JP3830160B2 - 環状ケトン過酸化物による重合体または共重合体の変性 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は環状ケトン過酸化物を用いて重合体または共重合体を変性する方法及び重合体または共重合体の変性に環状ケトン過酸化物を用いる方法に関する。
発明の背景
従来より、過酸化物を用いて重合体または共重合体を変性するいくつかの方法が知られている。これらの多くの方法において、不飽和過酸化物が用いられている。これらの方法のいくつかはEP−A−0322945及びWO94/05707に見い出す事ができる。
加えて、カナダ特許999、698号はα−オレフィン重合体の粘度を下げるためにメチルエチルケトンパ−オキサイドを用いることができることを教示する。さらに、EP−A−0497590及びEP−A−0264156はポリプロピレンのメルトフロ−インデックスを増加するためにメチルエチルケトンパ−オキサイド及びメチルイソブチルケトンパ−オキサイドを使用することを示唆する特許例である。
メチルエチルケトンパ−オキサイド及びメチルイソブチルケトンパ−オキサイドは異なるいくつかの種類のケトン過酸化物化合物の混合物であり、その大半は非環状ケトン過酸化物であることが知られている。しかしながら、これらのケトン過酸化物はメチルエチルケトンパ−オキサイド及びメチルイソブチルケトンパ−オキサイド製造過程における副反応により生じる環状ケトン過酸化物を少量含んでいる。例えば、市販のメチルエチルケトンパ−オキサイドにおいては、全活性酸素中の約1−4%は環状ケトン過酸化物に起因するものである。
これらの過酸化物は重合体の変性に使用されることが知られているが、それらの性能は、例えば、ポリプロピレンの減成に対して、期待に反するものであるし、しばしば重合体を黄色に変色させる。このように、これらの過酸化物はポリプロピレンのメルトフロ−インデックスを増加するものの、当該用途における性能において2、5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンなどの市販の製品とは比べ物にならない。本発明の過酸化物は市販の過酸化物と同程度の効果を提供し、それらの分解における副反応により生成する望ましくない副生成物が少ないというさらなる利点を提供する。
よって、過酸化物の技術課題として、重合体変性において受容できる価格/性能比を提供すること、が残る。本発明のこれら及び他の目的については、発明の要約及び後続の詳細な説明において明らかにされる。
発明の要約
第一に、本発明は有機過酸化物を用いて重合体または共重合体を変性する方法に関する。当該方法は、重合体または共重合体を過酸化物と、当該過酸化物の少なくともいくらかが分解する条件下で接触させる工程を含む。さらに該方法は全活性酸素量の少なくとも20%が化学式I−IIIで表される過酸化物から選択される少なくとも1つの環状ケトン過酸化物に帰せられるという特徴を有する:
Figure 0003830160
(ここで、R−R10は水素、C−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アリール、C−C20アラルキル及びC−C20アルカリールよりなる群から独立して選ばれ、これらの基は直鎖または分岐したアルキル部分を含んでいてもよい;さらに各R−R10は水酸基、C−C20アルコキシ、直鎖または分岐したC−C20アルキル、C−C20アリ−ロキシ、ハロゲン、エステル、カルボキシ、ニトリル、及びアミドから選ばれる1以上の基により任意的に置換されていてもよい。)
第2点は、本発明は全活性酸素量の少なくとも20%が化学式I−IIIで表される過酸化物から選択される少なくとも1つの環状ケトン過酸化物に帰属される有機過酸化物を重合体または共重合体の変性のために用いる方法に関する。
国際特許出願No.WO87/06944は3、6、6、9、9−ペンタメチル−3−n−プロピル−1、2、4、5−テトラオキシシクロノナンをポリプロピレンの変性及びメルトフロ−インデックスの増加に使用することを開示する。米国特許4、451、589においても類似した開示を見いだす事ができる。しかし、これらの刊行物は化学式I−IIIで表される本過酸化物を重合体または共重合体の変性のために使用する方法を教示または示唆しない。
化学式I−IIIで表される環状ケトン過酸化物が重合体変性において、市販の本用途向けられる過酸化物と少なくとも同程度に機能すること及び相当する非環状ジアルキルケトン過酸化物より優れた働きをすることを思いがけなく見出した。
発明の詳細な説明
化学式I−IIIで表される過酸化物は米国特許3、003、000号;Uhlmann,第3版,Vol.13,256−57頁(1962);論文、“Studies in Organic Peroxides. XXV. Preparation, Separation and Identificationof Peroxides Derived from Methyl Ethyl Ketone and Hydrogen Peroxide,”Milas, N.A. and Golubovic, A., J. Am. Chem. Soc., Vol. 81,pp. 5824-26(1959), Organic Peroxides, Swern, D.編集,Wiley-Interscience, New York(1970)及びHouben-Weyl Methoden der Organische Chemie, E13, Volume 1, 736頁,(これら開示は、引用することにより本明細書に含まれる)に示されているようにケトンを過酸化水素と反応させることによって作ることができる。
本発明における過酸化物の合成に適したケトンには例えば、アセトン、アセトフェノン、メチル−n−アミルケトン、エチルブチルケトン、エチルプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルヘプチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルアミルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、イソブチルヘプチルケトン、ジイソブチルケトン、2、4−ペンタンジオン、2、4−ヘキサンジオン、2、4−ヘプタンジオン、3、5−ヘプタンジオン、3、5−オクタンジオン、5−メチル−2、4−ヘキサンジオン、2、6−ジメチル−3、5−ヘプタンジオン、2、4−オクタンジオン、5、5−ジメチル−2、4−ヘキサンジオン、6−メチル−2、4−ヘプタンジオン、1−フェニル−1、3−ブタンジオン、1−フェニル−1、3−ペンタンジオン、1、3−ジフェニル−1、3−プロパンジオン、1−フェニル−2、4−ペンタンジオン、メチルベンジルケトン、、フェニルメチルケトン、フェニルエチルケトン、メチルクロロメチルケトン、メチルブロモメチルケトン及びこれらの結合(カップリング)物が含まれる。化学式I−IIIで表されるもので好ましい過酸化物は、R−R10が独立にC−C12アルキル基から選ばれたものである。勿論、2種以上の異なるケトンの混合物、ならびに、化学式I−IIIで表される過酸化物に対応する適切なR基を有する他のケトンも用いることができる。
化学式I−IIIで表される過酸化物で本発明に従って用いるのに適したものの例は、アセトン、メチルアミルケトン、メチルヘプチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルオクチルケトン、メチルノニルケトン、メチルデシルケトン、メチルウンデシルケトン、及びそれらの混合物、から導かれる環状ケトン過酸化物である。
環状ケトン過酸化物は同一または相違する少なくとも2つのケトン過酸化物より作られる。かくして、環状ケトン過酸化物は2量体、3量体等の形で存在する。環状ケトン過酸化物が合成されるとき、大抵、主として2量体、3量体の形で存在する混合物が形成される。。種々の形の比は合成中の反応条件に主として依存する。もし、望ましければ、混合物は個々の環状ケトン過酸化物化合物に分離される。一般には、環状ケトン過酸化物3量体は、対応する2量体より揮発性が低く、反応性が高い。組成物または個々の化合物のいずれが好ましいかは、過酸化物の用途における物理的特性又は要求、例えば、貯蔵安定性、半減期対温度の関係、揮発性、沸点、溶解性等、に拠る。いかなる形の環状ケトン過酸化物、例えば、オリゴマ−化合物又は混合物、も本発明に含まれると理解される。
