JP3378229B2 - 透湿防水布帛およびその製造方法 - Google Patents
透湿防水布帛およびその製造方法Info
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Description
性ポリエーテル−エステル系エラストマーからなるコー
ティング層が形成された、透湿防水布帛に関する。さら
に詳しくは、透湿性に優れ、かつ洗濯処理後においても
耐水圧性が優れた透湿防水布帛、およびその製造方法に
関する。
場合、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出する
機能(透湿性)と、雨が衣服内に入ることを防ぐ機能
(防水性)との両立が必要とされる。そして、これらの
機能を両立させる手段としては繊維からなる基布の片側
面に、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリウレタン
系エラストマーからなるフィルムをラミネートする方
法、または、ポリウレタン系エラストマーをコーティン
グする方法が採用されてきた。しかしながら、これらの
防水布帛は、廃棄時などに燃焼させた場合、人体に対し
て毒性を持ったガスが発生するなどの環境問題を有して
いた。そのため、基布にラミネートまたはコーティング
するポリマー材料として、透湿性と防水性とを両立しな
がら、環境への問題がないものが切望されてきた。
トマー(PEE)は、優れた耐熱性および機械特性を有
し、そのフィルムは適度な弾性を有することから風合い
面でも優れており、しかも、燃焼時に有毒なガスが発生
しないことから、前記のポリテトラフルオロエチレンお
よびポリウレタン系エラストマーの代替品として有望視
されている。
しては、長鎖エステルを構成するポリアルキレングリコ
ール(PAG)の少なくとも70重量%以上が、分子鎖
内部の炭素と酸素の原子数の比が2.0〜2.4である
PEEをフィルム状にしたものを、基布の表面にラミネ
ートしたものが米国特許第4493870号公報に開示
されている。しかしながら、このものは初期の透湿性お
よび防水性は優れているものの、一般家庭で行われる水
による洗濯を行った場合には、フィルムが破損しやす
く、防水性が大幅に低下するという問題があった。ま
た、基布とPEEフィルムとを固定する接着剤として一
般的に用いられるウレタン系樹脂を使用した場合には、
焼却時に少量ながら有毒ガスが発生するため、基布とP
EEフィルムとをどう一体化するかという問題があっ
た。
術を鑑みなされたもので、その目的は、ポリエーテル−
エステル系エラストマーのみが基布に積層された、柔軟
でかつ十分な透湿性を有しながらも、水による洗濯後も
高度の耐水圧を有する透湿防水布帛およびその製造方法
を提供することにある。
は、繊維材料からなる基布に、ポリアルキレングリコー
ル残基(PAG)、アルキレングリコール残基(AG)
およびジカルボン酸残基(DC)からなるポリエーテル
−エステル系エラストマー(PEE)が積層された透湿
防水布帛において、PEEが2種のPEE(PEEAと
PEEB)からなり、基布へのそれらPEEの積層状態
が、基布の表面に直接PEEAからなるコート層を配置
し、該PEEAコート層のさらに上にPEEBからなる
コート層を配置した状態であって、かつ、PEEAとP
EEBとが下記(a)〜(d)の要件を同時に具備する
ことを特徴とする。 (a)PEEAを構成するPAGが、ポリテトラメチレ
ングリコール残基を、PAGの重量を基準として、少な
くとも70重量%含んでいること; (b)PEEBが、ポリエチレングリコール残基を、P
EEBの重量を基準として、5〜25重量%含んでいる
こと; (c)PEEAとPEEBとのコート層の厚みの合計
が、5〜50μmの範囲にあること;および (d)PEEAとPEEBとを併せた全コート層中に占
めるPEEAのコート層の割合が、重量を基準として、
5〜70重量%の範囲にあること。
は、有機溶剤に、AG、DC、およびポリテトラメチレ
ングリコール残基を重量基準で少なくとも70重量%含
んだPAGから構成されたポリエーテル−エステル系エ
ラストマー(PEEA)を、重量を基準として、2〜3
0重量%溶解させた溶液を準備し、該溶液を繊維材料か
