JP3829959B2 - プラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレーパネルの前面ガラス板には、プラズマ放電用の電極が形成され、その上に放電維持のための誘電体層、及び誘電体層を保護するための酸化マグネシウム層が順次形成される。
【0003】
一般に、プラズマディスプレーパネルの前面ガラス板や背面ガラス板には、建築用ソーダライムガラスや高歪点ガラスが使用されており、前面ガラス板への誘電体層の形成は、前面ガラス板や背面ガラス板が熱変形したり、電極と反応することがないように500〜600℃で行われる。また前面ガラス板と背面ガラス板との封着は430℃程度の温度で行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プラズマディスプレーパネルの前面ガラス板上に形成される誘電体層には、高い耐電圧と、優れた透明性が必要であり、誘電体形成材料には、焼成時に泡が抜けやすいこと、泡が残存する場合も大きな泡にならないこと等が要求される。さらに誘電体形成材料に使用されるガラスには、前面ガラス板と背面ガラス板の封着時に粘性変動して酸化マグネシウム層に亀裂が生じないように、屈伏点が430℃以上であることが必要である。
【0005】
ところで上記要求を満たすガラスの軟化点は500〜580℃程度である。従って、500〜600℃程度の焼成では、ガラスの粘性が十分に低下しないため、ガラス粉末の粒界に存在する泡が完全に抜けきれず、粘度の低下とともに成長してガラス膜中に多数残存してしまう。その結果、耐電圧や透過率が劣化し、所望の誘電体層を得ることが難しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、屈伏点が430℃以上のガラスを用いても、耐電圧が高く、しかも透明性に優れた誘電体層を形成することが可能なプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は種々の実験を行った結果、誘電体形成材料中に酸化物セラミック微粉末を添加することにより、上記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案するものである。
【0008】
即ち、本発明のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料は、重量百分率でガラス粉末90〜99.9%、酸化物セラミック微粉末0.1〜10%を含有し、酸化物セラミック微粉末の最大粒子径が100nm以下であることを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料において、ガラス粉末は、高い耐電圧を有する誘電体層を形成するための基本材料であり、その含有量は、90〜99.9%、好ましくは95〜99%である。ガラス粉末が99.9%より多くなると、相対的に酸化物セラミック微粉末が少なくなるために、平滑で泡の少ない誘電体層が得られなくなる。一方、90%より少なくなると焼結性が低下して緻密な焼結体とならず、また泡が増加して高い耐電圧を有し、透明性に優れた誘電体層が得られなくなる。
【0010】
ガラス粉末としては、前面ガラス板と背面ガラス板の封着時に粘性変動して酸化マグネシウム層に亀裂が生じることがないように430℃以上の屈伏点を有し、しかも600℃以下の温度で焼成できるように580℃以下の軟化点を有するガラスを使用することが好ましい。このようなガラスとして、例えば重量百分率でPbO 50〜75%(好ましくは55〜70%)、B2 O3 2〜30%(好ましくは5〜25%)、SiO2 2〜35%(好ましくは3〜31%)、ZnO 0〜20%(好ましくは0〜10%)の組成を有するガラスや、重量百分率でPbO 30〜55%(好ましくは40〜50%)、B2 O3 10〜40%(好ましくは15〜35%)、SiO2 1〜15%(好ましくは2〜10%)、ZnO 0〜30%(好ましくは10〜30%)、BaO+CaO+Bi2 O3 0〜30%(好ましくは3〜20%)の組成を有するガラスや、重量百分率でZnO 25〜45%(好ましくは30〜40%)、Bi2 O3 15〜35%(好ましくは20〜30%)、B2 O3 10〜30%(好ましくは17〜25%)、SiO2 0.5〜8%(好ましくは3〜7%)、CaO+SrO+BaO 8〜24%(好ましくは10〜20%)の組成を有するガラスを使用することができる。これらのガラスは430℃以下で粘性変動せず、520〜600℃の焼成で良好な流動性を示し、しかも絶縁特性に優れるとともに安定であるために誘電体形成用として好適である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
なおガラス粉末は、平均粒子径が3μm以下、最大粒子径が30μm以下、比表面積が1.5m2/g以上の粒度分布を有するものを使用することが好ましい。
【0012】
本発明の誘電体形成材料において、酸化物セラミック微粉末は次に述べる2つの働きにより、ガラス膜中の泡を少なくしたり、泡径を小さくすることができる。また前面ガラス板と背面ガラス板の封着時に酸化マグネシウム層の亀裂を防止できる。
【0013】
つまり酸化物セラミック微粉末は、各ガラス粉末の表面に均一に付着し、粉体の流動性を改善してガラス粉末を最密充填させる。これにより、ガラス粉末間の空隙が小さくなり、発生する泡が少なくなる。また焼成中にガラス粉末と反応してガラス粉末の極表面に軟化点の高い層を形成するとともに、ガラスの屈伏点を上昇させる。これにより、ガラスが急激な粘度低下を起こし難くなって泡の成長が抑制されるとともに、後の熱処理で粘性変動し難くなる。
【0014】
酸化物セラミック微粉末としては、最大粒子径が100nm以下のものを使用する。最大粒子径が100nmを超えると泡が少なく、また泡径の小さいガラス膜を得ることができなくなる。また光の波長より大きくなるため、透過率が低下する。なお酸化物セラミック微粉末として、平均粒子径が50nm以下、比表面積が50〜400m2/gの粒度分布を有するものを使用すると、より泡数が少なくなり、また泡が成長し難くなるため好ましい。
【0015】