当該過酸化物はそのままあるいは粉体、顆粒、ペレット、錠剤、フレ−ク、スラブ、ペ−スト、溶液の形状で合成され、輸送され、貯蔵され、施与される。これらの処方は任意的に、必要ならば、処方中の過酸化物の種類及びその濃度に応じて、減感される。これらのうちのどの形状が好ましいかは、部分的には閉鎖系に過酸化物を供給する容易さに拠る。安全性も、ある組成物の安全性を確保するために減感剤が組み入れられなければならないというようなときには、考慮されよう。好適な減感剤の例としては、重合体のような固体担体、シリカ、チョ−ク、粘土、不活性可塑剤、溶剤、不活性希釈剤たとえばシリコ−ン油、ホワイト油及び水が挙げられよう。
本環状ケトン過酸化物は例外的に、重合体の変性に使用するのによく適している。特に、これらの過酸化物はポリプロピレンそのコポリマ−などのポリオレフィンの減成、エチレン/プロピレン/ジエンポリマ−、ポリエチレン及びそれらコポリマ−などのポリオレフィンの架橋、エラストマ−と熱可塑性樹脂とのブレンドの動的架橋、モノマ−のポリエ−テル、ポリオレフィン、エラストマ−などのポリマ−上へのグラフト、官能基を含む環状ケトン過酸化物の場合にはポリオレフィンの官能化などの工程に使用され得る。
一般に、環状ケトン過酸化物は変性の対象に応じた種々の方法で重合体または共重合体と接触させられる。例えば、もし3次元重合体材料の表面変性を欲すれば、環状ケトン過酸化物は当該材料の表面に施与されよう。一方、重合体または共重合体のマトリックス全体を均一に変性したければ、環状ケトン過酸化物は当該材料と、溶融状態、溶液状態、エラストマ−においては可塑状態で、混合されよう。重合体または共重合体を粉末にして環状ケトン過酸化物と混合することも可能である。
未変性の重合体または共重合体と過酸化物との均一な混合を達成するために、もっともありふれた混合機が使用されよう。典型的な混合機としては、混練機、密閉式混合機及び(混合)押し出し機が含まれる。万が一、ある材料が例えば高融点のために、混合が問題であるときは、その重合体または共重合体をまず固体状態で表面変性して、次いで溶融して混合せしめることができる。他方、その重合体または共重合体をまず溶剤に溶解して、環状ケトン過酸化物との反応を溶液にて行うこともできる。
本発明の重要な実用的観点は、環状ケトン過酸化物と重合体または共重合体とを相互に接触させる時機及び環状ケトン過酸化物が重合体または共重合体と反応する時機を、添加剤の導入、成形等を含む他の一般的な重合体加工工程から独立に選択できる点である。例えば、当該変性は他の添加剤を重合体に導入する前に又は、後に行うことができよう。さらに重要なのは、例えば押し出し、圧縮成形、吹き込み成形、射出成形などの重合体の成形過程の間に本変性を完了することができる点である。本重合体変性工程は、押し出し成形機において行うのが最も好ましい。
用語”(コ)ポリマ−”は、本願においては”重合体及び共重合体”の意味に解されるべきである。本願において用語”ケトン過酸化物”は、ケトン及びアルデヒドから誘導される過酸化物を包含すると解釈されるべきである。
一般に、引き抜きできる水素原子を含むいかなる(コ)ポリマ−をも本発明により変性する事ができる。本発明により変性する(コ)ポリマ−は、細かく砕いた粉(フレ−ク)、ペレット、フィルム、シ−ト、溶融状、溶液状などを含む、いかなる物理的形状であってもよい。本発明の好ましい実施態様としては、(コ)ポリマ−材料は、実質的に無酸素下での粉体変性のために細かく砕いた形状、酸素を含む雰囲気下または窒素雰囲気での変性に適した溶融状、または好適な溶剤での溶液状である。
本発明の変性工程で使用する過酸化物の量は、(コ)ポリマ−の処理をする際に相当の(コ)ポリマ−の変性を達成するのに効果的な量でなければならない。より特定的には、(コ)ポリマ−の重量に対して0.001重量%−15.0重量%の過酸化物が使用されなければならない。より好ましくは、0.005重量%−10.0重量%が使用される。最も好ましくは、0.01重量%−5.0重量%が使用される。
本発明の環状ケトン過酸化物と従来技術におけるケトン過酸化物であっていくらかの環状ケトン過酸化物を不純物として含むものとの差異を明確にするためには、本発明の方法で用いられる過酸化物の全活性酸素量の少なくとも20%が1以上の環状ケトン過酸化物に起因するものであることが必要とされる。より好ましくは、環状ケトン過酸化物は変性工程で使用される組成物の全活性酸素量の50%を供給しなければならず、最も好ましくは、変性工程で使用される過酸化物組成物の全活性酸素量の少なくとも70%は環状ケトン過酸化物に起因するものである。以下の記載に含まれる比較例は環状ケトン過酸化物の対応する非環状ケトン過酸化物に対する利点を明示するものである。
変性工程においては、(コ)ポリマ−は通常のポリマ−添加剤を含むことがあろう。そのような添加剤の例としては以下が掲げられる:酸化防止剤、熱減成防止剤、紫外線減成防止剤などの安定化剤、滑剤、エクステンダ−油、炭酸カルシウムなどのpH調整剤、離型剤、着色剤、シリカ、粘土、チョ−ク、カ−ボンブラック、グラスファイバ−などの繊維、などの補強または非補強充填材、核剤、可塑剤、促進剤、及び他の種類の過酸化物などの架橋剤及び硫黄。これらの添加剤は通常の量で用いられる。
ある(コ)ポリマ−が本発明の環状ケトン過酸化物と接触させられると、高分子鎖の減成が起きることが見出だされた。例えば、減成する傾向にある重合体としては、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、エチレン/プロピレンランダム又はブロックコポリマ−などのアルキレン/プロピレンコポリマ−及び、アルキレン/プロピレン/ブチレンタ−ポリマ−、例えばエチレン/プロピレン/ブチレンタ−ポリマ−、などのタ−ポリマ−;プロピレン/ジエンモノマ−コポリマ−、ポリプロピレン/スチレンコポリマ−、ポリ(ブテン−1)、ポリ(ブテン−29、ポリイソブテン、イソプレン/イソブチレンコポリマ−、塩素化イソプレン/イソブチレンコポリマ−、ポリ(メチルペンテン)、ポリビニルアルコ−ル、ポリスチレン、ポリ(α−メチル)スチレン、2、6−ジメチルポリフェニレンオキサイド及びこれらポリマ−同志または/及び他の非減成性ポリマ−との混合物またはブレンドが含まれる。
本発明の方法により減成する傾向にある(コ)ポリマ−の処理は、一般的に出発の未変性の重合体と比較して、メルトフロ−インデックスが正味に増加し、重量平均分子量が減少し、ならびに狭い分子量分布(分散)を有する重合体物質を生じる。ポリプロピレン及びそのコポリマ−の場合は、変性された(コ)ポリマ−のほとんどの機械的性質は変化しないままである。さらに、特定の(コ)ポリマ−製品のいくつかの特性、例えば、繊維の直線強度、射出成型品のそり、ポリマ−フィルムの透明度、は改良される。本発明の変性方法は、種々のポリプロピレンの工程、たとえば繊維紡糸、高速射出成型、及び不織布の溶解吹込などに特に有用である
減成は通常の方法で遂行される。化学式I−IIIで表される1以上の過酸化物の存在下で、(コ)ポリマ−が(コ)ポリマ−の融点及び過酸化物の分解点より高い温度まで加熱される。通常は50℃−350℃、より好ましくは100℃−300℃、が用いられる。加熱時間は、一般に0.1分から30分の間、より好ましくは0.5分−5分である。減成は押し出し成型機内で行われるのが最も好ましい。
ポリオレフィンの減成によく使用されるt−ブチルペルオキシド基を有する過酸化物は、反応時にt−ブタノ−ルとアセトンを主な分解生成物として発生する。メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ブチルメチルケトン及びジエチルケトンから導かれる環状ケトン過酸化物のひとつの利点はアセトン又はt−ブタノールを分解生成物として発生しないことである。
