JP3727199B2 - 透湿防水布帛の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエーテル−エステル系エラストマーを、繊維からなる基布の片側面にコーティングした透湿防水布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
透湿防水布帛は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出しながらも、雨などの水が衣服内に浸入することを防止するものである。この布帛は、繊維から基布を製造する際に、基布を高密度化するだけでは、10000mmH20以上という高い耐水圧が確保できないことから、基布の片側面に、透湿性を有するポリテトラフルオロエチレン若しくはポリウレタン系エラストマーなどをフィルム状態でラミネート、またはポリウレタン系エラストマーについてはコートしたものが多用されてきた。
【0003】
しかしながら、これらの樹脂は、燃焼による廃棄処理がされると、人体に有毒なガスが発生するという問題を有し、環境保護の観点から、透湿防水布帛に使用する樹脂も見直しが迫られたきていた。
【0004】
この対応策として、前記ポリテトラフルオロエチレンフィルムまたはポリウレタン系エラストマーフィルムの代替品として、燃焼時に有毒ガスが発生する懸念がなく、しかも前述の樹脂と同等の柔軟性および透湿性を有するポリエーテル−エステル系エラストマーフィルムを採用することが米国特許第4493870号公報で開示されている。しかし、この方法においても、フィルムと基布との間に、剥離を防止するための接着剤が必要であり、この接着剤は一般的にウレタン系樹脂が使用されるので、少量ながらも有毒ガスが発生することがあった。
【0005】
そこで、本発明者らは、ポリエーテル−エステル系エラストマーを1,3−ジオキソランに溶解し、これを繊維からなる基布の片側面にコートした、接着剤などを使用しない透湿防水布帛を特願平10−263405号公報及び特願平10−293487号公報で、既に提案した。
【0006】
これら公報のコート層を有する透湿防水布帛は、接着剤すら使用しないため、燃焼時に有毒ガスが発生する懸念がなく、柔軟性、透湿性、耐水圧、基布とエラストマーとの耐剥離性および表面の耐摩耗性ともに、従来の樹脂を用いたものと同等若しくはそれ以上の性能を有するものであったが、柔軟性および透湿性のさらなる向上が要求されてきた。
【0007】
ここで、透湿防水布帛の透湿性と柔軟性とを向上させる手段としては、ポリエステルエラストマーの組成変更またはコート層の厚みの薄くするなどが挙げられる。前者については、ポリエチレングリコールのような分子鎖内に酸素原子の占める割合が多い親水性のものほど透湿性が高い反面、ポリテトラメチレングリコールのようなエーテル結合間のアルキル基の炭素数が多いものほど柔軟性が高いことから、エラストマーの組成による透湿性と柔軟性の向上は相反するものであり、共に向上させることは不可能であった。また、コート層の厚みを薄くすることは、柔軟性と透湿性を共に高めるが、耐水圧が低下するという問題があった。
【0008】
そのため、耐水圧、基布とエラストマーとの耐剥離性および表面の耐摩耗性などの透湿防水布帛における要求特性を何等損なうことなく、透湿性および柔軟性を向上させた透湿防水布帛は未だ提供されていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐水圧、基布とエラストマーとの耐剥離性および表面の耐摩耗性などの透湿防水布帛における要求特性を何等損なうことなく、透湿性および柔軟性を向上させた透湿防水布帛を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、基布の片側面に、有機溶剤に溶解されたポリエステルエラストマーをコーティングする際、基布に水を含浸させると極めて柔軟性に優れた透湿防水布帛が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
本発明によれば、繊維からなる基布の片側面に、ポリエーテルエステル系エラストマー(EL)を有機溶剤に溶解させた溶液をコーティングする際、基布重量を基準として、該基布に0.5〜50wt%の水を含浸させておくことを特徴とする透湿防水布帛の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の透湿防水布帛は、繊維からなる基布の片側面にポリエーテルエステル系エラストマー(EL)からなるコート層を少なくとも部分的に形成した透湿防水布帛に、以下のa〜cのようなELと基布との結合状態を具備させたものである。
