン、マグネシウム濃度が高い液17aを分離して、該分離液17aを脱リン装置7に投入すると、MAP19の回収量が増加し、なお好ましい。その場合、嫌気性消化槽5内の汚泥濃度が高くなり過ぎないように、ろ過水などで希釈して嫌気性消化槽に投入するとよい。
【0021】
嫌気性消化槽5内では、約55℃、或いは、約35℃を保つように加温されている。嫌気性消化槽5内で可溶化汚泥13は、酸発酵菌、メタン生成菌の働きにより、メタン、二酸化炭素、硫化水素等のガス、水溶性の窒素、リン等に分解される。発生したメタンガスは、回収することによってエネルギー利用することが可能である。可溶化処理汚泥のみならず、易分解性の生汚泥を投入することで、さらにメタンガスの発生量が増加する。汚泥の分解と共に、リン、マグネシウム、アンモニウムが液側に移行するが、本発明のように、嫌気性消化槽5の前段で、予め汚泥中のリンを吐き出させて、リンの濃度を低下させておくことで、嫌気性消化槽5内で自然発生的に生成するMAP量を低減することができる。その結果、MAP等によるスケールトラブルは減少させることが可能である。また、消化汚泥と共に排出されるMAPを減少させることができる。
【0022】
嫌気性消化槽5から出た前記消化汚泥15は、脱水機6に送られる。脱水機6では、含水率の低下した脱水汚泥16と、高濃度のリン、アンモニウムを含有した消化脱離液17に分離される。
このようにして、リン及びマグネシウム濃度がリッチな濃縮脱離液12と、リン及びアンモニウム濃度がリッチな消化脱離液17が生成される。これらの脱離液からなる廃水は脱リン装置7に供給される。これらの廃水を混合すると、リンの濃度=200〜500mg/リットル、マグネシウム濃度=50〜200mg/リットル、アンモニウム濃度=200〜800mg/リットルの廃水となる。脱リン装置7で、これらの廃水を混合することで、場合によってはマグネシウム分及び/又はアルカリ18を添加することで、MAP19を生成させる。
【0023】
アンモニウム濃度が1000mg/リットル以上の廃水では、MAPを生成させた後の処理水でも、アンモニウム濃度が1000mg/リットル以上残留しており、処理水循環を行っても、反応槽内のアンモニウム濃度は低下しなかった。アンモニウム濃度が1000mg/リットル以上の環境では、MAP生成時の反応速度及び過飽和度が高すぎて、瞬時に微細なMAPが多数生成した。本発明によると、脱リン装置7流入のアンモニウム濃度は200〜800mg/リットルと比較的低濃度にすることで、微細なMAPの生成を抑制することができる。
従来の方法では、消化脱離液13中のリン濃度100〜600mg/リットルに対し、マグネシウム濃度は高々数〜数十mg/リットルしか含まれていなかった。本発明によると、リンの濃度=200〜500mg/リットルに対し、マグネシウム濃度=50〜200mg/リットルの廃水を得ることができ、マグネシウムの薬品コストを大幅に低減することができる。
脱リン装置7を流出した処理水20は、水処理工程に返流する。
【0024】
本発明の一連の操作により、従来、嫌気性消化槽5で自然発生的に生成していたMAPの生成を抑えることができ、また、アンモニウム濃度を調整したことで、脱リン装置7自体のMAP回収率が上昇した。更に嫌気性消化槽5のスケールトラブルの低減、マグネシウムの薬品コスト低減にも大きく貢献することができた。
【0025】
【実施例】
以下において、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0026】
実施例1
この実施例では、図5に示すような処理フローを用いて処理を行った。処理対象有機性廃棄物は、嫌気好気法の余剰汚泥8とした。処理装置は、余剰汚泥貯留槽1、リン吐き出し槽2、遠心濃縮機23、超音波反応槽24、嫌気性消化槽5、遠心脱水機6、脱リン装置7からなる。
【0027】
