JP3830795B2 - 硬質表面用液体洗浄剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主に食器用、調理器具用等として用いられる硬質表面用液体洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
食器や調理器具等の硬質表面に適用される洗浄剤は、利便性から液体であることが好ましく、皿等に付着した強固な油汚れをきれいに落とす高い洗浄性と、多くの食器を一度に洗える持続性を出しながら、皮膚荒れを少なく押さえるマイルド性が求められている。起泡性や泡の感触を改善する目的、あるいは皮膚刺激性を低減化する目的で脂肪酸ジエタノールアミド型界面活性剤が配合されている。例えば、特開平10−330783号公報には特定の脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩と脂肪酸アルカノールアミドを含有した皮膚にマイルドな洗浄剤組成物が開示されている。しかしながら、従来の技術ではいずれも、高洗浄力、泡の持続性、泡質のきめ細かさ、手荒れの少なさという項目全てを満たしうる性能が得られていない。
【0003】
本発明の課題は、高洗浄力、泡の持続性、泡質のきめ細かさ、手荒れの少なさの全ての性質に優れる硬質表面用液体洗浄剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アニオン性基を分子中に1個以上有するオルガノポリシロキサン(以下アニオン性オルガノポリシロキサンという)を含有する硬質表面用液体洗浄剤を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
[アニオン性オルガノポリシロキサン]
本発明に用いられるアニオン性オルガノポリシロキサンは、アニオン性基を分子中に1個以上有するオルガノポリシロキサンである。アニオン性基としては、一般式(1)又は(2)の少なくともいずれか一方で表わされる構造でケイ素原子に連結されているカルボキシ基又はその塩から選ばれるものが好ましい。
【0006】
【化3】
【0007】
〔式中、R1及びR2は同一又は異なって、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数2〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を示す。Xは−O−又は−NH−基を示す。Mは水素原子、金属、アンモニウム、総炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニルアンモニウム、炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニル置換ピリジニウム、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示す。〕
【0008】
【化4】
【0009】
〔式中、R1、R2、X及びMは前記の意味を示し、R3及びR4は同一又は異なって、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数2〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を示す。〕
一般式(1)及び(2)中、R1は、好ましくは炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基であり、R2及びR4は、好ましくは炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基、あるいはフェニレン基であり、R3は、好ましくは炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基であり、より好ましくはエチレン基である。R1〜R4において、ヘテロ原子を含む置換基としては、エステル基、エーテル基等が挙げられる。
【0010】
M中、金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属を含むが、アルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、ナトリウム、カリウムがより好ましい。アルカノールアンモニウムは、モノ、ジ又はトリアルカノールアンモニウムを含み、総炭素数1〜9のアルカノールアンモニアが好ましく、更に好ましくは、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムである。塩基性アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジン等が挙げられる
カルボキシ基等を有するオルガノポリシロキサンは、水酸基及び/又はアミノ基を含有するオルガノポリシロキサン(以下、前駆体オルガノポリシロキサンという)と、酸無水物又は酸塩化物とを反応させることで合成することができるが、酸無水物が好ましく用いられ、このような酸無水物は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸の中から選ばれる1種以上を単独あるいは混合状態で用いることが好ましい。
【0011】
前駆体オルガノポリシロキサンの水酸基、アミノ基の部分構造は特に限定されないが、一般式(3)又は(4)で表されるものが好ましい。
【0012】
【化5】
【0013】
また、前駆体オルガノポリシロキサンのポリシロキサン鎖としては、[R2SiO]単位(ここで、Rはメチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基、フェニル基又はビニル基を示す)が直鎖状又は分岐鎖状に結合している構造を有するものが挙げられ、これらは架橋していても、架橋していなくてもよい。この前駆体オルガノポリシロキサンの中では、粘度30〜10万mPa・sのものが好ましい。