【0014】
すなわち、該布帛の厚み方向に裁断した断面を見たとき、
a.ELで外表面を完全に被覆された繊維(アンカー繊維)が存在すること;
b.アンカー繊維であって、且つ、外表面の少なくとも90%がELとの間に空隙を有する繊維(可動アンカー繊維)が存在すること;および
c.アンカー繊維中に占める可動アンカー繊維の割合が、本数を基準として、少なくとも20%であること
が必要である。なお、本発明の透湿防水布帛は、防水性を高めることから、通常は、基布の片側面全体にELをコーティングするが、衣服の縫い目などのように水が侵入し易い箇所だけを、コーティングしたものも含む。
【0015】
以下、a〜cの要件について説明する。
要件−aは、基布とELとの間の剥離強度を維持することから必要である。すなわち、ELにより外表面を完全に被覆された繊維(アンカー繊維)は、基布とELとを離れないように結び付けておく役割をほとんどになっており、このことから、該繊維はELを基布に留めるアンカーとして機能していると言える。
【0016】
そのため、該アンカー繊維が存在しない場合は、基布を構成する繊維とELとの界面の結合力だけであるため、実用に耐え得る剥離強度の透湿防水布帛が得られない。なお、ここでいう実用に耐え得る剥離強度とは、少なくとも300g/25mmを意味し、好ましくは300〜1500g/25mmの範囲である。
【0017】
要件−bは、本発明の最大の特徴であり、基布とELとの間の剥離強度を維持しながらも、柔軟な透湿防水布帛とするためのものである。すなわち、該アンカー繊維を微少ながらも揺動可能にすることで、該アンカー繊維による剥離強度向上効果は残したまま、得られる透湿防水布帛の柔軟性を高めたのである。ここで、外表面の少なくとも90%がELとの間に空隙を有するとは、該アンカー繊維を揺動可能にする上で必要であり、該アンカー繊維の外表面が、10%を越えてELと直に接していたのでは、該アンカー繊維の揺動できない。なお、以後の説明の理解を容易にするために、外表面が10%を越えてELと直に接しているアンカー繊維を非可動アンカー繊維と称する。
【0018】
要件−Cは、上述の可動アンカー繊維による柔軟性向上を発現させるのに必要なアンカー繊維中に占める可動アンカー繊維の割合である。すなわち、アンカー繊維中に占める可動アンカー繊維の割合が、本数を基準として、20%未満では、柔軟性の向上が不十分であり、より好ましくは30%以上である。他方、上限については、ELと基布との面方向における滑りを抑制することから、高々80%が好ましい。
【0019】
ここで、アンカー繊維および可動アンカー繊維の測定は、透湿防水布帛の厚み方向に沿って裁断したときの断面を、電子顕微鏡によって1500倍に拡大し、該断面中の、ELによって完全に外表面を被覆された繊維の横断面の個数を100個測定し、その中に含まれる繊維の外表面の90%以上がELとの間に空気などの空隙を有する繊維の横断面の個数を測定した。
【0020】
なお、ここでいう繊維の横断面とは、繊維軸に沿った断面では、ELに被覆されているのかどうかが判別し難いので、繊維の繊維軸に対して60〜120度の範囲にある面を意味する。そのため、例えば織物の場合は、経糸に垂直な断面と緯糸に垂直な断面の2つを測定した。
【0021】
具体的に図1および図2を参照して、繊維の横断面を説明する。図1は本発明の防水布帛の断面を1500倍に拡大した写真を図示したものであり、図2は従来の透湿防水布帛の断面を1500倍に拡大した写真を図示したものである。図1および図2中の、1は基布、2はエラストマー、3は空隙、4が外表面の90%以上がELとの間に空隙を有する可動アンカー繊維、および5が非可動アンカー繊維である。図2の断面写真には、4(可動アンカー繊維)は見受けられず、ほとんどが5(非可動アンカー繊維)であるのに対し、図1の断面には、4(揺動可能な繊維の横断面)が多数存在することが容易に理解されるはずである。
【0022】
本発明におけるELのコート層について、以下に述べる。
本発明でいうELは、ポリアルキレングリコール残基、アルキレングリコール残基およびジカルボン酸残基からなり、全グリコール残基中に占めるポリアルキレングリコールの重量割合は、柔軟性や透湿性を確保する上から30wt%以上が好ましく、他方、実用に耐え得る耐摩耗性や融点を確保する上から、70%以下が好ましい。また、ELの固有粘度については、皮膜形成性及びコート層の皮膜強度などのことから、0.8〜1.4dl/gの範囲が好ましい。
