JP3831770B2 - 防水布帛 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防水布帛に関する。より詳しくは、テント用布帛として好適であり、基布表面に熱可塑性ポリエーテル−エステル系エラストマーからなる被覆層が形成された、高い耐水圧を有する防水布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テント用布帛においては、雨がテント内に入ることを防ぐ機能(防水性)が必要とされている。一般に、基布の繊維組織だけで満足な防水性を得ることが難しいため、繊維材料からなる基布の片側表面に、ポリテトラフルオロエチレンやポリウレタン系エラストマーなどからなるフィルムをラミネートする方法、または、ポリウレタン系エラストマーなどをコーテイングする方法などが採用されてきた。
【0003】
しかしながら、このようにして得られたテント用布帛は、廃棄されて燃焼される際、使用される樹脂が人体に対して毒性のあるガスを発生するなどの環境問題を有していた。
【0004】
一方、例えば特開2000−290878号公報などのように、ポリエチレングリコールを多く含有するポリエーテル−エステル系エラストマー(PEE)で基布の表面を被覆することが提案されている。
【0005】
しかるに、かかる防水布帛では、廃棄されて燃焼される際、人体に対して毒性のあるガスを発生することがないものの、布帛の軽量化をはかるために被覆層の厚さを薄くすると、ポリエチレングリコールを多く含むPEEが薄膜での皮膜強度が不十分なため高い耐水圧が得られず、テント用布帛などの用途には不適であった。
【0006】
このような理由から、廃棄されて燃焼される際、使用される樹脂が人体に対して毒性のあるガスを発生することなく、被覆層の厚みが薄くても高い耐水圧が得られる防水布帛の提案が切望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題を解消するためになされたものであり、その課題は、廃棄されて燃焼される際、使用される樹脂が人体に対して毒性のあるガスを発生することなく、被覆層の厚みが薄くても高い耐水圧を有する、テント用布帛として好適な防水布帛及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、繊維材料からなる基布の少なくとも1表面に、所定の組成及び物性を有するポリエーテル−エステル系エラストマー(PEE)を2層構造で被覆することにより、薄膜でも高い耐水圧を有する防水布帛が得られることを知り、本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして、本発明によれば、「繊維材料からなる基布の少なくとも1表面に、ポリアルキレングリコール残基(PAG)、アルキレングリコール残基(AG)、およびジカルボン酸残基(DC)からなるポリエーテル−エステル系エラストマー(PEE)が被覆された防水布帛であって、該被覆層が2層構造を有し、かつ基布に接する層を形成するPEE(PEEA)と外気側の層を形成するPEE(PEEB)が下記(a)〜(e)の要件を同時に満足することを特徴とする防水布帛。」
(a)PEEAおよびPEEBにおいて、PAGがともにポリテトラメチレングリコール残基を90重量%以上含んでいること。
(b)PEEBの融点が130℃以上であること。
(c)PEEAの融点がPEEBの融点より20℃以上低いこと。
(d)PEEAからなる層の厚さとPEEBからなる層の厚さの合計が、5〜50μmの範囲にあること。
(e)全被覆層中に占めるPEEAの割合が、5〜60重量%の範囲にあること
が提供される。そして、かかる防水布帛の製造方法において基布の少なくとも1表面に、PEEAからなる層とPEEBからなる層を形成したのち、PEEAからなる層のみを熱溶解させることが、高い剥離強度を得る上で好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明に用いる基布を構成する繊維材料は特に限定されるものではなく、綿、絹、麻等の天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、さらには、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸に代表されるポリエステル繊維、ポリエーテルエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、炭素繊維、フェノール繊維、ポリビニル系繊維などの合成繊維が例示される。これらの繊維は1種でもよいし、複数の組合せであってもよい。使用する繊維材料の種類により、高強度、耐摩耗性、難燃性、易リサイクル性、生分解性等の機能を本発明の防水布帛に付加することも可能になる。
【0011】
これらの繊維は長繊維や短繊維、または、それらの複合繊維の加工糸、紡績糸等の糸条となし、これらの糸条を用いて公知の繊維集合体である織編物や不織布等の基布の形態となして用いられる。また、これらの基布を2種以上貼り合わせて多層基布としてもよい。