本発明の環状ケトン過酸化物は低密度、直鎖低密度、中密度及び高密度ポリエチレン、エチレン/アルキレンコポリマ−、エチレン/プロピレン/ジエンモノマ− タ−ポリマ−,クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマ−、エチレン/プロピレンコポリマ−、プロピレン/ジエンモノマ− コポリマ−、臭素化イソプレン/イソブチレンコポリマ−、部分ハロゲン化ブタジエンアクリロニトリルコポリマ−、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ(シクロペンタジエン)、ポリ(メチルシクロペンタジエン)、ポリノルボルネン、イソプレン/スチレンコポリマ−、ブタジエン/スチレンコポリマ−、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマ−、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン タ−ポリマ−、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリウレタン、ポリスルフィド、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、コポリエ−テルエステル、ポリアミド、シリコ−ンゴム、ポリフロロアルコキシフォスファゼンなどのフッ素ゴム、アリルグリシジルエ−テル/エピクロロヒドリンコポリマ−及びこれらの混合物又はブレンド等のポリマ−の架橋にも使用できる。
本発明の架橋方法を遂行するために、従来の架橋技術及び装置が使用される。本発明の方法は、一般に高温下で行われるロトモ−ルディング工程における高密度ポリエチレンの架橋に特に適している。
本発明はエラストマ−と熱可塑性(コ)ポリマ−とのブレンドの動的架橋にも適している。ブレンドして本発明に従って動的架橋される好適なエラストマ−には、エチレン/酢酸ビニルコポリマ−、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン/プロピレンコポリマ−、エチレン/プロピレン/ジエンモノマ− タ−ポリマ−,ブタジエン/アクリロニトリルコポリマ−、水素化ブタジエン/アクリロニトリルコポリマ−、天然ゴム、ポリクロロプレン、シリコ−ンゴム、フッ素ゴム、及びこれらの混合物又はブレンドが含まれる。
本発明に従って動的架橋されるブレンドにおいて用いられる好適な熱可塑性(コ)ポリマ−には、熱可塑性樹脂、結晶性または非晶性(コ)ポリマ−が含まれる。特に、当該(コ)ポリマ−は、低密度、中密度及び高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンのアロイ及びこれらの混合物から選ばれる。
本発明の(コ)ポリマ−変性方法は、モノマ−の重合体上へのグラフト又は、グラフト共重合体の生成にも有用である。本発明の環状ケトン過酸化物によりグラフトすることができる好適な(コ)ポリマ−の例としては、共役1、3−ジエン及び1以上の共重合体可能なモノエチレン性不飽和モノマ−、例えば、芳香族モノビニリデン炭化水素、ハロゲン化芳香族モノビニリデン炭化水素、(メタ)アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、不飽和ケトン、ビニルエステル、ビニリデン及びハロゲン化ビニルの共重合体及びブロック共重合体;エチレン/プロピレンコポリマ−、エチレン/プロピレンと例えばヘキサジエン1,4,ジシクロペンタジエン及び5−エチリデンノルボルネンなどの他の(多)不飽和化合物との共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン及びそれらの共重合体;及びエチレン性不飽和を有しないポリオ−ルを含むポリオ−ルがある。そのようなポリオールは、モノマー単位あたり2〜6個の炭素原子を有し400〜2000のMnを持つポリアルキレンポリエーテルポリオール、多ヒドロキシ含有ポリエステル、ヒドロキシ末端ポリエステル、及び脂肪族ポリオールを包含する。
本発明の環状ケトン過酸化物により上記重合体にグラフトすることができる好適なモノマ−の例としては:オレフィン性またはエチレン性不飽和モノマー、たとえばスチレン及びα−メチルスチレンを含む置換または非置換芳香族ビニルモノマ−;例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル及びグリシジルメタクリレ−トなどの、エチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体;例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル及びアクリルアミド等のエチレン性不飽和ニトリル及びアミド;ブタジエンなどの置換または非置換エチレン性不飽和モノマ−;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;例えばマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、シトラコン酸、イタコン酸、ナジック酸無水物、マレイン酸、アリ−ル、アルキル及びアラルキルシトラコンイミド及びマレイミドなどのエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその誘導体(モノおよびジエステルを含め);イソブテン及び4−メチルペンテンなどのオレフィン;及びエポキシドがある。
グラフトの工程においては、重合体対グラフトするモノマ−の比は99:1から1:50である。ここでも、化学式I−IIIで表される本発明の過酸化物でグラフトを達成するためには、従来のグラフト工程、条件、及び装置を採用することができる。
最後に、本発明の変性方法は、官能基を(コ)ポリマ−に導入するのにも使用できる。これは、化学式I−IIIで表される過酸化物であって1以上の官能基”R”が付いているものを用いることによって達成できる。これらの官能基は環状ケトン過酸化物より形成されるフリ−ラジカルのなかにあってもそのままで変化を受けないため、変性された(コ)ポリマ−に導入される。本発明の本目的を達成するためには従来の重合体変性条件及び装置を採用することができる。
本発明の好ましい実施態様に従って、重合体の減成の量を制御するため又は変性(すなわち、架橋または官能基の導入)の程度を増大するためにコエージェント(共剤)存在下に当該変性方法が実施される。
一般にコエージェントはポリ不飽和化合物などの多官能の反応性添加剤であってポリマーラジカルと速く反応し、立体障害を克服し及び望ましくない副反応を最小にするものと解される。コエージェント(時々、コアクティベ−タ−と呼ばれる)に関するより詳細な情報は、Rubber Chemistry and Technology,Vol.61,pp.238−254,W.Hofmann,Progress in Rubber and Plastic Technology,Vol.1,No.2,March 1985,pp18−50,(この開示は引用されることにより本明細書に含められる)に示されている。本発明との関係において、用語”コエージェント”はこれらの刊行物で与えられているのと同じ意味を有するものとする。
ジ及びトリアリル化合物、ジ及びトリ(メタ)アクリレート化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニル化合物たとえばジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ポリアルケニルベンゼン及びその重合体、ポリブタジエン、パラキノンジオキシム、1、2−シスポリブタジエン、パラキノンジオキシム、1、2−シスポリブタジエン、及びこれらの誘導体を含む非常に多くの種類のコエージェントが市販されている。さらに他の有用なコエージェントとして1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、及び1,3,5−トリイソプロペニルベンゼンが含まれる。
効果的な量の1以上のこれらのコエージェントを、本環状ケトン過酸化物との反応に先立って、またはその間に(コ)ポリマ−へ導入すると、変性された当該物質の減成を減少する傾向がある。このようにして、もし望むのであれば、減成の程度を調整する事ができる。驚くことに、いくつかの場合には、コエージェントは、変性された極性の(コ)ポリマ−における接着強度の増大など機械特性を向上する。この増大はコエージェントの存在によりより多くの官能基が導入されたためであろう。
最後に別の観点において、本発明は全活性酸素量の少なくとも20%が化学式I−IIIで表される過酸化物より選ばれた少なくとも1の環状ケトン過酸化物に帰せられるところの有機過酸化物を(コ)ポリマ−の変性に用いることに関する。該変性の条件及び装置は上記で(コ)ポリマ−の変性に関して開示された内容と同様である。
発明は以下の実施例により具体的に示される。
実施例
用いた物質
ポリマー:
−エチレン/プロピレン/ジエンモノマー ターポリマー(Keltan(商標)520 DSM製)。
−ポリプロピレン ホモポリマー(Moplen(商標)FLS20、Himont製)。