【0023】
具体的には、ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロピレングリコール、ポリ1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、またはエチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体などが挙げられ、その分子量は、柔軟性と耐摩耗性などの機械的物性を維持する上から、600〜8000の範囲にあることが好ましい。アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコールまたはテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0024】
また、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられ、好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはこれらのエステル形成誘導体である。
【0025】
好ましいELとしては、ELをコーティングしたことによる透湿性の低下を補って、更に十分な透湿性を確保するために、ポリアルキレングリコール残基中にポリエチレングリコール残基が、少なくとも50モル%、より好ましくは80〜100モル%の範囲で占めるものである。また、耐摩耗性を確保する向上することから、該アルキレングリコール残基中に占めるエチレングリコール残基の割合が30モル%以上のものが好ましく、他方、上限については、高々70モル%である。さらに、該ELに柔軟性を付与できることから、該アルキレングリコール残基中にテトラメチレングリコール残基を混在させたものが好ましい。特に好ましいのは、該アルキレングリコール残基が、エチレングリコール残基ととテトラメチレングリコール残基とで構成され、両者のモル比が、50:50〜35:65の範囲にあるものである。
【0026】
ところで、コート層は上記ELの単一層でも良いが、上記のようなELは、透湿性や耐摩耗性に優れる反面、皮膜形成性が乏しいことから、該ELと基布との間に組成の異なる、すなわち、皮膜形成性に優れた他のELからなるコート層を形成せしめた多層コートが好ましい。これは、皮膜形成性に優れたELコート層の外表面に透湿性の優れたコート層を形成するので、該透湿性の優れたELの皮膜形成性が乏しくても、均一な厚みのコート層が形成できるからである。
【0027】
皮膜形成性に優れたELとしては、ポリアルキレングリコール残基中のポリテトラメチレングリコール残基の割合が、少なくとも90モル%を占めるものが好ましく、また、アルキレングリコール残基中のテトラメチレングリコールの割合が、少なくとも80モル%を占めるものが好ましい。
【0028】
なお、多層コートの場合、全ELのコート量中に占める皮膜形成性に優れたコート層の割合は、重量を基準として、5〜40wt%の範囲にあることが好ましい。該コート量が5wt%未満では、皮膜形成性に優れたELによる効果が十分に発現されなず、他方、40wt%を越えてコートしても皮膜形成性の向上は飽和状態に近い。
【0029】
勿論、これらのELはの各種安定剤、紫外線吸収剤等必要に応じて配合されていてもよい。
【0030】
本発明における基布について、以下述べる。
本発明で用いる基布を構成する繊維は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリビニル繊維、アセテート繊維、またはこれらに一部木綿などの天然繊維を混合した繊維が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートまたはそれらに第3成分を共重合もしくは配合したポリマーからなるポリエステル繊維で、該繊維を用いれば、コート層もポリエステルであることから、リサイクルが非常に容易になる。
【0031】
また該繊維の形態としては、連続マルチフィラメント、短繊維または紡績糸が挙げられ、取扱い性が優れていることから、連続マルチフィラメントが好ましい。このような繊維の単繊維繊度は、通常0.01〜2.23dtexの範囲にあり、連続マルチフィラメントまたは紡績糸の場合のトータル繊度は、通常33〜333dtexの範囲である。
【0032】
このような繊維からなる基布の形態としては、連続マルチフィラメントもしくは紡績糸からなる織編物、または、連続フィラメントもしくは短繊維からなる不織布が挙げられる。好ましくは基布自体の耐水圧を高める、すなわち高密度化し易い連続マルチフィラメントからなる織編物、その中でも単繊維繊度が0.01〜2.23dtexの連続マルチフィラメントからなる織物である。