【0012】
これらの基布を構成する繊維の単繊度については特に限定されないが、基布を加工する際の取り扱い上、0.5〜5.0デシテックスの範囲にあるものが好ましい。
【0013】
また、これらの基布に撥水処理が施されていることが好ましい。かかる撥水処理剤としては、パラフィン系撥水剤、ポリシロキサン系撥水処理剤、フッ素系撥水処理剤など従来任意のものが使用でき、その処理方法も、パデング法やスプレー法等の方法が採用できる。かかる撥水処理の工程は基布にPEEAやPEEBで被覆する工程の前後いずれでもよいが、基布にPEEAで被覆する前に撥水処理を行うことが好ましい。なお、処理剤の添加量は、基布重量に対して0.1〜2.0重量%の範囲が適当である。
【0014】
次に、本発明の防水布帛において、前記基布の少なくとも1表面上にポリアルキレングリコール残基(PAG)、アルキレングリコール残基(AG)、およびジカルボン酸残基(DC)からなるポリエーテル−エステル系エラストマー(PEE)が被覆される。ここで、基布の少なくとも1表面とは、基布の片側面全部または両側面全部または片側面全部と他方側面の一部である。
【0015】
そして、該被覆層は2層構造を有し、該2層のうち、基布に接する層(以下PEEA層という)を形成するPEE(PEEA)と外気側の層(以下PEEB層という)を形成するPEE(PEEB)は以下の特徴を有する必要がある。
【0016】
まず、PEEBの融点が、130℃以上(好ましくは140〜170℃)である必要がある。該融点が130℃未満の場合、例えば本発明の防水布帛をテント布帛として用いた場合、該テント布帛を折りたたんだ状態で真夏の車内等の高温化で保管すると被覆面同士が熱融着する恐れがあり好ましくない。また、PEEAの融点はPEEBの融点よりも20℃以上(好ましくは30〜60℃)低いことが必要である。該融点の温度差が20℃未満の場合は以下の問題があり、好ましくない。すなわち、基布にPEEA層を被覆し、さらにその上にPEEB層を被覆した後、熱カレンダー等によりPEEA層のみを熱溶解させて、被覆層と基布との接着性をより強固にする場合、PEEA層だけでなく、PEEB層も溶解してしまい、高い剥離強度が得られず好ましくない。前記PEEAの融点としては、50〜130℃(より好ましくは70〜110℃)の範囲が、作業性の点から適当である。
【0017】
全被覆層の厚さ、すなわち、PEEA層の厚さとPEEB層の厚さの合計は、5〜50μm(好ましくは7〜40μm)の範囲にある必要がある。かかる全被覆層の厚さが、5μmよりも小さいと十分な耐水性が得られず好ましくない。逆に、該厚さが50μmよりも大きいと、防水布帛の風合いや軽量性が損なわれるため好ましくない。なお、ここでいう被覆層の厚さとは、基布表面に形成された被覆層の厚さであり、基布内部に浸透したPEEAの厚さは含まない。
【0018】
さらに、全被覆層中に占めるPEEAの割合が、5〜60重量%(好ましくは7〜50重量%)の範囲にある必要がある。かかるPEEAの割合が5重量%よりも低いと、十分な皮膜形成性が得られず好ましくない。逆に、PEEAの割合が60重量%よりも大きいと、被覆層の耐熱性が劣るため好ましくない。全被覆層中に占めるPEEAの割合を上記の範囲内とすることにより、被覆層の基布に対する優れた接着性や耐熱性が得られ易い。なお、ここでいうPEEAの割合は基布内部に浸透した分を含むものである。
【0019】
次に、PEEAおよびPEEBに共通の要件について以下述べる。
まず、PEEAおよびPEEBにおいて、PAGがともにポリテトラメチレングリコール残基を90重量%以上(好ましくは95重量%以上)含んでいる必要がある。ポリテトラメチレングリコール残基が90重量%未満の場合は、安定した強い皮膜強度が得られないためピンホールが発生し易くなり、高い耐水圧が得られず好ましくない。また、基布表面にPEEAをコーテングする際に、PEEA自体が基布内部に過剰に浸透し易くなり好ましくない。
【0020】
PEEAおよびPEEBを構成するPAGとしては、前述の要件を満足していれば、ポリエチレングリコール残基、ポリ1,2−プロピレングリコール残基、ポリ1,3−プロピレングリコール残基、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体の残基、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体の残基などが一部配されていてもよい。また、該PAGの数平均分子量については、600〜8000(より好ましくは1000〜5000)の範囲が好ましい。該数平均分子量が600未満であると、十分な機械的特性が得られない恐れがある。逆に該数平均分子量が8000を越えると、相分離が発生し易くなりPEEの調整が困難になる恐れがある。
【0021】