らなる基布の表面に、乾燥後のPEEA目付が0.5〜
10g/m2の量となるようにコートした後、該溶剤を
除去して基布の表面に直接PEEAコート層を形成する
工程と、有機溶剤に、PAG、AGおよびDCからなる
ポリエーテル−エステル系エラストマー(PEEB)で
あり、かつPAGの一成分であるポリエチレングリコー
ル残基を重量基準で5〜25重量%含んだPEEBを、
重量を基準として、2〜30重量%溶解させた溶液を準
備し、該溶液をPEEAコート層の基布との積層界面と
は反対側の表面に乾燥後のPEEB目付が5〜30g/
m2の量となるようにコートした後、該溶剤を除去して
PEEAコート層のさらに上にPEEBコート層を形成
する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の透湿防水布帛は、環境に対する問題が少ないポ
リエーテル−ポリエステル系エラストマー(PEE)の
みを繊維からなる基布の表面に積層したものであり、従
来の積層品ではなし得なかった、初期および水による洗
濯後の両方において、高度の透湿性と耐水圧とを兼備さ
せたものである。具体的には、要求特性の異なる2種の
PEE、すなわち皮膜形成性に優れたPEE(PEE
A)を第1番目の層として、基布の表面に直接積層し、
該PEEAコート層のさらに上に透湿性と耐洗濯性とに
優れたPEE(PEEB)を積層することで、耐洗濯後
の透湿性、耐水圧をともに満足させたものである。仮
に、PEEAのみでは透湿性等が達成できず、逆にPE
EBのみでは使用時や洗濯時に積層部分の接着がはが
れ、PEE層が破損してしまう。なお、本発明でいうP
EEとは、ポリアルキレングリコール残基(PAG)、
アルキレングリコール残基(AG)およびジカルボン酸
残基(DC)からなるものを意味し、また、該PEEA
コート層のさらに上とは、PEEAコート層の基布との
積層界面とは反対の表面を意味する。
水圧を確保することから5μm以上必要であり、他方得
られた透湿防水布帛の風合いを損なわないためには、5
0μm以下である必要があり、さらには10〜30μm
が好ましい。このようなコート層の厚みが限られた状況
下においては、PEEAのようなコート量当たりの透湿
性が低いコート層のみではコート量当たりの透湿性が高
い透湿防水布帛は得られない。すなわち、本発明では皮
膜形成において問題にならない範囲でPEEAのコート
量を減らしつつ、コート量当たりの透湿性と耐洗濯性と
に優れたPEEBを併用することで、コート量当たりの
透湿性を高めたものである。したがって、高いコート量
当たりの透湿性を確保するためには、コート層全体に占
めるPEEAのコート量は低いほうが良く、重量比で高
々70%まで、好ましくは40%までである。他方下限
については、皮膜形成に問題が無ければ限定する必要は
無いが、普通は5%、おおくとも10%もあれば十分で
ある。なお、ここでいうコート層の厚みとは、基布表面
に形成された全てのコート層の厚みであり、基布内部に
浸透したPEEAの厚みは含まない。
形成するPEEAおよびPEEBの要件について述べ
る。本発明の透湿防水布帛におけるPEEAは、PA
G、AGおよびDCからなるPEEであって、重量を基
準として、該PAGの少なくとも70重量%が、より好
ましくは90重量%以上が、さらに好ましくは95重量
%以上がポリテトラメチレングリコールで占められたも
のである。ポリテトラメチレングリコールが70重量%
未満では、PEEA自体が基布内部に過剰に浸透するた
めにコート層を形成しにくく、また出来上がった布帛も
硬くなり過ぎる。また、PEEAの透湿性を向上させる
ためには、PAGの残りの成分の一部をポリエチレング
リコールとしても良い。
Bと組成が近似していることから親和性が高く、PEE
AとPEEBとの界面の結合力は高いが、PEEAは基
布とPEEBとの間で両者を担持する役割もあることか
ら、さらに透湿防水布帛の変形の際に両者の変形の差を
緩和し易い、すなわち、柔軟性の高いものが好ましい。
PEEAの柔軟性を高める具体的な手段としては、PE
EA中のAGにおいて、テトラメチレングリコールの占
める割合を上げることなどがある。好ましいAG中に占
めるテトラメチレングリコールの割合は、80〜100
モル%である。