【0033】
また、このような基布は、高度の耐水圧を付与する上で、斯界で公知の撥水処理加工を施したものが好ましい。
【0034】
次に、もう一つの本発明である、透湿防水布帛の製造方法について、以下に述べる。
本発明の透湿防水布帛は、ELを溶解可能な有機溶剤で溶解した溶液を、基布重量を基準として0.5〜50wt%の水を含浸させた繊維からなる基布の片側面にコーティングした後、該溶剤を乾式法または湿式法により除去することで得られる。ここで、最も重要なことは、ELのコーティングに先立ち、基布に0.5〜50wt%の水を含浸させておくことで、これにより、ELが繊維を被覆する際、ELと繊維との接触が抑制され、可動アンカー繊維が生起するのである。
【0035】
そのため、水が、0.5wt%未満では、可動アンカー繊維が生起せず、他方、50wt%を越えて、水を含浸させると、ELの基布中への浸透が進行せず実用に耐え得る剥離強度が得られない。
【0036】
本発明で用いる有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、エチレンホルマール、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンまたはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、沸点が低く、毒性が少ない1,3−ジオキソランである。また、有機溶剤へのELの溶解は、該溶剤の重量を基準としてELを2〜30重量%溶解すれば良く、好ましくは50〜65℃の有機溶剤に、5〜20重量%溶解したものである。
【0037】
本発明で用いる水としては、基布中への浸透性を高めるために、界面活性剤を0.05〜5wt%の範囲で含んだものが好ましく、また、コーティングの際の有機溶剤に溶解したEL溶液の濃度を安定させるために、ELを溶解するのに用いた有機溶剤を、5〜50wt%の範囲で含んだものが好ましい。該有機溶剤の割合が、5wt%未満では、EL溶液へ基布中の水が浸透し易く、EL溶液の濃度が安定し難い。他方、50wt%を越えて添加すると、ELが基布の内側へ過度に浸透し易くなり、均一な厚みのコート層とし難い。このような基布中の水の量、界面活性剤または有機溶剤量を適宜選択して、コーティング時の基布中へのELの浸透を制御する。
【0038】
本発明で用いる基布の片側面に前述の有機溶剤に溶解したEL溶液をコーティングする方法としては、ナイフコーター法、またはコンマコーター法等が採用できる。該コート量としては、有機溶剤を除去したELの固形分の重量で、5.3〜53g/m2の範囲が好ましく、特に10〜35g/m2の範囲が好ましい。該コート量が、5.3g/m2未満では、均一な厚みのコート層が得られ難く、耐水圧が低下し易い。他方、該コート量が53g/m2を越えると、コート層が厚すぎて柔軟な透湿防水布帛とはし難い。
【0039】
なお、本発明でいう透湿防水布帛は、柔軟性を確保するために、基布の片側面にELのコート層を形成したもので、基布の厚さにもよるが、厚さ方向における長さを基準として、ELが基布の厚みの高々30%まで浸透したものである。そのため、均一な厚みのコート層を形成しようとすると、多量のELをコートしなければならない、両側面にELのコート層を形成したものや基布の厚さ方向全体にELを含浸させたものは含まない。
【0040】
このようにして基布にコーティングされたEL溶液は、70〜170℃、好ましくは70〜150℃の乾熱下で乾燥(乾式法)、または、ELが不溶で、且つ有機溶剤が可溶な溶液、例えば温水等で有機溶剤を抽出した後、70〜170℃、好ましくは70〜150℃の乾熱下で乾燥(湿式法)される。好ましくは、工程が湿式法に比べて短い乾式法である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。実施例において、各物性値の測定は下記の方法により行い、また、実施例で使用したポリエーテル−エステル系エラストマーは、下記の方法により作製した。なお、実施例中の「部」は、「重量部」を表わす。
【0042】
(1)アンカー繊維および可動アンカー繊維の測定
透湿防水布帛の厚み方向に沿って裁断したときの断面を、電子顕微鏡によって1500倍に拡大し、該断面中の、ELによって完全に外表面を被覆された繊維の横断面の個数を100個測定し、その中に含まれる繊維の外表面の90%以上がELとの間に空気などの空隙を有する繊維の横断面の個数を測定した。
