JP3833072B2 - 作業機のクローラ走行装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内外つば式の接地転輪を備えたクローラ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の作業機のクローラ走行装置における接地転輪(トラックローラ)の構造としては、(1)ゴムクローラベルトの芯金の左右の芯金突起の間に内つば部を入り込ませる内つば式、(2)芯金突起の外側に外つば部を位置させる外つば式、(3)内つば部と芯金突起の左右両外側に位置する2つの外つば部を備えた内外外3山式、が存在する。
【0003】
(1)の内つば式の転輪は、内つば部が左右の芯金突起により位置規制されるのでクローラベルトが外れにくいという利点があるが、内つばだけでは安定性が低いという問題があった。
一方、(2)の外つば式の転輪は、外つば部を有しているため安定性が高いという利点があるが、逆にクローラベルトが外れやすいという問題がある。
【0004】
また、(3)の内外外3山式は、内つば式、外つば式のような問題は少ないものの、3山式であるために土づまりが発生しやすいという問題がある。
そして、上記3方式の問題点が少ないものとして、図4に示すように内つば部の左右方向外側(図4の左側)に外つば部を設けた2山の内外つば式の転輪が提案されている。図4の内外つば式の転輪100は、内つば式の転輪をベースとして外つば部が内つば式転輪のボス部100aに固着されて構成されている。
【0005】
この転輪100は、作業機のクローラ走行装置1a,1bのトラックフレームに設けられた転輪支軸に対してベアリング102を介して回転自在に支持されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、図5に示すように作業機が左横向きに旋回すると、作業機には図5の矢印で示すような傾き荷重がかかる。このような傾き荷重は、作業機の左側のクローラ走行装置1aの転輪100に作用する。すなわち、図4に示すように、外つば部転動面103aの外側端103bが、作業機の傾きに対するふんばり支点となる。
【0007】
ところが、図4の内外つば式の転輪100では、ふんばり支点103aと、ベアリング102までの左右方向寸法Lが大きく、ふんばり支点103とベアリング102が離れているため傾き荷重による当該ベアリング102への負荷が大きいことを本発明者は見出した。
つまり、図4の内外つば式の転輪100では、ベアリング102への負荷が大きいが、それに見合ったベアリング102の強度を確保するのは困難である。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、内外式の転輪のベアリングへの負荷を軽減することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、次の技術的手段を採用した。すなわち、本発明の特徴は、左右に対をなす芯金突起を有する芯金を設けたクローラベルトが、トラックフレームに支持された転輪と、駆動輪とにわたって巻き掛け張設され、前記転輪は、左右の芯金突起の間に位置する内つば部と芯金突起の左右方向外側に位置する外つば部とを備えた内外つば式であるとともに、トラックフレームに設けられた支軸に対して軸方向に対をなすベアリングを介して回転自在に支持され、前記ベアリングとして、クローラ走行装置の左右方向内側に位置する内ベアリングと左右方向外側に位置位置する外ベアリングとが設けられた作業機のクローラ走行装置において、前記内つば部の左右中央位置から内ベアリングの左右中央位置までの第1寸法より大きく設定した前記内つば部の左右中央位置から外ベアリングの左右中央位置までの第2寸法が、前記内つば部の左右中央位置から前記外つば部の左右方向外端部位置までの寸法の半分以上の寸法に設定されている点にある。ここで、前記第2寸法は前記第1寸法の2倍以上に設定するのが好ましい。
【0010】
これにより、外ベアリングはより外側に位置することになり、外ベアリングをふんばり支点に近づけることができる。したがって、外ベアリングへの負荷が軽減する。
また、前記支軸は前記トラックフレームに左右にわたって架設されており、前記転輪は、前記支軸に前記対をなすベアリングを介して回転自在に外嵌されるボス部を備え、該ボス部から径外方に前記内つば部及び外つば部が延設されていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明のクローラ装置1を備えた作業機としては、図5に示すようなバックホウがある。このバックホウは、左右一対のクローラ走行装置1a,1bに支持される走行機台2を設けるとともに、該走行機台2上に上下軸心まわりで旋回自在に装備される旋回台3を設け、旋回式作業機として構成されている。この旋回台3にバックホウ装置4,搭乗運転部5、原動部6等が搭載装備されている。