−ポリプロピレン ホモポリマー(Hostalen(商標)PPH1050、Hoechst製)。
−ポリプロピレン ホモポリマー(Hostalen(商標)PPR1060P、Hoechst製)。
−ポリプロピレン コポリマー(Stamylan(商標)56MN10,DSM製)。
−ポリプロピレン エラストマー ブレンド(Hostalen(商標)PPN8009、Hoechst製)。
−直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)(Escorene LL1001XV,Exxon製)。
−ポリブタジエンゴム(Cariflex(商標)BR1202B、Shell製)
カーボンブラック:カーボンブラックN−772
エクステンダー油:パラフィン油(Sunpar(商標)150 Sunoco製)。
過酸化物: 2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2、5−ジメチルヘキサン
−検定95.35%(Trigonox(商標)101,Akzo Chemicals製)[理論活性酸素量 11.1%]。
−メチルエチルケトンパーオキサイド(Butanox(商標)LPT,Akzo Chemicals製)
[全活性酸素量 8.5%]。
−メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP−T3)。
−環状メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP−cyclic)
[全活性酸素量 10.63%]。
−メチルイソプロピルケトンパーオキサイド(MIPKP−T3)
[全活性酸素量 8.24%]。
−メチルイソブチルケトンパーオキサイド(Trigonox 233,Akzo Chemicals製)
[全活性酸素量 8.04]。
−環状メチルイソブチルケトンパーオキサイド(MIBKP−cyclic)
[全活性酸素量 8.03%]。
−環状メチルイソプロピルケトンパ−オキサイド(MIPKP−cyclic)
[全活性酸素量 7.86%]。
−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(Perkadox(商標)14−40MB−GR,Akzo Chemicals製)
[理論活性酸素量 9.46%]。
−2、5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2、5−ジメチル−3−ヘキシン(Trigonox(商標)145−45B−PD,Akzo Chemicals製)
[理論活性酸素量 11.17%]。
−環状メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP−cyclic)
[全活性酸素量 10.6%]
−環状メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP−cyclic)
[全活性酸素量 * 6.7%]
−環状メチルエチルケトンパーオキサイドダイマー(MEKP−cyclic−D)
[全活性酸素量 6.58%]
−環状メチルエチルケトンパーオキサイドトリマー(MEKP−cyclic−T)
[全活性酸素量 2.0%]
−環状メチルエチルケトンパーオキサイドトリマー(MEKP−cyclic−T)
[全活性酸素量 7.06%]
−環状ジエチルケトンパーオキサイド(DEKP−cyclic)
[全活性酸素量 2.09%]
−ジエチルケトンパーオキサイド(DEKP−T3+T4)
[全活性酸素量 9.0%]
−ジエチルケトンパーオキサイド(DEKP−T3)
[全活性酸素量 9.0%]
−環状メチルプロピルケトンパーオキサイド(MPKP−cyclic)
[全活性酸素量 2.15%]
−環状メチルプロピルケトンパーオキサイドダイマー(MPKP−cyclic−D)
[全活性酸素量 6.18%]
−環状メチルプロピルケトンパーオキサイドトリマー(MPKP−cyclic−T)
[全活性酸素量 7.12%]
−メチルプロピルケトンパーオキサイド(MPKP−T3+T4)
[全活性酸素量 9.0%]
−メチルプロピルケトンパーオキサイド(MPKP−T3)
[全活性酸素量 9.0%]
−環状メチルブチルケトンパーオキサイド(BMKP−cyclic)
[全活性酸素量 2.4%]
−メチルブチルケトンパーオキサイド(MBKP−T3+T4)
[全活性酸素量 9.0%]
−メチルブチルケトンパーオキサイド(MBKP−T3)
[全活性酸素量 9.0%]
−環状メチルイソプロピルケトンパーオキサイドダイマー/トリマー(MIPKP−cyclic D/T)
[全活性酸素量 15.7%]
1:イソドデカン
2:Primol(商標)352
*:希釈された
その他:Irganox(商標)1010(ヒンダードフェノール酸化防止剤 Ciba−Geigy製)
Irganox(商標)B225(Irganox(商標)1010/Irgafos(商標)168 1:1,Ciba−Geigy製)
Tinuvin(商標)770(ヒンダードアミン光安定化剤,Ciba−Geigy製)
イソドデカン溶剤
ペンタデカン溶剤
Primol(商標)352 ホワイト油(Exxon製)
Solvesso(商標)100(Exxon製)
ステアリン酸カルシウム
スチレンモノマー(蒸留されたもの)
コエージェント:トリアリルシアヌレート(Perkalink(商標)300,Akzo NOBEL Chemicals製)
実施例で用いられた方法
ゴムの組成物のレオロジ−的挙動はMonsantoレオメ−タ− MDR2000E,ムービングダイ(20分/レンジ 20N.m.)またはゴットフェルト(商標)Elastographにより測定した。レオロジ−的挙動はスコ−チ時間、加硫時間及びゴムの架橋密度を示す(国際規格 ISO 6502)。
メルトフロ−インデックス(MFI)は、DIN 53735/ASTM 1238(230℃,21.6N 負荷)に従いゴットフェルト(商標)Melt Indexser Model MP−Dで測定した。
メルト強度はゴットフェルト(商標)Rheograph 2002 キャピラリレオメ−タ−(180℃)に接続したゴットフェルト(商標)Rheotensで測定した。
全活性酸素量は、すりガラスの継目、窒素ガス導入チューブ、マントルヒーター及び70cm長の空冷冷却管を備えた250mlの丸口フラスコに50mlの氷酢酸を入れて測定した。窒素ガスは、液体が沸騰するまで加熱しながら液(氷酢酸)の上を通した。2分間の沸騰後、770g/lのヨウ化カリウム溶液5mlを加え、反応液を撹拌しながら、約2meqの活性酸素を含む試料を反応混合物に加えた。そこで、空冷冷却管を連結し、フラスコの内容物を沸騰するまで急激に加熱し、穏やかな沸騰を30分維持した。次いで、50mlの水を冷却管を通して加え、冷却管をフラスコからはずした。直ちに反応混合物は0.1Nのチオ硫酸ナトリウム溶液により黄色が消失するまで滴定した。ブランク測定もこの滴定と平行して行なわなければならない。
全活性酸素量は、滴定に要したチオ硫酸ナトリウム溶液の体積からブランクに要したチオ硫酸ナトリウム溶液の体積を引き、チオ硫酸ナトリウム溶液の規定度及び800を乗じ、過酸化物試料の重量(mg)で割ることによって計算される。
使用した非環状過酸化物の活性酸素量は、20mlの氷酢酸をすりガラスの継目、窒素ガス導入チュ−ブを備えた200mlの丸口フラスコに入れて測定した。次いで、窒素ガスを、液(氷酢酸)表面の上を通した。2分後、770g/lのヨウ化カリウム溶液4mlを加え、反応液を撹拌しながら、約1.5meqの活性酸素を含む試料を反応混合物に加えた。該反応混合物は少なくとも25±5℃で1分間放置した。反応混合物は0.1Nのチオ硫酸ナトリウム溶液により、滴定終点付近で3mlの5g/lの澱粉溶液を加え、無色の終点まで滴定した。ブランク測定もこの滴定と並行して行なわなければならない。
黄変インデックスはFontijn(商標)プレスを用いて造った1.0mmのシ−トについて測定した。色はASTM 1925に従い、Dr.Lange(商標)ミクロカラ−LMC比色計を用いて、校正された(Dr.Lange(商標))バックグラウンド(X=79.6,Y=84.1,Z=90.7)と比較して測定した。
グラフト化ポリブタジエン:
遊離のポリブタジエンは、比濁滴定により決定した。3つの高耐衝撃ポリスチレン(HIPS)溶液を調整した。
1)約0.1%HIPSの安定化トルエン溶液60ml。最終濃度はCbl(%m/m)