【0043】
そして、可動アンカー繊維の本数を、アンカー繊維の本数で割ったものを、可動アンカー繊維率とした。
【0044】
なお、ここでいう繊維の横断面とは、繊維軸に沿った断面では、ELに被覆されているのかどうかが判別し難いので、繊維の繊維軸に対して60〜120度の範囲にある面を意味し、基布が織物の場合は、経糸に垂直な断面と緯糸に垂直な断面の2つを測定した。
【0045】
(2)ポリエーテル−エステル系エラストマーの固有粘度
フェノールとテトラクロロエタンとの混合溶剤(重量比=6:4)を用い、35℃の温度条件下で固有粘度を測定した。
【0046】
(3)融点
示差走査型熱量計(TA instrument製 DSC29290)を用いて窒素気流中10℃/分の昇温速度で走査させて測定した。
【0047】
(4)透湿度試験
JIS L−1099法(塩化カルシウム法)に準拠して行った。
【0048】
(5)耐水圧試験
JIS L−1092法(高水圧法)に準拠して行った。
【0049】
(6)剥離試験
JIS K−6301を参考にし、試験片(2cm×9cm)のコーティング面に融着テープを熱融着させた後、試験片と融着テープとを引張試験機の相互に向かい合ったチャック間(50mm)にセットし、50mm/minの引張り速度でチャック間の距離を広げることで基布とコート層とを剥離させ、初期の剥離を除いた平均応力を読み取り、サンプルの幅25mm当たりの応力に換算したものを剥離強力とした。
【0050】
(7)風合い評価
熟練者5名により、製造した各サンプルに対して官能検査を行い、触感による相対的な比較を行った。なお、評価結果は、以下の通りとした。
○:柔軟な風合いとを有し、且つ、屈曲時に樹脂層のすれる音がしないもの。
△:柔軟な風合いとを有するが、屈曲時に樹脂層のすれる音がするもの。
×:ペーパーライクな風合いで、且つ、屈曲時に樹脂層のすれる音がするもの。
【0051】
(8)EL(A)の作製
テレフタル酸ジメチル(DMT)194部、エチレングリコール(EG)43.3部、テトラメチレングリコール(TMG)72部、ポリエチレングリコール(PEG)(平均分子量4000)124部、及び触媒としてテトラブチルチタネート0.391部を蒸留装置を備えた反応容器に仕込み、この反応物を窒素ガス雰囲気下、220℃で反応缶中に生成するメタノールを系外に除去しながら210分間エステル交換させた。エステル交換反応終了後、このエステル交換反応物を撹袢装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた240℃に加熱された反応容器に移し、反応混合物に熱安定剤としてスミライザーGS(住友化学工業(株)製)を0.31部添加し窒素置換した後、常圧で約10分、15〜20mmHgで約30分、更に0.1mmHgで255℃まで昇温し重縮合反応を行ない、所定の溶融粘度に到達した後、酸化防止剤としてスミライザーGA−80(住友化学工業(株)製)を0.62部添加して反応終了とし、常法によりチップ化した。得られたEL(A)の固有粘度は1.163、融点は176℃、EG/TMG含有率は33/67であった。
【0052】
(9)EL(B)の作製
テレフタル酸ジメチル(DMT)210部、イソフタル酸(IA)63.6部、テトラメチレングリコール(TMG)193.3部及びポリテトラメチレングリコール(PTMG)199部を反応容器中に仕込んで、エステル交換反応を行いモノマーを得た。その後昇温減圧しつつ重縮合反応を行ってEL(B)を得た。なお、イソフタル酸はスラリー状のものを、PTMGは数平均分子量2000のものを用いた。このEL(B)の固有粘度は1.0dl/gで、融点は170℃であった。
【0053】
[実施例1]
撥水処理を施したポリエステル連続マルチフィラメント(127dtex/168fil)からなる平織(経糸138本/25mm、緯糸82本/25mm)に撥水処理した基布(耐水圧600mmH2O、透湿度9000g/m2・24h)に界面活性剤(竹本油脂製、スルホネート系ノニオン活性剤TJC043)を0.5wt%含んだ水溶液を、基布重量を基準として40wt%含浸させた後、基布の片側面に上に、コート量が5g/m2になるようにクリアランスを調整してコーティングした後、60℃に加熱された1,3−ジオキソラン90部に前記(9)により得られたEL(B)10部を完全に溶解させた溶液をナイフコーターにより、ELの固形分量が5g/m2となるようにコーティングした後、130℃の乾熱下で1分間熱処理を行った。続いて60℃に加熱された1,3−ジオキソラン93部に前記(8)により得られたEL(A)7部を完全に溶解させ溶液を、基布上のEL(A)のコート層の上に、コート量が15g/m2になるようにナイフコーターによりコーティングした後、150℃乾熱下で3分間熱処処理を行った。得られた透湿防水布帛は、高い透湿性と耐水圧性とを有するものであった。得られた布帛の性能を表1に示す。