【0012】
図1に示すように、前記クローラ走行装置1a,1bは、ゴム製のベルトからなるゴムクローラベルト7を駆動スプロケット8,接地転輪9群、緊張輪10とにわたって張設して構成されている。ゴムクローラベルト7には、芯金11が周方向に所定間隔をおいて並べられる状態で埋設されている。図2に示すように、芯金11は、左右一対の芯金突起12,12をゴムクローラベルト7の内周面側に突設させている。走行機台2のトラックフレーム13に支持された前後複数の接地転輪9は、ゴムクローラベルト7の内周面に接地している。
【0013】
なお、図2は、左側のクローラ走行装置1aの転輪構造を示しており、右側のクローラ走行装置1bの転輪構造も同様の構成であり、右側のクローラ走行装置1bの構成は図2を左右反転したものとなる。また、図2において右側が走行機台2が位置する内側であり、左側が外側である。
転輪9は、トラックフレーム13に左右にわたって架設された支軸14に外嵌されるボス部15と、ボス部15から径外方に延設された内つば部16及び外つば部17とを有している。
【0014】
内つば部16は、芯金11の左右両突起12,12の間に位置するものであり、外つば部17は、両突起12,12のうち左右方向外側に位置する芯金突起12の外側に位置するものである。なお、図4の内外つば式転輪100では、内つば部101の左右中央位置からボス部100aの左側端部と右側端部までの寸法は同一であるが、図2の実施形態では、ボス部15は、内つば部16の左右中央位置X0から左右方向内側端15aまでの寸法より、内つば部16の左右中央位置X0から左右方向外側端15bまでの寸法の方が大きくなるように形成されている。
【0015】
転輪9は、一対のベアリング18,19を介して支軸14に回転自在に支持されており、一対のベアリングとしてはクローラ走行装置1aの内側(図2において右側)に位置する内ベアリング18と、クローラ走行装置1aの外側(図2において左側)に位置する外ベアリング19とが設けられている。
また、内ベアリング18のクローラ走行装置1a内側よりの位置と、外ベアリング19のクローラ走行装置1a外側よりの位置には、支軸14とボス部15の内周面に接するシール部材20,21が設けられており、シーリングがなされている。なお、シール部材20,21とベアリング18,19を別々に設けるのではなく、シーリングベアリングを例えばシール部材20,21の位置に設けることもできる。
【0016】
なお、ボス部15は、内つば部の左右中央位置X0を基点として、外側(図2において右側)よりの部分が、内側よりの部分より長く形成されているので、図4の転輪100に比べて外ベアリング19をより外側に配置することができる。
図2の実施形態では、内つば部16の頂面16aが転動踏み面とされており、外つば部17の頂面17aがふんばり面とされている。ふんばり面17aは、作業機1の傾き方向に力が作用したときに転輪9がクローラベルト7に対してふんばるための面である。ここで、ふんばり面17aの左右外端部をふんばり支点17bといい、このふんばり支点17bと外ベアリング19との左右方向寸法を小さくすると、ベアリング19への負荷(モーメント荷重)を小さくすることができる。
【0017】
ふんばり支点17bと外ベアリング19との間の左右方向寸法を小さくするために、内つば部16の左右中央位置X0から内ベアリング18の左右中央位置X1までの第1寸法Aより、内つば部16の中央位置X0から外ベアリング19の中央位置X2までの第2寸法Bの方が大きくなるように外ベアリング19が配置されている。
【0018】
このように外ベアリング19を内つば部16から離して配置することで、ふんばり支点17bと外ベアリング19の寸法が小さくなりベアリング19への負荷を小さくすることができる。なお、図4の転輪100では、第1寸法Aと第2寸法Bは同一である。
図2の例では、第2寸法Bは、第1寸法Aの2.5倍に設定されており、第2寸法を充分大きくとるためには第2寸法Bは第1寸法Aの2倍以上が好ましい。より好ましくは第2寸法Aは第1寸法の2〜5倍が適切であり、さらに好ましくは、第2寸法Bは第1寸法Aの2〜3倍がよい。なお、外ベアリング19をシール部材21の位置に設定すれば、第2寸法Bを第1寸法Aの4倍に設定することができる。