PEEAおよびPEEBを構成するDCとしては、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、フタル酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸残基、ジフェニル−4,4,−ジカルボン酸残基、ジフェノキシエタンジカルボン酸残基、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸残基、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基等の脂環式ジカルボン酸残基、コハク酸残基、シュウ酸残基、アジピン酸残基、セバシン酸残基、ドデカンジ酸残基、ダイマー酸残基、これらの誘導体残基等の脂肪族ジカルボン酸残基からなる群より選択された少なくとも1種があげられ、特にテレフタル酸残基、イソフタル酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、これらの誘導体残基からなる群より選択された少なくとも1種が特に好ましくあげられる。もちろん、これらのDCの一部(通常、全DCを基準として30モル%以下)を、他のDCやオキシカルボン酸残基に置き換えてもよい。
【0022】
また、PEEAおよびPEEBを構成するAGとしては、エチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、テトラメチレングリコール残基などがあげられる。
【0023】
さらに、PEEAおよびPEEBにおいて、PAGとAGおよびDCとの重量比(PAG:(AG+DC))がともに、30:70〜70:30(より好ましくは40:60〜60:40)の範囲にあることが好ましい。PAGの重量がかかる範囲よりも大きいと、得られたPEEの融点が低くなり易く、PAGの重量がかかる範囲よりも小さいと、十分な柔軟性が発現されない恐れがある。
【0024】
PEEAおよびPEEBの固有粘度は、十分な皮膜形成性および被覆層の皮膜強度を維持するために、0.8〜1.4の範囲が適当である。また、PEEAおよびPEEBの中には、各種安定剤、紫外線吸収剤が必要に応じて配合されていてもよい。
【0025】
本発明の防水布帛において、基布とPEEA層は直接結合している必要があるが、PEEA層とPEEB層との間には、前述のPEEAおよびPEEBとポリマー組成が異なる第3のPEEからなる中間層を少量なら介在させてもよい。かかる第3のPEEとしては、PEEAとPEEBとの中間の性質を持つものが好ましい。また、PEEB層のさらにその上、すなわち、外表面側に、PEEBとポリマー組成が異なる他のポリマー材料からなる最外表面の層も少量なら配置してもよい。かかるPEEBとポリマー組成が異なる他のポリマー材料としては、例えば、フッ素系樹脂などの撥水樹脂、シリコーン樹脂、前述の第3のPEE、PEEAなどがあげられ、なかでも防水布帛に撥水性などの機能を付加できることから、フッ素樹脂などの撥水樹脂やシリコーン樹脂が好ましい。なお、ここでいう少量とは、全被覆層の総重量に対して20重量%以内のことである。
【0026】
次に、本発明の防水布帛の製造方法について以下に述べる。本発明の防水布帛は、有機溶剤に前述のPEEAを溶解させた溶液をコートした後、乾式法もしくは湿式法により、有機溶剤を除去して前述の基布表面にPEEAからなる層を形成する工程と、有機溶剤に前述のPEEBを溶解させた溶液をコートした後、乾式法もしくは湿式法により有機溶剤を除去することによりPEEA層の上にPEEB層を積層する工程とにより得られる。ここで、基布にPEEAからなるフィルムとPEEBからなるフィルムをラミネート加工を施すことによっても、本発明の防水布帛は得られるが、生産工程上、前記コーテイング法が好ましい。また、基布は、前述のようにフッ素系等の撥水処理剤で撥水処理加工を施されていることが好ましく、該撥水処理剤の添加量は、基布重量に対して0.1〜2.0重量%の範囲が適当である。このように、基布にPEEA層を形成する前に、予め撥水処理を施すことにより、PEEA溶液の基布内部への浸透を抑制することができる。
【0027】
前記PEEAおよびPEEBを溶解可能な溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、1,3−ジオキソラン(エチレンホルマール)、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンの1種もしくは2種以上の有機溶剤があげられる。また、PEEAまたはPEEBを有機溶剤に溶解させる際、該有機溶剤の重量に対してPEEAまたはPEEBを2〜30重量%溶解させる必要があり、特に50〜65℃の温度で5〜20重量%溶解させることが均一な被覆層を得る上で好ましい。
【0028】
基布表面にコーテングする方法としては、任意のコーテング法、例えばナイフコーター等を用いたコーテング法が好ましく採用され、まず基布の表面上にPEEAのコート層を形成し、次にPEEBのコート層を形成することにより、基布との接着性に優れ、かつ高い耐水圧を有する被覆層が形成される。
