JPH11221548A

JPH11221548A - 有機性廃棄物の処理方法

Info

Publication number: JPH11221548A
Application number: JP10023697A
Authority: JP
Inventors: Masashi Moro; 正史師; Shinichiro Wakahara; 慎一郎若原; Yuji Soeda; 祐二添田; Tetsuya Yamamoto; 哲也山本; Toshiyuki Shibata; 敏行柴田
Original assignee: Kubota Corp
Current assignee: Kubota Corp
Priority date: 1998-02-05
Filing date: 1998-02-05
Publication date: 1999-08-17

Abstract

(57)【要約】【課題】揮発性脂肪酸やアンモニア性窒素などの溶解
性発酵阻害物質の蓄積を防止して、効率よくメタン発酵
を行えるようにする。【解決手段】発酵槽内の発酵液３８の一部を抜き出し
て固液分離し、分離した固形分４０を脱窒素処理水４１
で希釈して発酵槽内へ返送することにより、発酵槽内の
溶解性発酵阻害物質の濃度を低下させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は有機性廃棄物の処理
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より有機性廃棄物の資源化が図られ
ており、たとえば特開平９−２０１６９９号には、し
尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜ふん尿、生
ごみ、食品廃棄物など、性状や濃度が異なる有機性廃棄
物を同一システムにおいて処理して有用物質を回収し、
資源化する方法が開示されている。

【０００３】この方法は、図４に示したようなものであ
り、し尿、浄化槽汚泥、農集汚泥、下水汚泥、家畜ふん
尿を除渣工程＃３１において除渣し、脱水工程＃３２に
おいて液状廃棄物３１とケーキ状廃棄物３２とに分離
し、液状廃棄物３１は、生物処理工程＃３３でＢＯＤ分
解並びに脱窒素し、固液分離工程＃３４で懸濁質を除去
し、高度処理工程＃３５でＣＯＤや色素成分や鉄・マン
ガンなどの重金属類を除去し、消毒して放流水または再
利用水としている。

【０００４】一方、生ごみや食品廃棄物は、破砕・分別
工程＃３６において破砕し、プラスチック袋やトレーな
どを分別した後に、上記したケーキ状廃棄物３２と混合
して、嫌気性発酵工程＃３７でメタン発酵させている。
そして、発生したメタンガス３３は発電工程＃３８など
で電気や熱の形態として使用に供し、消化汚泥３４は脱
水工程＃３９で脱水した後、コンポスト化工程＃４０で
コンポスト化して肥料としたり、あるいは固形燃料、乾
燥汚泥などとし、脱水濾液３５は生物処理工程＃３３へ
送って液状廃棄物３１とともに処理している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、嫌気性発酵
工程＃３７では、生成した酢酸やプロピオン酸などの揮
発性脂肪酸が２０００〜３０００ｍｇ／Ｌを越えるとメ
タン発酵が阻害されると言われており、過負荷投入等に
よって発酵槽内に揮発性脂肪酸が蓄積した場合には、投
入を停止して揮発性脂肪酸の減少を待つしかなかった。

【０００６】また、アンモニア性窒素濃度３０００ｍｇ
／Ｌ以上でメタン発酵が阻害されると言われているが、
し尿、下水汚泥、魚のあら等の生ごみ中には窒素分が多
く、その窒素分はメタン発酵ではほとんど除去されない
ため、次第にアンモニア性窒素濃度が上昇してくる。

【０００７】本発明は上記問題を解決するもので、揮発
性脂肪酸やアンモニア性窒素などの溶解性発酵阻害物質
の蓄積を防止し、効率よくメタン発酵を行えるようにす
ることを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の有機性廃棄物の処理方法は、有機性廃棄物
をメタン発酵させるに際し、発酵槽内の発酵液の一部を
抜き出して固液分離し、分離した固形分を水で希釈して
発酵槽内へ返送することにより、発酵槽内の溶解性発酵
阻害物質の濃度を低下させるようにしたものである。

【０００９】また、発酵液より分離した液状分を、生物
学的にまたはストリッピングによって脱窒素する脱窒素
処理工程に送り、この脱窒素処理工程における脱窒素処
理水を用いて、分離した固形分を希釈するようにしたも
のである。

【００１０】上記した構成によれば、発酵液中に含まれ
る揮発性脂肪酸やアンモニア性窒素などの溶解性発酵阻
害物質は、固液分離において液状分側に移行して分離除
去され、メタン菌を含んだ固形分は水で希釈されて発酵
槽内へ返送されるので、発酵槽では、溶解性発酵阻害物
質の濃度は低下する一方、希釈水の加減によってメタン
菌を含んだ固形分濃度の調節が可能になり、良好にメタ
ン発酵が行われる。