【0014】
前駆体オルガノポリシロキサンと、酸無水物との反応の際に、反応溶媒は、何も用いないか、あるいは酸無水物と反応しないものであれば特に制限はなく、例えば、2−ブタノン等のケトン類、ヘプタンやシクロヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、1,4−ジオキサンやジエチレングリコールジエチルエーテルやアニソール等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、酢酸エチルや安息香酸メチル等のエステル類、1,2−ジクロロエタンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、スルホラン等のスルホン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。
【0015】
反応温度は、酸無水物の開環反応を早め、前駆体オルガノポリシロキサンと酸無水物とを混合し易くし、またポリシロキサン鎖の断裂等の副反応が起こりにくく、また変色等を引き起こさない観点から、30℃〜150℃が好ましく、50℃〜110℃がさらに好ましい。
【0016】
反応時間は、充分な反応を行い、またポリシロキサン鎖の断裂や変色等の好ましくない副反応を引き起こさない観点から、2〜23時間が適当である。反応雰囲気は、乾燥窒素等の不活性気体雰囲気が好ましい。
【0017】
前駆体オルガノポリシロキサンと酸無水物との割合は、求められる性質に依存して決められるが、生成物にカルボキシ基等を含有させる特徴を出し、反応しないで残留する酸無水物量を抑え、その後の変質や使用時の副反応を引き起こさない観点から、前駆体オルガノポリシロキサンの水酸基とアミノ基との合計当量モル数に対して0.3倍〜1.2倍当量モルの酸無水物が仕込まれることが好ましく、0.6倍〜1.1倍当量モル用いることが特に好ましい。ここで、酸無水物1モルは、反応性から1当量モルとする。特に式(4)においてXがNHである基を有する、前駆体オルガノポリシロキサンを用い、これに酸無水物を反応させる場合には、全てのアミノ基の0.7倍当量モル以上用いることが好ましい。
【0018】
本発明に用いられるアニオン性オルガノポリシロキサンの分子量は特に制限はないが、合成と取り扱いの利便性において、重量平均分子量が2000〜1000000が好ましく、3000〜200000がさらに好ましい。
【0019】
[硬質表面用液体洗浄剤]
本発明の硬質表面用液体洗浄剤は、アニオン性オルガノポリシロキサンを好ましくは0.2〜12質量%、さらに好ましくは0.5〜8質量%、特に好ましくは1〜5質量%含有する。
【0020】
本発明の液体洗浄剤は、各種成分を水に溶解した水溶液あるいは水分散液の形態が使い勝手及び貯蔵安定性の点から好ましく、水の含有量は粘度の点から、好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは30〜60質量%、特に好ましくは40〜60質量%、最も好ましくは45〜55質量%である。
【0021】
また、本発明の液体洗浄剤は、20℃におけるpHを6〜8、特に6.5〜7.5にすることが貯蔵安定性や皮膚への安全性の点から好ましい。pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の無機酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸等の有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア又はその誘導体、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸剤と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0022】
また、使い勝手の点から本発明の液体洗浄剤の20℃における粘度は、100〜1000mPa・s、特に200〜900mPa・sが好ましい。ここで本発明でいう粘度は20℃の恒温槽で試料を30分間保存した後、TOKIMEC.INC製B型粘度計モデルBM(20℃)を用いて測定したものである。
【0023】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤は、アニオン性オルガノポリシロキサン(以下(a)成分という)以外に界面活性剤等の他の成分を含有することができる。
【0024】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤は、炭素数8〜18、好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基を有する、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩から選ばれる陰イオン界面活性剤(以下、(b)成分という)を10〜50質量%、好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは25〜45質量%含有することが、洗浄効果の点から好ましい。
【0025】