【0019】
また、外ベアリング19の配置を別の観点からみると、外つば部17の左右方向の外端部位置X3から外ベアリング19の左右中央位置X2までの第3寸法Cは、外つば部17の外端部位置X3から前記内つば部16の左右中央位置X0までの第4寸法Dの半分以下となるように外ベアリング19が配置されている。
このように、第3寸法Cを第4寸法外Dの半分以下とすることで、ふんばり支点17bから外ベアリング19までの寸法が小さくなり外ベアリング19への負荷を小さくすることができる。なお、図4の転輪100では第3寸法Cは第4寸法Dの半分以上である。
【0020】
図2の例では、第3寸法Cは第4寸法Dの0.45倍に設定されている。なお、外ベアリング19をシーリング部材21の位置に設定すれば、第3寸法Cを第4寸法Dの0.17倍とすることができる。
なお、外つば部17のふんばり面17aの左右方向の外端部には面取りが施されてるため、外つば部17の外端部位置X3は、ふんばり支点17bとは厳密には一致しないが、両者は実質的に同一であるため、図2では同位置として描かれている。
【0021】
図3は、本発明の第2の実施形態を示しており、この第2実施形態では、つば部16,17ではなく、ボス部15の外周面が転動踏み面とされており、ボス部15が芯金11の芯金突起12の頂面に接するものである。それ以外の点は図2の実施形態と同様である。ここでは、内つば部16の頂面16aは転動踏み面でなくともよい。なお、外つば部17の頂面17aは、作業機1の傾き方向に力が作用したときのふんばり面であり、ふんばり面17aの左右方向外端部がふんばり支点17bであることは図2の実施形態と同様であり、ベアリング18,19の配置も図2と同様である。
【0022】
【発明の効果】
本発明によると、外ベアリングがふんばり支点の近くに位置するので、外ベアリングへの負荷が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クローラ走行装置の側面図である。
【図2】 クローラ走行装置の転輪構造を示す断面図である。
【図3】 クローラ走行装置の転輪構造の第2実施形態を示す断面図である。
【図4】 従来の内外つば式転輪の構造を示す断面図である。
【図5】 旋回作業機の一例としてのバックホウを示す図である。
【符号の説明】
1a クローラ走行装置
1b クローラ走行装置
9 転輪
11 芯金
12 芯金突起
13 トラックフレーム
14 支軸
15 ボス部
16 内つば部
17 外つば部
18 内ベアリング
19 外ベアリング
Claims (3)
- 左右に対をなす芯金突起(12,12)を有する芯金(11)を設けたクローラベルト(7)が、トラックフレーム(13)に支持された転輪(9)と、駆動輪(8)とにわたって巻き掛け張設され、
前記転輪(9)は、左右の芯金突起(12,12)の間に位置する内つば部(16)と芯金突起(12,12)の左右方向外側に位置する外つば部(17)とを備えた内外つば式であるとともに、トラックフレーム(13)に設けられた支軸(14)に対して軸方向に対をなすベアリング(18,19)を介して回転自在に支持され、
前記ベアリング(18,19)として、クローラ走行装置(1a)の左右方向内側に位置する内ベアリング(18)と左右方向外側に位置位置する外ベアリング(19)とが設けられた作業機のクローラ走行装置において、
前記内つば部(16)の左右中央位置(X0)から内ベアリング(18)の左右中央位置(X1)までの第1寸法(A)より大きく設定した前記内つば部(16)の左右中央位置(X0)から外ベアリング(19)の左右中央位置(X2)までの第2寸法(B)が、前記内つば部(16)の左右中央位置(X0)から前記外つば部(17)の左右方向外端部位置(X3)までの寸法(D)の半分以上の寸法に設定されていることを特徴とする作業機のクローラ走行装置。 - 前記第2寸法(B)は前記第1寸法(A)の2倍以上に設定されていることを特徴とする請求項1記載の作業機のクローラ走行装置。
- 前記支軸(14)は前記トラックフレーム(13)に左右にわたって架設されており、前記転輪(9)は、前記支軸(14)に前記対をなすベアリング(18,19)を介して回転自在に外嵌されるボス部(15)を備え、該ボス部(15)から径外方に前記内つば部(16)及び外つば部(17)が延設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業機のクローラ走行装置。
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