【００１１】発酵液より分離した液状分を脱窒素処理工
程に送ると、生物学的脱窒素の場合には揮発性脂肪酸な
どの有機物を炭素源として脱窒素が行われ、生物学的、
ストリッピングのいずれの方式によっても、揮発性脂肪
酸とアンモニア性窒素とが同時に低減されることにな
り、この脱窒素処理水を用いて、清水を用いる場合と同
様に溶解性発酵阻害物質濃度を低下させることができ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しながら説明する。この実施形態における有機性廃
棄物の処理方法は、図４を用いて説明した従来の処理フ
ローの一部とほぼ同様なので、同様の処理に図４と同じ
符号を付して説明する。

【００１３】図１において、し尿、浄化槽汚泥、下水汚
泥、農集汚泥、家畜ふん尿など、間隙水含量が多いほぼ
均質な有機性廃棄物は、除渣工程＃３１で、含まれるし
渣の大きさに応じた適当なスクリーンで除渣する。

【００１４】除渣した有機性廃棄物３６は、脱水工程＃
３２において、性状に応じて高分子凝集剤や無機凝集剤
などの凝集剤を添加したうえで、遠心脱水機、ベルトプ
レス型脱水機、フィルタープレス、回転円盤型脱水機等
の脱水機で脱水し、脱水汚泥３２とする。

【００１５】一方、生ごみ、食品廃棄物など、プラスチ
ック類などの発酵不適物を含んでいたり、不均質であっ
たりする、その他の有機性廃棄物は、破砕・分別工程＃
３６において破砕し、プラスチック袋やトレーなどを分
別する。

【００１６】次に、破砕分別した破砕物３７と上記した
脱水汚泥３２とを混合し、ＴＳ（全蒸発残留物）濃度を
調整し、嫌気性発酵工程＃３７においてメタン発酵させ
る。その際に適宜に、発酵槽内の発酵液３８の一部を抜
き出し、固液分離工程＃４０において遠心脱水機、ベル
トプレス型脱水機、フィルタープレス、回転円盤型脱水
機等の脱水機、あるいは濾過膜などで固液分離する。

【００１７】そして、液状分３９を、生物学的脱窒素を
行う脱窒素処理工程＃４１に送ることにより、発酵液３
８から液状分３９に移行した揮発性脂肪酸をＢＯＤ源と
した脱窒素反応を生じぜしめ、それによって揮発性脂肪
酸とアンモニア性窒素と同時に分解除去する。脱窒素の
ためのＢＯＤ源が不足する時は、し尿、生ごみなどの有
機性廃棄物の一部をそのまま、あるいは有機性廃棄物３
６，３７、脱水汚泥３２の一部を添加する。

【００１８】メタン菌を含んだ固形分４０は、脱窒素処
理工程＃４１における脱窒素処理水４１で希釈して発酵
槽へ返送する。これにより、発酵槽では、溶解性発酵阻
害物質の濃度が低下する一方、希釈水を加減することで
メタン菌を含んだ固形分濃度の調節が可能になり、また
破砕物３７と脱水汚泥３２とが有する互いに異質の成
分、たとえば微量元素（Ｆｅ，Ｎｉ，Ｃｏ等）が混合さ
れることによる効果もあって、従来より短い日数で効率
よくメタン発酵する。このため、従来はＨＲＴ１４日以
上として設計していた発酵槽を、ＨＲＴ１０日以下の小
さなものにすることも可能である。

【００１９】なお、嫌気性発酵工程＃８における有機性
廃棄物の濃度は、発酵槽内で流動性を保つことができる
程度であればよいが、たとえば発酵槽内の加温（保温）
のためのエネルギー消費量を考慮して、ＴＳ濃度１０〜
１５％に調節する。

【００２０】脱水汚泥３２を、たとえば約７０〜８０℃
で３日間維持することによって可溶化しておけば、発酵
効率はより高まる。除渣した有機性廃棄物３６を濃縮ス
クリーンや重力濃縮槽などで濃縮し、濃縮汚泥を嫌気性
発酵工程＃８へ導入するようにしてもよい。あるいは、
脱水汚泥３２や濃縮汚泥を、生ごみ、食品廃棄物などの
有機性廃棄物と混合して、破砕・分別工程＃３６におい
て破砕・分別するようにしてもよい。下水汚泥、農集汚
泥は脱水ケーキとして搬入されることが多いので、その
ような場合には当然ながら、脱水、濃縮工程とも不要で
ある。

【００２１】また、生ごみ、食品廃棄物などの有機性廃
棄物は、破砕・分別工程＃３６において、一軸破砕機な
どの粗破砕機で粗破砕し、次いで圧縮破砕機で圧縮破砕
するのが望ましい。