GおよびDCからなるPEEであって、PAGの一成分
としてのポリエチレングリコールを、重量を基準とし
て、PEEB全重量に対して5〜25重量%、さらに好
ましくは10〜20重量%含んだものである。PEEB
中のポリエチレングリコールが5重量%未満であると、
十分な透湿性を得ることができない。また、25重量%
より大きい場合には、水による洗濯時にPEEBコート
層が破損するために洗濯後の耐水圧が低下する。また、
PEEBを構成するPAGに占めるポリエチレングリコ
ールの割合としては、重量基準で20〜60重量%が好
ましい。
に対して最外層に配置される場合は、耐磨耗性の高いP
EEBが好ましい。このようなPEEBとしては、PE
EBを構成するAGが、エチレングリコールとテトラメ
チレングリコールとの混合物であって、該AG中に占め
るエチレングリコールの割合が30モル%以上のもので
ある。これは、該AG中に占めるエチレングリコールを
少なくとも30モル%共存させることで十分な耐摩耗性
が確保したのである。さらに好ましいAG中に占めるエ
チレングリコールとテトラメチレングリコールとのモル
比は、30:70〜50:50の範囲である。
について以下に述べる。PEEAおよびPEEBを構成
するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフ
タル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体からなる
群より選ばれた少なくとも1種が挙げられ、好ましくは
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジ
カルボン酸またはこれらのエステル形成誘導体である。
もちろん、このジカルボン酸の一部(通常、全ジカルボ
ン酸成分を基準として30モル%以下)を、他のジカル
ボン酸やオキシカルボン酸成分に置換えてもよい。
としては、前述の要件を満足していれば、ポリエチレン
グリコール残基、ポリ−1,2−プロピレングリコール
残基、ポリ−1,3−プロピレングリコール残基、ポリ
テトラメチレングリコール残基、エチレンオキシドとプ
ロピレンオキシドとの共重合体の残基、エチレンオキシ
ドとテトラヒドロフランとの共重合体の残基などが一部
配されていてもよい。また、該PAGグリコールの数平
均分子量については、600〜8000、特に1000
〜5000の範囲が好ましい。数平均分子量が600未
満であると、十分な機械的物性が得難く、8000を超
えると、相分離が発生し易いことからPEEの調整が困
難になる。
しては、前述の要件を満足していれば、エチレングリコ
ール残基、プロピレングリコール残基、トリメチレング
リコール残基またはテトラメチレングリコール残基など
が一部配されていてもよい。
とAGおよびDCとの重量比(PAG/(AG+D
C))は、30/70〜70/30、特に40/60〜
60/40の範囲であることが好ましい。(AG+D
C)が30重量%未満では、得られたPEEの融点が低
くなり易く、他方70重量%を越えると、十分な柔軟性
が発現し難い。
V)については、十分な皮膜形成性およびコート層の皮
膜強度を維持するために、0.8〜1.4の範囲にある
ものが好ましい。なお、PEEAおよびPEEBの中に
は、各種安定剤、紫外線吸収剤等が必要に応じて配合さ
れていてもよい。
PEEBから形成された厚さ15μmのフィルムを水温
40℃にて30分間処理した後の面積膨潤率が、5%未
満であることが好ましい。面積膨潤率が5%以上のフィ
ルムの場合には、水による洗濯により耐水圧が低下する
傾向にある。
ず、任意のものを採用することができる。例えば、ポリ
エチレンテレフタレート等のポリエステル系合成繊維、
ナイロン6やナイロン66等のポリアミド系合成繊維、
ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリビニル系合成繊
維、トリアセテート等の半合成繊維あるいはポリエチレ
ンテレフタレート/木綿、ナイロン6/木綿等の混合繊
維からなる織物、編物、不織布等が挙げられ、これらの
表面にコート層を配置すれば良い。なお、基布の表面と
は、基布の片側面または両側面の一部または全部であ
る。