【0029】
PEEAのコート量については、0.5〜20g/m2(好ましくは1〜5g/m2)の範囲である必要がある。該PEEAのコート量が0.5g/m2未満であると均一な薄膜を形成し難く、したがって、PEEB層も不均一になり易いため、十分な耐水圧が得られず好ましくない。逆に、該コート量が20g/m2を越えると、防水布帛の重量が増すため、軽量化が難しく好ましくない。また、PEEBのコート量については、5〜30g/m2(好ましくは10〜20g/m2)の範囲である必要がある。該PEEBのコート量が5g/m2未満であると十分な耐水圧が得られず好ましくない。逆に、該PEEBのコート量が30g/m2を越えると、得られた防水布帛の風合いが難くなる傾向にあるため好ましくない。
【0030】
前記有機溶剤の除去については、70〜170℃(好ましくは75〜150℃)の乾熱下で有機溶剤を除去する方法や、PEEが不溶で、かつ有機溶剤が可溶な溶液、例えば温水等で有機溶剤を抽出した後、乾燥を行う湿式法などが採用される。
【0031】
本発明の防水布帛の製造方法において、PEEB層を形成した後、熱カレンダー加工等の熱処理を施すことにより、PEEB層は熱溶解させずにPEEA層のみを熱溶解させることが好ましい。かかる方法により、被覆層と基布との接着性をより強固にすることが可能になる。この際、熱処理温度としては、PEEAは熱溶解されるが、PEEBは熱溶解されない温度である必要があり、90〜180℃(より好ましくは100〜150℃)の範囲が適当である。かかる温度で布帛にカレンダー加工を施すことにより、PEEA層のみ熱溶解させることができ、被覆層と基布との強固な接着性が得られる。
【0032】
なお、前述の撥水処理加工が、熱カレンダー加工等の熱処理の前及び/又は後に施されてもよい。
【0033】
このようにして得られた本発明の防水布帛は、PEEA層およびPEEB層が、その面方向に均一な厚さで形成されており、薄膜であっても、高い耐水圧を有する。ここで、前記耐水圧が10kPa(1020mmH2O)以上(より好ましくは14kPa以上)であることが好ましい。また、接着性としては剥離強度で8N/25mm以上(より好ましくは10N/25mm以上)であることが好ましい。かかる高い耐水圧を有する防水布帛は、テント用布帛等の用途に好適に使用される。
【0034】
以上、本発明の防水布帛およびその製造方法について説明したが、本発明の防水布帛は、単独で使用されてもよいし、他の布帛と組合わせて使用されてもよい。
【0035】
【実施例】
次に本発明の実施例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<融点>示差走査型熱量計(TA instrument製 DSC29290)を用いて、窒素気流中10℃/分の昇温速度で測定した。
<テトラメチレングリコール含有率>90MHz FT−NMR(日立製作所製R1900)を用いて定量した。
<耐水圧試験>JIS L−1092法のB法(高水圧法)に準拠して行い、静水圧法で測定した。
<剥離試験>K−6301を参考にし、試験片(2cm×9cm)の被覆面に融着テープを熱融着させた後、試験片と融着テープとを引張り試験機の相互に向い合ったチャック間(50mm)にセットし、50mm/minの引張り速度でチャック間の距離を広げることで基布と被覆層とを剥離させ、初期の剥離を除いた平均応力を読み取り、サンプルの巾25mm当たりの応力(N/25mm)に換算したものを剥離強度とした。
<耐熱性試験>10cm×10cmの試験片を2枚用意し、各々の被覆面を貼り合わせ、9.8N(1kgf)の荷重をかけ、100℃で6時間放置し、融着部の被覆面同士の剥離試験を行い、下記の基準で評価した。
○:被覆面同士が全く融着していない状態。
△:剥離強度が(0.98〜9.8)cN/25mm[(1〜10)grf/25mm]であるもの。
×:剥離強度が9.8cN/25mm[10grf/25mm]を越えるもの。
【0036】
[実施例1]
(PEEAの作製)
イソフタル酸ジメチル(IMT)31.5重量部、テトラメチレングリコール(TMG)18.1重量部、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)32.7重量部を反応容器内中に仕込んで、エステル交換反応を行いモノマーを得た。その後昇温減圧しつつ重縮合反応を行ってPEEAを得た。なお、PTMGは数平均分子量1000のものを用いた。得られたPEEAの融点は107℃であった。
(PEEBの作製)
テレフタル酸ジメチル(DMT)210部、イソフタル酸(IA)63.6重量部、テトラメチレングリコール(TMG)193.3重量部、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)199重量部を反応容器中に仕込んで、エステル交換反応を行いモノマーを得た。その後昇温減圧しつつ重縮合反応を行ってPEEBを得た。なお、IAはスラリー状のものを、PTMGは数平均分子量2000のものを用いた。得られたPEEBの融点は155℃であった。