2)約0.3%HIPSの安定化トルエン溶液30ml。最終濃度はCs(%m/m)
3)約30mlの溶液1に約0.01%のポリブタジエンを加えた。ポリブタジエン追加量をCpb(%m/m)
試料溶液を分析する前に、ポリマ−を完全に溶解するためにそれらを少なくとも24時間穏やかに振った。
試料溶液20mlを、マグネチックスタ−ラ−及び比色検出器(校正されたファイバ−光浸積測定セル Brinkman PC 600,420nm)を備えた恒温容器(25℃)中で9:1 m/m アセトン/メタノ−ル混合液により滴定した。滴定の間420nmでの透過光の変化を記録した。貧溶媒の添加開始から安定した読みに達する点までの透過光変化を測定した。溶液1、2、3において観察された透過のこの変化をそれぞれTbl,Ts及びTpbとする。
遊離ポリブタジエン(%m/m)は次のようにして計算した:
Cpb/(Cs−Cbl)x(Ts−Tbl)/(Tpb−Tbl)x100
グラフト化ポリブタジエン(%m/m)=100−遊離ポリブタジエン
スチレン重合率:
残留スチレンは、ポリマ−のジクロロメタン溶液のガスクラマトグラフィ−により、n−ブチルベンゼン又はt−ブチルベンゼンを内部標準に用いて定量した。
2量体/3量体(D/T)比のGC(ガスクロマトグラフィ−)分析による定量
装置:Hewlett Packard 5890
カラム:CP Sil 19CB
径:0.32μm
膜厚:0.20μm
長さ:25m
検出器:FID
注入温度(Tinj):100℃
検出温度(Tdet):300℃
レンジ:4
アテニュエ−ション(減衰):1
昇温プログラム:40℃(2分保持)、8℃/minで280℃まで昇温(10分保持)
以下の実施例では、総ての量は、特に断わらない限り、用いた(コ)ポリマ−に対するパ−セントで表す。
合成実施例
イソドデカン中のMEKP−T3の合成
撹拌したメチルエチルケトン21.6g,イソドデカン22.5g,50%硫酸水溶液5.9gの混合物に、20℃にて、70%過酸化水素水23.3gを60分間かけて加えた。20℃で60分間さらに反応後、有機相を分離し、6%炭酸水素ナトリウム水溶液3.0gで中和し、硫酸マグネシウム2水和物1.3gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相をイソドデカン7.2gで希釈し、55.2gのMEKP−T3を得た。MEKP−T3は全活性酸素量11.49%を有し、その3.6%が化学式I−IIIで表される環状ケトン過酸化物に起因した。
イソドデカン中の環状MEKPの合成
撹拌したメチルエチルケトン28.8g,イソドデカン13.5g,70%硫酸水溶液14.0gの混合物に、40℃にて、70%過酸化水素水19.4gを15分間かけて加えた。40℃で270分間さらに反応後、有機相を分離し、6%炭酸水素ナトリウム水溶液12.5gで中和し、硫酸マグネシウム2水和物1.0gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は42.1gの環状MEKPであった。環状MEKPは全活性酸素量10.63%を有し、その96.9%が化学式I−IIIで表される環状ケトン過酸化物に起因した。
イソドデカン中の環状MIPKPの合成
撹拌したメチルイソプロピルケトン17.2g,イソドデカン4.0g,50%硫酸水溶液19.6gの混合物に、40℃にて、70%過酸化水素水9.7gを10分間かけて加えた。40℃で355分間さらに反応後、有機相を分離し、水10.0gを加えた。当該混合物は4N水酸化ナトリウム水溶液5.5gで中和し、中和された有機相は20mbar,20℃で真空乾燥された。残留物は硫酸マグネシウム2水和物0.5gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は12.0gの環状MIPKPであった。環状MIPKPは全活性酸素量7.86%を有し、その94.5%が化学式I−IIIで表される環状ケトン過酸化物に起因した。
イソドデカン中の環状MIBKPの合成
撹拌したメチルイソブチルケトン20.0g,イソドデカン3.0g,50%硫酸水溶液19.6gの混合物に、20℃にて、70%過酸化水素水9.7gを15分間かけて加えた。20℃で300分間さらに反応後、温度を25℃に上げさらに1080分間反応させた後、温度を30℃に上げ120分間、次いで温度を40℃に上げ240分間反応させた。その後有機相を分離し、4N水酸化ナトリウム水溶液15.0gで中和し、40℃で120分間撹拌した。中和された有機相を分離して、水で2回洗浄した。混合物は20mbar,20℃で真空乾燥された。残留物はなお2相含んでいた。透明な有機相をデカンテーションし、硫酸マグネシウム2水和物0.3gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は11.6gの環状MIBKPであった。環状MIBKPは全活性酸素量8.03%を有し、その93.9%が化学式I−IIIで表される環状ケトン過酸化物に起因した。
Trigonox(商標)233は分析により全活性酸素量8.04%を含み1.2%が環状ケトン過酸化物に起因することが見出だされた。
Primol(商標)352中の環状MEKPの合成
撹拌したメチルエチルケトン28.8g,Primol(商標)352 13.5g,70%硫酸水溶液14.0gの混合物に、40℃にて、70%過酸化水素水19.4gを20分間かけて加えた。40℃で120分間さらに反応後、有機相を分離した。有機相は、20℃で10分間撹拌下で、6%炭酸水素ナトリウム水溶液10.0gで処理した。中和した有機相は硫酸マグネシウム2水和物1.0gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は26.4gのPrimol(商標)352で希釈し68.3gの組成物を得た。
Primol(商標)352中の環状MEKP2量体の合成
撹拌した99%酢酸720g,70%過酸化水素水97.1g,水35.2g及び50%硫酸水溶液7.7gの混合物に、35−39℃にて、メチルエチルケトン144.2gを25分間かけて加えた。40℃で23時間さらに反応後、反応混合物を、撹拌した3リットルの水と40gのPrimol(商標)352の混合物に注ぎ入れた。12時間後に有機相を分離し、4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで30−40℃にて30分間の処理を3回行った。有機相を分離して、50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で20℃にて2回洗浄した。有機相は硫酸マグネシウム2水和物で乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は70.0gであった。
Primol(商標)352中の環状MEKP3量体の合成
撹拌したメチルエチルケトン86.5g、36%塩酸66.6gの混合物に,0−2℃にて、30%過酸化水素水72.6gを20分間かけて加え、同じ温度で180分間さらに反応させた。その後200mlの水と60.0gのPrimol(商標)352を加えた。有機相を分離し、4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで30−40℃にて30分間の処理を3回行った。有機相を分離して、50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で20℃にて2回洗浄した。有機相は硫酸マグネシウム2水和物で乾燥し、濾過した。乾燥した有機相を21.9gのPrimol(商標)352で希釈し、2mbar,40℃で真空乾燥したところ、114.4gとなった。
ペンタデカン中の環状MEKP2量体の合成
撹拌した99%酢酸720g,70%過酸化水素水97.1g,水35.2g及び50%硫酸水溶液7.7gの混合物に、25−37℃にて、メチルエチルケトン144.2gを30分間かけて加えた。40℃で4時間、20℃で12時間、40℃で7時間さらに反応後、反応混合物を、撹拌した3lの水と40gのペンタデカンの混合物に注ぎ入れた。有機相を分離し、4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで30℃にて30分間の処理を2回行った。有機相を分離して、50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で20℃にて2回洗浄した。有機相は硫酸マグネシウム2水和物で乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は79.0gであった。
