JP3829887B2 - プラズマディスプレーパネル用誘電体材料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はプラズマディスプレーパネル用誘電体材料に関し、特に前面ガラス板に高歪点ガラスを用いたプラズマディスプレーパネルに用いられる誘電体材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレーパネルの前面ガラス板には、プラズマ放電用の電極が形成され、その上に放電維持のために透明な誘電体層が形成される。
【0003】
一般に、プラズマディスプレーパネルの前面ガラス板や背面ガラス板には、建築窓用ソーダライムガラスが使用されており、前面ガラス板への誘電体層の形成は550〜600℃の温度で行われる。それゆえ誘電体材料には、ソーダライムガラスの熱膨張係数に適合し、550〜600℃で焼成できる高鉛ガラス粉末が使用されている。また誘電体層は高い耐電圧を有する必要があるため、誘電体材料には、焼成時に泡が抜けやすいこと、泡が残存する場合も大きな泡にならないこと、また平滑で均一な膜厚を有するガラス膜になることが求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところでソーダライムガラスは歪点が500℃程度と低いため、熱処理する際の熱収縮が大きく、電極や絶縁ペーストをパターン合わせする際に位置ずれが起こり易い。この問題は40〜50インチ以上のパネルでは特に深刻である。そこで近年ではこのような大型パネルについては、建築用ソーダライムガラスに代えて、より熱収縮の小さい高歪点ガラスを用いたガラス板が採用されている。
【0005】
しかしながら、高歪点ガラスはソーダライムガラスに比べて熱膨張係数が低いため、従来の高鉛ガラスからなる誘電体材料を使用すると、ガラス板に反りが生じたり、クラックが発生してしまう。熱膨張係数を低下させる方法として、低膨張フィラー粉末を添加することも考えられるが、この方法ではフィラーを多量に添加しなけれならず、前面ガラス板の透過率が低下するため好ましくない。
【0006】
そこでガラス中の鉛含有量を低減し、熱膨張係数を低下させた誘電体材料が提案されている。しかしながらこの材料は、焼成時に泡が抜けにくく、大きな泡が多数残存してしまうため、耐電圧の高い誘電体層を形成することができない。
【0007】
本発明の目的は、高歪点ガラスに適合した熱膨張係数を有し、しかも焼成時に泡が抜けやすいプラズマディスプレーパネル用誘電体材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は種々の検討を行った結果、PbO−B2 O3 −SiO2 系ガラスにおいて、PbOとSiO2 の含有量を低く抑えるとともに、ZnO、BaO、CaO、Bi2 O3 、Al2 O3 を所定量含有させることにより、上記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案するものである。
【0009】
即ち、本発明のプラズマディスプレーパネル用誘電体材料は、重量百分率でPbO 25〜50%、B2O3 10〜40%、SiO2 1〜15%、ZnO 5〜35%、BaO+CaO+Bi2O3 3〜20%、Al2O3 0〜5%の組成を有するガラス粉末90〜100%と、セラミック粉末0〜10%からなることを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明のプラズマディスプレーパネル用誘電体材料は、上記組成範囲にあるために、高歪点ガラスの熱膨張係数(約83×10-7/℃)に適合する70〜80×10-7/℃の熱膨張係数を示す。またガラスの軟化点が500〜580℃の範囲にあるため、600℃以下の温度で焼成が可能である。しかも軟化点付近での粘性変化が急(ショートなガラス)であるため、泡が抜けやすい。
【0011】
本発明の材料において、ガラス粉末の組成範囲を上記のように限定した理由を述べる。
【0012】
PbOは軟化点を下げる成分であり、その含有量は25〜50%、好ましくは30〜50%である。PbOが25%より少ないと軟化点が600℃を超えるため、焼成後にガラス中に泡が多数残存してしまう。50%より多いと熱膨張係数が高くなる。
【0013】
B2 O3 はガラス化範囲を広げる成分であり、その含有量は10〜40%、好ましくは15〜35%である。B2 O3 が10%より少ないとガラス化が困難になり、40%より多いとガラスが分相し易くなって好ましくない。
【0014】
SiO2 はガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量は1〜15%、好ましくは2〜13%である。SiO2 が1%より少ないとガラス化が困難になり、15%より多いと軟化点が600℃を越え、またガラスの粘性変化が緩やか(ロングなガラス)になるため、泡が抜けにくくなる。