(防水布帛の作製)
ポリエステル布帛に撥水処理剤(フッ素系撥水処理剤LS−317、明成化学株式会社製)が基布重量に対して1.0重量%となるように処理し、耐水圧2.94kPa(300mmH2O)の基布を準備した。そして、前記により得られたPEEA25重量部を、60℃に加熱されたエチレンホルマール75重量部に完全に溶解させ、ナイフコーターにより、コート量が5g/m2になるように、クリアランスを調整してコーテングした後、120℃の乾熱下で1分間熱処理を行うことによりPEEA層を形成した。続いて前記により得られたPEEB10重量部を、60℃に加熱されたエチレンホルマール90重量部に完全に溶解させ、コート量が7g/m2になるようにコーテングした後、120℃乾熱下で3分間熱処理を行い、PEEB層を形成した。さらに、120℃、196N(20Kgf)/cmのカレンダー加工を施した。得られた防水布帛は、被覆層が薄膜でありながら高い耐水圧、高い剥離強度、優れた耐熱性を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0037】
[実施例2、比較例1および2]
PEEBを作製する際、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)の一部をポリエチレングリコール(PEG)に置き換えてPTMG/PEG重量比を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして防水布帛を得た。得られた防水布帛の評価結果を表1に示す。
【0038】
[実施例3、比較例3および4]
PEEBを作製する際、PTMGの比率、分子量を適宜変更することにより、PEEBの融点を表1のように変更した。また、PTMGとPEGとの重量比を表1のように変更した。これ以外は実施例1と同様にして防水布帛を得た。得られた防水布帛の評価結果を表1に示す。
【0039】
[比較例5〜7]
PEEAを作製する際、PTMGの比率、分子量を適宜変更することにより、PEEAの融点を表1のように変更した。また、PEEBを作製する際、PTMGの比率、分子量を適宜変更することにより、PEEBの融点を表1のように変更した。さらに、カレンダー加工温度を表1のように変更した。これ以外は実施例1と同様にして防水布帛を得た。得られた防水布帛の評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003831770
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、被覆層の厚みが薄くても高い耐水圧を有する防水布帛が得られる。かかる防水布帛は廃棄されて燃焼される際、使用される樹脂が人体に対して毒性のあるガスを発生することもなく、テント用布帛などの用途に極めて好適である。

Claims (6)

  1. 繊維材料からなる基布の少なくとも1表面に、ポリアルキレングリコール残基(PAG)、アルキレングリコール残基(AG)、およびジカルボン酸残基(DC)からなるポリエーテル−エステル系エラストマー(PEE)が被覆された防水布帛であって、該被覆層が2層構造を有し、かつ基布に接する層を形成するPEE(PEEA)と外気側の層を形成するPEE(PEEB)が下記(a)〜(e)の要件を同時に満足することを特徴とする防水布帛。
    (a)PEEAおよびPEEBにおいて、PAGがともにポリテトラメチレングリコール残基を90重量%以上含んでいること。
    (b)PEEBの融点が130℃以上であること。
    (c)PEEAの融点がPEEBの融点より20℃以上低いこと。
    (d)PEEAからなる層の厚さとPEEBからなる層の厚さの合計が、5〜50μmの範囲にあること。
    (e)全被覆層中に占めるPEEAの割合が、5〜60重量%の範囲にあること。
  2. PEEAおよびPEEBにおいて、DCがともにテレフタル酸残基、イソフタル酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、これらの誘導体残基からなる群より選択された少なくとも1種である請求項1記載の防水布帛。
  3. PEEAおよびPEEBにおいて、PAGの数平均分子量がともに600〜8000の範囲にある請求項1または請求項2に記載の防水布帛。
  4. PEEAおよびPEEBにおいて、PAGとAGおよびDCとの重量比(PAG:(AG+DC))がともに、30:70〜70:30の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の防水布帛。
  5. 防水布帛の耐水圧が、10kPa(1020mmH2O)以上である請求項1〜4のいずれかに記載の防水布帛。
  6. 防水布帛の剥離強度が、8N/25mm以上である請求項1〜5のいずれかに記載の防水布帛。
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