ペンタデカン中の環状MEKP3量体の合成
撹拌したメチルエチルケトン144.2g、36%塩酸92.0gの混合物に,0−2℃にて、30%過酸化水素水120.1gを30分間かけて加え、同じ温度で180分間さらに反応させた。その後200mlの水と80.0gのペンタデカンを加えた。有機相を分離し、4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで30−40℃にて30分間の処理を3回行った。有機相を分離して、50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で20℃にて2回洗浄した。有機相は硫酸マグネシウム2水和物で乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は168.0gとなった。
イソドデカン中の環状MPKPの合成
撹拌したメチルプロピルケトン44.4g,イソドデカン20.0g,50%硫酸水溶液24.5gの混合物に、40℃にて、70%過酸化水素水24.3gを15分間かけて加え、同じ温度で360分間さらに反応させた。その後有機相を分離し、4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで40℃にて30分間の処理を3回行った。有機相を分離して、20mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で20℃にて2回洗浄した。有機相は硫酸マグネシウム2水和物で乾燥し、濾過し、フィルタ−を20.0gのイソドデカンで洗浄し、有機相に加えた。乾燥した有機相をイソドデカン85.4gで希釈して、132.7gの組成物を得た。
Primol(商標)352中の環状MPKP3量体の合成
撹拌したメチルプロピルケトン106.5g、36%塩酸72.6gの混合物に,0−2℃にて、30%過酸化水素水72.6gを20分間かけて加え、同じ温度で180分間さらに反応させた。その後200mlの水と50.0gのPrimol(商標)352を加えた。有機相を分離し、4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで30℃−40℃にて30分間の処理を3回行った。有機相を分離して、50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で20℃にて2回洗浄した。有機相は硫酸マグネシウム2水和物で乾燥し、濾過した。乾燥した有機相を2mbar,50℃で真空乾燥したところ、85.7gの組成物を得た。
Primol(商標)352中の環状MPKP2量体の合成
撹拌した99%酢酸720g,70%過酸化水素水97.1g,水35.2g及び50%硫酸水溶液7.7gの混合物に、35−39℃にて、メチルプロピルケトン177.5gを25分間かけて加えた。40℃で23時間反応後、反応混合物を、撹拌した3lの水と30gのPrimol(商標)352の混合物に注ぎ入れた。12時間後有機相を分離し、4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで30℃−40℃にて30分間3回処理した。有機相を分離して、50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で20℃にて2回洗浄した。有機相は硫酸マグネシウム2水和物で乾燥し、濾過した。乾燥した有機相を2mbar,50℃で真空乾燥し、130.0gの組成物を得た。
イソドデカン中のMPKP−T4/T3の合成
撹拌したメチルプロピルケトン105.0g,イソドデカン85g,50%硫酸水溶液24.0gの混合物に、20℃にて、70%過酸化水素水118.5gを30分間かけて加えた。同じ温度で120分間さらに反応させた後、有機相を分離した。有機相に6%炭酸水素ナトリウム水溶液25.0gを加えた。反応混合物を、同じ温度でさらに15分間撹拌した。得られた有機相を硫酸マグネシウム2水和物25gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は199gであった。得られた溶液112gに36.8gのイソドデカンを加え148.8gの組成物を得た。
イソドデカン中のMPKP−T3の合成
撹拌したメチルプロピルケトン105.0g,イソドデカン85g,50%硫酸水溶液24.0gの混合物に、20℃にて、70%過酸化水素水118.5gを30分間かけて加えた。同じ温度で120分間さらに反応後、有機相を分離した。有機相に6%炭酸水素ナトリウム水溶液25.0gを加えた。有機相を分離した。有機相97.0gに20%亜硫酸ナトリウム水溶液100gを20℃にて30分間かけて投与した。反応混合物は、同じ温度でさらに30分間撹拌した。得られた有機相を100gの水で洗浄し、硫酸マグネシウム2水和物10gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は76.0gであった。得られた溶液75.0gにイソドデカン10.7gを加え、85.7gの組成物を得た。
Solvesso(商標)100中のMIPKP−T3の合成
撹拌したメチルイソプロピルケトン126.6g,ヘキサン150g,50%硫酸水溶液28.2gの混合物に、20℃にて、70%過酸化水素水112.2gを30分間かけて加えた。同じ温度で90分間さらに反応後、有機相を分離した。有機相に6%炭酸水素ナトリウム水溶液30.0gを加え、これに20%亜硫酸ナトリウム水溶液100gを20℃にて30分間かけて投与した。反応混合物は、同じ温度でさらに30分間撹拌した。得られた有機相を100gの水で洗浄し、硫酸マグネシウム2水和物15gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は281gであった。得られた溶液150gにSolvesso(商標)100を70g加えた。反応混合物を、20℃、10mbarにて回転乾燥機で乾燥した。残留物は136gであった。
イソドデカン中の環状MBKPの合成
撹拌したメチルブチルケトン40.0g,99%酢酸160g及び50%硫酸水溶液1.7gの混合物に、30℃より低い温度にて70%過酸化水素水21.8gを15分間かけて加えた。40℃で480分間反応後、反応混合物を、600mlの水に注ぎ入れた。得られた混合物に、イソドデカンを撹拌しながら加えた。その後、有機相を分離した。有機相を4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで30分間2回処理し、その後50mlの水で2回処理した。有機相を分離し、37.5gのイソドデカンで希釈した結果、80gの組成物が得られた。
イソドデカン中のMBKP−T4/T3の合成
撹拌したメチルブチルケトン122.0g,イソドデカン85g及び50%硫酸水溶液48.0gの混合物に、30℃にて,70%過酸化水素水118.5gを30分間かけて加え、次いで、反応混合物は15分間で20℃に冷却された。同じ温度で120分間さらに反応させた後、有機相を分離した。有機相に6%炭酸水素ナトリウム水溶液25.0gを加えた。反応混合物を、同じ温度でさらに15分間撹拌した。得られた有機相は分離した後、硫酸マグネシウム2水和物25gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は218gであった。得られた溶液110gにイソドデカン37.9gを加え、147.9gの組成物が得られた。
イソドデカン中のMBKP−T3の合成
撹拌したメチルブチルケトン122.0g,イソドデカン85g及び50%硫酸水溶液48.0gの混合物に、20℃にて,70%過酸化水素水118.5gを30分間かけて加えた。同じ温度で120分間さらに反応させた後、有機相を分離した。有機相に6%炭酸水素ナトリウム水溶液25.0gを加えた。有機相を分離した。100gの有機相に20%亜硫酸ナトリウム水溶液100gを20℃にて30分間かけて投与した。反応混合物は、同じ温度でさらに30分間撹拌した。得られた有機相を100gの水で洗浄し、硫酸マグネシウム2水和物10gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は90.5gであった。得られた溶液90.0gにイソドデカン11.3gを加え、101.3gの組成物が得られた。
イソドデカン中の環状DEKPの合成