と第一番目のPEEAからなるコート層とが基布中への
PEEの浸透を抑制するために直接結合している必要が
あるが、第一番目のPEEAからなるコート層と第二番
目のPEEBからなるコート層との間には、前述のPE
EAおよびPEEBとポリマー組成が異なる第三のPE
Eからなる中間のコート層を少量なら介在させても良
い。また、第二段目のPEEBからなるコート層の上、
すなわち外表面側に、PEEBとポリマー組成が異なる
他のポリマー材料からなる最外表面のコート層も少量な
ら配置しても良い。なお、中間に介在する第三のPEE
としては、PEEAとPEEBとの中間の性質を持つも
のが好ましく、例えば、PEE中のPAGがポリエチレ
ングリコールとポリテトラメチレングリコールの混合物
であって、両者の重量比が1:99〜20:80のもの
が挙げられる。また、最外表面に配置するPEEBとポ
リマー組成が異なる他のポリマー材料としては、例え
ば、フッ素系樹脂などの撥水樹脂、シリコーン樹脂、前
述の第三のPEEまたはPEEAなどが挙げられ、透湿
防水布帛に撥水性などの機能を付加できることから、フ
ッ素系樹脂などの撥水樹脂やシリコーン樹脂が好まし
い。そして、これら中間のコート層および最外表面のコ
ート層の全コート層中に占める割合は、透湿性を確保す
る観点から低いほうが好ましく、それぞれせいぜい20
%までが好ましい。
水圧が50kPa以上であり、かつ洗濯10回後の耐水
圧が、初期の耐水圧の50%以上、さらに好ましくは6
0%以上であることが好ましい。そしてもっとも好まし
くは、洗濯10回後の耐水圧も、50kPa以上である
ことである。また、本発明の透湿防水布帛は、透湿度が
3000g/m2・24h以上であることが好ましい。
これらの特性値が下限未満の場合、蒸れなどが生じやす
い。
法の一例として、もう一つの本発明である透湿防水布帛
を製造する方法について、以下に述べる。本発明の透湿
防水布帛は、PEEAおよびPEEBを溶解可能な溶剤
で溶解した溶液を、基布表面上にコーティングした後、
乾式法もしくは湿式法により溶剤を除去することで得ら
れる。
としては、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、1,3
−ジオキソラン、トルエン、クロロホルム、塩化メチレ
ンの1種もしくは2種以上の有機溶剤が挙げられるが、
沸点が低く、毒性が少ないことから1,3−ジオキソラ
ンが好ましく、特に有機溶剤の重量を基準として、80
重量%以上が1,3−ジオキソランであるものが好まし
い。なお、PEEAまたはPEEBを、重量を基準とし
て該溶剤に2〜30重量%溶解させることが好ましく、
特に40〜65℃の温度で5〜20重量%溶解させるこ
とが好ましい。
は、任意のコーティング法、例えばナイフコーター等を
用いたコーティング法が採用され、まず布帛上にPEE
Aのコート層を作成し、次にPEEBのコート層を作成
することにより、高い透湿性と耐水圧を有する均一なコ
ート層が得られる。
ングした場合には、十分な皮膜形成性がないため、PE
EB自体が基布内部に過剰に浸透しやすい。そこで、皮
膜形成性の優れたPEEAを第1段目のコート層とし
て、基布の表面に直接コートした後、該PEEAコート
層のさらに上に透湿性と耐洗濯性の優れたPEEBを第
2段目のコート層としてコートすることで、コートする
際のPEEの基布内部への浸透を抑制し、少ないコート
量で厚く均一なコート層を形成する。すなわち、基布表
面にPEEAからなる厚みの均一なコート層をまず形成
することで、皮膜形成性の劣るPEEBでも均一なコー
ト層が形成されるのである。なお、ここでいう“皮膜形
成性の優れた”とは、基布とPEEとの界面の接着力確
保に必要なPEEの浸透を除く、すなわち基布とPEE
との剥離が問題にならない範囲で、過剰に基布内部に浸
透するPEEの量が極めて少ないことを意味する。
重量目付で0.5〜20g/m2の範囲が好ましく、特
に1〜10g/m2の範囲が好ましい。PEEAの乾燥
目付が0.5g/m2未満であると均一な薄膜を形成し
難く、したがって、PEEBも不均一になり易いので耐
水圧が向上し難い。他方、乾燥目付が20g/m2を越
えると、十分な透湿性が得にくい。
後の重量目付で5〜30g/m2の範囲が好ましく、特