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、洗剤用界面活性剤市場に一般に流通しているものの中で、アルキル鎖の平均炭素数が8〜18のものであればいずれも用いることができ、例えば花王(株)製のネオペレックスF25、Shell社製のDobs102等を用いることができる。また、工業的には、洗剤用原料として広く流通しているアルキルベンゼンをクロルスルホン酸、亜硫酸ガス等の酸化剤を用いてスルホン化して得ることもできる。アルキル基の平均炭素数は8〜16、特に10〜14が好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、平均炭素数8〜18、好ましくは10〜18、更に好ましくは10〜16の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールに、エチレンオキシド(以下EOという)、プロピレンオキシド(以下POという)等のアルキレンオキシドを1分子当たり平均0.5〜5モル付加させ、これを例えば特開平9−137188号記載の方法を用いて硫酸化して得ることができる。アルキル硫酸エステル塩としては炭素数8〜18、好ましくは10〜16、更に好ましくは10〜14の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールをSO3又はクロルスルホン酸でスルホン化し、中和して得ることができる。α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数8〜18の1−オレフィンをSO3でスルホン化し、水和/中和を経て製造することができ、炭化水素基中にヒドロキシ基が存在する化合物と不飽和結合が存在する化合物の混合物である。また、α−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩としてはアルキル基の炭素数は10〜16が好ましく、メチルエステル又はエチルエステルが洗浄効果の点から好ましい。本発明では、皮膚刺激性及び洗浄効果の点から、アルキル基の炭素数10〜14、EO平均付加モル数1〜3のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が特に好ましい。
【0026】
塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩が好適であり、洗浄効果の点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
【0027】
本発明の液体洗浄剤は、さらに置換基として炭素数1〜3のアルキル基を1〜3個有するベンゼンスルホン酸又はその塩(以下(c)成分という)を、0.1〜10質量%、特に0.1〜5質量%含有することが好ましい。 具体的に好ましい例として、p−トルエンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸、p−クメンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸又はこれらの塩を挙げることができ、塩を用いる場合にはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
【0028】
本発明の液体洗浄剤は、洗浄効果を向上させる目的から、アミンオキシド型界面活性剤又は両性界面活性剤を含有することも望ましく、特に一般式(5)で表される化合物又は一般式(6)で表される化合物(以下(d)成分という)から選ばれる化合物を含有することが好ましい。
【0029】
【化6】
【0030】
〔式中、R5は炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R7及びR8は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。R6は炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、aは0又は1の数である。〕
【0031】
【化7】
【0032】
〔式中、R9は炭素数9〜23、好ましくは9〜17、特に好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、R10は炭素数1〜6、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、bは0又は1の数である。R11及びR12は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R13はヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。Dは−COO-、−SO3 -、−OSO3 -から選ばれる基である。〕
本発明の液体洗浄剤は、(d)成分を0.1〜20質量%、特に0.5〜10質量%含有することが好ましい。また、(b)成分と(d)成分の配合割合は、洗浄効果及び起泡性の点から、(d)/(b)(質量比)=1/20〜7/3が好ましく、1/10〜6/4が更に好ましい。
【0033】
本発明の液体洗浄剤は、洗浄効果を高めるために、一般式(7)で表される化合物又は一般式(8)で表される化合物から選ばれる非イオン界面活性剤(以下(e)成分という)をさらに配合することが好ましい。本発明の洗浄剤中の(e)成分の配合量は、好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。
【0034】
R14−O(C2H4O)nH (7)
〔式中、R14は平均炭素数10〜20、好ましくは10〜18の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。nはEOの平均付加モル数を示す5〜20の数である。〕
R15−O[(C2H4O)p/(C3H6O)q]H (8)
〔式中、R15は平均炭素数10〜20、好ましくは10〜18の一級のアルキル基である。pはEOの平均付加モル数を示す5〜15の数、qはPOの平均付加モル数を示す1〜5の数である。EOとPOはランダム付加でもブロック付加でもよい。〕