余剰汚泥8の処理量は1%の汚泥濃度で2.5m3/hrとした。余剰汚泥貯留槽1の汚泥滞留時間は2日、リン吐き出し槽2の汚泥滞留時間は1日とした。リン吐き出し槽2は、BOD源として生汚泥25を添加した。超音波反応槽24では、超音波発振機の消費電力は700W、発振周波数は20kHzのものを10台用いた。嫌気性消化槽5の汚泥滞留時間は20日とした。
【0028】
脱リン装置7は、内径0.3m(中段以上は内径0.7m)×高さ約4mのものを用いた。濃縮脱離液12と消化脱離液17は脱リン装置7底部より上向流で通水した。脱リン装置7には、不足するマグネシウム分を補うため、添加するマグネシウム分18として塩化マグネシウムを添加した。添加量は流入リン濃度に対し重量比で0.7とした。その他の脱リン装置7の条件を第1表に示す。
脱リン装置7に流入させる脱離液の水量は、濃縮脱離液(12)=2.0m3 /hr、消化脱離液(17)=0.3m3 /hrとした。
【0029】
【表1】
Figure 0003970163
【0030】
各脱離液の性状と、混合液の性状を第1表に示す。混合液のPO4 −P=350mg/リットル、混合液のアンモニア性窒素=252mg/リットル、マグネシウム濃度=88mg/リットルであった。
同様に、脱リン処理水の性状を第2表に示す。脱リン処理水のT−Pは35mg/リットルであり、リンの回収率は91%であった。また、MAPの回収量は、147kg/dであった。MAPは良好に回収された。
【0031】
【表2】
Figure 0003970163
【0032】
実施例2
この実施例は、図6に示すような処理フローを用いて処理を行った。実施例1同様に、処理対象有機性廃棄物は、嫌気好気法の余剰汚泥とした。処理装置は、超音波反応槽24とリン吐き出し槽2を接続して、超音波反応槽24からの可溶化汚泥の一部14をリン吐き出し槽2に返送したこと以外、実施例1と同じとした。返送量は0.1m3 /hrとした。
各脱離液の性状と、混合液の性状を第3表に示す。混合液のPO4 −P=395mg/リットル、混合液のアンモニア性窒素=276mg/リットル、マグネシウム濃度=95mg/リットルであった。
【0033】
同様に、脱リン処理水20の性状を第3表に示す。脱リン処理水のT−Pは38mg/リットルであり、リンの回収率は91%であった。また、MAPの回収量は、164kg/dであった。MAPは良好に回収された。
【0034】
【表3】
Figure 0003970163
【0035】
比較例1
図7に示す処理フローでリンの回収を行った。処理対象有機性廃棄物は、実施例1同様に、嫌気好気法の余剰汚泥とした。処理装置は、余剰汚泥貯留槽1、浮上濃縮槽26、嫌気槽5、遠心脱水機6、脱リン装置7からなる。
脱リン装置7の実験条件を第4表に示す。実施例に比べ、マグネシウム濃度が圧倒的に少ないため、添加Mg/P重量比を1.1とした。
【0036】
【表4】
Figure 0003970163
【0037】
消化脱離液17、脱リン装置7流出水20の性状を第5表に示す。消化脱離液17のT−Pは360mg/リットル、脱離液のアンモニア性窒素は1150mg/リットル、脱リン処理水20のT−Pは80mg/リットルであり、リンの回収率は78%であった。反応アンモニア性窒素が高いことで、微細なMAPが多数析出し、処理水と共に流出しているのが確認された。MAPの回収量は、16kg/dであり、実施例1の約10%しか回収されなかった。また、消化汚泥中には、嫌気性消化槽5内で析出したMAPが多数確認された。
【0038】
【表5】
Figure 0003970163