に10〜20g/m2の範囲が好ましい。PEEBの乾
燥目付が5g/m2未満であると十分な耐水圧が得にく
く、他方、乾燥目付が30g/m2を越えると、得られ
た透湿防水布帛の風合いが硬くなり易く、また十分な透
湿性も得難くなる。
EEBとを併せた全コート層中に占めるPEEAのコー
ト層の割合は、重量を基準として、5〜70重量%、好
ましくは10〜40重量%の範囲であり、PEEAとP
EEBとを併せた全コート層の厚みの合計は、5〜50
μm、好ましくは10〜30μmの範囲であることも必
要である。
ては、70〜170℃、好ましくは70〜150℃での
乾熱下で溶剤を除去する乾式法、PEEが不溶で、かつ
溶剤が可溶な溶液、例えば温水等で1,3−ジオキソラ
ン等の溶剤を抽出した後、乾燥を行う湿式法などを採用
すればよい。
より向上させるには、本発明の透湿防水布帛にさらに撥
水処理を施すことが好ましい。撥水処理をする時期は、
PEEAおよびPEEBをコーティングする前後何れで
もよいが、PEEAをコーティングする際に、PEEA
を溶剤に溶解した溶液の布帛内部への浸透をさらに抑制
できることから、PEEAおよびPEEBをコーティン
グする前に予め撥水処理を施した布帛を使用するのが特
に好ましい。
ン系撥水剤、ポリシロキサン系撥水処理剤およびフッ素
系撥水処理剤など従来任意のものが採用でき、その処理
方法も、パディング法およびスプレー法等、従来任意の
方法で行えばよい。
布帛は、均一にPEEが被覆されており、水による洗濯
後にも高い耐水圧と透湿性とを有する。さらに、本発明
の透湿防水布帛のPEEBを構成するAG中に占めるエ
チレングリコールの割合を30モル%以上とした場合に
は、前述の高い耐水圧と透湿性に加えて、高い耐摩耗性
をも有する。
が、本発明はこれにより制限されるものではない。実施
例において、各物性値の測定は下記の方法により行い、
また、実施例で使用したPEEは、下記の方法により作
製した。なお、実施例中の「部」は、「重量部」を表わ
す。
=6:4)を用い、35℃の温度条件下で固有粘度(I
V)を測定した。
SC29290)を用いて、窒素気流中10℃/分の昇
温速度で測定した。
ングリコール含有率 90MHz FT−NMR(日立製作所製 R190
0)を用いて定量した。
法)に準拠して行い、24時間当たりに換算して、単位
g/m2・24hであらわした。
法に準拠して行った。
圧) JIS L 0217の付表1番号103に規定されて
いる洗濯操作を1サイクル(1回)とし、これに従って
10サイクル(10回)の洗濯(L10)を繰返し行
い、その後(5)の耐水圧試験を行った。
先端に乾燥状態の摩擦用白綿布をかぶせ、試験片上の1
0cmの間を毎分30回の往復の速度で、100回往復
摩擦を繰り返す。
耐摩耗性が「○」、実用上問題ない程度で若干樹脂層に
破壊が見られたら耐摩耗性が「△」、実用上問題となる
ような破壊が樹脂層に見られたら耐摩耗性が「×」とす
る。なお、ここでいう実用上問題となる樹脂層の破壊と
は、摩擦試験後に耐水圧が50%以下に低下するものを
意味し、樹脂層に破壊が見られないとは、摩擦試験後に
耐水圧が90%以上であるものを意味する。
5μmの大きさのフィルムを、40℃の水に30分間浸
漬処理し、以下の式により面積膨潤率を算出した。 膨潤率(%)=(浸漬後面積/浸漬前面積−1)×10
0
製) テレフタル酸ジメチル(DMT)194部、エチレング
リコール(EG)43.3部、テトラメチレングリコー
ル(TMG)72部、ポリエチレングリコール(PE
G)(平均分子量4000)124部、及び触媒として
テトラブチルチタネート0.391部を蒸留装置を備え
た反応容器に仕込み、この反応物を窒素ガス雰囲気下、
220℃で反応缶中に生成するメタノールを系外に除去
しながら210分間エステル交換させた。エステル交換
反応終了後、このエステル交換反応物を撹袢装置、窒素
導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた240℃に加熱さ
れた反応容器に移し、反応混合物に熱安定剤としてスミ
ライザーGS(住友化学工業(株)製)を0.31部添加
し窒素置換した後、常圧で約10分、1995〜266
0Pa(15〜20mmHg)で約30分、更に13.