本発明の液体洗浄剤は洗浄効果及び起泡力を向上させる目的で一般式(9)で表される化合物(以下(f)成分という)を含有することが好ましい。本発明の洗浄剤中の(f)成分の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.4〜12質量%である。
【0035】
【化8】
【0036】
〔式中、R16CO−は炭素数8〜22、好ましくは8〜18の飽和又は不飽和のアシル基、R17は炭素数1〜3のアルキル基、R18は炭素数1〜3のアルキレン基又はアルケニレン基である。〕
一般式(9)において、R16CO−の好ましい具体例としては、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、2−オクチルウンデカン酸、イソステアリン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基が挙げられ、特に好ましくは、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基である。また、本発明では該アシル基が単独のアシル基であっても差し支えないが、R16CO−に対応する脂肪酸が混合脂肪酸であることが洗浄効果、及び起泡力の点から好適である。好ましい混合脂肪酸組成は脂肪酸中の質量%として以下の組成が好適である。なお、これ以外の脂肪酸を含有しても差し支えないが、下記に示した脂肪酸の合計質量が100質量%となるように調整されることが貯蔵安定性の点から望ましい。
【0037】
カプリル酸;1〜10質量%、好ましくは3〜6質量%
カプリン酸;1〜12質量%、好ましくは3〜7質量%
ラウリン酸;44〜60質量%、好ましくは44〜55質量%
ミリスチン酸;10〜22質量%、好ましくは10〜17質量%
パルミチン酸;4〜10質量%、好ましくは6〜10質量%
ステアリン酸;0〜10質量%、好ましくは1〜7質量%
オレイン酸;0〜17質量%、好ましくは1〜17質量%
一般式(9)において、R17は、メチル基又はエチル基が好ましく、洗浄効果、起泡性、及び貯蔵安定性の点から特にメチル基が好ましい。さらにR18は、洗浄効果の点から、炭素数2もしくは3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましい。
【0038】
一般式(9)で表される化合物の好ましい具体例として、N−エタノール−N−メチルオクタン酸アミド、N−エタノール−N−メチルデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルドデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルテトラデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヘキサデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルオクタデカン酸アミド、、N−イソプロパノール−N−エチルドデカン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールオレイン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールイソステアリン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヤシ脂肪酸アミド、N−エタノール−N−メチルパーム核油脂肪酸アミド等を挙げることができる。
【0039】
本発明の液体洗浄剤は洗浄効果及び起泡力を向上させる目的で一般式(10)で表される化合物(以下(g)成分という)を含有することが好ましい。
【0040】
【化9】
【0041】
〔式中、EはR22CO−で表される基、又は水素原子、好ましくはR22CO−で表される基であり、R22は炭素数9〜19、好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基である。R19は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、特にメチル基である。R20は炭素数1〜6、好ましくは2又は3のアルキレン基であり、R21は炭素数9〜19、好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基である。〕
本発明の液体洗浄剤は(g)成分を0.01〜5質量%、特に0.05〜3質量%含有することが洗浄効果及び起泡力の点で良好である。また(a)成分と(g)成分の配合割合を、(g)/(a)(質量比)で1/100〜1/1、更には2/100〜1/5、特に2/100〜1/10とすることが好ましい。
【0042】
本発明の液体洗浄剤はグルセリンを含有することが洗浄効果及び起泡性の点から望ましく、グリセリンの含有量は好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.05〜1質量%である。
【0043】
本発明の液体洗浄剤は、アルカリ土類金属イオンを0.1〜2質量%、特に0.1〜1質量%含有することが望ましい。アルカリ土類金属イオンとしてはマグネシウムイオンが良好であり、塩として洗浄剤中に配合する。具体的に好ましい化合物は硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウムである。
【0044】
本発明の液体洗浄剤には粘度調整のために溶剤を配合することが好ましい。溶剤としては、(i)炭素数1〜5の1価アルコール、(ii)炭素数4〜12の多価アルコール、(iii)一般式(11)で表される化合物、(iv)一般式(12)で表される化合物、(v)一般式(13)で表される化合物、(vi)エチレングルコール又はプロピレングリコール
【0045】
【化10】
【0046】