【0015】
ZnOは熱膨張係数を低下させるとともに、軟化点を下げる成分であり、その含有量は5〜35%、好ましくは10〜30%である。ZnOが5%より少ないと上記効果を得ることができず、35%より多いと焼成時に失透し易くなる。
【0016】
BaO、Ca0、及びBi2O3は軟化点を低下させるとともに、脱泡性に影響する高温粘性を調整するための成分であり、その含有量は合量で3〜20%、好ましくは3〜18%である。なお各成分の含有量は、BaO 0〜20%(好ましくは0〜15%)、CaO 0〜20%(好ましくは0〜15%)、Bi2O3 0〜10%(好ましくは0〜7%)である。これら成分の合量が3%より少ないと上記効果を得ることが困難になり、20%より多いと軟化点が低下しすぎて焼成時に発泡し易くなるとともに、熱膨張係数が高くなりすぎる。また各成分の含有量が多すぎる場合も、発泡したり、高膨張化し易くなって好ましくない。
【0017】
Al2 O3 は分相を抑制し、均一なガラスを得るための成分であり、5%まで含有させることができる。しかしAl2 O3 が5%より多いと軟化点が上昇し、泡が抜け難くなる。
【0018】
本発明のプラズマディスプレーパネル用誘電体材料において、焼成後のガラス強度の改善や外観の調節のために、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、酸化チタン等のセラミック粉末を添加することができる。
【0019】
ガラス粉末とセラミック粉末の割合は、ガラス粉末90〜100重量%、セラミック粉末0〜10重量%である。なおセラミック粉末が10%より多いと可視光が散乱して不透明になってしまう。またガラス粉末及びセラミック粉末の最大粒径は、それぞれ30μm以下、及び15μm以下であることが好ましい。
【0020】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0021】
表1〜3は、本発明の実施例(試料No.1〜11)及び比較例(試料No.12)を示している。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
各試料は次のようにして調製した。まず表に示す組成となるようにガラス原料を調合し、白金坩堝に入れて1300℃で2時間溶融した後、溶融ガラスを薄板状に成形した。次いでこれを粉砕し、分級して最大粒径20μm以下のガラス粉末からなる試料を得、ガラスの軟化点を測定した。さらにNo.11のガラス粉末についてはアルミナ粉末と混合して試料とした。
【0026】
得られた試料について、熱膨張係数、焼成後に残存する泡の平均径を評価した。結果を各表に示す。
【0027】
表から明らかなように、実施例であるNo.1〜11の各試料は、ガラスの軟化点が525〜580℃、熱膨張係数が73〜79×10-7/℃であり、また焼成後に残存する泡の平均径が16μm以下であった。一方、比較例であるNo.12の試料は、ガラスの軟化点が580℃、熱膨張係数が78×10-7/℃であり、実施例の各試料と同等の値を示した。しかし残存する泡の平均径が25μmと大きく、耐電圧の高い誘電体層を形成できないことがわかった。
【0028】
なおガラスの軟化点は示差熱分析計を用いて測定したものであり、第二吸収ピークの値で示した。熱膨張係数は、各試料を粉末プレス成型し、焼成、研磨後に熱機械分析装置により30〜300℃における値を測定した。泡の平均径については次のようにして評価した。まず各試料をエチルセルロースの5%ターピネオール溶液と混練してペーストを得た。次いでこのペーストを高歪点ガラス板(熱膨張係数83×10-7/℃)の上にスクリーン印刷法で塗布し、電気炉中に入れて580℃で10分間焼成した。その後、この焼成物を金属顕微鏡(200倍)を用いて写真撮影し、5cm角の面積内の泡のサイズを測定してその平均値を算出した。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプラズマディスプレーパネル用誘電体材料は、高歪点ガラスに適合する熱膨張係数を有している。しかも焼成時に泡が抜けやすいために、耐電圧の高い誘電体層を得ることができる。
【0030】
それゆえ高歪点ガラスを用いたプラズマディスプレーパネルの誘電体形成材料として好適である。
Claims (1)
- 重量百分率でPbO 25〜50%、B2O3 10〜40%、SiO2 1〜15%、ZnO 5〜35%、BaO+CaO+Bi2O3 3〜20%、Al2O3 0〜5%の組成を有するガラス粉末90〜100%と、セラミック粉末0〜10%からなることを特徴とするプラズマディスプレーパネル用誘電体材料。
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