3Pa(0.1mmHg)で255℃まで昇温し重縮合
反応を行ない、所定の溶融粘度に到達した後、酸化防止
剤としてスミライザーGA−80(住友化学工業(株)
製)を0.62部添加して反応終了とし、常法によりチ
ップ化した。得られたPEEBの固有粘度(IV)は
1.163、融点は176℃、EG/TMGのモル比は
33/67であった。
エチレングリコール(PEG)からポリテトラメチレン
グリコール(PTMG)(平均分子量2000)に表1
のように置き換えた以外は、前記方法と同様にして、P
EEを作成し、それぞれのPEEを5部、60℃に加熱
された1,3−ジオキソラン95部に完全に溶解させた
後、ガラス板上にキャストし、150℃の乾熱下で10
分間乾燥および熱処理を行いPEEからなるフィルムを
作製した。得られたフィルムの性能を表1に示す。
製) テレフタル酸ジメチル(DMT)210部、イソフタル
酸(IA)63.6部、テトラメチレングリコール(T
MG)193.3部及びポリテトラメチレングリコール
(PTMG)199部を反応容器中に仕込んで、エステ
ル交換反応を行いモノマーを得た。その後昇温減圧しつ
つ重縮合反応を行ってPEEを得た。なお、イソフタル
酸はスラリー状のものを、PTMGは数平均分子量20
00のものを用いた。このPEEの固有粘度(IV)は
1.0で、融点は170℃であった。
テル布帛に撥水処理剤(フッ素系撥水処理剤LS−31
7、明成化学株式会社製)が基布重量に対して1.0w
t%となるように処理した、耐水圧が5.88kPa
(600mmH2O)で透湿度が9000g/m2・24
hの基布を準備した。
E(PEEA)10部を、60℃に加熱された1,3−
ジオキソラン90部に完全に溶解させ、ナイフコーター
により、該基布上に、乾燥後の目付が5g/m2になる
ようにクリアランスを調整してコートした後、130℃
の乾熱下で1分間熱処理を行い、第1段目のコート層を
形成した。続いて、前記参考例1により得られたPEE
B7部を、60℃に加熱された1,3−ジオキソラン9
3部に完全に溶解させ、乾燥後の目付が15g/m2に
なるようにコーティングした後、150℃乾熱下で3分
間熱処処理を行い、第2段目のコート層を形成した。
PEEBにおける、重量を基準としたPEGの含有量
は、表2に示した。得られた透湿防水布帛の、透湿性、
耐水圧性および洗濯10回後の耐水圧の性能を表2に併
せて示した。
EEAコート層を構成する参考例2のPEEに含まれる
PAG中のPEGとPTMGとの重量比を、表3に示す
ように変更した以外は、実施例1と同様にして透湿防水
布帛を作成した。得られた透湿防水布帛の性能を表3に
示す。
を形成しなかった以外は実施例1と同様にして透湿防水
布帛を作成した。得られた透湿防水布帛の性能を表3に
示す。
のPEEに含まれるAG中のエチレングリコール(E
G)とテトラメチレングリコール(TMG)とのモル比
を表4の通りに変更した以外は、実施例1と同様にし
て、透湿防水布帛を作製した。得られた透湿防水布帛の
性能を表4に示す。
−エステル系エラストマーのみが基布に積層されている
ため、廃棄時に焼却処理することが容易である。また、
柔軟でかつ十分な透湿性を有しながらも、水による洗濯
後も高度の耐水圧を有するので、家庭での洗濯が可能な
優れた透湿防水布帛である。また、本発明の製造方法に
よれば、あらかじめ皮膜形成性の優れたPEEAにより
厚さの均一なコート層を形成した後、透湿性の優れたP
EEBをコーティングするため、皮膜形成性の劣るPE
EBでも均一に布帛表面を被覆することができる。
Claims (11)
- 【請求項1】 繊維材料からなる基布に、ポリアルキレ
ングリコール残基(PAG)、アルキレングリコール残
基(AG)およびジカルボン酸残基(DC)からなるポ
リエーテル−エステル系エラストマー(PEE)が積層
された透湿防水布帛において、 PEEが2種のPEE(PEEAとPEEB)からな
り、基布へのそれらPEEの積層状態が、基布の表面に
直接PEEAからなるコート層を配置し、該PEEAコ
ート層のさらに上にPEEBからなるコート層を配置し