〔式中、R22及びR23は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示すが、R22及びR23の双方が水素原子となる場合を除く。sは0〜10の数を、tは0〜10の数を示すが、s及びtの双方が0である場合を除く。R24及びR25はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。R26は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
(i)の炭素数1〜5の1価アルコールとしては、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの低級アルコールを配合することにより低温における系の安定性を更に向上させることができる。
【0047】
(ii)の炭素数4〜12の多価アルコールとしては、イソプレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールが挙げられる。
【0048】
(iii)の化合物は、一般式(11)において、R22及びR23がアルキル基である場合の炭素数は1〜4が特に好ましい。また、一般式(11)中、EO及びPOの平均付加モル数のs及びtは、それぞれ0〜10の数である(s及びtの双方が0である場合を除く)が、これらの付加順序は特に限定されず、ランダム付加したものでもブロック付加したものでもよい。(iii)の化合物の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=2〜3)ポリオキシプロピレン(p=2〜3)ジメチルエーテル(pは平均付加モル数を示す)、ポリオキシエチレン(p=1〜4)フェニルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等が挙げられる。このうち、洗浄力及び使用感の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=1〜4)フェニルエーテルが好ましい。
【0049】
また、(iv)の化合物としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンが好適なものとして例示され、(v)の化合物としてはアルキルグリセリルエーテル化合物であり、好ましくはR26が炭素数3〜8のアルキル基の化合物である。
【0050】
これらのなかでも本発明の性質を満たすために、(i)、(ii)、(iii)、(v)、(vi)の水溶性溶剤が好ましく、特にエタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテルから選ばれる水溶性溶剤が好ましい。
【0051】
本発明の液体洗浄剤は、このような溶剤を1〜10質量%、更に1〜8質量%含有することが良好である。
【0052】
本発明の液体洗浄剤は、ゲル化防止のためのポリアルキレングリコールを配合することができる。ポリアルキレングリコールの配合量は、使い勝手の良い粘度に調整するために、0〜1.0質量%が好ましく、より好ましくは0〜0.5質量%である。ゲル化防止としてのポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチングリコールを標準としたときのゲルクルマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が500〜20000のポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールが好ましい。
【0053】
本発明の液体洗浄剤は、上記以外に、本発明の効果を損なわない範囲で通常の硬質表面用洗浄剤に配合される成分、例えば、アルカリ剤、キレート剤、粘度調整剤、泡調整剤、酸化防止剤、可溶化剤、抗菌剤、防黴剤、防錆剤、酵素、酵素安定化剤、着色剤、香料等を含有することができる。
【0054】
本発明の液体洗浄剤は、硬質表面、特に食器、調理器具等の洗浄に好ましく用いることができる。
【0055】
【実施例】
例中の部及び%は、特記しない限り質量部、質量%である。
【0056】
合成例1
乳鉢ですりつぶした無水コハク酸(和光純薬工業(株)製)55.59部をKF−393(信越化学工業(株)製、アミノ基含有ポリジメチルシロキサン)200部と混合して、窒素雰囲気下、85〜88℃で4時間攪拌し、カルボキシ基を有するポリジメチルシロキサンを薄黄色の糊状物として得た。
【0057】
クロロホルム・メタノール混合溶媒(容量比1:1)の中で、過塩素酸の酢酸溶液を用いて電位差滴定によってアミノ基を分析した結果、元のアミノ基の90%が消失していた。
【0058】
また、クロロホルム・メタノール混合溶媒(容量比1:1)の中で、フェノールフタレインを指示薬とし、水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて滴定してカルボキシ基を分析した結果、90.0mg水酸化カリウム当量/gサンプルであった。
【0059】
また、液膜法で赤外線吸収スペクトルを測定した結果、1708cm-1にカルボキシ基の吸収が、1641cm-1にアミド基の吸収が観測された。
【0060】
実施例1〜3及び比較例1〜3
表1に示す成分を用いて液体洗浄剤を調製した。これら液体洗浄剤の洗浄力、泡の感触、及び洗浄後の手の感触を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0061】
<洗浄力>
サラダ油/牛脂を1/1の質量比で混合し、さらに0.1%の色素(スタンレッド)を均一に混ぜ込んだモデル油汚れ2gをメラミン皿に均一に塗り広げたものをモデル汚染食器とした。
【0062】