撹拌したジエチルケトン43.9g,イソドデカン20.0g及び50%硫酸水溶液24.5gの混合物に、40℃にて,70%過酸化水素水24.3gを15分間かけて加え、同じ温度で360分間さらに反応させた。その後、有機相を分離した。有機相を4N水酸化ナトリウム水溶液50mlで40℃にて30分間3回処理した。有機相を分離して、20mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で20℃にて2回洗浄した。有機相は硫酸マグネシウム2水和物で乾燥し、濾過し、フィルタ−を5.0gのイソドデカンで洗浄し有機相に加えた。乾燥した有機相をイソドデカン57.0gで希釈した結果、119.1gの組成物が得られた。
イソドデカン中のDEKP−T4/T3の合成
撹拌したジエチルケトン122.0g,イソドデカン85g及び50%硫酸水溶液48.0gの混合物に、30℃にて,70%過酸化水素水118.5gを60分間かけて加えた。同じ温度で120分間さらに反応させた後、有機相を分離した。有機相に6%炭酸水素ナトリウム水溶液25.0gを加えた。反応混合物は、同じ温度でさらに15分間撹拌した。得られた有機相は分離した後、硫酸マグネシウム2水和物25gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は191gであった。得られた溶液102gにイソドデカン28.8gを加え、130.8gの組成物が得られた。
イソドデカン中のDEKP−T3の合成
撹拌したジエチルケトン122.0g,イソドデカン85g及び50%硫酸水溶液48.0gの混合物に、20℃にて,70%過酸化水素水118.5gを30分間かけて加えた。同じ温度で120分間さらに反応させた後、有機相を分離した。有機相に6%炭酸水素ナトリウム水溶液25.0gを加えた。有機相を分離した。100gの有機相に20%亜硫酸ナトリウム水溶液100mlを20℃にて30分間かけて投与した。反応混合物は、同じ温度でさらに30分間撹拌した。得られた有機相を100gの水で洗浄し、硫酸マグネシウム2水和物10gで乾燥し、濾過した。乾燥した有機相は87.0gであった。得られた溶液86.0gにイソドデカン14.1gを加え、101.1gの組成物が得られた。
Figure 0003830160
実施例1−7及び比較例A−I
これらの実施例において、Moplen(商標)FLS20は0.1重量%のIrganox(商標)1010酸化防止剤及び活性酸素濃度0.011を%与える量の表1に示した過酸化物と予混合された。当該過酸化物は総て減感剤としてのイソドデカンにより希釈された。混合はキュ−ビックミキサ−中で15分間行った。
次いでポリプロピレン減成反応をツインスクリュ−押し出し機(強力なミキシングスクリュ−を持つRheomex(商標)TW100)を取り付けたHaake−Rheocord(商標)System 40にて、窒素フラッシング下で250℃、60r.p.mで行った。実施例1は窒素フラッシング無しで空気雰囲気下で繰り返され、該変性によるMFIは表1の括弧内に示した。減成したポリプロピレンは、その後の黄変インデックス評価の前に造粒され、60℃で乾燥した。結果を表1に示す。
Figure 0003830160
表1から、本発明の環状ケトン過酸化物は対応する非環状ケトン過酸化物よりずっと高いポリプロピレンの減成を与えることが分かる。事実、本環状ケトン過酸化物は、現在ポリプロピレンの減成に使用されている市販の製品、Trigonox(商標)101に匹敵することが示された。最後に、環状ケトン過酸化物による減成は対応する非環状ケトン過酸化物を用いる同様の工程に比べて、黄変がより少なかった。
実施例8−35及び比較例J−V
環状MEKP、環状DEKP、環状MPKP、環状MBKPが表2に示した異なる濃度で使用したことを除き実施例1の手順を繰り返した。比較例は過酸化物を使用せずに及び直鎖過酸化物、Butanox(商標)LPT,MPKP,DEKP,MBPKをそれぞれ使用した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0003830160
表2から、環状ケトン過酸化物濃度が増加するにつれ、ポリプロピレンの減成の量も増加することが分かる。従って、過酸化物濃度を調整することによって重合体の減成を所望する程度に制御することができる。比較例に示したように、対応する線状ケトン過酸化物は非常に低いポリプロピレンの減成を与えた。
実施例36−54及び比較例W−CC
これらの実施例において重合体の変性は、本発明が種々の温度で適用し得ることを示すために種々の温度で行われた。実施例1の手順は、表3に示したように重合体の変性温度が異なること及び過酸化物の濃度も異なることを除き繰り返された。ポリプロピレンの変性の結果を表3に示した。
Figure 0003830160
表3から、変性温度が高い程、ポリプロピレンの減成の度合いも多いことが分かる。このことは本発明の方法は広い温度領域において効果的であり、変性温度を変えることにより、、ある程度重合体の減成の度合いを制御できることを示す。さらに非環状ケトン過酸化物、(MEKP−T3,Butanox(商標)LPT及びTrigonox(商標)233)はポリプロピレンの減成において本発明の環状ケトン過酸化物よりもかなり効果が少ないことが示されている。
実施例55−58及び比較例DD−FF
Keltan(商標)520エラストマ− 100部、カ−ボンブラック 50部及びパラフィン油10部を1.6リットルのバンバリ−ミキサ−でロ−ドファクタ−70%、ロ−タスピ−ド77r.p.m.にて50℃で5分間混合した。表4に示した量の過酸化物とコエージェントを当業者によく知られた標準手順に従ってロールミル上でエラストマーと混合した。
エラストマー混合物のレオロジー測定を行い、結果を表5に示した。
Figure 0003830160
Figure 0003830160
これらの例は等しい活性酸素濃度において本発明の環状ケトン過酸化物は、EPDMの架橋に使用された対照及び他の市販過酸化物に比べ、スコ−チ時間(ts2)を増大し、それにより加工工程のより高い安全性をもたらすことを示す。さらに、非環状メチルエチルケトンパ−オキサイド(MEKP−T3)は全く何の架橋も起こさなかった。
実施例63−64及び比較例GG
表6に示すように加硫温度、過酸化物の種類と量を変えたことを除き実施例55−58の手順が繰り返された。過酸化物の量は総ての実施例が同一の活性酸素濃度を採用するように選ばれた。結果を表6に示す。
Figure 0003830160
これらの結果は非環状ケトン過酸化物MEKP−T3及び過酸化物Trigonox(商標)233は架橋を与えなかったことを示す。本発明の環状ケトン過酸化物は架橋及びスコ−チ時間の増大に示されているようにより高度の加工工程の安全性とを与えた。
実施例65−66及び比較例HH
これらの例においては、環状MEKP及びPerkadox(商標)14−40MB−GRの量は実施例12と等量の活性酸素を与えるように選ばれた。各化合物により実現されたデルタトルクはゴットフェルト(商標)Elastographを用いて測定した:
処方DDは250℃でデルタトルク0.98Nmを与えた。
処方59は200℃でデルタトルク0.34Nmを与えた。
処方59は250℃でデルタトルク0.44Nmを与えた。
これらの例は本発明の環状ケトン過酸化物はEPDMの架橋において、高温でより活性であることを示す。
実施例67−69及び比較例II
ポリブタジエン粉末の所定量を撹拌しながらスチレンに加えて、ポリブタジエンの6重量%スチレン溶液を作った。ポリブタジエンを完全に溶解するために、瓶を暗所で24時間撹拌した。
じゃま板、3枚刃の羽根車、圧力変換基及び窒素パ−ジを備えた1リットルのブッチ反応器に、開始剤0.375meqを250gのポリブタジエンの6重量%スチレン溶液に溶解して装填した。反応器を真空にし、加圧した。反応は130℃、窒素圧5barにて行った。2時間の重合の後、反応器の底から試料を排出し、グラフト化ポリブタジエン及び重合率について分析した。結果を表7に示す。
Figure 0003830160
実施例70−71及び比較例JJ−NN
これらの例においては、ポリプロピレンとしてHostalen(商標)PPH1050を使用したことを除き、実施例1と類似した手順を行った。さらに実際にポリエチレンの制御された減成において通常使用されている安定化剤:Irganox(商標)B225(フェノール型酸化防止剤と亜燐酸エステル型酸化防止剤との混合物)及びTinuvin(商標)770も混合物に添加した。またTrigonox(商標)101も比較例において用いた。