た状態であって、かつ、PEEAとPEEBとが下記
(a)〜(d)の要件を同時に具備することを特徴とす
る透湿防水布帛。 (a)PEEAを構成するPAGが、ポリテトラメチレ
ングリコール残基を、PAGの重量を基準として、少な
くとも70重量%含んでいること; (b)PEEBが、ポリエチレングリコール残基を、P
EEBの重量を基準として、5〜25重量%含んでいる
こと; (c)PEEAとPEEBとのコート層の厚みの合計
が、5〜50μmの範囲にあること;および (d)PEEAとPEEBとを併せた全コート層中に占
めるPEEAのコート層の割合が、重量を基準として、
5〜70重量%の範囲にあること。 - 【請求項2】 PEEAおよびPEEBに含まれるDC
が、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、ナフタレン
−2,6−ジカルボン酸残基からなる群より選ばれた少
なくとも1種である請求項1記載の透湿防水布帛。 - 【請求項3】 PEEAおよびPEEBに含まれるPA
Gの数平均分子量がそれぞれ600〜8000の範囲に
ある請求項1記載の透湿防水布帛。 - 【請求項4】 PEEAおよびPEEBに含まれるPA
Gと、AGおよびDCとの重量比(PAG/(AG+D
C))が、それぞれ30/70〜70/30の範囲にあ
る請求項1記載の透湿防水布帛。 - 【請求項5】 PEEAおよびPEEBの固有粘度(I
V)が、0.8〜1.4の範囲である請求項1記載の透
湿防水布帛。 - 【請求項6】 PEEBに含まれるAGが、エチレング
リコール残基とテトラメチレングリコール残基とを含ん
でいて、かつ、モル数を基準として、前者を少なくとも
30モル%含んでいる請求項1記載の透湿防水布帛。 - 【請求項7】 PEEBから形成されたフィルムの40
℃水、30分間処理による面積膨潤率が、5%未満であ
る請求項1〜6のいずれか1項に記載の透湿防水布帛。 - 【請求項8】 PEEAに含まれるAGが、モル数を基
準として、テトラメチレングリコール残基を少なくとも
80モル%含んでいる請求項1記載の透湿防水布帛。 - 【請求項9】 透湿防水布帛の初期の耐水圧が50kP
a以上であり、かつ洗濯10回後の耐水圧が、初期の耐
水圧の50%以上である請求項1〜8のいずれか1項に
記載の透湿防水布帛。 - 【請求項10】 透湿防水布帛の透湿度が3000g/
m2・24h以上である請求項1〜9のいずれか1項に
記載の透湿防水布帛。 - 【請求項11】 有機溶剤に、AG、DC、およびポリ
テトラメチレングリコール残基を重量基準で少なくとも
70重量%含んだPAGから構成されたポリエーテル−
エステル系エラストマー(PEEA)を、重量を基準と
して、2〜30重量%溶解させた溶液を準備し、該溶液
を繊維材料からなる基布の表面に、乾燥後のPEEA目
付が0.5〜10g/m2の量となるようにコートした
後、該溶剤を除去して基布の表面に直接PEEAコート
層を形成する工程と、 有機溶剤に、PAG、AGおよびDCからなるポリエー
テル−エステル系エラストマー(PEEB)であり、か
つPAGの一成分であるポリエチレングリコール残基を
重量基準で5〜25重量%含んだPEEBを、重量を基
準として、2〜30重量%溶解させた溶液を準備し、該
溶液をPEEAコート層の基布との積層界面とは反対側
の表面に乾燥後のPEEB目付が5〜30g/m2の量
となるようにコートした後、該溶剤を除去してPEEA
コート層のさらに上にPEEBコート層を形成する工程
とを含むことを特徴とする透湿防水布帛の製造方法。
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JP2003201674A (ja) * | 2002-01-07 | 2003-07-18 | Teijin Ltd | 防水布帛及びその製造方法 |
JP3484454B2 (ja) | 1998-09-17 | 2004-01-06 | 帝人ファイバー株式会社 | 透湿防水性布帛の製造方法 |
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