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、有機性廃棄物からリン酸イオンを吐き出させる吐き出し工程、該吐き出した有機性廃棄物を濃縮する工程、濃縮した有機性廃棄物を可溶化処理する工程、可溶化処理した有機性廃棄物を嫌気性消化する工程、嫌気性消化した有機性廃棄物を脱水する工程、脱リン工程からなる有機性廃棄物の処理方法を用いて、前記濃縮工程の脱離液と前記消化脱離液を混合し、脱リン工程でMAPを生成させることで、嫌気性消化槽におけるスケールトラブルの低減、リン回収量及び回収率の増加、マグネシウムコストの低減を行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方式の一例として、余剰汚泥を用い、汚泥濃縮槽からの濃縮脱離液と、消化汚泥の脱水機からの消化脱離液を脱リン装置へ送る場合のフローシートを示す図である。
【図2】本発明の処理方式の一例として、余剰汚泥を用い、汚泥濃縮槽からの濃縮脱離液をメタン発酵槽に通す場合のフローシートを示す図である。
【図3】本発明の処理方式の一例として、余剰汚泥を用い、汚泥濃縮槽からの濃縮脱離液の一部を脱水機へ送るようにした場合のフローシートを示す図である。
【図4】本発明の処理方式の一例として、余剰汚泥を用い、汚泥可溶化槽の後に別の脱水機を設け、可溶化汚泥を脱水し、そこからの脱離液を濃縮脱離液と合わせるようにした場合のフローシートを示す図である。
【図5】本発明の実施例1の処理方式のフローシートを示す図である。
【図6】本発明の実施例2の処理方式のフローシートを示す図である。
【図7】比較例1の処理方式のフローシートを示す図である。
【符号の説明】
1 余剰汚泥貯留槽
2 リン吐き出し槽
3 汚泥濃縮装置
4 汚泥可溶化槽
5 嫌気性消化槽
6 脱水機
6a 脱水機
7 脱リン装置
8 余剰汚泥
9 有機性廃棄物
10 吐き出し汚泥
11 濃縮汚泥
12 濃縮脱離液
12a 濃縮脱離液(一部)
13 可溶化汚泥
14 可溶化汚泥(一部)
15 消化汚泥
16 脱水汚泥
17 消化脱離液
17a 消化脱離液
18 マグネシウム分、アルカリ
19 回収MAP
20 処理水
21 メタン発酵槽
22 メタン発酵液
23 遠心濃縮機
24 超音波反応槽
25 生汚泥
26 浮上濃縮槽

Claims (5)

  1. 有機性廃棄物からリン酸イオンを吐き出させる吐き出し工程、該吐き出した処理をした有機性廃棄物を濃縮する濃縮工程、濃縮した有機性廃棄物を可溶化処理する可溶化工程、可溶化処理した有機性廃棄物を嫌気性消化する嫌気性消化工程、嫌気性消化した有機性廃棄物を固液分離する固液分離工程、及び脱リン工程からなり、前記濃縮工程の脱離液と前記固液分離工程からの消化脱離液とを混合し、脱リン工程でリン酸マグネシウムアンモニウムを生成することを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
  2. 前記吐き出し工程は、有機性廃水の生物学的処理からの余剰汚泥と、生汚泥を含む有機性廃棄物、或いは前記有機性廃水の一部とを混合したものを嫌気的条件下で処理することを特徴とする請求項1記載の有機性廃棄物の処理方法。
  3. 前記可溶化した有機性廃棄物の一部を前記吐き出し工程に返送することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有機性廃棄物の処理方法。
  4. 前記吐き出し工程の脱離液を、メタン発酵処理をした後、脱リン工程に投入することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の有機性廃棄物の処理方法。
  5. 有機性廃棄物からリン酸イオンを吐き出させる吐き出し処理装置、該吐き出し処理をした有機性廃棄物を濃縮する濃縮装置、濃縮した有機性廃棄物を可溶化処理する可溶化処理装置、可溶化処理した有機性廃棄物を嫌気性消化する嫌気性消化装置、嫌気性消化した有機性廃棄物を固液分離する固液分離装置、脱リン工程を行う脱リン装置を有し、前記濃縮装置の脱離液と前記固液分離装置からの消化脱離液を混合し、前記脱リン装置でリン酸マグネシウムアンモニウムを生成することを特徴とする有機性廃棄物の処理装置。
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