酸化物セラミック微粉末の材質は限定されるものではないが、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ジルコン、酸化亜鉛等の1種以上を使用することが好ましい。なおセラミック微粉を酸化物セラミックに限定した理由は、ガラスと馴染みやすいためである。
【0016】
また本発明の誘電体形成材料は、ガラスの軟化点より20〜80℃高い温度で焼成してガラス膜としたときに、分光光度計での直線透過率が、膜厚10μmで波長460nm(青)、波長550nm(緑)、及び波長620nm(赤)の何れにおいても80%以上となるようにすることが好ましい。上記条件で作製したガラス膜が、何れかの波長において透過率が80%より低くなると、透明性に優れた誘電体層を形成することが難しくなる。
【0017】
なお本発明のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料を用いて誘電体層を形成するには、電極が形成された前面ガラス板上に、バインダー及び有機溶剤と混練してペースト状にした材料をスクリーン印刷したり、熱可塑性樹脂や可塑剤を添加してグリーンシート状に成型した材料を熱圧着した後、520〜600℃で焼成すればよい。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
表1は本実施例で使用するガラス粉末の組成(試料A〜D)を示している。
【0020】
【表1】
【0021】
各ガラス粉末は以下のようにして作製した。まず表に示す酸化物組成となるようにガラス原料を調合し、均一に混合した後、白金ルツボに入れ、1250℃で2時間溶融して均一なガラスとし、成形した。これらを粉砕し、目開き53μmの網篩で分級してガラス粉末を得た。
【0022】
表2及び表3は、本発明の実施例(試料No.1〜8)及び比較例(試料No.9、10)を示している。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
No.1〜10の各試料は以下のようにして作製した。
【0026】
まず上記ガラス粉末と、酸化物セラミック微粉末と、エチルセルロースと有機溶媒(ターピネオール)を混練してペースト状の試料を得た。なお試料No.9、は酸化物セラミック微粉を添加せずに作製し、試料No.10は通常フィラーとして使用されるアルミナ粉末を添加した。次に各試料をソーダライムガラス板上にスクリーン印刷し、乾燥後、520〜600℃で焼成し、膜厚約10μmのガラス膜を形成した。このガラス膜について、焼成後の泡の状態及び直線透過率について評価した。なおガラス膜の泡の状態は、250μm四方の中に存在する泡の数をカウントして評価した。透過率は、分光光度計を用いて測定した。
【0027】
表から明らかなように、本発明の実施例であるNo.1〜8の試料は、ガラス膜中の10μm以下の微小な泡が250μm四方当たり9個以下であり、10μmを超える泡は存在しなかった。また波長460nmにおける透過率が80%以上、550nmにおける透過率が81%以上、620nmにおける透過率が82%以上であった。これに対して比較例である試料No.9及び10は、10μmを超える泡が6個以上、10μm以下の微小な泡が21個以上あり、波長460nmにおける透過率が72%以下、550nmにおける透過率が73%以下、620nmにおける透過率が74%以下と低かった。
【0028】
これらの事実は、本発明の材料を用いれば、耐電圧が高く、透明性に優れた誘電体層を形成できることを示している。
【0029】
【発明の効果】
本発明の材料は、残存する泡が殆どないガラス膜となるため、耐電圧が高く、透明性の高い誘電体層を形成することができる。それゆえ、プラズマディスプレーパネルの前面板に形成される誘電体層用材料として好適である。
Claims (8)
- 重量百分率でガラス粉末90〜99.9%、酸化物セラミック微粉末0.1〜10%を含有し、酸化物セラミック微粉末の最大粒子径が100nm以下であることを特徴とするプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料。
- 酸化物セラミック微粉末の平均粒子径が50nm以下であることを特徴とする請求項1のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料。
- 酸化物セラミック微粉末の比表面積が50〜400m2/gであることを特徴とする請求項1又は2のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料。
- 酸化物セラミック微粉末が、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ジルコン及び酸化亜鉛から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料。
- ガラス粉末が、屈伏点が430℃以上のガラスからなることを特徴とする請求項1のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料。
- ガラス粉末が、重量百分率でPbO 50〜75%、B2 O3 2〜30%、SiO2 2〜35%、ZnO 0〜20%の組成を有することを特徴とする請求項5のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料。
- ガラス粉末が、重量百分率でPbO 30〜55%、B2 O3 10〜40%、SiO2 1〜15%、ZnO 0〜30%、BaO+CaO+Bi2 O3 0〜30%の組成を有することを特徴とする請求項5のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料。
- ガラス粉末が、重量百分率でZnO 25〜45%、Bi2 O3 15〜35%、B2 O3 10〜30%、SiO2 0.5〜8%、CaO+SrO+BaO 8〜24%の組成を有することを特徴とする請求項5のプラズマディスプレーパネル用誘電体形成材料。
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