市販のスポンジ(可撓性材料、金鳥クリーナーNo.5005、ポリウレタンフォーム)に界面活性剤が0.44gになる量の表1の洗浄剤及び水道水15gを染み込ませ2〜3回手でもみ泡立たせた。これを用いてモデル汚染食器を擦り洗いし、洗浄できた皿(食器に付着した色が消えることにより確認)の枚数を求めた。
【0063】
<泡の感触>
市販のスポンジ(可撓性材料、金鳥クリーナーNo.5005、ポリウレタンフォーム)に界面活性剤が0.44gになる量の表1の洗浄剤及び水道水15gを染み込ませ2〜3回素手でもみ泡立たせた。この時の泡の感触を10人のパネラー(20代女性5人、30代女性5人)により下記の基準で評価した。これら評価点の平均を求め、平均点が1.5以上を○、1以上1.5未満を△、1未満を×として判定した。
【0064】
2点:きめ細かく多量の良好な泡立ちである
1点:泡立ちは多いが、泡質が細やかではない
0点:泡立ちも泡質も良好ではない
<洗浄後の手の感触>
市販のスポンジ(可撓性材料、金鳥クリーナーNo.5005、ポリウレタンフォーム)に適当量の表1の洗浄剤及び水道水を染み込ませ2〜3回手でもみ泡立たせた。これを用いてモデル汚染食器50枚を擦り洗いした。洗浄剤が足りなくなってきたと感じた場合には、任意に追加した。洗浄後に手を充分に水道水ですすぎ、タオルで軽く拭いて放置乾燥させた。10人のパネラー(20代女性5人、30代女性5人)による、こうして準備した手の感触を下記の基準で評価した。これら評価点の平均を求め、平均点が1.5以上を○、1以上1.5未満を△、1未満を×として判定した。
【0065】
2点:さらっとした感じがある、良好な感触である
1点:皮膚が突っ張った感じがし、表面にかさつきを感じる
0点:皮膚がささくれた感じがし、手荒れを感じる
【0066】
【表1】
【0067】
注)表中の略号は以下のものを表す。
【0068】
<(a)成分>
・シリコーン1: 合成例1で得たアニオン性オルガノポリシロキサン
<(b)成分>
・LAS−Na:アルキル基の炭素数が12〜15のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・ES:ポリオキシエチレンココナッツアルキルエーテル硫酸アンモニウム(EO平均付加モル数2モル)
・AS:ラウリル硫酸アンモニウム塩
・AOS:C12〜C14の1−オレフィンをSO3でスルホン化し、水酸化ナトリウムで中和したα−オレフィンスルホン酸ナトリウム
・SFE:やし組成脂肪酸メチルエステルをSO3でスルホン化し、水酸化ナトリウムで中和したα−スルホ脂肪酸メチルナトリウム塩
<(c)成分>
・p−TS:p−トルエンスルホン酸ナトリウム
・MXS:m−キシレンスルホン酸ナトリウム
・CMS:p−クメンスルホン酸ナトリウム
<(d)成分>
・AO:N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド
・AB:N−ラウロイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン
<(e)成分>
・ノニオン1:C12、C13混合アルキル2級アルコールに、EOを平均7モル付加させたもの(ソフタノール70、日本触媒(株)製)
・ノニオン2:ドデカノールにEOを2モル、POを3モル、EOを5モルをブロック状に付加させたもの
<(f)成分>
・PKNMEA:カプリル酸(4.5質量%)、カプリン酸(5質量%)、ラウリン酸(54.5質量%)、ミリスチン酸(11.5質量%)、パルミチン酸(10質量%)、ステアリン酸(5.5質量%)、オレイン酸(9質量%)の混合脂肪酸と、N−メチルエタノールアミンとを脱水アミド化反応させて得られた、N−エタノール−N−メチルアルカン酸アミド
<(g)成分>
・DAAA: C11H23CON(CH3)C2H4OCOC11H23
1モルのN−メチルエタノールアミンと2モルのラウリン酸を脱水縮合反応させ、未反応のアミン及び/又は脂肪酸を薄膜式蒸留機により除去して得られたもの
<その他成分>
・PPG:ポリプロピレングリコール、重量平均分子量1200
・抗菌剤:プロキセルBDN(アビシア(株)製)
・pH調整剤:1/10N−硫酸水溶液又は1/10N−水酸化ナトリウムを用いて調整した。
【0069】
【発明の効果】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤は、高洗浄力、泡の持続性、泡質のきめ細かさ、手荒れの少なさの全ての性質に優れている。これは、本発明の液体洗浄剤中で、アニオン性オルガノポリシロキサンは、高濃度の他成分に可溶化されて安定な溶液あるいは分散液状態で存在するが、食器等を洗浄する際に水で希釈されると急激に不安定な懸濁液となり、手に吸着する。従って皮膚上にできるアニオン性オルガノポリシロキサンの層が、界面活性剤の化学的刺激あるいは洗浄器具(スポンジ等)の物理的刺激による荒れから皮膚を防御すると考えられる。 またアニオン性オルガノポリシロキサンは、界面活性剤による泡質をも改善し、きめ細かい粘性のある泡とする作用がある。洗浄中の希釈液中ではこれらアニオン性オルガノポリシロキサンと界面活性剤は相溶しないので界面活性剤の基本的洗浄力を落とさないため、本発明の液体洗浄剤は、高洗浄力、泡の持続性、泡質のきめ細かさ、手荒れの少なさの全ての性質に優れている。
Claims (3)
- 一般式(1)又は(2)の少なくともいずれか一方で表わされる構造でケイ素原子に連結されているカルボキシ基又はその塩から選ばれるアニオン性基を分子中に1個以上有するオルガノポリシロキサンを含有する硬質表面用液体洗浄剤。
- アニオン性基を分子中に1個以上有するオルガノポリシロキサンの含有量が、0.2〜12質量%である請求項1記載の硬質表面用液体洗浄剤。
- 更に陰イオン界面活性剤を含有する請求項1又は2記載の硬質表面用液体洗浄剤。
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