【００２２】一軸破砕機はたとえば図２に示したような
ものであり、ホッパ１０１に投入されてプッシャ１０２
または同様の目的で設けられた埋込装置により送り出さ
れた破砕対象物を、２箇所に設けた固定刃１０３と、ロ
ータ１０４に取り付けた破砕刃１０５とによって破砕
し、ロータ１０４の下方に配置したスクリーン１０６
（径２０〜１００ｍｍのパンチングメタルなど）で選別
し、排出コンベア１０７で排出するように構成されてい
る。このような一軸破砕機では、ビニール袋等に入った
生ごみ類がそのまま投入された場合も、プッシャ１０２
（または埋込装置）と破砕刃１０５との組み合わせによ
って、効率よく破袋され、粗破砕されて排出される。

【００２３】圧縮破砕機はたとえば図３に示したような
ものであり、投入口１１１より投入されフィーダー１１
２によってチャンバー１１３の内部へ送り出された破砕
対象物を、油圧シリンダー１１４により瞬間的に負荷す
る２００〜２５０ｋｇ／ｃｍ ²の高圧にて圧縮し、メッ
シュ状に形成された微細な破砕排出孔（図示せず）より
押し出すことで細粒子状（破砕対象物の性状によりペー
スト状あるいはフレークス状となる）に破砕して、破砕
物排出口１１５を通じて排出するように構成されてい
る。残留物は別途、残留物排出口１１６から取り出され
る。

【００２４】このような一軸破砕機と圧縮破砕機とを用
いると、生ごみ、食品廃棄物などの有機性廃棄物やそれ
に随伴するプラスチック類等は、一軸破砕機で粒径２０
〜１００ｍｍ以下に粗破砕された後に、圧縮破砕機で高
圧にて圧縮破砕されて、破砕排出孔の孔径に応じた粒径
１〜２ｍｍ以下の細粒子状の破砕物３７と、破砕不能な
し渣、プラスチック類、金属類、石・砂などの発酵不適
物とに自動的に分別される。

【００２５】分別された発酵不適物は通常含水率１０〜
２０％であり、破砕物３７の付着量も非常に少ない。ま
た、破砕物３７は、高圧下に圧縮破砕されることで細粒
子化され、細胞膜が一部破壊されているため、生物分解
性が非常に大きくなっており、従来は破砕困難であった
ために排除されていた有機性廃棄物や、発酵不適物に付
着して排除されていた有機性廃棄物も破砕物３７の中に
含まれることもあって、有機成分の回収率は非常に高く
なる。

【００２６】脱窒素処理工程＃４１のための装置として
は、活性汚泥槽の後段に膜分離装置や沈殿池を配置した
タイプのものなど種々使用可能であるが、脱窒素処理水
４１の大部分は放流することを考えると、活性汚泥槽の
内部に膜分離装置を浸漬設置したタイプのものが、微生
物を高濃度に維持でき、清澄な脱窒素処理水４１が得ら
れるので好都合である。脱窒素処理工程＃４１のための
装置は、従来の生物処理工程のための装置と兼用するよ
うにしてもよい。

【００２７】上記したような有機性廃棄物の処理方法
は、メタン発酵を行う処理系であればいずれの処理系で
あっても好適に実施できる。

【００２８】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、発酵液
の一部を抜き出して固液分離し、分離した固形分を水で
希釈して発酵槽内へ返送することで、発酵槽内における
溶解性発酵阻害物質の蓄積を積極的に防止するととも
に、メタン菌を含んだ固形分濃度を調節できるようにし
たことにより、メタン発酵効率を高めることができ、処
理量の増大や発酵槽の小型化を図ることができる。

【００２９】また、発酵液より分離した液状分を脱窒素
処理工程に送り、この脱窒素処理工程における脱窒素処
理水を用いて、分離した固形分を希釈するようにしたこ
とにより、溶解性発酵阻害物質たる揮発性脂肪酸とアン
モニア性窒素とを同時に低減することができ、脱窒素処
理水の有効利用をも図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態における有機性廃棄物の処
理方法を説明するフローチャートである。

【図２】図１の有機性廃棄物の処理方法で使用される一
軸破砕機の概略構成を示した説明図である。

【図３】図１の有機性廃棄物の処理方法で使用される圧
縮破砕機の概略構成を示した説明図である。

【図４】従来の有機性廃棄物の処理フローを示したフロ
ーチャートである。

【符号の説明】

32 脱水汚泥 37 破砕物 38 発酵液 39 液状分 40 固形分 41 脱窒素処理水

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者山本哲也大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目２番47号株式会社クボタ内 (72)発明者柴田敏行大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目２番47号株式会社クボタ内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】有機性廃棄物をメタン発酵させるに際
し、発酵槽内の発酵液の一部を抜き出して固液分離し、
分離した固形分を水で希釈して発酵槽内へ返送すること
により、発酵槽内の溶解性発酵阻害物質の濃度を低下さ
せることを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項２】発酵液より分離した液状分を脱窒素処理
工程に送り、この脱窒素処理工程における脱窒素処理水
を用いて、分離した固形分を希釈することを特徴とする
請求項１記載の有機性廃棄物の処理方法。