Figure 0003830160
この表より、安定化剤存在下で環状MEKPの施与は相当のポリプロピレンの減成をもたらすことが分かる。UV変色に対して何等の悪い影響は観察されなかった。環状MEKPについて得られたMFI及びYIの結果はTrigonox(商標)101について得られたものとほぼ同じであった。
実施例72−73及び比較例OO−RR
これらの実施例においては、ホモポリマ−(Hostalen(商標)PPR1060F)、コポリマ−(Stamylan(商標)56MN10)、及びエラストマーブレンド(Hostalen(商標)PPN8009)を混合し、0.011%活性酸素の環状MEKP及び0.1%のIrganox1010酸化防止剤と反応させた。ポリプロピレンの減成反応は撹拌槽(ロ−ラ−ロ−タ−を有する、Rheomix RM600)を備えたHaake−Rheocord(商標)System 90で200℃又は225℃にて10分間行った。減成したポリプロピレンはMFIの評価の前に造粒された。
Figure 0003830160
表9から、環状MEKPの施与は対応する非環状ケトン過酸化物よりもずっと高度のコポリマーの減成を来すことが分かる。
実施例74−77及び比較例SS−VV
これらの例において、実施例70−71の手順に従ってLLDPE(Escorene(商標)LL1001XV)を異なる濃度の過酸化物と混合し、反応させた。LLDPEの変性反応は225℃にて10分間行った。変性されたLLDPEをメルト強度の評価の前に造粒した。結果を表10に示す。
Figure 0003830160
表10は、LLDPEは環状MEKPと反応した後は、対応する直線状ケトン過酸化物を使用したときよりもより高くそのメルト強度が向上していることを示す。
前述の実施例は、単に説明または記述の目的で提示されたのであり、いかなる方法においても発明を制限するものと解してはならない。発明の範囲はこの文書に付された請求の範囲によって定められるものである。

Claims (10)

  1. (コ)ポリマ−を、有機過酸化物の少なくともいくらかが分解される条件下で該有機過酸化物と接触させる工程を含む、有機過酸化物を用いる(コ)ポリマ−の変性方法において、当該有機過酸化物の全活性酸素量の少なくとも20%は化学式I−IIIで表される過酸化物より選ばれる少なくとも1つの環状ケトン過酸化物に起因することを特徴とする方法:
    Figure 0003830160
    (ここで、R1−R10は水素、C1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリ−ル、C7−C20アラルキル及びC7−C20アルカリ−ルよりなる群から独立して選ばれ、これらの基は直鎖または分岐したアルキル部分を含んでいてもよい;さらに各R1−R10は水酸基、C1−C20アルコキシ、直鎖または分岐したC1−C20アルキル、C6−C20アリ−ロキシ、ハロゲン、エステル、カルボキシ、ニトリル、及びアミドから選ばれる1以上の基により置換されていてもよい)。
  2. 化学式I−IIIにおいてR1−R10がC1−C12アルキル基より独立に選ばれる請求項1の方法。
  3. 当該接触工程が50−350℃で行われ、全有機過酸化物量が当該(コ)ポリマ−重量の0.001−15 重量%である請求項1または2いずれかの方法。
  4. 接触工程が100−300℃で行われ、全有機過酸化物量が当該(コ)ポリマ−重量の0.00−10重量%であり、変性工程で使用される全活性酸素量の少なくとも50%が化学式I−IIIで表される1以上の環状ケトン過酸化物に帰属することができる請求項3の方法。
  5. 当該接触工程がさらにジ−及びトリアリル化合物、ジ−及びトリ(メタ)アクリレート化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニル化合物、ポリアルケニルベンゼン及びそのオリゴマー及びポリマー、ビニルトルエン、ビニルピリジン、パラキノンジオキシム、ポリブタジエン及びこれら化合物の誘導体よりなる群から選ばれるコエージェントの存在下で行われる請求項1−4のいずれか1つの方法。
  6. 当該(コ)ポリマーがアイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アルキレン/プロピレンコポリマー、アルキレン/プロピレン/ブチレン ターポリマー、プロピレン/ジエンモノマーコポリマー、プロピレン/スチレンコポリマー、ポリ(ブテン−1)、ポリ(ブテン−2)、ポリイソブテン、イソプレン/イソブチレンコポリマ−、塩素化イソプレン/イソブチレンコポリマー、ポリ(メチルペンテン)、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ(α−メチル)スチレン、2、6−ジメチルポリフェニレンオキサイド及びこれらポリマー同志及び/または他の非減成性ポリマーとの混合物またはブレンドの群から選ばれる請求項1−5のいずれか1つの方法。
  7. 当該(コ)ポリマ−が低密度、直鎖低密度、中密度及び高密度ポリエチレン、エチレン/アルケンコポリマー、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー ターポリマー,クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、プロピレン/ジエンモノマー コポリマー、臭素化イソプレン/イソブチレンコポリマー、部分ハロゲン化ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ(シクロペンタジエン)、ポリ(メチルシクロペンタジエン)、ポリノルボルネン、イソプレン/スチレンコポリマー、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンターポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリウレタン、ポリスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、コポリエーテルエステル、ポリアミド、シリコーンゴム,フッ素ゴム、アリルグリシジルエーテル/エピクロロヒドリンコポリマー及びこれらの混合物又はブレンドの群から選ばれる請求項1−5のいずれか1つの方法。
  8. 当該(コ)ポリマーが共役1,3−ジエンと、ハロゲン化芳香族モノビニリデン炭化水素、(メタ)アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、不飽和ケトン、ビニルエステル、ビニリデン、及びハロゲン化ビニルからなる群より選ばれる1以上の共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーとの共重合体及びブロック共重合体;エチレン/プロピレンコポリマーエチレン/プロピレンと他の(多)不飽和化合物との共重合体ポリオレフィン及びそれらの共重体及びポリオールから選ばれる請求項1−5のいずれか1つの方法。
  9. 当該有機過酸化物が環状メチルエチルケトンパーオキサイド、環状アセトンパーオキサイド、環状メチル−n−アミルケトンパーオキサイド、環状メチルヘプチルケトンパーオキサイド、環状メチルヘキシルケトンパーオキサイド及び環状メチルプロピルケトンパーオキサイドよりなる群から選ばれる過酸化物を含む請求項1−8のいずれか1つの方法。
  10. 当該有機過酸化物組成物の全活性酸素量の少なくとも20%は化学式I−III:
    Figure 0003830160
    (ここで、R1−R10は水素、C1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリ−ル、C7−C20アラルキル及びC7−C20アルカリ−ルよりなる群から独立して選ばれ、これらの基は直鎖または分岐したアルキル部分を含んでいてもよい;さらに各R1−R10は水酸基、C1−C20アルコキシ、直鎖または分岐したC1−C20アルキル、C6−C20アリ−ロキシ、ハロゲン、エステル、カルボキシ、ニトリル、及びアミドから選ばれる1以上の基により任意的に置換されていてもよい。)で表される少なくとも1つの環状ケトン過酸化物に起因する有機過酸化物組成物を(コ)ポリマーの変性に使用する方法。
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