【0054】
[実施例2]
実施例1の基布に含浸させる水溶液として、界面活性剤(竹本油脂製、スルホネート系ノニオン活性剤TJC043)を0.5wt%、および1,3−ジオキソランを20wt%含んだものを用いた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた布帛の性能を表1に示す。
【0055】
[比較例1]
基布に水溶液を含浸させなかった以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。透湿防水布帛を作成した。得られた布帛の性能を表1に示す。
【0056】
[実施例3]
実施例2の基布に含浸させる水溶液の量を、10wt%に変えた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた布帛の性能を表1に示す。
【0057】
[実施例4]
実施例2の基布に含浸させる水溶液の量を、50wt%に変えた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた布帛の性能を表1に示す。
【0058】
[比較例2]
実施例1の基布に含浸させる水溶液の量を、0.01wt%に変えた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた布帛の性能を表1に示す。
【0059】
[比較例3]
実施例1の基布に含浸させる水溶液の量を、70wt%に変えた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた布帛の性能を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
以下、表1について、考察する。
本発明の可動アンカー繊維率を満足する実施例1〜4は、実用に十分耐え得る高度の剥離強度を有しながら、極めて柔軟で、特に実施例1、2および4は屈曲時の不快なガサツキ音さえもしない優れたものであった。これに対して、比較例1および2のものは、剥離強度は高いものの、柔軟性に乏しく、ペーパーライクなものであった。また、比較例3は、可動アンカー繊維率は満足するものの、剥離強度が290g/25mmと極めて低く、実用には使用し難いものであった。
【0062】
【発明の効果】
本発明の透湿防水布帛は、ELにより外表面を完全に被覆されたアンカー繊維の内、少なくとも20%が可動アンカー繊維であるので、剥離強度を維持しながらも、高度の柔軟性を有する。また、コーティング時に水を基布に含ませているので基布を構成する繊維間の空隙が大きく、透湿性も向上する。
【0063】
そのため、高度の柔軟性が要求されるスポーツ衣料などの衣服に極めて好適に使用できる。
【0064】
勿論、本発明により得られた透湿防水布帛はELを使用しているため、燃焼時に有毒ガスを発生しないことから、現在重要視されつつある廃棄処理の問題も解決することが可能である。さらに、基布をポリエステルからなる繊維で構成すれば、リサイクルも可能な透湿防水布帛とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透湿防水布帛の厚み方向に沿った断面の拡大図である。
【図2】従来の透湿防水布帛の厚み方向に沿った断面の拡大図である。
【符号の説明】
1 基布
2 EL
3 ELとアンカー繊維との間の空隙
4 可動アンカー繊維
5 非可動アンカー繊維

Claims (3)

  1. 繊維からなる基布の片側面に、ポリエーテルエステル系エラストマー(EL)を有機溶剤に溶解させた溶液をコーティングする際、基布重量を基準として、該基布に0.5〜50wt%の水を含浸させておくことを特徴とする透湿防水布帛の製造方法。
  2. 該有機溶剤が、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンまたはこれらの混合物である請求項1記載の透湿防水布帛の製造方法。
  3. 該水が、重量を基準として、ELを溶解するのに用いた有機溶剤を5〜50wt%の範囲で含んでいる請求項1または2記載の透湿防水布帛の製造方法。
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